JP3873272B2 - 被写体距離表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は被写体距離表示装置に係り、特にテレビカメラ用のレンズ装置において合焦する被写体の距離を表示する被写体距離表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
放送用テレビカメラ等に使用されるテレビレンズシステムにおいて、レンズ装置のフォーカスレンズが現在設定されているフォーカスレンズ位置、又は、フォーカスデマンド等のフォーカス指示手段からレンズ装置に指示されているフォーカスレンズ位置を取得し、その取得したフォーカスレンズ位置において合焦される被写体の距離を求めて被写体距離を表示する被写体距離表示装置が提案されている(特願2001−85136号、特願2001−285236号参照)。被写体距離を求めるためには、事前にフォーカスレンズ位置と被写体距離との対応付けを行っておく必要があるが、例えば、次のような方法で対応付けが行われる。まず、ある位置に測定物を配置してレンズ装置からその測定物までの距離を実測しておき、レンズ装置のフォーカスレンズを駆動してその測定物にピントを合わせる。被写体距離表示装置においては、レンズ装置からそのとき設定されているフォーカスレンズ位置が取得される。ここで、被写体距離表示装置に測定物までの距離を実測した実測値を入力する。これによって、そのときレンズ装置で設定されているフォーカスレンズ位置と被写体距離との対応付けが行われる。このような作業を測定物の距離を変えて繰り返し行うことで、複数のフォーカスレンズ位置と被写体距離とが対応付けされる。これを基にフォーカスレンズ位置と被写体距離との関係を示す距離関数が求められ、フォーカスレンズ位置の可変範囲全域の各点と被写体距離とが対応付けされる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のような被写体距離表示装置において、これまで、既に入力した被写体距離のデータを確認することができず、例えば、入力ミス等により誤った値を入力していた場合、どのデータが誤っているかを知ることが困難であった。特に、誤ったデータに基づいて表示される被写体距離の表示が明らかに異常である場合を除いては、入力したデータに入力ミス等の誤りがあることに気付くことも困難であり、被写体距離を誤認してしまうという問題があった。また、入力したデータに誤りがあることに気付いたとしてもどのデータが誤りなのかを知ることができないため、入力した全てのデータを消去して最初から全てのデータを入力し直す必要があり、煩雑な手間を要するという問題があった。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、フォーカスレンズ位置と被写体距離とを対応付けるために必要なデータの入力ミス等の誤りを容易に発見、修正できるようにし、また、明らかに入力ミス等の誤りと思われる異常なデータの入力をできるだけ排除するようにした被写体距離表示装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、レンズ装置のフォーカスレンズが現在設定されているフォーカスレンズ位置を取得し、又は、前記フォーカスレンズの設定すべき位置としてフォーカス指示手段からレンズ装置に指示されているフォーカスレンズ位置を取得し、該取得したフォーカスレンズ位置に対応する被写体距離を表示する被写体距離表示装置であって、前記取得したフォーカスレンズ位置に対応する被写体距離を表示する情報表示モードと、フォーカスレンズ位置と被写体距離とを対応付けするために所望のフォーカスレンズ位置に対応する被写体距離のデータを入力手段により入力することによって複数のフォーカスレンズ位置に対応する被写体距離のデータをメモリに登録するデータ編集モードとを切り替えるモード切替手段を備え、該モード切替手段により前記情報表示モードに設定されている場合に、前記取得したフォーカスレンズ位置に対応する被写体距離を前記メモリに格納された被写体距離のデータに基づいて表示する被写体距離表示装置において、前記データ編集モードにおいて、前記メモリに登録されている被写体距離のデータを数値又はグラフで表示するデータ表示手段と、前記データ編集モードにおいて、前記メモリに登録されている被写体距離のデータのうち、所望のデータを削除し、又は、修正する修正手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
