JPH05125673A - セツト加工品の染色方法およびセツト加工に伴う色度変化の予測方法 - Google Patents

セツト加工品の染色方法およびセツト加工に伴う色度変化の予測方法

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JPH05125673A
JPH05125673A JP3318370A JP31837091A JPH05125673A JP H05125673 A JPH05125673 A JP H05125673A JP 3318370 A JP3318370 A JP 3318370A JP 31837091 A JP31837091 A JP 31837091A JP H05125673 A JPH05125673 A JP H05125673A
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chromaticity
dyeing
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color
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JP3318370A
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Yukio Itaya
行生 板谷
Tatsuya Sugimoto
達也 杉本
Nobuo Harada
信夫 原田
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Kanebo Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 最終製品において正確な色度(最終色度)を
有した製品を提供する。 【構成】 染色後セット加工を行う布帛の染色工程にお
いて、セット加工に伴う色度変化の収束点を布帛の種
類、セット加工条件に基づいて予め予測し、該収束点と
最終色度との差分により修正された色度にて染色を行
う。また、色度変化の収束点の予測方法には、色度が均
等に分布する複数の染着布の色度を測色した後、該染着
布にセット加工を施して再度測色し、次いでこれら染着
布についてセット前後の両色度の変化量および変化方向
を求め、セット後の色度変化の収束点を決定する方法、
被予測布帛の染色に用いられる染料総てについて、単一
の染料毎に布帛を染色し、該染着布の光学濃度(K/
S)を測色した後、該染着布にセット加工を施して再度
光学濃度を測色してセット前後の変化量を予め求め、次
いで被予測布帛の染色に用いられる染料の配合比率に応
じて該変化量を積算し、セット後の色度変化の収束点を
決定する方法がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、布帛染色加工における
染色色合わせに関し、さらに詳しくはセット加工に伴う
色度変化に対しても正確な色合わせが可能となる染色方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】布帛染色加工の色度検査は、通常、染色
色合わせ工程の払出しのために行う染め上がり布帛の中
間検査と、煮絨や蒸絨等のセット工程を施した後の最終
製品の品質検査の2回行われる。
【0003】この際、最近では、分光光度計や色彩計と
パーソナル・コンピュータを用いて、基準色とバッチの
色差計算を行う方法が一般化しているが、基準色やバッ
チの測定時には、再現性のある測定値を得るために布帛
を乾燥させ、布帛の表面状態を安定させることが必要で
ある。
【0004】これは、色の見え方が、光が目に到達する
までの試料布内部と表面の経路に大きく影響されるため
で、布帛の表面・断面形状は色度の測定に大きな影響を
与える。
【0005】ところで、セット工程の効果は、布帛の収
縮度の安定化,耐シワ性,光沢等があるが、反面セット
工程を経た布帛と、そうでない布帛とでは、同じ染色加
工を施していても、色度が変化する。
【0006】この原因の1つは、セット工程を施すこと
