JP3861955B2 - ボックス架設具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボックスの背面側に取付けられて、架設部を介してボックスを鉄筋に架設するためのボックス架設具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記したボックス架設具の一つとして、特許第2559639 号公報に開示されているものが知られている。このボックス架設具は、金属バー材等から成る鉄筋への架設部と、金属薄板等から成るボックスへの取付部とを備えたものであって、ボックスへの取付けを容易ならしめるべく、前記取付部には、ボックス背面から挿入されて、該ボックス内において折り曲げられる突片を備えている。具体的には、ボックスの背面となる底壁に背面孔が設けられていて、前記架設具の取付部(取付板)に設けられた突片を前記背面孔に挿通して、該突片をボックス内で折り曲げることにより、架設具の取付部(取付板)と、ボックス内で折り曲げられた突片との間でボックスの底壁を挟持している。
【0003】
上記突片によれば、ボックスに対する架設具の取付けを容易に行えるが、該突片のボックス内への挿入が完全でなかったり、ボックス内に挿入された突片の折曲げを損じて、その折曲げ位置が、該突片の基端部ではなくて、これよりも先端であった場合には、架設具の取付部(取付板)と、突片の折曲げ部との間に隙間が生じて、架設具の取付部(取付板)に対してボックスが、がたついた状態で取付けられる場合が少なくない。そして、突片は、ある程度の剛性を有しているために、一度曲げ損じた突片を曲げ直すことは、極めて困難であり、従来は、曲げ損じた突片は、そのままにしていた。よって、取付部に突片を備えたボックス架設具によって、ボックスを鉄筋に固定しても、ボックス前面が型枠形成面(将来の内壁面となる面)に対して傾斜してしまい、コンクリートの打設時にボックス内にコンクリートが侵入する恐れがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、突片を利用してボックスに取付けられる構成のボックス架設具において、突片を曲げ損じても、これを曲げ直しすることなく、ボックスをがたつかせない安定した状態で取付可能にして、ボックス前面からのコンクリート侵入や、ボックスの傾斜埋設を防止することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するための請求項1の発明は、背面の中心を通る水平線及び垂直線の上に前記中心に対して左右及び上下に等間隔で振り分けられて、左右又は上下に形成された2個を一対一組とする計4個の背面孔が底壁に形成されたボックスを鉄筋に架設するためのボックス架設具であって、手で折り曲げ可能な一対の支持棒から成って、鉄筋に架設される架設部と、前記ボックスの底壁の背面に当接して、該ボックスに取付けられる取付部とを備え、前記取付部は、前記ボックスの背面孔に挿通され、ボックス内において折り曲げられて当該取付部をボックスの背面に取付けるために相対向して配置された一対の突片と、前記一対の突片を前記一対一組の背面孔にボックスの背面から挿通して、ボックス内で前記一対の突片を折り曲げて、ボックス架設具の取付部にボックスを取付ける際に、前記一対の突片を曲げ損じて、ボックス架設具の取付部に対してがたついた状態で取付けられた場合に、前記一対の突片が挿通された一対一組の背面孔とは別の一対一組の背面孔に、一対のビスをボックス内側から挿通し、当該一対のビスの先端部を強制的に螺入させることで、ボックス架設具の取付部をボックスの背面側に引き寄せて、ボックス架設具の取付部にボックスが密着し、かつ安定した状態で取付けるために相対向して配置された一対のビス螺入孔とを備え、前記一対の突片と前記一対のビス螺入孔とは、前記一対の突片を結ぶ線分と、前記一対のビス螺入孔を結ぶ線分が、前記ボックスの背面に左右又は上下に振り分けられた一対一組の背面孔の間隔と等しい長さを有し、かつ各線分の中点で十字状に交叉するように配置されていることを特徴としている。
【0006】