また、請求項に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記データ編集モードにおいて、前記入力手段又は前記修正手段によって所定のフォーカスレンズ位置に対応する被写体距離のデータが新たに入力された際に、該新たに入力された被写体距離のデータと、前記メモリに既に登録されている他のフォーカスレンズ位置に対応する被写体距離のデータとの大小関係に基づいて前記新たに入力された被写体距離のデータが異常値か否かを判断する異常値判断手段と、前記異常値判断手段によって異常値と判断された場合に、異常値であることを警告する警告手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、フォーカスレンズ位置と対応付けて事前に入力された被写体距離のデータを表示できるようにしたため、入力ミス等により異常なデータがある場合には、容易にその異常なデータに気付くことができる。また、すでに入力されている被写体距離のデータのうち所望のデータを削除、又は、修正できるようにしたため、一部のデータに入力ミス等があっても全てのデータを入力し直す必要がなく、容易に正しいデータに修正することができる。
【0009】
また、新たな被写体距離のデータ入力時において、既に入力されている他のデータとの大小関係の比較により、異常なデータと判断される場合には、異常であることを警告するようにしたため、入力ミス等と思われる異常なデータの入力を排除することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る被写体距離表示装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0011】
図1は、本発明が適用されるテレビレンズシステムの全体構成を示した制御ブロック図である。まず、テレビレンズシステムにおいて使用されるレンズ装置10の概略構成について説明する。レンズ装置10には、例えば、周知のように、ズームレンズ(群)ZL、フォーカスレンズ(群)FL、エクステンダレンズ (群)EL、アイリスIなどの光学部品が配置されている。また、これらの光学部品のそれぞれに対応してレンズ装置10には、ズームモータZM、フォーカスモータFM、エクステンダモータEM、及び、アイリスモータIMが設けられていると共に、各モータの動力を各光学部品に伝達する動力伝達機構(ギア列)ZG、FG、EG、IGが設けられている。各モータが回動すると、各光学部品が駆動され、例えば、ズームモータZMによりズームレンズZLが駆動されると撮影倍率が変化し、フォーカスモータFMによりフォーカスレンズFLが駆動されると撮影距離(被写体距離)が変化する。エクステンダモータEMによりエクステンダレンズELが駆動されると撮影倍率が例えば1倍から2倍、又は、2倍から1倍に切り替わり、アイリスモータIMによりアイリスIが駆動されると絞り位置(絞り径)が変化する。
【0012】
一方、レンズ装置10には、ズームコントローラZC、フォーカスコントローラFC、エクステンダコントローラECからそれぞれズーム制御に関するズーム制御信号、フォーカス制御に関するフォーカス制御信号、エクステンダ制御に関するエクステンダ制御信号が与えられると共に、レンズ装置10が装着されるカメラ本体からアイリス制御に関するアイリス制御信号が入力されるようになっている。これらの制御信号は、例えばアナログ信号であり、レンズ装置10内におけるA/D変換器12によりデジタル信号に変換される。
【0013】
また、レンズ装置10にはCPU14が搭載されており、このCPU14には、上記A/D変換器12によりデジタル信号に変換された各制御信号が入力されると共に、ズームレンズZL、フォーカスレンズFL、エクステンダレンズEL、アイリスIのそれぞれの現在位置を示す位置信号が各ポテンショメータZP、FP、EP、IPから入力されるようになっている。CPU14は、ズーム、フォーカス、エクステンダ、アイリスに関するそれぞれの制御信号及び位置信号に基づいて、ズームレンズZL、フォーカスレンズFL、エクステンダレンズEL、アイリスIが各制御信号により指示された目標位置又は目標速度となるように各モータZM、FM、EM、IMを駆動する駆動信号を出力する。
【0014】
