JP3862009B2 - 多層回路基板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層回路基板の製造方法に関し、より詳しくはパターン密着性に優れた多層回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型化、多機能化に伴って、電子機器に用いられている回路基板にも、より高密度化が要求されるようになってきている。
回路基板を高密度化するためには、回路基板を多層化するのが一般的である。多層回路基板は、通常、最外層に導電体回路層1が形成された内層基板の表面に、電気絶縁層bを積層し、当該電気絶縁層の上に導電体回路層2を形成することによって得られ、さらに必要に応じて電気絶縁層と導電体回路とを数段積層することもできる。
【0003】
こうした多層回路基板においては、回路基板の寿命を確保するため、電気絶縁層と、その上に形成する導電体回路パターンとの密着性(パターン密着性)が重要となっている。パターン密着性を得る方法として、特開平11−23649号公報、特開平11−286562号公報、特許第2877110号公報などで開示されたように電気絶縁層を粗化する方法が広く採用されている。また、更なる密着性の改良を求め、粗化後の電気絶縁層上に、ゴムや樹脂などの高分子成分を含有する無電解めっき用接着剤を塗布することが検討されている(特開2001−192844号公報、特開2001−123137号公報、特開平11−4069号公報など)。
しかしながら、こうした電気絶縁層が形成された後の処理によっては、温度や湿度の変化のある場合に十分なパターン密着性が必ずしも得られず、層間剥離が生じて回路基板の寿命を短くすることがあった。
また特開2001−160689号公報では、電気絶縁層の上に導電体回路が形成された基板に、チオール化合物層を積層し、その上に、更に脂環式オレフィン重合体を含有する電気絶縁層を形成することで内層基板上とその上に形成された電気絶縁層との密着性を確保し、層間剥離を抑制することが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らが、特開2001−160689号公報の方法で得た多層基板を詳細に検討したところ、確かに層間剥離は認められないものの、電気絶縁層と導電体回路の界面における密着性が不十分であることが判った。
かかる従来技術の下、本発明者らは、電気絶縁層と導電体回路の界面でも高い密着性を示し、また温度や湿度の変化のある場合により高いパターン密着性を保持する多層回路基板を得るべく鋭意研究をした結果、絶縁性重合体と硬化剤とを含有する硬化性組成物を用いて、未効果又は半硬化の樹脂層を形成し、その表面を特定の化合物で表面処理した後、当該樹脂層を硬化して電気絶縁層を形成することにより、上記目的が達成されることを見いだし、本発明を完成するに到った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、最外層が導電体回路層1である内層基板上に、絶縁性重合体と硬化剤とを含有する硬化性組成物を用いて、未硬化又は半硬化の樹脂層を形成した(工程A)後、当該樹脂層表面に、金属に配位可能な構造を有する化合物を接触させ(工程B)、次いで当該成形体を硬化させて電気絶縁層bを形成し(工程C)、この電気絶縁層bの表面に金属薄膜層を形成し(工程D)、その後、当該金属薄膜層を含む導電体回路層2を形成する(工程E)多層回路基板の製造方法が提供され、また当該方法により製造された多層回路基板が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の多層回路基板の製造方法は、次の5つの工程を有する。
(工程A)最外層が導電体回路層1である内層基板上に、絶縁性重合体と硬化剤とを含有する硬化性組成物を用いて、未硬化又は半硬化の樹脂層を形成する。
(工程B)当該樹脂層表面に、金属に配位可能な構造を有する化合物を接触させる。
(工程C)金属に配位可能な構造を有する化合物と接触させた後の成形体を硬化させて電気絶縁層bを形成する。
(工程D)電気絶縁層bの表面に金属薄膜層を形成する。
(工程E)当該電気絶縁層bの上に金属薄膜層を含む導電体回路層2を形成する。
(工程D)の後、(工程E)の前に、次の(工程D’)を採用することにより、電気絶縁層bの表面が実質的に粗化されていなくても、より高い密着性が得ることができる。
(工程D’)金属薄膜層を加圧条件下で、加熱処理する。
各工程について、以下に詳述する。
【0007】
(工程A)
本発明の(工程A)で用いる内層基板は、最外層が導電体回路層1である内層基板であり、通常、電気絶縁層aの表面に導電体回路層1が形成されたものである。このような内層基板の具体例として、プリント配線基板、シリコンウェハー基板などの、電気絶縁層aと、その表面に形成された導電体回路層1とからなる基板が挙げられる。内層基板の厚みは、通常50μm〜2mm、好ましくは60μm〜1.6mm、より好ましくは100μm〜1mmである。
【0008】
内層基板を構成する電気絶縁層aは電気絶縁性を有する絶縁性重合体を主成分としてなる。絶縁性重合体は特に制限されず、例えば、脂環式オレフィン重合体、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、トリアジン樹脂、芳香族ポリエーテル重合体、シアネートエステル重合体、ポリイミドなどが挙げられる。通常、これらの絶縁性重合体と硬化剤とを含有する硬化性組成物を硬化して電気絶縁層aを得る。また、内層基板は、ガラス繊維、樹脂繊維などを強度向上のために含有させたものであってもよい。
内層基板を構成する導電体回路層1の材料は、通常、導電性金属である。
【0009】
この内層基板上に、絶縁性重合体と硬化剤とを含有する硬化性組成物を用いて、未硬化又は半硬化の樹脂層を形成する。
ここで未硬化の樹脂層とは、樹脂層を構成する絶縁性重合体が溶解可能な溶剤に、実質的に樹脂層全部が溶解可能な状態のものである。半硬化の樹脂層とは、加熱によって更に硬化しうる程度に硬化された状態のものであり、好ましくは、樹脂層を構成している絶縁性重合体が溶解可能な溶剤に一部が溶解する状態のものであるか、当該溶剤中に樹脂層を24時間浸漬した時の体積の膨潤率が、浸漬前の200%以上のものである。
【0010】
内層基板上の樹脂層を形成する方法に格別な制限はないが、内層基板の当該導電体回路層1と接するように、絶縁性重合体と硬化剤とを含有する硬化性組成物のフィルム状又はシート状成形体を貼り合わせて樹脂層を形成する(工程A1)方法や、内層基板上に絶縁性重合体と硬化剤とを含有する硬化性組成物を塗布し、乾燥させて、未硬化又は半硬化の樹脂層を形成する(工程A2)方法が挙げられる。
樹脂層を硬化して得られる電気絶縁層b上に形成する金属薄膜層との密着性の面内均一性が高い点から(工程A1)によって樹脂層を形成させる方が好ましい。
【0011】
(工程A1)によって樹脂層を形成する場合、導電体回路層1が形成された内層基板と電気絶縁層bとの密着力を向上させるために、硬化性組成物のフィルム状又はシート状成形体を貼り合わせる前に、導電体回路層1が形成された内層基板の表面を前処理することが好ましい。前処理としては、アルカリ性亜塩素酸ナトリウム水溶液や過マンガン酸等を内層基板表面に接触させて表面を粗化する方法、アルカリ性過硫酸カリウム水溶液、硫化カリウム−塩化アンモニウム水溶液等により表面を酸化した後に還元する方法、及び内層基板の導電体回路部分にめっきを析出させ、粗化する方法、チオール化合物やシラン化合物などによりプライマー層を形成する方法等が挙げられる。なかでも2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどのチオール化合物を用いたプライマー層を形成する方法は、導電体回路が銅である場合に、銅の腐食がなく、高い密着性が得られる点で好適である。
【0012】
樹脂層を形成するのに用いる硬化性組成物を構成する絶縁性重合体は、電気絶縁性を有するものであれば制限されず、例えばエポキシ樹脂、マレイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、トリアジン樹脂、脂環式オレフィン重合体、芳香族ポリエーテル重合体、ベンゾシクロブテン重合体、シアネートエステル重合体、ポリイミドなどが挙げられる。これらの中でも、脂環式オレフィン重合体、芳香族ポリエーテル重合体、ベンゾシクロブテン重合体、シアネートエステル重合体又はポリイミドが好ましく、脂環式オレフィン重合体又は芳香族ポリエーテル重合体が特に好ましく、脂環式オレフィン重合体がとりわけ好ましい。これらの重合体の他に、液晶ポリマーも好ましい絶縁性重合体として用いることができる。液晶ポリマーとしては、芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化合物の重合体、芳香族または脂肪族ジカルボン酸の重合体、芳香族ヒドロキシカルボン酸の重合体、芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族アミノカルボン酸の重合体などが例示される。
【0013】
絶縁性重合体の重量平均分子量に格別な制限はないが、通常10,000〜1,000,000、好ましくは50,000〜500,000である。後の工程Dで無電解めっき処理を行う際、その前処理による電気絶縁層bの粗化が抑制される点から、重量平均分子量Mwが10,000〜1,000,000である重合体が、硬化性組成物に含まれる絶縁性重合体成分100重量部中、20重量部以上、好ましくは30重量部以上100重量部以下の割合で存在するのが望ましい。
重量平均分子量Mwが10,000〜1,000,000、好ましくは50,000〜500,000である重合体以外の絶縁性重合体として、重量平均分子量Mwが当該範囲の下限未満である重合体や重量平均分子量Mwが当該範囲の上限を超過する重合体を併用することも可能である。
本発明において、重量平均分子量Mwは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン又はポリイソプレン換算の重量平均分子量である。
【0014】
