JP3870421B2 - コンピュータカラーマッチング方法および装置 - Google Patents

コンピュータカラーマッチング方法および装置 Download PDF

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Description

[技術分野]
本発明は、コンピュータカラーマッチングによって着色剤の調合割合の予測または混合物の色予測を行なう方法およびそのための装置に関するものである。
[背景技術]
顔料や染料などの着色剤を被着色物に混合した混合物の色を予測するために、いわゆるコンピュータカラーマッチングが利用されている。コンピュータカラーマッチングでは、被着色物と着色剤の吸収係数Ki(λ)と散乱係数Si(λ)とを用い、ダンカン(Duncan)の式(数式1)と、クベルカ−ムンク(Kubelka-Munk)の混色理論による式(数式2)に基づいて、任意の混合物の分光反射率R(λ)を求めることができる。
Figure 0003870421
ここで、KM,SMは混合物の吸収係数と散乱係数、Ki,Siはi番目の成分の吸収係数と散乱係数、Ciはi番目の成分の調合率である。但し、この明細書の数式においては、波長λに依存していることを示す「(λ)」は省略されている。混合物の成分は、被着色物と着色剤である。
混合物の分光反射率R(λ)が解れば、その混合物の三刺激値X,Y,Zが計算できるので、混合物の色を算出することができる。
コンピュータカラーマッチングを行なう場合には、被着色物と種々の着色剤の吸収係数Ki(λ)と散乱係数Si(λ)を予め求めておく必要がある。ところが、吸収係数Ki(λ)と散乱係数Si(λ)を求めるのは必ずしも容易ではない場合が多い。
被着色物と種々の着色剤の吸収係数Ki(λ)と散乱係数Si(λ)を求める方法としては、絶対法と相対法がある。絶対法は、各物質の吸収係数Ki(λ)と散乱係数Si(λ)の絶対値を求める方法である。一方、相対法は、基準となる顔料(通常は白色顔料)の散乱係数SWを1と仮定して、各物質の吸収係数Ki-(λ)と散乱係数Si(λ)の相対値を求める方法である。数式2に示すように、混合物の分光反射率R(λ)は混合物の吸収係数KMと散乱係数SMの比で与えられる。従って、各物質の吸収係数Ki(λ)と散乱係数Si(λ)の絶対値が不明でも、各物質の吸収係数Ki(λ)と散乱係数Si(λ)の相対値が解れば、数式1および2から正しい分光反射率R(λ)を求めることができる。絶対法に用いるサンプルの作成はかなり困難であり、煩雑な作業を要するので、相対法が用いられるのが普通である。
従来の相対法によって各物質の吸収係数Ki(λ)と散乱係数Si(λ)とを求める際には、以下のようにして、基準となる白色顔料の吸収係数KW(λ)と散乱係数SWを決定する。まず、被着色物に白色顔料のみを混合した混合物を作成して、その分光反射率R(λ)を測定する。従来の相対法では、被着色物を無色透明とみなして、被着色物の吸収係数と散乱係数はともに0であると仮定している。従って、被着色物と白色顔料のみを混合した混合物に関しては、上記の数式1で与えられる吸収係数KM(λ)と散乱係数SM(λ)は、白色顔料の散乱係数SWと吸収係数KW(λ)にそれぞれ等しい。また、上記の数式2においてSM=SW=1と仮定すると、分光反射率R(λ)の測定値から白色顔料の吸収係数KW(λ)を求めることができる。
上述のように、従来の相対法では、被着色物を無色透明とみなして、その吸収係数と散乱係数を0と仮定していた。
ところが、現実には陶磁器等をはじめ,被着色物(陶磁器の場合は釉薬層)が無色透明でない場合が多い。白色顔料の調合率が多い場合には、被着色物が無色透明であるとみなすことによる誤差は小さいが、白色顔料の調合率が少ない場合にはその誤差が無視できない程度に大きくなる。このような誤差を回避するためには、上記数式1において、無色透明でない被着色物の吸収係数や散乱係数を考慮にいれる必要がある。しかし、被着色物の吸収係数や散乱係数を求めるには、被着色物単体の薄板を作成するなどの煩雑な作業を要する。特に、陶器の釉のように、単体で薄板を作成することが困難な被着色の場合には、無色透明でない被着色物の吸収係数と散乱係数を求めることは困難であった。
この発明の第1の目的は、無色透明でない被着色物の吸収係数や散乱係数を考慮してコンピュータカラーマッチングを行なうことにある。
この発明の第2の目的は、コンピュータカラーマッチングにおける予測誤差を減少させることにある。
この発明の第3の目的は、コンピュータカラーマッチングを利用して,調合済み着色剤の有効利用を図りつつ、その再調合を簡略化することにある。
[発明の開示]
この発明は,コンピュータカラーマッチングによって着色剤の調合割合の予測または混合物の色予測を行なう方法に関する。このコンピュータカラーマッチング方法は,
無色透明でない被着色物に白色着色剤を混合した第1の混合物の散乱係数SW-’を、前記白色着色剤の調合率CWに依存した関数f(CW)として準備する工程と、
前記散乱係数SW’を基準として、前記第1の混合物の吸収係数KW’を前記調合率CWに依存する形式で求める工程と、
前記散乱係数SW’を基準として、白色でない有色着色剤の吸収係数KPと散乱係数SPとを前記有色着色剤の調合率CPに依存する形式で求める工程と、
所望の色を有する混合物を調整するための着色剤の調合割合、または、所定の調合割合で生成される混合物の色を、前記吸収係数KW’,KPおよび前記散乱係数SW’,SPを用いたコンピュータカラーマッチングを行なうことによって求める工程と、
を備える。
上記方法では、無色透明でない被着色物に白色着色剤を混合した第1の混合物の散乱係数SW’を関数f(CW)で表現し、この散乱係数SW’を基準として用いるので、散乱係数SW’に無色透明でない被着色物の影響を含めることができる。
好ましい実施例においては、
前記第1の混合物の散乱係数SW’を準備する工程は、
(a)前記被着色物に前記白色着色剤を混合して、前記白色着色剤の調合率CWが異なる複数個の第1の混合物を作成するとともに、前記複数個の第1の混合物の分光反射率をそれぞれ測定する工程と、
(b)前記被着色物に前記有色着色物を混合した第2の混合物を作成するとともに、前記第2の混合物の分光反射率を測定する工程と、
(c)前記被着色物に前記白色着色剤と前記有色着色剤とを混合して、前記有色着色剤の調合率CPが異なる複数個の第3の混合物を作成するとともに、前記複数個の第3の混合物の分光反射率をそれぞれ測定する工程と、
(d)前記被着色物に前記白色着色剤と前記有色着色剤とを混合して、前記第3の混合物とは調合割合が異なる第4の混合物を作成するとともに、前記第4の混合物の分光反射率を測定する工程と、
(e)前記複数個の第1の混合物の散乱係数SW’を前記白色着色剤の調合率CWの関数f(CW)によって表わすとともに、前記関数f(CW)に含まれる係数の値を仮決定する工程と、
(f)前記複数個の第1の混合物の分光反射率の測定値と前記関数f(CW)とを用いて、前記調合率CWに依存した形式で前記第1の混合物の吸収係数KW’を求める工程と、
(g)前記第2の混合物の分光反射率と、前記複数個の第3の混合物の分光反射率と、前記関数f(CW)と、前記吸収係数KW’とを用いて、前記調合率CPに依存した形式で前記有色着色剤の吸収係数KPと散乱係数SPとをそれぞれ求める工程と、
(h)前記吸収係数KW’,KPおよび前記散乱係数SW’,SPを用いて、前記第4の混合物に関するコンピュータカラーマッチングを行なうとともに、前記コンピュータカラーマッチングによる予測精度を向上させるように前記関数f(CW)に含まれる係数を修正する工程と、
(i)前記工程(f)ないし(h)を繰り返すことによって前記関数f(CW)に含まれる係数を決定する工程と、
を備える。
こうして関数f(CW)の係数を決定するようにすれば、コンピュータカラーマッチングによる予測精度が高くなるように関数f(CW)の係数を求めることができる。
前記関数f(CW)が定数a1と係数SBとを含む次の式で与えられるようにすることが好ましい。:
f(CW)=(CW+a1・SB)/(CW+a1)。
上記の関数f(CW)の形式は、白色着色剤単独の散乱係数を1と仮定した場合に理論的に得られるものなので、散乱係数SW’を表わす関数として適切なものである。また、1つの係数SBを含むだけの簡単な形式を有しているので、係数SBを決定するのが容易である。
この発明の他の局面によれば,コンピュータカラーマッチング方法は、(a)複数の着色剤を混合して、調合率が互いに異なる複数のサンプルを準備する工程と、(b)前記複数のサンプルの分光反射率をそれぞれ測定するとともに、前記分光反射率の測定値から、前記複数のサンプルのそれぞれの色を表わす所定の表色系の座標値の実測値を求める工程と、(c)前記複数のサンプルのそれぞれに関して、前記表色系の座標値の予測誤差を算出する工程と、(d)前記複数のサンプルに関する前記表色系の座標値と前記予則誤差との関係を、所定の誤差補正法で分析する工程と、(e)前記誤差補正法を用いてコンピュータカラーマッチングの目標値または予測値を補正しつつ、新たな混合物の着色剤の調合割合の予測または混合物の色予測をコンピュータカラーマッチングにより行なう工程と、を備える。
複数のサンプルに関する所定の表色系の座標値とその予測誤差とを所定の誤差補正法で分析し、その誤差補正法によってコンピュータカラーマッチングの目標値または予測値を補正しつつ予測を行なうので、各成分の吸収係数Kiと散乱係数Siとを補正することなく予測誤差を減少させることができる。
好ましい実施例においては、前記工程(d)は、前記複数のサンプルに関する前記表色系の座標値と前記予則誤差との関係をニューラルネットワークに学習させる工程、を含み、前記工程(e)は、学習済みのニューラルネットワークを用いてコンピュータカラーマッチングによる予測を行なう工程を含む。
ニューラルネットワークを用いて予測誤差を補正するようにすれば、数多くのサンプルを学習させることによって、予測誤差を減少させることができる。
また、前記ニューラルネットワークは、3つのニューロンで構成される入力層と、複数のニューロンを含む中間層と、3つのニューロンで構成される出力層と、で構成される三層の階層構造を有することが好ましい。
この発明のさらに他の局面によれば,コンピュータカラーマッチング方法は、所望の色を有する目標混合物の着色剤の調合割合を予測する方法であって、
(a)着色剤の調合率が既知で前記所望の色に近い色を有する近接色サンプルについて所定の表色系の座標の実測値を求める工程と、
(b)前記近接色サンプルの既知の調合割合から、前記近接色サンプルの色を表わす前記表色系の座標の計算値を求め、前記実測値と前記計算値から計算誤差を求める工程と、
(c)前記目標混合物の色に対する前記表色系の座標の目標値を設定する工程と、
(d)前記計算誤差を用いて前記目標値を補正し、補正後の目標値を用いてコンピュータカラーマッチングを実行することによって、前記目標混合物の着色剤の調合割合を予測する工程と、
を備える。
近接色サンプルの表色系の座標値の計算誤差によって目標混合物の表色系の座標の目標値を補正し、補正後の目標値を用いてコンピュータカラーマッチングを行なうので、表色系の座標値の計算誤差を低減した条件下でコンピュータカラーマッチングを実行できる。
好ましい実施例によれば、前記工程(a)は、複数のサンプルに関して、着色剤の調合割合と、前記表色系の座標の実測値とを含むデータベースから、前記目標混合物との色差が最小となるサンプルを選択することによって前記近接色サンプルを検索する工程を含む。
データベースから色差が最小のサンプルを近接色サンプルとして検索するようにすれば、任意の色を有する目標混合物に関して、コンピュータカラーマッチングの予測誤差を低減できる。
この発明のさらに他の局面によれば,コンピュータカラーマッチング方法は、
複数の着色剤を調合した調合物が所望の目標色に近似した色を呈するように該複数の着色剤についての調合割合を求める方法であって、
(a)前記目標色を呈する調合物見本について、所定の表色系での色評価値の実測値を求める工程と、
(b)既知の調合割合で前記着色剤が調合された1次調合物について、前記所定の表色系での色評価値の実測値を求める工程と、
(c)前記1次調合物についての前記既知の調合割合に基づいて、前記1次調合物の呈する色の前記所定の表色系での色評価値の計算値を求める工程と、
(d)前記1次調合物に前記着色剤を増量補正したと仮定した着色剤増量調合物についての前記所定の表色系での色評価値の計算値を求め、前記1次調合物から前記着色剤増量調合物への前記色評価値の計算値の変化量を求める工程と、
(e)前記調合物見本と前記1次調合物との前記色評価値の実測値の差が所定範囲で一致するように、前記色評価値の計算値の変化量に基づいて前記着色剤のそれぞれの増量補正量を算出する工程と、を備える。
