JP4159857B2 - 配線用ボックス装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばコンクリート壁に埋設される配線用ボックス、同配線用ボックスに取り付けられるボックスカバーとより形成される配線用ボックス装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば建築物内のコンクリート壁面にコンセント等の配線器具を取り付けるために、コンクリート壁内に埋設される配線用ボックスと、その配線用ボックスに取り付けられるボックスカバーとよりなる配線用ボックス装置が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
前記配線用ボックスは、開口を有する有底四角箱状をなすボックス本体を備え、そのボックス本体は、底壁とその底壁の周縁に立設された側壁とより形成されている。また、同ボックス本体内には配線器具を収容可能に形成されている。前記ボックスカバーは略四角枠状をなすカバー本体を備え、そのカバー本体の上下に相対向する側辺部には、ボックスカバーに配線器具を取り付けるための固定ビスを螺着可能な固定部が、カバー本体内に突設するように形成されている。なお、前記固定部は上下に相対向するように形成され、その相対向する固定部間のピッチは、大きさが規格化された配線器具に対応して設定されている。
【0004】
また、カバー本体の裏面の周縁部には、同カバー本体のほぼ全周に亘って延びる外リブが形成され、前記外リブの内側には、同外リブに沿って一定間隔をおいて延びる内リブが形成されている。さらに、ボックスカバーとしては、前記外リブ及び内リブが形成されたものの他に、外リブのみが形成されたもの又は内リブのみが形成されたものがある。
【0005】
そして、上記配線用ボックスに対してボックスカバーをビスを使用して取付けることにより、配線用ボックス装置が形成される。さらに、その配線用ボックス装置をコンクリートに埋設し、そのボックスカバーに配線器具を取り付けることにより、配線用ボックス装置を使用して配線器具がコンクリート壁に取り付けられる。
【0006】
【特許文献1】
実開平1−123410号公報(第4頁〜第8頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来構成の配線用ボックス装置において、配線用ボックスは側壁の高さ、即ち深さが深くなると配線用ボックスの強度を維持するために側壁の厚みが厚くなるように、側壁の厚みはJIS規格(C8435)により設定されている。
【0008】
そのため、側壁の厚みと内リブと外リブとの間隔とが一致しない場合、例えば前記厚みが前記間隔より薄い場合は、側壁の開口側縁部の内周面及び外周面と内リブ及び外リブとの間に大きな隙間が形成されてしまう。その結果、コンクリート打設圧やコンクリート打設による外部衝撃が配線用ボックス装置に作用したとき、側壁及びボックスカバーの側辺部がボックス本体の内方へ湾曲してしまい、配線用ボックス及びボックスカバーが変形してしまうおそれがあるという問題があった。また、ボックスカバーの側辺部が変形すると、その相対向する固定部間のピッチが変化してしまい、固定部を使用してボックスカバーに配線器具を取り付ける作業に支障を来すという問題があった。
【0009】
外リブのみ又は内リブのみが形成されたボックスカバーが使用され、前記打設圧や外部衝撃等が配線用ボックス装置に作用したとき、外リブのみの構成では、ボックス本体の側壁が内方に湾曲変形してしまい、内リブのみの構成では、ボックスカバーの側辺部が内方に湾曲変形してしまう。即ち、配線用ボックス又はボックスカバーが変形してしまうおそれがあるという問題があった。
【0010】
また、外リブのみのボックスカバーが使用された場合に、上記のように側壁が変形し、配線用ボックス装置に前記打設圧や外部衝撃がさらに作用すると、その変形した側壁に対応するボックスカバーの側辺部も変形してしまう。その結果、内リブのみのボックスカバーが使用されたときも同様に、相対向する固定部間のピッチが変化してしまい、固定部を使用してボックスカバーに配線器具を取り付ける作業に支障を来すという問題があった。
【0011】