脂環式オレフィン重合体は、脂環式構造を有する不飽和炭化水素の重合体である。脂環式構造としては、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造などが挙げられるが、機械的強度や耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造が好ましい。また、脂環式構造としては、単環、多環(縮合多環、橋架け環、これらの組み合わせ多環など)のいずれであっても良い。脂環式構造を構成する炭素原子数に格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械的強度、耐熱性、及び成形性の諸特性が高度にバランスされ好適である。また、本発明で使用される脂環式オレフィン重合体は、硬化剤との組み合わせで熱硬化性を示すものが好ましい。
【0015】
脂環式オレフィン重合体は、極性基を有するものが好ましい。極性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミノ基、エステル基、カルボン酸無水物基などが挙げられ、特に、カルボキシル基又はカルボン酸無水物基が好適である。
【0016】
脂環式オレフィン重合体は、通常、脂環式オレフィンを付加重合又は開環重合し、そして必要に応じて不飽和結合部分を水素化することによって、或いは芳香族オレフィンを付加重合し、そして当該重合体の芳香環部分を水素化することによって得られる。また、極性基を有する脂環式オレフィン重合体は、例えば、1)前記脂環式オレフィン重合体に極性基を変性反応により導入することによって、2)極性基を含有する単量体を共重合成分として共重合することによって、あるいは3)エステル基などの極性基を含有する単量体を共重合成分として共重合した後、エステル基などを加水分解することによって得られる。
【0017】
脂環式オレフィン重合体を得るために使用される脂環式オレフィンとしては、ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、
【0018】
5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−メトキシ−カルボニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−5−エニル−2−メチルプロピオネイト、ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−5−エニル−2−メチルオクタネイト、
【0019】
ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−i−プロピルビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシ−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸イミド、5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、
【0020】
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン、トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン、トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、テトラシクロ[7.4.0.110,13.02,7]−トリデカ−2,4,6−11−テトラエン(別名:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[8.4.0.111,14.03,8]−テトラデカ−3,5,7,12,11−テトラエン(別名:1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン)、
【0021】
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−メチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−ビニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−ヒドロキシメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−カルボキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、
【0022】
8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−3,10−ジエン、ペンタシクロ[7.4.0.13,6.110,13.02,7]−ペンタデカ−4,11−ジエンのごときノルボルネン系単量体;
【0023】
シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン、シクロヘプテンのごとき単環のシクロアルケン;ビニルシクロヘキセンやビニルシクロヘキサンのごときビニル系脂環式炭化水素系単量体;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンのごとき脂環式共役ジエン系モノマー;などが挙げられる。
【0024】
芳香族オレフィンとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
【0025】
脂環式オレフィン及び/又は芳香族オレフィンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
脂環式オレフィン重合体は、前記脂環式オレフィン及び/又は芳香族オレフィンと、これら共重合可能な単量体とを共重合して得られるものであってもよい。
脂環式オレフィン又は芳香族オレフィンと共重合可能な単量体としては、エチレン;プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数3〜20のα−オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;等が挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0027】
脂環式オレフィンや芳香族オレフィンの重合方法、及び必要に応じて行われる水素添加の方法は、格別な制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。
【0028】
脂環式オレフィン重合体の具体例としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とビニル化合物との付加重合体、単環シクロアルケン重合体、脂環式共役ジエン重合体、ビニル系脂環式炭化水素重合体及びその水素添加物、芳香族オレフィン重合体の芳香環水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とビニル化合物との付加重合体、芳香族オレフィン重合体の芳香環水素添加物が好ましく、特にノルボルネン系単量体の開環重合体の水素添加物が好ましい。
前記の脂環式オレフィン重合体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、脂環式オレフィン重合体のなかでも、特に好ましい重合体であるノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素添加物は、その構造の違いから、C2nで表されるオレフィンを共重合して得られるポリオレフィン樹脂とは異種のポリマーに分類されるものである。
【0029】
脂環式オレフィン重合体の重量平均分子量を調整する方法は常法に従えば良く、例えば、チタン系又はタングステン系触媒を用いた脂環式オレフィンの開環重合に際して、ビニル化合物又はジエン化合物のような分子量調整剤を、単量体全量に対して0.1〜10モル%程度を添加する方法が挙げられる。このとき分子量調整剤の量を少な目に用いると比較的高いMwの重合体が得られ、多めに用いると比較的低いMwの重合体が得られる。
分子量調整剤として用いるビニル化合物としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン化合物;スチレン、ビニルトルエンなどのスチレン化合物;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのエーテル化合物;アリルクロライドなどのハロゲン含有ビニル化合物;酢酸アリル、アリルアルコール、グリシジルメタクリレートなどの酸素含有ビニル化合物;アクリルアミドなどの窒素含有ビニル化合物;などが挙げられる。ジエン化合物としては、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエンなどの非共役ジエン化合物;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどの共役ジエン化合物;が挙げられる。
【0030】
脂環式オレフィン重合体のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択できるが、通常50℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは100℃以上、最も好ましくは125℃以上である。
【0031】
本発明に用いる硬化剤に格別な限定はなく、例えば、イオン性硬化剤、ラジカル性硬化剤又はイオン性とラジカル性とを兼ね備えた硬化剤等が用いられる。たとえば、1−アリル−3,5−ジグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジアリル−5−グリシジルイソシアヌレートのごときアリル基とエポキシ基とを含有するハロゲン不含のイソシアヌレート系硬化剤などの窒素系硬化剤;ビスフェノールAビス(エチレングリコールグリシジルエーテル)エーテル、ビスフェノールAビス(ジエチレングリコールグリシジルエーテル)エーテル、ビスフェノールAビス(トリエチレングリコールグリシジルエーテル)エーテル、ビスフェノールAビス(プロピレングリコールグリシジルエーテル)エーテルなどのビスフェノールA系グリシジルエーテル型エポキシ化合物のようなグリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物などの多価エポキシ化合物;酸無水物やジカルボン酸化合物などのジカルボン酸誘導体;ジオール化合物、トリオール化合物、多価フェノール化合物などのポリオール化合物;等の硬化剤があげられる。これらの中でも、多価エポキシ化合物が好ましく、特に耐クラック性を高める観点からグリシジルエーテル型エポキシ化合物が好ましい。
【0032】