上記のコンピュータカラーマッチング方法では、既知の調合割合の1次調合物に着色剤を仮に増量補正した場合、その際の色評価値の計算値の変化量を求める。そして、この色評価値の計算値の変化量に基づいてそれぞれの着色剤についての増量補正量を算出し、調合物見本と1次調合物との色評価値の実測値の差を所定範囲で一致させる。このため、求めた増量補正量だけそれぞれの着色剤を1次調合物に実際に追加調合すれば、調合物見本の目標色若しくはこれに近似した色を呈する調合物に、1次調合物を再調合できる。従って、本発明のコンピュータカラーマッチング方法によれば、着色剤の除去を意味する負の補正量を求めることがないので、着色剤が調合済みの調合物(1次調合物)の廃棄が不要となり、既存の調合物を有効に利用することができる。また、この際に1次調合物を既存の調合物ではなく新たに試験的に調合するにしても、その調合に技術者が一回限り関与すればよく、しかもその際に、技術者の長年の勘や経験を要しないので、調合物の再調合を簡略化することができる。
好ましい実施例においては、
前記工程(d)は、前記1次調合物における前記着色剤の調合量に比べて微量の量の前記着色剤を前記1次調合物に増量補正したと仮定した場合について、前記色評価値の計算値の変化量を求める工程を含む。
このコンピュータカラーマッチング方法では、色評価値の計算値の変化量を求めるために行なう着色剤の仮の増量補正を微量単位で行なって、微小単位の変化量を求めることができる。よって、それぞれの着色剤の増量補正量を高い精度で求めることを通して、目標色によく一致した色を呈することができる調合物を得ることができる。
また、前記工程(e)は、前記着色剤の増量に伴う派生費用を表わす費用関数を用いた線形計画法にて、前記着色剤のそれぞれについての最小の増量補正量を算出する工程を含むことが好ましい。
このコンピュータカラーマッチング方法では、それぞれの着色剤を実際に追加増量する際の最小の増量補正量を算出できるので、着色剤の使用量の低減を通して派生費用の最小化を図ることができ、コストを低減することができる。
この発明は,また,コンピュータカラーマッチングによって着色剤の調合割合の予測または混合物の色予測を行なう装置に向けられている。この装置は、
無色透明でない被着色物に白色着色剤を混合した第1の混合物の散乱計数SW-’を、前記白色着色剤の調合率CWに依存した関数f(CW)として作成する手段と、
前記散乱計数SW’を基準として、前記第1の混合物の吸収係数KW’を前記調合率CWに依存する形式で求める手段と、
前記散乱係数SW’を基準として、白色でない有色着色剤の吸収係数KPと散乱係数SPとを前記有色着色剤の調合率CPに依存する形式で求める手段と、
所望の色を有する混合物を調整するための着色剤の調合割合、または、所定の調合割合で生成される混合物の色を、前記吸収係数KW’,KPおよび前記散乱係数SW’,SPを用いたコンピュータカラーマッチングを行なうことによって求める手段と、
を備える。
この発明の他の局面によれば,コンピュータカラーマッチング装置は、
複数の着色剤を混合することによって作成された調合率が互いに異なる複数のサンプルの分光反射率をそれぞれ測定する手段と,
前記分光反射率の測定値から、前記複数のサンプルのそれぞれの色を表わす所定の表色系の座標値の実測値を求める手段と、
前記複数のサンプルのそれぞれに関して、前記表色系の座標値の予測誤差を算出する手段と、
前記複数のサンプルに関する前記表色系の座標値と前記予測誤差との関係を、所定の誤差補正法で分析する手段と、
前記誤差補正法を用いてコンピュータカラーマッチングの目標値または予測値を補正しつつ、新たな混合物の着色剤の調合割合の予測または混合物の色予測をコンピュータカラーマッチングにより行なう手段と、
を備える。
この発明のさらに他の局面によれば,コンピュータカラーマッチング装置は、
着色剤の調合率が既知で前記所望の色に近い色を有する近接色サンプルについて所定の表色系の座標の実測値を求める手段と、
前記近接色サンプルの既知の調合割合から、前記近接色サンプルの色を表わす前記表色系の座標の計算値を求め、前記実測値と前記計算値から計算誤差を求める手段と、
前記目標混合物の色に対する前記表色系の座標の目標値を設定する手段と、
前記計算誤差を用いて前記目標値を補正し、補正後の目標値を用いてコンピュータカラーマッチングを実行することによって、前記目標混合物の着色剤の調合割合を予測する手段と、
を備える。
この発明の他の局面によれば,コンピュータカラーマッチング装置は,複数の着色剤を調合した調合物が所望の目標色に近似した色を呈するように該複数の着色剤についての調合割合を求めるものである。このコンピュータカラーマッチング装置は、
前記目標色を呈する調合物見本について、所定の表色系での色評価値の実測値を求める手段と、
既知の調合割合で前記着色剤が調合された1次調合物について、前記所定の表色系での色評価値の実測値を求める手段と、
前記1次調合物についての前記既知の調合割合に基づいて、前記1次調合物の呈する色の前記所定の表色系での色評価値の計算値を求める手段と、
前記1次調合物に前記着色剤を増量補正したと仮定した着色剤増量調合物についての前記所定の表色系での色評価値の計算値を求め、前記1次調合物から前記着色剤増量調合物への前記色評価値の計算値の変化量を求める手段と、
前記調合物見本と前記1次調合物との前記色評価値の実測値の差が所定範囲で一致するように、前記色評価値の計算値の変化量に基づいて前記着色剤のそれぞれの増量補正量を算出する手段と、を備える。
この発明は,さらに,コンピュータカラーマッチングに使用される着色剤の吸収係数と散乱係数を決定する方法に向けられている。この方法は、
無色透明でない被着色物に白色着色剤を混合した第1の混合物の散乱係数SW’と吸収係数KW’を決定する工程と、
前記散乱係数SW’と吸収係数KW’の少なくとも一方を基準として、白色でない有色着色剤の吸収係数KPと散乱係数SPの相対値をそれぞれ決定する工程と、を備える。
好ましい実施例によれば,前記第1の混合物の散乱係数SW’が,前記白色着色剤の調合率CWと定数a1と係数SBとを含む次の関係で与えられる:
W’=(CW+a1・SB)/(CW+a1).
他の好ましい実施例によれば,前記第1の混合物の散乱係数SW’が,前記白色着色剤の調合率CWと定数a,b,d,e,CW0を含む次の関係で与えられる:
Figure 0003870421
この発明は,また,コンピュータカラーマッチングを利用して作成された混合釉に向けられている。この混合釉は,
無色透明でないベース釉に白色着色剤を混合した第1の混合釉の散乱係数SW-’と吸収係数KW’を決定し、
前記散乱係数SW’と吸収係数KW’の少なくとも一方を基準として、白色でない有色着色剤の吸収係数KPと散乱係数SPの相対値をそれぞれ決定し、
前記吸収係数KW’,KPおよび前記散乱係数SW’,SPを用いたコンピュータカラーマッチングを行なうことによって,所望の色を有する混合釉を調整するための着色剤の調合割合、または、所定の調合割合で生成される混合釉の色を予測し、
前記予測された調合割合または前記予測された色を有するように前記ベース釉と前記白色着色剤と前記有色着色剤とを混合する,
ことによって生成される。
この発明は,さらに,コンピュータカラーマッチングを利用して作成された混合釉を用いて製造された陶磁器にも向けられている。この陶磁器は、
無色透明でないベース釉に白色着色剤を混合した第1の混合釉の散乱係数SW-’と吸収係数KW’を決定し、
前記散乱係数SW’と吸収係数KW’の少なくとも一方を基準として、白色でない有色着色剤の吸収係数KPと散乱係数SPの相対値をそれぞれ決定し、
前記吸収係数KW’,KPおよび前記散乱係数SW’,SPを用いたコンピュータカラーマッチングを行なうことによって,所望の色を有する混合釉を調整するための着色剤の調合割合、または、所定の調合割合で生成される混合釉の色を予測し、
前記予測された調合割合または前記予測された色を有するように前記ベース釉と前記白色着色剤と前記有色着色剤とを混合する,ことによって生成された混合釉で陶磁器の素地の少なくとも一部が覆われる。
この発明の他の局面においては,コンピュータカラーマッチングに使用される着色剤の吸収係数と散乱係数を決定する方法は、
無色透明でない被着色物に基準となる顔料を混合した第1の混合物の散乱係数SW’と吸収係数KW’を決定する工程と、
前記散乱係数SW’と吸収係数KW’の少なくとも一方を基準として、有色着色剤の吸収係数KPと散乱係数SPの相対値をそれぞれ決定する工程と、
を備える。
この発明のさらに他の局面によれば,コンピュータカラーマッチングに使用される着色剤の吸収係数と散乱係数を決定する装置は、
無色透明でない被着色物に基準となる顔料を混合した第1の混合釉の散乱係数SW’と吸収係数KW’を決定する手段と、
前記散乱係数SW’と吸収係数KW’の少なくとも一方を基準として、有色着色剤の吸収係数KPと散乱係数SPの相対値をそれぞれ決定する工程と、
を備える。
また,この発明は,コンピュータカラーマッチングを利用して作成された混合釉を用いて製造された便器にも向けられている。
【図面の簡単な説明】
図1は,第1実施例における処理の全体手順を示すフローチャート。
図2は,数式5で与えられる散乱係数SW’を示すグラフ。
図3は,ステップS1の詳細手順を示すフローチャート。
図4は,(ベース釉+白色顔料)の物性値を求めるためのサンプルの調合率を示す説明図。
図5は,サンプルの分光反射率R(λ)を示す概念図。
図6は,ステップS14の詳細手順を示すフローチャート。
図7は,顔料物性値決定用サンプルの調合率を示す説明図。
図8は,第1実施例で用いた検証用サンプルの調合率を示す説明図。
図9は,吸収係数KP(λ)の調合率CPに対する依存性の一例を示すグラフ。
図10は,第1実施例における調合率の予測結果を示す説明図。
図11は,第2実施例における処理の全体手順を示すフローチャート。
図12は,ニューラルネットワークの構成を示す説明図。
図13は,ステップS31の詳細手順を示すフローチャート。
図14は,コンピュータカラーマッチングで予測対象範囲PAと複数のサンプルM1〜M7の三刺激値の分布を示す概念図。
図15は,第2実施例における7つのサンプルM1〜M7の予測誤差を示す概念図。
図16は,各サンプルの三刺激値の目標値(ステップS41で決定された値)と予測誤差ΔMi(ΔX,ΔY,ΔZ)を示す説明図。
図17は,第2実施例におけるニューラルネットワークの学習の実証結果を示す説明図。
図18は,第2実施例におけるコンピュータカラーマッチングの予測の実証結果を示す説明図。
図19は,設計された色(標準色)と実際に製造される陶器の色のばらつきを示すx−y色度図。
図20は,第3実施例における処理の全体手順を示すフローチャート。
図21は,ステップS57におけるコンピュータカラーマッチングの詳細手順を示すフローチャート。
図22は,第3実施例において用いた標準色見本の三刺激値と濃淡限度見本の三刺激値を示すテーブル。
図23は,第3実施例による濃淡限度見本の三刺激値の予測結果と比較例と実調合率とを示すテーブル。
図24は,各実施例のコンピュータカラーマッチング方法を実施するための装置を示すブロック図。
図25は,第4実施例のコンピュータカラーマッチング方法における処理の全体手順を示すフローチャート。
図26は,図25のステップS76の詳細処理を示すフローチャート。
図27は、ステップS72で取得した目標色見本釉についての三刺激値(色値)とステップS73で取得した第1回目試作釉についての三刺激値の対比、並びに目標色見本釉,第1回目試作釉における各顔料の調合率(調合率)を表わすテーブル。
図28は、図27に掲げる第1回目試作釉に各顔料をそれぞれ微量だけずつ追加調合した場合の三刺激値の変化率(微係数)を示すテーブル。
図29は、第4実施例によるコンピュータカラーマッチング方法による結果を示すテーブル。
図30は、第4実施例による他の結果を示すテーブル。
[発明を実施するための最良の形態]
A.第1実施例:
図1は、第1実施例における処理の全体手順を示すフローチャートである。なお、この第1実施例で対象とする混合物は、陶磁器の素地の表面を覆うための釉(ゆう)である。すなわち、顔料を入れないベース釉(基礎釉)が被着色物であり、このベース釉に顔料を添加した釉がコンピュータカラーマッチングの対象となる混合物である。
なお,陶磁器において,白色顔料としては乳濁剤が有効である。乳濁剤としては,ジルコン等のジルコニウム化合物や,リン酸カルシウム等のリン化合物が用いられる。
ステップS1では、被着色物(ベース釉)と白色顔料の混合物の吸収係数KW-’と散乱係数SW’とを求める。ここで、従来の相対法と異なるのは、被着色物を無色透明と仮定していない点、および、被着色物や白色顔料単独の吸収係数や散乱係数を求めずに、その混合物の吸収係数KW’と散乱係数SW’を求める点にある。なお、散乱係数SW’は、白色顔料の調合率CWに依存した関数f(CW)として求める。また、吸収係数KW’も、白色顔料の調合率CWに依存した形式で求める。