本発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、配線用ボックス及びボックスカバーの変形を防止することができるとともに、固定部間のピッチの変化を防止して配線器具の取付作業における不具合の発生を防止することができる配線用ボックス装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、開口を有する四角箱状をなすボックス本体を備えた配線用ボックスと、前記ボックス本体の開口側に取り付けられる四角枠状をなすカバー本体を備えたボックスカバーとより構成される配線用ボックス装置において、前記カバー本体の一方の相対向する一対の側辺部に、同カバー本体に配線器具を固定するための固定ビスを固定可能な固定部を設けるとともに、同カバー本体の他方の相対向する一対の側辺部で、他方の相対向する一対の側壁のうち一の側壁側及び他の側壁側に、ボックスカバーを配線用ボックスに固定するための係合溝を設け、前記固定部が形成された一方の相対向する一対の側辺部の裏面に、それら側辺部に沿って連続的又は断続的に延びる突部を形成し、前記ボックス本体の開口側の他方の相対向する一対の側壁で、前記他方の相対向する一対の側辺部のうち一の側辺部側及び他の側辺部側に、前記係合溝が係合可能な係合突起を設け、同ボックス本体の開口側の一方の相対向する一対の側壁の端面に、前記突部が嵌入可能な凹部をボックス本体の開口縁に沿って連続的又は断続的に延びるように形成し、ボックス本体で、前記他方の相対向する一対の側辺部のうち一の側辺部側の係合突起に対して、ボックスカバーで、前記他方の相対向する一対の側壁のうち一の側壁側の係合溝を係合し、その係合位置を回動中心としてボックスカバーを回動させ、前記突部は前記凹部に徐々に嵌入された後、ボックス本体で、前記他方の相対向する一対の側辺部のうち他の側辺部側の係合突起に、ボックスカバーで、前記他方の相対向する一対の側壁のうち他の側壁側の係合溝が係合させるように構成し、前記ボックスカバーの配線用ボックスに対する取付状態において、前記突部が凹部へ嵌入し、当該嵌入部分が形成された側壁を補強するように形成したことを要旨とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配線用ボックス装置において、前記ボックス本体は内部に収容する配線器具の個数が二個以上に設定され、カバー本体は枠内に固定される配線器具の個数が二個以上となるべく二対以上の固定部が形成されていることを要旨とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の配線用ボックス装置において、前記凹部の幅をボックス本体の側壁の厚みより短く形成し、側壁の開口側端面内に凹部を形成したことを要旨とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した配線用ボックス装置、同配線用ボックス装置を構成する配線用ボックス及びボックスカバーの一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
【0021】
図1に示すように、配線用ボックス装置11は、開口を有する箱状をなすボックス本体12を備えた配線用ボックス13と、前記ボックス本体12の開口側に取り付けられるボックスカバー14とより形成されている。
【0022】
まず、前記配線用ボックス13について説明すると、図1及び図2に示すように、合成樹脂材料製の前記ボックス本体12は四角板状をなす底壁15と、その底壁15の周縁に立設された側壁16とより、前面に開口を有する有底四角箱状に形成されている。配線用ボックス13はその開口の大きさにより複数のサイズに設定され、さらに、一つの開口の大きさにおいて側壁16の高さ、即ち配線用ボックス13の深さが複数種類に設定され、その深さに応じて側壁16の厚みがJIS規格(C8435)により設定されている。
【0023】
ボックス本体12の上下に相対向する一対の側壁16の内面において、ボックス本体12の開口側の左右両側部にはそれぞれボス部17が突設されている。各ボス部17にはそれぞれナット(図示せず)が埋設されているとともに、当該ナットにビス18を螺合可能とするビス孔17aが形成されている。
【0024】
ボックス本体12の一方の相対向する一対の側壁16としての、上下に相対向する側壁16におけるボックス本体12の開口側端面には、それぞれ凹部としての凹条20が凹設されている。各凹条20は、それぞれボックス本体12の開口縁に沿って連続的に延びるように凹設されている。