脂環式オレフィン重合体と硬化剤との硬化反応を促進させるために、硬化促進剤や硬化助剤を使用することもできる。硬化剤が、例えば多価エポキシ化合物の場合には、硬化促進剤として第3級アミン系化合物や三弗化ホウ素錯化合物などが好適である。なかでも、第3級アミン系化合物を使用すると、微細配線に対する積層性、絶縁抵抗性、耐熱性、耐薬品性が向上する。
【0033】
第3級アミン系化合物の具体例としては、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリベンジルアミン、ジメチルホルムアミドなどの鎖状3級アミン化合物;ピラゾール類、ピリジン類、ピラジン類、ピリミジン類、インダゾール類、キノリン類、イソキノリン類、イミダゾール類、トリアゾール類などの化合物が挙げられる。これらの中でも、イミダゾール類、特に置換基を有する置換イミダゾール化合物が好ましい。
【0034】
置換イミダゾール化合物の具体例としては、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、ビス−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−メチル−2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどのアルキル置換イミダゾール化合物;2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール,1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−エチル−4−メチル−1−(2’−シアノエチル)イミダゾール、2−エチル−4−メチル−1−[2’−(3”,5”−ジアミノトリアジニル)エチル]イミダゾールなどのアリール基やアラルキル基などの環構造を含有する炭化水素基で置換されたイミダゾール化合物などが挙げられる。これらの中でも、環構造含有の置換基を有するイミダゾールが脂環式オレフィン重合体との相溶性の観点から好ましく、特に、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールが好ましい。
【0035】
硬化促進剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。硬化促進剤の配合量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、絶縁性重合体100重量部に対して、通常0.001〜30重量部、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.03〜5重量部である。
【0036】
硬化助剤としては、例えば、キノンジオキシム、ベンゾキノンジオキシム、p−ニトロソフェノール等のオキシム・ニトロソ系硬化助剤;N,N−m−フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系硬化助剤;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系硬化助剤;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のメタクリレート系硬化助剤;ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼンなどのビニル系硬化助剤;1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールなどの第3級アミン系化合物等が挙げられる。この他、アリル基を有する硬化剤に対して硬化助剤として機能する過酸化物を用いることもできる。
【0037】
本発明に係る硬化性組成物には、所望に応じて、その他の成分を配合することができる。例えば、ビアホールやスルホールなどの孔を形成するときに使用されるレーザ光線の波長領域に吸収を持つ化合物を配合するのが良い。炭酸ガスレーザを用いる場合シリカなどが用いられ、紫外線レーザ(例えばUV−YAGレーザなど)を用いる場合、紫外線吸収剤が用いられる。レーザ光線の波長領域に吸収を持つ化合物を含有する組成物を用いた場合にはレーザによる孔形成が容易で、スミアの発生なども少なくなる。
紫外線吸収剤の具体例としては、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレートなどのサリチル酸系化合物;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾイルフェニル)メタンなどのベンゾフェノン系化合物;
【0038】
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物;2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系化合物;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレートなどのシアノアクリレート系化合物;ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル4)セバケートなどのヒンダードアミン系化合物;ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、[2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェノラート)]−n−ブチルアミンニッケルなどの有機金属化合物、酸化亜鉛、酸化すず、酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、クレーなどの無機化合物などが挙げられる。これらの中でも、ベンゾトリアゾール系化合物が環構造含有重合体との相溶性や加熱硬化時の安定性に優れる点から好ましい。
紫外線吸収剤の量は、絶縁性重合体100重量部に対して、通常0.1〜30重量部、好ましくは1〜10重量部である。
【0039】
このほか、難燃剤、軟質重合体、耐熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、乳剤、充填剤などをその他の成分として用いることができる。その配合割合は、本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。
【0040】
(工程A1)において用いる硬化性組成物のフィルム状又はシート状成形物は、通常、硬化性組成物を、溶液キャスト法や溶融キャスト法などにより成形されたものである。溶液キャスト法により成形する場合は、ワニスを支持体に塗布した後に、有機溶剤を乾燥除去する。
溶液キャスト法に使用する支持体として、樹脂フィルム(キャリアフィルム)や金属箔などが挙げられる。樹脂フィルムとしては、通常、熱可塑性樹脂フィルムが用いられ、具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネイトフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアリレートフィルム、ナイロンフィルムなどが挙げられる。これら樹脂フィルムの中、耐熱性や耐薬品性、積層後の剥離性などの観点からポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムが好ましい。金属箔としては、例えば、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、銀箔などが挙げられる。導電性が良好で安価である点から、銅箔、特に電解銅箔や圧延銅箔が好適である。支持体の厚さは特に制限されないが、作業性等の観点から、通常1μm〜150μm、好ましくは2μm〜100μm、より好ましくは3μm〜50μmである。
【0041】
ワニスを得る方法に格別な制限はなく、例えば、硬化性組成物を構成する各成分と有機溶媒とを混合することにより得られる。各成分の混合方法は、常法に従えばよく、例えば、攪拌子とマグネチックスターラーを使用した攪拌、高速ホモジナイザー、ディスパージョン、遊星攪拌機、二軸攪拌機、ボールミル、三本ロールなどを使用した方法などで行うことができる。これらを混合する際の温度は、硬化剤による反応が作業性に影響を及ぼさない範囲であり、さらには安全性の点から混合時に使用する有機溶剤の沸点以下が好ましい。
【0042】
有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系有機溶剤;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系有機溶剤;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系有機溶剤;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン系有機溶剤などを挙げることができる。これらの有機溶剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
これら有機溶剤の中でも、微細配線への埋め込み性に優れ、気泡等を生じさせないものとして、芳香族炭化水素系有機溶剤や脂環式炭化水素系有機溶剤のような非極性有機溶剤とケトン系有機溶剤のような極性有機溶剤とを混合した混合有機溶剤が好ましい。これらの非極性有機溶剤と極性有機溶剤との混合比は適宜選択できるが、重量比で、通常5:95〜95:5、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは20:80〜80:20の範囲である。
【0044】
有機溶剤の使用量は、厚みの制御や平坦性向上などの目的に応じて適宜選択されるが、ワニスの固形分濃度が、通常5〜70重量%、好ましくは10〜65重量%、より好ましくは20〜60重量%になる範囲である。
【0045】
塗布方法として、デイップコート、ロールコート、カーテンコート、ダイコート、スリットコートなどの方法が挙げられる。また有機溶剤の除去乾燥の条件は、有機溶剤の種類により適宜選択され、乾燥温度は、通常20〜300℃、好ましくは30〜200℃であり、乾燥時間は、通常30秒〜1時間、好ましくは1分〜30分である。
【0046】
フィルム状又はシート状成形物の厚みは、通常0.1〜150μm、好ましくは0.5〜100μm、より好ましくは1.0〜80μmである。なお、フィルム又はシートを単独で得たい場合には、支持体上にフィルム又はシートを形成した後、支持体から剥離する。
【0047】
