JP3873935B2 - 強誘電体メモリ素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、BiFeOからなる強誘電体層を有した強誘電体メモリ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、大容量で低消費電力を実現した不揮発性メモリ素子の記録材料として、強誘電体材料が採用され実用化されている。用いられる強誘電体材料の代表的なものとしては、ペロブスカイト型酸化物であるPb(Zr1−xTi)O(PZT)や、Bi層状化合物であるSrBiTa(SBT)が挙げられる。このような強誘電体材料からなる不揮発性メモリ素子、すなわち強誘電体メモリ素子としては、その素子特性として、特に分極モーメント及びキュリー温度(常誘電体から強誘電体への転移温度)が高いことが望まれている。
【0003】
すなわち、センスアンプの感度からの要求として、残留分極モーメントPrが少なくとも10μC/cm以上であることが求められている。なお、この分極モーメントについては、将来見込まれるメモリ素子の高密度化によるキャパシタ面積の縮小を考えた場合、より大きいことが望まれている。
また、記録データの信頼性の観点からは、キュリー温度が200℃以上であることが求められている。特に、使用温度範囲付近(例えば−10℃〜+100℃)においてメモリ保持可能であることが求められ、したがってその温度範囲で構造相転移が現れないことが必要とされている。
さらに、繰り返し記録再生に関する信頼性においては1012回以上、好ましくは1015回以上を保証する必要がある。また、記録膜(強誘電体層)の厚さについては、今後の微細化を考えた場合、50nm〜200nm、さらには10nm〜50nmとすることが求められており、また、このときのリーク電流については、100kV/cm印加時に10−6〜10−8A/cmに抑えられることが望まれている。
【0004】
ところで、前記のPZT系の強誘電体材料は、分極モーメントが大きく、30〜50μC/cmを発現することができ、またキュリー温度が400℃以上あり、仕様温度範囲内での構造相転移もない。しかしながら、これから形成された強誘電体層中のPbが蒸発し易いことから、このPbの組成制御が難しいといった課題がある。また、組成中に有害物質であるPbを含むことから、これが環境汚染の一因となってしまうことが考えられ、したがって、この材料を用いた強誘電体メモリ素子の生産は今後見直す必要に迫られている。
【0005】
また、前記のSBT系の強誘電体材料は、最大の分極モーメントとして20μC/cmを発現することができる。しかしながら、層状構造のため配向制御が難しく、結晶粒の存在が微細化にとって好ましくないことや、後工程におけるパッシベーション膜形成時に水素によるダメージが起こってしまう、などが問題となっている。
また、これらの材料以外に期待される強誘電体材料として、BaTiOがある。この材料は、室温での分極モーメントがc軸配向で30μC/cmを有している。しかしながら、BaTiOはキュリー温度が120℃と低く、また、0℃付近でテトラゴナル相からオルソロンビック相への構造相転移を起こすという問題がある。実使用温度の近傍にこのような構造相転移点があると、分極モーメントの値が不安定になってしまい、また、構造相転移に伴う機械的な材料劣化の心配もある。
【0006】
このような背景から、強誘電体メモリ用の新たな強誘電体材料として、BiFeOが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このBiFeOは、近年の報告により、分極モーメントPrが60〜70μC/cmと高い強誘電体特性を有していることが確認されている(例えば、非特許文献1参照)。なお、この報告においては、強誘電体層を挟持する上下の電極はSrRuOによって形成されており、また、BiFeOからなる強誘電体層はテトラゴナル構造でペロブスカイト型のものとなっている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−210794号公報
【非特許文献1】
SCIENCE Vol 299 14MARCH 2003
p.1719−p.1721
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年では半導体装置の高性能化や高密度集積化が益々要求されており、これに伴って強誘電体メモリ素子もその高性能化が望まれ、さらにはSi基板上への直接的な実装、すなわちSi基板への作り込みが望まれている。
このような要望に対し、BiFeOは前述したように高い強誘電体特性を有しており、またPbを含有していないことで環境汚染に対しても有利なものとなっていることから、極めて有望な強誘電体材料と考えられる。
【0009】
しかしながら、このBiFeOを用いた強誘電体メモリ素子にあっては、下部電極構造を含めて、これらをSi基板上に直接形成することが極めて困難であるといった改善すべき課題がある。すなわち、通常Si基板上には自然酸化膜が形成されていることから、この自然酸化膜上に下部電極およびBiFeOをエピタキシャル成長させるのが困難であり、したがって、前述したようにテトラゴナル構造を有するBiFeOを用いた強誘電体メモリ素子をSi基板上に形成することができないのが現状である。
【0010】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、高性能でPbを含有せず、しかもSi基板上への直接的な実装を可能にした、強誘電体メモリ素子を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明の強誘電体メモリ素子は、Si酸化膜上に成膜されたペロブスカイト型の電極上に、テトラゴナル構造で(001)配向のBiFeOからなる強誘電体層を有してなることを特徴としている。
この強誘電体メモリ素子によれば、Si酸化膜上にペロブスカイト型の電極が成膜されているので、このような電極上にBiFeOからなる強誘電体層がエピタキシャル成長して設けられることにより、この強誘電体層を有した強誘電体メモリ素子のSi基板上への直接的な実装が可能になる。また、強誘電体層としてテトラゴナル構造で(001)配向のBiFeOを用いているので、これが高い分極モーメントを有するなど優れた強誘電体特性を有していることによって強誘電体メモリ素子として高性能のものとなり、また、Pbを含有しないことから環境的にも有利なものとなる。
【0012】
また、前記強誘電体メモリ素子においては、前記ペロブスカイト型の電極は、イオンビームアシスト法によって成膜されたものであるのが好ましい。
このようにすれば、ペロブスカイト型の電極が例えば自然酸化膜を形成したSi基板上に容易にエピタキシャル成長するようになる。
【0013】
また、前記強誘電体メモリ素子においては、前記ペロブスカイト型の電極は、(100)配向でエピタキシャル成長したものであるのが好ましい。
このようにすれば、この電極上にテトラゴナル構造で(001)配向のBiFeOからなる強誘電体層が、エピタキシャル成長で良好に形成されるようになる。
【0014】
また、前記強誘電体メモリ素子においては、前記ペロブスカイト型の電極は、SrRuO、Nb−SrTiO、La−SrTiO、(La,Sr)CoOのうちから選択された少なくとも一種からなるのが好ましい。