【0025】
ボックス本体12の他方の相対向する一対の側壁16としての、ボックス本体12の左右に相対向する一対の側壁16において、ボックス本体12の開口側外面の上下両側部にはそれぞれ係合突起19が係合手段として突設されている。この係合突起19は、ボックスカバー14を配線用ボックス13にワンタッチで固定するために設けられるものである。
【0026】
開口の大きさが同一で、深さが異なり、その深さに応じて側壁16の厚みがそれぞれ異なる複数種類の配線用ボックス13において、各凹条20の長さ方向に沿った長さ及び幅は同一に設定されている。また、各凹条20の幅は側壁16の厚みより短く形成され、ボックス本体12の開口側の側壁16の端面内に形成されている。
【0027】
底壁15の表面において、前記他方の左右に相対向する一対の側壁16側には、それぞれバー材挿通部21が形成されている。そして、図1に示すように、上下両側壁16の底壁15側の左右両側部には、それぞれ前記バー材挿通部21内にバー材22を挿通するための挿通孔21aが形成されている。
【0028】
図1及び図2に示すように、上下に相対向する側壁16の内面には仕切板係合溝16aが3箇所に間隔をおいて形成され、各仕切板係合溝16aはそれぞれボックス本体12の奥行き方向に延びるように形成されている。さらに、底壁15の表面には、上下一対の仕切板係合溝16aに繋がるように仕切板係合溝15aが3箇所に形成されている。そして、図6に示すように、仕切板係合溝15a,16aに仕切板37の側縁部が係合されることにより、ボックス本体12内が区画され、各区画内に配線器具33が収容されるように形成されている。本実施形態の配線用ボックス13には、4個の配線器具33が収容可能に設定されている。
【0029】
次に、前記ボックスカバー14について説明する。図1及び図3に示すように、ボックスカバー14は配線用ボックス13の開口を閉塞可能な大きさに形成され、同配線用ボックス13の開口の大きさに対応して複数種類が製造されている。
【0030】
合成樹脂材料製のボックスカバー14はほぼ長四角枠状をなすカバー本体23を備え、そのカバー本体23の中央部には配線器具(図示せず)をボックスカバー14から配線用ボックス13内へ収容するための取付孔24が形成されている。さらに、図1に示すように、カバー本体23の表面(前面)には、前記取付孔24から配線用ボックス13内に収容された配線器具をカバー本体23に取付るための取付縁部24aが取付孔24の開口縁部に沿って外方へ突設されている。
【0031】
図1及び図2に示すように、カバー本体23の一方の相対向する一対の側辺部として、上下に相対向する取付縁部24aの内面には、配線器具をカバー本体23の枠内に固定するための固定部Bがボックスカバー14内方に向けて突設されている。このカバー本体23には、上下に相対向する固定部Bが4対形成されている。各固定部Bは、カバー本体23の枠内に配線器具を固定するための固定ビス35を螺着可能に形成されている。即ち、図6に示すように、四角枠状をなす配線器具保持枠34の上下両部を貫通した固定ビス35が固定部Bに螺着されることにより、その配線器具保持枠34に保持された配線器具33がボックスカバー14に固定されるようになっている。
【0032】
また、図1及び図3に示すように、カバー本体23の四隅部には配線用ボックス13にボックスカバー14が取り付けられた状態で前記ビス孔17aにビス18を挿通可能とするビス挿通孔25が貫通形成されている。さらに、図3に示すように、カバー本体23の裏面(後面)には、カバー本体23の周縁部に沿って延びるリブ26が形成されている。
【0033】
カバー本体23の他方の相対向する一対の側辺部(図3では左右に相対向する側辺部)に位置するリブ26の内面には、それぞれ前記係合突起19が係合可能な一対の係合溝26aが係合手段として凹設されている。この係合溝26aは前記係合突起19との係合により、ボックスカバー14を配線用ボックス13にワンタッチで固定するために設けられるものである。
【0034】
前記上下に相対向する一対の側辺部の裏面には、その側辺部に沿って連続的に延びる突部としての突条27が形成され、各突条27は各固定部Bの位置に対応している。そして、前記固定部Bは、各突条27よりもカバー本体23の枠内側に位置するように形成されている。さらに、突条27の長さ方向への長さ及び幅は前記凹条20の長さ方向への長さ及び幅と対応している。