(工程A1)において、この硬化性組成物のフィルム状又はシート状成形物を基板上に貼り合わせるには、通常、支持体付きのフィルム状又はシート状成形物を、当該成形物が導電体回路層1に接するように重ね合わせ、加圧ラミネータ、プレス、真空ラミネータ、真空プレス、ロールラミネータなどの加圧機を使用して加熱圧着(ラミネーション)して、基板表面と成形物との界面に、実質的な空隙が存在しないように両者を結合させる。加熱圧着は、配線への埋め込み性を向上させ、気泡等の発生を抑えるために真空下で行うのが好ましい。加熱圧着時の温度は、通常30〜250℃、好ましくは70〜200℃、圧着力は、通常10kPa〜20MPa、好ましくは100kPa〜10MPa、圧着時間は、通常30秒〜5時間、好ましくは1分〜3時間であり、通常100kPa〜1Pa、好ましくは40kPa〜10Paに雰囲気を減圧する。
【0048】
内層基板に貼り合わせる成形体は2以上であってもよく、例えば、電気絶縁層bの平坦性を向上させる目的や、電気絶縁層の厚みを増す目的で、成形体が貼り合わせられた内層基板に、当該成形体と接するように別の成形体を貼り合わせてもよい。内層基板に複数の成形体を貼り合わせて、成形体を積層する場合、次の(工程B)で金属に配位可能な構造を有する化合物と接触するのは、最後に積層した成形体表面となる。
【0049】
(工程A2)によって樹脂層を形成する場合、上述した硬化性組成物のワニスを、内層基板上に直接塗布し、乾燥すればよい。塗布や乾燥の方法や条件などは、硬化性組成物のフィルム状又はシート状成形物を形成するのと同様でよい。
【0050】
(工程B)
ここでは、工程Aで内層基板上に形成された樹脂層表面に、金属に配位可能な構造を有する化合物と接触させる。内層基板上に硬化性組成物のフィルム状又はシート状成形体を貼り合わせて樹脂層を形成するに際し、成形体として支持体付きのもの用いた場合には、この支持体を剥がした後に、この(工程B)を行う。金属に配位可能な構造を有する化合物(以下、配位構造含有化合物ということがある)は、特に制限されず、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、シアノ基など金属に配位可能な官能基を有する化合物や金属との配位能を有する複素環化合物などの非共有電子対を有する化合物が例示される。中でも窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を含有する複素環化合物が特に好ましく、とりわけ窒素原子を含有する複素環化合物が好ましい。もちろんこうした複素環化合物は、更に金属に配位可能な官能基をも有するものであってもよい。更に金属に配位可能な官能基をも有する複素環化合物は、より高いパターン密着性を与える点で好ましい。
【0051】
酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含有する複素環化合物としては、ピロール類、ピロリン類、ピロリジン類、ピラゾール類、ピラゾリン類、ピラゾリジン類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、テトラゾール類、ピリジン類、ピペリジン類、ピリダジン類、ピリミジン類、ピラジン類、ピペラジン類、トリアジン類、テトラジン類、インドール類、イソインドール類、インダゾール類、プリン類、ノルハルマン類、ペリミジン類、キノリン類、イソキノリン類、シノリン類、キノサリン類、キナゾリン類、ナフチリジン類、プテリジン類、カルバゾール類、アクリジン類、フェナジン類、フェナントリジン類、フェナントロリン類、フラン類、ジオキソラン類、ピラン類、ジオキサン類、ベンゾフラン類、イソベンゾフラン類、コルマリン類、ジベンゾフラン類、フラボン類、トリチアン類、チオフェン類、ベンゾチオフェン類、イソベンゾチオフェン類、ジチイン類、チアントレン類、チエノチオフェン類、オキサゾール類、イソオキサゾール類、オキサジアゾール類、オキサジン類、モルフォリン類、チアゾール類、イソチアゾール類、チアジアゾール類、チアジン類、フェノチアジン類などが挙げられる。
【0052】
これらの中でも硬化性組成物中の成分と反応し、これらの化合物が次の工程で形成される電気絶縁層bに強固に保持され、この後に形成される金属薄膜層が剥離しにくい効果を有する点から、以下の化合物が好ましい。
イミダゾール類:イミダゾール;2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2−(2−メルカプトエチル)−ベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4−アザベンゾイミダゾール等のチオール基を有するイミダゾール類;イミダゾール−4−ジチオカルボン酸、2−メチルイミダゾール−4−ジチオカルボン酸、2−エチルイミダゾール−4−ジチオカルボン酸、2−イソプロピルイミダゾール−4−ジチオカルボン酸、2−n−ブチルイミダゾール−4−ジチオカルボン酸、2−フェニルイミダゾール−4−ジチオカルボン酸、4−メチルイミダゾール−5−ジチオカルボン酸、2−フェニル−4−メチルイミダゾール−5−ジチオカルボン酸、2−エチルイミダゾール−4−ジチオカルボン酸、2−n−ウンデシルイミダゾール−4−ジチオカルボン酸などのイミダゾールジチオカルボン酸;イミダゾール−2−カルボン酸、イミダゾール−4−カルボン酸、2−メチルイミダゾール−4−カルボン酸、2−フェニルイミダゾール−4−カルボン酸、2−メチル−4−メチルイミダゾール−5−カルボン酸、2−(2−カルボキシエチル)−ベンゾイミダゾール、イミダゾール−2−カルボキシアミド等のカルボキシル基を有するイミダゾール類;1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−アミノエチル)−2−エチルイミダゾール、2−アミノイミダゾールサルフェート、2−(2−アミノエチル)−ベンゾイミダゾールなどのアミノ基を有するイミダゾール類;2−シアノイミダゾール、4−シアノイミダゾール、4−メチル−5−シアノイミダゾール、2−メチル−5−シアノイミダゾール、2−フェニル−5−シアノイミダゾール、4−シアノメチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾールなどのシアノ基を有するイミダゾール類;
【0053】
2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−n−プロピルイミダゾール、2−n−ブチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−n−ウンデシルイミダゾール、2−n−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−n−ブチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−n−ブチル−4−クロロ−5−ホルミルイミダゾール、2−ホルミルイミダゾール、4−ホルミルイミダゾール、2−メチル−4−ホルミルイミダゾール、2−n−ブチル−4−ホルミルイミダゾール、2−フェニル−4−ホルミルイミダゾール、4−メチル−5−ホルミルイミダゾール、2−エチル−4−メチル−5−ホルミルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ホルミルイミダゾール、2−メチル−4,5−ジホルミルイミダゾール、2−エチル−4,5−ジホルミルイミダゾール、2−イソプロピル−4,5−ジホルミルイミダゾール、2−n−プロピル−4,5−ジホルミルイミダゾール、2−n−ブチル−4,5−ジホルミルイミダゾール、2−n−ウンデシル−4,5−ジホルミルイミダゾール、2−ニトロイミダゾール、1−{2−ヒドロキシ−3−(3−トリメトキシシリルプロピルオキシ)}プロピルイミダゾール、4−ヒドロキシメチルイミダゾールハイドロクロライド、2−ヒドロキシメチルイミダゾールハイドロクロライド、2−メチル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−エチル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−イソプロピル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−n−プロピル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−n−ブチル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−n−ウンデシル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−ヒドロキシメチルベンゾイミダゾール、2−クロロメチルベンゾイミダゾール、1−{3−(3−トリメトキシシリルプロピルオキシ)}プロピルイミダゾール、4−チオカルバモイルイミダゾール、2−メチル−4−チオカルバモイルイミダゾール、4−メチル−5−チオカルバモイルイミダゾール、2−エチル−4−メチル−5−チオカルバモイルイミダゾール、2−フェニル−4−チオカルバモイルイミダゾール、2−(2’−メチルイミダゾリル−4’)−ベンゾイミダゾール、2−(2’−フェニルイミダゾリル−4’)−ベンゾイミダゾール、4−アザベンゾイミダゾール、2−ヒドロキシ−4−アザベンゾイミダゾール、2−ヒドロキシメチル−4−アザベンゾイミダゾールのその他の基を有するイミダゾール類;等。
【0054】
