まず、図1を参照して、本発明の実施例1における撮像装置の構成について説明する。図1は、本実施例における撮像装置1の構成図である。
図1において、10は光軸(撮影光軸)、11はレンズマイコン、12は撮影光学系(レンズユニット)である。撮影光学系12において、12aは焦点調節に用いられるフォーカスレンズ、12bはフォーカスレンズ12aを光軸10に沿って駆動させるモータ、12cはモータ12bを駆動するフォーカスレンズ駆動手段、12dは絞りである。13はカメラ本体(撮像装置本体)である。14は撮影光学系12を保持するレンズ鏡筒であり、カメラ本体13と着脱可能に構成されている。14aはフォーカス操作環である。
なお本実施例において、撮像装置1は、カメラ本体13と、カメラ本体13に着脱可能なレンズ装置(少なくとも、レンズ鏡筒14、撮影光学系12、レンズマイコン11、表示手段23などを備えて構成されるレンズ装置)とを備えて構成される。ただし本実施例は、これに限定されるものではなく、カメラ本体13とレンズ装置とが一体的に構成された撮像装置にも適用可能である。
15はカメラ本体13に設けられ、撮影光学系12を介して得られた被写体光束が結像する撮像素子である。16は、撮像素子15の出力信号(画像信号)に基づいて焦点状態を検出する焦点状態検出手段である。焦点状態は、撮像素子15からの画像信号のコントラスト評価値、または、撮影光学系12の互いに異なる瞳領域を通過した光束の位相差など、公知の技術により検出される。24はカメラマイコンであり、焦点状態検出手段16の検出結果に基づいて、レンズ鏡筒14にフォーカスレンズの駆動指令を送る。25はレリーズボタン(S1)である。レリーズボタン25の操作により、カメラマイコン24は、上記動作でフォーカスレンズを駆動させた後、撮像素子15を制御して撮像する。17はフォーカスレンズ制御手段である。フォーカスレンズ制御手段17は、カメラ本体13から得られたフォーカスレンズの駆動指令に基づいてフォーカスレンズ駆動手段12cを制御する。
18は、フォーカスレンズの位置を検出するフォーカスレンズ位置検出手段(位置検出手段)である。19は被写体距離算出手段である。被写体距離算出手段19は、フォーカスレンズ位置検出手段18からの信号および撮影光学系12により決定される撮影条件に基づいて被写体距離を算出する。被写体距離は、各撮影条件におけるフォーカスレンズの位置と被写体距離とを対応させるテーブルを予め記憶しておき、このテーブルを参照することで算出することもできる。
20は被写界深度算出手段である。被写界深度算出手段20は、被写体距離算出手段19からの信号(算出された被写体距離)、および、撮影光学系12により決定される撮影条件に基づいて、被写界深度を算出する。21は距離目盛生成手段である。距離目盛生成手段21は、表示させる距離目盛列の長さと各距離目盛の表示位置を決定する。本実施例において、距離目盛生成手段21は、フォーカスレンズ位置検出手段18の検出結果、および、被写体距離算出手段19と被写界深度算出手段20の算出結果に基づいて、距離目盛列の長さと各距離目盛の表示位置を決定する。22は表示制御手段である。表示制御手段22は、距離目盛生成手段21により生成された距離目盛列の表示を制御する。23は表示手段である。表示手段23は、液晶モニタなどで構成され、表示制御手段22により作成された表示内容(被写体距離に関する情報)を表示する。後述のように、表示制御手段22は、フォーカスレンズ位置検出手段18、被写体距離算出手段19、および、被写界深度算出手段20からの信号に基づいて、表示手段23に表示される被写体距離に関する情報の表示を変更する。
本実施例において、フォーカスレンズ制御手段17、被写体距離算出手段19、被写界深度算出手段20、距離目盛生成手段21、および、表示制御手段22は、レンズマイコン11に設けられている。
以下、被写界深度表示を行う際の課題を解決するための撮像装置1の動作について、図1を参照して撮影者の作業に沿って説明する。カメラマイコン24は、カメラ本体13に設けられたレリーズボタン25の操作に基づいて、焦点状態検出手段16に対して撮影被写体の焦点状態を検出させるように制御する。焦点状態検出手段16の検出結果は、カメラマイコン24およびレンズマイコン11を介して、フォーカスレンズ制御手段17に入力される。フォーカスレンズ制御手段17は、フォーカスレンズ駆動手段12cを介してモータ12bを駆動する。これにより、フォーカスレンズ12aは光軸10の方向に駆動される(光軸方向に移動する)。
