JP3868808B2 - マグネット付きシール部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドア等の開閉部材の外周または開閉部材によって開閉される相手部材の開口部周縁に沿って取付けられて、ドア等の開閉部材と相手部材との間をシールするシール部材、特にマグネットを備えたシール部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建築物や家電製品等のドアないしは扉の外周に、これに沿って中空状のシール部を備えたシール部材を取付け、相手部材との密着性を良好にするためにシール部内にマグネットを設けたものがある。この場合、シール壁に囲まれて取付基部から膨出するシール部材の中空状のシール部内に、シール壁を一部とするチューブ状の中空断面部をシール部長手方向に形成し、このチューブ状中空断面部に棒状のマグネットを挿通する構造が一般にとられている(例えば、特開平3−82643号、USP5,614,052)。マグネットとしては、ゴムや合成樹脂中にフェライト等の磁性材を配合したものが用いられている。またマグネットは四角形(一般には長方形)の断面形状のものが用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この種のマグネット付きシール部材としては、(a)マグネットが相手部材に対する必要な吸着力を有し、かつシール部材全長にわたり、相手部材との間に途切れのない吸着性能が発揮されること、(b)マグネットが軽量であること、(c)シール部材を開閉部材の外周のコーナ部に沿って曲げた場合に、マグネットがコーナ形状に追従性よく曲げられること、が要求される。
【0004】
ところが、断面四角形のマグネットではシール壁を介して相手部材に当接するシール面が平面ないしそれに近い形状であるから、コーナ部において相手部材との接触が悪くシール線に途切れが生じる。
【0005】
また、マグネットを軽量化するとともに曲げ性をよくするために断面積を小さくすると、相手部材に対する当接面が小さくなり、吸着性能が不足するとともにシール線の途切れが一層大きくなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑み、マグネット付きシール部材において、必要な吸着力を確保しつつマグネットの断面形状を小さくしてマグネットを軽量化するとともに、マグネットを開閉部材のコーナ部に沿って追従性良好に曲げることができるようにし、コーナ部においてシール部材と相手部材との間に途切れのないシール線が形成されるようにすることを課題としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ドア等の開閉部材の外周または該開閉部材によって開閉される相手部材の開口部周縁に沿って取付けられるシール部材であって、取付基部と、シール壁で囲まれた中空状で取付基部から膨出するシール部を備え、上記シール部内に、外周面の一部がシール壁の内面に密着してシール部長手方向に棒状に延びるマグネットを設けたシール部材において、上記マグネットを、上記シール壁との密着面が凸状湾曲面をなし、断面幅が上記シール壁との密着面からシール部内方向に向けて小さくなる断面形状に形成し、かつ上記シール壁のうち、上記マグネットと密着する部分をシール壁の他の部分よりも薄肉に形成する(請求項1)。
【0008】
請求項1の発明では、マグネットの断面形状を上記のように形成したことで、断面四角形状のマグネットに比べ、相手部材に対する吸着力をほとんど低下させることなく、断面積を小さくすることができ、従ってマグネットを軽量化するとともに、コーナ部での曲げを容易にする。
【0009】
かつ、シール部材のシール壁に密着するマグネットの周面を凸状湾曲面としたから、コーナ部ではシール壁の相手部材とのシール面は三次元曲面となり、相手部材のコーナ部に途切れなく接触する。
【0010】
更に上記シール壁のうち、上記マグネットと密着する部分をシール壁の他の部分よりも薄肉に形成したから、シール壁を均一厚さとした場合よりも、マグネットの相手部材に対する吸着力を向上させることができる。
【0011】