ピラゾール類:ピラゾール;4−カルボキシメチルピラゾール、5−カルボキシメチルピラゾール、1−メチル−4−カルボキシメチルピラゾール、1−イソプロピル−4−カルボキシメチルピラゾール、1−ベンジル−4−カルボキシメチルピラゾール、1−メチル−5−カルボキシメチルピラゾール、1−イソプロピル−5−カルボキシメチルピラゾール、1−ベンジル−5−カルボキシメチルピラゾール、1,3−ジメチル−4−カルボキシメチルピラゾール、1−イソプロピル−3−メチル−4−カルボキシメチルピラゾール、1−ベンジル−3−メチル−4−カルボキシメチルピラゾール、1,3−ジメチル−5−カルボキシメチルピラゾール、1−イソプロピル−3−メチル−5−カルボキシメチルピラゾール、1−ベンジル−3−メチル−5−カルボキシメチルピラゾール、1,5−ジメチル−4−カルボキシメチルピラゾール、1−メチル−4−カルボキシメチル−5−ヒドロキシピラゾール、1−メチル−4−クロロ−5−カルボキシメチルピラゾール、1−メチル−4,5−ジカルボキシメチルピラゾール、1−メチル−4−アシノ−5−カルボキシメチルピラゾール、1−メチル−4−カルボキシメチル−5−クロロピラゾール、1−イソプロピル−4−カルボキシメチル−5−メチルピラゾール、1−イソプロピル−4−カルボキシメチル−5−ヒドロキシピラゾール、1−イソプロピル−4−クロロ−5−カルボキシメチルピラゾール、1−イソプロピル−4,5−ジカルボキシメチルピラゾール、1−イソプロピル−4−ジカルボキシメチル−5−クロロピラゾール、1−ベンジル−4−カルボキシメチル−5−ヒドロキシピラゾール、1−ベンジル−4−カルボキシメチル−5−メチルピラゾール、1−ベンジル−4−クロロ−5−カルボキシメチルピラゾール、1−ベンジル−4,5−ジカルボキシメチルピラゾール、1−ベンジル−4−カルボキシメチル−5−クロロピラゾール、3−メチル−4−カルボキシメチル−5−ヒドロキシピラゾール、3,5−ジメチル−4−カルボキシメチルピラゾール、3−メチル−4−クロロ−5−カルボキシメチルピラゾール、3−メチル−4,5−ジカルボキシメチルピラゾール、3−メチル−4−ジカルボキシメチル−5−クロロピラゾール、1,3,5−トリメチル−4−カルボキシメチルピラゾール、1−ベンジル−3,5−ジメチル−4−カルボキシメチルピラゾール、1,3−ジメチル−4−カルボキシメチル−5−ヒドロキシピラゾール、1,3−ジメチル−4−クロロ−5−カルボキシメチルピラゾール、1,3−ジメチル−4,5−ジカルボキシメチルピラゾールなどのカルボキシル基を有するピラゾール類;
【0055】
4−シアノピラゾール、1−メチル−4−シアノピラゾール、1−イソプロピル−4−シアノピラゾール、1−ベンジル−4−シアノピラゾール、1,3−ジメチル−4−シアノピラゾール、1−イソプロピル−3−メチル−4−シアノピラゾール、1−ベンジル−3−メチル−4−シアノピラゾール、1,5−ジメチル−4−シアノピラゾール、1−イソプロピル−4−シアノ−5−メチルピラゾール、1−イソプロピル−4−シアノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−イソプロピル−4−シアノ−5−クロロピラゾール、1−ベンジル−4−シアノ−5−メチルピラゾール、1−ベンジル−4−シアノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−ベンジル−4−シアノ−5−クロロピラゾール、3,5−ジメチル−4−シアノピラゾール、3−メチル−4−シアノ−5−ヒドロキシピラゾール、3−メチル−4−シアノ−5−クロロピラゾール、1,3,5−トリメチル−4−シアノピラゾール、1−ベンジル−3,5−ジメチル−4−シアノピラゾール、1,3−ジメチル−4−シアノ−5−ヒドロキシピラゾールなどのシアノ基を有するピラゾール類;5−アミノピラゾール、1−メチル−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−5−アミノピラゾール、1−ベンジル−5−アミノピラゾール、1,3−ジメチル−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−3−メチル−5−アミノピラゾール、1−ベンジル−3−メチル−5−アミノピラゾール、1−メチル−4−クロロ−5−アミノピラゾール、1−メチル−4−アシノ−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−4−クロロ−5−アミノピラゾール、3−メチル−4−クロロ−5−アミノピラゾール、1−ベンジル−4−クロロ−5−アミノピラゾール、1,3−ジメチル−4−クロロ−5−アミノピラゾールなどのアミノ基を有するピラゾール類;
【0056】
1−メチル−4−カルボキシメチル−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−4−カルボキシメチル−5−アミノピラゾール、1−ベンジル−4−カルボキシメチル−5−アミノピラゾール、3−メチル−4−カルボキシメチル−5−アミノピラゾール、1,3−ジメチル−4−カルボキシメチル−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−4−シアノ−5−アミノピラゾール、1−ベンジル−4−シアノ−5−アミノピラゾール、3−メチル−4−シアノ−5−アミノピラゾール、1,3−ジメチル−4−シアノ−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−4−シアノ−5−カルボキシメチルピラゾール、1−ベンジル−4−シアノ−5−カルボキシメチルピラゾール、3−メチル−4−シアノ−5−カルボキシメチルピラゾール、1,3−ジメチル−4−シアノ−5−カルボキシメチルピラゾールなどのアミノ基、カルボキシル基又はシアノ基のいずれかを2以上有するピラゾール類;
【0057】
1−メチルピラゾール、1−イソプロピルピラゾール、1−ベンジルピラゾール、3−メチルピラゾール、5−メチルピラゾール、1,3−ジメチルピラゾール、4−クロロピラゾール、5−ヒドロキシピラゾール、5−クロロピラゾール、1−メチル−4−クロロピラゾール、1−イソプロピル−4−クロロピラゾール、1,5−ジメチルピラゾール、1−メチル−5−ヒドロキシピラゾール、1−メチル−5−クロロピラゾール、1−イソプロピル−5−メチルピラゾール、1−イソプロピル−5−ヒドロキシピラゾール、1−イソプロピル−5−クロロピラゾール、1−ベンジル−5−メチルピラゾール、1−ベンジル−5−ヒドロキシピラゾール、1−ベンジル−5−クロロピラゾール、1,3−ジメチル−4−クロロピラゾール、1−ベンジル−3−メチル−4−クロロピラゾール、1,3,5−トリメチルピラゾール、1,3−ジメチル−5−ヒドロキシピラゾール、1,3−ジメチル−5−クロロピラゾール、1−イソプロピル−3−メチル−5−ヒドロキシピラゾール、1−ベンジル−3,5−ジメチルピラゾール、1−ベンジル−3−メチル−5−エチルピラゾール、1−メチル−4−アシノ−5−ヒドロキシピラゾール、1−メチル−4,5−ジクロロピラゾール、1−メチル−4−アシノ−5−クロロピラゾール、1−イソプロピル−4−クロロ−5−メチルピラゾール、1−イソプロピル−4−クロロ−5−ヒドロキシピラゾール、1−イソプロピル−4,5−ジクロロピラゾール、1−ベンジル−4−クロロ−5−メチルピラゾール、1−ベンジル−4−クロロ−5−ヒドロキシピラゾール、1−ベンジル−4,5−ジクロロピラゾール、3,5−ジメチル−4−クロロピラゾール、3−メチル−4−クロロ−5−ヒドロキシピラゾール、3−メチル−4,5−ジクロロピラゾール、1,3,5−トリメチル−4−クロロピラゾール、1−イソプロピル−3,5−ジメチル−4−クロロピラゾール、1,3−ジメチル−4−クロロ−5−ヒドロキシピラゾールなどのその他の基を有するピラゾール類;等。
【0058】
トリアゾール類:1,2,4−トリアゾール;1−アミノ−1,2,4−トリアゾール、2−アミノ−1,2,4−トリアゾール、1,2−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、1−アミノ−2−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール、2,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、2−アミノ−5−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール、1,2,5−トリアミノ−1,2,4−トリアゾール、1,2−ジアミノ−5−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾールなどのアミノ基を有するトリアゾール類;1−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−1,2,4−トリアゾールなどのチオール基を有するトリアゾール類;1−アミノ−2−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−メルカプト−2−アミノ−1,2,4−トリアゾール、2−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1,2−ジアミノ−5−メルカプトトリアゾール、1−メルカプト−2,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、1−メルカプト−2−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−メルカプト−2−アミノ−5−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール、1,5−ジメルカプト−2−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸などのアミノ基、チオール基又はカルボキシル基のいずれかを2以上を有するトリアゾール類;2−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾールなどのその他の基を有するトリアゾール類;等。
【0059】
トリアジン類:2−アミノトリアジン、2,4−ジアミノトリアジン、2,4−ジアミノ−6−(6−(2−(2メチル−1−イミダゾリル)エチル)トリアジンなどのアミノ基を有するトリアジン類;2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−モルホリル−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−モノラウリル−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン−モノソデイウムソルト、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン−トリソデイウムソルトなどのチオール基を有するトリアジン類;2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどのアミノ基とチオール基とを有するトリアジン類;等。
【0060】
これらのなかでも、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、又はシアノ基を有するイミダゾール類、ピラゾール類、トリアゾール類又はトリアジン類が好ましい。
