JP3824892B2 - コンクリート埋設物装置、配線用ボックス及びバー材 - Google Patents

コンクリート埋設物装置、配線用ボックス及びバー材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物内のコンクリート壁の支骨をなす鉄筋に配線用ボックスを支持、固定した状態で同配線用ボックスをコンクリート壁に埋設するために形成されるコンクリート埋設物装置、配線用ボックス及びバー材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、建築物内のコンクリート壁面にコンセント等の配線器具を取り付けるために、コンクリート壁にはコンクリート埋設物装置が埋設されている。このコンクリート埋設物装置は、前面に開口を有する有底四角箱状に形成されたコンクリート埋設物としての配線用ボックスと、同配線用ボックスをコンクリート壁の支骨をなす鉄筋に支持させる金属棒製のバー材とより構成されている。
【0003】
前記バー材は断面円形状をなし、手により三次元方向に自在に曲げ変形可能であるとともに、所要の突っ張り強度を有している。そして、バー材を配線用ボックスに取り付けた後、そのバー材の両端側をそれぞれ鉄筋側へ折り曲げ、同鉄筋に固定することにより、配線用ボックスを鉄筋に対して所望する位置に支持することができる。
【0004】
また、鉄筋に対する配線用ボックスの支持状態において、コンクリート壁形成用の型枠を配線用ボックスの開口側端面に押し当てるようにして立設すると、バー材の突っ張り強度により配線用ボックスが型枠面に対して押圧される。そのため、配線用ボックスの開口側端面が型枠面に密接して型枠間へのコンクリート打設時における配線用ボックスの開口から内部へのコンクリートの侵入が防止される。さらに、配線用ボックスは前記バー材によって鉄筋に支持されることにより、コンクリート打設時に、そのコンクリートの打設圧による傾きや位置ずれが防止されるようになっている。
【0005】
配線用ボックスを型枠に密接させ、打設圧による傾きや位置ずれを防止するために、バー材は周方向へ回転せず、かつ容易に外れないように配線用ボックスに取り付けられている。上記のようにバー材を配線用ボックスに取り付けるには種々の方法が提案されている。第1の方法は、配線用ボックスとは別体の板材に対して一対のバー材の中央部を溶接又はかしめ固定して形成された取付体を、当該配線用ボックスの底壁の裏面にビス締め等により固定するものである。第2の方法は、配線用ボックスの周壁を切り起こして形成された一対の突片間にバー材を挿通し、前記突片をかしめて配線用ボックスにバー材を固定するものである。第3の方法は、配線用ボックスの側壁に形成された凹部にバー材を嵌め込み、そのバー材を固定ビスの頭部と側壁とで挟持するように同固定ビスを側壁にねじ込んで固定するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記第1〜第3のいずれの方法においても、バー材の周方向への回転が防止され、かつ配線用ボックスからの抜脱が防止された状態にバー材を配線用ボックスに取り付けるには複数の作業工程を必要とした。しかも、その作業工程の中には溶接、かしめ又はビス締め作業といった煩雑な工程が含まれていた。その結果、施工現場において多量の配線用ボックスそれぞれに対してバー材を取り付ける作業を行うのは非常に面倒であるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、コンクリート埋設物に対してバー材をその周方向への回転及び同コンクリート埋設物からの抜脱を防止した状態に取り付けることができるとともに、その取付作業を容易に行うことができるコンクリート埋設物装置、配線用ボックス及びバー材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、手により三次元方向に折り曲げ可能なバー材と、前記バー材を取付可能なバー材取付部を備えたコンクリート埋設物とよりなり、前記バー材をバー材取付部に取り付け、コンクリート埋設物から突出したバー材の両端側をコンクリート構築物の支骨をなす鉄筋に固定することにより、当該鉄筋にコンクリート埋設物を支持させるとともに、バー材の突っ張り強度によりコンクリート構築物形成のために立設された型枠に対してコンクリート埋設物を押圧させるように構成したコンクリート埋設物装置であって、前記バー材は、同バー材を軸方向に沿って凹凸状に折り曲げて形成された屈曲部を備え、前記バー材取付部は、前記コンクリート埋設物の外面に外方に開口して前記屈曲部が当該開口から挿入される挿入部を備えてなり、屈曲部を挿入部に挿入してバー材をバー材取付部に取り付け、当該挿入部に挿入された屈曲部の外面が挿入部内面と当接することによりバー材の周方向への回転を防止可能に形成するとともに、前記屈曲部の挿入部への挿入により、バー材とコンクリート埋設物との間に、互いに係合して挿入部からの屈曲部の抜脱を防止する抜脱防止手段を形成したことを要旨とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載のコンクリート埋設物装置において、前記挿入部と屈曲部との間に形成される係合関係により前記抜脱防止手段を形成したことを要旨とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項に記載のコンクリート埋設物装置において、前記屈曲部と、挿入部内に形成された突部との係合により前記抜脱防止手段を形成したことを要旨とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載のコンクリート埋設物装置において、前記コンクリート埋設物を開口を有する有底多角箱状をなし、内部に配線器具を取付可能に形成された配線用ボックスとし、前記挿入部は配線用ボックスの隣接するコーナ部に設けられ、その隣接する挿入部に1本のバー材の屈曲部が挿入されるべくバー材に屈曲部を2箇所に形成したことを要旨とする。