このようにすれば、この電極上にテトラゴナル構造で(001)配向のBiFeOをより良好に形成することが可能になる。
【0015】
また、前記強誘電体メモリ素子においては、前記ペロブスカイト型の電極は、イオンビームアシスト法によって基板上に形成されたバッファ層の上に形成されてなるのが好ましい。
このようにすれば、バッファ層がイオンビームアシスト法によって形成されていることにより、これがSi基板の自然酸化膜上に良好にエピタキシャル成長するものとなり、したがって、このバッファ層上にペロブスカイト型の電極が良好にエピタキシャル成長するようになる。
【0016】
また、前記強誘電体メモリ素子においては、前記バッファ層は、(100)配向でエピタキシャル成長したものであるのが好ましい。
このようにすれば、このバッファ層の上に、(100)配向のペロブスカイト型の電極が良好にエピタキシャル成長するようになる。
【0017】
本発明の別の強誘電体メモリ素子は、(111)配向の電極上に、ロンボヘドラル構造で(111)配向のBiFeOからなる強誘電体層を有してなることを特徴としている。
この強誘電体メモリ素子によれば、電極として(111)配向のものを用いることにより、これが例えば自然酸化膜を形成したSi基板上にもエピタキシャル成長されるようになり、したがってこのような電極上にBiFeOからなる強誘電体層がエピタキシャル成長して設けられることにより、この強誘電体層を有した強誘電体メモリ素子のSi基板上への直接的な実装が可能になる。また、強誘電体層としてロンボヘドラル構造で(111)配向のBiFeOを用いているので、テトラゴナル構造で(001)配向の場合と同様に分極モーメントなどの強誘電体特性に優れたものとなり、したがって強誘電体メモリ素子として高性能のものとなる。また、Pbを含有しないことから環境的にも有利なものとなる。
【0018】
また、前記強誘電体メモリ素子においては、前記(111)配向の電極が、(111)配向のPtからなっていてもよい。
このようにすれば、Ptは成膜法に関係なく(111)配向となるので、例えばスパッタ法等の比較的簡易な方法により、この電極を容易に形成することが可能になる。
【0019】
また、前記強誘電体メモリ素子においては、前記(111)配向の電極が、ペロブスカイト型構造からなっていてもよい。
このようにすれば、この電極上に、(111)配向のペロブスカイト型のBiFeOが良好にエピタキシャル成長するようになる。
【0020】
また、前記強誘電体メモリ素子においては、前記電極は、イオンビームアシスト法によって(111)配向でペロブスカイト型にエピタキシャル成長させられたものであってもよい。
このようにすれば、ペロブスカイト型の電極がイオンビームアシスト法によって成膜されているので、例えば自然酸化膜を形成したSi基板上にもこの電極が容易にエピタキシャル成長されるようになる。
【0021】
また、前記強誘電体メモリ素子においては、前記電極は、SrRuO、Nb−SrTiO、La−SrTiO、(La,Sr)CoOのうちから選択された少なくとも一種からなるのが好ましい。
このようにすれば、この電極上にロンボヘドラル構造で(111)配向のBiFeOをより良好に形成することが可能になる。
【0022】
また、前記強誘電体メモリ素子においては、前記BiFeOからなる強誘電体層の結晶構造がペロブスカイト型になっており、この結晶構造中のBサイトに位置する金属として、Feに置換して磁性金属元素が添加されてなるのが好ましい。ここで、磁性金属元素としては、Mn、Ru、Co、Niのうちから選択された少なくとも一種であるのが好ましい。
このようにすれば、BiFeOからなる強誘電体層の磁性が高められてその誘電特性が向上し、これにより強誘電体メモリ素子の高性能化が図られたものとなる。
【0023】
なお、この強誘電体メモリ素子においては、前記磁性金属元素が、BiFeOからなる強誘電体層を構成する結晶構造中の全Bサイトに対して、1〜10%の割合を占めて置換されるよう添加されているのが好ましい。
1%未満では、添加による磁性の向上効果が良好とならず、10%を越えても、それ以上は磁性の向上効果が期待できないからである。
【0024】
また、前記強誘電体メモリ素子においては、前記BiFeOからなる強誘電体層の結晶構造がペロブスカイト型になっており、この結晶構造中のBサイトに位置する金属として、Feに置換してFeより価数の高い金属元素が添加されてなるのが好ましい。ここで、Feより価数の高い金属元素が、V、Nb、Ta、W、Ti、Zr、Hfのうちから選択された少なくとも一種であるのが好ましい。
ペロブスカイト型結晶構造のBiFeOでは、そのAサイトに位置するBiが蒸発して結晶構造中から抜け、結晶欠陥が生じやすくなっている。Biが結晶構造中から抜けて結晶欠陥が生じると、この結晶は電気的に中性でなくなり、絶縁性が損なわれて電流リークが生じ易くなってしまう。そこで、Feより価数の高い金属元素をBサイトのFeと置換させることで、結晶構造全体としての中性を保持することができ、これにより絶縁性を高めて電流リークを防止することができる。
【0025】
なお、この強誘電体メモリ素子においては、Feより価数の高い金属元素が、BiFeOからなる強誘電体層を構成する結晶構造中の全Bサイトに対して、1〜30%の割合を占めて置換されるよう添加されているのが好ましい。
1%未満では、添加による電流リーク防止効果が良好とならず、30%を越えても、それ以上は電流リーク防止効果の向上があまり期待できないからである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の強誘電体メモリ素子を詳しく説明する。
図1は、本発明の強誘電体メモリ素子の一実施形態を示す図であり、図1中符号1は強誘電体メモリ素子1である。この強誘電体メモリ素子1は、シリコン基板(Si基板)2の(100)面上に形成されたもので、このSi基板2上に形成されたバッファ層3と、バッファ層3の上に形成された下部電極4と、下部電極4の上に形成された強誘電体層5と、強誘電体層5の上に形成された上部電極6とを備えて構成されたものである。
【0027】
バッファ層3としては、単一配向している(厚さ方向にのみ配向方位が揃っている)ものであればよいが、さらに面内配向している(三次元方向の全てに配向方位が揃っている)ものであるのが好ましい。このようなバッファ層3を設けることにより、自然酸化膜を形成したSi基板2と後述する下部電極4との間で、優れた接合性(密着性)を得ることもできるからである。
また、このバッファ層3は、NaCl構造の金属酸化物、蛍石型構造の金属酸化物、ペロブスカイト構造の金属酸化物等のうちの少なくとも1種を含むものが好ましく、特に、NaCl構造の金属酸化物又は蛍石型構造の金属酸化物と、ペロブスカイト構造の金属酸化物とが積層された構造となっているの好ましい。NaCl構造の金属酸化物や蛍石型構造の金属酸化物は、ペロブスカイト構造を有する金属酸化物との格子不整合が小さいので、後述するように下部電極4として特にペロブスカイト構造のものを形成する場合に、その下地となるペロブスカイト構造の層を形成するうえで有利となるからである。
【0028】