【0061】
こうした配位構造含有化合物と、樹脂層表面とを接触させる方法は特に制限されない。具体例としては、配位構造含有化合物を水又は有機溶媒に溶かして溶液にした後、この溶液中に、樹脂層が形成された内層基板を浸漬するディップ法や、この溶液を樹脂層が形成された内層基板の成形体表面にスプレー等で塗布するスプレー法などが挙げられる。接触操作は、1回でも2回以上を繰り返し行ってもよい。
接触に際しての温度は、配位構造含有化合物やその溶液の沸点、融点、操作性や生産性などを考慮して任意に選択することができるが、通常10〜100℃、好ましくは15〜65℃で行う。接触時間は、成形体表面に付着させたい配位構造含有化合物量やその溶液の濃度、生産性などに応じて任意に選択することができるが、通常0.1〜360分、好ましくは0.1〜60分である。
この後、過剰な配位構造含有化合物を除去する目的で、窒素などの不活性ガスを吹きかける方法や、30〜180℃、好ましくは50〜150℃で1分以上、好ましくは5〜120分間、オーブン中で乾燥させることができる。オーブン中で乾燥するに際して、導電体回路が銅のような金属である場合、特に、酸化防止の観点から、窒素雰囲気下で乾燥するのが好ましい。また、こうした除去操作前に、水又は有機溶剤で基板表面を洗浄することもできる。
【0062】
配位構造含有化合物は、必要に応じて溶媒に溶解して用いる。用いる溶媒は特に制限されず、ラミネーション後の樹脂層が容易に溶解せず、配位構造含有化合物が溶解するものを選択すれば良く、例えば、水;テトラヒドロフランなどのエーテル類、エタノールやイソプロパノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ類など極性溶媒、これらの混合物が挙げられる。配位構造含有化合物溶液中の配位構造含有化合物濃度は、特に制限されないが、配位構造含有化合物が、本工程での操作性の観点から、通常0.001〜70重量%、好ましくは0.01〜50重量%である。
もちろん、使用温度において配位構造含有化合物が液体であり、配位構造含有化合物を上記工程A1で形成された成形体表面と接触させる操作に支障がない場合は、特に溶媒に溶解せず、そのまま用いることも可能である。
本発明において配位構造含有化合物の溶液は、上述の配位構造含有化合物を主材料とするものであり、配位構造含有化合物以外の成分として、成形体が重ね合わされた内層基板と配位構造含有化合物溶液との濡れを向上させる目的で用いる界面活性剤やその他の添加物などが挙げられる。これらの添加物の使用量は、密着性確保の観点から配位構造含有化合物に対して10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。
【0063】
(工程C)
上記(工程B)に続いて、樹脂層を硬化して、電気絶縁層bを形成する。
樹脂層の硬化は、通常、樹脂層(樹脂層が形成された内層基板全体)を加熱することにより行う。硬化剤の種類に応じて硬化条件は適宜選択されるが、硬化させるための温度は、通常30〜400℃、好ましくは70〜300℃、より好ましくは100〜200℃であり、硬化時間は、通常0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間である。加熱の方法は特に制限されず、例えばオーブンなどを用いて行えばよい。通常、多層回路基板を形成する場合、導電体回路層1と後に形成される導電体回路層2とを接続するため、金属薄膜層を形成する前に、電気絶縁層bにビアホール形成用の開口を形成する。このビアホール形成用の開口をフォトリソグラフィによって形成する場合、樹脂層を硬化する前にパターンを形成するためのマスキングをして光硬化させた後、光により硬化されなかった部分を取り除いた後、上述したような成形体の硬化を行う。
ビアホール形成用の開口を電気絶縁層bに形成させる方法として、上述したフォトリソグラフィによる方法を採用しない場合は、通常、樹脂層を硬化させて電気絶縁層bを形成した後、次(工程D)の前に、ドリル、レーザ、プラズマエッチング等の物理的処理等によりビアホール形成用の開口を形成する。電気絶縁層bの特性を低下させず、より微細なビアホールを形成することができるという観点から、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、UV−YAGレーザ等のレーザによる方法が好ましい。
従って、(工程D)に用いる電気絶縁層bは、通常ビアホール形成用の開口を有する。
【0064】
(工程D)
本発明においては、電気絶縁層bを形成した後、金属薄膜層を形成する。
この電気絶縁層b表面とビアホール形成用開口の内壁面に無電解めっき法、スパッタリング法、真空蒸着法等により金属薄膜層を形成することができ、特に無電解めっき法又はスパッタリング法によるのが好ましい。
【0065】
金属薄膜層の形成を無電解めっきにより行う場合、金属薄膜層を電気絶縁層bの表面に形成させる前に、金属薄膜層上に、銀、パラジウム、亜鉛、コバルトなどの触媒核を吸着させるのが一般的である。
触媒核を電気絶縁層bに付着させる方法は特に制限されず、例えば、必要に応じて過マンガン酸カリウム水溶液や過マンガン酸ナトリウム水溶液などのアルカリ性水溶液を電気絶縁層bと接触させた後、硫酸ヒドロキシアミンと硫酸との混合液などの酸性水溶液により中和還元処理し、次いで銀、パラジウム、亜鉛、コバルトなどの金属化合物やこれらの塩や錯体を、水又はアルコール若しくはクロロホルムなどの有機溶媒に0.001〜10重量%の濃度で溶解した液(必要に応じて酸、アルカリ、錯化剤、還元剤などを含有していてもよい)に浸漬した後、金属を還元する方法などが挙げられる。
特に、Mw10,000〜1,000,000の絶縁性重合体を含有する上述した硬化性組成物を用いて電気絶縁層bを形成すると、上述した金属薄膜層を形成する前の触媒吸着処理での粗化が高度に抑制され、電気絶縁層bは実質的に粗化されない。ここで実質的に粗化されないとは、触媒を吸着させた電気絶縁層bの表面粗さRaは0.1nm〜500nm、好ましくは0.1nm〜200nmである。
【0066】
無電解めっき法に用いる無電解めっき液としては、公知の自己触媒型の無電解めっき液のいずれを用いても良い。例えば、次亜リン酸アンモニウム又は次亜リン酸、水素化硼素アンモニウムやヒドラジン、ホルマリンなどを還元剤とする無電解銅めっき液、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−リンめっき液、ジメチルアミンボランを還元剤とする無電解ニッケル−ホウ素めっき液、無電解パラジウムめっき液、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解パラジウム−リンめっき液、無電解金めっき液、無電解銀めっき液、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−コバルト−リンめっき液等の無電解めっき液を用いることができる。
金属薄膜層を形成した後、基板表面を防錆剤と接触させて防錆処理をすることもできる。
【0067】
スパッタリング法で金属薄膜層を形成する場合、密着性を向上させるために、あらかじめ電気絶縁層b表面をプラズマと接触させるプラズマ処理を行うのが好ましい。プラズマ処理に用いる不活性気体としては、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガス、窒素ガスなどが用いられる。中でも窒素ガスおよび/またはアルゴンガスが好ましい。プラズマを発生させる方法に格別な制限はなく、不活性気体をプラズマ発生装置内に導入し、プラズマを発生させればよい。
プラズマ処理の方法に格別な制限はなく、電気絶縁層上に金属からなる導電体回路を形成する際、通常の採用されているプラズマ処理装置を用いて行えばよい。プラズマ処理に要する時間は特に限定されず、通常1秒〜30分、好ましくは10秒〜10分である。プラズマ処理時のプラズマの周波数と出力、プラズマ発生のためのガス圧、処理温度に関しても格別な制限はなく、プラズマ処理装置で扱える範囲であれば良い。周波数は通常13.56MHz、出力は通常50W〜1000W、ガス圧は通常0.01Pa〜10Pa、温度は、通常20℃〜250℃、好ましくは20℃〜180℃である。出力が高すぎると、電気絶縁層表面に亀裂の入るおそれがある。また、ガス圧が高すぎると電気絶縁層表面の平滑性が低下するおそれがある。
【0068】
スパッタリングの方法に格別な制限はなく、直流2極スパッタリング、高周波スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、対向ターゲットスパッタリング、ECRスパッタリング、バイアススパッタリング、プラズマ制御型スパッタリング、マルチ・ターゲットスパッタリングなどを用いることができる。これらのうち、直流2極スパッタリング、又は高周波スパッタリングが好適である。スパッタリング処理時の出力、プラズマ発生のためのガス圧、処理温度に関しても格別な制限はなく、スパッタリング装置で扱える範囲であれば良い。出力は通常10W〜1000W、ガス圧は通常0.01Pa〜10Pa、温度は、通常20℃〜250℃、好ましくは20℃〜180℃である。また、成膜レートは0.1Å/秒〜1000Å/秒、好ましくは1Å/秒〜100Å/秒である。成膜レートが高すぎると、形成した金属膜に亀裂の入るおそれがある。また、ガス圧が高すぎると密着性が低下するおそれがある。
【0069】
このようなスパッタリング法で形成させる金属薄膜は1種類の金属により形成されても複数の金属により形成されても良く、また金属薄膜は、1層であっても2層以上が積層されたものであってもよい。金属薄膜を形成するための金属は、アルミニウム、鉄、タングステン、モリブデン、スズ、ニッケル、クロム、コバルト、チタン、銅、銀、金、白金など任意の金属でよいが、優れた密着性を得ることができる点で、好ましくは銅以外の金属、特に好ましくはニッケル、スズ、又はクロムの膜を1層目の金属薄膜層として、電気絶縁層の表面に形成するのが好ましい。更に、この1層目の金属薄膜層の上に、銅からなる2層目の金属薄膜層を形成するのが特に好ましい。
【0070】
また、本発明においては、(工程D)で金属薄膜層を形成した後、(工程E)の前に、密着性向上などのため、当該金属薄膜層を加圧条件下で加熱する(工程D’)ことができる。
加熱は加圧条件下で行う。このときの圧力を加える方法として、例えば、熱プレス機、加圧加熱ロール機などを用いた、基板に対して物理的に圧力を加える方法が挙げられる。加える圧力は、通常0.1MPa〜20MPa、好ましくは0.5MPa〜10MPaである。加熱は、通常50〜350℃、好ましくは80〜250℃である。この範囲であれば、金属薄膜と電気絶縁層2との高い密着性が確保できる。
