JP3876619B2 - 包装用フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は少なくとも3層である包装用フィルムに関する。更に詳しくは、軟質塩化ビニル樹脂フィルムやビニロンフィルムに匹敵する軟質フィルムとして、剛性が実用的な水準に維持されたうえに、柔軟性、透明性、手切れ性、耐熱融着性及び透視感に優れる包装用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、食品や食品を載せたトレーをオーバーラップする軟質フィルムとしては、可塑剤を含む軟質塩化ビニル樹脂フィルムが多く用いられてきた。しかし、軟質塩化ビニル樹脂は、可塑剤やモノマーのブリードアウトによる転移や焼却時の塩化水素の発生等の問題がある。
【0003】
上記軟質塩化ビニル樹脂フィルムに似た非塩化ビニル系の軟質フィルムとしては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、低密度ポリエチレン、アイオノマー等のエチレンを主体とする重合体からなる軟質フィルムが知られている。しかし、これらのエチレンを主体とする重合体からなる軟質フィルムは、透明性(ヘイズ)、光沢性(グロス)、耐熱性や腰の強さ(剛性)等の点で不充分である。
【0004】
そこで、エチレンを主体とする重合体に替えて、または併用してプロピレン系重合体組成物が用いられるようになってきた。
例えば、特開平5−147174号公報には、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂より選ばれた結晶性オレフィン系樹脂または、該オレフィン系樹脂とオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる樹脂層の両面に、エチレンと酢酸ビニルエステル、脂肪族不飽和カルボン酸、脂肪族不飽和モノカルボン酸アルキルエステルより選ばれた単量体との共重合体樹脂表面層を積層したフィルムが開示されている。
特開平8−90738号公報には、芯層がポリプロピレン系樹脂と石油樹脂との混合物からなり、両表面層が直鎖状低密度ポリエチレンと分岐状低密度ポリエチレンとの混合物からなる多層未延伸原反を、共押出した後、延伸加工して得られたものであることを特徴とするポリオレフィン系熱収縮多層フィルムが開示されている。
また、特開平9−154479号公報には、プロピレン系重合体及び石油樹脂を含有する層を少なくとも一層有し、動的粘弾性測定により周波数10Hz、温度20℃で測定した貯蔵弾性率(E’)が5.0×108〜5.0×109dyn/cm2、損失正接(tanδ)が0.2〜0.8の範囲にあるプロピレン系組成物からなる食品包装用ストレッチフィルムが開示され、中間層にプロピレン系重合体及び石油樹脂混合組成物が、表裏層にエチレン−酢酸ビニル共重合体が用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこれらのフィルムは、剛性が実用的な水準に維持されたうえに、柔軟性、透明性、手で切り裂いた時の手切れ性、加熱した際にフィルム同士が融着しない性質である耐熱融着性を満足できるものではなく、また、透視感も充分ではないためフィルムにちらつきが見られるものであった。
【0006】
本発明の目的は、剛性が実用的な水準に維持されたうえに、柔軟性、透明性、手切れ性、耐熱融着性及び透視感に優れる包装用フィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、両表面層が、密度と配合割合が特定の範囲にあるエチレン−α−オレフィン共重合体及びメルトフローインデックスと末端二重結合の個数と配合割合が特定の範囲にある高圧ラジカル法低密度ポリエチレンからなり、中間層の少なくとも1層が融解熱量が特定の範囲にあるプロピレン系重合体(C)からなり、少なくとも3層である包装用フィルムが、上記目的を達成できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、両表面層が密度が910〜935kg/m3であるエチレン−α−オレフィン共重合体(A)95〜40重量%及びメルトフローインデックスが0.5〜5g/10分、末端二重結合が0.2〜1.0個/2000Cである高圧ラジカル法低密度ポリエチレン(B)5〜60重量%からなり、中間層の少なくとも1層が融解熱量が20〜80kJ/kgであるプロピレン系重合体(C)からなり、少なくとも3層である包装用フィルムに係るものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体(A)は、エチレンとプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等の炭素原子数3〜8個のα−オレフィンから選ばれる1種以上のコモノマーとの共重合体であり、エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量が、通常50重量%を超える重合体である。
【0010】