ここで、一般にズーム制御信号は、ズームの目標速度を指示するものであり、その他の制御信号は目標位置を指示するものである。また、CPU14から出力される駆動信号は、各モータの回転速度(回転方向も含む)を指示するものである。
【0015】
CPU14から出力された駆動信号は、D/A変換器16によりアナログ信号に変換され、ズームモータZMに対する駆動信号はズーム用アンプZAに入力され、フォーカスモータFMに対する駆動信号はフォーカス用アンプFAに入力され、エクステンダモータEMに対する駆動信号はエクステンダ用アンプEAに入力され、アイリスモータIMに対する駆動信号はアイリス用アンプIAに入力される。各アンプZA、FA、EA、IAは、入力された駆動信号に応じた回転速度となるように対応する各モータへの印加電圧を制御する。これによって、ズームレンズZL、フォーカスレンズFL、エクステンダレンズEL、アイリスIが各制御信号により指示された目標位置又は目標速度に設定される。
【0016】
以上のように構成されたレンズ装置10に対し、本発明に係る被写体距離表示装置20は、例えば、ケーブルによりレンズ装置10の所定の通信用コネクタに着脱可能に接続される。尚、本実施の形態における被写体距離表示装置20は、被写体距離だけでなく、その他の各種レンズ情報も表示されるため、以下、レンズ情報表示装置20という。また、レンズ情報表示装置20は、ネジ等によりレンズ装置10等に着脱自在に固定できるようにしてもよい。また、レンズ情報表示装置20は、レンズ情報表示用として専用に製作された装置でなくてもよく、市販のコンピュータ、例えば、パソコン(ノートパソコン等)やモバイル端末等であってもよい。
【0017】
レンズ情報表示装置20にはCPU22が搭載されると共にSCI(シリアルコミュニケーションインターフェース)24が搭載されており、外部機器との通信が可能となっている。また、レンズ装置10においてもSCI18が搭載されており、外部機器との通信が可能となっている。従って、レンズ情報表示装置20の通信用コネクタとレンズ装置10の通信用コネクタとをケーブル等により接続すると、レンズ情報表示装置20のCPU22は、レンズ装置10のCPU14との間で通信により信号のやり取りを行うことができるようになっている。尚、レンズ情報表示装置20とレンズ装置10との間の通信手段は、有線に限らず無線であってもよいし、通信方式はどのような方式であってもよい。
【0018】
レンズ情報表示装置20のCPU22は、このような通信手段を用いてレンズ装置10のCPU14から所要のレンズ情報を取得し、レンズ情報表示装置20のLCDパネル26に表示するレンズ情報を算出する。
【0019】
また、LCDパネル26は、タッチパネル機能付きのLCDパネルで、LCDパネル26の表面には、タッチパネル30が装着されており、CPU22は、LCDパネル26に所要の選択スイッチを表示させ、どの選択スイッチが画面上でタッチされたかをタッチパネル30及びタッチパネル制御部32を介して受入する。このような選択スイッチの選択によって、ユーザはLCDパネル26に表示するレンズ情報の内容や、処理モード(後述)を適宜切り替えることをできるようになっている。
【0020】
ここで、レンズ装置10から取得するレンズ情報は、レンズ装置10のCPU14において認識可能な情報であり、例えば、そのレンズ情報として、レンズ装置10の光学仕様を示す仕様データやレンズ装置10の型名、及び、ズームレンズZL、フォーカスレンズFL、エクステンダレンズEL、アイリスIの現在の設定位置を示す位置データ(位置情報)などがある。尚、ズームレンズZL、フォーカスレンズFL、エクステンダレンズEL、アイリスIの現在の設定位置をそれぞれ、ズームレンズ位置、フォーカスレンズ位置、エクステンダレンズ位置(エクステンダ倍率)、絞り位置(絞り径)という。
【0021】
仕様データには、LCDパネル26に表示するレンズ情報を求める際に必要となるレンズ装置10に固有のデータが含まれており、この仕様データと、ズームレンズ位置、フォーカスレンズ位置、エクステンダレンズ位置、絞り位置の位置データとを用いることによりレンズ装置10から取得したレンズ情報と異なる所望のレンズ情報を求めることができる。尚、レンズ情報表示装置20において多種のレンズ装置に対応した仕様データを予めメモリに登録しておき、仕様データをレンズ装置10から取得する代わりに、レンズ装置10の型名を取得することによってその型名に対応した仕様データをメモリから読み出すようにしてもよい。