【0035】
そして、図5に示すように、配線用ボックス13にボックスカバー14が取り付けられた状態において、前記突条27はそれぞれ対応する前記凹条20に沿って嵌入されるようになっている。また、側壁16の高さ及び側壁16の厚みが異なるが、開口の大きさが同じに設定されたサイズの異なる配線用ボックス13において、各サイズの配線用ボックス13の凹条20に突条27が嵌入可能となるように突条27の長さ方向の長さ及び幅が設定されている。
【0036】
配線用ボックス13にボックスカバー14が取り付けられた状態において、配線用ボックス13とボックスカバー14により配線用ボックス装置11が形成される。そして、図1に示すように、配線用ボックス13のバー材挿通部21に挿通されたバー材22の両端部が建築物内に設置された鉄筋28にバインド線29により結束、固定されることにより、配線用ボックス13、即ち配線用ボックス装置11が鉄筋28に支持されるようになっている。
【0037】
さて、上記配線用ボックス13及びボックスカバー14よりなる配線用ボックス装置11を使用して配線器具33をコンクリート壁に設置する方法について作用とともに説明する。
【0038】
まず、図4に示すように、各挿通孔21aからバー材挿通部21にそれぞれバー材22を挿通する。続いて、一対のバー材22の両端部をそれぞれ鉄筋28方向へ折り曲げ、各バー材22の両端部を鉄筋28に沿ってバインド線29で結束し、鉄筋28に対して配線用ボックス13を支持させる。また、図5に示すように、仕切板係合溝15a,16aに仕切板37を係合して、配線用ボックス13内を4区画に区画する。
【0039】
続けて、図4に示すように、ボックス本体12の左部の係合突起19に対して、ボックスカバー14の左部の係合溝26aを係合し、さらに、その係合位置を回動中心としてボックスカバー14の右端側をボックス本体12へ向けて回動させる。このとき、一対の突条27は、それぞれ係合突起19と係合溝26aとの係合が形成される一対の側辺部に対して直交する別の側辺部に形成され、係合突起19と係合溝26aとの係合が形成された一対の側壁16に対して直交する一対の側壁16の凹条20に嵌入される。
【0040】
従って、図4に破線に示すように、突条27が嵌入されていく方向に沿って凹条20が延びているため、突条27は凹条20の斜め前方から同凹条20内へ徐々に嵌入されていく。すると、突条27はその左端側から右端側に沿って凹条20の左端側から右端側の内側に嵌入されていき、突条27の右端部を凹条20の右端部の内側へ嵌入するときに、突条27を凹条20方向へ強めに押圧する。そして、突条27全体が凹条20内に嵌入された後、ボックス本体12の右部の係合突起19にボックスカバー14の右部の係合溝26aが係合される。
【0041】
そして、ボックスカバー14を配線用ボックス13の開口側にワンタッチで固定すると同時に、図5に破線及び図6の拡大図に示すように、凹条20に沿って突条27を嵌入させて嵌入部分を形成する。さらに、図5に示すように、ビス18をビス挿通孔25からビス孔17aに挿通、螺合してボックスカバー14を配線用ボックス13に固定して配線用ボックス装置11を形成する。
【0042】
次いで、図6に示すように、ボックス本体12の側壁16に電線管30が接続され、その電線管30内にケーブル31が挿通される。次に、配線用ボックス13を挟むように一対の型枠(図示せず)が立設され、一対の型枠間にコンクリートが打設される。
【0043】
このとき、図6の拡大図に示すように、上下一対の突条27が、それぞれ配線用ボックス13の凹条20に嵌入され、突条27の外側面と凹条20の内側面とが密接している。そのため、カバー本体23における突条27が形成された上下一対の側辺部及びボックス本体12における凹条20が形成された一対の側壁16がそれぞれ互いの変形を防止すべく補強し合っている。また、各ビス挿通孔25にはビス18が挿通されているため、それらビス18により、カバー本体23の四隅部は補強されている。
【0044】
