JP3876878B2 - 電源装置 - Google Patents
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Description
上記の起動回路は、発振周波数が固定されたクロック信号を生成し、そのクロック信号(オンオフ信号)を用いて、昇圧回路のスイッチング用のトランジスタをオンオフ制御するようになっている。
また、近年、携帯電話などの携帯機器に使用される電源装置では、実装面積の削減のために、スイッチング周波数の高速化が行われ、使用するコイル部品の低インダクタンス化(小型化)が進んでいる。このため、低電圧からの動作開始時には、ある程度のスイッチング周波数を上げないと出力電圧を上げることが難しくなってきている。しかし、起動用にバイポーラトランジスタなどを使用する場合には、スイッチング周波数の高速化が難しいという不具合がある。
すなわち、第1の発明は、入力電圧を所望の出力電圧に昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路の動作開始時に昇圧回路を起動させる起動回路と、前記昇圧回路の出力電圧が所定値以上になった場合に前記起動回路に代わって前記昇圧回路を駆動させる駆動回路とを含む電源装置において、前記起動回路は、前記昇圧回路の昇圧用の第1および第2のスイッチング素子のうちの第1のスイッチング素子をオンオフ制御し、前記第1のスイッチング素子がオンのときに、前記昇圧回路の内部であって昇圧回路を構成するコイルと前記第1のスイッチング素子との共通接続部に生成される監視電圧が所定値以上か否かを判定し、前記監視電圧が所定値以上の場合には、前記第1のスイッチング素子のオン動作を停止させるようになっている。
このような構成からなる本発明によれば、昇圧回路の起動時において、昇圧回路の無駄な消費電流を低減してその消費電力を低減でき、かつ、低電圧でも昇圧回路のスイッチング素子の高速なスイッチング動作が可能となる。
まず、本発明の電源装置の実施形態の全体の構成について、図1を参照しながら説明する。
この実施形態に係る電源装置は、図1示す昇圧回路1の起動時に、昇圧回路1の無駄な消費電流を低減してその消費電力を低減できる上に、低電圧でも昇圧回路1のスイッチング素子の高速なスイッチング動作が行えるようにしたものであり、このような機能を起動回路2に持たせるようにした。
昇圧回路1は、直流電源4からの直流の入力電圧VINをスイッチングして所望の出力電圧VOに昇圧させる回路である。起動回路2は、昇圧回路1の動作開始時にその昇圧回路1を起動させる回路である。駆動回路3は、昇圧回路1の出力電圧VOが所定値以上となった場合に、起動回路2に代わって昇圧回路1を駆動させる回路である。ここで、起動回路2は、入力電圧VINにより動作し、駆動回路3は昇圧回路1の出力電圧VOにより動作するようになっている。
昇圧回路1は、図1に示すように、コイル(インダクタ)5、スイッチング素子である2つのN型のMOSトランジスタ6,7、ダイオード(ショットキーダイオード)8、および平滑用のコンデンサ9の組み合わせにより構成される。
さらに詳述すると、コイル5とダイオード8とが直列接続され、この直列回路の一端が入力端子10に接続され、その他端が出力端子11に接続されている。また、コイル5とダイオード8の共通接続部と、共通接続ライン(接地ライン)13との間には、MOSトランジスタ6が接続されている。さらに、MOSトランジスタ6のゲートには起動回路2からの起動信号N1が印加され、これによりMOSトランジスタ6のオンオフが制御されるようになっている。
起動回路2は、昇圧回路1の昇圧用のMOSトランジスタ6をオンオフ制御し、その起動回路2がオンのときに、昇圧回路1の内部で生成される所定の監視電圧が所定値以上か否かを判定し、その監視電圧が所定値以上の場合には、そのMOSトランジスタ6のスイッチング動作を停止させるようになっている。
このために、起動信号生成回路20は、図2に示すように、定電流回路21、コンデンサ22、N型のMOSトランジスタ23、2入力のノア回路24、定電流回路25、コンデンサ26、N型のMOSトランジスタ27、3入力のノア回路28、および3個のインバータ回路29、30、31から構成される。