上記シール壁には上記シール部の高さ方向の中間位置にくびれ部を形成し、上記マグネットはこれを上記シール部の上半部内に設け、かつ上記シール部内に上記シール壁の内面に密着してシール部長手方向に延びる複数のスポンジ材層を形成する(請求項2)。シール壁にくびれ部を形成したことで、マグネットを設けたシール部の上半部はマグネットの吸着力が相手部材に対して最も強く作用する方向に首振りする。また、シール部材のシール部内にスポンジ材層を設けたことで、シール部材を開閉部材のコーナ部に沿って曲げたときに、シール部の断面変形を少なくすることができるとともに、シール部材の遮音および吸音性能を向上させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のマグネット付きシール部材を自動車のドアに適用した実施形態について説明する。
【0013】
図4に示すように、ドアフレーム11を含む自動車のドア1の外周には、ドア1を閉じたときにドア1の外周と、相手部材たる車体のドア開口縁2との間をシールするシール部材たるドアウエザストリップ3が一連に取付けられている。
【0014】
ドアウエザストリップ3は、ゴム例えばエチレン・プロピレンゴム(EPDMゴム)、あるいはオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)からなる押出成形体で、図1に示すように、取付基部4と、シール壁50に囲まれた中空状で取付基部4から膨出するシール部5を備えた基本構造を有している。ドアウエザストリップ3は、その取付基部4をドア1(図例ではドアフレーム11)の外周に設けたリテーナ12に嵌着することにより取付けられ、ドア閉時にシール壁50が車体のドア開口縁2に圧接する。
【0015】
シール部5内には、シール壁50のドア開口縁2と圧接するシール面部分501とでチューブ状中空部を形成する仕切壁502がシール壁50と一体に形成してある。チューブ状中空部の断面形状は、凸状湾曲面のシール面部分501とゆるやかなV字形断面の仕切壁502とで囲まれたほぼ扇形をなし、断面幅はシール部5の内方向に向けて小さくなっている。
【0016】
チューブ状中空部にはマグネット6が挿置せしめてある。マグネット6は、ドアウエザストリップ3を構成するEPDMゴムまたはTPOに磁性体、例えばフェライトの粉末を配合してなる棒状体で、その断面形状はドアウエザストリップ3の上記チューブ状中空部と合致した形状としてある。
【0017】
マグネット6は、これを予め押出成形したドアウエザストリップ3の上記チューブ状中空部に挿通してドアウエザストリップ3に取付ける。あるいは、マグネット6をドアウエザストリップ3と一体押出成形する。一体押出成形によりマグネット6付きドアウエザストリップ3の生産性は向上する。
【0018】
マグネット6付き上記ドアウエザストリップ3において、断面ほぼ扇形のマグネット6は、断面四角形の従来のマグネットと比べ、シール壁50のシール面部分501と密着する側面61の幅を同じとした場合、断面積が小さくなるから、その分、軽量化されるとともに、コーナ部に沿って追従性よく曲げられる。そしてシール壁50のシール面部分501に密着する面61を凸状湾曲面としたことと相まって、コーナ部においても車体のドア開口縁2とほとんど途切れなく圧接し、連続したシール線が形成される。また断面四角形のマグネットと同等の吸着力が発揮される。
【0019】
マグネット6の断面形状は、上記のような扇形に限らず、図2(A)に示すように、ドアウエザストリップのシール部5内側の側面62を円弧状の丸味のある形状に形成しても四角形断面よりも断面積を小さくすることができ、断面扇形のものと同等の作用効果が奏される。
【0020】
図2(B)は他の実施形態を示すものでドアウエザストリップ3のシール壁50のうち、マグネット6が密着するシール面部分501の厚さが、シール壁50の他の部分よりも薄くしてある。薄くした分、マグネット6の車体のドア開口縁に対する吸着力は大きくなる。
【0021】
