JP3873391B2 - 電気シフト式パワーシフトトランスミッション - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、フォークリフト等に用いられる電気シフト式パワーシフトトランスミッションに関するものであり、特にシフトバルブがスティックしたときのフェールセーフ機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、変速段の変更をシフトレバー操作によって手動で行い、変速段の変更の際のクラッチ操作を自動で行うパワーシフトトランスミッションがある。このようなパワーシフトトランスミッションはフォークリフト等の車輌に用いられており、特にシフトレバーの位置を電気的に検出して、この電気信号を用いて前進、後進のシフト位置の切換えを行うタイプの電気シフト式パワーシフトトランスミッションが知られている。図6に従来公知の電気シフト式パワーシフトトランスミッションの油圧回路図を示す。
【0003】
図6のトランスミッションでは、例えば運転者がシフトレバーの位置を前進から後進に切換えると、シフトレバーの位置の変化を電気信号として検出し、このシフト位置の変化に応じてソレノイドバルブ21、22のオン・オフが制御されてシフトバルブ13が作動する。シフトバルブ13が作動すると、油圧回路内のライン圧の供給がフロントクラッチ15からリヤクラッチ14に切り替わり、車輌の移動も前進から後進に切り替わる。しかしながら、シフトレバーの位置をニュートラルにしたときにシフトバルブ13がフロントクラッチ15に油圧を供給し、且つリヤクラッチ14への油圧を遮断する位置でスティックした場合では、シフトレバーの位置がニュートラルあるいは後進であっても、実際にはリヤクラッチ14に油圧が供給されてしまう。また、シフトバルブ13がフロントクラッチ15への油圧を遮断し、且つリヤクラッチ14に油圧を供給する位置でスティックした場合では、シフトレバーの位置がニュートラルあるいは前進であっても、実際にはリヤクラッチに油圧が供給されてしまう。つまり、上記技術では、シフトバルブ13のスティック時に考えられる上記の状態において、シフトレバーの位置とは異なる方向のクラッチに油圧が供給される可能性がある。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
しかし、車輌の前進移動或は後進移動中において、シフトバルブが異物を噛み込んでスティックを起こした場合、シフトレバーをニュートラル位置に戻してもシフトバルブあるいはソレノイドバルブはスティックした位置から移動することなく、所望の位置に戻ることが出来ない。そのため、上記従来技術の油圧回路構成では、シフトレバーがニュートラル時でも前進或いは後進のクラッチに油圧が供給される不具合が考えられる。更にシフトバルブが前進(あるいは後進)位置でスティックした状態でシフトレバーを後進(あるいは前進)位置にシフトすると、フロントクラッチ(あるいはリヤクラッチ)に油圧が供給されてしまう、という不具合も考えられる。
【0005】
また、上記従来技術とは構成が異なるフロントクラッチへの油圧を切換えるシフトバルブと、リヤクラッチへの油圧を切換えるシフトバルブと、2つのシフトバルブと、を備える電気シフト式パワーシフトトランスミッションでは、一方のシフトバルブがスティックした場合にフロントクラッチとリヤクラッチの両方に油圧が供給されて2重係合することが考えられる。
【0006】
そこで本発明は、バルブのスティックによって生じる不具合を可及的に無くすようにした電気シフト式パワーシフトトランスミッションを提供することを技術的課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1の発明では、油圧を発生させる油圧源と、油圧の供給により係合して車輌を走行させるクラッチと、油圧源からの油圧をクラッチに供給、遮断切換え可能なシフトバルブと、を備える電気シフト式パワーシフトトランスミッションにおいて、シフトバルブは、ソレノイドバルブの動作によってクラッチに油圧を導入する第1位置と、クラッチへの油圧を遮断する第2位置との2つの位置に切換え可能であり、シフトバルブが第2位置になるようにソレノイドバルブが動作する場合には、クラッチが係合しないように油圧を制御するセーフティバルブを有するようにし、さらに、クラッチは車輌を前進させるフロントクラッチと車輌を後進させるリヤクラッチとを備え、シフトバルブはフロントクラッチへの油圧を供給、遮断の切換え可能なフロントシフトバルブとリヤクラッチへの油圧を供給、遮断の切換え可能なリヤシフトバルブとを備え、ソレノイドバルブはフロントシフトバルブの切換えを行うフロントソレノイドバルブと、リヤシフトバルブの切換えを行うリヤソレノイドバルブとを備え、フロントシフトバルブは、フロントソレノイドバルブの動作により油圧源からの初期油圧を供給、遮断切換え可能なフロント油室と、トランスミッションの油圧回路内を循環するライン圧を導入するフロント第1ポートと、フロントクラッチに連通するフロント第2ポートと、を備え、リヤシフトバルブは、リヤソレノイドバルブの動作により油圧源からの初期油圧を供給、遮断切換え可能なリヤ油室と、トランスミッションの油圧回路内を循環するライン圧を導入するリヤ第1ポートと、リヤクラッチに連通するリヤ第2ポートとを備え、セーフティバルブは、フロント油室と連通するセーフティ油室と、フロントクラッチに連通するセーフティ第1ポートと、リヤクラッチに連通するセーフティ第2ポートと、油圧をドレンするドレンポートとを備え、フロントソレノイドバルブ或はリヤソレノイドバルブの両ソレノイドバルブがフロント油室及びリヤ油室へ初期油圧を供給しないように動作すると、セーフティ第1ポートとドレンポートが連通するとともにセーフティ第2ポートとドレンポートが連通し、フロントソレノイドバルブ或はリヤソレノイドバルブのいずれか一方のソレノイドバルブがフロント油室或はリヤ油室へ初期油圧を供給するように動作すると、セーフティ油室に油圧が供給されてセーフティ第1ポートとドレンポートを遮断するとともにセーフティ第2ポートとドレンポートを遮断するスプール弁としたものである。