MOSトランジスタ23は、コンデンサ22に並列接続されるスイッチング素子であり、そのゲートにノア回路28の出力電圧V2が印加され、これによりオンオフ制御されるようになっている。このため、MOSトランジスタ23がオフのときに、定電流回路21によりコンデンサ22が充電され、MOSトランジスタ23がオンのときに、コンデンサ22の電荷が放電されることになる。
定電流回路25は、定電流Ibを生成する回路であり、直流電源4からの供給される入力電圧VINにより駆動されるようになっている。コンデンサ26は、定電流回路25が生成する定電流Ibにより充電されるコンデンサであり、MOSトランジスタ27がオフのときに充電されるようになっている。
インバータ回路は29、30、31は、ノア回路24の出力電圧V1を反転する回路であり、これらは直列に接続されている。そして、インバータ回路30の出力電圧XN1を判定・制御回路32に供給するとともに(図3参照)、インバータ回路31の出力電圧を起動回路2の起動信号N1として取り出すようにしている。
この起動回路2は、図3に示すように、P型のMOSトランジスタ41、42、43、44、45、46、47、48からなるカレントミラー回路を備え、MOSトランジスタ41には定電流源用の抵抗49で決まる定電流が流れるようになっている。
従って、各MOSトランジスタ42、43、44、45、46、47、48には、MOSトランジスタ41に流れる電流で決まる所定の電流が流れ、これらは定電流回路(定電流源)として機能するようになっている。
定電流回路21は、図3に示すように、MOSトランジスタ42から構成される。コンデンサ22は、そのMOSトランジスタ42に流れる定電流Iaにより充電されるようになっている。コンデンサ22の両端には、コンデンサ22の充電電荷を放電させるために、N型のMOSトランジスタ23が接続されている。
具体的には、MOSトランジスタ52、53の各ソースは共通接続され、その共通接続部が接地ライン51に接続されている。MOSトランジスタ52のゲートには、コンデンサ22の充電電圧Vaが供給されるようになっている。MOSトランジスタ53のゲートには、ノア回路28の出力電圧V2が供給されるようになっている。さらに、MOSトランジスタ52、53の各ドレインは共通接続され、その共通接続部は、MOSトランジスタ43を介して電源ライン50、MOSトランジスタ54のゲート、MOSトランジスタ27のゲート、およびMOSトランジスタ57のゲートにそれぞれ接続されている。
ノア回路28は、図3に示すように、N型のMOSトランジスタ54、55、56と、定電流回路を構成するMOSトランジスタ44とから構成される。
インバータ回路30は、図3に示すように、P型のMOSトランジスタ58とN型のMOSトランジスタ59とで構成されるCMOSインバータ回路からなり、インバータ回路29の出力電圧を反転させるようになっている。このインバータ回路30の出力電圧は、判定・制御回路32を構成するMOSトランジスタ64のゲートに供給されるようになっている。
MOSトランジスタ62は、そのゲートに昇圧回路1からの監視電圧VMが入力され、その監視電圧VMがしきい値電圧を上回る場合に、導通状態になって出力電圧がHレベルからLレベルに反転するものである。すなわち、MOSトランジスタ62は、監視電圧VMを所定の基準電圧であるしきい値電圧と比較し、監視電圧VMがその基準電圧以上の場合に、出力電圧をLレベルにさせるものである。このMOSトランジスタ62の出力電圧は、MOSトランジスタ63のゲートに供給されるようになっている。
コンデンサ65は、MOSトランジスタ48に流れる定電流Icにより充電されるものである。そのコンデンサ65の充電電圧は、判定・制御回路32の出力電圧V3としてノア回路28のMOSトランジスタ55のゲートに供給されるようになっている。
いま、電源が投入されると、昇圧回路1と起動回路2に対して直流電源4からの入力電圧VINが供給される。そして、入力電圧VINが、図4に示すように例えば0.9〔V〕になると、起動回路2が起動信号N1の生成を開始し、この生成された起動信号N1が昇圧回路1のMOSトランジスタ6のゲートに供給される。この結果、昇圧回路1は昇圧動作を行い、その出力電圧VOが図4に示すように徐々に上昇していく。
