JP2004134670A - 多層回路基板の製造方法 - Google Patents

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Yasuhiro Wakizaka
脇坂 康尋
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Abstract

【課題】パターン密着性に優れた多層回路基板を得る方法を提供する。
【解決手段】最外層に導電体回路1が形成された内層基板上に、絶縁性重合体と硬化剤とを含有する硬化性組成物を用いて、未硬化又は半硬化の樹脂層を形成した(工程A)後、当該樹脂層表面に、最も高い酸解離定数の逆数の対数(pKa)と最も低い酸解離定数の逆数の対数(pKa)との差が1以上となるように選択された2種類以上の有機化合物を接触させ(工程B)、次いで当該成形体を硬化させて電気絶縁層bを形成し(工程C)、この電気絶縁層bの表面に導電体回路2を形成する(工程D)ことを特徴とする多層回路基板の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層回路基板の製造方法に関し、より詳しくはパターン密着性に優れた多層回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型化、多機能化に伴って、電子機器に用いられている回路基板にも、より高密度化が要求されるようになってきている。
回路基板を高密度化するためには、回路基板を多層化するのが一般的である。多層回路基板は、通常、最外層に導電体回路1が形成された内層基板上に、電気絶縁層を形成し、当該電気絶縁層の上に導電体回路2を形成する工程を繰り返すことによって得られる。
【0003】
内層基板上に電気絶縁層を形成する方法として、絶縁性重合体と硬化剤とを含有する硬化性組成物のフィルム状又はシート状成形体(以下、ドライフィルムと言うことがある)を、最外層が導電体回路1である内層基板に、当該導電体回路1と接するように貼り合わせて、未硬化又は半硬化の樹脂層を形成した後、これを加熱硬化する方法が採用されている。この方法では、未硬化又は半硬化の樹脂層を形成するのにドライフィルムを用いることになるが、ドライフィルムが製造された後、直ちにこのドライフィルムが樹脂層の形成に供されることは、工業的には希であり、通常、ドライフィルムは、製造された後、別の場所に搬送され、更に保管されてから使用される。
【0004】
また、内層基板上に電気絶縁層を形成する別の方法として、絶縁性重合体と硬化剤とを含有する硬化性組成物を溶剤に溶解して得たワニスを、内層基板に直接塗布し、後に加熱硬化する方法が採用されている。この方法においても、ワニスを調製した後、全てを直ちに使い切ることは、工業的には希であり、通常、タンク内に多量に調製された後、タンクから少量づつ塗工機等に流し込まれ使用される。
【0005】
多層回路基板においては、回路基板の寿命を確保するため、電気絶縁層と、その上に形成される導電体回路パターンとの密着性(パターン密着性)が重要となっている。良好なパターン密着性を得る方法として、電気絶縁層を粗化する方法が採用されている(特開平11−23649号公報、特開平11−286562号公報、特許第2877110号公報など)。しかし、こうした電気絶縁層を粗化処理すると、製造工程で配線パターン精度が低下する上、得られた回路基板が電気信号ノイズを生じる原因となる。このため、電気絶縁層を粗化しないで密着性を向上させることが求められている。
【特許文献1】
特開平11−23649号公報
【特許文献2】
特開平11−286562号公報
【特許文献3】
特許第2877110号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
当出願人は、かかる要請に応えるべく、粗化せずに電気絶縁層と導電体回路との密着性を向上させる方法を検討した結果、金属配位能を有する化合物で電気絶縁層を表面処理することで、表面粗さRaは0.1nm以下の粗化されていない電気絶縁層の密着性を改良できることを見いだした(特願2001−268847号、特願2002−217513号)。その後、更に検討を行った結果、長期保存されたドライフィルムを用いた場合、製造直後のドライフィルムを用いた場合に比べ、密着性が40%以下に低下する場合のあることが確認された。また、多量に調製されたタンク内のワニスを、内層基板に直接塗布する方法で電気絶縁膜を得た場合も、ドライフィルムを用いた場合ほどではないものの、密着性の低下が認められた。更に、前記ワニスを繊維基材に含浸させて得られたプリプレグにおいても、密着性の低下傾向が認められた。
【0007】
かかる知見の下、本発明者は、粗化せずに導電体回路と電気絶縁層との密着性を向上させることができ、更に、長期保存後のドライフィルムやワニスを用いて形成された電気絶縁層においても密着性の低下を抑制できる多層回路基板の製造方法を開発するべく鋭意研究をした結果、未硬化又は半硬化の樹脂層に対して、酸解離定数の逆数の対数(以下、単にpKaという)の差が1以上ある少なくとも2種類の有機化合物を接触させることで、上記目的が達成されることを見いだし、本発明を完成するに到った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、最外層に導電体回路1が形成された内層基板上に、絶縁性重合体と硬化剤とを含有する硬化性組成物を用いて、未硬化又は半硬化の樹脂層を形成した(工程A)後、当該樹脂層表面に、最も高い酸解離定数の逆数の対数(pKa)と最も低い酸解離定数の逆数の対数(pKa)との差が1以上となるように選択された2種類以上の有機化合物を接触させ(工程B)、次いで当該成形体を硬化させて電気絶縁層bを形成し(工程C)、この電気絶縁層bの表面に導電体回路2を形成する(工程D)ことを特徴とする多層回路基板の製造方法が提供され、またこの製造方法により製造された多層回路基板が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の多層回路基板の製造方法は、次の4つの工程からなる。