【0008】
請求項1によると、ソレノイドバルブが動作してシフトバルブが第2位置に移動したときには、セーフティバルブの作用によりクラッチは係合せず車輌は走行しない。したがって、シフトバルブがスティックして第1位置から移動しなくなってしまった場合であっても、ソレノイドバルブがシフトバルブを第2位置とすべく動作したとき、つまり車輌を走行させないように動作するとセーフティバルブがクラッチを係合しないようにするので、シフトバルブがスティックしても車輌に走行不具合が発生しない電気シフト式パワーシフトトランスミッションを提供することが出来き、さらに、フロントソレノイドバルブの動作により初期油圧がフロント油室に供給されると、フロントシフトバルブのフロント第1ポートとフロント第2ポートが連通し、フロントクラッチにライン圧が供給される。これと同様に、リヤソレノイドバルブの動作により初期油圧がリヤ油室に供給されると、リヤシフトバルブのリヤ第1ポートとリヤ第2ポートが連通し、リヤクラッチにライン圧が供給される。このとき、セーフティバルブのセーフティ油室にも初期油圧が供給されることでセーフティ第1ポート及びセーフティ第2ポートはドレンポートとは連通しないので、確実に各クラッチを係合することができる。また、フロント油室及びリヤ油室に初期油圧が供給されないときにはセーフティ油室にも油圧は供給されず、セーフティ第1ポートとセーフティ第2ポートはドレンポートと連通し、両クラッチの油圧をドレンする。したがって、フロントシフトバルブ或はリヤシフトバルブが第1位置でスティックした状態でも、ソレノイドバルブが初期油圧を供給しないように動作すればセーフティバルブは両クラッチの油圧をドレンすることができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、セーフティバルブが、クラッチと油圧源の間でシフトバルブと並列に配設され、シフトバルブが第2位置になるようにソレノイドバルブが動作するとクラッチ内の油圧をドレンするようにしたものである。
【0010】
請求項2によると、セーフティバルブは、シフトバルブを第2位置にすべくソレノイドバルブが作動する際にクラッチ内の油圧をドレンするので、クラッチを非係合とする際にクラッチ内に油圧が残ることがなく、確実にクラッチを非係合とすることができる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項3において、フロントシフトバルブは、油圧をドレンするドレンポートを備えるとともにリヤクラッチへ油圧を供給する際にフロント第2ポートとドレンポートが連通するスプール弁である電気シフト式パワーシフトトランスミッションとしたことである。
【0014】
請求項5の発明は、請求項3において、リヤシフトバルブは、油圧をドレンするドレンポートを備えるとともにフロントクラッチへ油圧を供給する際にリヤ第2ポートとドレンポートが連通するスプール弁である電気シフト式パワーシフトトランスミッションとしたことである。
【0015】
請求項4及び請求項5によると、フロントクラッチ或いはリヤクラッチの一方を係合するときに、シフトバルブのスティックにより両クラッチにライン圧が供給されることがなくなる。すなわち、クラッチの2重係合を防止できる。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1において、セーフティバルブが油圧源とシフトバルブの間に配設され、シフトバルブが第2位置になるようにソレノイドバルブが動作すると、油圧源とシフトバルブとの間を遮断するようにしたものである。
【0017】
請求項6によると、シフトバルブを第2位置とすべくソレノイドバルブが作動すると、セーフティバルブが油圧源とシフトバルブの間を遮断するので、油圧源からの油圧はクラッチには供給されなくなる。これによりクラッチを非係合とすることが可能になる。
【0018】
請求項7の発明は、クラッチは車輌を前進させるフロントクラッチと車輌を後進させるリヤクラッチとを備え、シフトバルブはフロントクラッチへの油圧を供給、遮断の切換え可能なフロントシフトバルブとリヤクラッチへの油圧を供給、遮断の切換え可能なリヤシフトバルブとを備え、ソレノイドバルブはフロントシフトバルブの切換えを行うフロントソレノイドバルブと、リヤシフトバルブの切換えを行うリヤソレノイドバルブとを備え、フロントシフトバルブは、フロントソレノイドバルブの動作により油圧源からの初期油圧を供給、遮断切換え可能なフロント油室と、セーフティバルブと連通するフロント第1ポートと、フロントクラッチに連通するフロント第2ポートと、を備え、リヤシフトバルブは、リヤソレノイドバルブの動作により油圧源からの初期油圧を供給、遮断切換え可能なリヤ油室と、セーフティバルブと連通するリヤ第1ポートと、リヤクラッチに連通するリヤ第2ポートと、を備え、セーフティバルブは、油圧源からのライン圧を導入するセーフティ第1ポートと、フロント油室と連通するセーフティ油室と、油圧をドレンするドレンポートと、フロント第1ポート及びリヤ第1ポートと連通するセーフティ第2ポートとを備えており、フロントソレノイドバルブ或はリヤソレノイドバルブのいずれか一方がフロント油室或はリヤ油室へ初期油圧を供給するように動作すると、セーフティ第1ポートとセーフティ第2ポートが連通し、フロントソレノイドバルブ及びリヤソレノイドバルブの両ソレノイドがフロント油室或はリヤ油室へ初期油圧を供給しないときには、セーフティ第1ポートとセーフティ第2ポートとを遮断するとともにセーフティ第2ポートとドレンポートを連通するスプール弁である、電気シフト式パワーシフトトランスミッションである。
【0019】
