JP2004090597A - インクジェット記録材用耐水化剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)複数のカチオン基を有するモノマー単位と、(b)疎水性基を有するモノマー単位とを構成単位として有するカチオン性ポリマーを含有してなるインクジェット記録材用耐水化剤、およびこの耐水化剤を支持体上又は支持体内に含有させてなるインクジェット記録材。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録用の記録材に適用する耐水化剤及びこれを含有するインクジェット記録材に関するものである。本発明の耐水化剤を用いることにより、特に画像の鮮明性、耐水性及び高温高湿環境下での画像の鮮明性の保持性(以下「画像保存性」と略記する)に優れた受容層を有するインクジェット記録材を提供することができる。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、フルカラー印刷及び画像記録が可能なノンインパクトタイプの記録方法として各種プリンターへ広く適用されている。インクジェット記録用のインクは主に染料からなり、従来は被記録材として通常の上質紙等が使用されてきた。しかしながら最近では、インクジェット記録機の高速化、多色化、及び印字・画像の高質化が求められるようになったことに伴って、被記録材にもインク吸収性や印字の光学濃度等の印刷性能が良好であることに加えて、印刷画像の鮮明性、耐水性、画像保存性等の性能も要求されるようになっている。特に、画像を高温高湿下に長期間放置した場合のインクの滲み、及び画像の鮮明性の劣化防止、即ち画像保存性の改良が強く求められている。
【0003】
こうした問題を解決するために、ベンジル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル4級アンモニウム塩や長鎖アルキル基等の疎水部を有する重合物を含む記録材(例えば特許文献1、特許文献2参照、)等が提案されているが、画質、耐水性、画像保存性の全てについて十分満足できるレベルには至っていない。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−95164号公報(請求項1、第(5)頁段落番号[0025]〜第(6)頁段落番号[0033])
【0005】
【特許文献2】
特開平11−78221号公報(請求項1、第(5)頁段落番号[0018]〜第(6)頁段落番号[0023])
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、インクジェット記録材の画像鮮明性、耐水性が良好であり、さらに高温高湿下で長期間保存された場合でも、画像保存性が良好なインクジェット記録材を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、下記のようなカチオン性ポリマーを含有する耐水化剤を用いることにより良好な結果が得られることを見出し、本発明のインクジェット記録材用耐水化剤、およびインクジェット記録材を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の要旨は、(a)複数のカチオン基を有するモノマー単位(以下「カチオン性モノマー単位」と記す)と、(b)疎水性基を有するモノマー単位を構成単位として有するカチオン性ポリマーを含有してなるインクジェット記録材用耐水化剤、に存している。
本発明の他の要旨は、(a)のカチオン性モノマー単位が、下記式[I]で表されるものである上記のインクジェット記録材用耐水化剤にも存している。
【0009】
【化4】
【0010】
但し、式中の記号は次の内容を示すものである。
A :酸素原子またはイミノ基
R1 :水素原子またはメチル基
R2 、R5:ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素原子数1〜12のアルキレン基
R3、R4、R6、R7、R9:それぞれ独立に炭素原子数1〜4のアルキル基
R8 :炭素原子数1〜12のアルキル基、アラルキル基、または−CH2COOR9
X− :対イオン
n:1〜3の整数
本発明の別の要旨は、(b)の疎水性基を有するモノマー単位が、下記式[II]又は[III]で表される構造を有するものである上記のインクジェット記録材用耐水化剤にも存している。
【0011】
【化5】
【0012】
但し、式中の記号は次の内容を示すものである。
A :酸素原子またはイミノ基
R1 :水素原子またはメチル基
R10 :ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素原子数10〜30のアルキル基
【0013】
【化6】
【0014】
但し、式中の記号は次の内容を示すものである。
A :酸素原子またはイミノ基
R1 :水素原子またはメチル基
R11 :分子量500〜50000のポリオルガノシロキサン基