そのため、ボックスカバー14の上下両側辺部にコンクリート打設の際に発生する外部衝撃や打設圧が作用しても、その外部衝撃や打設圧が突条27の外側面から凹条20の内側面に作用し、側壁16に支持される。従って、上下の側辺部の変形が防止され、上下に相対向する固定部B間のピッチが、コンクリート打設前の前記ピッチと同一に維持される。加えて、突条27及び凹条20は、カバー本体23の側辺部に沿って連続して延びるように形成されている。そのため、突条27及び凹条20が断続的に形成されている場合のように、突条27及び凹条20の間欠部分の強度が低下することがなく、カバー本体23の側縁部の変形が効果的に防止される。
【0045】
さらに、上下に相対向する一対の側辺部が突条27及び凹条20により補強されているため、その補強された上下に相対向する側辺部に挟まれた左右に相対向する一対の側辺部も補強され、前記外部衝撃や打設圧によるボックスカバー14の変形が防止される。
【0046】
また、前記外部衝撃や打設圧が配線用ボックス13の上下側壁16に作用したとき、その外部衝撃や打設圧が突条27により支持され、上下一対の側壁16のボックス本体12内方への湾曲が防止される。また、その補強された上下一対の側壁16に挟まれた左右に相対向する一対の側壁16も補強され、前記外部衝撃や打設圧による全ての側壁16の変形が防止される。即ち、配線用ボックス13及びボックスカバー14がそれぞれ補強され、配線用ボックス装置11全体の変形が防止される。
【0047】
さらに、側壁16の厚み内に嵌入された突条27により、ボックス本体12の開口側端面とカバー本体23の裏面との間に隙間が形成されていないため、コンクリートが凹条20内を通過してボックス本体12内へ侵入することが防止される。加えて、突条27と凹条20との接触により配線用ボックス13に対するボックスカバー14の移動が防止される。
【0048】
そして、コンクリート硬化後に、型枠が除去されると、図6に示すように、コンクリート壁32が形成されるとともに、そのコンクリート壁32内に配線用ボックス13及びボックスカバー14よりなる配線用ボックス装置11が埋設される。最後に、配線器具33を保持した配線器具保持枠34の上下両端部から前記固定部Bに固定ビス35が螺着されて、配線用ボックス13に配線器具33が取り付けられるとともに、コンクリート壁32に配線器具33が設置される。
【0049】
このとき、前記突条27が凹条20に嵌入されていることにより、固定部B間のピッチは、コンクリート打設後も、一定に維持されている。そのため、配線器具保持枠34を貫通した固定ビス35の位置と固定部Bの位置とが対応し、固定部Bに対する固定ビス35の螺着作業が円滑に行われる。
【0050】
上記実施形態によれば、以下のような特徴を得ることができる。
(1)ボックスカバー14の突条27が凹条20に嵌入されるため、配線用ボックス装置11にコンクリート打設による外部衝撃や打設圧が作用しても、配線用ボックス13とボックスカバー14との協働により互いの変形を防止することができる。その結果、固定部Bが形成されたボックスカバー14の側辺部が配線用ボックス13内へ凹んだりする不具合の発生を防止することができる。従って、固定部B間のピッチを維持して、配線器具保持枠34を貫通した固定ビス35を固定部Bに螺着する作業を支障なく行うことができる。また、側壁16及びボックスカバー14の側辺部の変形が防止されるため、側壁16とボックスカバー14の側辺部との間に隙間が形成されることなく、コンクリートが配線用ボックス13内に侵入する不具合の発生が防止できる。
【0051】
(2)凹条20内、即ち側壁16内に突条27が嵌入されるため、カバー本体23の裏面と側壁16の端面との間を突条27により遮断してコンクリートがボックス本体12内へ入り込むのを防止することができる。
【0052】
(3)突条27は側壁16の厚み内に形成された凹条20内に嵌入されるため、突条27の外側面と凹条20の内側面との間には隙間が形成されず、ボックスカバー14が配線用ボックス13の開口側でがたつくといった不具合の発生を防止することができる。
【0053】
(4)突条27によりカバー本体23の相対向する一対の側辺部が補強されるため、その補強された上下一対の側辺部に挟まれた左右一対の側辺部も補強することができる。従って、カバー本体23の側辺部全体を補強してボックスカバー14全体の変形を防止することができる。
【0054】
(5)突条27の延びる方向に沿って固定部Bが形成されている。そのため、固定部Bに対応するカバー本体23の側辺部が変形するのを確実に防止することができ、固定部B間のピッチが変化する不具合の発生を確実に防止することができる。