(工程A)最外層が導電体回路1である内層基板上に、絶縁性重合体と硬化剤とを含有する硬化性組成物を用いて、未硬化又は半硬化の樹脂層を形成する。
(工程B)当該樹脂層表面に、最も高い酸解離定数の逆数の対数(pKa)と最も低い酸解離定数の逆数の対数(pKa)との差が1以上となるように選択された2種類以上の有機化合物を接触させる。
(工程C)この有機化合物を接触させた後の未硬化又は半硬化の樹脂層を硬化させて電気絶縁層bを形成する。
(工程D)電気絶縁層bの上に導電体回路2を形成する。
【0010】
各工程について、以下に詳述する。
(工程A)
本発明の(工程A)で用いる内層基板は、最外層に導電体回路1が形成された内層基板であり、通常、電気絶縁層aの表面に導電体回路1が形成されたものである。このような内層基板の具体例として、プリント配線基板、シリコンウェハー基板などが挙げられる。内層基板の厚みは、通常50μm〜2mm、好ましくは60μm〜1.6mm、より好ましくは100μm〜1mmである。
【0011】
内層基板を構成する電気絶縁層aは酸化ケイ素やアルミナなどの無機化合物、又は、脂環式オレフィン重合体、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、トリアジン樹脂、芳香族ポリエーテル重合体、シアネートエステル重合体、ポリイミドなどの絶縁性重合体などの有機化合物からなる。また、内層基板は、強度向上のためにガラス繊維、樹脂繊維などを含有させたものであってもよい。
内層基板の最外層に形成された導電体回路1の材料は、通常、導電性金属である。
【0012】
この(工程A)では、内層基板上に、絶縁性重合体と硬化剤とを含有する硬化性組成物を用いて、未硬化又は半硬化の樹脂層が形成される。
ここで「未硬化」とは、樹脂層を構成するのに用いる絶縁性重合体を溶解可能な溶剤に、実質的に樹脂層全部が溶解可能な状態をいう。「半硬化」とは、加熱によって更に硬化しうる程度に硬化された状態をいい、好ましくは、樹脂層を構成するのに用いる絶縁性重合体を溶解可能な溶剤に、樹脂層の一部(絶縁性重合体の約1重量%以上)が溶解する状態であるか、当該溶剤中に樹脂層を24時間浸漬した時の樹脂層の体積の膨潤率が、浸漬前の200重量%以上であることをいう。特に半硬化の場合は、樹脂層を構成するのに用いる絶縁性重合体を溶解可能な溶剤に、絶縁性重合体の5重量%以上が溶解する状態であるか、当該溶剤中に樹脂層を24時間浸漬した時の体積の膨潤率が、浸漬前の300重量%以上であることが好ましい。
【0013】
未硬化又は半硬化の樹脂層を形成するための硬化性組成物を構成する絶縁性重合体は、電気絶縁性を有するものであれば制限されず、例えばエポキシ樹脂、マレイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、トリアジン樹脂、脂環式オレフィン重合体、芳香族ポリエーテル重合体、ベンゾシクロブテン重合体、シアネートエステル重合体、液晶ポリマー、ポリイミドなどが挙げられる。これらの中でも、脂環式オレフィン重合体、芳香族ポリエーテル重合体、ベンゾシクロブテン重合体、シアネートエステル重合体又はポリイミドが好ましく、脂環式オレフィン重合体又は芳香族ポリエーテル重合体が特に好ましく、脂環式オレフィン重合体がとりわけ好ましい。
【0014】
絶縁性重合体の重量平均分子量に格別な制限はないが、通常10,000〜1,000,000、好ましくは50,000〜500,000である。後の(工程D)で無電解めっき処理を行う際、その前処理による電気絶縁層bの粗化が抑制される点から10,000〜1,000,000の重量平均分子量Mwを有する重合体が、硬化性組成物に含まれる絶縁性重合体成分100重量部中、20重量部以上、好ましくは30重量部以上存在するのが望ましい。
【0015】
本発明において、重量平均分子量Mwは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン又はポリイソプレン換算の重量平均分子量である。
【0016】
とりわけ好ましい絶縁性重合体である脂環式オレフィン重合体は、脂環式構造を有する不飽和炭化水素の重合体である。脂環式構造としては、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造などが挙げられるが、機械的強度や耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造が好ましい。また、脂環式構造としては、単環、多環(縮合多環、橋架け環、これらの組み合わせ多環など)のいずれであっても良い。脂環式構造を構成する炭素原子数に格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械的強度、耐熱性、及び成形性の諸特性が高度にバランスされ好適である。また、本発明で使用される脂環式オレフィン重合体は、硬化剤との組み合わせで熱硬化性を示すものが好ましい。
【0017】
脂環式オレフィン重合体の具体例としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とビニル化合物との付加重合体、単環シクロアルケン重合体、脂環式共役ジエン重合体、ビニル系脂環式炭化水素重合体及びその水素添加物、芳香族オレフィン重合体の芳香環水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とビニル化合物との付加重合体、芳香族オレフィン重合体の芳香環水素添加物が好ましく、特にノルボルネン系単量体の開環重合体の水素添加物が好ましい。
【0018】
脂環式オレフィン重合体は、極性基を有するものが好ましい。極性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミノ基、エステル基、カルボン酸無水物基などが挙げられ、特に、カルボキシル基又はカルボン酸無水物(カルボニルオキシカルボニル)基が好適である。
【0019】
