JP3868868B2 - インクジェット記録用媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット方式により印字・印刷されるインクジェット記録用媒体に関し、さらに詳しくは、インク受理性、にじみ防止性、光沢性、耐候性等の印刷適性に優れたインクジェット記録用媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェット方式により印字・印刷されるインクジェット記録用媒体の印刷性能を向上させるために、シート基材表面に特定のコーティング層(インク受容層)を設けることが検討されている。
【0003】
たとえば、▲1▼特開昭61−10483号公報には、インク受容性及び記録画像の鮮明性等の改善を目的として、該層にポリビニルアルコールのカチオン変性物を用いることが、▲2▼特開平10−309780号公報には、インク吸収性、耐水性、画像の解像度、耐ブロッキング性等の改善を目的として、該層にアルキレンオキサイド変性のポリビニルアルコール系樹脂を用いることが、▲3▼特開2001−121814号公報には、画像均一性、鮮明性、耐水性等の改善を目的として、該層に架橋性基含有アクリル共重合体とポリビニルアルコール系樹脂の組成物を用いることが、それぞれ記載されている。
【0005】
【問題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、かかる目的を達成するために、オキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂の構造、特にオキシアルキレン基の含有量と樹脂の結晶化度との間に、インクジェット適性に大きな影響を及ぼす要因があるという事実に着目して鋭意研究を重ねた結果、下記(1)式の条件を満足し、オキシアルキレン基含有量が完全ケン化状態で5〜40重量%であり、オキシアルキレン基含有モノマーの全使用量とビニルエステル系モノマーの全使用量の1〜50重量%とを重合系に仕込んで重合を開始し、その後残りのビニルエステル系モノマーを連続滴下仕込みあるいは多分割仕込しながら共重合して得られたオキシアルキレン基含有ビニルエステル系共重合体をケン化する条件で製造されたオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコールが上記の問題を解決することを見出して本発明を完成するに至った。
y≦−1.12x+58.1 ・・・(1)
〔但し、xはオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂の完全ケン化状態におけるオキシアルキレン基含有量(重量%)、yはオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂の結晶化度(%)をそれぞれ表す〕
【0006】
なお、オキシアルキレン基の含有量(重量%)はオキシアルキレン鎖のみの値を示し、1H−NMR測定により求めることができる。
また、上記の結晶化度を求めるにあたってはDSC測定を実施し、得られた結晶化過程における△H(j/g)を用いて、次式により結晶化度を算出すればよい。
結晶化度(%)=(△H/156)×100
[上式において、156は完全ケン化ポリビニルアルコール(未変性物)の100%結晶化物の結晶化エネルギー(j/g)である]
【0007】
結晶化度の測定にあたっては、厚さ100μmキャストフィルムを作製して、五酸化リンデシケータ中で10日間乾燥したものを使用した。示差走査型熱量計(DSC)によりファーストランで30℃で1分間保持後、230℃まで昇温速度40℃/minで昇温して、230℃で1分間保持後、230℃から−30℃まで降温速度20℃/minで降温して結晶化過程における△H(j/g)を求めた。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明を以下に詳しく説明する。
本発明で言うオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂とは、下記一般式(2)で示されるオキシアルキレン基を含有するポリビニルアルコール系樹脂で、より具体的には該一般式(2)で示されるオキシアルキレン基を含有するモノマーとビニルエステル系モノマーとの共重合体をケン化することによって得られる。
【0010】
〔但し、R1,R2は水素又はアルキル基(特にメチル基又はエチル基)、R3は水素又はアルキル基又はアルキルアミド基、nは正の整数〕
【0011】
オキシアルキレン基を有するモノマーとしては次のようなものが例示されるが、本発明ではこれらのみに限定されるものではない。
[(メタ)アクリル酸エステル型]
【0012】
【0013】
上記一般式(3)で示される (但し、Rは水素又はメチル基、R1,R2はそれぞれ水素又はアルキル基、R3は水素又はアルキル基又はアルキルアミド基、Aはアルキレン基、置換アルキレン基、フェニレン基、置換フェニレン基のいずれか、mは0又は1以上の整数、nは1〜100の整数)もので、具体的にはポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
[(メタ)アクリル酸アミド型]
【0014】
【0015】