【0055】
(6)係合突起19と係合溝26aとの係合により、凹条20内に突条27を嵌入させた状態でボックスカバー14を配線用ボックス13に固定することができる。そのため、ビス18によりボックスカバー14を配線用ボックス13にさらに固定する際、ボックスカバー14の移動を防止してその固定作業を速やかかつ容易に行うことができる。
【0056】
(7)ボックスカバー14が配線用ボックス13に固定される際、一対の突条27は、係合溝26aと係合突起19との係合が形成される一対の側壁16とは別の一対の側壁16の凹条20に嵌入される。そのため、突条27が、係合溝26aと係合突起19との係合が形成される一対の側壁16に形成された凹条20に嵌入され、突条27全体が凹条20内に一度に嵌入される場合と比較して、その嵌入時の抵抗を小さくすることができる。従って、嵌入作業を容易に行うことができる。また、突条27全体を凹条20内に嵌入させるときの抵抗を小さくするため、凹条20の幅を大きく形成する必要がなくなる。その結果、凹条20の幅を大きくすることによって、凹条20の内面と突条27の外面との間に隙間が形成され、ボックスカバー14がぐらついたり、隙間からコンクリートが侵入したりする不具合の発生を防止することができる。加えて、配線用ボックス装置11の上下両方における係合溝26aと係合突起19との係合を容易に行うことができ、ボックスカバー14を配線用ボックス13にワンタッチで固定する作業を容易に行うことができる。
【0057】
(8)突条27により、固定部Bが形成された側辺部の変形を防止することができる。従って、2個以上の配線器具33を取付可能に形成され、固定部Bが形成された側辺部が長ければ長く形成されたボックスカバー14において上記(1)の効果を効果的に発揮することができる。
【0058】
(9)一対の側壁16の長さ方向ほぼ全体に沿って連続的に突条27の凹条20への嵌入部分が形成される。そのため、側壁16の長さ方向に沿って断続的に嵌入部分が形成されている場合と比較して側壁16全体をより効果的に補強することができる。また、ボックス本体12内へのコンクリートの侵入を効果的に防止することができる。
【0059】
(10)凹条20の幅は側壁16の厚みより短く形成されているため、ボックス本体12の側壁16の外面に突出部を形成し、その突出部に凹条20を形成する場合と異なり、配線用ボックス13の材料の節約を図ることができる。
【0060】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ カバー本体23の係合溝26a及びボックス本体12の係合突起19を省略してビス18のビス孔17aへの螺合によりボックスカバー14を配線用ボックス13に取り付けてもよい。
【0061】
・ カバー本体23の係合溝26aを省略するとともに、側壁16に係合手段としての係合溝26aを凹設する。一方、ボックス本体12の係合突起19を省略し、カバー本体23に係合手段としての係合突起19を形成する。そして、係合突起19と係合溝26aとの係合によりボックスカバー14を配線用ボックス13に固定してもよい。このように構成した場合、ボックスカバー14を配線用ボックス13にワンタッチで取り付けることができ、配線用ボックス装置11を容易に形成することができる。
【0062】
・ ボックス本体12の開口側の側壁16外面又は内面に、同側壁16の長さ方向全体に沿って延びる突出部を形成し、その突出部に側壁16の長さ方向全体に沿って延びる凹条20又は間隔をおいて延びる凹条20を複数箇所に形成してもよい。前記突出部を一箇所又は複数箇所に形成し、その突出部に凹部を凹設して凹部を断続的に形成する。そして、ボックスカバー14に前記突出部の凹部に嵌入可能とする突部を断続的に形成してもよい。
【0063】
・ ボックス本体12の側壁16外面及び内面の少なくともいずれか一方に、同側壁16の長さ方向全体に沿って延びる突出部を形成し、側壁16から突出部に繋がる凹条20を形成し、凹条20の幅を側壁16の厚みより長く形成してもよい。
【0064】
・ ボックス本体12の側壁16の外面及び内面の少なくともいずれか一方に、一定又は不定間隔おきに突出部を形成し、側壁16からその突出部に繋がる凹部を凹設し、凹部の幅を側壁16の厚みより長く形成してもよい。