以上の理由により、本実施形態のバッファ層3は、NaCl構造の金属酸化物又は蛍石型構造の金属酸化物からなる第1バッファ層7及び第2バッファ層8と、この第2バッファ層8の上に形成されたペロブスカイト構造を有する金属酸化物からなる第3バッファ層9とによって構成されている。
第1バッファ層7は、本発明におけるバッファ層を構成するものであって、本実施形態では立方晶(100)配向のイットリア安定化ジルコニア(以下、YSZ)からなり、厚さが例えば100nm程度に形成されたものである。ただし、YSZとしては、以下の式で表されるものが任意に用いられる。
Zr1−xLn 0≦x≦1.0
(Ln;Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)
【0029】
ここで、この第1バッファ層7は、前記Si基板2上に直接形成されるものであるが、Si基板2表面には通常自然酸化膜(SiO)が形成されている。したがって、この自然酸化膜上にYSZをエピタキシャル成長させることは一般的な成膜法では難しいことから、本実施形態では、後述するように特にイオンビームアシスト法を用いてエピタキシャル成長させることにより、この第1バッファ層7を形成するものとする。なお、Si基板2表面に形成されている自然酸化膜は、アモルファス膜であってもよい。
第2バッファ層8は、立方晶(100)配向のCeOからなるもので、第1バッファ層7上にエピタキシャル成長させられて厚さが例えば100nm程度に形成されたものである。
【0030】
なお、これら第1バッファ層7及び第2バッファ層8としては、YSZやCeOに限定されることなく、任意のNaCl構造の金属酸化物や蛍石型構造の金属酸化物を用いることができる。NaCl構造の金属酸化物としては、例えばMgO、CaO、SrO、BaO、MnO、FeO、CoO、NiO、またはこれらを含む固溶体等が挙げられるが、これらの中でも、特に、MgO、CaO、SrO、BaO、または、これらを含む固溶体のうちの少なくとも1種を用いるのが好ましい。このようなNaCl構造の金属酸化物は、ペロブスカイト構造を有する金属酸化物との格子不整合が特に小さいものとなる。なお、YSZに代えてMgOを用いた場合、この第1バッファ層7の厚さは例えば20nm程度とされる。
【0031】
一方、蛍石型構造の金属酸化物としては、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、CeO、ZrO、ThO、UO、またはこれらを含む固溶体等が挙げられるが、これらの中でも、YSZ、CeO、ZrO、またはこれらを含む固溶体のうちの少なくとも1種を用いるのが好ましい。このような蛍石型構造の金属酸化物も、ペロブスカイト構造を有する金属酸化物との格子不整合が特に小さいものとなる。
【0032】
第3バッファ層9は、層状ペロブスカイト型酸化物であるYBaCu(xは例えば7)からなるもので、第2バッファ層8上に斜方晶(001)配向でエピタキシャル成長させられて、厚さが例えば30nm程度に形成されたものである。このようにペロブスカイト構造を有する金属酸化物からなっていることにより、この第3バッファ層9は、前述したように第2バッファ層8との間で格子不整合が特に小さいものとなっている。したがって、欠陥等がない良好な結晶構造を有するものとなるとともに、この第3バッファ層9上に、ペロブスカイト型の下部電極4を良好にエピタキシャル成長させることができるものとなっている。
なお、第3バッファ層9としては、YBaCuに限定されることなく、他のペロブスカイト型金属酸化物を用いることもできる。例えば、CaRuO、SrRuO、BaRuO、SrVO、(La,Sr)MnO、(La,Sr)CrO、(La,Sr)CoO、または、これらを含む固溶体等を用いることもできる。
【0033】
下部電極4は、本発明における電極を構成するもので、第3バッファ層9と同様にペロブスカイト型の金属酸化物からなるものであり、擬立方晶(100)配向でエピタキシャル成長させられて、厚さが例えば50nm程度に形成されたものである。この下部電極4を形成するペロブスカイト型の金属酸化物としては、前記第3バッファ層9として使用可能なものがそのまま適用できるが、特にSrRuO、Nb−SrTiO、La−SrTiO、(La,Sr)CoOのうちから選択された少なくとも一種が好適に用いられる。ここで、Nb−SrTiOはSrTiOにNbをドープしたものであり、La−SrTiOはSrTiOにLaをドープしたものである。これらの金属酸化物は、導電性や化学的安定性に優れているため、これらから形成される下部電極4も導電性や化学的安定性に優れたものとなる。また、その上にテトラゴナル構造で(001)配向のBiFeOをより良好に形成することができるようになる。なお、本実施形態では擬立方晶(100)配向のSrRuOが用いられている。
【0034】
強誘電体層5は、強誘電体メモリ素子1において記録層として機能するもので、ペロブスカイト型の結晶構造を有するBiFeOからなるものである。この強誘電体層5は、本実施形態では特にテトラゴナル構造で(001)配向となるようにエピタキシャル成長させられたもので、厚さが例えば100nm程度に形成されたものである。ここで、このペロブスカイト型とは、図2(a)、(b)に示すような結晶構造を有するもので、図2(a)、(b)においてAで示す位置をAサイト、Bに示す位置をBサイトという。なお、BiFeOでは、BiがAサイトに位置し、FeがBサイトに位置するようになっている。また、O(酸素)は図2(a)、(b)中においてOで示したところに位置するようになる。
なお、このような結晶構造を有するBiFeOは、電圧が印加されると結晶を構成する正負のイオンが相対的変異を起こし、結晶の中心対称性が失われ、その結果として自発分極が生じ、ヒステリシス特性を有するものとなる。そして、このような自発分極によるヒステリシス特性を利用することにより、不揮発性メモリとしての機能を発揮するようになるのである。
【0035】
ここで、このようなペロブスカイト型の結晶構造のBiFeOにおいては、そのBサイトに位置する金属として、Feに置換して磁性金属元素を添加してもよい。磁性金属元素としては、Mn、Ru、Co、Niのうちから選択された少なくとも一種であるのが好ましい。このような磁性金属元素を添加すれば、BiFeOからなる強誘電体層5の磁性を高めてその誘電特性を向上し、これにより強誘電体メモリ素子1のメモリ素子機能の高性能化を図ることができる。また、特にFeよりイオン半径の大きいMn、Ruを添加するのが好ましく、これら金属元素を添加すれば、BiFeOをエピタキシャル成長で形成する際、テトラゴナル構造をより良好に形成しやすくなる。
【0036】
なお、前記磁性金属元素の添加量としては、強誘電体層5を構成する結晶構造中の全Bサイトに対して、1〜10%の割合を占めてFeと置換するよう添加するのが好ましい。1%未満では添加による磁性の向上効果が良好とならず、10%を越えても、それ以上は磁性の向上効果が期待できないからである。また、特にMnについては、強誘電体層5を構成する結晶構造中の全Bサイトに対して、1〜30%の割合を占めてFeと置換するよう添加することができる。すなわち、10%を越えても、30%までは磁性の向上効果が得られるからである。
【0037】