請求項7によると、フロントソレノイドバルブの動作により初期油圧がフロント油室に供給されると、フロント第1ポートとセーフティ第2ポートの間が遮断されるとともにセーフティ第2ポートとフロント第2ポートが連通する。それと同時にセーフティバルブのセーフティ油室にも油圧が導入されてセーフティ第1ポートとセーフティ第2ポートが連通する。したがって、油圧源からの油圧はセーフティ第1ポートからセーフティ第2ポートを介してフロント第2ポートからフロントクラッチに供給され、クラッチを係合することができる。また、フロント油室及びリヤ油室に初期油圧が供給されないときにはセーフティ油室にも油圧は供給されず、セーフティ第1ポートが遮断されて油圧源からの油圧がセーフティ第2ポートに供給されないようにしている。したがって、フロントシフトバルブ或はリヤシフトバルブが第1位置でスティックした状態であっても、ソレノイドバルブの作動によりセーフティ油室に初期油圧が供給されない限り、油圧はセーフティバルブのセーフティ第1ポートで遮断される。したがって、シフトバルブがスティックしてもクラッチに油圧が供給されて走行上の不具合が生じるということはない。
【0020】
請求項8は、請求項7において、油圧源からの油圧をフロントクラッチに供給する際に、セーフティバルブからリヤシフトバルブを介してフロントシフトバルブからフロントクラッチへ油圧を供給するようにした。
【0021】
請求項9は、請求項7において、油圧源からの油圧をリヤクラッチに供給する際に、セーフティバルブからフロントシフトバルブを介してリヤシフトバルブからリヤクラッチへ油圧を供給するようにした。
【0022】
請求項8及び請求項9によると、リヤシフトバルブがリヤクラッチへ油圧を供給しない状態でなければフロントシフトバルブに油圧が供給されない。したがってフロントクラッチとリヤクラッチの両方に同時に油圧が供給される2重係合が防止される。また、リヤクラッチに油圧を供給する場合も同様の作用により2重係合が防止される。
【0023】
【実施の形態】
本発明の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は第1の実施の形態における油圧回路図である。尚、第1の実施の形態では、前進、ニュートラル、後進の3つのシフトポジションを有するフォークリフトの場合について説明する。
【0024】
先ず、油圧回路の構成について説明する。第1の実施の形態のパワーシフトトランスミッションは、車輌の動作を変更するシフトレバー(図示せず)と、油圧を発生させる油圧源31と、油圧の供給により係合して車輌を前進させるフロントクラッチ32と、油圧の供給により係合して車輌を後進させるリヤクラッチ33と、フロントソレノイドバルブ45の動作により油圧源31からの油圧をフロントクラッチ32に供給、遮断切換え可能なフロントシフトバルブ34と、リヤソレノイドバルブ46の動作により油圧をリヤクラッチ33に供給、遮断切換え可能なリヤシフトバルブ35と、シフトバルブ及びソレノイドバルブの状態により作動が決定され、その位置により各クラッチの油圧をドレンするセーフティバルブ36と、を備える。ここで、トランスミッションの油圧回路内を循環するライン圧43は、油圧源31からの油圧がインチングバルブ37を介することによって発生される。また、ストレーナ41により濾過された油を油圧源31が汲み上げて油圧を発生させ、レギュレータバルブ38を介することにより初期油圧42が発生される。更に、両クラッチ32、33への油圧の脈動を抑えるためにアキュムレータ44が配設されている。
【0025】
図14は本実施の形態におけるクラッチ32、33のギヤトレーンを示すスケルトン図である。油圧がフロントクラッチ32に供給されると、クラッチ32が係合して図示しないディファレンシャルギヤに連結される出力ギヤ80に動力が伝達されて車両が前進する。油圧がリヤクラッチ33に供給されると、クラッチ33が係合して逆転ギヤ81を介して図示しないディファレンシャルギヤに連結される出力ギヤ80に動力が伝達されて車両が後進する
フロントシフトバルブ34は、フロントソレノイドバルブ45の動作によってクラッチに油圧を導入する第1位置と、フロントクラッチ32への油圧を遮断する第2位置との2つの位置に切換えることが可能なスプール弁であり、弁体34Aは弾性体によって第2位置になるように付勢され、油圧源31からの初期油圧42を供給、遮断切換え可能なフロント油室34aと、トランスミッションの油圧回路内を循環するライン圧43を導入するフロント第1ポート34bと、フロントクラッチ32に連通するフロント第2ポート34cと、を備える。
【0026】
リヤシフトバルブ35は、リヤソレノイドバルブ46の動作によってクラッチに油圧を導入する第1位置と、フロントクラッチ32への油圧を遮断する第2位置との2つの位置に切換えることが可能なスプール弁であり、弁体35Aは弾性体によって第2位置になるように付勢され、リヤソレノイドバルブ46の動作により油圧源31からの初期油圧42を供給、遮断切換え可能なリヤ油室35aと、トランスミッションの油圧回路内を循環するライン圧43を導入するリヤ第1ポート35bと、リヤクラッチ33に連通するリヤ第2ポート35cと、を備える。
【0027】
セーフティバルブ36は、フロント油室34aと連通するセーフティ油室36aと、フロントクラッチ32に連通するセーフティ第1ポート36bと、リヤクラッチ33に連通するセーフティ第2ポート36cと、油圧をドレンするドレンポート36d、36eとを備え、フロントソレノイドバルブ45或はリヤソレノイドバルブ46の両ソレノイドバルブがフロント油室34a及びリヤ油室35aへ初期油圧42を供給しないように動作すると、セーフティ第1ポート36bとドレンポート36eが連通するとともにセーフティ第2ポート36cとドレンポート36dが連通し、フロントソレノイドバルブ45或はリヤソレノイドバルブ46のいずれか一方のソレノイドバルブがフロント油室34a或はリヤ油室35aへ初期油圧42を供給するように動作すると、セーフティ油室36aに油圧が供給されてセーフティ第1ポート36bとドレンポート36eを遮断するとともにセーフティ第2ポート36cとドレンポート36dを遮断するスプール弁であり、弁体36Aはセーフティ油室36aに油圧が導入されない限り両クラッチ32、33の油圧をドレンすべく弾性体によって付勢されている。
【0028】
ここで、本実施の形態におけるソレノイドバルブ45、46は、油室に初期油圧42を導入する場合がオン、油室への初期油圧42を遮断してドレンする場合がオフである常開弁を用いるものとする。