脂環式オレフィン重合体は、通常、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エンやトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエンなどのノルボルネン環を有する脂環式オレフィンを付加重合又は開環重合し、そして必要に応じて不飽和結合部分を水素化することによって、或いは芳香族オレフィンを付加重合し、そして当該重合体の芳香環部分を水素化することによって得られる。また、極性基を有する脂環式オレフィン重合体は、例えば、1)前記脂環式オレフィン重合体に極性基を変性反応により導入することによって、2)極性基を含有する単量体を共重合成分として共重合することによって、あるいは3)エステル基などの極性基を含有する単量体を共重合成分として共重合した後、エステル基などを加水分解することによって得られる。
また、脂環式オレフィン重合体は、脂環式オレフィン及び/又は芳香族オレフィンと、これら共重合可能な単量体(例えば、1−ヘキセンなど)とを共重合して得ることもできる。
【0020】
脂環式オレフィン重合体のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択できるが、通常50℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは100℃以上、最も好ましくは125℃以上である。
【0021】
硬化性組成物を構成する硬化剤は、加熱により架橋構造を形成し、硬化するものであればよい。硬化剤としては、イオン性硬化剤、ラジカル性硬化剤又はイオン性とラジカル性とを兼ね備えた硬化剤等、公知の熱硬化剤を用いることができ、特にビスフェノールAビス(プロピレングリコールグリシジルエーテル)エーテルのようなグリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物などの多価エポキシ化合物が好ましい。硬化剤の配合割合は、カルボキシル基等含有重合体100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは5〜80重量部、より好ましくは10〜50重量部の範囲である。
【0022】
また、硬化剤の他に硬化促進剤を添加することで、耐熱性の高い電気絶縁膜を得るのが容易になる。例えば硬化剤として多価エポキシ化合物を用いた場合には、トリアゾール化合物やイミダゾール化合物などの第3級アミン化合物や三弗化ホウ素錯化合物などの硬化促進剤を使用することもできるが好適である。
【0023】
更に、硬化性組成物には、必要に応じて硬化助剤、難燃剤、軟質重合体、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、乳剤、充填剤などの添加剤を含有させることができる。
硬化性組成物を構成する各成分は、それぞれ単独でも、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0024】
上述した硬化性組成物を、攪拌機等を用いて、溶剤に溶解してワニスを調製する。ワニス調製に用いる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系有機溶剤;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系有機溶剤;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系有機溶剤;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン系有機溶剤などを挙げることができる。
【0025】
この絶縁性重合体と硬化剤とを含有する硬化性組成物と溶剤とを含有するワニスを用いて、未硬化又は半硬化の樹脂層を形成する。樹脂層の形成方法としては、以下の方法が例示される。
(1)ワニスを、ポリエチレンテレフタレートフィルムや金属箔などの、厚み1μm〜150μm程度の支持体に塗布した後、溶剤を乾燥除去して得られた、硬化性組成物のフィルム状又はシート状成形体(以下、ドライフィルムという)を内層基板に貼り合わせて未硬化又は半硬化の樹脂層を形成する。
(2)このワニスを、内層基板に直接塗布し、溶剤を乾燥除去して、未硬化又は半硬化の樹脂層を形成する。
【0026】
ワニスを、支持体や内層基板に塗布する方法としては、デイップコート、ロールコート、カーテンコート、ダイコート、スリットコートなどの装置を用いた溶液キャスト法や溶融キャスト法などが挙げられる。
またワニス塗布後の溶剤の乾燥除去条件は、上記(1)および(2)いずれにおいても、有機溶剤の種類により適宜選択され、乾燥温度は、通常20〜300℃、好ましくは30〜200℃であり、乾燥時間は、通常30秒〜1時間、好ましくは1分〜30分である。
【0027】
上記(1)の方法で未硬化又は半硬化の樹脂層を形成する場合、ドライフィルムを導電体回路1上に重ね合わせ、加圧ラミネータ、プレス、真空ラミネータ、真空プレス、ロールラミネータなどの加圧機を使用して加熱圧着(ラミネーション)して、基板表面とドライフィルムとの界面に、実質的な空隙が存在しないように両者を結合させる。加熱圧着は、配線への埋め込み性を向上させ、気泡等の発生を抑えるために真空下で行うのが好ましい。加熱圧着時の温度は、通常30〜250℃、好ましくは70〜200℃、圧着力は、通常10kPa〜20MPa、好ましくは100kPa〜10MPa、圧着時間は、通常30秒〜5時間、好ましくは1分〜3時間であり、通常100kPa〜1Pa、好ましくは40kPa〜10Paに雰囲気を減圧する。
【0028】
支持体付きドライフィルムを用いた場合、通常、支持体を、加熱圧着後に剥がす。
導電体回路1が形成された内層基板と電気絶縁層bとの密着性を向上させるために、ドライフィルムを貼り合わせる前に、導電体回路1が形成された内層基板の表面を前処理することが好ましい。前処理としては、アルカリ性亜塩素酸ナトリウム水溶液や過マンガン酸塩等を内層基板表面に接触させて表面を粗化する方法、アルカリ性過硫酸カリウム水溶液、硫化カリウム−塩化アンモニウム水溶液等により表面を酸化した後に還元する方法、及び内層基板の導電体回路部分にめっきを析出させ、粗化する方法、チオール化合物やシラン化合物などによりプライマー層を形成する方法等が挙げられる。なかでも2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどのチオール化合物を用いたプライマー層を形成する方法は、導電体回路として銅を用いた場合でも、銅の腐食がなく、高い密着性が得られる点で好適である。