また、前記BiFeOにおいては、そのBサイトに位置する金属として、Feに置換してFeより価数の高い金属元素を添加してもよい。Fe(+3価)より価数の高い金属元素としては、V(+5価)、Nb(+5価)、Ta(+5価)、W(+5価)、Ti(+4価)、Zr(+4価)、Hf(+4価)のうちから選択された少なくとも一種であるのが好ましい。
ペロブスカイト型結晶構造のBiFeOでは、そのAサイトに位置するBiが蒸発して結晶構造中から抜け、結晶欠陥が生じやすくなっている。Biが結晶構造中から抜けて結晶欠陥が生じると、この結晶は電気的に中性でなくなり、絶縁性が損なわれて電流リークが生じ易くなってしまう。そこで、Feより価数の高い金属元素をBサイトのFeと置換させることで、結晶構造全体としての中性を保持することができ、これにより絶縁性を高めて電流リークを防止することができる。
【0038】
なお、Feより価数の高い金属元素の添加量としては、強誘電体層5を構成する結晶構造中の全Bサイトに対して、1〜30%の割合を占めてFeと置換するよう添加するのが好ましい。1%未満では、添加による電流リーク防止効果が良好とならず、30%を越えても、それ以上は電流リーク防止効果の向上があまり期待できないからである。
上部電極6は、本実施形態では前記下部電極4と同様、擬立方晶(100)配向にエピタキシャル成長された、厚さ50nm程度のSrRuOからなるものである。なお、この上部電極6については、SrRuOに限定されることなく、PtやIr、IrOなど公知の電極材料を用いることができる。
【0039】
このような構成の強誘電体メモリ素子1を作製するには、まず、表面が(100)面であるSi基板2を用意する。このSi基板2としては、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に用いられる。ここで、本発明においてSi基板2は、SOI(Si on Insulator)基板をも含むものとする。なお、このようなSi基板2の表面には、通常自然酸化膜(SiO)が形成されている。
【0040】
続いて、この基体2を基板ホルダーに装填し、真空装置(図示せず)内に設置する。この真空装置内には、基体2に対向して、前記バッファ層7、8、9の構成元素を含む各ターゲット(バッファ層用ターゲット)、および下部電極4、強誘電体層5、上部電極6の構成元素を含む各ターゲットを、所定距離離間して配置しておく。ここで、各ターゲットとしては、目的とする第1バッファ層7、第2バッファ層8、第3バッファ層9、下部電極4、強誘電体層5、上部電極6の各組成と同一または近似した組成のものがそれぞれ好適に用いられる。すなわち、第1バッファ層7用のターゲットとしては、所望のYSZ組成またはこれに近似した組成のものを用い、第2バッファ層8用のターゲットとしては、所望のCeO組成またはこれに近似した組成のものを用い、第3バッファ層9用のターゲットとしては、所望のYBaCu組成またはこれに近似した組成のものを用いる。また、下部電極4および上部電極6のターゲットとしては、それぞれSrRuO組成またはこれに近似した組成のものを用い、強誘電体層5用のターゲットとしては、所望のBiFeO組成またはこれに近似した組成のものを用いる。
【0041】
次いで、前述したようにイオンビームアシスト法を用いて、図3(a)に示すようにSi基板2上に第1バッファ層7を直接形成する。すなわち、レーザー光を第1バッファ層7用のターゲットに照射し、このターゲットから酸素原子および金属原子を含む原子を叩き出すレーザーアブレーション法により、プルームを発生させる。すると、このプルームはSi基板2上に向けて出射し、Si基板2上に接触するようになる。
また、これとほぼ同時に、Si基板2の表面に対して、イオンビームを後述する所定角度で照射(入射)し、イオンビームアシストを行う。すると、Si基板2表面に自然酸化膜が形成されているにもかかわらず、該Si基板2上に、立方晶(100)配向のYSZがエピタキシャル成長によって形成される。
【0042】
なお、前記YSZの構成原子をターゲットから叩き出す方法としては、前述したようにレーザー光をターゲット表面に照射する方法の他、例えば、アルゴンガス(不活性ガス)プラズマや電子線等をターゲット表面に照射(入射)する方法を用いることもできる。ただし、これらの中では、レーザー光をターゲット表面に照射する方法が最も好ましい。このような方法によれば、レーザー光の入射窓を備えた簡易な構成の真空装置を用いることにより、原子をターゲットから容易にかつ確実に叩き出すことができる。
【0043】
このターゲットに照射するレーザー光としては、波長が150〜300nm程度、パルス長が1〜100ns程度のパルス光が好適に用いられる。具体的には、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、XeClエキシマレーザー等のエキシマレーザー、さらにYAGレーザー、YVOレーザー、COレーザーなどが挙げられる。これらの中でも、特にArFエキシマレーザーまたはKrFエキシマレーザーが好適とされる。ArFエキシマレーザーおよびKrFエキシマレーザーは、いずれも取り扱いが容易であり、また、より効率よく原子をターゲットから叩き出すことができる。
【0044】
一方、Si基板2の表面にイオンビームアシストとして照射するイオンビームについては、特に限定されないものの、例えばアルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン、クリプトンのような不活性ガスのうちの少なくとも1種のイオン、または、これらのイオンと酸素イオンとの混合イオン等が好適に用いられる。このイオンビームのイオン源としては、例えば、Kauffmanイオン源等を用いるのが好ましい。このイオン源を用いることにより、イオンビームを比較的容易に生成することができる。
【0045】
また、Si基板2表面に対するイオンビームの照射(入射)角度、すなわち前記の所定角度としては、特に限定されないものの、Si基板2の表面に対して35〜65°程度傾斜した角度とするのが好ましい。特に、NaCl構造の金属酸化物を主材料として第1バッファ層7を形成する場合には、前記照射角度を42〜47°程度、また、蛍石型構造の金属酸化物を主材料として第1バッファ層7を形成する場合には、前記照射角度を52〜57°程度とするのがより好ましい。なお、本実施形態では、蛍石型構造の金属酸化物であるYSZによって第1バッファ層7を形成するので、前記照射角度を52〜57°程度、特に55°程度としている。このような照射角度でイオンビームをSi基板2表面に照射することにより、立方晶(100)配向の第1バッファ層7を良好に形成することができる。
【0046】
また、ターゲットに対してはアルゴン等のイオンを(111)方向から入射させつつ、レーザーアブレーションを行うようにする。ただし、MgO等のNaCl構造の金属酸化物によって第1バッファ層7を形成する場合には、そのターゲットに対し、アルゴン等のイオンを(110)方向で入射させつつ、レーザーアブレーションを行うようにする。
【0047】
また、このような第1バッファ層7の形成における各条件については、第1バッファ層7がエピタキシャル成長し得るものであれば特に限定されることなく、例えば次のような条件を採用することができる。
レーザー光の周波数としては、30Hz以下とするのが好ましく、15Hz以下とするのがより好ましい。
レーザー光のエネルギー密度としては、0.5J/cm以上とするのが好ましく、2J/cm以上とするのがより好ましい。