【0029】
次に、作動について説明する。シフトレバーの位置、シフトバルブ、セーフティバルブ、ソレノイドバルブの関係を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1において、Fはフロント(前進)、Nはニュートラル、Rはリヤ(後進)を意味し、シフトバルブの記号は、○が第1位置、×が第2位置、S○はシフトバルブが第1位置でスティック、S×はシフトバルブが第2位置でスティック、ソレノイドバルブの記号は、○がオン、×がオフをそれぞれ示すものとする。
【0032】
図1〜図5、図7、及び図8を用いて本実施の形態におけるトランスミッションの作動を説明する。
【0033】
シフトレバーの位置がニュートラルのときには、フロントソレノイドバルブ45、リヤソレノイドバルブ46ともに油圧源31からの初期油圧42をドレンするように動作する。このときの各シフトバルブは図1に示す状態になっている。
【0034】
次に、シフトレバーの位置をニュートラルから前進にすると、フロントソレノイドバルブ45がフロントシフトバルブ34に初期油圧42を供給し、リヤソレノイドバルブ46は初期油圧42をドレンするようにそれぞれ動作する。このとき、初期油圧42はフロントシフトバルブ34のフロント油室34a及びセーフティバルブ36のセーフティ油室36aに流れ、フロントシフトバルブ34とセーフティバルブ36が作動して図2の状態になる。図2の状態では油圧回路内を循環するライン圧がフロントシフトバルブ34を介して油路からフロントクラッチ32に供給されてフロントクラッチ32が係合し、車輌が前進する。
【0035】
図2の状態からフロントシフトバルブ34にバルブスティックが生じた場合、シフトレバーを前進からニュートラルにするとフロントソレノイドバルブ45はオフになるが、フロントシフトバルブ34はバルブスティックによって第1位置から第2位置に戻ることはできない。しかし、フロント油室34aの初期油圧42が抜けることで、スティックしていないセーフティバルブ36のセーフティ油室36aの油圧が抜け、元の位置に戻る。この状態を図7に示す。図7の状態では、フロントシフトバルブ34を介してセーフティバルブ36に導入されたライン圧はセーフティバルブ36のドレンポート36eからドレンされるので、フロントクラッチ32に油圧は供給されず、車輌の挙動はニュートラルの状態になる。したがって、フロントシフトバルブ34が第1位置でスティックしても車輌は前進せず、シフトレバーの位置がニュートラルでの走行不具合は生じない。
【0036】
フロントシフトバルブ34が第1位置でスティックした状態でシフトレバーの位置をニュートラルから後進にすると、フロントソレノイドバルブ45がオフ、リヤソレノイドバルブ46がオンになり、初期油圧42がリヤシフトバルブ35のリヤ油室35aを介してセーフティバルブ36のセーフティ油室36aに流れ、リヤシフトバルブ35とセーフティバルブ36が作動して図4の状態になる。スティックによりフロントシフトバルブ34は第1位置のままであるので、リヤクラッチ33の油圧はポート34dを介してドレンポート34eからドレンされてしまう。また、ポート34cからフロントクラッチ32に供給される油圧はポート35dを介してドレンポート35eからドレンされるので、車輌は後進することなくニュートラルの状態を維持して、シフトレバーの位置が後進にかかわらず車輌が前進してしまうという不具合はない。したがって、フロントシフトバルブ34が第1位置でスティックしてもフロントクラッチ32とリヤクラッチ33とが2重係合することはなく、油圧回路内で不具合が生じることはない。
【0037】
次に、シフトレバーの位置をニュートラルから後進にすると、リヤソレノイドバルブ46がリヤシフトバルブ35に初期油圧42を供給し、フロントソレノイドバルブ45は初期油圧42をドレンするようにそれぞれ動作する。このとき、初期油圧42はリヤ油室35a及びセーフティ油室36aに流れ、リヤシフトバルブ35とセーフティバルブ36が作動して図3の状態になる。図3の状態では油圧回路内を循環するライン圧がリヤシフトバルブ35を介して油路からリヤクラッチ33に供給されてリヤクラッチ33が係合し、車輌が後進する。
【0038】
図3の状態からフロントシフトバルブ34にスティックが生じた場合、シフトレバーを後進から前進にするとフロントソレノイドバルブ45がオン、リヤソレノイドバルブ46がオフになる。しかし、フロントシフトバルブ34はスティックによって第2位置から第1位置に移動することはできないが、フロント油室34aに供給される油圧はセーフティ油室36aに導入され、セーフティバルブ36が作動して各バルブは図5の状態になる。図5の状態では、フロント第1ポート34bとフロント第2ポート34cとは連通していないのでライン圧はフロントクラッチ32に供給されず、且つフロントクラッチ32の油圧はフロントシフトバルブ34のドレンポートからドレンされるので、車輌の挙動はニュートラルの状態になる。したがって、フロントシフトバルブ34が第2位置でスティックした場合には車輌は前進することなく、ニュートラルの状態になる。上記の状態からシフトレバーをニュートラルの位置にすると、フロント油室34aの初期油圧42が抜けて、各バルブは図1の状態となる。この状態は正常時と何ら変りはなく、車輌の挙動はシフトレバー位置通りになる。
【0039】
次に、リヤシフトバルブ35のスティックについて簡単に説明する。リヤシフトバルブ35が第1位置でスティックしたとき、シフトレバーをニュートラル位置にすると、シフトバルブ及びセーフティバルブ36は図8に示す状態になる。このとき、ライン圧はリヤシフトバルブ35のリヤ第1ポート35bからリヤ第2ポート35cを通ってリヤクラッチ33に供給される。しかし、セーフティバルブ36のポート36cとドレンポート36dが連通しているため、リヤクラッチ33の油圧はドレンされ、車輌の挙動はニュートラルの状態になる。したがって、リヤシフトバルブ35が第1位置でスティックしても車輌は後進せず、シフトレバーの位置がニュートラルでの走行不具合は生じない。そして、この状態からシフトレバーを前進位置にすると、シフトバルブ及びセーフティバルブ36は図4に示す状態となり、フロントクラッチ32の油圧はポート35dを介してドレンポート35eからドレンされる。また、ポート35cからリヤクラッチ33に供給される油圧はポート34dを介してドレンポート34eからドレンされるので、車輌は前進せずにニュートラルの状態を維持して、シフトレバーの位置が前進にかかわらず車輌が後進する不具合はない。