【0029】
内層基板に貼り合わせる成形体は2以上であってもよく、例えば、後に形成される電気絶縁層bの平坦性を向上させる目的や、電気絶縁層の厚みを増す目的で、複数のドライフィルムを積層して、未硬化又は半硬化の樹脂膜を形成してもよい。
【0030】
このようにして得られる未硬化又は半硬化の樹脂層の厚みは、次の工程で得られる電気絶縁層bの厚みを考慮して任意に設定することができ、通常0.1〜150μm、好ましくは0.5〜100μm、より好ましくは1.0〜80μmである。
【0031】
(工程B)
この工程は、(工程A)で内層基板上に形成された未硬化又は半硬化の樹脂層表面に、2種類以上の有機化合物を接触させる工程である。ここで用いる有機化合物の中で、最も高いpKaを有する有機化合物と最も低いpKaを有する有機化合物とのpKaの差は1以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上である。尚、本発明においてpKaは、25℃の水溶液における酸解離定数の逆数の対数であり、多段の解離性状を有する化合物においては最終段におけるpKaをいう。
【0032】
(工程B)で用いられる有機化合物(以下、接触用有機化合物ということがある)の種類は2種類以上であれば良いが、生産性や密着性の観点から2〜4種類の化合物を用いるのが好ましい。3種類以上の接触用有機化合物を用いる場合、最も高いpKaを有する化合物と最も低いpKaを持つ化合物とのpKaの差が上述した関係を満足していれば、他の化合物のpKaに格別な制限はない。
【0033】
pKaの差が上述した関係にある接触用有機化合物と、未硬化又は半硬化の樹脂層表面とを接触させる方法は、上述した関係にある有機化合物を別々に順次接触させる方法であっても、両者を混合して同時に接触させる方法であっても良いが、より高い密着性を得る観点から、順次接触させる方法が望ましい。
【0034】
順次接触させる場合、pKaが最も高い化合物とpKaが最も低い化合物のいずれを先に接触させても良いが、pKaが最も高い化合物を先(好ましくは一番最初)に接触させるのが好ましい。
各化合物は、それぞれ必要に応じて、界面活性剤や保存安定剤など別の有機化合物と混合して用いることができる。別の有機化合物を混合する場合、その量は、密着性確保の観点から、混合液中に含まれる有機化合物全量の50重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。
【0035】
本発明において接触用有機化合物は、pKaが7以上、好ましくは8以上の化合物を1種類以上と、pKaが7未満、好ましくは6以下の化合物を1種類以上とを組み合わせて用いるのが好ましい。
また本発明において接触用有機化合物は、経てろ原子を有した金属配位能を有する化合物が好ましく、含窒素複素環やアミノ基など有する含窒素有機化合物、カルボキシル基を有する含酸素有機化合物、及びスルホン酸基やチオール基を有する含硫黄化合物の中から選択された化合物が特に好ましい。また、1種類以上の含窒素有機化合物と1種類以上の含酸素有機化合物又は含硫黄有機化合物との組み合わせて用いるのが好ましい。
更に用いる有機化合物の分子量が1000以下、好ましくは800以下であるものは、安定した密着性の確保が容易であり好ましい。
【0036】
含窒素有機化合物の例(化合物名の後の( )内は、25℃の水溶液中でのpKaである。;以下、同じ。)としては、イミダゾール(7.01)、1−メチルイミダゾール(7.05)、2−メチルイミダゾール(7.88)、ベンゾイミダゾール(5.47)、1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール(9.40)等のイミダゾール類;ピラゾール(2.58)、2−メチルピラゾール(3.62)、4−メチルピラゾール(3.21)等のピラゾール類;モルホリン(8.49)、4−(3’−アミノプロピル)モルホリン等のモルホリン類;ピリジン(5.42)、2−アミノピリジン(6.78)、3−アミノピリジン(6.06)、4−アミノピリジン(9.17)、4−ジメチルアミノピリジン(9.66)、2−アミノエチルピリジン(9.59)、2−メチルピリジン(5.76)、3−メチルピリジン(6.76)、4−メチルピリジン(6.04)、2,6−ジメチルピリジン(6.90)等のピジン類;グアニジン(13.54)、ジフェニルグアニジン(10.1)等のグアニジン類;ピペラジン(9.71)等のピペラジン類;ピペリジン(11.1)等のピペリジン類;ピロリジン(11.2)等のピロリジン類;のような含窒素複素環化合物、エチレンジアミン(10.17)、ヘキシルアミン(10.63)などの脂肪族アミン化合物;などが挙げられる。中でも含窒素複素環化合物が特に好ましく、2−メチルイミダゾール(7.88)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(9.40)、4−ジメチルアミノピリジン(9.66)、モルホリン(8.49)のようなpKaが7以上の含窒素複素環化合物がとりわけ好ましい。
【0037】
含酸素有機化合物としては、ギ酸(3.55)、酢酸(4.56)、コハク酸(5.24)、アジピン酸(5.03)、マレイン酸(5.83)、クエン酸(5.66)、フマル酸(4.10)、マロン酸(5.28)、乳酸(3.66)、酪酸(4.63)、アクリル酸(4.26)、ピルビン酸(2.26)、酒石酸(3.96)、シュウ酸(3.82)等の脂肪族カルボン酸、o−ベンゼンジカルボン酸(4.93)、m−ベンゼンジカルボン酸(4.50)、p−ベンゼンジカルボン酸(4.46)、安息香酸(4.00)、サリチル酸(13.4)、ナフタレン−2−カルボン酸(4.16)、フェニル酢酸(4.10)等の芳香族カルボン酸等のカルボキシル基を有する化合物;などが挙げられ、ギ酸(3.55)、酢酸(4.56)、クエン酸(約5.66)などのpKaが7未満のカルボキシル基を有する化合物が特に好ましい。