【0022】
一方、レンズ情報表示装置20のLCDパネル26に表示するレンズ情報としては、例えば、レンズ装置10から取得したズームレンズ位置、フォーカスレンズ位置、エクステンダレンズ位置、絞り位置の他、被写体距離、被写界深度、焦点距離、画角、Fナンバー、Tナンバーなどがある。これらの被写体距離、被写界深度、焦点距離、画角、Fナンバー、Tナンバーなどのレンズ情報は、レンズ装置10から取得した仕様データ及び位置データに基づいて算出することが可能である。
【0023】
尚、レンズ情報表示装置20のCPU22において各レンズ情報をレンズ装置10から取得した仕様データと位置データに基づいて演算により求めるのではなく、レンズ情報表示装置20において予めメモリ登録されている変換テーブルにより各レンズ情報を求めLCDパネル26に表示するようにしてもよい。
【0024】
また、レンズ装置10により取得した各情報及びそれから算出した情報をファイル化し、ユーザが分かり易いファイル名(日付やシーンナンバー、場所の名前など)を指定してレンズ情報表示装置20の所定のメモリ(内蔵の書替え可能なメモリや着脱可能の記録媒体等)に保存できるようにすると共に、読出し可能にし、必要に応じて読み出した情報をLCDパネル26に表示できるようにし、又はプリントアウトできるようにしてもよい。このようにすると、例えば映画製作などの場合はレンズ装置の焦点距離や絞り値などを各シーンに応じて使い分けるが、撮りなおしを後日行なう場合に前回の撮影条件を簡単に記憶しておくことができ、それをLCDパネル26に表示等させることで、前回と同じ撮影条件で撮りなおしを行なうことができるので便利である。
【0025】
ところで、LCDパネル26に表示されるレンズ情報のうち、本発明の対象となる被写体距離の算出処理について説明すると、被写体距離を求めるためには、フォーカスレンズ位置と被写体距離とを対応付けることが必要である。本実施の形態では、フォーカスレンズ位置と被写体距離とを対応付けるための一つの方法として、フォーカスレンズ位置の何点かにおいて、各点に対応する被写体距離の実測値を事前に入力しておき、そのデータ(距離実測データ)に基づいてフォーカスレンズ位置の可変範囲全域に対してフォーカスレンズ位置と被写体距離との関係を示す距離関数を求める方法を採用する。この距離関数を用いることによってレンズ装置10からレンズ情報として取得したフォーカスレンズ位置に対応する被写体距離(フォーカスレンズ位置において合焦される被写体距離)を求めることができる。距離実測データの入力手順は、例えば、ある位置に測定物を配置してレンズ装置10からその測定物までの距離を実測しておき、レンズ装置10のフォーカスレンズ(群)FLを駆動してその測定物にピントを合わせる。そして、被写体距離表示装置に測定物までの距離を実測した実測値を入力する。これによって、そのときレンズ装置10で設定されているフォーカスレンズ位置と被写体距離との対応付けが行われる。このような作業を測定物の距離を変えて繰り返し行うことで、フォーカスレンズ位置についての複数点と被写体距離とが対応付けされ、それを基に距離関数が求められ、フォーカスレンズ位置の可変範囲全域の各点と被写体距離とが対応付けられる。
【0026】
尚、距離実測データは、本実施の形態では、レンズ情報表示装置20に内蔵された書替え可能なメモリ34に格納されるものとする。但し、レンズ情報表示装置20に対して着脱可能な記録媒体(図示せず)に距離実測データを格納するようにしてもよい。距離実測データをレンズ情報表示装置20に内蔵のメモリ34に格納する場合は、レンズ装置の種類ごとに対応した距離実測データをそのメモリ34に格納しておき、レンズ装置からレンズ情報として取得したレンズ装置の型名により、そのレンズ装置の種類に対応する距離実測データをメモリ34から読み出して距離関数を求めることで、複数種のレンズ装置に対応した被写体距離の情報を表示させることができる。距離実測データをレンズ情報表示装置20に対して着脱可能な記録媒体に格納する場合には、一つの記録媒体に上述と同様に複数種のレンズ装置に対応した距離実測データを格納できるようにすることで、上述と同様にして複数種のレンズ装置に対応した被写体距離の情報を表示させることができると共に、これと異なる方法として、レンズ装置の種類ごとに異なる記録媒体に距離実測データを格納しておき、使用するレンズ装置の種類に応じてレンズ情報表示装置20に装着する記録媒体を交換することにより、任意の種類のレンズ装置に対応した被写体距離の情報を表示させることもできる。