【0040】
リヤシフトバルブ35が第2位置でスティックしたときには、車輌の前進及びニュートラル走行に関しては何ら支承はない。シフトレバーを後進位置にすると、リヤシフトバルブ35はスティックによって第2位置から第1位置に移動することはできないが、リヤ油室35aに供給される油圧はセーフティ油室36aに導入され、セーフティバルブ36が作動して各バルブは図5の状態になる。図5の状態では、リヤ第1ポートとリヤ第2ポートとは連通していないのでライン圧はリヤクラッチ33に供給されず、且つリヤクラッチ33の油圧はリヤシフトバルブ35のドレンポートからドレンされるので、車輌の挙動はニュートラルの状態になる。したがって、リヤシフトバルブ35が第2位置でスティックした場合には車輌は後進せず、シフトレバーの位置がニュートラルでの走行不具合は生じない。
【0041】
以上、フロントシフトバルブ34が第1位置、第2位置のそれぞれでスティックした場合について説明したが、リヤシフトバルブ35が第1位置、或は第2位置でスティックした場合についてもフロントシフトバルブ34の各状態と同様であるので、説明は省略する。
【0042】
更に、フロントシフトバルブは油圧をドレンするドレンポートを備えており、リヤクラッチへ油圧を供給する際にフロント第2ポートとドレンポートが連通するスプール弁である。また、リヤシフトバルブは油圧をドレンするドレンポートを備えており、フロントクラッチへ油圧を供給する際にリヤ第2ポートとドレンポートが連通するスプール弁である。このような構成にしたことにより、フロントクラッチ或いはリヤクラッチの一方を係合するときに、シフトバルブのスティックにより両クラッチにライン圧が供給されることがなくなる。すなわち、クラッチの2重係合を防止できる。
【0043】
次に、表1には記載しないが、セーフティバルブ36がスティックした場合について説明する。セーフティバルブ36がオン状態でスティックした場合には、セーフティバルブ36に導入される油圧はドレンされなくなる。したがって、フロントシフトバルブ34或はリヤシフトバルブ35に導入されるライン圧は、セーフティバルブ36を介してフロントクラッチ32或はリヤクラッチ33に導入される。つまり、セーフティバルブ36がオン状態でスティックした場合には、車輌のシフトポジションと車輌の挙動とは一致して、車輌は正常に動作する。
【0044】
また、セーフティバルブ36がオフ状態でスティックした場合、フロントシフトバルブ34或はリヤシフトバルブ35に導入されるライン圧は、セーフティバルブ36から常にドレンされるので、車輌のシフトポジションに係わらず全てのシフトポジションでニュートラル状態となる。したがって、このような場合には車輌を走行させることはできないが、シフトレバーがニュートラル位置で車輌が走行することがないので安全である。
【0045】
第1の実施の形態において、油圧の一部はクーラー40を通ってトルクコンバータ39を介してレギュレータバルブ38に供給されるように構成されている。
【0046】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図9〜図13は第2の実施の形態における電気シフト式パワーシフトトランスミッションの油圧回路図である。尚、第2の実施の形態でも前進、ニュートラル、後進の3つのシフトポジションを有するフォークリフトを用いて説明する。
【0047】
このパワーシフトトランスミッションは、図示しないシフトレバーと、油圧源と、フロントクラッチ52と、リヤクラッチ53と、フロントソレノイドバルブ65と、フロントシフトバルブ54と、リヤソレノイドバルブ66と、リヤシフトバルブ55を備えている。
【0048】
第2の実施の形態に関して、、第1の実施の形態で説明したのと同様のインチングバルブ、レギュレータバルブ、油圧源、アキュムレータ、クーラー及びトルクコンバータを備えるものとするが、図面は省略する。
【0049】
各構成について説明する。フロントシフトバルブ54は、フロントソレノイドバルブ65の動作により油圧源からの初期油圧を供給、遮断切換え可能なフロント油室54aと、セーフティバルブ56と連通するフロント第1ポート54bと、フロントクラッチ52に連通するフロント第2ポート54cとを備えている。リヤシフトバルブ55は、リヤソレノイドバルブ66の動作により油圧源からの初期油圧を供給、遮断切換え可能なリヤ油室55aと、セーフティバルブ56と連通するリヤ第1ポート55bと、リヤクラッチ53に連通するリヤ第2ポート55cとを備えている。セーフティバルブ56は、油圧源からのライン圧を導入するセーフティ第1ポート56bと、フロント油室と連通するセーフティ油室56aと、油圧をドレンするドレンポート56dと、フロント第1ポート54b及びリヤ第1ポート55bと連通するセーフティ第2ポート56cとを備えるスプール弁である。
【0050】
上記構成の電気シフト式パワーシフトトランスミッションにおいて、フロントソレノイドバルブ65或はリヤソレノイドバルブ66のいずれか一方がフロント油室或はリヤ油室へ初期油圧を供給するように動作すると、セーフティバルブ56のセーフティ第1ポート56bとセーフティ第2ポート56cが連通し、フロントソレノイドバルブ65及びリヤソレノイドバルブ66の両ソレノイドがフロント油室或はリヤ油室へ初期油圧を供給しないときには、セーフティ第1ポート56bとセーフティ第2ポート56cとを遮断するとともにセーフティ第2ポート56cとドレンポート56dを連通する。
【0051】