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)としては、例えばエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン−ブテン−1−ヘキセン−1共重合体等が挙げられ、好ましくはエチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体である。
【0011】
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)の密度は、910〜935kg/m3、好ましくは916〜930kg/m3、より好ましくは920〜927kg
/m3である。密度が910kg/m3未満の場合、耐熱融着性が悪いことがあ
り、935kg/m3を超えた場合、柔軟性、透明性に劣ることがある。
【0012】
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)の製造方法は、特に限定はなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いて公知の重合方法を用いることができる。例えばチーグラー・ナッタ型触媒やメタロセン錯体や非メタロセン錯体等の錯体系触媒等を用いたスラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等が挙げられる。
【0013】
本発明に用いられる高圧ラジカル法低密度ポリエチレン(B)は高圧ラジカル重合法により製造される長鎖分岐を有するポリエチレンである。
高圧ラジカル重合法とは、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、オートクレーブ型やチューブラー型の反応器を用いて、500〜4000気圧(50〜405MPa)の圧力下で、パーオキサイド等のラジカル発生剤を用いて、エチレン等を重合させる方法等が挙げられる。
長鎖分岐の程度は重合時の圧力や温度により異なり、その程度は、希薄溶液の光散乱法より求めた同一分子量の長鎖分岐を有するポリエチレンと長鎖分岐のない直鎖状のポリエチレンの極限粘度の割合g(=[η]b/[η]l)により表わせる。ここで[η]bは長鎖分岐を有するポリエチレンの極限粘度、[η]lは長鎖分岐のない直鎖状のポリエチレンの極限粘度である。本発明の高圧ラジカル法低密度ポリエチレンの極限粘度の割合gは0.1〜0.9である。
【0014】
高圧ラジカル法低密度ポリエチレン(B)のメルトフローインデックスは、0.5〜5g/10分であり、好ましくは1〜4g/10分である。メルトフローインデックスが0.5g/10分未満の場合、インフレーション加工時に押出機モーターの負荷が高くなることがあり、5g/10分を超えた場合、インフレーション加工時のインフレーションバブルの安定性が劣ることがある。
【0015】
高圧ラジカル法低密度ポリエチレン(B)の末端二重結合の個数は、0.2〜1.0個/2000Cであり、好ましくは0.3〜0.8個/2000Cであり、より好ましくは0.35〜0.70個/2000Cである。末端二重結合の個数が0.2個/2000C未満である場合や1.0個/2000Cを超えた場合、フィルムの透明性や透視感が劣ることがある。
【0016】
高圧ラジカル法低密度ポリエチレン(B)の密度は、特に制限はなく、好ましくは915〜935kg/m3である。
【0017】
本発明の包装用フィルムの両表面層はエチレン−α−オレフィン共重合体(A)及び高圧ラジカル法低密度ポリエチレン(B)からなる樹脂組成物であり、その配合量はエチレン−α−オレフィン共重合体(A)が95〜40重量%、好ましくは90〜50重量%、より好ましくは85〜55重量%であり、高圧ラジカル法低密度ポリエチレン(B)が5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは15〜45重量%である。エチレン−α−オレフィン共重合体(A)が95重量%を超えた場合、インフレーション加工時にインフレーションバブルの安定性が劣ることがあり、40重量%未満の場合、フィルムの強度が劣ることがある。
【0018】
本発明の包装用フィルムの両表面層には、エチレン−α−オレフィン共重合体(A)及び高圧ラジカル法低密度ポリエチレン(B)の他に、本発明の目的、効果を損なわない範囲において、必要に応じて各種の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば酸化防止剤、防曇剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、中和剤等を挙げることができる。
【0019】
本発明の包装用フィルムの両表面層に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体(A)及び高圧ラジカル法低密度ポリエチレン(B)からなる樹脂組成物の調製方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等の混練機、一軸又は二軸押出機等を用いて加熱溶融混練する方法が挙げられる。また、各樹脂(A)及び(B)のペレットをドライブレンドしてもよい。