なお、ステップS1において、白色顔料以外の顔料(以下、「有色顔料」と呼ぶ)の吸収係数KPと散乱係数SPも決定される(ステップS2)。なお、有色顔料の吸収係数KPと散乱係数SPは、その調合率CPに依存した形式で求められる。
ステップS3では、ステップS1,S2で求めた吸収係数と散乱係数に基づいて、上述した数式1および数式2を用いてコンピュータカラーマッチングを実行し、混合物の色予測や調合割合の予測を行なう。
ここで、ステップS1の詳細手順を説明する前に、ベース釉と白色顔料の混合物の散乱係数SW’を表現するための関数f(CW)について考察する。ベース釉と白色顔料の混合物については、数式1を次の数式3のように書き換えることができる。
(CW+CB)KW’=CWW+CBB ・・・(3a)
(CW+CB)SW’=CWW+CBB ・・・(3b)
ここで、KW’,SW’は混合物の吸収係数と散乱係数、KW,SWは白色顔料単独の吸収係数と散乱係数、KB,SBはベース釉単独の吸収係数と散乱係数、CWは白色顔料の調合率、CBはベース釉の調合率である。なお、調合率CW,CBは正確には体積率で表現されるべきであるが、重量率で表現してもその誤差は通常無視できる程度である。
数式3を変形すると、混合物の散乱係数SW’は次の数式4で与えられる。
Figure 0003870421
この発明では相対法を用いるので、白色顔料の調合率CWによらず散乱係数SW=1と仮定する。また、通常はベース釉の調合率CBを一定とし、白色顔料の調合率CWを変化させて混合物を作成するので、CB=100(一定)と仮定する。この時、白色顔料の調合率CWは、いわゆる外添加調合率(ベース釉の重量を100%とした時の顔料の重量%)となる。これらの仮定をおくと、上記数式4は次の数式5のように書き換えられる。
Figure 0003870421
ベース釉は無色透明に近いが、完全な無色透明ではない。すなわち、数式5において、ベース釉の散乱係数SBは0でない正の小さな値である。従って、ベース釉と白色顔料の混合物の散乱係数SW’は、図2(A)に示すようなグラフとなる。このグラフは、白色顔料の調合率CWが大きくなるとSW’=1に漸近する双曲線である。
ところで、図2(A)に示すような散乱係数SW’を実測することは容易ではない。そこで、この第1実施例では、白色顔料の調合率CWに対する散乱係数SW-のグラフの形状を、図2(B)に示すように高濃度側の第1の直線L1と低濃度側の第2の直L2で近似できるものと仮定した。直線L1,L2を表わす関数SW’=f1(CW),SW’=f2(CW)は、それぞれ次の数式6および7で表わすことができる。
Figure 0003870421
ここで,CW0は直線L1,L2の交点における白色顔料の調合率である。
数式6,7における係数a,b,d,eを決定すれば、(ベース釉+白色顔料)の混合物に対する散乱係数SW’が求まる。そして、散乱係数SW’が求まれば、分光反射率R(λ)の測定値を用いて上記数式2から吸収係数KW’を求めることができる。
図3は、図1のステップS1の詳細手順を示すフローチャートである。ステップS11では、ベース釉と白色顔料のみを混合した混合物(第1の混合物)を作成した。図4は、第1実施例において準備した13個のサンプルW12〜W0の調合率を示している。図4から解るように、13個のサンプルW12〜W0は、白色顔料の調合率CWを12%〜0%の範囲で1%ずつ変化させて作成したものである。なお、第1実施例におけるサンプルは、通常の陶磁器の素地に、調合した釉をかけて焼成することによって作成した。また、後述する他のサンプルも同じ条件で作成した。
ステップS12では、各サンプルW12〜W0について、分光光度計で分光反射率R’(λ)を測定した。ステップS13では、分光反射率の測定値R’(λ)に基づいて、数式6に含まれる係数a,bを以下のように実験的に決定した。
白色顔料の調合率CWが比較的大きなサンプルでは、釉の隠ぺい力が大きいので、SW’=1と仮定することができる。具体的には、白色顔料の調合率CWが最も大きなサンプルW12に対する散乱係数SW’を1に等しいと仮定した。この仮定を用いると、白色顔料の調合率CWがi%のサンプルWiの散乱係数SWi-’は、次の数式8で与えられる。
Figure 0003870421
数式8において、(K/S)W12は白色顔料の調合率が12%のサンプルW12の吸収係数と散乱係数の比であり、(K/S)Wiは白色顔料の調合率がi%のサンプルWiの吸収係数と散乱係数の比である。また、数式8では、吸収係数の変化は散乱係数の変化に比べて小さく、KW12=KWiであると仮定している。
数式8の右辺の(K/S)W12,(K/S)wiはサンプルWiの分光反射率の測定値R’(λ)から、上述した数式2に従って求めることができる。但し、混合物である釉の厚みは小さいので、分光光度計で測定される分光反射率R’(λ)を、次の数式9(サンダーソン(Saunderson)の式)に従って理想状態(混合物の厚みが無限大の状態)の分光反射率R(λ)に変換する。
Figure 0003870421
ここで、係数k1,k2は、被着色物(ベース釉)の光学的性質に依存する値である。係数k1,k2としては、被着色物の屈折率nから次の数式10に従って決定することができる。
Figure 0003870421
なお、第1実施例において用いたベース釉は、屈折率nが約1.4である。こうして理想状態の分光反射率R(λ)が求まると、上述の数式2から(K/S)Wiが得られる。
数式9に従って分光反射率の測定値R’(λ)から理想状態の分光反射率R(λ)を求める演算は、後述する他の工程においてサンプルの分光反射率から(K/S)を求める際にも同様に実施される。
各サンプルWiについて得られた(K/S)Wiの値を上記数式8に代入することによって、各調合率CWにおいて混合物の散乱係数SW’の値を求めることができ、係数a,bを決定することができる。係数a,bを含む数式6は、白色顔料の調合率CWが比較的高い範囲にのみ適用される。従って、係数a,bの決定においても、調合率CWが比較的高い範囲の(例えば10%〜12%の)数個のサンプルの(K/S)Wiのみを用いる。
図5は、CW=10%〜12%のサンプルの分光反射率R(λ)を示す概念図である。このように、ベース釉に高濃度の白色顔料を混合したものは、可視光線の波長λの全範囲(約400nm〜約700nm)においてほとんど一定の反射率を示す。そこで、この分光反射率R(λ)の値から数式2と数式8を用いて散乱係数SWi’を求めることができる。なお、この散乱係数SWi’は、可視光線の前記波長範囲において同一の値を有する。第1実施例では、a=0.0005,b=0.94が得られたので、数式6が次の数式11に書き換えられた。
W’=0.005CW+0.94 ・・・(11) (高濃度側)
なお、数式11は、CW=10%付近においてSW’=1に極めて近い値を与えるので、数式11の代わりにSW’=1を用いてもよい。
図3のステップS14では、低濃度側の数式7の係数d,eの値を決定する。白色顔料の調合率CWが比較的小さい場合には下地の影響が大きくなるので、分光反射率R(λ)の測定値が真の釉の層のみの情報ではなくなる。従って、分光反射率R(λ)の測定値に基づいて係数d,eを決定するのは容易ではない。そこで、係数d,eの値は、図6に示すような手順に従って決定する。
ステップS21では、顔料物性値決定用サンプルを作成する。図7は、顔料決定用サンプルの調合率を示す説明図である。顔料物性値決定用サンプルは、ベース釉と白色顔料と他の有色顔料を混合して作成したものである。第1実施例では、白色顔料と有色顔料の合計の調合率(Pigment Volume Concentration,PVC)を12%一定とし、有色顔料の調合率CPを1%〜12%の範囲で1%ずつ変えた12個のサンプルM1〜M12を作成した。なお、有色顔料としては、陶磁器の彩色に良く用いられる青色、赤色、黄色、等を選択し、各顔料について図7に示すような12個のサンプルM1〜M12をそれぞれ作成した。
なお、サンプルM12は白色顔料を含まない混合物であり、本願発明の第2の混合物に相当する。また、サンプルM1〜M11は本願発明の第3の混合物に相当する。
ステップS22では、検証用サンプルを作成する。図8は、第1実施例で用いた検証用サンプルの調合率を示す説明図である。4つの検証用サンプルD1〜D4は、4色の顔料をベース釉に混合したものである。なお、ベース釉の調合率CBは省略しているが、いずれのサンプルもCB=100%である。
検証用サンプルD1〜D4は、本願発明における第4の混合物に相当する。
ステップS23では、係数d,eに仮の値を割り当てる。図2(A),(B)を比較すれば解るように、係数eの値は、ベース釉の散乱係数SBの値に相当しており、かなり小さな値であることが解っている。例えば、e=0と仮定することも可能である。また、図2(B)に示す第1と第2の直線L1,L2の交点は、横軸の調合率CWが数%のところに位置するので、係数dも概略の値を仮決めすることが可能である。
係数d,eを仮決めすると、調合率CWに依存する散乱係数SWi’が調合率CWの全範囲において決定される。散乱係数SWi’が決まると、次の数式12に従って調合率CWに依存する吸収係数KWi’も得られる。
Figure 0003870421
なお、散乱係数SWi’の値は波長λに依存しないが、吸収係数KWi’の値は波長λに依存する。この理由は、この発明の相対法においては散乱係数SWi’を波長λに依存しない基準値として用い、他の物性値の相対値を求めるからである。分光反射率R(λ)の値はもちろん波長λに依存するので、数式2に従って得られる(K/S)Wiの値も波長λに依存する。従って、数式12に従って得られる吸収係数KWi’も波長λに依存する。換言すれば、吸収係数KWi’は白色顔料の調合率CWと波長とに依存する形式で求められる。
ステップS25では、顔料物性値決定用サンプルを用いて、各有色顔料の吸収係数KP(λ)と散乱係数SP(λ)とを求める。なお、ステップS25は、図1におけるステップS2に相当する。KP(λ)とSP(λ)は、次のような手順で算出される。
まず、顔料物性値決定用サンプルについては、上述の数式1から次の数式13が得られる。
Figure 0003870421
ところで、上記の数式3は、次の数式14のように書き換えられるので、数式14を数式13に代入すると、数式15が得られる。
Figure 0003870421
数式15を変形すると、次の数式16が得られる。
Figure 0003870421
ここで、(K/S)Pは有色顔料単独での吸収係数と散乱係数の比であり、(K/S)Mは顔料物性値決定用サンプルの吸収係数と散乱係数の比、(K/S)W’は(ベース釉+白色顔料)のサンプルの吸収係数と散乱係数の比である。また、CW’はベース釉と白色顔料の調合率の合計値、SW’は(ベース釉+白色顔料)の混合物の散乱係数であり、数式6および7で与えられる値である。数式16の右辺の各項は、以下のように求めることができる。
(K/S)Pの値は、白色顔料を含まない顔料物性値決定用サンプル(図7のサンプルM12)の分光反射率R(λ)から上記数式2によって求めることができる。但し、厳密に言えば、数式16における(K/S)Pの値はベース釉の影響を含まない有色顔料単独に対する値である。一方、上述のようにして実測で得られる(K/S)Pは(ベース釉+有色顔料)のサンプルに対する値なので、ベース釉の影響が含まれている。しかし、図7のサンプルM12の顔料の調合率は12%と高い値なので、(K/S)Pに対するベース釉の寄与は極めて小さい。従って、数式16における(K/S)Pの値としては、サンプルM12の分光反射率R(λ)から数式2によって求めた値を用いても、その誤差は無視できる程度である。
(K/S)Mの値は、白色顔料と有色顔料の両方を含む顔料物性値決定用サンプル(図7のサンプルM1〜M11)の分光反射率R(λ)から数式2に従って算出できる。従って、(K/S)Mは有色顔料の調合率CPに依存した形式で求められる。
(K/S)W’の値は、図4に示す(ベース釉+白色顔料)のサンプルの分光反射率R(λ)から数式2に従って算出された値を用いることができる。
以上のようにして数式16の右辺の各項の値を求めることができるので、顔料物性値決定用サンプルM1〜M11のそれぞれについて、散乱係数SP(λ)を求めることができる。なお、散乱係数SP(λ)は、有色顔料の調合率CPに依存する形式で求められる。
こうして得られた散乱係数SP(λ)と、分光反射率R(λ)の測定値から数式2で算出された(K/S)Pの値とに基づいて、次の数式17に従って吸収係数KP(λ)も求められる。
Figure 0003870421