【0065】
・ 凹条20を側壁16の長さ方向に沿って断続的に形成し、その凹条20に突条27が嵌入可能となるように、ボックスカバー14に突条27を断続的に形成してもよい。
【0066】
・ 実施形態では、カバー本体23に4対の固定部Bを形成し、ボックスカバー14に4個の配線器具33を取付可能に形成したが、カバー本体23に一対、二対、三対又は五対以上の固定部Bを形成し、ボックスカバー14に一個、二個、三個、又は五個以上の配線器具33を取付可能に形成してもよい。そして、ボックスカバー14に取り付けられる配線器具33の個数に対応させて配線用ボックス13に収容される配線器具33の個数を変更してもよい。
【0067】
・ 実施形態では、カバー本体23の左右に相対向する一対の側辺部側に係合溝26aを形成し、ボックス本体12の左右に相対向する一対の側壁16に係合突起19を形成したが、以下のように変更してもよい。即ち、カバー本体23の上下に相対向する一対の側辺部側に係合溝26aを形成し、ボックス本体12の上下に相対向する側壁16に係合突起19を形成してもよい。
【0068】
・ 突条27を、固定部Bの幅方向への長さと同じ長さに形成して、突条27を固定部Bに対応する位置のみに形成してもよい。又は、隣接する固定部B同士の間となるカバー本体23の側辺部に突条27を形成し、固定部Bに突条27が対応していなくてもよい。
【0069】
・ 実施形態では、コンクリート壁32に配線用ボックス装置11を埋設したが、バー材22をH型鋼やC型鋼間に架設された支持体としての支持棒に取り付けて配線用ボックス13をその支持棒に支持させ、軽量間仕切り壁に配線用ボックス装置11を設置し、コンクリート壁32に埋設しなくてもよい。
【0070】
・ 係合突起19と係合溝26aとの係合のみでボックスカバー14を配線用ボックス13に取り付けてもよく、ビス18によるボックスカバー14の配線用ボックス13への固定作業を省略してもよい。
【0071】
・ なお、本発明の実施形態ではないが、本発明に関連する形態として以下のような構成のものが挙げられる。ボックスカバー14において、相対向する長辺側の上下一対の側辺部に固定部Bを形成し、その固定部Bが形成された側辺部の裏面に突条27を形成する。ボックスカバー14を配線用ボックス13に取り付けたとき、前記突条27はボックス本体12の相対向する側壁16の内側に挿入される。また、ボックスカバー14の短辺側の左右一対の側辺部には前記係合溝26aが形成されている。一方、配線用ボックス13には、凹条20が形成されておらず、左右一対の短辺側の側壁16に前記係合突起19が形成されている。そして、係合突起19と係合溝26aとを係合させてボックスカバー14を配線用ボックス13に固定したとき、ボックスカバー14の突条27が、ボックス本体12の長辺側の側壁16の内側に挿入される。
【0072】
次に上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(1)細長四角枠状をなすカバー本体を備え、当該カバー本体の長辺側の相対向する一対の側辺部に、同カバー本体に配線器具を固定するための固定ビスを固定可能な固定部が設けられているとともに、前記固定部が形成された長辺側の相対向する一対の側辺部の裏面に、それら側辺部に沿って連続的に延びる突部が形成されたボックスカバーと、開口を有する細長四角箱状をなすボックス本体を備え、当該ボックス本体の長辺側の相対向する一対の側壁の内側に、前記突部が挿入可能に形成された配線用ボックスとより形成され、前記カバー本体の短辺側の相対向する一対の側辺部と、前記ボックス本体の短辺側の相対向する一対の側壁に、ボックスカバーを配線用ボックスに固定するための係合手段を設けたことを特徴とする配線用ボックス装置。このように構成した場合、突部の外面と側壁の内面とは密接するため、突部と側壁とが互いに補強しあい、コンクリート打設圧や外部衝撃による側壁の変形を防止することができる。また、コンクリートがボックス本体内へ入り込むのを防止することができる。加えて、係合手段により、ボックスカバーを配線用ボックスに容易に固定することができる。