【0020】
本発明に用いられるプロピレン系重合体(C)は、プロピレン単独重合体またはプロピレンと少なくとも1種以上のα−オレフィンからなるプロピレン−α−オレフィン共重合体であり、プロピレン単位の含有量が100〜50重量%である。
α−オレフィンとしては、エチレンまたは炭素原子数4〜8個のα−オレフィンであり、炭素原子数4〜8個のα−オレフィンとしては、例えばブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等が挙げられる。
【0021】
プロピレン−α−オレフィン共重合体としては、例えばプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1−エチレン共重合体、プロピレン−ヘキセン−1−エチレン共重合体等が挙げられる。
プロピレン系重合体(C)として、好ましくはプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体である。
【0022】
本発明に用いられるプロピレン系重合体(C)は、その融解熱量が20〜80kJ/kgであり、好ましくは30〜70kJ/kgである。融解熱量は示差走査型熱量計(DSC)により測定することができる。融解熱量が20kJ/kg未満の場合、フィルムの耐熱性が不充分なことがあり、80kJ/kgを超えた場合、フィルムの柔軟性に劣ることがある。
【0023】
本発明に用いられるプロピレン系重合体(C)の製造方法は、特に制限はなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いて公知の重合方法を用いることができる。例えばチーグラー・ナッタ型触媒、メタロセン錯体や非メタロセン錯体等からなる錯体触媒系等を用いたスラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等が挙げられる。
【0024】
本発明の包装用フィルムの中間層はプロピレン系重合体(C)からなり、より好ましくはプロピレン系重合体(C)及びエチレン単位の含有量が100〜70重量%であるエチレン系共重合体(D)からなる樹脂組成物からなる。
【0025】
エチレン単位の含有量が100〜70重量%であるエチレン系共重合体(D)は、エチレン単独重合体またはエチレンを主成分とする共重合体である。
エチレン単独重合体としては、例えば高圧ラジカル法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられ、好ましくは高圧ラジカル法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン及び線状超低密度ポリエチレンである。
【0026】
エチレンを主成分とする共重合体としては、エチレンと炭素原子数3〜8個のα−オレフィン、ビニルエステル化合物、不飽和カルボン酸エステル及びそのアイオノマー、ビニル芳香族化合物、ジエン化合物、環状オレフィン等の中から選ばれる1種以上のモノマーとの共重合体が挙げられ、ジエン化合物を含む共重合体においてはそのその水素添加物も挙げられる。
【0027】
炭素原子数3〜8個のα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等が挙げられ、ビニルエステル化合物としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられ、不飽和カルボン酸エステル及びそのアイオノマーとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム等が挙げられ、ビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等が挙げられ、ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,5−ノルボルナジエン等が挙げられ、環状オレフィンとしては、例えば2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン等が挙げられる。
【0028】
エチレンを主成分とする共重合体(D)としては、例えばエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸ナトリウム共重合体、エチレン−スチレン共重合体、エチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−2,5−ノルボルナジエン共重合体、エチレン−2−ノルボルネン共重合体等が挙げられる。
【0029】
好ましくは、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−ブタジエン共重合体であり、より好ましくはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体及びエチレン−メタクリル酸メチル共重合体である。