なお、吸収係数KP(λ)は、散乱係数SP(λ)と同様に、有色顔料の調合率CPに依存する形式で求められる。
図9は、吸収係数KP(λ)の調合率CPに対する依存性の一例を示すグラフである。散乱係数SP(λ)もこれと同様な依存性を示す。なお、図9では、代表的な波長λについてのグラフのみを示しているが、実際には可視光線の全波長範囲(約400nm〜約700nm)で10nm毎に吸収係数KP(λ)が求められる。
以上のようにして、(ベース釉+白色顔料)の混合物の吸収係数KW’(λ)および散乱係数SW’と、他の有色顔料の吸収係数KP(λ)および散乱係数SP(λ)が求まると、図6のステップS26において、検証用サンプル(図8)に対してコンピュータカラーマッチングによるシミュレーションを行なう。
ここで、コンピュータカラーマッチングによる色予測と調合割合の予測について簡単に説明する。数式2を変形すると、混合物の分光反射率R(λ)は、次の数式18で与えられる。
Figure 0003870421
混合物の吸収係数と散乱係数の比(K/S)Mは、数式1に従って算出できるので、混合物の分光反射率R(λ)も数式18から求めることができる。この分光反射率R(λ)は理想状態の分光反射率なので、分光光度計で測定できる分光反射率R’(λ)を、数式9(サンダーソンの式)を変形した次の数式19に従って求める。
Figure 0003870421
係数k1,k2は上記数式10で与えられる。
分光反射率R’(λ)が求まると、混合物の三刺激値X,Y,Zが次の数式20によって求められる。
Figure 0003870421
ここで、S(λ)は標準光の分光分布、x(λ),y(λ),z(λ)(数式中ではバー付きである)は等色関数である。
コンピュータカラーマッチングによって混合物の色を予測する場合には、上述のように、混合物の各成分の吸収係数と散乱係数に基づき、数式1,数式18〜20に従って、その混合物の三刺激値X,Y,Zを算出する。三刺激値は混合物の色を表わすので、任意の混合物の色を予測することができることになる。
また、所望の色を有する混合物の調合割合を予測する場合には、混合物の調合割合を仮定して、上述した手順でその三刺激値を算出し、ニュートン−ラプソン法などの逐次近似法によって所望の色に所定の誤差内で一致するような調合割合を求める。
なお、XYZ表色系の代わりにL***表色系のような他の表色系を用いてコンピュータカラーマッチング行なうことも可能である。
図6のステップS26におけるシミュレーションでは、コンピュータカラーマッチングによって、図8に示す各検証用サンプルD1〜D4の調合率を予測する。検証用のサンプルの調合率は既知なので、予測した調合率と実調合率との一致度は簡単に算出できる。例えば、調合率の一致度の指標として、次の数式21で与えられる自乗平均誤差Δを使用する。
Figure 0003870421
ここでCRiは成分iの実調合率、Ciは予測された調合率である。ステップS26において、各検証用サンプルD1〜D4について得られた自乗平均誤差Δが所定の許容値以下でない場合にはステップS23に戻り、係数d,eの値を修正する。こうして、各検証用サンプルD1〜D4について得られる自乗平均誤差Δが所定の許容値以下になるまでステップS23〜S26を繰り返し実行し、この結果、係数d,eを決定することができる(ステップS27)。第1実施例では、d=0.1225,e=0となり、数式7が次の数式22書き換えられた。
W’=0.1225CW ・・・(22) (低濃度側)
なお、数式11で与えられる高濃度側の散乱係数SW’のグラフ(図2(B)の直線L1)と、数式22で与えられる低濃度側の散乱係数SW’のグラフ(直線L2)との交点における調合率CWは8.0%である。
以上のように、上記第1実施例では検証用サンプルの調合率を精度良く予測できるように数式7における係数d,eを決定したので、白色顔料の調合率CWが比較的低い領域においても、(ベース釉+白色顔料)の混合物の散乱係数SW’と吸収係数KW’(λ)とを精度良く決定することができた。
なお、図6に示す手順で(ベース釉+白色顔料)の混合物の散乱係数SW’と吸収係数KW’(λ)とが求められる際には、ステップS25において他の有色顔料の吸収係数KP(λ)と散乱係数SP(λ)も同時に求められる。
こうして各成分の吸収係数と散乱係数が求まると、図1のステップS3において、コンピュータカラーマッチングによる色予測や調合割合の予測が実行される。図10は、第1実施例における調合率の予測結果を示す説明図である。図10における第1実施例の予測結果は、数式11および数式22を用いた場合の結果である。また、比較例の予測結果は、SW’=1.0(一定)の仮定(図2(B)において破線で示すグラフ)を用いた場合の結果である。なお、図10の第1実施例と比較例では、L***表色系を用いて色差が最小となる調合率を予測した。
図10に示されるように、第1実施例による予測結果は調合率の自乗平均誤差が比較例に比べてかなり小さく、より高精度で調合率を予測できたことが解る。特に、サンプルP2,P3のように白色顔料の調合率が小さな場合には、比較例の予測精度がかなり悪化しているのに対して、第1実施例の予測精度は良好である。この理由は、図2(A),(B)に示すように、白色顔料の調合率CWが小さくなるに従って、実際の散乱係数SW’の値が1から離れていくので、SW’=1(一定)と仮定した比較例では、各成分の吸収係数と散乱係数の値の誤差が大きくなるからであると考えられる。
以上のように、この第1実施例では、無色透明でない被着色物であるベース釉の光学的影響を考慮して各成分の吸収係数と散乱係数とを決定しているので、コンピュータカラーマッチングによって高精度の予測を行なうことが可能である。また、サンプルとしては図4、図7、図8に示すような混合物を通常の素地の上に塗布したものを準備すればよいので、サンプルの作成も容易である。
なお、上記第1実施例に関しては、例えば次のような変形も可能である。
(1)散乱係数SW’の値を図2(B)に示される2本の直線L1,L2を数式6,7で近似する代わりに、数式5をそのまま用いて散乱係数SW’を決定してもよい。この場合には、図6のステップS23においてベース釉の散乱係数SBの値を仮決定し、ステップS23〜S26を繰り返し実行することによって散乱係数SBの値を求めるようにすればよい。こうすれば、未知数が散乱係数SBの1つだけなので、ステップS23において散乱係数SBを修正するための逐次近似法の計算の収束が早くなるという利点がある。
ただし、ステップS23では、逐次近似法によって係数を求める必要はなく、種々の係数の値を仮定して、ステップS26におけるシミュレーション結果が最適となる係数を選択するようにしてもよい。例えば、数式5をそのまま用いる場合には、SBの値を約0.001〜約0.010の範囲で数点設定しておき、ステップS26において実調合率に最も近い調合率を予測できるSBの値を決定するようにしてもよい。
散乱係数SW’を表現するための関数は数式5〜7に限られるわけではなく、一般に、散乱係数SW’を調合率CWに依存した関数f(CW)で表現するようにすればよい。
なお、上記第1実施例では、着色剤の調合率を外添加調合率(被着色物の調合率SBを100%とした時の着色剤の調合率)で定義したが、調合率を他の規定の仕方で定義することも可能である。従って、数式5は、定数a1を含む次の数式23によって表現することができる。
Figure 0003870421
(2)XYZ表色系やL***表色系の値を一致させるコンピュータカラーマッチングは、一般にメタメリックマッチ法と呼ばれている。一方、混合物の分光反射率R(λ)の曲線を一致させるアイソメリックマッチ法と呼ばれる方法もある。この発明は、メタメリックマッチ法のみでなく、アイソメリックマッチ法によるコンピュータカラーマッチングにも適用可能である。
(3)上記第1実施例では陶磁器の釉を対象とするコンピュータカラーマッチングについて説明したが、本発明はこれに限らず、他の種類の混合物を対象とするコンピュータカラーマッチングにも適用することが可能である。但し、陶磁器の素地は、完全な白色や完全な黒色のものを作成することは困難なので、絶対法によって被着色物(ベース釉)単独の物性値を決定することは難しい。従って、釉に関するコンピュータカラーマッチングに本発明を適用すれば、予測精度を向上させる上で特に効果が大きい。
以下では,第1実施例で求められた散乱係数と吸収係数とを用いたコンピュータカラーマッチングの種々の適用例としての各種の実施例を説明する。但し,以下の各実施例は,第1実施例で決定された散乱係数と吸収係数とを用いる場合に限られるわけではなく,他の方法で決定された散乱係数と吸収係数とを用いることも可能であることに注意すべきである。
B.第2実施例:
一般に、コンピュータカラーマッチングによる予測には誤差があるので、その予測誤差を小さくする工夫が必要である。従来は、予測誤差を減少させるために、各着色剤の吸収係数Kiと反射係数Siとを正確な値に近づけるように補正していた。
しかし、各成分の吸収係数Kiと反射係数Siとを正確な値に近づけるためには、被着色物に各着色剤を単独で含む数多くの混合物サンプルを作成して、その分光反射率を測定しなければならず、膨大な作業を要していた。また、天然の顔料を着色剤として用いる場合には、その吸収係数Kiや散乱係数Siが必ずしも一定の値にはならないので、吸収係数Kiと散乱係数Siを正確な値に近づけることが困難であった。
以下に示す第2実施例は、各成分の吸収係数Kiと散乱係数Siとを補正することなく、予測誤差を減少させることを目的としたものである。
図11は、第2実施例における処理の全体手順を示すフローチャートである。なお、この第2実施例で対象とする混合物は、陶磁器の素地の表面を覆うための釉(ゆう)である。すなわち、顔料を入れないベース釉(基礎釉)が被着色物であり、このベース釉に顔料を添加した釉がコンピュータカラーマッチングの対象となる混合物である。
ステップS31では、コンピュータカラーマッチングの予測結果(三刺激値)を補正するためのニューラルネットワークの学習を行なう。ステップS32〜S35では、学習済みのニューラルネットワークを用いてコンピュータカラーマッチングの目標値を補正して、正確な予測結果を求めている。以下ではまず、ステップS32〜S35の内容を説明する前に、ニューラルネットワークの構成とステップS31の詳細手順について説明する。
図12は、ニューラルネットワークの構成を示す説明図である。このニューラルネットワークは、入力層10と中間層20と出力層30とで構成される三層の階層構造を有している。入力層10は、3つのニューロンN11〜N13で構成されており、中間層20は5つのニューロンN21〜N25で、出力層30は3つのニューロンN31〜N33でそれぞれ構成されている。
入力層10の3つのニューロンN11〜N13には、三刺激値X,Y,Zがそれぞれ入力される。入力層10のニューロンNijから中間層20のニューロンNkに伝達される信号は、それぞれの入力信号に重みWij,kを乗じたものである。ここで、iは注目している階層を示す番号、jは注目している階層内でのニューロンの順番を示す番号、kは次の階層のニューロンの順番を示す番号である。例えば、入力層10の第1のニューロンN11から中間層20の第1のニューロンN21に伝達される信号はW11,1Xであり、入力層10の第1のニューロンN11から中間層20の第2のニューロンN22に伝達される信号はW11,2Xである。
中間層20の各ニューロンNijの入力uijと出力Qijとの関係は、次の数式24に示す情報伝達関数f(uij)で与えられる。
Figure 0003870421
ここで、Q(i-1)jは(i−1)番目の階層(すなわち入力層10)のj番目のニューロンN(i-1)jの出力であり、図12の例ではQ11=X,Q12=Y,Q13=Zである。また、W(i-1)j,kは(i−1)番目の階層のj番目のニューロンN(i-1)jから、注目しているニューロンNijに伝達される信号に掛かる重みである。tはしきい値であり、一定の値が割当てられる。なお、数式24の情報伝達関数f(uij)はシグモイド関数と呼ばれている。
例えば、数式24を中間層20の第1のニューロンN21の入出力関係に適用すると、次の数式25が得られる。
Figure 0003870421
出力層30の各ニューロンの入出力関係も上記数式24で与えられる。図12に示す第2実施例では、出力層30の3つのニューロンN31〜N33の出力Q11-〜Q13を、コンピュータカラーマッチング(CCM)による三刺激値の予測誤差ΔX,ΔY,ΔZとしている。
ニューラルネットワークの学習は、入力層10への入力(X,Y,Z)と出力層30からの出力(ΔX,ΔY,ΔZ)との間の関係を数多く与えて、正しい入出力関係を与えるような重みWij,kの値を決定する作業である。