により、布帛の形状が確実にセット前とは異なってしま
うためで、前記の如く、光の経路の関係で色度が変化す
ると考えられる。
【0007】しかし、布帛の熱変、その他の原因は種々
検討されているが、いまだ定量的な分析は行われておら
ず、所定の目標色の製品を生産するために、セット加工
の色度変動を考慮した染色色合わせ工程の管理は行われ
ていない。
【0008】従来知られている染色(着色)加工に対す
る結果の予測手段としては、例えば、特開昭60−17
4932号公報『着色結果の予測方法』に、着色剤の濃
度に対する色の予測を、表色計算を用いて行うものが開
示されている。
【0009】また、独自の表色値を算出し、色判定を行
うものとしては、例えば、特開昭63−142225号
公報『色差測定方法』,特開平2−71123号公報
『色調検査方法』,特開平2−74832号公報『色順
判定方法』などがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の技術は、色合わせ工程後の色変動については一切
考慮していない。そのために、最終製品の品質検査工程
で色違いが発見されると、布帛染色の場合、色合わせ工
程である染色工程まで布帛を戻し、再度色合わせをし、
更に再セットをして所定の品質になるまで修正作業をせ
ねばならない。この作業は膨大な工数になるし、一旦色
付けされ、セットした布帛を修正する作業は、未加工の
白布より加工が難しい。
【0011】また、従来の色度検査は、所定の基準品と
生産バッチの比較を各工程で個別に行うものであるため
に、染色色合わせ工程の中間検査で色合格となっても、
セット工程を施した後で色違いとなった時には払出しを
止めることができないという問題点があった。
【0012】本発明はかかる問題点を解決するためのも
のであり、布帛染色加工において、セット工程を経た後
の色度変動を見越して染色加工を行い、最終製品におい
て正確な色度(最終色度)を有した製品を提供する事を
目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、染色後セット
加工を行う布帛の染色工程において、セット加工に伴う
色度変化の収束点を布帛の種類、セット加工条件に基づ
いて予め予測し、該収束点と最終色度との差分により修
正された色度にて染色を行うことを特徴とするセット加
工品の染色方法であり、色度変化の収束点の予測方法と
しては、色度が均等に分布する複数の染着布についてそ
の色度を測色した後、該染着布にセット加工を施して再
度色度を測色し、次いでこれら染着布についてセット前
後の両色度の変化量および変化方向を求め、セット後の
色度変化の収束点を決定する方法、被予測布帛の染色に
用いられる染料総てについて、単一の染料毎に布帛を染
色し、該染着布の光学濃度(K/S)を測色した後、該
染着布にセット加工を施して再度光学濃度(K/S)を
測色してセット前後の変化量を予め求め、次いで被予測
布帛の染色に用いられる染料の配合比率に応じて該変化
量を積算し、セット後の色度変化の収束点を決定する方
法がある。
【0014】
【作用】本発明は、セット加工条件に基づく色度変化
を、予め色度の変化量と変化方向というベクトルとして
測定しそのデータの集合から、あるいは用いる染料毎の
光学色度(K/S)の変化量を測定しその積算から、被
加工布帛の色度変化の収束点を予測する。次に染色を、
最終色度を基準として行うのではなく、該予測値を用い
て逆算し色度変化後に最終色度となるような色度を基準
として行う。
【0015】
【実施例】次に図面を用いながら具体例により本発明を
説明する。 実施例1
【0016】(色度変化の予測)先ず色度図上に均等に
分布する複数種の色度に染色された以下の染色織物を用
意した。 (イ)織物の規格 羊毛梳毛50%・ポリエステル50%の混紡糸径糸2/
52,縦糸2/52からなる目付0.9ポンド/メート
ルの平織物。 (ロ)使用染料(3種) ウール用淡,中色:酸性、含金染料 ウール用濃色:
クロム媒染染料 ポリエステル:分散染料 (ハ)染法 紺色系統:二浴染め 紺色以外:一浴染め (ニ)染色温度 淡,中色:105℃ 濃色:120℃
