JPS6238418Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、走行伝動系に、シフタ操作用パイロ
ツト式バルブに対する操作バルブを備えたギア変
速装置と、シフター操作用パイロツト式バルブに
対する操作バルブを備えた前後進切換装置ならび
に流体圧クラツチとが直列状態で介在されてあ
り、そのうち、前記流体圧クラツチは、前後進切
換装置のパイロツト式バルブに対してそれから作
動用圧力流体が供給されるように接続されている
とともに、前記パイロツト式バルブから流体圧ク
ラツチへの流路には、前記ギア変速装置のパイロ
ツト式バルブの開閉によつて操作されるクラツチ
操作用弁機構が介在されている作業車の伝動装置
に関する。

上記構成の従来装置では、前記ギア変速装置を
中立状態から所望の変速状態に変速したとき及び
前後進切換装置を中立状態から前進状態に切換え
たときの何れにおいても前記クラツチが急速に入
り作動されるから、変速途中での不測の減速を極
力抑制した状態で円滑な変速を行なうことができ
るものの、前後進切換え時には速度差が大きい状
態で急激に入り作動されるため、操縦者に大きな
シヨツクを与える欠点があつた。

本考案は、上述のような変速時の欠点を改善す
る点に目的を有する。

かかる目的を達成するためになされた本考案の
伝動装置による特徴構成は、前記前後進切換装置
のパイロツト式バルブとクラツチ操作用弁機構と
の間の流路に、この流路内に供給される圧力流体
の一部を絞り状態でアンロードさせる手段及び前
記流路内の圧力が設定値以上に達したとき圧力流
体のアンロードを自動的に停止する手段とを備え
た弁機構が介在されている点にあり、この特徴構
成による作用、効果は次の通りである。

〈作 用〉 つまり、前後進切換用操作バルブを中立状態か
ら前進状態又は後進状態に操作したとき、これの
パイロツトバルブとクラツチ操作用弁機構との間
の流路に供給される圧力流体の一部が弁機構を通
して絞り状態でアンロードされるから、この流路
内圧がクラツチ作動設定圧に上昇するまでの時間
が長くなり、流体圧クラツチがゆつくり入り作動
される。それでいて、前記ギア変速装置の変速操
作時には、前記流路内の圧力がクラツチ作動設定
圧まで上昇しているから、前記流体圧クラツチが
急速に入り作動される。

〈効 果〉 従つて、前述のような弁機構を介在させるだけ
の簡単な改造をもつて、シヨツクの少ない状態で
円滑安全な変速を行ない得るに至つた。

次に本考案の実施例を例示図に基づいて説明す
る。

第１図に示すように、エンジンＥからの動力を
ギア変速装置１、多板式油圧クラツチ２、前後進
切換装置３、副変速装置４、及び、超減速用切換
装置５にその順で伝達し、超減速用切換装置５か
ら取出された動力を、後車輪用デフ装置８Ａを介
して左右一対の後車輪６に、かつ、伝動軸７及び
前車輪用デフ装置８Ｂを介して左右一対の操向用
前車輪９に夫々伝達するように構成してある。そ
して、ギア変速装置１の伝動上手側から分岐した
動力を動力取出用変速装置１０及び多板式油圧ク
ラツチ１１を介して作業機駆動用動力取出軸１２
に伝達するように構成し、４輪駆動型のトラクタ
ー等の作業車の伝動装置を構成してある。

前記各装置１，３，４，５，１０を構成する
に、第１図及び第２図に示すように、中立位置Ｎ
を含めてロータリー式の９位置Ｎ，F₁〜F₈切換
弁に構成された走行系変速操作バルブV₁によ
り、ギア変速装置１における２本の変速シフター
ａ，ｂ操作用のアクチユエータ１３ａ，１３ｂ及
び、副変速装置４における高低速切換用シフター
ｃ操作用のアクチユエータ１４を一体操作し、ギ
ア変速装置１での４段変速と副変速装置４での２
段変速を現出するように構成すると共に、摺動式
３位置Ｎ，Ｆ，Ｒ切換弁に構成された前後進切換
用操作バルブV₂により前後進切換用シフターｄ
操作用のアクチユエータ１５を操作し、もつて、
前後進各８段変速状態を得るように構成してあ
る。

そして、機械操作式シフト装置１６により超減
速用切換装置５を操作し、通常減速状態と超減速
状態とを切換え現出するように構成すると共に、
同じく機械操作式のシフト装置１７により前記前
車輪駆動用伝動軸７への動力伝達を断続操作し
て、２輪駆動状態と４輪駆動状態とを切換え現出
するように構成してある。

又、中立位置ｎを含めてロータリー式の５位置
ｎ，f₂〜f₄切換弁に構成された動力取出系変速バ
ルブV₃により、動力取出用変速装置１０におけ
る２本の変速シフターｄ，ｅ操作用のアクチユエ
ータ１８ａ，１８ｂを一体操作し、動力取出系４
段変速を行なうように構成してある。