含硫黄有機化合物としては、p−フェノールスルホン酸(8.66)などのスルホン酸基を有する化合物;チオフェノール(6.46)、チオグリコール酸(10.11)、2−メルカプトエタノール(9.40)、エタンチオール(10.61)などのチオール基を有する化合物;などが挙げられる。
【0038】
接触用有機化合物が液体であり、接触操作に支障がない場合は、特に溶媒に溶解せず、そのまま用いることも可能であるが、通常、任意の溶媒に溶解して用いる。
用いる溶媒は特に制限されず、未硬化又は半硬化の樹脂層が容易に溶解せず、接触用有機化合物が溶解するものを選択すれば良い。このような溶媒として、例えば、水;テトラヒドロフランなどのエーテル類、エタノールやイソプロパノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ類など極性溶媒、これらの混合物が挙げられ、特に水が好ましい。接触用有機化合物をこれらの溶剤に溶解して得られる溶液中の接触用有機化合物濃度は、特に制限されないが、本工程での操作性の観点から、通常0.001〜70重量%、好ましくは0.01〜50重量%、より好ましくは0.1〜20重量%である。
【0039】
接触用有機化合物と、未硬化又は半硬化の樹脂層表面とを接触させる方法は特に制限されない。具体例としては、接触用有機化合物を溶媒に溶かして溶液にした後、この溶液中に、樹脂層が形成された内層基板を浸漬するディップ法や、この溶液を樹脂層が形成された内層基板の成形体表面にスプレー等で塗布するスプレー法などにより、未硬化又は半硬化の樹脂層全面に、上述した有機化合物を接触させる方法(全面接触法)や、インクジェット法などによって半硬化又は未硬化の樹脂層に、次の工程Dで形成する導電体回路2のパターン通りに上述した有機化合物を接触させる方法(パターン接触法)が挙げられる。パターン接触法により有機化合物を接触させた場合、次の(工程C)で得られる電気絶縁層b上には、無電解めっき用のイニシエータパターンが形成される。
また、接触操作は、1回でも2回以上を繰り返し行ってもよい。
【0040】
接触用有機化合物又はその溶液の温度は、操作性、生産性、有機化合物や溶剤の沸点や融点などを考慮して任意に選択することができるが、通常10〜100℃、好ましくは15〜65℃で行う。接触時間は、接触に用いる有機化合物の種類や量やその溶液の濃度、生産性などに応じて任意に選択することができるが、通常0.1〜360分、好ましくは0.1〜60分である。
【0041】
接触用有機化合物を接触させた後、過剰な有機化合物を除去する目的で、▲1▼水又は有機溶剤で基板表面を洗浄する、▲2▼窒素などの不活性ガスを吹きかける、▲3▼オーブン中で乾燥するなどしてもよい。オーブン中での乾燥条件は、30〜180℃、好ましくは50〜150℃で1分間以上、好ましくは5〜120分間であり、導電体回路の酸化防止の観点から、窒素雰囲気下で乾燥するのが好ましい。
【0042】
(工程C)
上記(工程B)に続いて、未硬化又は半硬化の樹脂層を硬化して、電気絶縁層bを形成する。
未硬化又は半硬化の樹脂層の硬化は、通常、未硬化又は半硬化の樹脂層(を加熱することにより行う。加熱の方法は特に制限されず、例えば樹脂層が形成された内層基板を、所定の温度のオーブンに入れて、所定時間加熱する方法が挙げられる。硬化条件は、硬化方法や硬化剤の種類に応じて適宜選択されるが、硬化させるための温度は、通常30〜400℃、好ましくは70〜300℃、より好ましくは100〜200℃であり、硬化時間は、通常0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間である。
【0043】
通常、多層回路基板を形成する場合、導電体回路1と後に形成される導電体回路2とを接続するため、金属薄膜層を形成する前に、電気絶縁層bにビアホール形成用の開口を形成する。このビアホール形成用の開口をフォトリソグラフィによって形成する場合、樹脂層を硬化する前にパターンを形成するためのマスキングをして光硬化させた後、光により硬化されなかった部分を取り除き、次いで上述したような成形体の硬化を行う。
【0044】
ビアホール形成用の開口を電気絶縁層bに形成させる方法として、上述したフォトリソグラフィによる方法を採用しない場合は、通常、樹脂層を硬化させて電気絶縁層bを形成した後、次の工程(工程D)の前に、ドリル、レーザ、プラズマエッチング等の物理的処理等によりビアホール形成用の開口を形成する。電気絶縁層bの特性を低下させず、より微細なビアホールを形成することができるという観点から、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、UV−YAGレーザ等のレーザによる方法が好ましい。
従って、次の(工程D)に用いる電気絶縁層bは、通常ビアホール形成用の開口を有する。
【0045】
(工程D)
本発明においては、電気絶縁層bを形成した後、当該電気絶縁層b上に導電体回路2を形成する。導電体回路2を形成する方法に格別な制限はなく、例えば電気絶縁層b表面全体とビアホール形成用開口の内壁面とに、無電解めっき法、スパッタリング法、又は真空蒸着法等により金属薄膜層を形成し、次いでこの金属薄膜層を利用した電解めっきによって導電体回路2を形成する方法が挙げられる。この方法によって導電体回路2を形成する場合、密着性確保の観点から、(工程B)において、全面接触法に未硬化又は半硬化の樹脂層と有機化合物との接触させるのが好ましい。
【0046】
電気絶縁層b上に無電解めっきを施す場合、電気絶縁層bの表面に、銀、パラジウム、亜鉛、コバルトなどの触媒核を付着させるのが一般的である。
触媒核を電気絶縁層bに付着させる方法は特に制限されず、例えば、必要に応じて過マンガン酸カリウム水溶液や過マンガン酸ナトリウム水溶液などのアルカリ性水溶液を電気絶縁層bと接触させた後、硫酸ヒドロキシアミンと硫酸との混合液などの酸性水溶液により中和還元処理し、次いで銀、パラジウム、亜鉛、コバルトなどの金属やこれらの塩や錯体を、水又はアルコール若しくはクロロホルムなどの有機溶媒に0.001〜10重量%の濃度で溶解した液(必要に応じて酸、アルカリ、錯化剤、還元剤などを含有していてもよい)に浸漬した後、金属を還元する方法などが挙げられる。