図13は、図11のステップS31の詳細手順を示すフローチャートである。ステップS41では、コンピュータカラーマッチングにおいて予測の対象とする混合物の色の範囲をカバーするような複数の三刺激値(Xit,Yit,Zit)を定めて、これらの複数の三刺激値を有するような複数のサンプルの調合割合をコンピュータカラーマッチングで決定する。図14は、コンピュータカラーマッチングでの色の予測対象範囲PAと、この予測対象範囲PAをカバーする複数の三刺激値の分布を示す概念図である。この第2実施例ではCIE−XYZ表色系で色を表現するものとしており、色の予測対象範囲PAはXYZ座標系の3次元的な範囲として与えられる。なお、予測対象範囲PAは、予測対象とする混合物が取り得る色の範囲を示すものであり、任意に設定し得る範囲である。
この第2実施例においては、予測対象範囲PAをカバーするために、図14に白丸で示す7組の三刺激値を決定した。ステップS41では、さらに、これらの7組の三刺激値(Xit,Yit,Zit)を有するような7種類のサンプルM1〜M7の調合割合を、コンピュータカラーマッチングによって予測した。
ここで、コンピュータカラーマッチングによる色予測と調合割合の予測について簡単に説明する。第1実施例で説明した数式2を変形すると、混合物の分光反射率R(λ)は、次の数式26で与えられる。
Figure 0003870421
混合物の吸収係数と散乱係数の比(K/S)Mは、各成分の吸収係数Ki(λ)と散乱係数Si(λ)と調合率Ciから,第1実施例で説明した数式1に従って算出できるので、混合物の分光反射率R(λ)を上記数式26から求めることができる。この分光反射率R(λ)は理想状態(被着色物の厚みが無限大の場合)の分光反射率なので、分光光度計で測定できる分光反射率R’(λ)を、次の数式27(サンダーソンの式)に従って求める。
Figure 0003870421
ここで、係数k1,k2は、被着色物(ベース釉)の光学的性質に依存する値である。係数k1,k2としては、被着色物の屈折率nから次の数式28に従って決定することができる。
Figure 0003870421
なお、第2実施例において用いたベース釉は、屈折率nが約1.4である。
数式27によって分光反射率R’(λ)が求まると、混合物の三刺激値X,Y,Zが次の数式29によって求められる。
Figure 0003870421
ここで、S(λ)は標準光の分光分布、x(λ),y(λ),z(λ)(数式中ではバー付きである)は等色関数である。
コンピュータカラーマッチングによって混合物の色を予測する場合には、上述のように、混合物の各成分の吸収係数と散乱係数に基づき、数式1,26〜29に従って、その混合物の三刺激値X,Y,Zを算出する。三刺激値は混合物の色を表わすので、任意の混合物の色を予測することができることになる。
また、所望の色を有する混合物の調合割合を予測する場合には、混合物の調合割合を仮定して、上述した手順でその三刺激値を算出し、ニュートン−ラプソン法などの逐次近似法によって所望の色に所定の誤差内で一致するような調合割合を求める。
図13のステップS42では、ステップS41で予測された調合割合Ciを有する複数のサンプルを作成する。この第2実施例では、図14の7組の三刺激値(Xit,Yit,Zit)に対応する7つのサンプルM1〜M7を作成した。ステップS43では、各サンプルMiの分光反射率を分光光度計で測定し、上記数式29に従ってその三刺激値(Xim,Yim,Zim)を求める。
ステップS44では、各サンプルMiに関して、ステップS43で得られた実測値(Xim,Yim,Zim)とステップS41で決定した目標値(Xit,Yit,Zit)との差をとることによって、予測誤差ΔMi(Xim−Xit,Yim−Yit-,Zim−Zit)を求める。図15は、第2実施例において得られた7つのサンプルM1〜M7の予測誤差を示す概念図である。また、図16は、各サンプルの三刺激値の目標値(ステップS41で決定された値)と予測誤差ΔMi(ΔX,ΔY,ΔZ)を示す説明図である。
なお、ステップS41で得られた調合割合Ciからコンピュータカラーマッチングによって各サンプルの三刺激値の予測値(Xic,Yic,Zic)を求め、実測値(Xim,Yim,Zim)と予測値(Xic,Yic,Zic)との差(Xim−Xic,Yim−Yic,Zim−Zic)を予測誤差ΔMiと定義してもよい。コンピュータカラーマッチングで調合割合Ciを決定する際には、三刺激値の目標値(Xit,Yit,Zit)と予測値(Xic,Yic,Zic)との差が所定の許容誤差以下になるように調合割合Ciを決定するので、目標値(Xit,Yit,Zit-)と予測値(Xic,Yic,Zic)は実質的にほぼ等しい値を有している。従って、実測値(Xim,Yim,Zim)と予測値(Xic,Yic,Zic)との差(Xim−Xic,Yim−Yic,Zim−Zic)を予測誤差ΔMiと定義しても、実測値(Xim,Yim,Zim)と目標値(Xit,Yit,Zit)との差(Xim−Xit,Yim−Yit,Zim−Zit)を予測誤差ΔMiと定義しても実質的にはほぼ同じである。
図13のステップS45では、図16に示す各サンプルMiの三刺激値の目標値(Xit,Yit,Zit)と予測誤差ΔMiとを用いてニューラルネットワークの学習を行ない、上記数式24における重みWij,kを決定する。ニューラルネットワークの学習方法としては、例えば逆誤差伝搬学習方式を用いる。
図17は、第2実施例におけるニューラルネットワークの学習の実証結果を示す説明図である。ここでは、図14,5に示す予測対象範囲PAに含まれるもう1組の三刺激値をコンピュータカラーマッチングの目標値として設定し、この目標値を有する第8のサンプルM8を作成した。そして、このサンプルM8の三刺激値を実測した。図17において「CCM目標値」とあるのは第8のサンプルM8のコンピュータカラーマッチングに用いた目標値を意味している。また、「誤差(真値)」とあるのは三刺激値の目標値と実測値との差である。「ニューロ予測誤差」は、CCM目標値を学習済みのニューラルネットワーク(図12)に入力した場合に得られる予測誤差である。図17の結果から、学習済みのニューラルネットワークは、三刺激値の誤差を精度良く予測できることが解る。
こうしてニューラルネットワークの学習が終了すると、図11のステップS32〜S35を実行して、調合率未知の色見本の調合率を予測する。ステップS32では、調合率未知の色見本の分光反射率を測定してその三刺激値(Xs,Ys,Zs)を求める。ステップS33では、図12に示すニューラルネットワークに色見本の三刺激値(Xs,Ys,Zs)を入力して、予測誤差Δ(ΔXs,ΔYs,ΔZs)を求める。テップS34では、三刺激値(Xs,Ys,Zs)を予測誤差Δで補正して、コンピュータカラーマッチングの調合割合予測に用いる三刺激値の目標値(Xs−ΔXs,Ys−ΔYs,Zs−ΔZs)を求める。ステップS35では、こうして補正された目標値を用いてコンピュータカラーマッチングを実行し、色見本の調合率を予測する。
図18は、第2実施例におけるコンピュータカラーマッチングの予測精度を検証するために行なった実験結果を示す説明図である。ここでは、予測精度を実証することを目的としたので、調合率既知の色見本について三刺激値を実測し、その実測値(Xs,Ys,Zs)を実現する調合率をコンピュータカラーマッチングで予測した。図17の結果から、調合率の真値とコンピュータカラーマッチングによる予測値とは極めて良く一致していることが解る。
なお、図12に示す学習済みのニューラルネットワークを利用すれば、調合率既知の混合物の三刺激値も精度良く予測することが可能である。すなわち、予測対象の混合物の調合率Ciから上記数学1,26〜29を用いて三刺激値を求め、この三刺激値を図12のニューラルネットワークに入力して予測誤差Δを求める。そして、数学29で得られた三刺激値を予測誤差Δで補正すれば、実際の値に極めて近い三刺激値が得られる。
プラスチック等と異なり,陶磁器においては,焼成条件,熔融中の原料の化学反応等により,混色理論が成立しない場合がある。この場合,ニューラルネットワークに混合物の三刺激値とCCMによる予測誤差の関係を学習させる本実施例の方法は有効である。
なお、上記第2実施例に関しては、例えば次のような変形も可能である。
(1)上記第2実施例ではコンピュータカラーマッチングにおける三刺激値の目標値をニューラルネットワークの入力としていたが、ニューラルネットワークの入力としては、各サンプルMiの三刺激値の実測値(Xim,Yim,Zim)を用いても良く、また、コンピュータカラーマッチングによる予測値(Xic,Yic-,Xic)を用いても良い。すなわち、ニューラルネットワークには、複数のサンプルの三刺激値(XYZ表色系の座標値)とその予測誤差との関係を学習させるようにすればよい。
(2)上記第2実施例では、ニューラルネットワークを用いて三刺激値を補正していたが、回帰分析やニューロファジイ技術等の他の誤差補正法を用いて補正することも可能である。
(3)上記第2実施例ではXYZ表色系を用いていたが、本発明は、L***表色系などの他の任意の表色系を用いる場合に適用できる。
(4)XYZ表色系やL***表色系の座標値を一致させるコンピュータカラーマッチングは、一般にメタメリックマッチ法と呼ばれている。一方、混合物の分光反射率R(λ)の曲線を一致させるアイソメリックマッチ法と呼ばれる方法もある。この発明は、メタメリックマッチ法のみでなく、アイソメリックマッチ法によるコンピュータカラーマッチングにも適用可能である。
(5)上記第2実施例では陶磁器の釉を対象とするコンピュータカラーマッチングについて説明したが、本発明はこれに限らず、他の種類の混合物を対象とするコンピュータカラーマッチングにも適用することが可能である。
C.第3実施例:
衛生陶器などのような工業陶器には、ユーザの様々な好みに応じて種々の色が設定されている。陶器の色は、釉に混合する顔料の調合率によって決定されるので、釉は、コンピュータカラーマッチングにおける混合物に相当する。陶器の色を設定する際には、まず、設計者が紙などを彩色したり、予め焼成されたサンプルから所望の色を有するサンプルを選択したりすることによって色を決定する。そして、その色の分光反射率を分光光度計で測定し、分光反射率の実測値からコンピュータマッチングを用いて顔料や染料等の着色剤の調合割合を予測する。
ところで、同じ調合割合の釉薬を用いても、製造される陶器の実際の色は同一にはならず、色にばらつきがあるのが普通である。図19は、設計された色と実際に製造される陶器の色のばらつきを示するx−y色度図である。図19において、二重丸で示される色が設計された所望の色(標準色)L0であり、小さな白丸が実際に製造される陶器の色の分布である。標準色L0から大きく異なる色を有する陶器は不良品として認識する必要がある。そこで、良品の色の濃淡の限度を示すものとして、図19に黒丸で示す色を有する濃淡限度色L1,L2が設定される。標準色L0の色度座標値は設計者によって決定されているので、この標準色L0の色度座標値に製造誤差等を考慮して、2つの濃淡限度色L1,L2の色度座標値を決定する。
実際の陶器の製造においては、標準色L0を有する陶器を標準色見本として作成し、また、濃淡限度色L1,L2を有する2つの陶器を濃淡限度見本として作成する。そして、検査工程において、標準色見本および濃淡限度見本の色と製造された陶器の色とを比較して、濃淡限度見本の色の範囲にある陶器のみを良品とする。
ところで、コンピュータカラーマッチングによる予測にはかなりの誤差が伴うので、予測された調合割合から標準色見本や濃淡限度見本を作製するにはかなりの手間を要するのが普通である。例えば、標準色見本を作成する際には、コンピュータカラーマッチングで予測された調合割合で調合した釉薬を用いて多数のサンプルを焼成し、その中で所望の標準色を有するサンプルがあればそれを標準色見本として採用する。しかし、標準色を有するサンプルが無ければ、勘と経験に従って調合割合を変更して再度多数のサンプルを焼成し、標準色を有するサンプルが得られるまでこの作業を繰り返す。このような作業は、濃淡限度色L1,L2を有する濃淡限度見本についても行なわれる。
このように、従来のコンピュータカラーマッチングでは、所望の色を有する混合物を作成するための調合割合を精度良く予測するのが困難であった。
以下に示す第3実施例は、所望の色を有する混合物の調合割合を精度良く予測することを目的としたものである。
図20は、第3実施例における処理の全体手順を示すフローチャートである。なお、この第3実施例で対象とする混合物は、陶磁器の素地の表面を覆うための釉(ゆう)である。すなわち、顔料を入れないベース釉(基礎釉)が被着色物であり、このベース釉に顔料を添加した釉がコンピュータカラーマッチングの対象となる混合物である。