【0073】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1に記載の配線用ボックス装置によれば、配線用ボックス及びボックスカバーの変形を防止することができるとともに、固定部間のピッチの変化を防止して配線器具の取付作業における不具合の発生を防止することができる。また、係合突起と係合溝の係合によりボックスカバーを配線用ボックスに固定する際に、突部を凹部に嵌入させるときの抵抗をより小さくすることができ、嵌入作業を容易に行うことができる。
【0074】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、ボックスカバーの固定部が形成された側辺部の変形を効果的に防止することができ、固定部間のピッチを維持して、当該固定部間のピッチの変化により配線器具の取付作業における不具合の発生を防止することができる。
【0075】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、例えばボックス本体の側壁の外面に突出部を形成し、その突出部に凹部を形成する場合と異なり、配線用ボックスの材料の節約を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の配線用ボックス装置を示す分解斜視図。
【図2】実施形態の配線用ボックスを示す正面図。
【図3】実施形態のボックスカバーを示す裏面図。
【図4】配線用ボックスにボックスカバーを取り付ける状態を示す平面図。
【図5】配線用ボックス装置を示す正面図。
【図6】配線用ボックス装置に配線器具を取り付けた状態を示す側断面図。
【符号の説明】
B…固定部、11…配線用ボックス装置、12…ボックス本体、13…配線用ボックス、14…ボックスカバー、16…側壁、19…係合手段としての係合突起、20…凹部としての凹条、23…カバー本体、26a…係合手段としての係合溝、27…突部としての突条、33…配線器具、35…固定ビス。

Claims (3)

  1. 開口を有する四角箱状をなすボックス本体を備えた配線用ボックスと、前記ボックス本体の開口側に取り付けられる四角枠状をなすカバー本体を備えたボックスカバーとより構成される配線用ボックス装置において、
    前記カバー本体の一方の相対向する一対の側辺部に、同カバー本体に配線器具を固定するための固定ビスを固定可能な固定部を設けるとともに、同カバー本体の他方の相対向する一対の側辺部で、他方の相対向する一対の側壁のうち一の側壁側及び他の側壁側に、ボックスカバーを配線用ボックスに固定するための係合溝を設け、前記固定部が形成された一方の相対向する一対の側辺部の裏面に、それら側辺部に沿って連続的又は断続的に延びる突部を形成し、
    前記ボックス本体の開口側の他方の相対向する一対の側壁で、前記他方の相対向する一対の側辺部のうち一の側辺部側及び他の側辺部側に、前記係合溝が係合可能な係合突起を設け、同ボックス本体の開口側の一方の相対向する一対の側壁の端面に、前記突部が嵌入可能な凹部をボックス本体の開口縁に沿って連続的又は断続的に延びるように形成し、
    ボックス本体で、前記他方の相対向する一対の側辺部のうち一の側辺部側の係合突起に対して、ボックスカバーで、前記他方の相対向する一対の側壁のうち一の側壁側の係合溝を係合し、その係合位置を回動中心としてボックスカバーを回動させ、前記突部は前記凹部に徐々に嵌入された後、
    ボックス本体で、前記他方の相対向する一対の側辺部のうち他の側辺部側の係合突起に、ボックスカバーで、前記他方の相対向する一対の側壁のうち他の側壁側の係合溝が係合させるように構成し、
    前記ボックスカバーの配線用ボックスに対する取付状態において、前記突部が凹部へ嵌入し、当該嵌入部分が形成された側壁を補強するように形成したことを特徴とする配線用ボックス装置。
  2. 前記ボックス本体は内部に収容する配線器具の個数が二個以上に設定され、カバー本体は枠内に固定される配線器具の個数が二個以上となるべく二対以上の固定部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の配線用ボックス装置。
  3. 前記凹部の幅をボックス本体の側壁の厚みより短く形成し、側壁の開口側端面内に凹部を形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配線用ボックス装置
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