第2の実施の形態におけるソレノイドバルブ65、66も第1の実施の形態と同様、油室に初期油圧を導入する場合がオン、油室への初期油圧を遮断してドレンする場合がオフである常開弁を用いるものとする。
【0052】
第2の実施の形態の作動に関して、シフトレバーの位置、シフトバルブ54、55、セーフティバルブ56、ソレノイドバルブ65、66の関係は表1と同じであるので省略する。
【0053】
図9〜図13を用いて本実施の形態におけるトランスミッションの作動を説明する。図9は両ソレノイドバルブ65、66が作動せず、両シフトバルブ54、55が第2位置にある場合を示している。この状態ではセーフティバルブ56のセーフティ油室56aにも油圧は供給されない。図9の状態において、セーフティ第1ポート56bは遮断されているのでライン圧がフロントシフトバルブ54或いはリヤシフトバルブ55に供給されることはない。
【0054】
図9の状態からフロントクラッチ52に油圧を供給すべくフロントソレノイドバルブ65がオンになると、フロント油室54a及びセーフティ油室56aに油圧源からの初期油圧が供給されて図10の状態になる。このとき、ライン圧はセーフティ第1ポート56bからセーフティ第2ポート56cを介してリヤ第1ポート55bに供給され、更にリヤ第1ポート55bからフロント第2ポート54cを通ってフロントクラッチ52に供給される。
【0055】
また、図9の状態からリヤクラッチ53に油圧を供給すべくリヤソレノイドバルブ66が動作すると、リヤ油室55a及びセーフティ油室56aに油圧源からの初期油圧が供給されて図11の状態になる。このとき、ライン圧はセーフティ第1ポート56bからセーフティ第2ポート56cを介してフロント第1ポート54bに供給され、更にフロント第1ポート54bからリヤ第2ポート55cを通ってリヤクラッチ53に供給される。
【0056】
図10の状態、すなわちフロントシフトバルブ54が第1位置でスティックすると、シフト位置を前進からニュートラルにした場合、フロントソレノイドバルブ65がオフになってフロント油室54a内に油圧が供給されなくなってもフロントシフトバルブ54は第1位置を保つが、セーフティ油室56aには油圧が供給されなくなるので、各バルブ54,55,56は図10から図12の状態に移行する。このとき、ライン圧はセーフティバルブ56のセーフティ第1ポート56bにて遮断されるのでフロントクラッチ52にライン圧が供給されることはなく、車輌はニュートラル状態に移行する。
【0057】
また、図10の状態でフロントシフトバルブ54がスティックして、シフト位置を前進から後進にした場合には、フロントシフトバルブ54は第1位置を保つとともにリヤソレノイドバルブ66がオンになってセーフティ油室56aに油圧が供給されるので、各バルブ54,55,56は図10から図13の状態に移行する。ライン圧はセーフティ第1ポート56bからセーフティ第2ポート56cを介してフロント第1ポート54b及びリヤ第1ポート55bに供給される。しかし、両シフトバルブ54,55が第1位置にあるときにはフロント第1ポート54b及びリヤ第1ポート55bが遮断されているので、クラッチ52,53に油圧を供給する事はできず車輌はニュートラル状態になる。
【0058】
第2の実施の形態において、上述以外のシフトバルブのスティックについては表1に示す状態と同じであるので説明を省略するが、第1の実施の形態と同様、シフトバルブがスティックした場合であっても、シフトレバーを前進或いは後進にしたときに車輌がその反対方向に走行するということはなく、安全である。
【0059】
第2の実施の形態において油圧をフロントクラッチ52に供給する際には、油圧源からの油圧がセーフティバルブ56からリヤシフトバルブ55を介してフロントシフトバルブ54からフロントクラッチ52へ供給されるように構成されている。この構成によると、リヤシフトバルブ55がリヤクラッチ53へ油圧を供給しない状態でなければフロントシフトバルブ54に油圧が供給されない。したがってフロントクラッチ52とリヤクラッチ53の両方に同時に油圧が供給される2重係合が防止される。また、リヤクラッチ53に油圧を供給する場合も同様に、油圧源からの油圧がセーフティバルブ56からフロントシフトバルブ54を介してリヤシフトバルブ55からリヤクラッチ53へ供給されるように構成されており、2重係合が防止される。
【0060】
第1の実施の形態ではクラッチ内の油圧をドレンすることによりクラッチを非係合とし、第2の実施の形態では油圧源からクラッチの間を遮断することによりクラッチを非係合としている。第1の実施の形態では油圧源からの油圧の供給を受けたままクラッチ内の油圧をドレンさせるので、残圧が生じてクラッチを完全に非係合にすることができない場合が考えられる。これに対して第2の実施の形態では油圧源からの油圧を遮断し、且つクラッチ内の油圧をドレンさせるので残圧が生じることはない。したがってクラッチ内に残圧が生じ易い形式のトランスミッションを用いる場合には、第2の実施の形態のように油圧源からの油圧を遮断し、且つクラッチ内の油圧をドレンするほうが好ましい。
【0061】
本実施の形態では前進1段後進1段の3ポジションの電気シフト式トランスミッションを用いて説明したが、特にこの構成に限定する意図はなく、例えば前進2段後進1段の4ポジションのタイプのものや、それ以上のシフト位置を有する車輌に用いることも可能であり、そのような場合には本実施の形態に示すトランスミッションにシフトバルブを追加していくだけであり、本実施の形態で説明した作用と同じ作用を奏することができる。
【0062】
【効果】