ここで、上記の起動回路2の停止と駆動回路3の開始の各制御は、昇圧回路1の出力電圧VOの検出を適宜手段で行い、その検出結果に基づいて制御されるものとする。
次に、この実施形態の起動回路2の動作について、図2、図5、および図6を参照して説明する。
図5(A)に示すように、時刻t1以前において、コンデンサ22の充電電圧VaがLレベルであるとすると、MOSトランジスタ23はオン状態にあるので、そのゲートに印加されるノア回路28の出力電圧V2はHレベルである。このとき、そのコンデンサ22の充電電圧Vaとノア回路28の出力電圧V2はノア回路24に供給されるので、ノア回路24の出力電圧V1はLレベルとなり、このLレベルがMOSトランジスタ27のゲートとノア回路28の入力側に供給される。
以上の動作をまとめると、起動回路2における起動信号生成回路20は、図5に示すように、コンデンサ22とコンデンサ26とを交互に充電することにより起動信号N1を生成する。そして、起動信号N1の発振周波数は、定電流回路21、25の各定電流Ia,Ibを調整することにより調整できる。
このため、定電流回路21、25の各定電流Ia,Ibの値が同じであって、コンデンサ22、26の各容量値が同じである場合には、起動信号N1はデューティ比(Duty)が50%のクロックとなる(図5参照)。
ところで、コンデンサ22、26の容量比を変えることで、起動信号N1のデューティ比を可変できる。また、定電流回路21、25の定電流Ia,Ibを調整して周波数を高くしてもデューティ比は変化しない。このため、その特性は昇圧スイッチングレギュレータ用PWM回路として有効に使える。一般的に、昇圧用スイッチングレギュレータ回路では、スイッチングクロックの最大デューティ比が規定されている(最大デューティ比が80%など)。この起動信号生成回路20では、コンデンサ22、26の容量比を調整することにより、その最大デューティ比を実現できる。
この場合には、昇圧回路1のMOSトランジスタ6のゲートには図7(A)で示すような起動信号N1が入力され、MOSトランジスタ6のオンオフ制御が行われる。これにより、コイル5とダイオード8の共通接続点の監視電圧VMは図7(B)に示すようになる。
すなわち、MOSトランジスタ6に流れる電流Iはコイル5に流れる電流に等しいので、インダクタンスLからなるコイル5に蓄積されるエネルギーは、(1/2×I×I×L)となる。このため、MOSトランジスタ6の飽和により電流Iが増加できない場合には、それ以上MOSトランジスタ6をオンにして電流Iを流しても、その電流Iはコイル5に対するエネルギーの蓄積には寄与できず、図7(C)の期間T1に流れる電流Iは無駄な消費電流となる。
すなわち、判定・制御回路32は、MOSトランジスタ62を備え、そのゲートに上記の監視電圧VMを入力するようにし(図8(B)参照)、その監視電圧VMがMOSトランジスタ62のしきい値電圧を超えたときに、起動信号生成回路20が生成する起動信号N1を、図8(A)に示すようにHレベルからLレベルに変化させるようにした。すなわち、起動信号N1のオン時間を設定よりも短くなるようにした。
次に、図3に示す起動回路2の動作について、図9を参照して説明する。
図9は、図3に示す起動回路2の各部の波形について、昇圧回路1のMOSトランジスタ6に流れる電流Iが飽和しない場合と、その電流Iが飽和する場合とについて示す。
図9の時刻t1において、起動信号生成回路20の生成する起動信号N1が図9(C)に示すようにLレベルからHレベルに変化すると、図1に示す昇圧回路1のMOSトランジスタ6がオフからオンになる。これによりMOSトランジスタ6に電流Iが流れ、コイル5にエネルギーが蓄積されていく。このとき、MOSトランジスタ6に流れる電流Iは飽和しないので、MOSトランジスタ6のゲートに入力される昇圧回路1の監視電圧VMは、図9(E)に示すように時刻t1から時刻t2にかけて上昇していく。
次に、昇圧回路1のMOSトランジスタ6に流れる電流Iが飽和する場合の動作について、図9の右側を参照して説明する。