ボックス架設具の一対の突片を、ボックスに左右又は上下に形成された2個を一対一組とする計4個の背面孔のうち左右又は上下のいずれか一方の一対の背面孔に挿通して、ボックス内で前記一対の突片を折り曲げて、架設具の取付部にボックスを取付ける際に、前記一対の突片のいずれかを曲げ損じて、架設具の取付部に対してがたついた状態でボックスが取付けられる場合には、一対の前記突片が挿通された一対の背面孔とは別の一対の背面孔に一対のビスを挿通してボックス内を貫通させ、該一対のビスの先端部を、架設具の取付部に設けられた一対のビス螺入孔に螺入させて、架設具の取付部をボックスの背面側に引き寄せる。これにより、突片を曲げ損じた場合には、一対の突片と一対のビスとにより十字形の各先端の4箇所において、架設具の取付部にボックスが、密着しかつ安定した状態で取付けられる。
【0007】
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。図1は、本発明に係るボックス架設具A1 と、これに取付けられるボックスBとの斜視図であり、図2は、ボックス架設具A1 の正面図であり、図3は、図2のX−X線断面図であり、図4は、図2のY−Y線断面図であり、図5は、ボックスBの正面図である。図1及び図5において、本実施例のボックス架設具A1 が取付けられるボックスBは、その正面形状が正方形のものであって、その底壁21に4個の背面孔22a,22b が貫通して設けられている。この4個の背面孔22a,22b は、底壁2 1の中心C(対角線の交点)を通る水平線及び垂直線の上にそれぞれ設けられている。即ち、一対一組となった2個の背面孔22aは、前記中心に対して上下方向に等間隔に振り分けられ、残りの一対一組となった2個の背面孔22bは、前記中心に対して左右に等間隔に振り分けられ、上下及び左右に沿って相対向する一対一組となっている2個の背面孔のピッチPは、同一となっている。
【0009】
また、図1ないし図3、図9に示されるように、ボックス架設具A1 は、本体部を構成する取付板1と、該取付板1の上下の各端部に互いに平行となって固定される一対の支持棒2とで構成される。取付板1は、薄鋼板をプレス加工して形成されたもので、取付板1にボックスBを取付けた状態において、前記ボックスBの底壁21に設けられる4個のノックアウト孔23のうち、一方の対角線方向に沿った2個のノックアウト孔23との干渉が避けられるように、中心部に設けられた短円筒部3を境にして、その上半部及び下半部の各部分が点対称となった形状をしている(図2参照)。また、支持棒2は、手で折り曲げ可能な鉄線で構成されている。
【0010】
上記形状の取付板1は、長手方向(使用状態において上下方向)の中央部のみが、他の部分よりも幅広に形成されて、この中央部の幅広の部分には、前記短円筒部3を挟んで一対のビス螺入孔4が水平方向に沿って所定間隔をおいて貫通して設けられている。一対のビス螺入孔4のピッチPは、前記ボックスBの背面孔22a,22b のそれと同一であり、しかも、その中央に前記短円筒部3が位置している。また、取付板1の上下の各端部は、プレス加工時において同一側にカール成形させて、その間に前記支持棒2が挟持されている。そして、プレス成形によって、取付板1の上下端部がカール成形されて、そのカール成形部5に支持棒2が挟持された状態において、該カール成形部5の中央部がポンチ11によって、短円筒部3の側にかしめられることにより、支持棒2と、これを挟持しているカール成形部5とが、一体となってクランク状にわん曲成形されて、支持棒2とカール成形部5との双方にクランク部2a,5aが形成されている(図1及び図4参照)。この構造によって、取付板1に対する支持棒2の回動と、自身の長手方向に沿った摺動との双方が阻止されて、取付板1に対して支持棒2が一体に取付けられる。なお、図1及び図4において、6は、上記クランク部2a,5aを形成するために取付板1のカール成形部5に設けられた凹部を示す。
【0011】
また、取付板1には、上下方向に沿って所定間隔をおいて一対の突片7が短円筒部3と反対の側に向けて、取付板1に対してほぼ垂直に切り起こされている。この一対の突片7のピッチは、前記ボックスBの背面孔22a,22bのピッチPと同一であり、その中央に前記短円筒部3が位置している。取付板1における前記突片7が突出されている側の面は、ボックスBの背面に当接される平面状の当接面1aとなっている。なお、取付板1における短円筒部3の外周部には、環状リブ8が背面側に向けて突設されていると共に、取付板1における前記環状リブ8と、その上下端部のカール成形部5との間には、直線リブ9が同じく背面側に向けて突設されている。
【0012】