本発明のもう一つの要旨は、上述のインクジェット記録材用耐水化剤を支持体上または支持体内に含有してなるインクジェット記録材に存している。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、上記特定のカチオン基を有するモノマー単位、及び疎水性基を有するモノマー単位を共重合単位として含有するポリマーを用いる点に大きな特徴を有する。
(1)カチオン性ポリマーの構成単位
本発明に用いるカチオン性ポリマーは、下記のような分子内に複数のカチオン性基とラジカル重合性不飽和基を有するモノマー(a1)と、疎水性基を有するラジカル重合性モノマー(b)とを共重合させるか、或いは分子内にカチオン変性可能な置換基とラジカル重合性不飽和基を有するモノマー(a2)と疎水性基を有するラジカル重合性モノマー(b)とを共重合させた後にカチオン変性することによって、結果的に複数のカチオン基を一つのモノマー単位中に形成することによって得ることができる。
(a)カチオン性モノマー単位
本発明の耐水化剤に用いる複数のカチオン基を有するモノマー単位(カチオン性モノマー単位)としては、単一の種類であっても、また2種以上のものを併用しても構わない。
【0016】
カチオン性モノマー単位としては、上記式[I]で示されるものが好ましい。
このようなモノマー単位は、対応する複数のカチオン基を有するラジカル重合性モノマー(a1)の重合により得ることもでき、また上述のようにカチオン変性可能な置換基を有するラジカル重合性モノマー(a2)を重合させた後、カチオン化(四級化)して形成することもできる。
【0017】
具体的には、R2及びR5で示されるヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素原子数1〜12のアルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、ヒドロキシエチレン基、1,2−ジヒドロキシプロピレン基、1−ヒドロキシプロピレン基、2−ヒドロキシイソプロピレン基、1,2−ジヒロドキシイソプロピレン基、2,3−ジヒロドキシイソプロピレン基、1,2−トリヒドロキシブチレン基などを例示することができる。この内、R2は炭素原子数2〜12のアルキレン基であるのが好ましく、R5は2−ヒドロキシプロピレン基であるのが好ましい。R2及びR5の炭素原子数が12を超えるような場合は、カチオン性ポリマーの疎水性が高くなり、水溶性が悪化する傾向となる。
【0018】
R3、R4、R6、R7およびR9で示される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等を例示することができる。これらのアルキル基の炭素原子数が4を超えて大きくなると、カチオン性ポリマーの疎水性が高くなり、水溶性が悪化する傾向となる。
またR8で示される炭素原子数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基などを例示することができ、アラルキル基としては、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
【0019】
X−としては塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンまたはアルキル硫酸イオン等が好ましい。
前述の、(a2)分子内にカチオン変性可能な置換基とラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、アリルアミン、N−アルキルアリルアミン,ジアリルアミン、N,N−ジアルキルビニルベンズアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等が挙げらる。
【0020】
このような分子内にカチオン変性可能な置換基とラジカル重合性不飽和基を有するモノマーを用いて共重合を行った場合は、共重合後にカチオン変性(四級化処理)を行う。カチオン変性は通常用いられている方法により、塩化メチル等の四級化剤を用いて行うことができる。
本発明の要件である複数のカチオン基を有するモノマー単位をこのような方法によって得るためには、モノマーとして複数のカチオン変性可能な置換基を有する重合性モノマーを使用する方法の他に、カチオン化剤としてカチオン基を有する四級化剤を用いることによっても可能である。このような四級化剤としては、例えば3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルドデシルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
(b)疎水性基を有するラジカル重合性モノマー単位
疎水性基を有するラジカル重合性モノマー単位としては、上記式[II]、 [III]で表されるものが好ましい。
(b1)式[II]で表される炭素原子数10〜30のアルキル基を有するラジカル重合性モノマー単位