【0048】
イオンビームの加速電圧としては、100〜300V程度とするのが好ましく、150〜250V程度とするのがより好ましい。
また、イオンビームの照射量としては、1〜30mA程度とするのが好ましく、5〜15mA程度とするのがより好ましい。
【0049】
Si基板2の温度としては、0〜50℃程度とするのが好ましく、室温(5〜30℃)程度とするのがより好ましい。
また、Si基板2とターゲットとの距離としては、60mm以下とするのが好ましく、45mm以下とするのがより好ましい。
【0050】
真空装置内の圧力としては、133×10−1Pa(1×10−1Torr)以下とするのが好ましく、133×10−3Pa(1×10−3Torr)以下とするのがより好ましい。
真空装置内の雰囲気としては、不活性ガスと酸素との混合比を、体積比で300:1〜10:1程度とするのが好ましく、150:1〜50:1程度とするのがより好ましい。
第1バッファ層7の形成条件をそれぞれ前記範囲とすれば、第1バッファ層7をエピタキシャル成長によってより効率よく形成することができる。
【0051】
また、このとき、レーザー光およびイオンビームの照射時間を適宜設定することにより、第1バッファ層7の平均厚さを前記厚さ、すなわち100nm程度に調整することができる。このレーザー光およびイオンビームの照射時間は、前記各条件によっても異なるものの、通常、200秒以下とするのが好ましく、100秒以下とするのがより好ましい。
【0052】
このような第1バッファ層7の形成方法によれば、イオンビームの照射角度を調整するイオンビームアシスト法を採用することにより、Si基板2表面に自然酸化膜が形成されているにもかかわらず、前述したように立方晶(100)配向の第1バッファ層7を良好に形成することができる。また、このように第1バッファ層7の配向方位を精度よく揃えることができるので、第1バッファ層7の平均厚さをより小さくすることができると。
【0053】
このようにして第1バッファ層7を形成したら、図3(b)に示すようにこの第1バッファ層7上に第2バッファ層8を形成する。この第2バッファ層8の形成では、自然酸化膜上に形成する第1バッファ層7の場合とは異なり、良好な結晶構造を有する第1バッファ層7の上に形成することから、イオンビームアシスト法を用いることなく、単にレーザーアブレーション法を用いることで行う。すなわち、前記の第1バッファ層7用のターゲットに代えて、所望のCeO組成またはこれに近似した組成の第2バッファ層8用ターゲットを用い、これにレーザー光を照射してこれから酸素原子および金属原子を含む原子を叩き出し、プルームを発生させる。そして、このプルームをSi基板2上の第1バッファ層7に向けて出射させ接触させることにより、第2バッファ層8をエピタキシャル成長で形成する。
なお、この第2バッファ層8を形成するための、レーザーアブレーション法等の条件については、前記の第1バッファ層7形成の際の、レーザーアブレーション法等の条件と同様とする。
【0054】
次いで、この第2バッファ層8上に、図3(c)に示すように第3バッファ層9を形成し、これにより第1バッファ層7、第2バッファ層8、第3バッファ層9からなるバッファ層3を得る。第3バッファ層9の形成では、前記第2バッファ層9の場合と同様にレーザーアブレーション法を単独で用いる。すなわち、まず、前記の第2バッファ層8用のターゲットに代えて、所望のYBaCu組成またはこれに近似した組成の第3バッファ層9用ターゲットを用意する。そして、これにレーザー光を照射し、これから酸素原子および金属原子を含む原子を叩き出し、プルームを発生させる。そして、このプルームをSi基板2上の第2バッファ層8に向けて出射させ接触させることにより、第3バッファ層9をエピタキシャル成長で形成する。
【0055】
なお、この第3バッファ層9の形成では、必要に応じて、前記第1バッファ層7の形成工程と同様に、イオンビームアシストを用いるようにしてもよい。すなわち、第2バッファ層8の表面にイオンビームを照射しつつ、これの上に第3バッファ層9を形成するようにしてもよい。イオンビームアシストを用いることで、より効率よく第3バッファ層9を形成することができる。
【0056】
また、第3バッファ層9の形成における各条件については、各種金属原子が、所定の比率(すなわち、ペロブスカイト構造を有する金属酸化物における組成比)で、第2バッファ層8上に到達し、かつ、第3バッファ層9がエピタキシャル成長し得るものであれば特に限定されることなく、例えば次のような条件を採用することができる。
【0057】
レーザー光の周波数としては、30Hz以下程度とするのが好ましく、15Hz以下程度とするのがより好ましい。
レーザー光のエネルギー密度としては、0.5J/cm以上とするのが好ましく、2J/cm以上とするのがより好ましい。
【0058】
第2バッファ層8が形成されたSi基板2の温度としては、300〜800℃程度とするのが好ましく、700℃程度とするのがより好ましい。
なお、イオンビームの照射を併用する場合には、この温度を、0〜50℃程度とするのが好ましく、室温(5〜30℃)程度とするのが好ましい。
第2バッファ層8が形成されたSi基板2とターゲットとの距離としては、60mm以下とするのが好ましく、45mm以下とするのがより好ましい。
【0059】
また、真空装置内の圧力としては、1気圧以下が好ましく、そのうち、酸素分圧については、399×10−3Pa(3×10−3Torr)程度とするのが好ましい。
なお、イオンビームの照射を併用する場合には、真空装置内の圧力を、133×10−1Pa(1×10−1Torr)以下とするのが好ましく、133×10−3Pa(1×10−3Torr)以下とするのがより好ましい。また、この場合、真空装置内の雰囲気としては、不活性ガスと酸素との混合比を、体積比で300:1〜10:1程度とするのが好ましく、150:1〜50:1程度とするのがより好ましい。
【0060】
第3バッファ層9の形成条件をそれぞれ前記範囲とすれば、第3バッファ層9をエピタキシャル成長によってより効率よく形成することができる。
また、このとき、レーザー光およびイオンビームの照射時間を適宜設定することにより、第3バッファ層9の平均厚さを前記厚さ、すなわち30nm程度に調整することができる。このレーザー光の照射時間は、前記各条件によっても異なるものの、通常、3〜90分程度とするのが好ましく、15〜45分程度とするのがより好ましい。
【0061】
このようにして第3バッファ層9を形成し、バッファ層3を形成したら、図4(a)に示すようにこの第3バッファ層7(バッファ層3)上にペロブスカイト型の下部電極4を形成する。この下部電極4の形成では、良好なペロブスカイト型の結晶構造を有する第3バッファ層9の上に形成することから、イオンビームアシスト法を用いることなく、単にレーザーアブレーション法を用いることで行う。すなわち、前記の第3バッファ層9用のターゲットに代えて、所望のSrRuO組成またはこれに近似した組成の下部電極4用ターゲットを用い、これにレーザー光を照射してこれから酸素原子および金属原子を含む原子を叩き出し、プルームを発生させる。そして、このプルームをSi基板2上の第3バッファ層9に向けて出射させ接触させることにより、下部電極4をエピタキシャル成長で形成する。
【0062】