そして、上記したボックス架設具A1 を使用して、鉄筋RにボックスBを取付けるには、以下のようにして行う。まず、図6に示されるように、ボックスBの背面側にボックス架設具A1 を配置しておいて、これに設けられた一対の突片7をボックスBの上下方向に沿った一対一組の背面孔22aに挿通し、工具(図示せず)を使用して、ボックスB内において各突片7を外側に折り曲げる。突片7の折曲げ時において、同図に示されるように、該突片7におけるボックスBに挿通された部分の基端で折り曲げられずに、これよりも先端で折り曲げられると、ボックス架設具A1 の取付板1とボックスBの底壁21との間に隙間12が形成されて、取付板1に対してボックスBが、がたついた状態で取付けられる。
【0013】
このように、ボックスB内において、架設具A1 の突片7を曲げ損じた場合には、図7に示されるように、ボックスBの底壁21に設けられた残りの一対一組の2個の背面孔22bに、ボックスBの内側からビス13を挿通して、その先端部を、取付板1に設けられたビス螺入孔4に強制的に螺入させると、該取付板1に対してボックスBが相対的に引き寄せられて、同図に示されるように、該取付板1にボックスBが密着して取付けられる。前記ビス13は、先端部が先細りとなっていて、回転により下孔(背面孔22b)に自身で雌ねじを形成しながら、螺入される構造のものであって、最も一般的なものとして「タッピンネジ」が挙げられる。
【0014】
このように、架設具A1 の突片7を曲げ損じても、ボックスBを貫通したビス13を取付板1のビス螺入孔4に螺入して、ボックスBを取付板1の側に相対的に引き寄せることにより、突片7を曲げ直さなくても、架設具A1 の取付板1に対してボックスBを密着して取付けられる。なお、一対の突片7が適正に折り曲げられて、該突片7の折り曲げのみによって、架設具A1 の取付板1に対してボックスBが密着して取付けられた場合には、上記ビス13の使用は必要はない。また、架設具A1 の取付板1に設けられた一対のビス螺入孔4と、該取付板1に設けられた一対の突片7とは、いずれも互いに対となったものが相対向し、しかも互いに対となったものを結ぶ線分が直交状態で交叉して配置されているために、2本のビス13によって、架設具A1 の取付板1の側にボックスBを効果的に引き寄せて、固定できる利点がある。
【0015】
そして、図8及び図9に示されるように、上下の2本の支持棒2の両端部を手で折り曲げて、針金14を用いて、各支持棒2の両端の折曲げ部2bを横鉄筋Rに結束させ、この状態において、ボックスBの前面に型枠15を立設させると、折り曲げられた支持棒2の突張り力によって、ボックスBの開口面は、前記型枠15に密着する。上記したように、ボックスBは、ビス13により架設具A1 の取付板1の側に引き寄せられて、該取付板1に密着しているために、ボックスBの開口の全面が型枠15に密着する。このため、ボックスBの開口と型枠15との間に隙間がなくなって、コンクリートの打設時において、ボックスB内にコンクリートが侵入しなくなる。
【0016】
また、図10に示されるボックス架設具A2 は、上記架設具A1 とは逆に、その取付板1に一対のビス挿通孔10が設けられている。よって、突片7を曲げ損じた場合には、ボックスBの外部から前記ビス挿通孔10にビス13’を挿通して、その先端部をボックスBの背面孔22bに螺入させると、架設具A2 の取付板1の側にボックスBが引き寄せられて、該取付板1に密着される。
【0017】
更に、上記各ボックス架設具A1,A2 は、ボックスBを鉄筋Rに架設するための架設部(支持棒2)と、ボックスBの背面に当接して、これに取付けられる取付部(取付板1)とが別体となったものであり、取付板1のプレス加工時において、カール成形によって両者を一体化させている。しかし、図11に示されるボックス架設具A3 は、一枚の薄鋼板を打ち抜いて、取付板1’と、該取付板1’に一体に設けられた支持棒2’とを一体成形したものであり、プレスの打抜成形のみで全体が成形できる点に特徴を有する。この支持棒2’は、前記鉄線から成る支持棒2と同様に、手で折り曲げ可能である。なお、取付板1’には、一対のビス螺入孔4と、一対の突片7とが上記配置で設けられている。
【0018】