更に、距離実測データをレンズ情報表示装置20におけるメモリ(内蔵のメモリ34、着脱可能な記録媒体)に格納するのではなく、レンズ装置10におけるメモリに格納しておき、その距離実測データをレンズ情報(仕様データ)としてレンズ装置10から取得するようにしてもよい。この場合において、レンズ装置10におけるメモリ(着脱可能な記録媒体も含む)に格納された距離実測データをレンズ情報表示装置20における操作で書き替えられるようにすれば後述のようにレンズ情報表示装置20における距離実測データの入力(修正、消去)操作により距離実測データの修正することができる。又は、レンズ情報表示装置20におけるメモリに距離実測データを格納する場合においてもレンズ装置10におけるメモリに標準の距離実測データを標準データとして格納しておき、レンズ情報表示装置20におけるメモリにそのレンズ装置の種類に対応した距離実測データが格納されていない場合にその標準データを使用できるようにし、また、レンズ情報表示装置20において距離実測データを入力する際における初期データとして使用できるようにしてもよい。
【0027】
次に、レンズ情報表示装置20のCPU22における各モード時の処理内容について、各モードにおいてLCDパネル26に表示される画面及びその画面操作と共に説明する。
【0028】
図2は、情報表示モードにおける情報表示モード画面の一例を示した図である。情報表示モードは、各種レンズ情報を表示する基本的な情報表示画面であり、同図に示すように画面上部の符号40で示す部分には、レンズ装置10の型名の情報が例えば「HA20×7.8」と表示されている。その下の符号42で示す部分には、被写体距離の情報が例えば「4.99m」と表示され、更にその下の符号44で示す部分には被写界深度の情報が、例えば前方被写界深度については「−3.18m」、後方被写界深度については「+∞m」と表示されている。
被写界深度の表示の下の符号46で示す部分には焦点距離の情報が例えば「7.5m」と表示され、更にその下の符号48で示す部分には画角の情報が、例えば、水平方向については「65°11′」、垂直方向については「39°32′」と表示されている。被写体距離の表示の左側の符号50で示す部分には、Fナンバーの情報が、例えば「2.2」と表示され、焦点距離の表示の左側の符号52で示す部分には、Tナンバーの情報が例えば「2.4」と表示されている。
【0029】
また、画面の下部には、データ編集モードへ移行するための選択スイッチ54が表示されており、この選択スイッチ54をタッチすると、後述のデータ編集モードへ移行することができる。データ編集モードには、入力モードと削除モードとがある。
【0030】
尚、上述の各種レンズ情報は、レンズ装置10において現在設定されているズームレンズ位置、フォーカスレンズ位置、エクステンダレンズ位置、絞り位置を示す位置データ(各ポテンショメータZP、FP、EP、IPにより得られた位置信号)に基づいて求めたものであるが、これらの位置データを使用する代わりにレンズ装置10のCPU14に与えられている目標位置を示す各種制御信号(ズーム制御信号、フォーカス制御信号、エクステンダ制御信号、アイリス制御信号のうち目標位置を指示するもの、以下、制御情報という)をレンズ情報表示装置20のCPU22で取得し、その制御情報に基づいて上述と同様のレンズ情報を求め、LCDパネル26に表示させるようにしてもよい。この場合にLCDパネル26に表示される各レンズ情報は、現在の制御信号の状態において最終的に達成される目標的な値を示す。
【0031】
また、以上のようなレンズ情報の種類や表示形態(数値表示と図形表示、メートル表示とヤード・ポンド表示、画面サイズ16:9における画角表示と画面サイズ4:3における画角表示等)を切替可能にしてもよい。この場合には画面に表示するレンズ情報の種類や表示形態を切り替えるための切替スイッチを画面に表示するようにしてもよい。
【0032】