【0030】
エチレン系共重合体(D)の製造方法は、特に限定はなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法を用いることができる。例えばチーグラー・ナッタ型触媒、メタロセン錯体や非メタロセン錯体等からなる錯体触媒系等を用いたスラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等が挙げられ、またラジカル重合開始剤等を用いた塊状重合法、溶液重合法等が挙げられる。
【0031】
本発明の包装用フィルムの中間層にプロピレン系重合体(C)及びエチレン単位の含有量が100〜70重量%であるエチレン系共重合体(D)からなる樹脂組成物を用いる場合、その配合量は、プロピレン系重合体(C)が95〜55重量%、好ましくは90〜70重量%であり、エチレン単位の含有量が100〜70重量%であるエチレン系共重合体(D)が5〜45重量%、好ましくは10〜30重量%である。
【0032】
プロピレン系重合体(C)及びエチレン単位の含有量が100〜70重量%であるエチレン系共重合体(D)からなる樹脂組成物の調製方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えばニーダー、バンバリーミキサー、ロール等の混練機、一軸又は二軸押出機等を用いて加熱溶融混練して調整すること等が挙げられ、また各樹脂(C)及び(D)のペレットをドライブレンドしてもよい。
【0033】
また、プロピレン系重合体(C)及びエチレン単位の含有量が100〜70重量%であるエチレン系共重合体(D)からなる樹脂組成物には、本発明の目的、効果を損なわない範囲において、必要に応じて添加剤等を加えることができる。添加剤としては、例えば酸化防止剤、防曇剤、帯電防止剤、核剤、難燃剤等が挙げられる。また本発明の目的、効果を損なわない範囲において他の樹脂をブレンドしても良い。例えばリサイクル樹脂をブレンドすることもできる。リサイクル樹脂とはフィルムを製造時の残りであって、例えば、フィルムの厚み調整時にできる所定の厚みではないフィルム、製膜後スリットした時にできるフィルムの耳、フィルムを紙管等に巻いた後に端面をサイドカットした時にできる巻き片、及びそれらをペレット化したもの等が挙げられる。
【0034】
本発明の包装用フィルムの中間層には、プロピレン系重合体(C)からなる層またはプロピレン系重合体(C)及びエチレン単位の含有量が100〜70重量%であるエチレン系共重合体(D)からなる樹脂組成物からなる層に加えて、本発明の目的、効果を損なわない範囲において他の樹脂からなる層を挿入し、積層しても良い。例えばリサイクル樹脂からなる層、熱可塑性樹脂からなる層、接着性樹脂からなる層等が挙げられる。
【0035】
リサイクル樹脂としては、例えば上述の樹脂等が挙げられ、熱可塑性樹脂としては、例えばガスバリヤー性を付与するために用いられるポリアミド樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエステル樹脂等が挙げられ、接着性樹脂としては、例えば層間の接着強度を上げるために用いられるエチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、無水マレイン酸変性ポリエチレン等が挙げられる。
【0036】
本発明の包装用フィルムの各層の厚みは特に限定はなく、通常、各層は約2〜100μmの範囲である。また、フィルム全体の厚みに対する両表面層の厚みの比率も特に限定はなく、通常、両表面層の厚みの合計はフィルム全体の厚みの20〜90%である。
【0037】
本発明の包装用フィルムの製法は特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。例えばインフレーション法やキャスト法による共押出積層法、押出しラミネーション法、サンドラミネーション法、ドライラミネーション法等が挙げられる。好ましくはフィルムの縦と横の物性バランスの点から、インフレーション法である。
【0038】
本発明の包装用フィルムに収縮性が必要とされる場合は、製膜後に少なくとも一軸方向に延伸することが好ましい。例えば、一軸延伸方法としては、ロール延伸法等が挙げられ、二軸延伸方法としては、一軸に延伸した後に二軸延伸を行う逐次延伸方法やチューブラ延伸のような同時二軸延伸方法等が挙げられる。
【0039】
【実施例】
次に本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0040】
実施例および比較例における物性値の測定方法を以下に説明する。
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K6922−2:1997に従い、試験温度190℃、試験荷重21.18Nの条件で測定を行った。
(2)密度
JIS K6922−2:1997に従い、測定を行った。
【0041】
(3)末端二重結合
約500μmのシートをプレス成形機にて作成した。そのシートの厚みをマイクロゲージで測定し、赤外吸収スペクトル分光器を用いて、波数910cm-1