【0017】以上の如く染色した織物中から、CIEL
ab(1976)表色系のa* * 色度図上にほぼ均等
に分布するように、56色相の織物を選択した。次に選
択した染色織物を測色し色度を算出した。測色は、織物
の分光反射率を測定し、JIS Z8701「XYZ表
色系による色の表示方法」の手順に従って、標準の光の
分光分布とXYZ系に基づく等色関数とを用いて三刺激
値XYZを求め、更にJIS Z8729「L* *
* による物体色の表示方法」の手順に従って、明度指数
* 、色相,彩度を表すクロマチックネス指数a* ,b
* を求めた。その分布をa* −b* 色度座標にプロット
した。結果を図2に示す。
【0018】更に、これら織物を以下の条件でセット工
程に掛け、工程終了後再測色し色度を算出した。 (イ)セット・タイプ:反物を巻置する密閉型の蒸絨機 (ロ)セット方法:反巻の外側から中心へ110℃の蒸
気を4分噴出更に反巻の中心から外側へ120℃の蒸気
を3分噴出した。 織物が十分冷却した後、前述の方法で色度を求めa*
*色度座標にプロットし、対応する織物のセット前後
のプロット間を結び更にその延長線を引いて、セット後
の色変化の収束点を決定した。即ち、色度座標上にセッ
ト前の色度を起点に、セット後の色度を終点に直線を引
き、更にこの直線を終点方向に延長させた。結果を図3
に示す。同図に示す如く、色度座標上で全色相の延長線
が図中(1)の領域に向かって収束している様子が確認
できた。
【0019】この領域から収束点を求める方法を図5を
用いて説明する。図5は、図3の延長線の内7本を抽出
したグラフである。延長線同士の交差点を全てシロ丸で
プロットし(図5では16点であるが、56色相全ての
延長線の交点は128点であった。)、 a* ,b*
標をグラフより求めた。この交点座標から、座標上の重
心位置(a* G ,b* G )を、次の式で求め色変化の収
束点とした。
【数1】 a* G =Σa* i/n,b* G =Σb* i/n n=128,i=1−n 色変化の収束点はa* =−10,b* =−2.9となっ
た。
【0020】(染色工程) 次に、前記予測値を用いた染色工程の手順について説明
する。前述の織物と同等のものを次の染料配合にて、1
浴105℃染めした。 ウール染料: Supranol Fast Yellow 4GL 0.05%owf Sulfonine Grey BWN 0.40%owf Supranol Brill Sky Blue RLW 1.94%owf Disperse Blue FBL 2.00%owf Disperse Navy Blue B 1.5 %owf
【0021】このサンプルを乾燥後分光反射率を測定
し、前記と同じ手法で、三刺激値XYZを求め、更にL
* * * 色度を求め、染め上がりサンプル布の色度
* d,a* d,b* dとした。 L* d=17.41 a* d=6.01 b* d=−18.17 色相:紺
【0022】更に、セット後の色変化の方向を、染め上
がり色度と前述の如く求められた収束点とを結んだ線か
ら求める。
【0023】かかる工程を図4を用いて説明する。図
中、一点鎖線はa*−b* の絶対座標である。染め上が
りサンプル布(a*d,b* d)はこの絶対座標上の点
(2)にプロットされ、点(3)が、色変化の収束点a
* G ,b* G 点となり、(2)と、収束点(3)を結ん
だ矢印がセット後の色変化の方向となる。更に、(2)
を原点とするΔa* −Δb* 直交座標を描く。これを、
本発明の色判定グラフとする。かかる色判定グラフを用
いて染色を行う。これを図1に示した色判定グラフを基
に説明する。前述したように矢印の起点が染め上がり実
測値a* d,b* d(6.13,−17.65)であ
る。点(4)がセット加工後の予測に用いた基準色の実
測値a* s,b* s(5.56,−17.52)と染め
上がり実測値の差Δa* ,Δb* (0.57,−0.1
3)のプロットである。二重線四角はセット加工後の最
終製品の許容範囲であり、一般的によく用いられる0.