また、図3に示す起動信号生成回路20で生成される起動信号N1のオフ時間は固定されているが、判定・制御回路32の上記のような動作により起動信号N1のオン時間が短くなり、MOSトランジスタ6のスイッチング周波数が高速になってくる。特に、昇圧回路1の入力電圧VINが低い場合にはコイル5に蓄積されるエネルギーが小さくなるため、上記のようにスイッチング周波数が上がることで、昇圧回路1の起動時に出力電圧をすばやく立ち上げることが可能となる。
この第1の変形例は、図10に示すように、図1の実施形態のダイオード8をMOSトランジスタ71に置き換え、このMOSトランジスタのオンオフ制御を駆動回路3で行うようにしたものである。この第1の変形例の他の部分の構成は図1の実施形態の構成と同じであるので、同一構成要素には同一符号を付して、その構成の説明は省略する。
図10に示す第1の変形例では、昇圧回路1が、起動回路2で起動されるMOSトランジスタ6と、駆動回路3で駆動されるMOSトランジスタ7とを備えている。
そこで、第2の変形例では、その両MOSトランジスタ6、7を1つのMOSトランジスタ72にまとめるとともに、2入力のノア回路73とインバータ回路74とを追加するようにしたものである。そして、起動回路2からの起動信号N1と駆動回路3からの駆動信号N2とをノア回路73の入力側に供給するとともに、ノア回路73の出力をインバータ回路74を介してMOSトランジスタ72のゲートに供給するようにした。
次に、本発明の実施形態の起動回路の変形例について、図12を参照して説明する。
図12に示す起動回路2Aは、図2に示す起動回路2の構成を基本とし、コンデンサ22の充電電圧Vaをシュミットトリガ回路75を介してノア回路24に入力するとともに、コンデンサ26の充電電圧Vbをシュミットトリガ回路76を介してノア回路28に入力するようにした点を追加したものである。このように、シュミットトリガ回路75、76を追加すると、動作の安定化を図ることができる。
Claims (3)
- 入力電圧を所望の出力電圧に昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路の動作開始時に昇圧回路を起動させる起動回路と、前記昇圧回路の出力電圧が所定値以上になった場合に前記起動回路に代わって前記昇圧回路を駆動させる駆動回路とを含む電源装置において、
前記起動回路は、
前記昇圧回路の昇圧用の第1および第2のスイッチング素子のうちの第1のスイッチング素子をオンオフ制御し、前記第1のスイッチング素子がオンのときに、前記昇圧回路の内部であって昇圧回路を構成するコイルと前記第1のスイッチング素子との共通接続部に生成される監視電圧が所定値以上か否かを判定し、前記監視電圧が所定値以上の場合には、前記第1のスイッチング素子のオン動作を停止させるようになっていることを特徴とする電源装置。 - 入力電圧を所望の出力電圧に昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路の動作開始時に昇圧回路を起動させる起動回路と、前記昇圧回路の出力電圧が所定値以上になった場合に前記起動回路に代わって前記昇圧回路を駆動させる駆動回路とを含む電源装置において、
前記起動回路は、
前記昇圧回路の昇圧用の第1および第2のMOSトランジスタのうちの第1のMOSトランジスタをオンオフ制御する起動信号を生成する起動信号生成手段と、
前記第1のMOSトランジスタがオンのときに、前記昇圧回路におけるコイルと前記第1のMOSトランジスタの共通接続部の監視電圧が所定値以上か否かを判定し、前記監視電圧が所定値以上の場合には、前記第1のMOSトランジスタをオフさせる判定・制御手段と、
を備えていることを特徴とする電源装置。 - 前記起動信号生成手段は、2つの定電流回路と、この各定電流回路により交互に充電される2つのコンデンサとを含み、前記起動信号の周波数は前記両定電流回路の定電流値を変えることにより調整でき、前記起動信号のデューティ比は前記両コンデンサの容量値を変えることにより調整できるようになっていることを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
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