次に、図3に示す実施形態では、ドアウエザストリップ3Aの取付基部4から膨出する中空状のシール部5のシール壁50は凹凸状の断面形状に形成してある。シール壁50には、シール部高さ方向の中間位置で内外に相対向する部分に断面ほぼU字形の凹部503a,503bが形成してあって、くびれ部53を形成している。シール壁50が凸状湾曲面をなすシール部5の上半部には、シール壁50の薄肉としたシール面部分501と仕切壁502とで囲まれたチューブ状中空部内にマグネット6が設けてある。
【0022】
凹凸状のシール壁50には、各凸部の内面側を埋めるスポンジ材層7a,7b,7c,7dがシール部50長手方向に一連に形成してある。ドアウエザストリップ3Aは、その本体、マグネット6およびスポンジ材層7a,7b,7c,7dを一体押出成形することにより得られる。
【0023】
ドアの外周に取付けたドアウエザストリップ3Aにおいては、ドアが閉じられるとき、シール部5の上半部は、車体のドア開口縁に対してマグネット6の吸着力が最も強く作用する方向にくびれ部53を中心に首振りし、ドア開口縁に効率良く密着する。
【0024】
またくびれ部を持つシール部5は、ドアウエザストリップ3Aをドアの外周コーナ部に沿って曲げたときに断面が大きく変形するが、シール部5内に上記スポンジ材層7a,7b,7c,7dを形成したことで、断面変形が小さく抑えられドアウエザストリップ3Aのシール性能を良好ならしめる。また、シール部5内にスポンジ材層7a,7b,7c,7dを形成したことで、その吸音性および遮音性により車外騒音の車室内への侵入を防止する効果が奏される。
【0025】
【発明の効果】
本発明のマグネット付きシール部材は、自動車以外の乗物、建築物、家電製品等のドアないし扉類と、その相手部材の開口部周縁にも広く適用され得るものであり、マグネットの相手部材に対する吸着力を適正に確保しつつマグネットの断面積を小型にすることができ、よってマグネットを軽量にし、またコーナ部に沿って追従良好に曲げることができる。そして、シール部材のシール壁に密着するマグネットの側面部を凸状湾曲面としたことと相まって、コーナ部においてもシール壁と相手部材との間に途切れのないシール線を形成することができる。またマグネット付きシール部材の中空状のシール部内にスポンジ材層を設けることで、シール部材の吸音性および遮音性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図4のYーY線に沿う位置での本発明のマグネット付きシール部材の断面を示す図である。
【図2】(A)および(B)はそれぞれ本発明の他のマグネット付きシール部材の要部断面を示す図である。
【図3】本発明の更に他のマグネット付きシール部材の図1と同位置での断面を示す図である。
【図4】ドアに本発明のマグネット付きシール部材が適用される自動車の側面図である。
【符号の説明】
1 自動車のドア
11 ドアフレーム
2 相手部材(車体のドア開口縁)
3,3A シール部材
4 取付基部
5 シール部
50 シール壁
53 くびれ部
6 マグネット
7a,7b,7c,7d スポンジ材層

Claims (2)

  1. ドア等の開閉部材の外周11または該開閉部材によって開閉される相手部材の開口部周縁に沿って取付けられるシール部材であって、取付基部と、シール壁50で囲まれた中空状で取付基部から膨出するシール部を備え、上記シール部内に、外周面の一部がシール壁50の内面に密着してシール部長手方向に棒状に延びるマグネットを設けたシール部材において、上記マグネットを、上記シール壁50との密着面61が凸状湾曲面をなし、断面幅が上記シール壁50との密着面61からシール部内方向に向けて小さくなる断面形状に形成し、かつ上記シール壁50のうち、上記マグネット6と密着する部分をシール壁50の他の部分よりも薄肉に形成したことを特徴とするマグネット付きシール部材。
  2. 上記シール壁50には上記シール部5の高さ方向の中間位置にくびれ部53を形成し、上記マグネット6はこれを上記シール部5の上半部内に設け、かつ上記シール部5内に上記シール壁50の内面に密着してシール部5長手方向に延びる複数のスポンジ材層7a、7b、7c、7dを形成した請求項1に記載のマグネット付きシール部材。
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