JP3877029B2 - 自動車のバックドア用ストライカ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車後部に上端部が開閉自在に支持されたバックドアの下端部に設けられたロック具をアンロック可能にロックする自動車のバックドア用ストライカに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
バックドアの共振周波数は、そのロック具でストライカに結合して閉鎖した状態で六気筒エンジン等のアイドリング時の回転数に相当するエンジン爆発1次周波数の30Hz近辺になり、こもり音レベルの増大につながる場合があることが知られている。また、この周波数領域の路面騒音のレベルも大きいと云う問題がある。この対策としては、図5に示すように、ワゴン車1等のバックドア2に対して、マスダンパ、或はさらに弾性体を付加したダイナミックダンパにより共振周波数を非可聴領域へシフトさせることが行われている。例えば図6に示すように、2kgのマスを取付けることにより、バックドア2の中央部の加振に対するその点の加振応答特性におけるイナータンスピークは30Hzから低くシフトされる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このようなバックドアの共振周波数の調整を専用部品の取付け無しで簡単に行うことのできる自動車のバックドア用ストライカを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この目的を達成するために、自動車後部の開口部の底周面にコの字形に突設されることにより、開口部を開閉するバックドアの下端部に設けられたロック具をロックする自動車のバックドア用ストライカにおいて、コの字形のストライカ本体(15)と、このストライカ本体が隙間を置いて挿通される一対の挿通される挿通孔(11)が形成された基部板(10)と、挿通孔(11)を挿通されたストライカ本体(15)の基端部に固定されるばね座板(16)と、バックドア(2)の共振周波数を低くするように、ばね座板(16)及び基部板(10)間に装着され、かつストライカ本体(15)を隙間を置いて挿通させる一対の挿通孔(17a)が形成された弾性体(17)とを備え、開口部底周面(3a)に、ばね座板(16)よりも大きな形状の取付穴(3b)が形成されると共に、この取付穴(3b)にばね座板(16)が挿通された状態で、基部板(10)が、取付穴(3b)を上方からカバーするように開口部底周面(3a)に取付けられることを特徴とする。
【0005】
バックドア(2)の閉鎖時にそのロック具がストライカに結合した状態で、ストライカ(9)及びその取付けが行われる開口部底周面(3a)間に弾性体(17)が介在することにより、バックドア(2)の共振周波数はそのばね定数が小さくなることにより低い方へずらされる。例えばアイドリング時のエンジン爆発の周波数領域から外れることにより車室内でのアイドリングこもり音のレベルが低下する。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1乃至図5を基に本発明の実施の形態の一例による自動車のバックドア用ストライカを説明する。前述の図5に示すバックドア2は、その上端部が自動車後部の上端部分に枢着されてその開口部3を開閉する。バックドア2の下端部には、開口部3の底周面であるロアバックパネル3aに取付けられた後述のストライカ9に打撃されて、閉鎖状態を周知のばね付勢のロック爪でアンロック可能に強固に結合してロックするロック具9aが取付けられている。
【0007】
ストライカ9は、図1に示すように、ロアバックパネル3aに取付けられる円形状基部板10と、この基部板に形成された一対の挿通孔11に隙間を置いて挿通されるコの字形の直径8mmの丸棒状ストライカ本体15と、挿通孔11を挿通されたストライカ本体15の基端部に固定され、かつ基部板10より小さな直径の厚さ2mmの円形状ばね座板16と、このばね座板及び基部板10間に装着されるディスク状のゴム17とを備えている。
【0008】
このゴムはばね座板16よりもさらに僅かに小さな直径を有し、挿通孔11に対応してストライカ本体15に対して隙間を置くように、その断面直径よりも僅かに大きな内径の一対の挿通孔17aが形成され、ばね定数が約140kg/mmであり、両面で基部板10及びばね座板16に接着される。ストライカ本体15は、その基端部で金属製のばね座板16に溶接される。
【0009】
このように構成されたストライカ9は、図2に示すように、ロアバックパネル3aに形成され、かつストライカ取付け用のばね座板16より大きな形状の取付穴3bにばね座板16を挿通させ、この取付穴に基部板10を上方からカバーするように装着し、その周囲のボルト挿通孔3c及び基部板10のボルト挿通孔12にボルト7を挿通させてナット8でねじ止めされる。これにより、ストライカ本体15はバックドア2のロック具をロックするように上方へ突設される。バックドア2に対する衝突事故に対しては、ばね座板16が、ゴム17を介して基部板10に拘束されることにより、これに溶接されたストライカ本体15の外れが防止される。
【0010】
図3は路面騒音に相当するリヤサスタワでの上下加振に対するバックドア2の中央部の応答特性の試験結果を示すもので、同図Aに示すように実線のダンパを設けないイナータンス特性に対して点線で示すようにイナータンスレベルが低下すると共に、共振周波数も双峰特性となってシフトされることが確認された。対応して、前席での騒音レベルは、同図Bに点線で示すように、30Hz近辺の音圧レベルが低下し、20Hz近辺の音圧レベルは増加するが、非可聴領域であり、実質上騒音レベルは低下する。即ち、エンジンのアイドリング時の30Hz近辺の騒音にチューニングするのも回避され、アイドリングこもり音に対しても有効であることが分かる。
【0011】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、バックドアにマスダンパ或はダイナミックダンパを付設することなく、ストライカにロックされたバックドアのばね定数を小さくすることにより、バックドアの質量を増加させずにバックドアの共振周波数を騒音源の周波数領域よりも低くずらして可聴領域の騒音レベルを低下させることができる。バックドアに対する衝突事故に対しては、ばね座板が、弾性体を介して基部板に拘束されることにより、ストライカの外れも防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態による自動車のバックドア用ストライカの斜視図である。
【図2】 同ストライカのストライカ本体を直径方向のA−A線断面図である。
【図3】 同ストライカの特性を説明する図である。
【図4】 同ストライカの取付け状態を示す斜視図である。
【図5】 本発明が適用されるバックドアを備えた車両を例示する斜視図である。
【図6】 従来のマスダンパの特性を説明する図である。
【符号の説明】
2 バックドア
3a ロアバックパネル
3b 取付穴
10 基部板
11,17a 挿通孔
15 ストライカ本体
16 ばね座板
17 ゴム
Claims (1)
- 自動車後部の開口部の底周面にコの字形に突設されることにより、開口部を開閉するバックドアの下端部に設けられたロック具をロックする自動車のバックドア用ストライカにおいて、
コの字形のストライカ本体と、このストライカ本体が隙間を置いて挿通される一対の挿通孔が形成された基部板と、前記挿通孔を挿通された前記ストライカ本体の基端部に固定されるばね座板と、バックドアの共振周波数を低くするように、前記ばね座板及び前記基部板間に装着され、かつ前記ストライカ本体を隙間を置いて挿通させる一対の挿通孔が形成された弾性体とを備え、
開口部底周面に、前記ばね座板よりも大きな形状の取付穴が形成されると共に、この取付穴に前記ばね座板が挿通された状態で、前記基部板が、前記取付穴を上方からカバーするように前記開口部底周面に取付けられることを特徴とする自動車のバックドア用ストライカ。
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