【0071】
(工程E)
このようにして得た金属薄膜層の上に、例えば、常法に従って金属薄膜上にめっきレジストを形成させ、更にその上に電解めっき等の湿式めっきによりめっきを成長させ、次いで、めっきレジストを除去し、更にエッチングにより金属薄膜層をエッチングして導電体回路層2を形成する。この導電体回路層2は、通常、金属薄膜層と、その上に成長させためっきとからなる。
【0072】
このようにして得られた多層基板を内層基板として、本発明における工程A1〜E(必要に応じて工程D’を含む)を繰り返すことで、更なる多層化も可能である。
【0073】
こうして得られる本発明の多層回路基板は、コンピューターや携帯電話等の電子機器において、CPUやメモリなどの半導体素子、その他の実装部品を実装するためのプリント配線板として使用できる。特に、微細配線を有するものは高密度プリント配線基板として、高速コンピューターや、高周波領域で使用する携帯端末の配線基板として好適である。
【0074】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、実施例中、部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
本実施例において行った評価方法は以下のとおりである。
(1)分子量(重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn))
トルエンを溶剤とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として測定した。
(2)水素化率及び(無水)マレイン酸残基含有率
水素添加前の重合体中の不飽和結合のモル数に対する水素添加率(水素添加率)及び重合体中の総モノマー単位数に対する(無水)マレイン酸残基のモル数の割合(カルボキシル基含有率)はH−NMRスペクトルにより測定した。
(3)ガラス移転温度(Tg)
示差走査熱量法(DSC法)により測定した。
(4)樹脂表面の粗さ
原子間力顕微鏡(Digital Instrument 製、Nanoscope 3a)にてSi単結晶短冊型カンチレバー(バネ定数=20N/m、長さ125μm)を使用し大気中タッピングモードで表面平均粗さRaを測定して評価した。
(5)めっきの析出状態の評価
10cm角の基板において、無電解めっき後に外観を目視にて観察し、めっきの析出が全面に均一であるものを良、膨れや、剥がれが発生していたり、部分的な析出であったり、未析出のものを不良とした。
(6)パターン密着性の評価
一辺が5cmの正方形の導体層パターンを最外層に形成した多層基板を温度85℃相対湿度85%の雰囲気に30時間放置した後、この導体層パターンの対角線上を先端が鋭利な状態のカッターナイフにて切断した。切断しためっき層が剥離したり浮きが発生したりしないか目視にて観察した。剥離や浮きが観察されないものを良、剥離や浮きが観察されるものを不良とした。
(7)パターニング性の評価
配線幅30μm、配線間距離30μm、配線長5cmで100本の配線パターンを形成し、100本がいずれも形状に乱れの無いものを○、形状に、浮きなどの乱れはわずかにあるが、剥がれのような欠損の無いものを△、欠損のあるものを×として評価した。
【0075】
実施例1
8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エンを開環重合し、次いで水素添加反応を行い、数平均分子量(Mn)=31,200、重量平均分子量(Mw)=55,800、Tg=約140℃の水素化重合体を得た。得られたポリマーの水素化率は99%以上であった。
得られた重合体100部、無水マレイン酸40部及びジクミルパーオキシド5部をt−ブチルベンゼン250部に溶解し、140℃で6時間反応を行った。得られた反応生成物溶液を1000部のイソプロピルアルコール中に注ぎ、反応生成物を凝固させマレイン酸変性水素化重合体を得た。この変性水素化重合体を100℃で20時間真空乾燥した。この変性水素化重合体の分子量はMn=33,200、Mw=68,300でTgは170℃であった。(無水)マレイン酸残基含有率は25モル%であった。
【0076】
前記変性水素化重合体100部、ビスフェノールAビス(プロピレングリコールグリシジルエーテル)エーテル40部、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール5部及び1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール0.1部を、キシレン215部及びシクロペンタノン54部からなる混合溶剤に溶解させてワニスを得た。
【0077】
当該ワニスを、ダイコーターを用いて、300mm角の厚さ40μmのポリエチレンナフタレートフィルム(キャリアフィルム)に塗工し、その後、窒素オーブン中、120℃で10分間乾燥し、樹脂厚み35μmのキャリアフィルム付きドライフィルムを得た。
【0078】
一方、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンの0.1%イソプロピルアルコール溶液を調製し、この溶液に配線幅及び配線間距離が50μm、導体厚みが18μmで表面がマイクロエッチング処理された内層回路を形成された厚さ0.8mmの両面銅張り基板(ガラスフィラー及びハロゲン不含エポキシ樹脂を含有するワニスをガラスクロスに含浸させて得られたコア材)を25℃で1分間浸漬し、次いで90℃で15分間、窒素置換されたオーブン中で乾燥させてプライマー層を形成させて、内層基板を得た。
【0079】
前述の内層基板上に、前述のキャリアフィルム付きドライフィルムを、樹脂面が内側となるようにして両面銅張り基板両面に貼り合わせた。これを、一次プレスとして耐熱ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータを用いて、200Paに減圧して、温度110℃、圧力0.5MPaで60秒間加熱圧着した。次いで、二次プレスとして金属製プレス板で覆われた耐熱ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータを用いて、200Paに減圧して、温度140℃、1.0MPaで60秒間、加熱圧着して硬化性組成物成形体を積層させた。
【0080】
前述の硬化性組成物成形体を積層させた基板からポリエチレンナフタレートフィルムのみを剥がした。次いで1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾールが0.1%になるように調整した水溶液に25℃で1分間浸漬させた後、エアーナイフにて余分な溶液を除去した。これを170℃の窒素オーブン中に60分間放置し、内層基板上に電気絶縁層を形成した。
得られた積層板の、絶縁層部分に、UV−YAGレーザ第3高調波を用いて直径30μmの層間接続のビアホールを形成しビアホールつき多層基板を得た。
【0081】
上述のビアホールつき多層基板を過マンガン酸濃度60g/リットル、水酸化ナトリウム濃度28g/リットルになるように調整した80℃の水溶液に15分間浸漬した。次いで、基板を水槽に1分間浸漬し、更に別の水槽に1分間浸漬することにより、基板を水洗した。続いて硫酸ヒドロキシルアミン濃度170g/リットル、硫酸80g/リットルになるように調整した25℃の水溶液に、基板を5分間浸漬し、中和還元処理をした後、水洗をし、窒素を吹き付けて水を除去した。
水洗後の多層基板をアクチベータMAT−1−A(上村工業株式会社製)が200ml/リットル、アクチベータMAT−1−B(上村工業株式会社製)が30ml/リットル、水酸化ナトリウムが1g/リットルになるように調整した60℃のPd塩含有めっき触媒溶液に5分間浸漬した。次いで、上述と同じ方法で基板を水洗した後、レデユーサーMRD−2−A(上村工業株式会社製)が18ml/リットル、レデユーサーMRD−2−C(上村工業株式会社製)が60ml/リットルになるように調整した溶液に35℃で、5分間、浸漬し、めっき触媒を還元処理した。このようにしてめっき触媒を吸着させた多層基板の最外絶縁層表面の粗さを評価したところ、Raは63nmであった。
【0082】
こうして得られた多層基板を、PEA−6−A(上村工業株式会社製)が100ml/リットル、PEA−6−B(上村工業株式会社製)が100ml/リットル、PEA−6−C(上村工業株式会社製)が14ml/リットル、PEA−6−D(上村工業株式会社製)が12ml/リットル、PEA−6−E(上村工業株式会社製)が50ml/リットル、37%ホルムアルデヒド水溶液5ml/リットルになるように調整した36℃の無電解めっき液に空気を吹き込みながら、15分間浸漬して無電解めっき処理を行った。無電解めっき処理により金属薄膜層が形成された多層基板を更に上述と同様に水洗した。次いで、AT−21(上村工業株式会社製)が10ml/リットルになるよう調整した防錆溶液に25℃、1分間浸漬し、更に上述と同じ方法で水洗した後、乾燥し、防錆処理を施した。無電解めっきの析出状態の評価を実施した。結果を表1に示す。
【0083】
この防錆処理が施された多層基板を、熱プレス機を用いて、170℃で、3MPaの圧力を加え、30分間加熱加圧処理した。加熱加圧処理後の多層基板表面に、市販の感光性レジストのドライフィルムを熱圧着して貼り付け、さらに、このドライフィルム上に密着性評価用パターンに対応するパターンのマスクを密着させ露光した後、現像してレジストパターンを得た。次に硫酸100g/リットルの溶液に25℃で1分間浸漬させ防錆剤を除去し、レジスト非形成部分に電解銅めっきを施し厚さ18μmの電解銅めっき膜を形成させた。次いで、レジストパターンを剥離液にて剥離除去し、塩化第二銅と塩酸混合溶液によりエッチング処理を行うことにより、前記金属薄膜及び電解銅めっき膜からなる配線パターン(導電体回路層2)を形成し両面2層の配線パターン付き多層回路基板を得た。得られた多層回路基板のパターンが無い部分の絶縁層表面の粗さを評価したところRaは78nmであった。また基板上のパターンに浮きや剥がれは無かった。この得られた多層回路基板のパターン密着性の評価およびパターニング性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0084】
実施例2