請求項1によると、ソレノイドバルブが動作してシフトバルブが第2位置に移動したときには、セーフティバルブの作用によりクラッチは係合せず車輌は走行しない。したがって、シフトバルブがスティックして第1位置から移動しなくなってしまった場合であっても、ソレノイドバルブがシフトバルブを第2位置とすべく動作したとき、つまり車輌を走行させないように動作するとセーフティバルブがクラッチを係合しないようにするので、シフトバルブがスティックしても車輌に走行不具合が発生しない電気シフト式パワーシフトトランスミッションを提供することが出来き、さらに、フロントソレノイドバルブの動作により初期油圧がフロント油室に供給されると、フロントシフトバルブのフロント第1ポートとフロント第2ポートが連通し、フロントクラッチにライン圧が供給される。これと同様に、リヤソレノイドバルブの動作により初期油圧がリヤ油室に供給されると、リヤシフトバルブのリヤ第1ポートとリヤ第2ポートが連通し、リヤクラッチにライン圧が供給される。このとき、セーフティバルブのセーフティ油室にも初期油圧が供給されることでセーフティ第1ポート及びセーフティ第2ポートはドレンポートとは連通しないので、確実に各クラッチを係合することができる。また、フロント油室及びリヤ油室に初期油圧が供給されないときにはセーフティ油室にも油圧は供給されず、セーフティ第1ポートとセーフティ第2ポートはドレンポートと連通し、両クラッチの油圧をドレンする。したがって、フロントシフトバルブ或はリヤシフトバルブが第1位置でスティックした状態でも、ソレノイドバルブが初期油圧を供給しないように動作すればセーフティバルブは両クラッチの油圧をドレンすることができる。
【0063】
請求項2によると、セーフティバルブは、シフトバルブを第2位置にすべくソレノイドバルブが作動する際にクラッチ内の油圧をドレンするので、クラッチを非係合とすることができる。
【0065】
請求項4及び請求項5によると、フロントクラッチ或いはリヤクラッチの一方を係合するときに、シフトバルブのスティックにより両クラッチにライン圧が供給されることがなくなる。すなわち、クラッチの2重係合を防止できる。
【0066】
請求項6によると、シフトバルブを第2位置とすべくソレノイドバルブが作動すると、セーフティバルブが油圧源とシフトバルブの間を遮断するので、油圧源からの油圧はクラッチには供給されなくなる。これによりクラッチを非係合とすることが可能になる。
【0067】
請求項7によると、フロントソレノイドバルブの動作により初期油圧がフロント油室に供給されると、フロント第1ポートとセーフティ第2ポートの間が遮断されるとともにセーフティ第2ポートとフロント第2ポートが連通する。それと同時にセーフティバルブのセーフティ油室にも油圧が導入されてセーフティ第1ポートとセーフティ第2ポートが連通する。したがって、油圧源からの油圧はセーフティ第1ポートからセーフティ第2ポートを介してフロント第2ポートからフロントクラッチに供給され、クラッチを係合することができる。また、フロント油室及びリヤ油室に初期油圧が供給されないときにはセーフティ油室にも油圧は供給されず、セーフティ第1ポートが遮断されて油圧源からの油圧がセーフティ第2ポートに供給されないようにしている。したがって、フロントシフトバルブ或はリヤシフトバルブが第1位置でスティックした状態であっても、ソレノイドバルブの作動によりセーフティ油室に初期油圧が供給されない限り、油圧はセーフティバルブのセーフティ第1ポートで遮断される。したがって、シフトバルブがスティックしてもクラッチに油圧が供給されて走行上の不具合が生じるということはない。
【0068】
請求項8及び請求項9によると、リヤシフトバルブがリヤクラッチへ油圧を供給しない状態でなければフロントシフトバルブに油圧が供給されない。したがってフロントクラッチとリヤクラッチの両方に同時に油圧が供給される2重係合が防止される。また、リヤクラッチに油圧を供給する場合も同様の作用により2重係合が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における電気シフト式パワーシフトトランスミッションの油圧回路図である。
【図2】図1の別の状態を示す図である。
【図3】図1の別の状態を示す図である。
【図4】図1の別の状態を示す図である。
【図5】図1の別の状態を示す図である。
【図6】従来の電気シフト式パワーシフトトランスミッションの回路図である。
【図7】図1の別の状態を示す図である。
【図8】図1の別の状態を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における電気シフト式パワーシフトトランスミッションの油圧回路図である。
【図10】図9の別の状態を示す図である。
【図11】図9の別の状態を示す図である。
【図12】図9の別の状態を示す図である。
【図13】図9の別の状態を示す図である。
【図14】本発明におけるクラッチ部分のスケルトン図である。
【符号の説明】
31・・・油圧源
32、52・・・フロントクラッチ
33、53・・・リヤクラッチ
34、54・・・フロントシフトバルブ
35、55・・・リヤシフトバルブ
36、56・・・セーフティバルブ
37・・・インチングバルブ
38・・・レギュレータバルブ
39・・・トルクコンバータ
40・・・クーラー
41・・・ストレーナ
42・・・初期油圧
43・・・ライン圧
44・・・アキュムレータ
45、65・・・フロントソレノイドバルブ
46、66・・・リヤソレノイドバルブ
Claims (9)
- 圧油を発生させる油圧源と、
圧油の供給により係合し、車輌を走行させるクラッチと、
前記油圧源からの圧油をクラッチに供給する状態と、遮断する状態を切換え可能なシフトバルブと、を備えるパワーシフトトランスミッションであって、
前記シフトバルブは、スプールと前記スプールを移動させるソレノイドバルブを備え、前記ソレノイドバルブの動作によって前記スプールを前記クラッチに油圧を導入する第1位置と、前記クラッチへの油圧を遮断する第2位置との2つの位置に切換え可能で、
前記スプールが第2位置になるように前記ソレノイドバルブが動作する場合には、前記クラッチが係合しないように油圧を制御するセーフティバルブを有するとともに、
前記クラッチは車輌を前進させるフロントクラッチと車輌を後進させるリヤクラッチであり、
前記シフトバルブは前記フロントクラッチへの油圧を供給、遮断の切換え可能なフロントシフトバルブと前記リヤクラッチへの油圧を供給、遮断の切換え可能なリヤシフトバルブとを備え、
前記ソレノイドバルブはフロントシフトバルブの切換えを行うフロントソレノイドバルブと、前記リヤシフトバルブの切換えを行うリヤソレノイドバルブとを備え、