次に、フォーカスレンズ位置検出手段18は、駆動したフォーカスレンズの位置を検出する。そして被写体距離算出手段19は、撮影光学系12より決定される撮影光学系12の焦点距離などの撮影条件に応じて、被写体距離を算出する。また、被写界深度算出手段20は、算出された被写体距離および撮影光学系12より決定される撮影光学系12の焦点距離や絞り12dの開口径などの撮影条件に応じて、被写界深度を算出する。
続いて、距離目盛生成手段21は、検出されたフォーカスレンズの位置、および、算出された被写体距離と被写界深度に基づいて、表示する距離目盛列の長さおよび各距離目盛の表示位置を決定する。なお、表示形態の変更方法については後述する。最後に、表示制御手段22は、距離目盛生成手段21により生成された距離目盛列の表示画像を制御し、表示手段23上に表示する。
次に、図2を参照して、本実施例における撮像装置1の表示方法について説明する。図2は、表示手段23上に表示される被写体距離情報を示し、焦点距離が50mm、絞りの開口径で決定される絞り値(Fno)が5.6の場合に被写体距離が変化する際の表示の変化を示している。図2(a)は被写体距離が1mの場合、図2(b)は被写体距離が3mの場合、図2(c)は被写体距離が5mの場合の表示例である。26は、表示手段23における表示枠、27は距離目盛列である。27a、27b、27c、27d、27e,27fは、各被写体距離に対応する距離目盛であり、距離目盛列27は、複数の距離目盛27a〜27eにより構成される目盛列である。ただし、表示される距離目盛は、表示枠26に囲まれた範囲内の距離目盛である。28は現在ピントの合っている被写体距離を示す固定指標、29aは被写界深度の前端を示す固定指標(被写界深度前端指標)、29bは被写界深度の後端を示す固定指標(被写界深度後端指標)である。距離目盛列27は、ピントを合わせた被写体距離に応じて、図2(a)〜(c)に示されるように変化する。
図2(d)は、撮像装置1を上側から見た図であり、撮像装置1に設けられた各部の配置を示している。被写界深度前端指標29aおよび被写界深度後端指標29bにより示される被写界深度は、そのときの光学状態において合焦とみなせる範囲であり、合焦している被写体距離を挟んで前側と後側に幅を有する。
図2では、許容錯乱円を0.02mmとした場合の被写界深度を例として示している。図2(a)では前側被写界深度が0.04m、後側被写界深度が0.04mであり、図2(b)では前側被写界深度が0.34m、後側被写界深度が0.45mであり、図2(c)では前側被写界深度が0.90m、後側被写界深度が1.41mである。
続いて、図2を参照して、距離目盛生成手段21における距離目盛列27の生成方法について説明する。まず、表示制御手段22は、被写体距離算出手段19により算出された被写体距離が固定指標28に一致するように表示する。図2(b)は被写体距離が3mの場合を示しているため、距離目盛27dが固定指標28に一致するように表示される。
その後、被写界深度算出手段20により算出された被写界深度が、被写界深度前端指標29aおよび被写界深度後端指標29bの幅で表示可能であるように、複数の距離目盛27a〜27fを表示する。距離目盛27a〜27fの表示位置は、フォーカスレンズの光軸方向の駆動範囲における現在のフォーカスレンズ位置と両被写界深度端におけるフォーカスレンズ位置の関係に基づいて、各被写体距離におけるフォーカスレンズ位置を表示位置に換算して示される。
図2(b)では、被写界深度前端指標29aが2.66mを、被写界深度後端指標29bが3.45mを示すように、距離目盛27a〜27fの表示位置が決定される。図2(a)は、被写体距離が1mの場合について示している。図2(a)において、距離目盛列27は、図2(b)の場合と同様に、まず被写体距離算出手段19により算出された被写体距離(1m)が固定指標28に一致するように表示される。その後、被写界深度算出手段20により算出された被写界深度に合わせて、被写界深度前端指標29aが0.96mに、被写界深度後端指標29bが1.04mに一致するように距離目盛27a〜27fの表示位置が決定される。