における赤外吸収強度を測定し、次式から求めた。
末端二重結合(個/2000C)=0.231×K’
K’=(1000/dL)×log10(I0/I)
d:密度(kg/m3)
L:シート厚み(cm)
I0:910cm-1におけるベースラインの吸収強度
I:910cm-1におけるシートの吸収スペクトルの吸収強度
【0042】
(4)エチレン単位の含有量
高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の593〜594ページに記載されている方法に従い、引用文献(9)(化学同人発行、化学増刊43、高分子のcharacterizationと物性)に記載の式を用いて、約1378cm-1付近と1303cm-1の赤外吸収強度を測定して求めた。
【0043】
(5)プロピレン系重合体(C)の融解熱量
装置としてセイコー電子工業(株)社製RDC220を用い、試料約5mgをアルミパンに詰め、100℃/分で230℃まで昇温し、230℃で5分間保持したのち10℃/分で−50℃まで降温し、−50℃で5分間保持したのち10℃/分で230℃まで昇温して融解曲線を測定した。融解曲線が高温側のベースラインに戻る点と、融解曲線の0℃の点を直線で結び、この直線と融解曲線で囲まれる部分の総面積から融解熱量を求めた。
【0044】
(6)透明性(ヘイズ)
ASTM D1003に従い測定を行った。
(7)透視感(LSI)
(株)東洋精機製作所製の視覚透視度試験機を用いて測定した。測定値が小さいほど透視感が良いことを示す。
【0045】
(8)剛性(1%SM)
フィルムの引取り方向(MD)または引取り方向と垂直方向(TD)を長手してた120mm×20mmの短冊状のフィルムを試験片として、その試験片を掴み間60mm、引張速度5mm/分で引っ張り、1%伸びたときの応力を測定した。MDを長手方向にした場合をMDの1%SM、 TDを長手方向にした場合をTDの1%SMとした。
【0046】
(9)手切れ性
フィルムの端を指で押して破り、破れたところからTD方向に手で切り裂いた時の破れ方を以下のように判定した。
○:破断部でのフィルムの伸びが無く、TD方向へ真っ直ぐに切れる。
△:破断部でのフィルムの伸びが若干あり、 TD方向へ真っ直ぐに切れるが、破断面が波打った形となる。
×:破断部でのフィルムの伸びがあり、切り裂き方向がMD方向へずれる。
(10)耐熱融着性
装置として、テスター産業(株)製ヒートシールテスターを用い、シールバー温度100℃、シール時間3秒、シール圧力0.049MPa(0.5kg/cm2)の条件で、フィルムとフィルムを熱融着させ、シール界面を300mm/分の速度で剥離するときの強度を測定した。
【0047】
実施例1
〔表面層樹脂組成物の調製〕
表面層を構成する樹脂組成物として、エチレン−ヘキセン−1共重合体(住友化学工業(株)製スミカセンE FV405、MFR(190℃)=4g/10分、密度=923kg/m3)60重量%、低密度ポリエチレン(住友化学工業(株)製スミカセンCE2575、MFR(190℃)=2g/10分、末端二重結合=0.62個/2000C)40重量%をドライブレンドして調製した樹脂組成物を用いた。
〔中間層樹脂組成物の調製〕
中間層を構成する樹脂組成物として、プロピレン−エチレン共重合体(住友化学工業(株)製エスプレンEPX KS37F3)42.5重量%、プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−ブテン−1共重合体の混合物(宇部興産(株)製CAP355S)42.5重量%、及びエチレン−ヘキセン−1共重合体(住友化学工業(株)製スミカセンE FV405、エチレン含量=89重量%、ヘキセン−1含量=11重量%)15重量%とをドライブレンドして調製した樹脂組成物を用いた。
〔フィルムの製造〕
表面層/中間層/表面層の厚みの構成比率が25/50/25である厚み13μmの二種三層積層フィルムを、プラコー社製三層インフレーションフィルム加工機を用い、加工温度200℃、ブローアップ比4.5で成形した。得られたフィルムの構成を表1に、物性の評価結果を表3に示した。
【0048】
実施例2
中間層を構成する樹脂組成物として、プロピレン−エチレン共重合体(住友化学工業(株)製エスプレンKS37F3)50重量%、及びプロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−ブテン−1共重合体の混合物(宇部興産(株)製CAP355S)50重量%とをドライブレンドして調製した樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様の表面層樹脂組成物を用い、同様の方法で積層フィルムを成形した。得られたフィルムの構成を表1に、物性の評価結果を表3に示した。
【0049】
比較例1