上記式[II]で表される構造中のアルキル基R10は、炭素原子数10〜30のアルキル基であり、例えばラウリル基、ステアリル基、及びベヘニル基を例示することができる。
このような構造を与えうる化合物の具体例としては、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられ、特にラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0021】
上記式[II]において、R10の炭素原子数が10より小さい場合は高温高湿下での画像保存性が低下し、また30を超えて大きい場合は、カチオン性ポリマーの疎水性が高くなって、水への溶解性が低下するので、いずれもあまり好ましくない。なお、本明細書で「(メタ)アクリル」等の表記は、「アクリル又はメタクリル」等を表すものである。
(b2)式[III]で表される分子量500〜50000のポリオルガノシロキサン基を有するラジカル重合性モノマー単位
上記式[III]で表される構造を与えることができる化合物の具体例としては、R11のポリオルガノシロキサン基の分子量が1000のサイラプレーンFM0711(チッソ(株)製)、分子量が5000のサイラプレーンFM0721(チッソ(株)製)、分子量が10000のサイラプレーンFM0725(チッソ(株)製)等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
上記式[III]において、R11のポリオルガノシロキサン基の分子量が500より小さい場合は高温高湿下での画像保存性が低下し、また50000を超えて大きい場合は、得られるカチオン性ポリマーの疎水性が高くなって、水への溶解性が低下するので、いずれもあまり好ましくない。
(c)その他のモノマー単位
上記(a)、(b)以外のモノマー単位も、本発明の目的・効果を損なわない限り、ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーを特に制限なく用いてカチオン性ポリマーの構成単位とすることができる。
【0023】
このようなモノマーとしては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの炭素原子数が1〜9の脂環式アルキル基を含んでもよいアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等のα、β−不飽和カルボン酸、イタコン酸、マレイン酸、2−メチレングルタル酸等のα、β−不飽和ジカルボン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル、(メタ)アクリルアミド、N−アルキロール(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリロニトリル、ハロゲン化ビニルなどを使用することができる。
(2)カチオン性ポリマーの組成
本発明に用いるカチオン性ポリマー中のカチオン性モノマー単位(a)の含有量は30〜95重量%が好ましく、更に好ましくは40〜90重量%である。カチオン性モノマー単位(a)の含有量が30重量%未満であるとインクの耐水性が悪くなる傾向となり、95重量%を超えて多いとポリマー中の疎水性基を有するモノマーの含有量が相対的に少なくなってしまい、高温高湿下において十分な画像保存性が得られないことがある。
【0024】
また、疎水性基を有するモノマー単位(b)の含有量は5〜70重量%が好ましく、更に好ましくは10〜60重量%である。この含有量が5重量%未満であると高温高湿下での画像保存性が悪くなる傾向となり、70重量%を超えて多いとポリマー中のカチオン性基を有するモノマー単位の含有量が相対的に少なくなってしまい、十分な耐水性が得られないことがある。
【0025】
このカチオン性ポリマーの重量平均分子量は3000〜500000の範囲であるのが好ましく、5000〜200000であるのが更に好ましい。分子量が3000未満のように低すぎるとポリマーが水に溶け出しやすくなりインクの耐水性が悪化する傾向となる。一方、分子量が500000を超えて高くなると、ポリマーの粘度が上昇して、取り扱いにくくなり、また他の成分との相溶性も悪くなることがある。なお、重量平均分子量は常法に従ってゲルパーミエイション・クロマトグラフィにより測定できる
(3)カチオン性ポリマーの製造。
【0026】
本発明に用いるカチオン性ポリマーの製造方法は特に限定されず、通常用いられる重合方法を用いて製造することができる。好ましい製造方法は、ラジカル重合開始剤を用いた溶液重合である。
重合溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ブチルセロソルブなどのエーテル類が挙げられる。
【0027】
開始剤としてはα,α’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等のアゾ系ラジカル重合開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、ジ−α−クミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物等を用いることができる。