上記一般式(4)で示される(但し、R4は水素又はアルキル基又は下記一般式(5)で示されるもの、A、R、R1、R2、R3、m、nは前記と同様)もので、具体的にはポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸アミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリル酸アミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル等が挙げられる。
【0016】
【0017】
〔但しR1、R2、R3は上記と同様、nは1〜300の整数を示す〕
[(メタ)アリルアルコール型]
【0018】
【0019】
上記一般式(6)で示される(R、R1、R2、R3、nは前記と同様)もので、具体的にはポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
[ビニルエーテル型]
【0020】
【0021】
上記一般式(7)で示される(A、R1、R2、m、nは前記と同様)もので、具体的にはポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル等が挙げられる。
上記のオキシアルキレン基を有するモノマーの中で(メタ)アルコール型のものが好適に使用される。
【0022】
また、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン等のポリオキシアルキレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等のポリオキシアルキレンビニルアミン等を用いることも可能である。
【0023】
本発明のインクジェット記録用媒体に用いられるオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコールは、上記の如きオキシアルキレン基を含有させる以外に下記(1)式を満足するものでなければならない。
y≦−1.12x+58.1 ・・・(1)
〔x:オキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂の完全ケン化状態におけるオキシアルキレン基含有量(重量%)、y:オキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂の結晶化度(%)〕
【0024】
上記の(1)式を満足するオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコールを得るにはオキシアルキレン基含有モノマーの全使用量とビニルエステル系モノマーの全使用量の1〜50重量%を重合系に仕込んで重合を開始し、その後残りのビニルエステル系モノマーを連続滴下仕込みあるいは多分割仕込しながら共重合して得られたオキシアルキレン基含有ビニルエステル系共重合体をケン化する方法で製造されることが、結晶化度のコントロールが容易にできるという点で好ましい。
【0025】
以下、かかる製造方法について詳細に説明する。
本発明のポリビニルアルコール系樹脂を製造するには、アルコール等の溶媒に初期一括仕込みしたオキシアルキレン基含有モノマーと初期仕込みした一部のビニルエステルモノマーを供給して触媒の存在下で重合を開始する。そして、ビニルエステルモノマーを連続滴下しながら、両者をさらに共重合してオキシアルキレン基含有ビニルエステル系共重合体をまず製造する。以下、この方法について説明する。
【0026】
ビニルエステル系モノマーは、全使用量の50重量%以上を重合開始後に滴下仕込みすることが必要で、樹脂中のオキシアルキレン基の変性度の分布を大きくすることができ、その結果得られるオキシアルキレン基ポリビニルアルコール系樹脂を用いたインクジェット記録用媒体のインク受理性、光沢性等の効果が一段と発揮できる。
また、上記以外のモノマー(カルボキシル基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、カチオン基含有モノマーなど)の仕込み方法は特に限定なく、ビニルエステルモノマーと混合して、滴下したり、分割仕込みしたり、一括仕込することができる。
【0027】
共重合反応は、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの公知のラジカル重合触媒を用いて行われる。かかる触媒は通常アルコール等に溶解して仕込まれ、例えば初期重合時に一括して仕込まれたり、初期重合時に一部仕込まれ、ビニルエステルモノマーの滴下仕込み中に残りを分割仕込み、あるいは連続滴下仕込みされる。また反応温度は40℃〜沸点程度の範囲から選択される。ビニルエステル系モノマーの滴下時間は特に限定されないが、4〜24時間である。また、必要に応じて、低温活性触媒を用いて行われる。
【0028】
かくして得られた共重合体は、次にメタノール等のアルコール溶媒中でケン化される。ケン化度は特に限定されないが、30〜100モル%(さらには50〜100モル%)が好ましく、かかるケン化度が30モル%未満では、得られるインクジェット記録用媒体のインク受理性や耐候性が低下する傾向にあり好ましくない。
なお、本発明でいうケン化度はオキシアルキレン基含有ビニルエステル共重合体の酢酸ビニル成分が水酸基に変換される割合をモル%で示したものである。また、ケン化にあたり、3〜10重量%程度の水を加えても良く、更には、ケン化時の溶媒の誘電率制御の目的で酢酸メチル等の各種エステル類やベンゼン、ヘキサン、DMSO等の各種溶剤類を添加しても良い。