ステップS51では、まず標準色見本を作成する。従って、標準色見本の着色剤の混合割合は既知である。ステップS52では、作成された標準色見本の分光反射率R’を分光光度計で測定し、この分光反射率R’から次の数式30に従って三刺激値X0,Y0,Z0を算出する。
Figure 0003870421
ここで、S(λ)は標準光の分光分布、x(λ),y(λ),z(λ)(数式中ではバー付きである)は等色関数である。
ステップS53では、ステップS52で得られた標準色の三刺激値の実測値X0,Y0,Z0に基づいて、製造誤差を考慮して、設計者が図19に示す2つの濃淡限度色L1,L2に対する三刺激値を設定する。なお、以下では説明の便宜上、第1の濃淡限度色L1を実現するための調合割合を予測する場合について説明する。第2の濃淡限度色L2に対しても、同様な処理によってその調合割合を精度良く予測することができる。
ステップS54では、ステップS51で作成した標準色見本の各着色剤の調合率Ci(iは着色剤の番号を示す)と、散乱係数Siと、吸収係数Kiとから、標準色見本の三刺激値の計算値XM,YM,ZMを以下の手順で算出する。
まず、第1実施例で説明した数式2を変形すると、混合物の分光反射率R(λ)は、次の数式31で与えられる。
Figure 0003870421
混合物の吸収係数と散乱係数の比(K/S)Mは、各着色剤の吸収係数Ki-(λ)と散乱係数Si(λ)と調合率Ciから、第1実施例で説明した数式1に従って算出できる。従って、混合物の分光反射率R(λ)は、この比(K/S)Mから、数式31に従って求めることができる。この分光反射率R(λ)は理想状態(被着色物の厚みが無限大の場合)の分光反射率なので、分光光度計で測定できる分光反射率R’(λ)を、次の数式32(サンダーソンの式)に従って求める。
Figure 0003870421
ここで、係数k1,k2は、被着色物(ベース釉)の光学的性質に依存する値である。係数k1,k2の値は、被着色物の屈折率nから次の数式33に従って決定することができる。
Figure 0003870421
なお、ベース釉の屈折率nは、例えば約1.4である。
数式32によって分光反射率R’(λ)が求まると、混合物の三刺激値XM,YM,ZMは、前述した数式30と同様な式に従って算出できる。
ところで、各着色剤の吸収係数Kiと散乱係数Siは誤差を含んでおり、また、数式1,32〜33は理論式ではなく実験式なので、ステップS54で得られた三刺激値の計算値XM,YM,ZMは誤差を有している。この計算誤差は、ステップS52で得られた実測値X0,Y0,Z0からの差である。ところで、コンピュータカラーマッチングによる調合割合の予測も、数式1,2,30〜33に従って混合物の三刺激値を求める工程を含んでいる。そこで、濃淡限度見本の調合割合をコンピュータカラーマッチングで予測する際に、標準色見本における三刺激値の計算誤差を考慮しておけば、その予測精度を向上させることができる。
図20のステップS55では、ステップS52で得られた標準色の三刺激値の実測値X0,Y0,Z0と、ステップS54で得られた計算値XM,YM,ZMとの差分ΔX,ΔY,ΔZを次の数式34に従って求める。
ΔX=X0−XM ・・・(34a)
ΔY=Y0−YM ・・・(34b)
ΔZ=Z0−ZM ・・・(34c)
ステップS56では、ステップS53で設定された濃淡限度見本の三刺激値XT,YT,ZTを上記の差分ΔX,ΔY,ΔZで補正することによって、コンピュータカラーマッチングにおける三刺激値の目標値XC,YC,ZCを求める。すなわち、濃淡限度見本に対する三刺激値の目標値XC,YC,ZCは次の数式35で与えられる。
C=XT−ΔX ・・・(35a)
C=YT−ΔY ・・・(35b)
C=ZT−ΔZ ・・・(35c)
ステップS57では、コンピュータカラーマッチングによって濃淡限度見本の調合割合を予測する。このコンピュータカラーマッチングでは、数式35で与えられる目標値XC,YC,ZCが得られるような調合割合を求めている。
図21は、ステップS57におけるコンピュータカラーマッチングの詳細手順を示すフローチャートである。なお、図21の手順は、ニュートン−ラプソン法を用いたコンピュータカラーマッチングを適用したものである。
ステップS61では、各着色剤(顔料)の調合率Ciを微小変化させた時の三刺激値の変化を以下の手順で計算する。まず、図20のステップS52で用いた標準色見本の調合率Ciから、1つの着色剤の調合率のみをΔCiだけ変えて、その混合物の三刺激値の計算値XM’,YM’,ZM’を求める。これは、前述した数式1,2,30〜33を用いて、ステップS52と同様の手順で行なわれる。そして、ステップS52で得られていた標準色の三刺激値の計算値XM,YM,ZMとの差分ΔXCi,ΔYCi,ΔZCiを以下の数式36に従って算出する。
ΔXCi=X’M−XM ・・・(36a)
ΔYCi=Y’M−YM ・・・(36b)
ΔZCi=Z’M−ZM ・・・(36c)
数式36を用いると、各着色剤の調合率Ciのみを微小変化させた時の三刺激値の変化率が、次の数式37で与えられる。
Figure 0003870421
濃淡限度色は、標準色の製造誤差を示すものなので、両者の三刺激値は互いに近接した値である。従って、数式37の変化率を用いると、図20のステップS56で得られた濃淡限度見本の三刺激値の目標値XC,YC,ZCと、ステップS54で得られた標準色見本の三刺激値の計算値XM,YM,ZMとの関係を、次の数式38で表わすことができる。
Figure 0003870421
なお、数式38では、着色剤が4種類であると仮定している。なお、各着色剤の調合率の変化量ΔCiの合計値ΔPCVには一定値が代入される。例えば、4種類の着色剤の調合率Ciの和ΣCiを一定に保った場合には、ΔPCVは0である。
数式38は、4つの未知数ΔCi(i=1〜4)を含む4元連立一次方程式なので、これを解くことによって、各未知数ΔCiの値を求めることができる(ステップS62)。ステップS63では、ステップS62で求められた値ΔCiを用いて、濃淡限度見本の各着色剤の調合率CiTが次の数式39に従って算出される。
iT=Ci+ΔCi ・・・(39)
ステップS64では、ステップS63で得られた調合率CiTから、前述した数式1,2,30〜33に従って三刺激値の計算値X1,Y1,Z1を求める。ステップS65では、こうして得られた三刺激値X1,Y1,Z1と、図20のステップS56で求めた三刺激値の目標値XC,YC,ZCとの色差ΔEが所定の許容誤差δ以下であるか否かが判断される。なお、色差ΔEは、Lab表色系を用いて次の数式40で与えられる。
Figure 0003870421
ステップS65において、色差ΔEが許容誤差δよりも小さな場合にはステップS63で得られた調合率CiTの値を予測値として採用し、コンピュータカラーマッチングを終了する。一方、色差ΔEが許容誤差δ以上の場合には、ステップS66において、ステップS64で得られた三刺激値の計算値X1,Y1,Z1を、XM,YM,ZMに代入して、ステップS62〜S65の処理を繰り返す。こうしてステップS62〜S66を繰り返し実行することによって、色差ΔEの値が許容誤差δよりも小さくなるような調合率CiTを求めることができる。
図22は、本発明の第3実施例において用いた標準色見本の三刺激値と、濃淡限度見本の三刺激値を示すテーブルである。サンプルT1,T2,T3は、それぞれ異なる色を有する標準色見本である。図22には、各標準色見本について、図20のステップS52で実測された三刺激値X0,Y0,Z0と、ステップS54で計算された三刺激値XM,YM,ZMとが示されており、また、ステップS53で設定された濃淡限度見本の三刺激値の設定値XT,YT,ZTも示されている。コンピュータカラーマッチングにおける濃淡限度見本の三刺激値の目標値XC,YC,ZCは、これらの値から、前述した数式34および35に従って算出される。
図23は、第3実施例における濃淡限度見本の三刺激値の予測結果と、比較例の予測結果と、実調合率とを示したものである。比較例の調合率は、濃淡限度見本の三刺激値の設定値XT,YT,ZTをそのままコンピュータカラーマッチングの目標値とした時に得られた予測値である。また、第3実施例の調合率は、標準色見本の計算誤差で補正した目標値XC,YC,ZCを用いて得られる予測値である。なお、この第3実施例では、予測精度を検証するために、図23の右端に示す調合率を用いて濃淡限度見本を実際に製作しておき、その三刺激値の実測値を図22に示す設定値XT,YT,ZTとして用いている。
図23から解るように、第3実施例は比較例に比べてより高い精度で調合率を予測することが可能であった。また、3つのサンプルT1〜T3では4つの顔料の成分がかなり異なるが、そのすべての場合において、第3実施例の予測精度が比較例に比べて高いことが解る。
以上のように、上記第3実施例では、濃淡限度見本に近い三刺激値を有する標準色見本に関して三刺激値の計算誤差を求め、これを用いて濃淡限度見本の三刺激値の目標値を補正している。この結果、濃淡限度見本の調合率を予測する際の予測精度を向上させることが可能である。
上記第3実施例に関しては、例えば次のような変形も可能である。
(1)上記第3実施例では、濃淡限度見本に近い三刺激値を有するサンプル(近接色サンプル)として標準色見本を使用し、標準色見本に関する三刺激値の計算誤差を用いて濃淡限度見本の三刺激値の目標値を補正していた。しかし、標準色見本以外の近接色サンプルを選択し、その近接色サンプルに関する計算誤差を用いることも可能である。例えば、種々の色を有するサンプルを収集したデータベースを用いて、濃淡限度見本に近い色を有するサンプルを、近接色サンプルとして選択するようにしてもよい。このデータベースは、各着色剤の調合率Ciと、三刺激値の実測値(または、反射率R(λ))を少なくとも含むようにするのが好ましい。なお、データベースを用いて近接色サンプルを検索する場合には、上述の数式40で与えられる色差ΔEが、目標とする混合物(濃淡限度見本)に最も近いものを近接色サンプルとすることが好ましい。
なお、このようなデータベースを用いれば、濃淡限度見本の調合率をコンピュータカラーマッチングによって予測する場合に限らず、任意の三刺激値を有する目標混合物の調合率を予測する場合に、その予測精度を向上させることができるという利点がある。
(2)上記第3実施例では、XYZ表色系を用いていたが、表色系としてはXYZ表色系以外の任意の表色系を使用することができる。例えば、L***表色系などを使用することが可能である。
D.第4実施例:
顔料や染料などの着色剤の着色対象となるもの(被着色物)を所望の色とするには、その所望の色となるように着色剤を種々調合して調合割合を規定する必要がある。この場合、技術者が試行錯誤して所望の色を呈する着色剤の混合割合を求めていたが、近年では、個々の着色剤の濃度別の光学的データを基礎として、着色剤の混合割合を予測するいわゆるコンピュータカラーマッチング(以下、これを適宜CCMと略称する)が提案されている(特開平4−181129,特公平6−98880)。
ところで、これら公報で提案されたCCMでは、ニュートン・ラプソン法等の逐次近似法を用いているため、その予測した調合割合が負となることがある。このため、負となった予測調合割合をゼロ若しくは正とするための工夫がなされている。
上記した従来のCCMでは、その被着色物を繊維とし、一旦着色(染色)した繊維の色が所蔵のものではない場合に、この染色済みの繊維を追加染色してその色を所望のものとする。しかしながら、陶器やタイルでは、その色は、釉に混合する顔料の調合率(調合割合)によって決定され、顔料が調合された釉(以下、釉薬という)の焼成を経て当該色を呈する。このため、陶器やタイル等のように追加染色(着色)できない被着色物には、上記の従来のCCMは適用できない。
また、追加着色が可能な繊維や追加着色が不可能な陶器,タイルであっても、共に、着色剤(繊維にあっては染料,陶器やタイルにあっては釉薬)は、繊維,陶器等の工業的生産に合わせて多量に繰り返し調合される。この場合、着色剤の調合割合は維持されるが、調合工程に変動、例えば温度や調合のタイミング等のズレがあったりすると、それ以前に調合した着色剤で得られる色や色見本の色を再現できない場合がある。特に、陶器やタイルでは、天然の顔料を用いる都合上、色の再現の信頼性にやや欠ける。
このような場合、追加着色が可能な繊維では、上記したCCMにより追加染色して色修正ができるが、追加染色するために調合した着色剤と既に調合済みの着色剤を併用しなければならず、煩雑である。この煩雑さを回避するためには、色見本の色を得られる着色剤を新たに調合してこの着色剤だけで染色すればよいが、既に調合済みの着色剤は不要として廃棄するか、この調合済みの着色剤に新たな着色剤を追加して再調合する必要がある。また、陶器やタイルでは、追加着色が不可能な都合上、調合済みの着色剤の廃棄か再調合を採ることになる。しかしながら、調合済み着色剤の廃棄は無駄であり、その一方、着色剤の再調合は技術者の長年の勘と経験により着色剤を徐々に追加しながら行なうのでやはり煩雑であった。