特に、脂環式オレフィン重合体を含有する上述した硬化性組成物を用いて電気絶縁層bを形成すると、触媒吸着処理での粗化が高度に抑制され、電気絶縁層bは実質的に粗化されない(表面粗さRaは0.1nm以下である)。
【0047】
無電解めっき法に用いる無電解めっき液に格別な制限はなく、公知の自己触媒型の無電解めっき液を用いることができる。例えば、次亜リン酸アンモニウム又は次亜リン酸、水素化硼素アンモニウムやヒドラジン、ホルマリンなどを還元剤とする無電解銅めっき液、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−リンめっき液、ジメチルアミンボランを還元剤とする無電解ニッケル−ホウ素めっき液、無電解パラジウムめっき液、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解パラジウム−リンめっき液、無電解金めっき液、無電解銀めっき液、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−コバルト−リンめっき液等の無電解めっき液を用いることができる。また、これら無電解めっき浴にはめっき液の安定性、めっき析出の速度を制御する目的で、酒石酸やエチレンジアミン四酢酸、クエン酸、酢酸などの公知の錯化剤、ホウ酸などの緩衝剤、苛性ソーダなどのpH調整剤などが適宜使用されても良い。
【0048】
また、金属薄膜層を形成する方法としてスパッタリング法を採用する場合、密着性を向上させるために、あらかじめ電気絶縁層b表面をプラズマと接触させるプラズマ処理を行うのが好ましい。プラズマ処理に用いる不活性気体としては、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガス、窒素ガスなどが用いられる。中でも窒素ガスおよび/またはアルゴンガスが好ましい。プラズマを発生させる方法に格別な制限はなく、不活性気体をプラズマ発生装置内に導入し、プラズマを発生させればよい。
【0049】
プラズマ処理の方法に格別な制限はなく、電気絶縁層上に金属からなる導電体回路を形成する際、通常採用されているプラズマ処理装置を用いて行えばよい。プラズマ処理に要する時間は特に限定されず、通常1秒〜30分、好ましくは10秒〜10分である。プラズマ処理時のプラズマの周波数と出力、プラズマ発生のためのガス圧、処理温度に関しても格別な制限はなく、プラズマ処理装置で扱える範囲であれば良い。周波数は通常13.56MHz、出力は通常50W〜1000W、ガス圧は通常0.01Pa〜10Pa、温度は、通常20℃〜250℃、好ましくは20℃〜180℃である。出力が高すぎると、電気絶縁層表面に亀裂の入るおそれがある。また、ガス圧が高すぎると電気絶縁層表面の平坦性が低下する(表面粗さRaが0.1を超える)おそれがある。
【0050】
スパッタリングの方法に格別な制限はなく、直流2極スパッタリング、高周波スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、対向ターゲットスパッタリング、ECRスパッタリング、バイアススパッタリング、プラズマ制御型スパッタリング、マルチ・ターゲットスパッタリングなどを用いることができる。これらのうち、直流2極スパッタリング、又は高周波スパッタリングが好適である。スパッタリング処理時の出力、プラズマ発生のためのガス圧、処理温度に関しても格別な制限はなく、スパッタリング装置で扱える範囲であれば良い。出力は通常10W〜1000W、ガス圧は通常0.01Pa〜10Pa、温度は、通常20℃〜250℃、好ましくは20℃〜180℃である。また、成膜レートは0.1Å/秒〜1000Å/秒、好ましくは1Å/秒〜100Å/秒である。成膜レートが高すぎると、形成した金属膜に亀裂の入るおそれがある。また、ガス圧が高すぎると密着性が低下するおそれがある。
【0051】
このようなスパッタリング法で形成させる金属薄膜は1種類の金属により形成されても複数の金属により形成されても良く、また金属薄膜は、1層であっても2層以上が積層されたものであってもよい。金属薄膜を形成するための金属は、アルミニウム、鉄、タングステン、モリブデン、スズ、ニッケル、クロム、コバルト、チタン、銅、銀、金、白金など任意の金属でよいが、優れた密着性を得ることができる点で、好ましくは銅以外の金属、特に好ましくはニッケル、スズ、又はクロムの膜を1層目の金属薄膜層として、電気絶縁層の表面に形成するのが好ましい。更に、この1層目の金属薄膜層の上に、銅からなる2層目の金属薄膜層を形成するのが特に好ましい。
【0052】
金属薄膜層を形成した後、基板表面を防錆剤と接触させて防錆処理をすることもできる。
また、金属薄膜層を形成した後、密着性向上などのため、当該金属薄膜層を加熱することができる。加熱温度は、通常50〜350℃、好ましくは80〜250℃である。加熱は加圧条件下で実施しても良く、このときの圧力を加える方法として、例えば、熱プレス機、加圧加熱ロール機などを用いた、基板に対して物理的に圧力を加える方法が挙げられる。加える圧力は、通常0.1MPa〜20MPa、好ましくは0.5MPa〜10MPaである。この範囲であれば、金属薄膜と電気絶縁層2との高い密着性が確保できる。
【0053】
このようにして得た金属薄膜層の上に、例えば、常法に従って金属薄膜上にめっきレジストを形成させ、更にその上に電解めっき等の湿式めっきによりめっきを成長させ、次いで、めっきレジストを除去し、更にエッチングにより金属薄膜層をエッチングして導電体回路2を形成する。
【0054】
また、導電体回路2を形成する別の方法としては、電気絶縁層b上に、無電解めっきによりパターン状に金属めっきを施して導電体回路2を形成する方法が挙げられる。この方法を採用する場合、(工程B)において、未硬化又は半硬化の樹脂層と有機化合物との接触方法は、パターン接触法によるのが好ましい。
【0055】
(工程B)において、パターン接触法により有機化合物を接触させると、無電解めっき前の触媒核付着工程で、触媒核は、有機化合物接触によって形成されたイニシエータパターン状に選択的に付着するので、触媒核付着後に無電解めっきを施すとこの触媒核にそって金属が成長し、パターン状の導電体回路が得られる。