2である。
【0024】図1では矢印が二重四角枠内を通っておら
ず、セット加工後には最終製品基準色の色差許容範囲外
となって、払出し不可となる。かかる事実を確認するた
めに、該織物を、実際にセット工程に掛け、実測値から
* ,a* ,b* を求め前述の色判定グラフ(図1)に
プロットした。その結果が図6に示した点(5)であ
る。実測a* ,b* は(6.65,−18.17)とな
り、実測値と本発明による予測色変化を示す矢印との距
離を誤差εとするとεは、0.025であった。
【0025】この誤差εを、次の式に従ってL* *
* 表色系の色相差(ΔH* )に換算すると1.9度であ
り、実用精度内の誤差である事が確認できた。
【数2】ΔH* =ε/(π×2×r)×360 =0.025/(3.1
4 ×2×0.75) ×360 =1.9(度)
【0026】次に、修正された色度にて染色を行う方法
について説明する。先ず、図12において、矢印がセッ
ト後の色許容範囲の中心を通るように平行移動させる。
更に、平行移動した矢印の起点(10)の座標を求め、
染め上がり実測値a* d,b* dに加算することによっ
て、基準色度L* * * =(17.41,6.35,
−17.42)を求め、該値をを基準として以下の染料
配合を追加して染色を行い染色織物を得た。 Supranol Fast Yellow 4GL 0.06%owf Sulfonine Grey BWN 0.45%owf
【0027】かかる織物は色度を実測したところL*
* ,b* =(17.39,6.34,−17.46)
であった。次に前記条件でセット加工を行い、色度を再
測定した。結果はL*,a* ,b* =(17.41,
5.60,−17.50)であり、最終色度との差はε
は、0.02であり充分誤差範囲内にあった。
【0028】実施例2 (色度変化の予測)色判定をする被予測布に用いられて
いる染料全てを単独で、複数段階例えば6段階の濃度で
染色し、染色濃度別にサンプルを作成しセット工程にか
ける。かかる染料は、バッチ毎の染着速度にバラツキの
ない再現性の高いものが好ましい。
【0029】次に、総ての基礎データ・サンプルの分光
反射率Rを所定波長間、例えば可視波長400nmから
700nmまで20nm間隔で測定して、次の数3で表
されるクベルカ・ムンクが提案した光学濃度K/Sを各
染料毎に求め、K/Sと染料配合量との関係を2軸座標
にグラフ・プロットして、全ての染料配合量に対応する
セット後のK/Sが導けるようなK/S算出グラフ図8
(a)(b)(c)を作成する。
【数3】 K/S=(1−R)2 /2R−〔(1−RW 2 /2RW 〕 但し、添字wは未染着布のRを表す。
【0030】更に、色判定する被予測布の染料配合量か
ら、前記K/S算出グラフ図8(a)(b)(c)を用
いて、各染料のK/Sを個別に算出する。すなはち、図
9(a)(b)(c)において色判定する被予測布の使
用染料がC(a,青)、M(b,赤)、Y(c,黄)の
3種であり配合量がそれぞれ、C1,M1,Y1とする
と、各染料に対応するK/S算出グラフの染料配合量軸
にC1,M1,Y1をプロットし,K/S軸に平行な直
線を引き、グラフ曲線との交点を調べ、今度は交点から
染料配合量軸に平行な直線を引き、K/S軸との交点を
求め、各染料それぞれ(K/S)C1,(K/S)M1
(K/S)Y1を算出する。
【0031】このK/Sを、数4で表すクベルカ・ムン
クの混色式に代入して加算し、被予測布がセットされた
後のK/Sを算出する。
【数4】 ΣK/S=(K/S)y+(K/S)m+(K/S)c+(K/S)w 但し、添字y,m,cは染料の種類を、wは未染着布を
表す。 前記の場合、 ΣK/S 400nm =(K/S)y・400nm +(K/S)m・400nm +(K/
S)c・400nm +(K/S)w・400nm ΣK/S 700nm =(K/S)y・700nm +(K/S)m・700nm +(K/
S)c・700nm+(K/S)w・700nm となる。
【0032】そして、セットされた後の分光反射率Rを
算出するために数3の逆変換である数5にΣK/Sを代
入する。
【数5】 R=1+ΣK/S−((ΣK/S)2 +2・ΣK/S)1/2 得られた分光反射率Rを基に、JIS Z8701「X
YZ表色系による色の表示方法」の手順に従って、標準
の光の分光分布とXYZ系に基づく等色関数とを用いて
三刺激値XYZを求める。
【数6】X=K・Σs(λ)・x(λ)・R Y=K・Σs(λ)・y(λ)・R Z=K・Σs(λ)・z(λ)・R 前記の場合、λ:波長は400nm〜700nm K:100/(Σs(λ)・y(λ)) s(λ):標準の光の分光分布 x(λ)・y(λ)・z(λ):等色関数
【0033】更にJIS Z8729「L* * *
よる物体色の表示方法」の手順に従って、明度指数
* 、色相,彩度を表すクロマチックネス指数a* ,b
* を求め、これをセット後の表色値L* s,a* s,b
* sとする。
【数7】L* =116(Y/Yn)1/3 −16 a* =500〔(X/Xn)1/3 −(Y/Yn)1/3 〕 b* =200〔(Y/Yn)1/3 −(Z/Zn)1/3 〕 但し、Xn,Yn,Zn:完全拡散面の標準の光による
X,Y,Zの値
【0034】以下に、本実施例を更に具体的に説明す
る。下記の布と染料の配合量を用い、染着布を作成し
た。 i) 布:羊毛梳毛糸径糸2/60、縦糸2/60からな
る目付0.57ポンド/メートルの平織物。 ii) 使用染料及び染料配合濃度: サンド社製サンドラン・ファースト・イエローPL14
0%,サンドラン・ファースト・レッドP−3BL 日本化薬製カヤシロン・スカイ・ブルーR 3染料とも濃度:0.01,0.02,0.05,0.