図3は、データ編集モードに移行した場合の入力モードにおける入力モード画面の一例を示した図である。入力モードは上記距離実測データを入力するための画面であり、上記情報表示モードからデータ編集モードに移行すると、まず、この入力モード画面が表示される。同図に示すように、画面上部の符号60で示す部分には、レンズ装置10の型名の情報が例えば「HA20×7.8」と表示されている。画面中央部には0〜9までの数値を入力するためのテンキー62が表示されており、その上の表示部64には、テンキー62により入力された数値が例えば「5.02[m] 」と表示されている。距離実測データを入力する場合には、テンキー62をタッチして入力したい距離実測データを値を表示部64に表示させる。そして、入力スイッチ66をタッチすると、表示部64に表示されている距離実測データの値の入力が確定し、一方、取消スイッチ68をタッチすると、表示部64に表示されている値の入力は取り消される。距離実測データの具体的な入力操作手順は、上述したように、まず、ある位置に測定物を配置してレンズ装置10からその測定物までの距離を実測しておき、レンズ装置10のフォーカスレンズ(群)FLを駆動してその測定物にピントを合わせる。そして、テンキー62を使用して測定物までの距離を実測した実測値を距離実測データとして入力し、表示部64に表示された値により入力ミスがないかを確認して入力スイッチ66をタッチする。レンズ情報表示装置20のCPU22では、レンズ装置10からそのとき設定されているフォーカスレンズ位置を位置データとして取得しており、そのフォーカスレンズ位置と入力モード画面から入力された距離実測データとが対応付けられてメモリ34に格納される。このような作業を測定物の距離を変えて繰り返し行うことで、フォーカスレンズ位置についての複数点と被写体距離とが対応付けされ、それを基に距離関数が求められる。
【0033】
ここで、入力スイッチ66をタッチして新たな距離実測データを入力しようとした際に、CPU22において入力ミス(入力しようとする距離実測データが異常値か否か)の判断を行うようにしてもよい。例えば、本来であればフォーカスレンズ位置の値が大きくなるほど、被写体距離が小さくなる傾向を示す場合に、新たに入力しようとしている距離実測データがその本来の傾向から外れる場合には、その入力を無効にし、表示部64等に「エラー」等の文字を表示して、又は、警告音を発生させる等して、入力ミスの警告を行うようにしてもよい。新たに入力しようとしている距離実測データが、本来の傾向から外れているか否かの判断は、例えば、既に入力されている距離実測データに対応付けられているフォーカス位置のうち、新たに入力しようとしている距離実測データに対応付けられるフォーカス位置に対して、フォーカス位置が大きくなる方向と小さくなる方向のそれぞれ最も近い位置にあるフォーカスレンズ位置の距離実測データ(いずれか一方にしか既に入力された距離実測データが無い場合にはその方向の距離実測データのみ)と、新たに入力しようとしている距離実測データとを比較し、その大小関係が正しいか否かの判断で行うことができる。
【0034】
また、入力モード画面の下部には、上記情報表示モードへ移行するための選択スイッチ70やデータ編集モードにおける削除モードへ移行するための選択スイッチ72が表示される。選択スイッチ70をタッチすると情報表示モードへ移行し、選択スイッチ72をタッチすると削除モードへ移行する。
【0035】
図4は、データ編集モードの削除モードにおける削除モード画面の一例を示した図である。削除モードは、既に入力されている距離実測データのうち所望のデータを削除するためのモードであり、同図に示すように画面上部の符号80で示す部分には、レンズ装置10の型名の情報が例えば「HA20×7.8」と表示されている。画面中央部の符号82で示す部分には、既に入力されている距離実測データがグラフにより表示されている。このグラフ表示において、横軸は、例えば0〜100の範囲のフォーカスレンズ位置を示し、縦軸は、例えば0〜10(m)までの被写体距離(距離実測データ)を示す。グラフ中「○」で示されている点(選択点)Sは距離実測データが入力されている点であって、現在選択されている点を示す。このように距離実測データをグラフ表示することによって、既に入力(メモリに格納)されている距離実測データに異常なデータが存在しないか否かの確認が容易となる。例えば、図中の選択点Sの距離実測データは、周辺の距離実測データと比較すると明らかに大小関係が不自然であり異常値であるということが容易に判断できる。尚、距離実測データをグラフ表示するのではなく、フォーカスレンズ位置との対応が分かるように数値により表示してもよい。
【0036】