表面層を構成する樹脂組成物として、エチレン−ヘキセン−1共重合体(住友化学工業(株)製スミカセンE FV405、MFR(190℃)=4g/10分、密度=923kg/m3)60重量%、低密度ポリエチレン(住友化学工業(株)製スミカセンL211、MFR(190℃)=2g/10分、末端二重結合=0.16個/2000C)40重量%をドライブレンドして調製した樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様の中間層樹脂組成物を用い、同様の方法で積層フィルムを成形した。得られたフィルムの構成を表2に、物性の評価結果を表3に示した。
【0050】
比較例2
表面層を構成する樹脂組成物として、エチレン−ヘキセン−1共重合体(住友化学工業(株)製スミカセンE FV401、MFR(190℃)=4g/10分、密度=902kg/m3)60重量%、低密度ポリエチレン(住友化学工業(株)製スミカセンCE2575、MFR(190℃)=2g/10分、末端二重結合=0.62個/2000C)40重量%をドライブレンドして調製した樹脂組成物を用いた以外は、実施例2と同様の中間層樹脂組成物を用い、同様の方法で積層フィルムを成形した。得られたフィルムの構成を表2に、物性の評価結果を表3に示した。
【0051】
比較例3
表面層を構成する樹脂組成物として、エチレン−ヘキセン−1共重合体(住友化学工業(株)製スミカセンE FV405、MFR(190℃)=4g/10分、密度=923kg/m3)60重量%、低密度ポリエチレン(住友化学工業(株)製スミカセンF208−0、MFR(190℃)=1.5g/10分、末端二重結合=0.18個/2000C)40重量%をドライブレンドして調製した樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様の中間層樹脂組成物を用い、同様の方法で積層フィルムを成形した。得られたフィルムの構成を表2に、物性の評価結果を表3に示した。
【0052】
比較例4
中間層として実施例2と同様の樹脂組成物を用いた以外は、比較例3と同様の表面層樹脂組成物を用い、同様の方法で積層フィルムを成形した。得られたフィルムの構成を表2に、物性の評価結果を表3に示した。
【0053】
本発明の要件を満足する実施例1及び2のフィルムは剛性が実用的な水準に維持されたうえに、透明性(ヘイズ)、手切れ性、耐熱融着性及び透視感(LSI)に優れることがわかる。これに対して、本発明の要件の一つである高圧ラジカル法低密度ポリエチレン(B)の末端二重結合の個数を満足しない比較例1は透明性(ヘイズ)及び透視感(LSI)が不充分であり、エチレン−α−オレフィン共重合体(A)の密度を満足しない比較例2は剛性が実用的な水準に維持されておらず、手切れ性及び耐熱融着性が不充分であり、本発明の要件の一つである高圧ラジカル法低密度ポリエチレン(B)の末端二重結合の個数を満足しない比較例3及び4は透視感(LSI)が不充分である。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
表中、
LL(A)はエチレン−α−オレフィン共重合体(A)を、
LD(B)は高圧ラジカル法低密度ポリエチレン(B)を、
PP(C)はプロピレン系重合体(C)を、
PE(D)はエチレン系重合体(D)を
示す。
【0056】
【表3】
【0057】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、剛性が実用的な水準に維持されたうえに、柔軟性、透明性、手切れ性、耐熱融着性及び透視感に優れる包装用フィルムを提供することができる。
また、本発明の包装用フィルムは軟質フィルムであり、軟質塩化ビニル樹脂フィルムに代わり、各種用途、例えば、食品包装フィルム、ストレッチフィルム等に適用することができる。
Claims (4)
- 両表面層が密度が910〜935kg/m3であるエチレン−α−オレフィン共重合体95〜40重量%及びメルトフローインデックスが0.5〜5g/10分、末端二重結合が0.2〜1.0個/2000Cである高圧ラジカル法低密度ポリエチレン5〜60重量%からなり、中間層の少なくとも1層が融解熱量が20〜80kJ/kgであるプロピレン系重合体からなり、少なくとも3層であることを特徴とする包装用フィルム。
- 両表面層が密度が910〜935kg/m3であるエチレン−α−オレフィン共重合体90〜50重量%及びメルトフローインデックスが1〜4g/10分、末端二重結合が0.3〜0.8個/2000Cである高圧ラジカル法低密度ポリエチレン10〜50重量%からなることを特徴とする請求項1記載の包装用フィルム。
- 中間層の少なくとも1層が、融解熱量が20〜80kJ/kgであるプロピレン系重合体95〜55重量%及びエチレン単位の含有量が100〜70重量%であるエチレン系共重合体5〜45重量%からなる樹脂組成物であることを特徴とする請求項1記載の包装用フィルム。
- 中間層の少なくとも1層が、融解熱量が30〜70kJ/kgであるプロピレン系重合体90〜70重量%及びエチレン単位の含有量が100〜70重量%であるエチレン系共重合体10〜30重量%からなる樹脂組成物であることを特徴とする請求項3記載の包装用フィルム。
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