1,0.2,0.5%owf
【0035】この染着布を巻置きして固定されたまま、
密閉式の蒸絨機で約80℃中で、1時間程度セットし、
乾燥後、約7×20cm程度を切り出し分光反射率を測
定した。
【0036】数3を用いて光学濃度K/Sを算出した結
果を表1〜4に示す。すなはち、表1は未染着布、表2
はサンドラン・ファースト・イエローPL140%、表
3はサンドラン・ファースト・レッドP−3BL、表4
はカヤシロン・スカイ・ブルーRのK/Sである。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0037】次にK/S算出グラフを作成した。その結
果の内、波長480nmから540nmをプロットした
結果を図10に示す。図10(a)はサンドラン・ファ
ースト・イエローPL140%、(b)はサンドラン・
ファースト・レッドP−3BL、(c)はカヤシロン・
スカイ・ブルーRのK/Sである。
【0038】下記の染料配合量の染め上がり布の、各染
料のセット後のK/SをK/S算出グラフを用いて算出
した。 サンドラン・ファースト・イエローPL140%, 0.26%owf サンドラン・ファースト・レッドP−3BL 0.03%owf カヤシロン・スカイ・ブルーR 0.56%owf その結果を表5に示す。
【表5】
【0039】表5のK/S結果を数4のクベルカ・ムン
クの混色式に代入して加算し、染め上がり布がセットさ
れた後の各波長ごとのΣK/Sを算出した。その結果も
表5に示す。
【0040】表5のΣK/Sを数4に代入し、表5に記
載されているセット後の分光反射率Rを得たので、数
6、数7からセット後の表色値L* s,a* s,b*
を求めた結果、次の通りとなった。 L* s=38.87 a* s=−16.23 b* s=−8.73
【0041】(染色工程)次に、前記色変化量を用いた
染色工程の手順について説明する。対象となる染め上が
り布を分光光度計で測定し、分光反射率を上記数6、数
7に代入して染め上がりL* ,a* ,b* を求め、これ
をL* d,a* d,b*dとする。次に、数8を用い
て、セット後の色変動量ΔL* ,Δa* ,Δb* を算出
する。
【数8】ΔL* =L* s−L* d Δa* =a* s−a* d Δb* =b* s−b*
【0042】L* ,a* ,b* 3軸で構成されるグラフ
に、染め上がり布の表色値L* d,a* d,b* dと、
セット後の色変動量ΔL* ,Δa* ,Δb* と、あらか
じめ定められたセット後の表色値L* t,a* t,b*
tとを同時に表示させ、色判定する。
【0043】その判定方法を図7を用いて説明する。d
* ,db* の直交座標とdL* 軸の原点が染め上がり
色度である。実線四角は染め上がり色度の色許容範囲を
あらわす。2重線四角はセット後の色度許容範囲をあら
わす。今は説明のために同じ製品の2バッチを同時にプ
ロットした。図中の矢印の起点が染め上がり布とセット
後の色度との差のプロットである。矢印の方向と長さ
で、そのバッチがセットされた後の色変動量ΔL* ,Δ
* ,Δb* を示している。尚、このa* −b* 座標内
の一点鎖線は、等色相線ではないために、特開昭57−
72027『偏色判定装置』で提案されている偏色判定
法とは異なる。
【0044】両バッチとも染め上がり時の中間検査では
合格範囲である。更に一方のバッチ(6)は、セットさ
れた後もセット基準色の合格範囲内に収まる。しかし、
他方のバッチ(7)はセットされると許容範囲外にな
り、製品として出荷出来ない事がわかり、染色工程で基
準色を補正する必要がある。
【0045】基準色補正の目標値はこのグラフから、適
切な座標を求め数値で指定する。この場合は、原点より
左上の第3象限の、実線四角内に目標値を設定すればよ
い。この色合わせの手法に、村田幸男著『工業測色学』
繊維社刊に紹介されているコンピュータカラー・マッチ
ング(CCM)を用いると効率的である。
【0046】以下に、本発明を更に具体的に説明する。
色度変化の予測で用いた織物と同等のものを次の染料配