パターン状に導電体回路を形成した後、密着性を向上させるため、オーブンなどを用いて導電体回路を50〜350℃、好ましくは80〜250℃で、0.1〜10時間、好ましくは0.1〜5時間、加熱処理するのが好ましい。このとき、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で加熱するのが好ましい。更に必要に応じて、加熱時に、プレス板などで樹脂基材を加圧しても良い。
【0056】
このようにして得られた多層基板表面を、本発明における(工程A)における内層基板として用い、電気絶縁層と導電体回路とを積層することで、更なる多層化も可能である。
【0057】
こうして得られる本発明の多層回路基板は、コンピューターや携帯電話等の電子機器において、CPUやメモリなどの半導体素子、その他の実装部品を実装するためのプリント配線板として使用できる。特に、微細配線を有するものは高密度プリント配線基板として、高速コンピューターや、高周波領域で使用する携帯端末の配線基板として好適である。
【0058】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、実施例中、部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
【0059】
本実施例において行った評価方法は以下のとおりである。
(1)分子量(Mw、Mn)
トルエンを溶剤とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として測定した。
(2)水素化率及び(無水)マレイン酸残基含有率
水素添加前の重合体中の不飽和結合のモル数に対する水素添加率(水素添加添加率)及び重合体中の総モノマー単位数に対する(無水)マレイン酸残基のモル数の割合((無水)マレイン酸残基含有率)はH−NMRスペクトルにより測定した。
(3)ガラス移転温度(Tg)
示差走査熱量法(DSC法)により測定した。
(4)樹脂表面の粗さ
原子間力顕微鏡(Digital Instrument 製、Nanoscope 3a)にてSi単結晶短冊型カンチレバー(バネ定数=20N/m、長さ125μm)を使用し大気中タッピングモードで表面平均粗さRaを測定して評価した。
(5)めっきの密着性の評価
常態における90°引きはがし強さをJIS C 6481に規定の引きはがし強さ試験に準じて評価した。
【0060】
実施例1
8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エンを開環重合し、次いで水素添加反応を行い、数平均分子量(Mn)=31,200、重量平均分子量(Mw)=55,800、Tg=約140℃の水素化重合体を得た。得られたポリマーの水素化率は99%以上であった。
得られた重合体100部、無水マレイン酸40部及びジクミルパーオキシド5部をt−ブチルベンゼン250部に溶解し、140℃で6時間反応を行った。得られた反応生成物溶液を1000部のイソプロピルアルコール中に注ぎ、反応生成物を凝固させマレイン酸変性水素化重合体を得た。この変性水素化重合体を100℃で20時間真空乾燥した。この変性水素化重合体の分子量はMn=33,200、Mw=68,300でTgは170℃であった。(無水)マレイン酸残基含有率は25モル%であった。
【0061】
前記変性水素化重合体100部、ビスフェノールAビス(プロピレングリコールグリシジルエーテル)エーテル40部、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール5部及び1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール0.1部を、キシレン215部及びシクロペンタノン54部からなる混合溶剤に溶解させてワニスを得た。
当該ワニスを、ダイコーターを用いて、300mm角の厚さ40μmのポリエチレンナフタレートフィルム(キャリアフィルム)に塗工し、その後、窒素オーブン中、120℃で10分間乾燥し、樹脂厚み35μmのキャリアフィルム付きドライフィルムを得た。
【0062】
一方、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジンの0.1%イソプロピルアルコール溶液を調製し、この溶液に配線幅及び配線間距離が50μm、導体厚みが18μmで表面がマイクロエッチング処理された内層回路を形成された厚さ0.8mmの両面銅張り基板(ガラスフィラー及びハロゲン不含エポキシ樹脂を含有するワニスをガラスクロスに含浸させて得られたコア材)を25℃で1分間浸漬し、次いで90℃で15分間、窒素置換されたオーブン中で乾燥させてプライマー層を形成させて、内層基板を得た。
前述の内層基板上に、前述のキャリアフィルム付きドライフィルムを常温に戻した後、樹脂面が内側となるようにして両面銅張り基板両面に重ね合わせた。これを、一次プレスとして耐熱ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータを用いて、200Paに減圧して、温度110℃、圧力0.5MPaで60秒間加熱圧着した。次いで、二次プレスとして金属製プレス板で覆われた耐熱ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータを用いて、200Paに減圧して、温度140℃、1.0MPaで60秒間、加熱圧着して硬化性組成物成形体を積層させた。
【0063】
前述の硬化性組成物成形体を積層させた基板からポリエチレンナフタレートフィルムのみを剥がした。次いで第一の接触として、1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール(pKa=9.40)の1%水溶液に25℃で5分間揺動浸漬させ引き続き、5分間静置浸漬させた。次いで、第二の接触として酸性化合物である酢酸(pKa=4.56)の1%水溶液に1分間浸漬させ、さらに水洗を1分間行った後、エアーナイフにて余分な溶液を除去した。これを170℃の窒素オーブン中に60分間放置し、内層基板上に電気絶縁層を形成した。