前記フロントシフトバルブは、前記フロントソレノイドバルブの動作により前記油圧源からの初期油圧を供給、遮断切換え可能なフロント油室と、トランスミッションの油圧回路内を循環するライン圧を導入するフロント第1ポートと、前記フロントクラッチに連通するフロント第2ポートと、を備え、
前記リヤシフトバルブは、前記リヤソレノイドバルブの動作により前記油圧源からの初期油圧を供給、遮断切換え可能なリヤ油室と、トランスミッションの油圧回路内を循環するライン圧を導入するリヤ第1ポートと、前記リヤクラッチに連通するリヤ第2ポートと、を備え、
前記セーフティバルブは、前記フロント油室と連通するセーフティ油室と、前記フロントクラッチに連通するセーフティ第1ポートと、前記リヤクラッチに連通するセーフティ第2ポートと、油圧をドレンするドレンポートとを備え、
前記フロントソレノイドバルブ或はリヤソレノイドバルブの両ソレノイドバルブが前記フロント油室及びリヤ油室へ初期油圧を供給しないように動作すると、前記セーフティ第1ポートとドレンポートが連通するとともに前記セーフティ第2ポートとドレンポートが連通し、前記フロントソレノイドバルブ或はリヤソレノイドバルブのいずれか一方のソレノイドバルブが前記フロント油室或はリヤ油室へ初期油圧を供給するように動作すると、前記セーフティ油室に油圧が供給されてセーフティ第1ポートとドレンポートを遮断するとともにセーフティ第2ポートとドレンポートを遮断するスプール弁であることを特徴とする電気シフト式パワーシフトトランスミッション。 - 前記セーフティバルブは、前記クラッチと油圧源の間で前記シフトバルブと並列に配設され、前記シフトバルブが第2位置になるように前記ソレノイドバルブが動作すると前記クラッチ内の油圧をドレンすることを特徴とする請求項1の電気シフト式パワーシフトトランスミッション。
- 前記ソレノイドバルブは、前記スプールを圧油の供給により移動させることを特徴とする請求項1の電気シフト式パワーシフトトランスミッション。
- 前記フロントシフトバルブは油圧をドレンするドレンポートを備えており、前記リヤクラッチへ油圧を供給する際に前記フロント第2ポートと前記ドレンポートが連通するスプール弁であることを特徴とする、請求項3の電気シフト式パワーシフトトランスミッション。
- 前記リヤシフトバルブは油圧をドレンするドレンポートを備えており、前記フロントクラッチへ油圧を供給する際に前記リヤ第2ポートと前記ドレンポートが連通するスプール弁であることを特徴とする、請求項3の電気シフト式パワーシフトトランスミッション。
- 前記セーフティバルブは、前記油圧源とシフトバルブの間に配設され、前記シフトバルブが第2位置になるように前記ソレノイドバルブが動作すると前記油圧源とシフトバルブとの間を遮断することを特徴とする請求項1の電気シフト式パワーシフトトランスミッション。
- 圧油を発生させる油圧源と、
圧油の供給により係合し、車輌を走行させるクラッチと、
前記油圧源からの圧油をクラッチに供給する状態と、遮断する状態を切換え可能なシフトバルブと、を備えるパワーシフトトランスミッションであって、
前記シフトバルブは、スプールと前記スプールを移動させるソレノイドバルブを備え、前記ソレノイドバルブの動作によって前記スプールを前記クラッチに油圧を導入する第1位置と、前記クラッチへの油圧を遮断する第2位置との2つの位置に切換え可能で、
前記スプールが第2位置になるように前記ソレノイドバルブが動作する場合には、前記クラッチが係合しないように油圧を制御するセーフティバルブを有するとともに、
前記クラッチは車輌を前進させるフロントクラッチと車輌を後進させるリヤクラッチであり、
前記シフトバルブは前記フロントクラッチへの油圧を供給、遮断の切換え可能なフロントシフトバルブと前記リヤクラッチへの油圧を供給、遮断の切換え可能なリヤシフトバルブであり、
前記ソレノイドバルブはフロントシフトバルブの切換えを行うフロントソレノイドバルブと、前記リヤシフトバルブの切換えを行うリヤソレノイドバルブとを備え、
前記フロントシフトバルブは、前記フロントソレノイドバルブの動作により前記油圧源からの初期油圧を供給、遮断切換え可能なフロント油室と、前記セーフティバルブと連通するフロント第1ポートと、前記フロントクラッチに連通するフロント第2ポートと、を備え、
前記リヤシフトバルブは、前記リヤソレノイドバルブの動作により前記油圧源からの初期油圧を供給、遮断切換え可能なリヤ油室と、前記セーフティバルブと連通するリヤ第1ポートと、前記リヤクラッチに連通するリヤ第2ポートと、を備え、
前記セーフティバルブは、前記油圧源からのライン圧を導入するセーフティ第1ポートと、前記フロント油室と連通するセーフティ油室と、油圧をドレンするドレンポートと、前記フロント第1ポート及びリヤ第1ポートと連通するセーフティ第2ポートとを備えており、前記フロントソレノイドバルブ或はリヤソレノイドバルブのいずれか一方が前記フロント油室或はリヤ油室へ初期油圧を供給するように動作すると、前記セーフティ第1ポートとセーフティ第2ポートが連通し、前記フロントソレノイドバルブ及びリヤソレノイドバルブの両ソレノイドが前記フロント油室或はリヤ油室へ初期油圧を供給しないときには、前記セーフティ第1ポートとセーフティ第2ポートとを遮断するとともに前記セーフティ第2ポートとドレンポートを連通するスプール弁であることを特徴とする電気シフト式パワーシフトトランスミッション。 - 前記油圧源からの油圧をフロントクラッチに供給する際に、前記セーフティバルブからリヤシフトバルブを介してフロントシフトバルブからフロントクラッチへ油圧が供給されることを特徴とする、請求項7の電気シフト式パワーシフトトランスミッション。
- 前記油圧源からの油圧をリヤクラッチに供給する際に、前記セーフティバルブからフロントシフトバルブを介してリヤシフトバルブからリヤクラッチへ油圧が供給されることを特徴とする、請求項7の電気シフト式パワーシフトトランスミッション。
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