合にて、1浴105℃染めした。 サンドラン・ファースト・イエローPL140%, 0.26%owf サンドラン・ファースト・レッドP−3BL 0.03%owf カヤシロン・スカイ・ブルーR 0.56%owf 染め上がり布を分光光度計で測定し、分光反射率を数
6、数7に代入して、染め上がりL* d,a* d,b*
dを求めた結果、次の通りとなった。 L* d=38.17 a* d=−16.83 b* d=−9.53
【0047】次に、数8を用いて、セット後の色変動量
ΔL* ,Δa* ,Δb* を算出した結果、次の通りとな
った。 ΔL* =0.7 Δa* =0.6 Δb* =0.8 L* ,a* ,b* 3軸で構成されるグラフに、染め上が
り布の表色値L* d,a* d,b* dと、セット後の色
変動量ΔL* ,Δa* ,Δb* と、次に示すセット後の
基準色の表色値L* t,a* t,b* tとを同時に表示
させ色判定した。 L* t=39.01 a* t=−15.84 b* t=−8.09
【0048】その結果を図11に示す。図中の矢印の起
点が染め上がり実測値L* d,a* d,b* dである
(8)。矢印の終点が本発明で計算したセット後のL*
s,a* s,b* sである(9)。矢印の方向と長さ
で、セット後の色変動量ΔL* ,Δa* ,Δb* を表し
ている。二重線はセット後の基準色L* t,a* t,b
* tの色差許容範囲である。図よりセットされた後はa
* ,b* 値が二重線の外になり、許容範囲外である事が
確認できる。
【0049】本色判定の実用性を説明するために、この
セットされた後に許容範囲外になる事が確認された布
を、実際にセット工程に掛け、実測値からL* ,a*
* を求め前述の結果と比較確認した。その結果は表6
に示すとおり、誤差0.05以内に収まり、目視で判別
可能な0.1を遙かに下回る実用精度である事が確認で
きた。
【0050】
【表6】
【0051】次に、修正された色度にて染色を行う方法
について説明する。先ず、図13において、矢印がセッ
ト後の色許容範囲の中心を通るように(13)(14)
上を平行移動させる。更に、平行移動した矢印の起点
(12)終点(11)の座標を求め、染め上がり実測値
* d,b* dに加算することによって、基準色度L*
* *=(38.17,−16.62,−9.39)
を求め、該値をを基準として以下の染料配合を追加して
染色を行い染色織物を得た。 サンドラン・ファースト・イエローPL140% 0.02%owf サンドラン・ファースト・レッドP−3BL 0.01%owf
【0052】かかる織物は色度を実測したところL*
* ,b* =(38.17,−16.60,−9.3
7)であった。次に前記条件でセット加工を行い、色度
を再測定した。結果はL* ,a* ,b* =(39.0
1,−15.81,−8.08)であり、最終色度との
差はεは、0.03であり充分誤差範囲内にあった。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、繊維加工製品の色相検
査において、染色色合わせ工程の中間検査時に、染色工
程後の巻き置き,プレスなどの方法で布を固定したま
ま、煮絨,縮絨するセット工程を施しても、最終製品の
品質検査工程で色違いが発見される事もなくなり、色修
正のために染色工程まで布を戻し、更に再セットをして
所定の品質になるまで再作業を進める必要がなくなる。
【0054】また、染色工程での中間検査で払出し不可
となったバッチの、色修正の基準値が従来はわからなか
ったが、本発明ではそのバッチの表色値を測定し、セッ
ト工程による色変動量から逆算して、その時々に適切な
色修正の基準値を示す事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による色判定を行うグラフ。
【図2】色変化の収束点を求めるために用いたサンプル
布の色度プロット図。
【図3】収束点を求める方法の説明図。
【図4】収束点を求める方法の説明図。
【図5】収束点を求める方法の説明図。
【図6】本発明による色判定の誤差を示すグラフ。
【図7】本発明の色判定グラフ。
【図8】基礎データのK/S算出グラフ。
【図9】K/S算出グラフ
【図10】本発明の実施例に基づいて作成した基礎デー
タのK/S算出グラフ。