【0029】
ケン化触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒を具体的に挙げることができ、かかる触媒の使用量はビニルエステル系モノマー単位に対して1〜100ミリモルにすることが好ましい。
【0030】
平均重合度についても特に限定されないが、100〜4000(さらには2000〜3000)が好ましく、かかる平均重合度が100未満では、得られるインクジェット記録用媒体表面にべたつき等が残ってブロッキングを起こしたり、逆に4000を越えると、塗工時の塗工液の粘度が上がりすぎて作業性が低下したり、塗工表面が平滑にならない場合があり好ましくない。
【0031】
かくして、本発明のインクジェット記録用媒体に用いられるオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂が得られるわけであるが、かかる樹脂をインクジェット記録用媒体に適用(塗工)するにあたっては、必要に応じて、無機充填剤(合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ等)、消泡剤、離型剤、界面活性剤(シリコン系、フッ素系、ポリエチレングリコール系等)、防腐剤、防虫剤、防錆剤、増粘剤等の公知の添加剤を添加することもでき、また本発明の特徴を損なわない範囲であれば他の紙加工剤、例えば、従来公知の他のポリビニルアルコール、澱粉、カルボキシメチルセルロース、アクリル系ラテックス、SBRラテックス等の樹脂も混合することができる。
【0032】
本発明のインクジェット記録用媒体の基材としては、たとえば、上質紙、中質紙、(セミ)グラシン紙、光沢紙、(樹脂)コート紙、合成紙、PETシート、PVCシート、PEN(ポリエチレンナフタレート)シート、PETフイルム、PVCフイルム、PENフイルムなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
上記のオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂をインクジェット記録用媒体に適用するにあたっては、該媒体の基材に、該樹脂(あるいは樹脂組成物)を塗工すればよく、かかる塗工にあたっては、サイズプレスコート、ロールコーター法、エヤードクター法、ブレードコーター法、ゲートロールコーター法等の公知の任意の方法が採用されるが、該樹脂(あるいは樹脂組成物)を塗工するときは、固形分が1〜70重量%(更には2〜60重量%、特に5〜50重量%)の水溶液とすることが好ましく、かかる固形分が、1重量%未満では、付着量が少なく、印字濃度や表面紙力強度も低く実用性に乏しいものとなり、逆に70重量%を越えると塗工液の粘度が高くなるため、塗工が困難になり、また塗工斑も生じるために好ましくない。基材に塗工される該樹脂(あるいは樹脂組成物)の塗布量は、固形分換算で0.1〜40g/m2、特に好ましくは0.5〜20g/m2程度になるようにするのが適当である。得られたインクジェット記録用媒体は、必要に応じて、ポリビニルアルコール系樹脂等からなるトップコート層を設けることも可能である。
【0034】
かくして得られた本発明のインクジェット記録用媒体は、表面に良好なインク受理層が形成され、印刷適性(インク受理性、にじみ防止性、光沢性、耐候性)に優れる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中、「部」、「%」とあるのは、特にことわりのない限り重量基準を示す。
【0036】
実施例1
重合缶にオキシエチレン基含有モノマー(平均鎖長n=10のポリオキシエチレンアリルエーテル)14.5部と酢酸ビニル15部、メタノール10部を仕込み、還流状態になるまで昇温した後、20分間還流させてから、アゾビスイソブチロニトリルを0.3モル%(対全酢酸ビニル)仕込んだ。次いで、30分重合させた後、酢酸ビニル85部(全使用量の85%)を重合缶中へ5時間30分かけて、ポンプにより一定速度で滴下仕込みしながら、重合反応を行い、滴下仕込み終了後、30分間反応を追込みオキシアルキレン基含有ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液を得た。また、反応途中にアゾビスイソブチロニトリル0.1モル%(対全酢ビ)を1回追加した。重合率は95%であった。
【0037】
次いで、該液を連続脱モノマー塔で液中の残存モノマー量が、0.06%になるまでモノマーを追い出し、メタノールを添加してポリ酢酸ビニル濃度を50%に調整してから、5ミリモル(対酢酸ビニルモノマー単位)の水酸化ナトリウムをメタノール溶液で加えて、バッチ式ケン化(35℃で約70分)を行い、その後酢酸を加えて中和して、目的とするポリオキシエチレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂を得た。
得られたポリオキシエチレン基含有ポリビニルアルコールは、ケン化度90モル%、平均重合度900、完全ケン化物のポリオキシエチレン基含有量18.8%、DSCにより測定される結晶化度は27%で上述の(1)式を満足する(27≦−1.12×18.8+58.1=37.04)ものであった。
【0038】