実施例1にて得られた硬化性組成物成形体を積層させた基板を浸漬させるときに、1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾールの代わりに2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン−モノソデイウムソルトの0.1%水溶液を用いた以外は実施例1と同様にした。めっき前処理を実施した後の最外絶縁層表面の粗さを評価したところ、Raは43nmであった。無電解めっき処理を実施した後のめっき析出状態の評価を行った。評価結果を表1に示す。
得られた多層回路基板のパターンが無い部分の絶縁層表面の粗さを評価したところRaは58nmであった。また基板上のパターンに浮きや剥がれは無かった。この得られた多層回路基板のパターン密着性、パターニング性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0085】
実施例3
実施例1のワニス作製にて用いた変性水素化重合体100部にかえて、ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)(Mw=18,000)60部、エポキシ樹脂(商品名:エピコート1000:油化シェルエポキシ株式会社製:Mw=1,300)40部を用いた以外は実施例1と同様にワニスを作製し、実施例1と同様にして多層回路基板を得て評価した。
めっき前処理を実施した後の最外絶縁層表面の粗さを評価したところ、Raは82nmであった。無電解めっき処理を実施した後のめっき析出状態の評価を行った。評価結果を表1に示す。
得られた多層回路基板のパターンが無い部分の絶縁層表面の粗さを評価したところRaは96nmであった。また基板上のパターンに浮きや剥がれは無かった。この得られた多層回路基板のパターン密着性、パターニング性の評価結果を表1に示す。
【0086】
実施例4
実施例1にて得られた硬化性組成物成形体を積層させた基板を3−アミノ−4−シアノピラゾールの0.1%水溶液にて処理する以外は実施例1と同様に処理した。めっき前処理を実施した後の最外絶縁層表面の粗さを評価したところ、Raは57nmであった。無電解めっき処理を実施した後のめっき析出状態の評価を行った。評価結果を表1に示す。
得られた多層回路基板のパターンが無い部分の絶縁層表面の粗さを評価したところRaは62nmであった。また基板上のパターンに浮きや剥がれは無かった。この得られた多層回路基板のパターン密着性、パターニング性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0087】
比較例1
実施例3にて1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール水溶液で処理しない以外は実施例1と同様ににして多層回路基板を得た。
得られた多層回路基板のパターンが無い部分の絶縁層表面の粗さを評価したところRaは21nmであった。また基板上のパターンに、幅5mm以下の浮きや剥がれが多数あり、更に幅5mmを超える浮きや剥がれも確認された。その他の評価結果を表1に示す。
【0088】
【表1】
Figure 0003862009
【0089】
実施例5
実施例1にて、得られたワニスをキャリヤーフィルムに塗工せず、プライマー層を形成させた内層基板にダイコーターを用いて直接塗布して、その後、窒素オーブン中、120℃で10分間乾燥し厚さ35μmの硬化性組成物層を形成させた後に1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾールが0.1%になるように調整した水溶液に25℃で1分間浸漬させる以外は実施例1と同様にして両面2層の配線パターン付き多層回路基板を得た。
得られた多層回路基板のパターンが無い部分の絶縁層表面の粗さを評価したところRaは85nmであった。得られた多層回路基板のめっき析出状態及び密着性評価はいずれも「良」であったが、パターニング性の評価に関しては、電気絶縁層と導電体回路との密着性の面内均一性不足に起因するパターンの浮きが3カ所で確認されたがいずれも幅5mm以下の浮きであった(評価「△」)。
【0090】
実施例6
実施例1と同様の方法でビアホールつき多層基板を得た。
この多層基板表面をプラズマ処理した。プラズマ処理条件は、ガスの種類がアルゴンであり、プラズマ処理装置の条件は周波数13.56MHz、出力100W、ガス圧0.8Paの条件であり、処理時の温度は25℃、処理時間は5分間であった。プラズマ処理後の電気絶縁樹脂層表面の粗さを評価したところ、Raは、50nm以下であった。
このようにして得られたビアホールを形成後プラズマ処理された多層基板表面に、周波数13.56MHz、出力400W、ガス圧0.8Paの条件でアルゴン雰囲気下にてRFスパッタ法により、4.6Å/秒のレートで厚さ0.03μmのクロム膜を形成させ、次いで9.1Å/秒のレートで厚さ0.3μmの銅薄膜を形成させた。
【0091】
このようにして多層基板表面に金属薄膜層を形成した後、その表面に市販の感光性ドライフィルムを熱圧着して貼り付け、さらに、このドライフィルム上に所定のパターンのマスクを密着させ露光した後、現像してめっきレジストパターンを得た。次にレジストパターンのない部分に、厚さ35μmの電解銅めっきを成長させた。次いで、銅めっきが成長した基板表面を、剥離液と接触させてレジストパターンを除去し、レジスト形成部分の下に隠れていたスパッタ膜を塩化第二銅と塩酸混合溶液により除去して配線パターンを形成した。そして、最後に、170℃で30分間アニール処理をして回路基板を得た。得られた多層回路基板のパターンが無い部分の絶縁層表面の粗さを評価したところRaは50nm以下であった。また、得られた多層回路基板のパターン密着性、パターニング性の評価を行ったところ、それぞれ「良」及び「○」であった。更に、この多層回路基板に対して、JIS C6481に準拠し、それぞれ電気絶縁樹脂層と導電体回路との間の引きはがし強さ(ピール強度)を求めた結果、960gf/cmであった。
【0092】
実施例7
プラズマ処理のガスの種類を窒素に変えたこと以外は実施例6と同様にして多層回路基板を得た。この多層回路基板のパターン密着性、パターニング性の評価を行ったところ、それぞれ「良」及び「○」であり、ピール強度を測定した結果、920gf/cmであった。また、プラズマ処理後の電気絶縁樹脂層の表面及び多層回路基板のパターンが無い部分の絶縁層表面の粗さRaは、いずれも50nm以下であった。
【0093】
比較例2
1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール水溶液で処理しない以外は実施例5と同じ方法で多層回路基板を得た。プラズマ処理後の電気絶縁樹脂層の表面及び多層回路基板のパターンが無い部分の絶縁層表面の粗さRaは、いずれも50nm以下であり、パターニング性は○の評価であったが、この多層回路基板のパターン密着性は不良であり、またピール強度は650gf/cmしかなかった。
【0094】
以上の結果から、絶縁性重合体と硬化剤とを含有する硬化性組成物成形体を用いて電気絶縁層を形成する際、当該電気絶縁層を形成するための成形体硬化工程前に、成形体表面を金属に配位可能な構造を有する化合物で表面処理すると、電気絶縁層表面を粗化することなく、電気絶縁層と導電体回路の界面でも安定した密着が得られ、パターン密着性やパターニング性に優れることが判った(各実施例)。一方、金属に配位可能な構造を有する化合物で表面処理を行わないと、粗化されていない電気絶縁層と導電体回路との密着性に劣り、パターニング性も低下することが判る。特に、スパッタリング法によって高いピール強度の得られることも判った(実施例6、7)。

Claims (13)

  1. 最外層が導電体回路層1である内層基板上に、絶縁性重合体と硬化剤とを含有する硬化性組成物を用いて、未硬化又は半硬化の樹脂層を形成した(工程A)後、当該樹脂層表面に、金属に配位可能な構造を有する化合物を接触させ(工程B)、次いで当該成形体を硬化させて電気絶縁層bを形成し(工程C)、この電気絶縁層bの表面に金属薄膜層を形成し(工程D)、その後、当該金属薄膜層を含む導電体回路層2を形成する(工程E)多層回路基板の製造方法。
  2. 未硬化又は半硬化の樹脂層が、絶縁性重合体と硬化剤とを含有する硬化性組成物のフィルム状又はシート状成形体を、最外層が導電体回路層1である内層基板に、当該導電体回路層1と接するように貼り合わせて形成されたものである請求項1記載の多層回路基板の製造方法。
  3. 未硬化又は半硬化の樹脂層が、絶縁性重合体と硬化剤とを含有する硬化性組成物を、最外層が導電体回路層1である内層基板表面に塗布、乾燥して形成されたものである請求項1記載の多層回路基板の製造方法。
  4. 金属に配位可能な構造を有する化合物が、アミノ基、チオール基、カルボキシル基又はシアノ基を有する化合物である請求項1記載の多層回路基板の製造方法。
  5. 金属に配位可能な構造を有する化合物が、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含有する複素環化合物である請求項1記載の多層回路基板の製造方法。
  6. (工程D)において金属薄膜層を形成する方法が、無電解めっき法である請求項1記載の多層回路基板の製造方法。
  7. (工程D)において金属薄膜層を形成する方法が、スパッタリング法である請求項1記載の多層回路基板の製造方法。
  8. スパッタリング法により金属薄膜層を形成する前に、電気絶縁層b表面をプラズマと接触させる工程を有する請求項7記載の多層回路基板の製造方法。
  9. (工程D)で形成される金属薄膜層が、銅以外の金属からなる金属層と銅からなる金属層とで構成されている請求項1記載の多層回路基板の製造方法。
  10. 絶縁性重合体が、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、トリアジン樹脂、脂環式オレフィン重合体、芳香族ポリエーテル重合体、ベンゾシクロブテン重合体、シアネートエステル重合体、液晶ポリマー及びポリイミドからなる群より選択されたものである請求項1記載の多層回路基板の製造方法。
  11. 絶縁性重合体の重量平均分子量が10,000〜1,000,000である請求項10記載の多層回路基板の製造方法。
  12. 電気絶縁層bに形成された金属薄膜層を加圧条件下で、加熱処理する工程を含む請求項1記載の多層回路基板の製造方法。
  13. 請求項1記載の方法により製造された多層回路基板。
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