図2(c)は、被写体距離が5mの場合を示している。図2(c)において、距離目盛列27は、図2(a)、(b)の場合と同様に、まず被写体距離算出手段19により算出された被写体距離(5m)が固定指標28に一致するように表示される。その後、被写界深度算出手段20により算出された被写界深度に合わせて、被写界深度前端指標29aが4.10mに、被写界深度後端指標29bが6.41mに一致するように距離目盛27a〜27fの表示位置が決定される。
次に、図3を参照して、本実施例における表示動作について説明する。図3は、フォーカスレンズ位置と被写体距離との関係、各フォーカスレンズ位置に対応する距離目盛、および、各距離目盛の間隔の比率を示している。30は、撮影光学系12により決定されるフォーカスレンズ位置と被写体距離との関係である。図3に示されるように、距離目盛の間隔の比率は、フォーカスレンズ位置と被写体距離との関係に基づいて決定される。その後、被写界深度が距離目盛上で一定になるように、距離目盛27a〜27fの表示位置が決定されて距離目盛列27が生成される。このようにして距離目盛列27が生成されるため、距離目盛27a〜27fの間隔とフォーカスレンズの位置とは互いに対応しており、被写体距離が遠くなるほど距離目盛27a〜27fの間隔は狭くなる。
なお本実施例において、前述のように距離目盛列27の長さを変化させる表示方法と、従来のように距離目盛列27の長さが一定の表示方法とを切り替え可能に構成してもよい。また、フォーカスレンズ位置と距離目盛27a〜27fとの間隔には相関があるため、フォーカスレンズ位置が誤差を含む場合、距離目盛は、フォーカスレンズ位置の誤差量に応じて表示誤差を有する。この場合、距離目盛の誤差量は、被写体距離に依存しないため、いずれの被写体距離においても同程度の表示誤差となる。
例えば、焦点距離50mmのレンズを用いて1mの被写体に対してピントを合わせた際に、フォーカスレンズの停止位置が0.1mm誤差を含む場合、被写体距離の誤差は0.04mである。一方、3mの被写体に対してピントを合わせた際に同じようにフォーカスレンズの停止位置が0.1mmの誤差を含む場合、被写体距離の誤差は0.39mとなる。このようにフォーカスレンズ位置の誤差量が同じであっても、被写体距離に換算すると大きな差が生じる。しかしながら、図3に示されるように、フォーカスレンズ位置に対応させて距離目盛の間隔を決定することにより、距離目盛の表示誤差は、いずれの被写体距離においても同程度とすることが可能となる。
次に、図4を参照して、本実施例における撮像装置1の動作(撮像装置の制御方法)について説明する。図4は、撮像装置1の動作(撮像装置の制御方法)を示すフローチャートである。図4のフローは、距離目盛の表示を更新する度に開始する。また図4の各ステップは、主に、レンズマイコン11の指令に基づいて実行される。
まずステップS4000において、レンズマイコン11は、フォーカスレンズ位置がマニュアルフォーカス操作やオートフォーカス操作、ズーム操作などにより移動したか否かを、フォーカスレンズ位置検出手段18の信号に基づいて判定する。その結果、フォーカスレンズ位置が移動した場合、ステップS4001に進む。一方、フォーカスレンズ位置が移動していない場合、ステップS4002に進む。
ステップS4001において、レンズマイコン11は、フォーカスレンズ位置検出手段18により求められたフォーカスレンズ位置をレンズマイコン11の内部に設けられた記憶手段(不図示)に記憶させる。その後、被写体距離算出手段19は、記憶手段に記憶されたフォーカスレンズ位置に基づいて被写体距離を算出する。被写体距離は、撮影光学系12における各レンズ位置から決定される焦点距離およびフォーカスレンズ位置を用いて光学計算を行うことにより算出される。または、被写体距離算出手段19は、各フォーカスレンズ位置に応じた被写体距離を記憶したテーブルを備え、そのテーブルに従って被写体距離を算出してもよい。