上記で得られたポリオキシエチレン基含有ポリビニルアルコールを用いて、以下の要領で、インクジェット記録用紙(a)及びインクジェット記録用フィルム(b)を作製した。
(インクジェット記録用媒体の作製)
上記得られたポリオキシエチレン基含有ポリビニルアルコールの15%水溶液にコロイダルシリカ(日産化学社製『スノーテックス』)を該ポリビニルアルコール100部に対して200部になるように添加してから、坪量65g/m2の上質紙にアプリケーターにて塗布量10g/m2(固形分換算)になるように塗工した後、110℃で2分間乾燥させてインクジェット記録用紙(a)を得た。また、透明度96%のPETフィルム(厚さ100μm)にも同様にして、該ポリビニルアルコールを塗工して同様に乾燥させてインクジェット記録用フィルム(b)を得た。
【0039】
次いで、得られたインクジェット記録用紙(a)及びフィルム(b)について、以下の評価を行った。
(インク受理性)
得られたインクジェット記録用紙(a)及びフィルム(b)に、インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製『PM−770C』)でイエロー、シアン、マゼンダの各色を記録(印字)して、20℃,65%RHで20秒間放置後、その記録面に別の未記録のインクジェット記録用紙あるいはフィルムを重ねて、5g/10cm2の荷重を30秒間かけて、未記録のインクジェット記録用紙あるいはフィルムへのインクの付着具合を目視観察して以下の通り評価した。
○・・・全くインクの付着が認められない
△・・・わずかにインクの痕跡が認められる
×・・・明らかにインクの付着が認められる
【0040】
(にじみ性)
得られたインクジェット記録用紙(a)、(b)に、上記と同様のインクジェットプリンターを用いてマゼンダ単色で印字後、その上から、シアンインクで約1mm幅の線を印刷して、該線の境界域でのにじみ具合を顕微鏡で観察して以下の通り評価した。
○・・・インク幅に対してにじみ幅の発生割合が10%未満
△・・・ 〃 が10〜30%未満
×・・・ 〃 が30%以上
【0041】
(光沢度)
得られたインクジェット記録用紙(a)、(b)に、上記と同様にマゼンダ単色でベタ印字後、20℃,65%RHで72時間放置後、印字部分の光沢度を変角光度計(日本電色工業社製『VG−Σ80』)で測定した。
【0042】
(耐候性)
得られたインクジェット記録用紙(a)、(b)に、上記と同様にマゼンダ単色でベタ印字後、40℃,90%RHで10日間放置後、印字部分の印字濃度をマクベス濃度計(マクベス社製『RD914型』)で測定して、10日間放置前(印字後、20℃,65%RHで1時間後)の印字濃度との差を求めた。
【0043】
(平滑性)
得られたインクジェット記録用紙(a)をSEMによる電子顕微鏡写真をとり、平滑性を観察。
○・・・コロイダルシリカ分散状態良好で、凹凸がなく、平滑である。
△・・・コロイダルシリカ分散性やや不良でわずかに凹凸が見られる。
×・・・コロイダルシリカ分散性不良で凹凸が多く見られる。
【0044】
得られたインクジェット記録用紙(a)に、上記と同様にマゼンダ単色でベタ印字後、40℃,90%RHで10日間放置後、印字部分の印字濃度をマクベス濃度計(マクベス社製『RD914型』)で測定して、10日間放置前(印字後、20℃,65%RHで1時間後)の印字濃度との差を求めた。
【0045】
実施例2
実施例1において、ケン化反応を約65分行った時点で中和した以外は同様に行って、ケン化度85モル%、平均重合度900、完全ケン化物のポリオキシエチレン基含有量18.8%、結晶化度24%のポリオキシエチレン基含有ポリビニルアルコールを得て同様に評価を行った。なお、得られたポリオキシエチレン基含有ポリビニルアルコールは上述の(1)式を満足する(24≦−1.12×18.8+58.1=37.0)ものであった。
【0046】
実施例3
実施例1において、ケン化反応を約75分行った時点で中和した以外は同様に行って、ケン化度95モル%、平均重合度900、完全ケン化物のポリオキシエチレン基含有量18.8%、結晶化度30%のポリオキシエチレン基含有ポリビニルアルコールを得て同様に評価を行った。なお、得られたポリオキシエチレン基含有ポリビニルアルコールは上述の(1)式を満足する(30≦−1.12×18.8+58.1=37.0)ものであった。
【0047】
実施例4
重合缶にオキシプロピレン基含有モノマー(平均鎖長n=10のポリオキシプロピレンアリルエーテル)11.1部と酢酸ビニル35部、メタノール10部を仕込み還流状態になるまで昇温した後、20分間還流させてから、アゾビスイソブチルニトリル0.2モル%(対全酢酸ビニル)を仕込んだ。次いで30分間重合させた後、酢酸ビニル65部(全仕込量の65%)を重合缶中へ6時間かけてポンプにより一定速度で滴下仕込みしながら、重合反応を行い、滴下仕込み終了後、30分間反応を追い込み、オキシプロピレン基含有ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液を得た。また、反応途中にアゾビスイソブチロニトリル0.1モル%(対全酢酸ビニル)を2回追加した。重合率は94%であった。
次いで、実施例1と同様にケン化を行って、ケン化度90モル%、平均重合度1000、完全ケン化物のポリオキシプロピレン基含有量15.7%、結晶化度20%のポリオキシプロピレン基含有ポリビニルアルコールを得て同様に評価を行った。なお、得られたポリオキシプロピレン基含有ポリビニルアルコールは、上記(1)式を満足する(20≦−1.12×15.7+58.1=40.5)ものであった。