得られた積層板の、絶縁層部分に、UV−YAGレーザ第3高調波を用いて直径30μmの層間接続のビアホールを形成しビアホールつき多層基板を得た。
【0064】
上述のビアホールつき多層基板を過マンガン酸濃度65g/リットル、水酸化ナトリウム濃度28g/リットルになるように調整した70℃の水溶液に10分間浸漬した。次いで、基板を水槽に1分間浸漬し、更に別の水槽に1分間浸漬することにより、基板を水洗した。続いて硫酸ヒドロキシルアミン濃度20g/リットル、硫酸50ml/リットルになるように調整した45℃の水溶液に、基板を5分間浸漬し、中和還元処理をした。
水洗後の多層基板をアクチベータMAT−1−A(上村工業株式会社製)が200ml/リットル、アクチベータMAT−1−B(上村工業株式会社製)が30ml/リットル、pHが11.0になるように水酸化ナトリウムで調整し、60℃のPd錯塩含有めっき触媒溶液に5分間浸漬した。次いで、上述と同じ方法で基板を水洗した後、MAB−4−A(上村工業株式会社製)が20ml/リットル、MAB−4−B(上村工業株式会社製)が200ml/リットルになるように調整した溶液に40℃で、5分間浸漬し、めっき触媒を還元処理した。このようにしてめっき触媒を吸着させた多層基板の最外絶縁層表面の粗さを評価したところ、Raは23nmであった。
【0065】
こうして得られた多層基板を、スルカップPEA−6−A(上村工業株式会社製)が100ml/リットル、スルカップPEA−6−B(上村工業株式会社製)が100ml/リットル、スルカップPEA−6−C(上村工業株式会社製)が14ml/リットル、スルカップPEA−6−D(上村工業株式会社製)が12ml/リットル、スルカップPEA−6−E(上村工業株式会社製)が50ml/リットル、37%ホルムアルデヒド水溶液5ml/リットルになるように調整した36℃の無電解めっき液に空気を吹き込みながら15分間浸漬して無電解めっき処理を行った。無電解めっき処理により金属薄膜層が形成された多層基板を更に上述と同様に水洗した。次いで、OPCディフェンサー(奥野製薬株式会社製)が1ml/リットルになるよう調整した防錆溶液に25℃、1分間浸漬し、更に上述と同じ方法で水洗した後、乾燥し、防錆処理を施した。無電解めっきの析出状態の評価を実施した。結果を表1に示す。
【0066】
この防錆処理が施された多層基板を、170℃で30分間加熱処理した。加熱処理後の多層基板表面に、市販の感光性レジストのドライフィルムを熱圧着して貼り付け、次いで、このドライフィルム上に密着性評価用パターンに対応するパターンのマスクを密着させ露光した後、現像してレジストパターンを得た。次に硫酸50ml/リットルの溶液に25℃で1分間浸漬させ防錆剤を除去し、レジスト非形成部分に電解銅めっきを施し厚さ18μmの電解銅めっき膜を形成させた。その後、基板上のレジストパターンを、剥離液を用いて除去し、塩化第二銅と塩酸混合溶液によりエッチング処理を行うことにより、前記金属薄膜及び電解銅めっき膜からなる配線パターン(導電体回路2)を形成し両面2層の配線パターン付き多層回路基板を得た。得られた多層回路基板のパターンが無い部分の絶縁層表面の粗さを評価したところRaは32nmであった。得られた多層回路基板のめっき密着性の評価を行ったところ、ピール強度は、0.35N/cmであった。
【0067】
実施例2
実施例1で得たドライフィルムを−15℃にて6ヶ月間保存した後、実施例1と同様の方法により出そう回路基板を形成し、めっき密着性を評価したところ、ピール強度は、製造直後のドライフィルムの63%(0.22N/cm)であった。
この結果から、未硬化又は半硬化の樹脂膜(完全硬化前の樹脂膜)表面に、pKaの差が1以上ある少なくとも2種類の有機化合物を接触させると、長期保存後の密着性の低下を抑制できることが判った。また、得られた電気絶縁層表面の表面粗さRaは0.1nm未満であり、粗化されていないことも確認された。
【0068】
比較例1
実施例3にて1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール水溶液で処理しない以外は実施例1と同様ににして多層回路基板を得た。得られた多層回路基板のパターンが無い部分の絶縁層表面の粗さを評価したところRaは21nmであった。基板上の導電体回路は、部分的に浮きや剥がれを生じており、密着性評価に供することはできなかった。

Claims (6)

  1. 最外層に導電体回路1が形成された内層基板上に、絶縁性重合体と硬化剤とを含有する硬化性組成物を用いて、未硬化又は半硬化の樹脂層を形成した(工程A)後、当該樹脂層表面に、最も高い酸解離定数の逆数の対数(pKa)と最も低い酸解離定数の逆数の対数(pKa)との差が1以上となるように選択された2種類以上の有機化合物を接触させ(工程B)、次いで当該成形体を硬化させて電気絶縁層bを形成し(工程C)、この電気絶縁層bの表面に導電体回路2を形成する(工程D)ことを特徴とする多層回路基板の製造方法。
  2. (工程B)において、最も高い酸解離定数の逆数の対数(pKa)を有する有機化合物が、酸解離定数の逆数の対数(pKa)が7以上の有機化合物であり、最も低い酸解離定数の逆数の対数(pKa)酸解離定数の逆数の対数(pKa)が7未満の有機化合物である請求項1記載の多層回路基板の製造方法。
  3. (工程B)で、未硬化又は半硬化の樹脂層表面に接触させる有機化合物が、含窒素有機化合物、含酸素有機化合物及び含硫黄有機化合物の中から選択された化合物である請求項1記載の多層回路基板の製造方法。
  4. (工程D)において、導電体回路2を形成する方法が、無電解めっき法又はスパッタリング法である請求項1記載の多層回路基板の製造方法。
  5. 絶縁性重合体が、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、トリアジン樹脂、脂環式オレフィン重合体、芳香族ポリエーテル重合体、ベンゾシクロブテン重合体、シアネートエステル重合体、液晶ポリマー及びポリイミドからなる群より選択されたものである請求項1記載の多層回路基板の製造方法。
  6. 請求項1記載の方法により製造された多層回路基板。
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