続いてステップS4002において、被写界深度算出手段20は、被写界深度を算出する。被写界深度は、ステップS4001にて被写体距離算出手段19により算出された被写体距離、および、光学状態(撮影条件)に基づいて算出される。本実施例において、光学状態とは、撮影光学系12の各レンズ位置により決定される焦点距離、および、絞り12dの開口径により決定される絞り値Fnoである。
続いてステップS4003において、レンズマイコン11は、絞り12dの開口径により決定される絞り値Fnoおよびフォーカスレンズ位置検出手段18の出力に基づいて、被写体距離または被写界深度が変化したか否かを判定する。その結果、いずれか一方でも変化している場合、ステップS4004に進む。一方、いずれも変化していない場合、本フローを終了する。なお、本フローを終了する場合、表示制御手段22は表示手段23の表示内容を変化させない。
ステップS4004において、距離目盛生成手段21は、ステップS4001にて被写体距離算出手段19により算出された被写体距離を固定指標28に一致させる。そして距離目盛生成手段21は、ステップS4002にて被写界深度算出手段20により算出された被写界深度を、被写界深度前端指標29aおよび被写界深度後端指標29bにそれぞれ一致させる。また距離目盛生成手段21は、現在のフォーカスレンズ位置、および、両被写界深度端におけるフォーカスレンズ位置に基づいて、最至近および無限位置の表示位置を算出し、距離目盛列27の長さを決定する。さらに距離目盛生成手段21は、距離目盛27a〜27fの表示位置を算出する。
図5は、距離目盛とフォーカスレンズ可動範囲との関係を示す図である。50はフォーカスレンズ可動範囲、51はフォーカスレンズをそれぞれ示している。52は被写界深度前端におけるフォーカスレンズ位置、53は被写界深度後端におけるフォーカスレンズ位置をそれぞれ示している。54は最至近(図5では0.5m)におけるフォーカスレンズ位置、55はフォーカス無限遠となるフォーカスレンズ位置である。56、57、58は、被写体距離がそれぞれ1m、1.5m、3mとなるフォーカスレンズ位置である。
図5を参照して、被写体距離が3mの被写体にピントが合った場合を例として、図4のステップS4004における距離目盛生成手段21の動作手順について説明する。まず距離目盛生成手段21は、ステップS4001にて被写体距離算出手段19により算出された被写体距離が3mであるため、固定指標28に3mの距離目盛27dを一致させる。続いて距離目盛生成手段21は、ステップS4002にて被写界深度算出手段20により算出された被写界深度が、被写界深度前端にて2.66m、被写界深度後端にて3.45mであるため、両被写界深度端におけるフォーカスレンズ位置52、53を求める。
その後、距離目盛生成手段21は、フォーカスレンズ位置から距離目盛表示位置に換算する比(距離目盛表示換算比)を算出する。この比は、距離目盛上の被写界深度指標間の距離(29aと29bの距離)と両被写界深度端でのフォーカスレンズ位置間の距離(52と53の距離)との関係に基づいて算出される。そして、距離目盛生成手段21は、距離目盛表示換算比と最至近におけるフォーカスレンズ位置54から、最至近の距離目盛27aの表示位置を算出する。同様に、距離目盛生成手段21は、距離目盛表示換算比とフォーカス無限遠となるフォーカスレンズ位置55から、無限位置の距離目盛27fの表示位置を算出する。このようにして、距離目盛生成手段21は、距離目盛列27の長さを決定する。
最後に、距離目盛生成手段21は、各被写体距離目盛の表示位置を算出する。図5に示されるように、距離目盛生成手段21は、被写体距離1mとなるフォーカスレンズの位置56から、1mの距離目盛27bの表示位置を算出する。同様に、被写体距離1.5mとなるフォーカスレンズの位置57から1.5mの距離目盛27cの表示位置を、被写体距離3mとなるフォーカスレンズの位置58から3mの距離目盛27eの表示位置をそれぞれ算出する。以上のように、ステップS4004において、距離目盛生成手段21は距離目盛列27を生成する。
続いてステップS4005において、ステップS4004にて距離目盛生成手段21により算出された距離目盛列27を、表示制御手段22を介して表示手段23上に表示させる。これにより、本フローは終了する。なお、固定指標28、被写界深度前端指標29a、および、被写界深度後端指標29bは、表示枠26の外に設けられた印刷などによる固定指標、または、表示手段23上に表示された表示枠26と相対的に動かない指標のいずれでもよい。