【0048】
実施例5
重合缶にオキシエチレン基含有モノマー(平均鎖長n=21のポリオキシエチレンアリルエーテル)22.9部と酢酸ビニル35部、メタノール10部を仕込み還流状態になるまで昇温した後、20分間還流させてから、アゾビスイソブチルニトリル0.3モル%(対全酢酸ビニル)を仕込んだ。次いで30分間重合させた後、酢酸ビニル65部(全仕込量の65%)を重合缶中へ6時間かけてポンプにより一定速度で滴下仕込みしながら、重合反応を行い、滴下仕込み終了後、30分間反応を追い込み、オキシアルキレン基含有ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液を得た。また、反応途中にアゾビスイソブチロニトリル0.1モル%(対全酢酸ビニル)を1回追加した。重合率は94%であった。
次いで、実施例1と同様にケン化を行って、ケン化度90モル%、平均重合度700、完全ケン化物のポリオキシエチレン基含有量27.4%、結晶化度21%のポリオキシエチレン基含有ポリビニルアルコールを得て、同様に評価を行った。なお、得られたポリオキシエチレン基含有ポリビニルアルコールは、上記の(1)式を満足する(21≦−1.12×27.4+58.1=22.7)ものであった。
【0049】
実施例6
重合缶にオキシエチレン基含有モノマー(平均鎖長n=15のポリオキシエチレンアリルエーテル)25.0部と酢酸ビニル35部、メタノール15部を仕込み還流状態になるまで昇温した後、20分間還流させてから、アゾビスイソブチルニトリル0.3モル%(対全酢酸ビニル)を仕込んだ。次いで30分間重合させた後、酢酸ビニル65部(全仕込量の65%)を重合缶中へ6時間かけてポンプにより一定速度で滴下仕込みしながら、重合反応を行い、滴下仕込み終了後、30分間反応を追い込み、オキシアルキレン基含有ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液を得た。また、反応途中にアゾビスイソブチロニトリル0.1モル%(対全酢酸ビニル)を2回追加した。重合率は94%であった。
次いで、実施例1と同様にケン化を行って、ケン化度90モル%、平均重合度550、完全ケン化物のポリオキシエチレン基含有量29.0%、結晶化度20%のポリオキシエチレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂を得て、同様に評価を行った。なお、得られたポリオキシエチレン基含有ポリビニルアルコールは、上記の(1)式を満足する(20≦−1.12×29.0+58.1=25.6)ものであった。
【0050】
比較例1
実施例1で酢酸ビニルとポリオキシエチレンモノアリルエーテルを初期一括仕込(初期の酢酸ビニルの仕込量15部を100部に、メタノール10部を15部に変更し、その後、10時間反応させ、同様にケン化して、ケン化度90モル%、平均重合度900、完全ケン化物のポリオキシエチレン基含有量18.8%、結晶化度40%のポリオキシエチレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂を得て、同様に評価を行った。なお、得られたポリオキシエチレン基含有ポリビニルアルコールは、上記の(1)式を逸脱する(40>−1.12×18.8−58.1=37.0)ものであった。
【0051】
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0052】
【0053】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録用媒体は、インク受理性、にじみ防止性、光沢性、耐候性、平滑性等の印刷適性に優れ、基材も紙基材のみならず、PET、PVC、PP等の樹脂基材にも最適である。
Claims (2)
- 下記(1)式の条件を満足し、オキシアルキレン基含有量が完全ケン化状態で5〜40重量%であり、オキシアルキレン基含有モノマーの全使用量とビニルエステル系モノマーの全使用量の1〜50重量%を重合系に仕込んで重合を開始し、その後残りのビニルエステル系モノマーを連続滴下仕込みあるいは多分割仕込しながら共重合して得られたオキシアルキレン基含有ビニルエステル系共重合体をケン化して得られたものであるオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂を含有する層を含んでなることを特徴とするインクジェット記録用媒体の製造方法。
y≦−1.12x+58.1 ・・・(1)
〔x:オキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂の完全ケン化状態におけるオキシアルキレン基含有量(重量%)、y:オキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂の結晶化度(%)〕 - オキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度が100〜4000であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
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