ここで、本発明では、ペロブスカイト型の電極(下部電極4)が、イオンビームアシスト法によって成膜されたものとしているが、本発明は、この下部電極4そのものが、イオンビームアシスト法によって形成された場合に限定されるものではない。すなわち、本実施形態のごとく、その下地となるバッファ層3の少なくとも一部(本実施形態では第1バッファ層7)が、イオンビームアシスト法を用いて形成されていれば、結果としてこれの上に形成される下部電極4も、イオンビームアシスト法によって成膜されたものとなる。したがって、このように下部電極4が直接イオンビームアシスト法によって成膜されているのではなく、その下地(バッファ層3)がイオンビームアシスト法によって成膜されたことにより、下部電極4が間接的にイオンビームアシスト法で形成された場合も、本発明の範囲内とする。
【0063】
下部電極4を形成するための各条件については、各種金属原子が、所定の比率(すなわち、ペロブスカイト構造を有する金属酸化物における組成比)で、第3バッファ層9上に到達し、かつ、下部電極4がエピタキシャル成長し得るものであれば特に限定されることはなく、例えば、前記の第3バッファ層9形成の際の、レーザーアブレーション法等の条件と同様の条件が採用される。
なお、この下部電極4の形成においても、前記第3バッファ層9の形成工程と同様に、必要に応じてイオンビームアシストを用いるようにしてもよい。すなわち、第3バッファ層9の表面にイオンビームを照射しつつ、これの上に下部電極4を形成するようにしてもよい。イオンビームアシストを用いることで、より効率よく下部電極4を形成することができる。
【0064】
次いで、図4(b)に示すように下部電極層4上に強誘電体層5を形成する。この強誘電体層5の形成でも、良好なペロブスカイト型結晶構造を有する下部電極4の上に形成することから、イオンビームアシスト法を用いることなく、単にレーザーアブレーション法を用いることで、テトラゴナル構造で(001)配向の良好な強誘電体層5を形成することができる。すなわち、前記の下部電極4用のターゲットに代えて、所望のBiFeO組成またはこれに近似した組成の強誘電体層5用ターゲットを用い、これにレーザー光を照射してこれから酸素原子および金属原子を含む原子を叩き出し、プルームを発生させる。そして、このプルームをSi基板2上の下部電極4に向けて出射させ接触させることにより、テトラゴナル構造で(001)配向の強誘電体層5をエピタキシャル成長で形成する。
【0065】
ここで、強誘電体層5用のターゲットとしては、BiFeOからなる組成のものを用いてもよいが、前述したようにFeに置換する成分として、Mn、Ru、Co、Niの等の磁性金属元素、またはV、Nb、Ta、W、Ti、Zr、Hf等のFeより価数の高い金属元素を添加したものを用いてもよい。このようなターゲートを用いることにより、それぞれ特性が向上した強誘電体層5を形成することができる。
【0066】
強誘電体層5を形成するための各条件については、各種金属原子が、所定の比率(すなわち、ペロブスカイト構造を有する金属酸化物における組成比)で、下部電極4上に到達し、かつ、強誘電体層5がエピタキシャル成長し得るものであれば特に限定されることはなく、例えば、前記の第3バッファ層9や下部電強4形成の際の、レーザーアブレーション法等の条件と同様の条件が採用される。
なお、この強誘電体層5の形成においても、前記第3バッファ層9の形成工程と同様に、必要に応じてイオンビームアシストを用いるようにしてもよい。すなわち、下部電極4の表面にイオンビームを照射しつつ、これの上に強誘電体層5を形成するようにしてもよい。イオンビームアシストを用いることで、より効率よく強誘電体層5を形成することができる。
【0067】
次いで、図4(c)に示すように強誘電体層5上に上部電極6を形成し、本発明の一実施形態となる強誘電体メモリ素子1を得る。この上部電極6の形成でも、先の下部電極4や強誘電体層5の形成のときと同様、良好なペロブスカイト型結晶構造を有する強誘電体層5の上に形成することから、イオンビームアシスト法を用いることなく、単にレーザーアブレーション法を用いることで、擬立方晶(100)配向の良好な上部電極6を形成することができる。すなわち、前記の強誘電体層5用のターゲットに代えて、所望のSrRuO組成またはこれに近似した組成の上部電極6用ターゲットを用い、これにレーザー光を照射してこれから酸素原子および金属原子を含む原子を叩き出し、プルームを発生させる。そして、このプルームをSi基板2上の強誘電体層5に向けて出射させ接触させることにより、擬立方晶(100)配向の上部電極6をエピタキシャル成長で形成する。
【0068】
上部電極6を形成するための各条件については、各種金属原子が、所定の比率(すなわち、ペロブスカイト構造を有する金属酸化物における組成比)で、下部電極4上に到達し、かつ、強誘電体層5がエピタキシャル成長し得るものであれば特に限定されることはなく、例えば、前記の第3バッファ層9や下部電強4形成の際の、レーザーアブレーション法等の条件と同様の条件が採用される。
なお、この強誘電体層5の形成においても、前記第3バッファ層9の形成工程と同様に、必要に応じてイオンビームアシストを用いるようにしてもよい。すなわち、下部電極4の表面にイオンビームを照射しつつ、これの上に強誘電体層5を形成するようにしてもよい。イオンビームアシストを用いることで、より効率よく強誘電体層5を形成することができる。
【0069】
このようにして得られた強誘電体メモリ素子1について、特にその強誘電体層5をX線回折によって解析したところ、強誘電体層5は室温にてテトラゴナル構造で(001)配向となっていた。したがって、この強誘電体層5の分極軸はSi基板2の上面に対して垂直となっていることが確認された。
また、この強誘電体層5の強誘電体特性を調べたところ、高い強誘電体特性を有していることが確認された。すなわち、下部電極4および上部電極6の電荷を外部電界によりスイッチングすることにより、強誘電体層5の残留分極モーメントPrを測定したところ、Prは60μC/cmであった。
また、この強誘電体層5は、280℃まで分極モーメントを有し、強誘電体状態を保持していた。さらに、−40℃までの測定において、構造相転移が起こらないことが確認された。
また、0℃から100℃までの範囲における、残留分極モーメントPrの相対的な変化量は、20%以内という低い範囲に抑えられていることが確認された。
【0070】
以上の結果より、本実施形態の強誘電体メモリ素子1にあっては、強誘電体層5が極めて良好な強誘電体特性を有することから、強誘電体メモリ素子1としても極めて高性能のものとなる。また、Si基板2への直接的な作り込みが可能であることから、この強誘電体メモリ素子1を形成した半導体装置の高性能化や高密度集積化を図ることができる。さらに、Pbを含有しないことから環境的にも有利なものとなる。
【0071】
図5は、本発明の強誘電体メモリ素子の他の実施形態を示す図であり、図5中符号10は強誘電体メモリ素子10である。この強誘電体メモリ素子10は、シリコン基板(Si基板)2の(100)面上に形成されたもので、このSi基板2上に形成された下部電極11と、下部電極11の上に形成された強誘電体層12と、強誘電体層12の上に形成された上部電極13とを備えて構成されたものである。
【0072】