【図11】本発明の実施例に基づいて色判定したグラ
フ。
【図12】本発明の実施例に基づいて修正された色度を
求めるグラフ。
【図13】本発明の実施例に基づいて修正された色度を
求めるグラフ。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年5月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】また、従来の色度検査は、所定の基準品と
生産バッチの比較を各工程で個別に行うものであるため
に、染色色合わせ工程の中間検査で色合格となっても、
セット工程を施した後で色違いとなる布帛の払出しを止
めることができないという問題点があった。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】かかる工程を図4を用いて説明する。図
中、一点鎖線はa*−b* の絶対座標である。染め上が
りサンプル布(a*d,b* d)はこの絶対座標上の点
(2)にプロットされ、点(3)が、色変化の収束点a
* G ,b* G 点となり、(2)と、収束点(3)を結ん
だ矢印がセット後の色変化の方向となる。更に、(2)
を原点とするΔa* −Δb* 直交座標を描く。これを、
本発明の色判定グラフとする。かかる色判定グラフを用
いて染色を行う。これを図1に示した色判定グラフを基
に説明する。前述したように矢印の起点が染め上がり実
測値a* d,b* d(6.13,−17.65)であ
る。点(4)がセット加工後の予測に用いた基準色の実
測値a* s,b* s(5.56,−17.52)と染め
上がり実測値の差Δa* ,Δb* 0.57,0.1
3)のプロットである。二重線四角はセット加工後の最
終製品の許容範囲であり、一般的によく用いられる0.
2である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 染色後セット加工を行う布帛の染色工程
    において、セット加工に伴う色度変化の収束点を布帛の
    種類、セット加工条件に基づいて予め予測し、該収束点
    と最終色度との差分により修正された色度にて染色を行
    うことを特徴とするセット加工品の染色方法。
  2. 【請求項2】 色度が均等に分布する複数の染着布につ
    いてその色度を測色した後、該染着布にセット加工を施
    して再度色度を測色し、次いでこれら染着布についてセ
    ット前後の両色度の変化量および変化方向を求め、セッ
    ト後の色度変化の収束点を決定することを特徴とするセ
    ット加工に伴う色度変化の予測方法。
  3. 【請求項3】 被予測布帛の染色に用いられる染料総て
    について、単一の染料毎に布帛を染色し、該染着布の光
    学濃度(K/S)を測色した後、該染着布にセット加工
    を施して再度光学濃度(K/S)を測色してセット前後
    の変化量を予め求め、次いで被予測布帛の染色に用いら
    れる染料の配合比率に応じて該変化量を積算し、セット
    後の色度変化の収束点を決定することを特徴とするセッ
    ト加工に伴う色度変化の予測方法。
JP3318370A 1991-11-05 1991-11-05 セツト加工品の染色方法およびセツト加工に伴う色度変化の予測方法 Pending JPH05125673A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997031247A1 (fr) * 1996-02-22 1997-08-28 Toto Ltd Procede et appareil de colorimetrie par ordinateur

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1997031247A1 (fr) * 1996-02-22 1997-08-28 Toto Ltd Procede et appareil de colorimetrie par ordinateur

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