なお、上記各実施例では、ボックスBを鉄筋Rに架設するための架設部は、鉄線、或いは薄金属帯板から構成されていて、いずれも手で折り曲げ可能となっているが、本発明のボックス架設具においては、その架設部は、上記のように手で折り曲げ可能であることが望ましい。また、ボックス架設具の取付部(取付板1)に設けられるビス螺入孔4、或いはビス挿通孔10は、この取付板1のプレス加工時において、素材の位置決め、移動等のために必ず設けられるパイロット孔を利用することも可能である。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、背面の中心を通る水平線及び垂直線の上に前記中心に対して左右及び上下に等間隔で振り分けられて、左右又は上下に形成された2個を一対一組とする計4個の背面孔が形成されたボックスを鉄筋に架設するためのボックス架設具であって、取付部に設けられ前記突片と前記ビス螺入孔とは、いずれも相対向して配置された一対で構成され、しかも一対の突片を結ぶ線分と、一対のビス螺入孔を結ぶ線分とは、前記ボックスの背面に上下又は左右に振り分けられた2個の背面孔の間隔と等しい長さを有して、各線分の中点で十字状に交叉しているので、前記一対の突片のいずれかを曲げ損じて、架設具の取付部に対してがたついた状態でボックスが取付けられる場合には、一対の前記突片が挿通された一対の背面孔とは別の一対の背面孔に一対のビスを挿通してボックス内を貫通させ、該一対のビスの先端部を、架設具の取付部に設けられた一対のビス螺入孔に螺入させて、架設具の取付部をボックスの背面側に引き寄せる。
【0020】
これにより、突片を曲げ損じた場合には、一対の突片と一対のビスとにより十字形の各先端の4箇所において、架設具の取付部にボックスが、密着しかつ安定した状態で取付けられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るボックス架設具A1 と、これに取付けられるボックスBとの斜視図である。
【図2】 ボックス架設具A1 の正面図である。
【図3】 図2のX−X線断面図である。
【図4】 図2のY−Y線拡大断面図である。
【図5】 ボックスBの正面図である。
【図6】 突片7を曲げ損じて、取付板1に対してボックスBが、がたついた状態で取付けられた縦断面図である。
【図7】 ビス13により取付板1の側にボックスBが引き寄せられて、両者が密着した状態の縦断面図である。
【図8】 ボックス架設具A1 を介して横鉄筋RにボックスBが架設された状態の斜視図である。
【図9】 ボックス架設具A1 を介して横鉄筋Rに架設されたボックスBの前面に型枠15が立設された状態の縦断面図である。
【図10】 本発明に係る別のボックス架設具A2 の取付板1にビス13’によりボックスBが引き寄せられた状態の縦断面図である。
【図11】 本発明に係る更に別のボックス架設具A3 の斜視図である。
【符号の説明】
A1 〜A3 :ボックス架設具
B:ボックス
C:ボックスの中心
P:一対のビス挿通孔及び一対の突片のピッチ(ボックスの背面に上下及び左右に各一対設けられた背面孔のピッチ)
R:鉄筋
1,1’:取付板(取付部)
2,2’:支持棒(架設部)
4:ビス螺入孔
7:突片
10:ビス挿通孔
13,13’:ビス
21:ボックスの底壁
22a,22b :ボックスの背面孔
Claims (1)
- 背面の中心を通る水平線及び垂直線の上に前記中心に対して左右及び上下に等間隔で振り分けられて、左右又は上下に形成された2個を一対一組とする計4個の背面孔が底壁に形成されたボックスを鉄筋に架設するためのボックス架設具であって、
手で折り曲げ可能な一対の支持棒から成って、鉄筋に架設される架設部と、前記ボックスの底壁の背面に当接して、該ボックスに取付けられる取付部とを備え、
前記取付部は、
前記ボックスの背面孔に挿通され、ボックス内において折り曲げられて当該取付部をボックスの背面に取付けるために相対向して配置された一対の突片と、
前記一対の突片を前記一対一組の背面孔にボックスの背面から挿通して、ボックス内で前記一対の突片を折り曲げて、ボックス架設具の取付部にボックスを取付ける際に、前記一対の突片を曲げ損じて、ボックス架設具の取付部に対してがたついた状態で取付けられた場合に、前記一対の突片が挿通された一対一組の背面孔とは別の一対一組の背面孔に、一対のビスをボックス内側から挿通し、当該一対のビスの先端部を強制的に螺入させることで、ボックス架設具の取付部をボックスの背面側に引き寄せて、ボックス架設具の取付部にボックスが密着し、かつ安定した状態で取付けるために相対向して配置された一対のビス螺入孔と、
を備え、
前記一対の突片と前記一対のビス螺入孔とは、前記一対の突片を結ぶ線分と、前記一対のビス螺入孔を結ぶ線分が、前記ボックスの背面に左右又は上下に振り分けられた一対一組の背面孔の間隔と等しい長さを有し、かつ各線分の中点で十字状に交叉するように配置されていることを特徴とするボックス架設具。
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