下部電極11は、本発明における電極を構成するもので、本実施形態では特にPt(白金)が、厚さ50nm程度に成膜されて形成されている。Ptは、その成膜法に関係なく(111)配向となるものであるから、例えば真空蒸着法等の比較的簡易な方法を採用することで、自然酸化膜を形成したSi基板2上に容易に自己配向する。
【0073】
強誘電体層12は、前記強誘電体層5と同様に、強誘電体メモリ素子10において記録層として機能するもので、ペロブスカイト型の結晶構造を有するBiFeOからなるものである。ただし、この強誘電体層12は、本実施形態では特にロンボヘドラル構造で(111)配向となるように配向成長させられたもので、厚さが例えば60nm程度に形成されたものである。
【0074】
ここで、このようなペロブスカイト型の結晶構造のBiFeOにおいては、前記強誘電体層5と同様に、そのBサイトに位置する金属として、Feに置換して前記したMn、Ru、Co、Ni等の磁性金属元素を添加してもよい。また、特にFeよりイオン半径の大きいMn、Ruを添加するのが好ましく、これら金属元素を添加すれば、BiFeOをエピタキシャル成長で形成する際、ロンボヘドラル構造をより良好に形成しやすくなる。
さらに、このBiFeOにおいては、そのBサイトに位置する金属として、Feに置換してFe(+3価)より価数の高い金属元素、すなわちV(+5価)、Nb(+5価)、Ta(+5価)、W(+5価)、Ti(+4価)、Zr(+4価)、Hf(+4価)を添加してもよい。
上部電極13は、本実施形態では前記下部電極11と同様に、エピタキシャル成長された厚さ50nm程度のPtからなるものである。
【0075】
このような構成の強誘電体メモリ素子10を作製するには、先の実施形態の場合と同様、まず、表面が(100)面であるSi基板2を用意する。
続いて、このSi基板2の自然酸化膜が形成された表面に、真空蒸着法等によって直接Ptを成膜し、下部電極11を形成する。このようにして成膜することにより、PtはSi基板2上(自然酸化膜上)に容易に自己配向し、(111)配向したものとなる。なお、この下部電極11の形成条件、すなわちPtの成膜条件としては、従来公知の一般的な成膜条件が採用可能である。
【0076】
次いで、この下部電極層11上に強誘電体層12を形成する。この強誘電体層12の形成では、(111)配向した下部電極11の上に形成することから、レーザーアブレーション法を用いることで、ロンボヘドラル構造で(111)配向の良好な強誘電体層12を形成することができる。すなわち、所望のBiFeO組成またはこれに近似した組成の強誘電体層12用ターゲットを用い、これにレーザー光を照射してこれから酸素原子および金属原子を含む原子を叩き出し、プルームを発生させる。そして、このプルームをSi基板2上の下部電極11に向けて出射させ接触させることにより、ロンボヘドラル構造で(111)配向の強誘電体層12を配向成長で形成する。
【0077】
ここで、強誘電体層12用のターゲットとしては、先の実施形態において、強誘電体層5を形成した場合と同様のものを用いることができる。
また、強誘電体層12を形成するための各条件についても、やはり前記強誘電体層5を形成した場合と同様の条件を採用することができる。
なお、この強誘電体層12の形成においても、必要に応じて前記のイオンビームアシストを用いるようにしてもよい。すなわち、下部電極11の表面にイオンビームを照射しつつ、これの上に強誘電体層12を形成するようにしてもよい。イオンビームアシストを用いることで、より効率よく強誘電体層12を形成することができる。
【0078】
次いで、強誘電体層12上に上部電極13を形成し、本発明の強誘電体メモリ素子10を得る。この上部電極13の形成では、下部電極11と同様にPtで形成することから、形成方法も下部電極11と同様に、スパッタ法等によって行うことができる。
【0079】
このようにして得られた強誘電体メモリ素子10について、特にその強誘電体層12をX線回折によって解析したところ、強誘電体層12は室温にてロンボヘドラル構造で(111)配向となっていた。したがって、この強誘電体層12の分極軸はSi基板2の上面に対して垂直となっていることが確認された。
また、この強誘電体層12の強誘電体特性を調べたところ、高い強誘電体特性を有していることが確認された。すなわち、下部電極11および上部電極13の電荷を外部電界によりスイッチングすることにより、強誘電体層12の残留分極モーメントPrを測定したところ、Prは20μC/cmであった。
また、この強誘電体層12は、270℃まで分極モーメントを有し、強誘電体状態を保持していた。さらに、−40℃までの測定において、構造相転移が起こらないことが確認された。
また、0℃から100℃までの範囲における、残留分極モーメントPrの相対的な変化量は、20%以内という低い範囲に抑えられていることが確認された。
【0080】
以上の結果より、本実施形態の強誘電体メモリ素子10にあっても、強誘電体層12が極めて良好な強誘電体特性を有することから、強誘電体メモリ素子10としても極めて高性能のものとなる。また、Si基板2への直接的な作り込みが可能であることから、この強誘電体メモリ素子10を形成した半導体装置の高性能化や高密度集積化を図ることができる。さらに、Pbを含有しないことから環境的にも有利なものとなる。
【0081】
なお、この強誘電体メモリ素子10においては、上部電極13として、Ptに限定されることなく、IrやIrO、さらにSrRuO等の公知の電極材料を用いることができる。
また、下部電極11についても、(111)配向のPtに限定されることなく、(111)配向のペロブスカイト型の電極とすることができる。
【0082】
下部電極11として(111)配向のペロブスカイト型の電極とする場合には、特にこの電極を(111)配向に自己配向したバッファ層の上に形成することが有用である。すなわち、Si基板2上にバッファ層3を形成し、このバッファ層3上に下部電極11を形成する。
【0083】
バッファ層3の形成については、(111)方向へ自己配向したYSZを用いる。すなわち、YSZは蛍石型構造であり、金属原子が面心立方に配置するため、(111)方向に自己配向し易い。先の実施形態と同様に、第1バッファ層7としてYSZの(111)配向膜をレーザーアブレーション法により積層する。このときには、第2バッファ層8、第3バッファ層9を、(111)面を有する遷移金属酸化物によって形成する。
もう一つのバッファ層3の形成方法として、六方晶構造のZnOの(0001)自己配向性を用いる。先の実施形態と同様に、第1バッファ層7としてZnOの(0001)配向膜をレーザーアブレーション法により積層する。このときには、第2バッファ層8、第3バッファ層9を、(111)面を有する遷移金属酸化物によって形成する。
【0084】
また、このようにしてバッファ層3を形成したら、その第3バッファ層9の上に、(111)配向の下部電極11をペロブスカイト型にエピタキシャル成長させて厚さ50nm程度に形成する。このようにペロブスカイト型にエピタキシャル成長した下部電極11としては、その形成材料として先の実施形態における第3バッファ層9として使用可能なものがそのまま使用可能であるが、特にSrRuO、Nb−SrTiO、La−SrTiO、(La,Sr)CoOのうちから選択された少なくとも一種が好適に用いられる。これらの金属酸化物は、導電性や化学的安定性に優れているため、これらから形成される下部電極11も導電性や化学的安定性に優れたものとなる。また、その上にロンボヘドラル構造で(111)配向のBiFeOをより良好に形成することができるようになる。なお、本例では(111)配向のSrRuOを用いている。