本実施例において、好ましくは、撮影条件は、撮影光学系12の焦点距離および絞り値Fnoを含む。また好ましくは、表示手段23は、複数の距離目盛を含む距離目盛列を表示するとともに、被写体距離を所定の位置に設けられた指標(固定指標28)に対応させて表示する。より好ましくは、被写界深度は、印刷により設けられた固定指標28を用いて表示される。
好ましくは、距離目盛生成手段21は、フォーカスレンズ位置検出手段18、被写体距離算出手段19、および、被写界深度算出手段20からの信号に基づいて、表示手段23に表示される距離目盛列の長さ、または、各々の距離目盛の表示位置を変更する。また好ましくは、距離目盛列の長さは、最至近距離を示す距離目盛から無限位置を示す距離目盛までの長さである。
好ましくは、距離目盛生成手段21は、被写体距離算出手段19および被写界深度算出手段20からの信号、および、被写界深度表示の指標位置に基づいて、距離目盛列の長さを変更する。より好ましくは、表示制御手段22は、距離目盛生成手段21による変更結果に基づいて表示手段23を制御する。
以上のように本実施例の構成によれば、撮影条件に依存せず、被写界深度を正確かつ視認性良く表示可能なレンズ装置および撮像装置を提供することができる。
次に、図6を参照して、本発明の実施例2における撮像装置の構成について説明する。図6は、本実施例における撮像装置1aの構成図である。撮像装置1aは、絞り12dに代えて、可変絞り60および絞り位置検出手段61を備えている点で、実施例1の撮像装置1とは異なる。その他の構成は実施例1の撮像装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。
実施例1は、絞り値Fnoの変化しない固定絞りが設けられたレンズにおける距離目盛表示の表示形態の変化について説明している。一方、本実施例の撮像装置1aのように可変絞り60が設けられている場合、被写界深度算出手段20は、被写界深度を算出する際に、変化する可変絞りの開口径である絞り値Fnoも併せて考慮する必要がある。
以下、可変絞り60により絞り値Fnoが変化した場合の距離目盛表示の表示形態の変化について説明する。図7は、絞り値Fnoが変化した場合において、表示手段23上に表示される被写体距離情報であり、焦点距離が50mm、被写体距離が3mの場合の表示例である。図7(a)はFnoが4.0の場合、図7(b)はFnoが5.6の場合、図7(c)はFnoが8.0の場合をそれぞれ示している。距離目盛列27は、Fnoを変化させることにより、図7(a)〜(c)に示されるように変化する。
図7は、図2と同様に、許容錯乱円を0.02mmとした場合の被写界深度を例として示している。図7(a)において、前側被写界深度は0.25m、後側被写界深度は0.31mである。図7(b)において、前側被写界深度は0.34m、後側被写界深度は0.45mである。図7(c)において、前側被写界深度は0.47m、後側被写界深度は0.69mである。
絞り(可変絞り60)を操作することによりFnoが変化した場合、前述のように絞りを絞ってFnoを大きくしていくほど、被写界深度が広がる。しかしながら、本実施例における距離目盛は、被写界深度が被写界深度前端指標29a、被写界深度後端指標29bの固定指標で表されるため、距離目盛列27の長さは、図7のようにFnoが大きくなるほど短くなる。また、このような距離目盛列27の長さの変化に従って、距離目盛27a〜27fの個数および目盛数値を変化させる。例えば図7(a)では、距離目盛列27の長さが長くなり、0.5mの距離目盛27aと1.0mの距離目盛27bの間隔が広がるため、0.7mの距離目盛70を追加し、距離目盛列27を生成している。図7(c)では反対に、距離目盛列27の長さが短くなるため、1.5mの距離目盛27c及び5mの距離目盛27eを減らして距離目盛列27を生成する。
図8は、Fnoの変化による被写界深度の変化を示す図である。80は被写界深度前端の位置変化、81は被写界深度後端の位置変化をそれぞれ示している。被写界深度前端位置80が被写界深度前端指標29aに、被写界深度後端位置81が被写界深度後端指標29bに、それぞれ一致するように距離目盛列27の長さが変化する。