重合は、上記溶媒中にて、温度50〜150℃で2〜12時間、好ましくは70〜120℃で5〜10時間行うのが一般的である。重合温度が低すぎると重合に長時間を要して経済的ではなく、高すぎると得られるポリマーの分子量が低くなる。また、反応時間が短かすぎると残存するモノマー量が多くなり、長すぎると生産性が低下する。
【0028】
共重合後にカチオン変性を行う場合は、反応物の着色を抑えるため、窒素雰囲気下において、前述の水、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類等の適切な溶媒中で、共重合体に四級化剤を添加した後、60〜150℃で2〜80時間反応すればよい。
(4)インクジェット記録材用耐水化剤、インクジェット記録材
上記のカチオン性ポリマーを使用した本発明のインクジェット耐水化剤を含有させたインクジェット記録材は、画像鮮明性、耐水性が良好であり、さらに高温高湿下に長期間保存した場合でも、画像保存性が良好である。
【0029】
この理由は定かではないが、上記のカチオン基の構造が他のカチオン基の構造と比べて、染料とより良好な錯体形成能があるため、疎水性基を共重合した場合でも耐水性を低下させにくく、一方上記疎水性基部分は一般的に表面自由エネルギーが小さいため塗工時に表層に集まりやすく、被記録材の表面近傍にカチオン性ポリマーが多くなって、カチオン性ポリマーと錯体を形成する染料が表層に保持されて発色性が良好となるものと考えられる。更に、高温高湿下においても疎水性部分の存在により、染料と錯体を形成したカチオン性ポリマーが動きにくくなり、画像保存性が良好となるものと推測される。
【0030】
本発明の耐水化剤は、上述のカチオン性ポリマーに、必要に応じて通常使用される合成シリカ、アルミナなどの顔料、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ポリアルキレンオキサイド、ヒドロキシアルキルセルロース、デンプンなどの水溶性高分子バインダーなどを混合併用して得ることができる。また、本発明の耐水化剤には、上記配合剤の他に、消泡剤、酸化防止剤、他の耐水化剤などを適宜配合してもよい。
【0031】
この耐水化剤を、サイズプレス、ロールコーター、バーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーターなど、通常用いられる塗工手段により、被記録材上に塗工して本発明のインクジェット用被記録材を製造することができる。
被記録材中の、上記特定のカチオン性ポリマーの含有量は、実用的な範囲を考慮すれば、0.01〜10g/m2、好ましくは0.1〜5g/m2 である。
【0032】
また、塗工後、表面の平滑性、光沢性を向上させるため、スーパーカレンダー、グロスカレンダー等で処理することも可能である。
【0033】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらの実施例により限定されるものではない。
<製造例1>
攪拌機、冷却管を備えた500mlフラスコにジメチルアミノエチルメタクリレート48g、ラウリルメタクリレート12g、溶媒としてイソプロパノール140g、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.6gを仕込み、反応系内を窒素雰囲気に置換した後80℃まで昇温し、重合を開始した。2時間後、AIBNを0.06g追加し、更に4時間重合を継続してカチオン性ポリマー用共重合体を得た。
【0034】
上記の共重合体溶液にカチオン基を有する四級化剤として3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド60重量%水溶液を93.8g添加し、次いで80℃で20時間四級化反応を行った後、蒸留水を投入し、イソプロパノールを留去して最終的に固形分20重量%の水溶液を得た。
得られたカチオン性ポリマーは下式(IV)のような複数のカチオン基を有するモノマー単位を含む構造となっており、その重量平均分子量は32000であった。
<製造例2>
【0035】
【化7】
【0036】
ラウリルメタクリレートに代えてポリオルガノシロキサン基を有するモノマーであるFM−0711(チッソ(株)製)を12g用いたこと以外は前記製造例1と同様にしてカチオン性ポリマー用共重合体を得た。
得られた共重合体の四級化処理を前記製造例1と同様にして実施し、固形分10wt%の水溶液を得た。
【0037】
得られたカチオン性ポリマーのカチオン基部分の構造は、上記製造例1と同様で、オルガノシロキサン基の分岐を有する重量平均分子量35000のポリマーであった。
<製造例3>