画面右上の表示部84には、現在選択されている選択点Sにおける距離実測データが例えば「5.02m」と表示されており、この状態で、その下の消去スイッチ86をタッチすると、選択点Sの距離実測データが消去されるようになっている。即ち、選択点Sの距離実測データが不自然であり、入力ミスと判断した場合には、消去スイッチ86をタッチすることでその距離実測データのみをメモリ34から削除することができるようになっている。このように、ある距離実測データを削除したとしても、他の距離実測データは削除されることなく、そのままメモリ34に保存されるため、誤ったデータを入力した場合であっても容易に修正作業を行うことができる。尚、削除した距離実測データに対して正しい実測データを入力する場合には、上記入力モードに移行し、その削除した距離実測データを入力した際に配置した測定物の位置に再度測定物を配置して(必ずしも同じ位置である必要はない)その測定物までの距離を実測し、その実測値を上述のように入力する。また、このようなデータ入力操作を行わずに、距離実測データを削除した後、レンズ装置10のフォーカスレンズ位置にかかわらず、削除した距離実測データのフォーカスレンズ位置に対応する正しい距離実測データを即座に入力できるようにしてもよい。
【0037】
また、削除モード画面の表示部84の右側の符号88で示す部分には「○」印が表示されており、この「○」印をタッチすると、選択点Sがグラフ上、その選択点Sに隣接する右側(フォーカスレンズ位置が大きくなる方向)のデータ入力点に移るようになっている。また、表示部84の左側の符号90で示す部分にも「○」印が表示されており、この「○」印をタッチすると、選択点Sがグラフ上、その選択点Sに隣接する左側(フォーカスレンズ位置が小さくなる方向)のデータ入力点に移るようになっている。
【0038】
画面下部には、上記情報表示モードへ移行するための選択スイッチ92やデータ編集モードにおける上記入力モードへ移行するための選択スイッチ94が表示される。選択スイッチ92をタッチすると情報表示モードへ移行し、選択スイッチ94をタッチすると入力モードへ移行する。
【0039】
次に、上記レンズ情報表示装置20のCPU22における被写体距離表示に関する処理手順について図5のフロチャートを用いて説明する。電源が投入されると、CPU22は所要の初期設定を行った後(ステップS10)、レンズ装置10との通信接続を行う(ステップS12)。次に、レンズ装置10からフォーカスレンズFLの位置(フォーカスレンズ位置)を受信する(ステップS14)。続いて、データ編集モードか否かを判定する(ステップS16)。ここで、NOと判定した場合には情報表示モードに移行し(初期では情報表示モードとなる)、現在のフォーカスレンズ位置と、上述のように距離実測データから求めた距離関数により被写体距離を算出する(ステップS18)。そして、図2に示したような情報表示モード画面をLCDパネル26に表示し、その画面において被写体距離のデータを表示する(ステップS20)。以上の処理が終了すると、上記ステップS14の処理に戻る。尚、情報表示モード画面には、図2に示したようにデータ編集モードに移行するための選択スイッチ54が表示されており、その選択スイッチをタッチすると、データ編集モードに移行する。
【0040】
上記ステップS16において、YES、即ち、データ編集モードと判定した場合、次に、データ編集モードにおける入力モードに移行し、図3に示したような入力モード画面をLCDパネル26に表示させる(ステップS22)。続いて、データ削除モードか否かを判定する(ステップS24)。ここで、NOと判定した場合には入力モードの処理を継続する。尚、図3に示した入力モード画面において選択スイッチ72をタッチするまでは、入力モードであり、選択スイッチ72をタッチすると削除モードに移行する。入力モードにおいて、CPU22は、操作入力に従い、レンズ装置10から取得したフォーカスレンズ位置と距離実測データとして入力された値を対応付けてメモリ34に登録する(ステップS26)。尚、このメモリ34への距離実測データの登録時に上記入力ミスを判断する処理を行うようにしてもよい。
【0041】
続いて、メモリ34に記憶されている複数のフォーカスレンズ位置とそれに対応する距離実測データより距離関数を算出する(ステップS28)。そして、ステップS14に戻る。尚、図3に示した入力モード画面において選択スイッチ70をタッチすると、データ編集モードが終了し、情報表示モードに移行する。
【0042】