図9は、本実施例における撮像装置1aの制御方法を示すフローチャートである。図9のフローは、距離目盛の表示更新の度に開始する。図9の各ステップは、主に、レンズマイコン11の指令に基づいて実行される。なお、図9において、図4のフローと共通するステップについては、同一のステップ番号を付し、それらの説明は省略する。
ステップS4001、S4002を経た後、ステップS9000において、絞り位置検出手段61は、絞りが変化して絞り値Fnoが変化したか否かを判定する。絞りが変化した場合、ステップS9001に進む。一方、絞りが変化しない場合(絞りが操作されていない場合)、ステップS9002に進む。
ステップS9001において、レンズマイコン11は、絞り値Fnoを取得して記憶する。続いてステップS9002において、被写界深度算出手段20は被写界深度を算出する。被写界深度は、ステップS4001にて算出された被写体距離、および、ステップS9001にて取得された絞り値Fno、および、撮影光学系12における各レンズ位置により決定される焦点距離に基づいて算出される。そしてステップS4003に進み、以降、図4と同様のフローとなる(ステップS4004、S4005)。
本実施例の撮像装置(レンズ装置)は、可変絞り60、および、可変絞り60の絞り位置検出手段61を有する。そして表示制御手段22は、絞り位置検出手段61からの信号に基づいて、表示手段23に表示される被写体距離に関する情報の表示を変更する。
以上のように本実施例によれば、可変絞りを有する場合でも、撮影条件に依存せず、被写界深度を正確かつ視認性良く表示可能なレンズ装置および撮像装置を提供することができる。
次に、図10を参照して、本発明の実施例3における撮像装置の構成について説明する。図10は、本実施例における撮像装置1bの構成図である。撮像装置1bは、ズームレンズ100、ズームレンズ位置検出手段101、および、ズーム操作環14bを備えている点で、実施例1の撮像装置1とは異なる。その他の構成は実施例1の撮像装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。
実施例1は、焦点距離が変化しない単焦点レンズを用いた場合の距離目盛表示の表示形態の変化について説明している。一方、本実施例の撮像装置1bのようにズームレンズ100が設けられているため、被写体距離算出手段19や被写界深度算出手段20において被写体距離や被写界深度を算出する際に、焦点距離情報も併せて考慮する必要がある。
以下、ズームレンズ100により焦点距離が変化した場合の距離目盛表示の表示形態の変化について説明する。図11は、焦点距離が変化した場合において、表示手段23上に表示される被写体距離情報であり、Fnoが5.6、被写体距離が3mの場合の表示例である。図11(a)は焦点距離が24mmの場合、図11(b)は焦点距離が50mmの場合、図11(c)は焦点距離が105mmの場合をそれぞれ示す。距離目盛列27は、焦点距離を変化させることにより、図11(a)〜(c)に示されるように変化する。
図11は、図2と同様に、許容錯乱円を0.02mmとした場合の被写界深度を例として示している。図11(a)において、前側被写界深度は1.09m、後側被写界深度は4.09mである。図11(b)において、前側被写界深度は0.34m、後側被写界深度は0.45mである。図11(c)において、前側被写界深度は0.08m、後側被写界深度は0.09mである。
ズームレンズを操作することにより焦点距離が変化した場合、前述のようにズームを行い、焦点距離を大きくしていくほど、被写界深度が狭くなる。しかしながら、本実施例における距離目盛は、被写界深度が被写界深度前端指標29a、被写界深度後端指標29bの固定指標で表される。このため、距離目盛列27の長さは、図11に示されるように焦点距離が大きくなるほど長くなる。
また、このような距離目盛列27の長さの変化に従って、距離目盛27a〜27fの個数および目盛数値を変化させる。例えば図11(a)では、距離目盛列27の長さが短くなるため、1.5mの距離目盛27cおよび5mの距離目盛27eを減らして距離目盛列27を生成している。図11(c)では反対に、距離目盛列の長さが長くなるため、距離目盛の数を追加する。1.5mの距離目盛27cと3.0mの距離目盛27dの間隔が広がるため、2.0mの距離目盛110aおよび2.5mの距離目盛110bを追加する。また、3.0mの距離目盛27dと5.0mの距離目盛27eの間隔が広がるため、4.0mの距離目盛110cを追加する。以上のようにして、距離目盛列27が生成される。