以下に説明する第4実施例は、調合済み着色剤の有効利用を図りつつ、再調合を簡略化することを目的としたものである。
図24は、実施例のコンピュータカラーマッチング方法を実施するための装置を示すブロック図である。この装置は,上述した第1〜第3実施例を実現する装置としても使用することが可能である。演算装置40は汎用コンピュータであり,図示しないCPUがソフトウェアプログラムを実行することによって,この発明によるコンピュータカラーマッチングの各工程および各手段を実現する。
図25は、この第4実施例における処理の全体手順を示すフローチャートである。なお、この第4実施例で対象とする調合物は、陶磁器の素地の表面を覆うための釉である。即ち、顔料を入れないベース釉(基礎釉)が被着色物であり、このベース釉に顔料を添加した釉がコンピュータカラーマッチングの対象となる調合物である。また、その表色系は、XYZ表色系とするが、これ以外の表色系、例えばL***表色系を採用してもよいことは勿論である。
図24に示すように、第4実施例では、CCMに関する後述する種々の演算を実行する演算装置40と、データ入力を行なうキーボード,マウス等の入力機器42と、演算の状態や後述する合否判定の結果を表示する表示機器44と、この合否判定の結果や種々の演算式等を記憶する記憶装置46と、CCMに必要なデータとしての分光反射率を取得するための分光光度計48とを備える。そして、この演算装置40では、以下の調合処理が行なわれる。
まず、ステップS71では、目標色を呈する釉(見本釉)を準備する。この場合の目標色は、調合済みの釉で呈される色であるので、この釉(見本釉)における顔料の調合割合は既知である。続くステップS72では、この目標色見本釉を分光光度計48で測色し、XYZ表色系での色評価値である三刺激値(実測値)XT,YT,ZTを求める。この三刺激値は、分光光度計48での測色により得られた目標色見本釉の分光反射率R’(λ)から、次の数式42に従って算出される。なお、算出された三刺激値は、表示機器44に目標見本色とともに表示され、後述の処理に用いるために記憶装置46に記憶される。また、以下に記す三刺激値等の演算結果は、その都度に、記憶装置46に記憶される。
Figure 0003870421
ここで、S(λ)は標準光の分光分布、x(λ),y(λ),z(λ)(数式中ではバー付きである。以下同じ)は等色関数であり、いずれも既知の値である。なお、式中に記した(λ)は、分光反射率,分光分布,等色関数がいずれも波長λに依存していることを表わす。
ステップS73では、上記の見本釉が呈する目標色と近似する色を呈すると想定した調合割合でそれぞれの顔料を添加し、第1回目の試作釉を調合し、この試作釉についてステップS72と同様にして測色する。これにより、この第1回目試作釉についての三刺激値(実測値)X1,Y1,Z1を求める。この第1回目試作において、上記の調合割合での顔料の調合は技術者によってなされるものの、その値は任意性のある既知の値であり、従来のように試行錯誤して繰り返し調合する必要はなく、調合割合を定めるに当たって特段の経験や勘も要しない。この場合の第1回目試作釉についての三刺激値並びに顔料調合量(調合割合)も、表示機器44に表示されると共に、記憶装置46に記憶される。また、この際の顔料調合量は、入力機器42から入力される。
続くステップS74では、ステップS71で作成した目標色見本釉の呈する色とステップS73における第1回目試作釉の呈する色との色差ΔE*(JIS z8730)が所定範囲内に納まるか否か、即ち色差ΔE*の合否判定を下す。この場合の色差ΔE*の許容値は、目標色見本の呈する色と第1回目試作釉の呈する色との違いが一見しては判別できない程度の値、例えば0.3〜0.5程度の値が予め入力機器42から設定される。なお、色差ΔE*の許容値を0.3〜0.5以外の値とすることもできることは勿論である。
このステップS74で色差ΔE*が0.3〜0.5以内であると合格判定すれば、ステップS73での第1回目試作の釉で目標色見本の色を再現できるので、それ以上の調合処理は不要であるとして総ての処理を終了する。つまり、第1回目試作の際の調合割合で調合した新たな釉は、目標色見本釉とほぼ同じ色を呈する。
一方、ステップS74で色差ΔE*が0.3〜0.5以内に納まらないとして不合格判定した場合には、続くステップS75で、ステップS72で求めた目標色見本の三刺激値XT,YT,ZTとステップS73で求めた第1回目試作釉の三刺激値X1,Y1,Z1とから、次の数式43に従って三刺激値の差ΔX,ΔY,ΔZを算出する。この三刺激値の差ΔX,ΔY,ΔZは、目標色見本の呈する色と第1回目試作釉の呈する色との色差ΔE*を反映した値となる。
ΔX=XT−X1 ・・・(43a)
ΔY=YT−Y1 ・・・(43b)
ΔZ=ZT−Z1 ・・・(43c)
ステップS76では、ステップS73で行なった第1回目試作釉の調合時の各顔料(調合割合既知)に微量だけその顔料を追加調合した場合の三刺激値の変化率(微係数)を、CCMの手法を用いて、以下の手順に従って求める。なお、各顔料を追加調合する際の微量増加調合量も入力機器42から入力される。
まず、このステップS76の最初のステップS91では、図26のフローチャートに示すように、第1回目試作釉の呈する色の三刺激値を第1回目試作時の各顔料の既知の調合割合からCCMの手法で演算する。この場合の三刺激値(演算値)X1/E,Y1/E,Z1/Eは、次の数式44で表わされる。
Figure 0003870421
この数式44にあっても、上記した数式42と同様、S(λ)は標準光の分光分布(既知)であり、x(λ),y(λ),z(λ)は等色関数(既知)である。しかし、数式44における分光反射率R(λ)は、三刺激値X1/E,Y1/E,Z1/Eを顔料の特性から算出する都合上、やはり顔料の特性を用いて以下のようにして算出する。そして、この算出した分光反射率R(λ)を用いて、上記の数式44から三刺激値X1/E,Y1/E,Z1/Eを算出する。
被着色物と着色剤の吸収係数Ki(λ)と散乱係数Si(λ)とは、以下の数式45で表わされるダンカン(Duncan)の式と、数式46で表わされるクベルカ−ムンク(Kubelka-Munk)の混色理論による式の関係にあり、これら数式に基づいて、任意の調合物の分光反射率R(λ)をCCMにより求めることができる。
Figure 0003870421
ここで、KM,SMは調合物(釉)の吸収係数と散乱係数、Ki,Siはi番目の成分(顔料)の吸収係数と散乱係数、Ciはi番目の成分(顔料)の調合割合である。
Figure 0003870421
この数式46を変形すると、分光反射率R(λ)は、次の数式47で与えられる。
Figure 0003870421
ここで、調合物の吸収係数と散乱係数の比(K/S)は、この数式47で示されているように、各顔料の吸収係数Ki(λ)と散乱係数Si(λ)と調合率Ciで規定される。従って、分光反射率R(λ)は、この比(K/S)から算出され、求めることができる。なお、KW,SWは白色成分(白顔料)の吸収係数と散乱係数、CWは白色成分の調合割合である。
続くステップS92では、各顔料(顔料1,2,3)について、第1回目試作釉の調合割合をそれぞれ微量の調合量だけ個別に増加させた釉の呈する色についての三刺激値(演算値)X1/1/E,Y1/1/E,Z1/1/Eを、第1回目試作時の各顔料の既知の調合割合並びに増加させた顔料の既知の調合割合からCCMの手法で演算する。より詳しく説明すると、まず、第1回目試作釉に顔料1を微量の調合量(0.1*C1)だけ加え他の顔料2,3および白顔料は第1回目試作釉と同一調合率の釉の呈する色についての三刺激値を演算する。この場合にあっても、上記した数式44〜数式47が用いられ、数式47におけるC1は(C1+0.1*C1)となり、C2,C3,CWはそのままである。そして、このように計算された三刺激値X1/1/E,Y1/1/E,Z1/1/Eは、顔料1の微量増加調合に起因した三刺激値である。
同様に、顔料2を微量の調合量(0.1*C2)だけ加え他の顔料は同一調合率の釉の呈する色についての三刺激値X1/2/E,Y1/2/E,Z1/2/Eと、顔料3を微量の調合量(0.1*C3)だけ加え他の顔料は同一調合率の釉の呈する色についての三刺激値X1/3/E,Y1/3/E,Z1/3/Eとを演算する。なお、白顔料についてもその三刺激値X1/W/E,Y1/W/E,Z1/W/Eが同様に演算される。そして、各顔料(顔料1,2,3および白顔料)をそれぞれ微量増加して調合したことによる三刺激値の変化量と各顔料の微量増加量とから、次の数式48に従って三刺激値の変化率(微係数)を算出する。その後は図25のステップS77に進む。
顔料1 微量増加調合:
Figure 0003870421
顔料2 微量増加調合:
Figure 0003870421
顔料3 微量増加調合:
Figure 0003870421
ステップS77では、目標色見本釉と第1回目試作釉の測色を経てステップS75で求めた三刺激値の差ΔX,ΔY,ΔZ(実測値の差)を補正するために必要な各顔料の追加増量調合量(顔料1はΔC1,顔料2はΔC2,顔料3はΔC3,白顔料はΔCW)を、次の数式49と数式50を用いて算出する。
Figure 0003870421
数式49は、三刺激値の差ΔX,ΔY,ΔZ(実測値の差)を補正するためのものであり、各顔料の追加増量調合量(ΔC1,ΔC2,ΔC3,ΔCW)を変数とする。また、数式50は、各顔料を変動させた場合の費用関数であり、各顔料の追加増量調合量(ΔC1,ΔC2,ΔC3,ΔCW)をやはり変数とする。従って、数式49,50を4つの上記変数について解くことでこれら変数、即ち各顔料の追加増量調合量(ΔC1,ΔC2,ΔC3,ΔCW)が定まる。なお、数式50におけるAiは、顔料iを単位量変動させるのに必要な費用である。
この場合、ステップS77では、ΔCiがΔCi≧0を満たし、ΔCWがΔCW≧0を満たし、且つ、数式50で表わされる費用関数Fを最小とするΔCi並びにΔCWを線形計画法を用いて解く。これにより、ΔCi並びにΔCWが負の値として算出されることはない。
続くステップS78では、各顔料(白顔料を含む)の調合割合を、求めた追加増量調合量を加味して算出し、追加増量調合した釉についての物性値を求め更新する。より具体的には、この調合割合と各顔料についての吸収係数および散乱係数等を用い、上記の数式45〜数式47に従って、分光反射率R(λ)を求める。そして、その後のステップS79では、求めた分光反射率R(λ)を数式44に代入して、各顔料を追加増量調合した釉の呈する色についての三刺激値(演算値)XEND/E,YEND/E,ZEND/Eを演算する。
ステップS80では、この追加増量調合後の三刺激値XEND/E,YEND/E,ZEND/E-と目標色見本釉についての三刺激値XT,YT,ZTを用い(JIS Z 8730)、その色差ΔE*が所定範囲内に納まるか否かの合否判定を再度下す。このステップS80で色差ΔE*が0.3〜0.5以内であると合格判定すれば、それまでのステップで求めた補正量で調合した釉であれば目標色見本の色を再現できることになる。よって、この場合は、調合処理が完了したとして処理を終了する。つまり、求めた各顔料についての補正量(追加増量調合量)を加味した調合割合が、調合済みの釉を再調合する際の最終的な調合割合として採用される。より具体的に説明すると、調合工程の変動等により色に変調を来たした調合済み釉は、その調合割合が既知であるので第4実施例における第1回目試作釉に相当するので、この色に変調を来たした調合済み釉に上記の補正量に従った配合割合で各顔料を追加して再調合すれば、目標色を呈する釉を再調合できることになる。
一方、ステップS80で色差ΔE*が0.3〜0.5以内に納まらないとして不合格判定した場合には、微係数計算,補正量計算のための三刺激値をそれまでの値からシフトするとともに、各顔料の微量増加量を変更する。具体的に説明すると、数式43における三刺激値X1,Y1,Z1に、ステップS79で求めた三刺激値XEND/E,YEND/E,ZEND/Eをシフトする。これより、このシフト後の三刺激値(XEND/E,YEND/E,ZEND/E)から、ステップS75では目標色見本との三刺激値の差(ΔX,ΔY,ΔZ)が新たに算出される。
また、各顔料(顔料1,2,3)について、ステップS76で考慮した微量増加量を、それまでの調合量(この場合には、顔料1はC1+0.1*C1)に0.1を乗じた微量増加量((C1+0.1*C1)*0.1)に変更する。これにより、各顔料は、ステップS80で不合格とされた場合よりそれぞれ0.1だけ微量増量されるので、ステップS76で、この微量増量を加味した調合割合から、各顔料が微量増量されたことによる三刺激値が上記した数式44〜数式47に従って求められる。そして、各顔料が微量増加されたことによるこの新たな三刺激値が数式48における三刺激値X1/1/E,Y1/1/E,Z1/1/E等に替わって用いられて改めて微係数が算出される。その後は既述したように各顔料の追加増量調合量(補正量)が求められ、ステップS80で合格判定されるまで、上記の処理が繰り返される。