尚、図中Ｐは、ミツシヨンケースＭの入力軸S₁
に直結した操作用圧油供給ポンプである。

前記各クラツチ２，１１を操作するに、同第２
図に示すように、前記各アクチユエータ１３ａ，
１３ｂ，１４，１５，１８ａ，１８ｂにおけるピ
ストンロツド１９を摺動スプールに兼用利用する
状態でそれらアクチユエータ１３ａ，１３ｂ，１
４，１５，１８ａ，１８ｂが中立状態にあるとき
のみ対応するバルブV₁，V₂，V₃からの圧油流動
を阻止する６個の３位置切換形パイロツト式バル
ブX₁〜X₆を構成し、それらバルブX₁〜X₆からの
パイロツト圧により各別に操作される５個の２位
置切換形バルブy₂〜y₅のうち、走行系の３個y₂，
y₃，y₄で走行系油圧クラツチ２を、かつ、動力取
出系の２個y₅，y₆で動力取出系油圧クラツチ１１
を、各バルブV₁，V₂，V₃の変速操作に伴ない
夫々自動操作する弁機構Ｙ，Y′を構成してあ
る。

従つて、前記走行変速用操作バルブV₁或いは
前後進切換用操作バルブV₂をある変速位置から
他の変速位置に変速するに際して、作動状態にあ
つた何れかのパイロツト式バルブが中立状態に戻
つた時点で走行系クラツチ２が自動的に切り作動
され、かつ、中立状態にあつた何れかのパイロツ
ト式バルブが作動状態に切換つた時点で走行系ク
ラツチ２が自動的に入り作動される。

尚、図中２０は、ポンプＰに対するリリーフ弁
２１回路を兼用利用した対クラツチ２，１１潤滑
油供給路である。

而して、前記前後進切換装置３のパイロツト式
バルブX₁とクラツチ操作用弁機構Ｙとの間の流
路に、この流路内の圧油をドレンさせる流路２２
ｃと可変絞り弁２２ａならびに、前記流路の内圧
が設定圧に達したとき自動的かつ可逆的に閉じ作
動させるパイロツト式開閉バルブ２２ｂとからな
る弁機構２２を接続して、前記の前後進切換用操
作バルブV₂が中立状態Ｎから前進状態Ｆ又は後
進状態に操作されたとき、流路内が設定圧に達す
るまで該流路内の圧油を可変絞り弁２２ａ及びパ
イロツト式開閉バルブ２２ｂを介してドレンさせ
ることにより、クラツチ作動設定圧までゆつくり
昇圧させるべく構成している。

また、前記走行系変速操作バルブV₁に対する
変速操作装置を構成するに、このバルブV₁の操
作軸２３にギア機構２４を介して連動する電動モ
ータ２５と、変速操作レバー２６の操作位置を検
出するポテンシヨメーター２７ならびに、前記操
作軸２３の回動量を検出するポテンシヨメーター
２８とを設けるとともに、前記両ポテンシヨメー
ター２７，２８の検出結果に基づいて、前記バル
ブV₁が変速レバー２６にて指定された変速状態
となるように前記電動モータ２５を自動的に作動
制御する制御部２９を設けている。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る作業車の伝動装置の実施例
を示し、第１図は伝動系全体の概略平面図、第２
図は油圧回路図、第３図は変速操作系統図であ
る。 １……ギア変速装置、２……流体圧クラツチ、
３……前後進切換装置、２２……弁機構、２２ａ
……可変絞り弁、２２ｂ……パイロツト式開閉バ
ルブ、X₁，X₃……パイロツト式バルブ、V₁，V₂
……操作バルブ、Ｙ……クラツチ操作用弁機構。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 走行伝動系に、シフタ操作用パイロツト式バ
   ルブX₃に対する操作バルブV₁を備えたギア変
   速装置１と、シフター操作用パイロツト式バル
   ブX₁に対する操作バルブV₂を備えた前後進切
   換装置３ならびに流体圧クラツチ２とが直列状
   態で介在されてあり、そのうち、前記流体圧ク
   ラツチ２は、前後進切換装置３のパイロツト式
   バルブX₁に対してそれから作動用圧力流体が
   供給されるように接続されているとともに、前
   記パイロツト式バルブX₁から流体圧クラツチ
   ２への流路には、前記ギア変速装置１のパイロ
   ツト式バルブX₃の開閉によつて操作されるク
   ラツチ操作用弁機構Ｙが介在されている作業車
   の伝動装置において、前記前後進切換装置３の
   パイロツト式バルブX₁とクラツチ操作用弁機
   構Ｙとの間の流路に、この流路内に供給される
   圧力流体の一部を絞り状態でアンロードさせる
   手段及び前記流路内の圧力が設定値以上に達し
   たとき圧力流体のアンロードを自動的に停止す
   る手段とを備えた弁機構２２が介在されている
   作業車の伝動装置。 前記弁機構２２が可変絞り弁２２ａ及びパイ
   ロツト式開閉バルブ２２ｂから構成されたもの
   である実用新案登録請求の範囲第項に記載の
   作業車の伝動装置。