上記ステップS24において、YES、即ち、データ削除モードと判定した場合、CPU22は、図4に示したような削除モード画面をLCDパネル26に表示させる(ステップS30)。そして、上述のように削除モード画面における操作入力に従い指定されたデータ(フォーカスレンズ位置と距離実測データ)の消去を行う(ステップS32)。続いて、上記ステップS28に移行し、データ消去後に残ったデータに基づいて距離関数を算出して上記ステップS14に戻る。尚、図4に示した削除モード画面において、選択スイッチ92をタッチすると情報表示モードに移行し、選択スイッチ94をタッチすると入力モードに移行する。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る被写体距離表示装置によれば、フォーカスレンズ位置と対応付けて事前に入力された被写体距離のデータを表示できるようにしたため、入力ミス等により異常なデータがある場合には、容易にその異常なデータに気付くことができる。また、すでに入力されている被写体距離のデータのうち所望のデータを削除、又は、修正できるようにしたため、一部のデータに入力ミス等があっても全てのデータを入力し直す必要がなく、容易に正しいデータに修正することができる。
【0044】
また、新たな被写体距離のデータ入力時において、既に入力されている他のデータとの大小関係の比較により、異常なデータと判断される場合には、異常であることを警告するようにしたため、入力ミス等と思われる異常なデータの入力を排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明が適用されるテレビレンズシステムの全体構成を示した制御ブロック図である。
【図2】図2は、情報表示モードにおける情報表示モード画面の一例を示した図である。
【図3】図3は、データ編集モードに移行した場合の入力モードにおける入力モード画面の一例を示した図である。
【図4】図4は、データ編集モードの削除モードにおける削除モード画面の一例を示した図である。
【図5】図5は、レンズ情報表示装置のCPUにおける被写体距離表示に関する処理手順を示したフロチャートである。
【符号の説明】
10…レンズ装置、14…CPU、20…レンズ情報表示装置(被写体距離表示装置)、22…CPU、26…LCDパネル、28…表示用ドライバ、30…タッチパネル

Claims (2)

  1. レンズ装置のフォーカスレンズが現在設定されているフォーカスレンズ位置を取得し、又は、前記フォーカスレンズの設定すべき位置としてフォーカス指示手段からレンズ装置に指示されているフォーカスレンズ位置を取得し、該取得したフォーカスレンズ位置に対応する被写体距離を表示する被写体距離表示装置であって、前記取得したフォーカスレンズ位置に対応する被写体距離を表示する情報表示モードと、フォーカスレンズ位置と被写体距離とを対応付けするために所望のフォーカスレンズ位置に対応する被写体距離のデータを入力手段により入力することによって複数のフォーカスレンズ位置に対応する被写体距離のデータをメモリに登録するデータ編集モードとを切り替えるモード切替手段を備え、該モード切替手段により前記情報表示モードに設定されている場合に、前記取得したフォーカスレンズ位置に対応する被写体距離を前記メモリに格納された被写体距離のデータに基づいて表示する被写体距離表示装置において、
    前記データ編集モードにおいて、前記メモリに登録されている被写体距離のデータを数値又はグラフで表示するデータ表示手段と、
    前記データ編集モードにおいて、前記メモリに登録されている被写体距離のデータのうち、所望のデータを削除し、又は、修正する修正手段と、
    を備えたことを特徴とする被写体距離表示装置。
  2. 前記データ編集モードにおいて、前記入力手段又は前記修正手段によって所定のフォーカスレンズ位置に対応する被写体距離のデータが新たに入力された際に、該新たに入力された被写体距離のデータと、前記メモリに既に登録されている他のフォーカスレンズ位置に対応する被写体距離のデータとの大小関係に基づいて前記新たに入力された被写体距離のデータが異常値か否かを判断する異常値判断手段と、前記異常値判断手段によって異常値と判断された場合に、異常値であることを警告する警告手段と、を備えたことを特徴とする請求項1の被写体距離表示装置。
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