製造例1、2と同様の500mlフラスコにジメチルアミノエチルメタクリレート60g、溶媒としてイソプロパノール(IPA)140g、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.6gを仕込み、反応系内を窒素雰囲気に置換した後80℃まで昇温し、重合を開始した。2時間後、AIBNを0.06gを追加し、さらに4時間重合を継続しカチオン性ポリマー製造用重合体を得た。
【0038】
上記ポリマー溶液に3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド60重量%水溶液を117.2g添加し、次いで80℃で20時間四級化反応をおこなった後、蒸留水を投入し、IPAを留去して最終的に固形分30wt%の水溶液を得た。
得られたカチオン性ポリマーは疎水性基を有していないこと以外は上記製造例1、2と同様の構造で、重量平均分子量は26000であった。
<製造例4>
製造例1と同様にして得られたカチオン性ポリマー用共重合体の四級化処理を、カチオン基を有していない四級化剤である、ベンジルクロライド36.5g用いたこと以外は製造例1と同様の処理を行って、固形分30重量%の水溶液を得た。
【0039】
得られたカチオン性ポリマーは、複数のカチオン基を有するモノマー単位を有していないものであり、その重量平均分子量は27000であった。
<実施例、比較例>
(1)塗工フィルムの作成
20mlサンプル瓶に、ポリビニルアルコール10%水溶液(クラレ:ポバールPVA117)10g、及び各製造例のポリマー溶液を固形分として0.1gを入れ、ペイントシェーカーで10分間攪拌し分散した後、バーコーター(No.10)でPETフィルムに2g/m2の厚さとなるように塗工し、乾燥機にて80℃で7分間乾燥した。その後、温度23℃/湿度60%RHの恒温室中で1夜放置した。
(2)テストサンプル印字
インクジェットプリンター(EPSON:PM900C)を用いて、上で作成した塗工フィルムにブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色を2cm×2cmのベタ印字、および文字印字を行った後、温度23℃/湿度60%RHの恒温室中で1夜放置した。
(3)評価方法
▲1▼画像鮮明性
印字された試験片の画像の鮮明性(発色、滲み、色ムラ等)を目視にて評価した。
【0040】
目視評価の判断基準は以下の通りである。
○:インクの発色が良好で、滲み、色ムラがみられない
△:わずかにインクの発色が劣り、滲み、色ムラがみられるが実用上問題ないレベルである
×:インクの発色が不良であり、滲み、色ムラがみられる
▲2▼画像耐水性
印字された試験片に蒸留水を数滴滴下した後、実験用の紙製ワイパーでふきとり、印字部分のインクの残存度を目視にて評価した。
【0041】
目視評価の判断基準を以下の通り。
○:インクの滲み、流れがみられない
△:わずかにインクの滲み、流れがみられるが実用上問題ないレベルである
×:インクが滲む、または一部が流れる
▲3▼画像保存性
印字された試験片を温度30℃/湿度90%RHの環境下に3日間保管した後、保存前の画像と目視にて比較評価した。
【0042】
○:インクの滲み、画質の劣化がみられない
△:わずかにインクの滲み、画質の劣化が見られるが、実用上問題ないレベルである
×:インクが滲む、画質の劣化がみられる
評価結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
<結果の評価>
(1)実施例1、2で用いた本発明の耐水化剤を含有するインクジェット被記録材は、表1に示す通り、画像鮮明性、画像耐水性、画像保存性のいずれも良好な結果となっている。
(2)比較例1では、(b)成分で規定される疎水性基を有するモノマー単位を含まないカチオン性ポリマーを使用しており、画像鮮明性、画像耐水性、画像保存性が不十分であった。
(3)比較例2では、(a)成分で規定される複数のカチオン構造を有するモノマー単位を含まないカチオン性ポリマーを使用しており、画像保存性は良好であるが、画像鮮明性、画像耐水性は不十分であった。
【0045】
【発明の効果】
上述の通り、本発明により優れた画像鮮明性、耐水性、及び高温高湿下での画像保存性を有するインクジェット用耐水化剤およびインクジェット被記録材を提供することができる。
Claims (5)
- (a)複数のカチオン基を有するモノマー単位(以下「カチオン性モノマー単位」と記す)と、(b)疎水性基を有するモノマー単位とを構成単位として有するカチオン性ポリマーを含有してなるインクジェット記録材用耐水化剤。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録材用耐水化剤を支持体上または支持体内に含有させてなるインクジェット記録材。
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WO2023169485A1 (zh) * | 2022-03-10 | 2023-09-14 | 北京马普新材料有限公司 | 共聚物、处理剂及其制备方法和应用 |
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