【0085】
また、この下部電極11の形成については、レーザーアブレーション法を用いて行うが、必要に応じて前記のイオンビームアシストを用いるようにしてもよい。すなわち、第3バッファ層9の表面にイオンビームを照射しつつ、これの上に下部電極11を形成するようにしてもよい。イオンビームアシストを用いることで、より効率よく下部電極11を形成することができる。
なお、このように下部電極11を(111)配向のペロブスカイト型の電極とした場合にも、これの上に形成する強誘電体層12、上部電極13については、前述したようにして形成することができる。
【0086】
このように、バッファ層3を形成しさらにこれの上に(111)配向でペロブスカイト型の下部電極11を形成した強誘電体メモリ素子についても、特にその強誘電体層12をX線回折によって解析したところ、強誘電体層12は室温にてロンボヘドラル構造で(111)配向となっていた。したがって、この強誘電体層12の分極軸も、Si基板2の上面に対して垂直となっていることが確認された。
また、この強誘電体層12の強誘電体特性を調べたところ、下部電極11としてPtを用いた先の実施形態のものと同様に、高い強誘電体特性を有していることが確認された。
【0087】
図6は、前記の強誘電体メモリ素子1(10)をキャパシタとして適用したプレーナ型強誘電体メモリ素子の一例を示す図である。図6において符号20はプレーナ型強誘電体メモリ素子であり、このプレーナ型強誘電体メモリ素子20は、Si基板21上にMOSトランジスタ22を形成し、さらにこのMOSトランジスタ22の上方に、第1層間絶縁膜23、第2層間絶縁膜24を介して前記の強誘電体メモリ素子1(10)を形成したものである。なお、ここでは下部電極25、強誘電体層26、上部電極27のみを示しているが、必要に応じてバッファ層3も形成されているものとする。
【0088】
MOSトランジスタ22は、そのゲート部がワード線28となっている。また、一方のソース・ドレイン領域にはビット線29が、他方のソース・ドレイン領域には局所配線30がそれぞれ接続されており、局所配線30には前記の上部電極27が接続されている。
このような構成のもとにプレーナ型強誘電体メモリ素子20は、MOSトランジスタ22によって強誘電体メモリ素子1(10)を制御することにより、その高速反転特性によって書き込み及び読み出しが行えるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の強誘電体メモリ素子の一実施形態を示す断面図である。
【図2】 (a)、(b)はペロブスカイト型結晶構造の説明図である。
【図3】 (a)〜(c)は強誘電体メモリ素子の製造工程図である。
【図4】 (a)〜(c)は強誘電体メモリ素子の製造工程図である。
【図5】 強誘電体メモリ素子の他の実施形態を示す断面図である。
【図6】 プレーナ型強誘電体メモリ素子の一例を示す図である。
【符号の説明】
1、10…強誘電体メモリ素子、2…シリコン基板(Si基板)、
3…バッファ層、4、11…下部電極(電極)、5、12…強誘電体層、
6、13…上部電極、7…第1バッファ層、8…第2バッファ層、
9…第3バッファ層

Claims (17)

  1. Si酸化膜上に成膜されたペロブスカイト型の電極上に、テトラゴナル構造で(001)配向のBiFeOからなる強誘電体層を有してなることを特徴とする強誘電体メモリ素子。
  2. 前記ペロブスカイト型の電極は、イオンビームアシスト法によって成膜されたものであることを特徴とする請求項1記載の強誘電体メモリ素子。
  3. 前記ペロブスカイト型の電極は、(100)配向でエピタキシャル成長したものであることを特徴とする請求項1又は2記載の強誘電体メモリ素子。
  4. 前記ペロブスカイト型の電極は、SrRuO、Nb−SrTiO、La−SrTiO、(La,Sr)CoOのうちから選択された少なくとも一種からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の強誘電体メモリ素子。
  5. 前記ペロブスカイト型の電極は、イオンビームアシスト法によって基板上に形成されたバッファ層の上に形成されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の強誘電体メモリ素子。
  6. 前記バッファ層は、(100)配向でエピタキシャル成長したものであることを特徴とする請求項5記載の強誘電体メモリ素子。
  7. (111)配向の電極上に、ロンボヘドラル構造で(111)配向のBiFeOからなる強誘電体層を有してなることを特徴とする強誘電体メモリ素子。
  8. 前記(111)配向の電極が、(111)配向のPtからなることを特徴とする請求項7記載の強誘電体メモリ素子。
  9. 前記(111)配向の電極が、ペロブスカイト型構造からなることを特徴とする請求項7記載の強誘電体メモリ素子。
  10. 前記電極は、イオンビームアシスト法によって(111)配向でペロブスカイト型にエピタキシャル成長させられたものであることを特徴とする請求項7記載の強誘電体メモリ素子。
  11. 前記電極は、SrRuO、Nb−SrTiO、La−SrTiO、(La,Sr)CoOのうちから選択された少なくとも一種からなることを特徴とする請求項10記載の強誘電体メモリ素子。
  12. 前記BiFeOからなる強誘電体層の結晶構造がペロブスカイト型になっており、この結晶構造中のBサイトに位置する金属として、Feに置換して磁性金属元素が添加されてなることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の強誘電体メモリ素子。
  13. 前記磁性金属元素が、Mn、Ru、Co、Niのうちから選択された少なくとも一種であることを特徴とする請求項12記載の強誘電体メモリ素子。
  14. 前記磁性金属元素が、BiFeOからなる強誘電体層を構成する結晶構造中の全Bサイトに対して、1〜10%の割合を占めて置換されるよう添加されていることを特徴とする請求項12又は13記載の強誘電体メモリ素子。
  15. 前記BiFeOからなる強誘電体層の結晶構造がペロブスカイト型になっており、この結晶構造中のBサイトに位置する金属として、Feに置換してFeより価数の高い金属元素が添加されてなることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の強誘電体メモリ素子。
  16. 前記Feより価数の高い金属元素が、V、Nb、Ta、W、Ti、Zr、Hfのうちから選択された少なくとも一種であることを特徴とする請求項15記載の強誘電体メモリ素子。
  17. 前記Feより価数の高い金属元素が、BiFeOからなる強誘電体層を構成する結晶構造中の全Bサイトに対して、1〜30%の割合を占めて置換されるよう添加されていることを特徴とする請求項15又は16記載の強誘電体メモリ素子。
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