図12は、焦点距離の変化による被写界深度の変化を示す図であり、120は被写界深度前端の位置変化、121は被写界深度後端の位置変化をそれぞれ示している。被写界深度前端位置120が被写界深度前端指標29aに、被写界深度後端位置121が被写界深度後端指標29bに、それぞれ一致するように距離目盛列27の長さが変化する。
以上のようにして距離目盛列27を生成するため、フォーカスレンズの駆動範囲と距離目盛列27の長さに相関があり、焦点距離が大きく、テレ側になるほど距離目盛列27の長さが長くなる。また、このようにフォーカスレンズの駆動範囲と距離目盛列27の長さに相関があるため、フォーカスレンズ位置に誤差を持った場合の表示誤差が、いずれの焦点距離でも同程度になるという利点がある。
例えば焦点距離50mmの状態で1mの被写体に対してピントを合わせた際に、フォーカスレンズの停止位置が0.1mmの誤差を含む場合、被写体距離の誤差は0.04mとなる。一方、焦点距離24mmの状態で、1mの被写体に対してピントを合わせた際に同じようにフォーカスレンズの停止位置が0.1mmの誤差を含む場合、被写体距離の誤差は0.20mとなる。このようにフォーカスレンズ位置の誤差量が同じでも、被写体距離に換算すると大きな差が生じる。しかしながら、図3に示されるように、フォーカスレンズ位置に対応させて各距離目盛の間隔を決定することにより、距離目盛の表示誤差は、いずれの被写体距離においても同程度とすることが可能となる。
図13は、本実施例における撮像装置1bの制御方法を示すフローチャートである。図13のフローは、距離目盛の表示更新の度に開始する。図13の各ステップは、主に、レンズマイコン11の指令に基づいて実行される。また図4および図9のフローと共通するステップについては同一のステップ番号を付し、それらの説明は省略する。
まずステップS1300において、レンズマイコン11は、ズーム操作が行われることにより、ズームレンズ位置検出手段101の出力に基づいて焦点距離が変化したか否かを判定する。焦点距離が変化した場合、ステップS1301に進む。一方、焦点距離が変化していない場合(ズーム操作されていない場合)、ステップS4000に進む。ステップS1301において、レンズマイコン11は、ズームレンズ位置検出手段101の出力に基づいてズームレンズ位置を取得し、焦点距離を算出する。
ステップS4000にてフォーカスレンズ位置が移動した場合、ステップS1302において、被写体距離算出手段19は、フォーカスレンズ位置検出手段18の出力に基づいてフォーカスレンズの位置を取得する。そして、ステップS1301にて算出された焦点距離とともに被写体距離を算出する。続いてステップS1303において、被写界深度算出手段20は、ステップS1301にて算出された焦点距離、ステップS1302にて算出された被写体距離、および、絞り値Fnoに基づいて、被写界深度を算出する。そしてステップS4003に進み、以降、図4と同様のフロー(ステップS4004、S4005)となる。
本実施例の撮像装置(レンズ装置)は、焦点距離を変更可能なズームレンズ100、および、ズームレンズ100の位置を検出するズームレンズ位置検出手段101を有する。そして表示制御手段22は、ズームレンズ位置検出手段101からの信号に基づいて、表示手段23に表示される被写体距離に関する情報の表示を変更する。
以上のように本実施例によれば、ズームレンズを有する場合でも、撮影条件に依存せず、被写界深度を正確かつ視認性良く表示可能なレンズ装置および撮像装置を提供することができる。また、フォーカスレンズの駆動可能な距離と距離目盛列27の長さに相関関係を設けることにより、フォーカスレンズ位置に誤差が含まれる場合に、距離目盛表示誤差を焦点距離や被写体距離に依存せずに同程度とすることが可能となる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。