以上説明したように第4実施例のコンピュータカラーマッチング方法では、それまで存在していた釉(目標色見本釉)に対して、その呈する色がある程度近似した色を呈するような調合割合で第1回目試作釉を調合し、その後、この第1回目試作釉に、目標色見本釉の呈する色と所定範囲で一致するような調合割合で各顔料を追加させた場合の追加増量調合量を求める。このため、顔料の除去を意味する負の調合量をCCMにより求めることがない。よって、第4実施例のコンピュータカラーマッチング方法によれば、顔料が調合済みの釉(着色剤)の廃棄が不要となるために既存の釉を有効に利用することができる。また、既存の釉の利用に当たり、技術者が関与する工程はステップS73における一回限りの試作釉の調合であり、この際に、技術者の長年の勘や経験を要しないので、釉の再調合を簡略化することができる。
更に、第4実施例のコンピュータカラーマッチング方法では、釉を再調合するための各顔料の補正量の算出の際に、各顔料の補正量(ΔCi並びにΔCW)を、数式50で表わされる費用関数Fを用いた線形計画法の手法で求め、各顔料の補正に要する費用が最小となるようにした。このため、第4実施例のコンピュータカラーマッチング方法によれば、上記した既存の釉の有効利用と再調合に簡略化に加え、コスト低減をも図ることができる。
次に、上記した第4実施例のコンピュータカラーマッチング方法を行なった際の各ステップでの処理により得られる三刺激値や微係数について、図27を用いて説明する。
図27は、ステップS72で取得した目標色見本釉についての三刺激値(色値)とステップS73で取得した第1回目試作釉についての三刺激値の対比、並びに目標色見本釉,第1回目試作釉における各顔料の調合率(調合率)を表わす。そして、図中のΔE*は、目標色見本釉と第1回目試作釉との間の色差であり、この値に基づいてステップS74での合否判定が下される。
図28は、図27に掲げる第1回目試作釉に各顔料をそれぞれ微量だけずつ追加調合した場合の三刺激値の変化率(微係数)を示しており、上記の数式48から演算される。この際、顔料1(赤顔料)の微量増量の場合における微係数算出には、演算した三刺激値X1/1/E,Y1/1/E,Z1/1/Eが用いられ、顔料2(黄顔料)では三刺激値X1/2/E,Y1/2/E,Z1/2/Eが、顔料3(青顔料)では三刺激値X1/3/E,Y1/3/E,Z1/3/Eが、白顔料では三刺激値X1/W/E,Y1/W/E,Z1/W/Eが用いられる。
この図29は、第4実施例によるコンピュータカラーマッチング方法による結果を示しており、各顔料について定めた最終的な調合割合で調合した釉と目標色見本釉とを、その調合率と三刺激値について対比して表わす。また、この両釉についての色差ΔE*は0.47であり、ステップS80で合格判定されたことが判る。
以上の第4実施例に関しては,次のような変形も可能である。
例えば、数式50の費用関数Fに替わって、以下の数式51で表わされる費用関数Fを用いてもよい。
F=ΔC1+ΔC2+ΔC3+ΔCW ・・・(51)
更には、ステップS76にて顔料をそれぞれ微量ずつ追加増量した微係数を計算する際に、各顔料の追加増量調合量の最低値を最低追加増量調合量ΔCstep-として予め規定しておき、このΔCstepの整数倍ずつ各顔料を追加増量するよう構成することもできる。そして、このように各顔料を追加増量していき、最も目標色見本釉との色差ΔE*が小さくなるときの追加増量量を、微係数算出の際の補正量とし、この補正量を加味した調合割合を調合済みの釉を再調合する際の最終的な調合割合とすればよい。なお、この場合の最低追加増量調合量ΔCstepは、各顔料を追加したときにその呈する色が僅かに変わる最小単位の追加増量量として規定される。また、この場合には、各顔料の追加増量量の最大許容量ΔCmaxを予め定めており、各顔料の追加増量の総量をこのΔCmaxで規定すればよい。そして、この最大許容量ΔCmaxは、その顔料を追加したときにその呈する色が大きく変わり、他の顔料の追加増量では元の色への戻りができないと思われる追加増量として規定すればよい。
また、上記の費用関数Fを用いた線形計画法に限られるわけではなく、他の手法を採ることもできる。例えば、上記の第4実施例で示したように、色差ΔE*で合否判定する場合には、その合否判定にある程度の幅が許容される。従って、この合否判定にある程度の曖昧さを導入したいわゆるファジィ線形計画法の手法を採ることもできる。このファジィ線形計画法の手法を採ったコンピュータカラーマッチング方法での結果を以下の図30に示す。この図30に示すように、各顔料について定めた最終的な調合割合で調合した釉と目標色見本釉とは、その色差ΔE*が0.20であり、両者の色はよく一致していることが判る。
また、上記の第4実施例では、陶器やタイルを色付けする釉を例に採り説明したが、繊維を染める染色剤にも適用できることは勿論である。
[産業上の利用可能性]
この発明にかかるコンピュータカラーマッチング方法および装置は、陶器やタイルを色付けするための釉に混合される着色剤の調合割合の予測とその混合物(すなわち釉)の色予測に適用できる他に,繊維を染めるための染色剤等の各種の混合物における着色剤の調合割合の予測とその混合物の色予測等に適用可能である。

Claims (4)

  1. コンピュータカラーマッチングによって着色剤の調合割合の予測または混合物の色予測を行なう方法であって、
    無色透明でない被着色物に白色着色剤を混合した第1の混合物の散乱係数SW'を、前記白色着色剤の調合率CWに依存した関数f(CW)として準備する工程と、
    前記散乱係数SW'を基準として、前記第1の混合物の吸収係数KW'を前記調合率CWに依存する形式で求める工程と、
    前記散乱係数SW'を基準として、白色でない有色着色剤の吸収係数KPと散乱係数SPとを前記有色着色剤の調合率CPに依存する形式で求める工程と、
    所望の色を有する混合物を調整するための着色剤の調合割合、または、所定の調合割合で生成される混合物の色を、前記吸収係数KW',KPおよび前記散乱係数SW',SPを用いたコンピュータカラーマッチングを行なうことによって求める工程と、
    を備え
    前記コンピュータカラーマッチングを行なう工程は,
    (a)複数の着色剤を混合して、調合率が互いに異なる複数のサンプルを準備する工程と、
    (b)前記複数のサンプルの分光反射率をそれぞれ測定するとともに、前記分光反射率の測定値から、前記複数のサンプルのそれぞれの色を表わす所定の表色系の座標値の実測値を求める工程と、
    (c)前記複数のサンプルのそれぞれに関して、前記吸収係数K W ',K P および前記散乱係数S W ',S P を用いて前記表色系の座標値の予測値を求めるとともに,前記表色系の座標値の予測誤差を算出する工程と、
    (d)前記複数のサンプルに関する前記表色系の座標値と前記予測誤差との関係を、所定の誤差補正法で分析する工程と、
    (e)前記誤差補正法を用いてコンピュータカラーマッチングの目標値または予測値を補正しつつ、新たな混合物の着色剤の調合割合の予測または混合物の色予測を,前記吸収係数K W ',K P および前記散乱係数S W ',S P を用いて求める工程と、
    を備えるコンピュータカラーマッチング方法。
  2. コンピュータカラーマッチングによって着色剤の調合割合の予測または混合物の色予測を行なう方法であって、
    無色透明でない被着色物に白色着色剤を混合した第1の混合物の散乱係数S W 'を、前記白色着色剤の調合率C W に依存した関数f(C W )として準備する工程と、
    前記散乱係数S W 'を基準として、前記第1の混合物の吸収係数K W 'を前記調合率C W に依存する形式で求める工程と、
    前記散乱係数S W 'を基準として、白色でない有色着色剤の吸収係数K P と散乱係数S P とを前記有色着色剤の調合率C P に依存する形式で求める工程と、
    所望の色を有する混合物を調整するための着色剤の調合割合、または、所定の調合割合で生成される混合物の色を、前記吸収係数K W ',K P および前記散乱係数S W ',S P を用いたコンピュータカラーマッチングを行なうことによって求める工程と、
    を備え、
    前記コンピュータカラーマッチングを行なう工程は,
    (a)着色剤の調合率が既知で前記所望の色に近い色を有する近接色サンプルについて所定の表色系の座標の実測値を求める工程と、
    (b)前記近接色サンプルの既知の調合割合から、前記吸収係数KW',KPおよび前記散乱係数SW',SPを用いて前記近接色サンプルの色を表わす前記表色系の座標の計算値を求め、前記実測値と前記計算値から計算誤差を求める工程と、
    (c)目標混合物の色に対する前記表色系の座標の目標値を設定する工程と、
    (d)前記計算誤差を用いて前記目標値を補正し、補正後の目標値と前記吸収係数KW',KPおよび前記散乱係数SW',SPとを用いたコンピュータカラーマッチングによって、前記目標混合物の着色剤の調合割合を予測する工程と、
    を備えるコンピュータカラーマッチング方法。
  3. コンピュータカラーマッチングによって着色剤の調合割合の予測または混合物の色予測を行なう方法であって、
    無色透明でない被着色物に白色着色剤を混合した第1の混合物の散乱係数S W 'を、前記白色着色剤の調合率C W に依存した関数f(C W )として準備する工程と、
    前記散乱係数S W 'を基準として、前記第1の混合物の吸収係数K W 'を前記調合率C W に依存する形式で求める工程と、
    前記散乱係数S W 'を基準として、白色でない有色着色剤の吸収係数K P と散乱係数S P とを前記有色着色剤の調合率C P に依存する形式で求める工程と、
    所望の色を有する混合物を調整するための着色剤の調合割合、または、所定の調合割合で生成される混合物の色を、前記吸収係数K W ',K P および前記散乱係数S W ',S P を用いたコンピュータカラーマッチングを行なうことによって求める工程と、
    を備え、
    前記コンピュータカラーマッチングを行なう工程は,
    複数の着色剤を調合した調合物が所望の目標色に近似した色を呈するように該複数の着色剤についての調合割合を求める工程を含み,
    前記調合割合を求める工程は,
    (a)前記目標色を呈する調合物見本について、所定の表色系での色評価値の実測値を求める工程と、
    (b)既知の調合割合で前記着色剤が調合された1次調合物について、前記所定の表色系での色評価値の実測値を求める工程と、
    (c)前記1次調合物についての前記既知の調合割合に基づいて、前記1次調合物の呈する色の前記所定の表色系での色評価値の計算値を,前記吸収係数KW',KPおよび前記散乱係数SW',SPを用いて求める工程と、
    (d)前記1次調合物に前記着色剤を増量補正したと仮定した着色剤増量調合物についての前記所定の表色系での色評価値の計算値を,前記吸収係数KW',KPおよび前記散乱係数SW',SPを用いて求めるとともに、前記1次調合物から前記着色剤増量調合物への前記色評価値の計算値の変化量を求める工程と、
    (e)前記調合物見本と前記1次調合物との前記色評価値の実測値の差が所定範囲で一致するように、前記色評価値の計算値の変化量に基づいて前記着色剤のそれぞれの増量補正量を算出する工程と、
    を備えるコンピュータカラーマッチング方法。
  4. コンピュータカラーマッチングによって着色剤の調合割合の予測または混合物の色予測を行なう装置であって、
    無色透明でない被着色物に白色着色剤を混合した第1の混合物の散乱係数SW'を、前記白色着色剤の調合率CWに依存した関数f(CW)として作成する手段と、
    前記散乱係数SW'を基準として、前記第1の混合物の吸収係数KW'を前記調合率CWに依存する形式で求める手段と、
    前記散乱係数SW'を基準として、白色でない有色着色剤の吸収係数KPと散乱係数SPとを前記有色着色剤の調合率CPに依存する形式で求める手段と、
    所望の色を有する混合物を調整するための着色剤の調合割合、または、所定の調合割合で生成される混合物の色を、前記吸収係数KW',KPおよび前記散乱係数SW',SPを用いたコンピュータカラーマッチングを行なうことによって求める手段と、
    を備えるコンピュータカラーマッチング装置。
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