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項に記載のコンクリート埋設物装置において、前記挿入部を配線用ボックスの底壁側に設けたことを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載のコンクリート埋設物装置において、前記バー材を同バー材の軸方向に沿ってコ字状に折り曲げて屈曲部を形成したことを要旨とする。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載のコンクリート埋設物装置において、前記バー材がバー材取付部に取り付けられた状態において、コンクリート埋設物から突出するバー材の両端側の突出長さが略同一となるべくバー材の長さ方向における屈曲部の位置を設定したことを要旨とする。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載のコンクリート埋設物装置において、前記バー材の両端側が同バー材の中央部に対して45度をなすべく屈曲部より先端側を折り曲げて形成したことを要旨とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、手により三次元方向に折り曲げ可能なバー材を取付可能とするバー材取付部を備え、同バー材取付部に取り付けられたバー材の両端側をコンクリート構築物の支骨をなす鉄筋に固定することにより当該鉄筋に支持されるとともに、バー材の突っ張り強度によりコンクリート構築物形成用のために立設された型枠に対して押圧されるコンクリート埋設物であって、前記コンクリート埋設物を開口を有する有底多角箱状をなし、内部に配線器具を取付可能に形成された配線用ボックスとし、前記バー材取付部は、前記コンクリート埋設物の外面に外方に開口するとともに前記バー材を軸方向に沿って凹凸状に折り曲げて形成された屈曲部が当該開口から挿入される挿入部を備え、前記屈曲部が挿入部に挿入されてバー材がバー材取付部に取り付けられた際、当該挿入部に挿入された屈曲部の外面が挿入部内面と当接することによりバー材の周方向への回転を防止可能に形成するとともに、前記屈曲部の挿入部への挿入により、バー材との間で互いに係合して挿入部からの屈曲部の抜脱を防止する抜脱防止手段を備えていることを要旨とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化したコンクリート埋設物装置、配線用ボックス及びバー材の一実施形態を図1〜図8に従って説明する。
【0020】
図1に示すように、コンクリート埋設物装置10は、手により三次元方向に折り曲げ可能な一対のバー材11と、前記各バー材11をそれぞれ取付可能なバー材取付部12を相対向する左右両側に備えたコンクリート埋設物としての配線用ボックス13とよりなるものである。そして、コンクリート埋設物装置10は前記各バー材11がそれぞれバー材取付部12に取り付けられた状態でバー材11の周方向への回転が防止され、バー材取付部12からの抜脱が防止されるように形成されている。
【0021】
まず、前記配線用ボックス13について説明すると、図1及び図2に示すように、合成樹脂材料製の配線用ボックス13は正面正方形状をなす底壁14とその底壁14の周縁に立設された側壁15とより、前面に開口を有する有底四角箱状に形成されたボックス本体16よりなるものである。上下両側壁15の内面にはそれぞれ配線器具、配線器具保持枠又はボックスカバー(いずれも図示せず)を取り付けるための取付孔17が設けられている。また、各側壁15にはそれぞれ配線、配管を挿通可能とするノック18が2箇所ずつ形成されている(図1では上側壁15と左側壁15のノック18のみ図示)。
【0022】
ボックス本体16の左右両側にはそれぞれ前記バー材取付部12が形成されている。バー材取付部12について具体的に説明すると、図2に破線及び図4に示すように、左右各側壁15の底壁14側外面にはそれぞれ側壁15の長さ方向に沿って延びる取付溝19がボックス本体16内方へ凹設されている。図2に破線に示すように、各取付溝19の両端側はそれぞれ取付溝19の中央部側よりもボックス本体16内方へ深く凹設され、その深く凹設された部分に挿入部としての挿入溝19aが形成されている。各挿入溝19aはそれぞれボックス本体16の各コーナ部を形成する隣接した側壁15に跨るように形成され、左右各側壁15の上下両部に形成されている。
【0023】
図4に示すように、この挿入溝19aを含めた取付溝19の幅方向への長さは前記バー材11の直径方向への長さと略同一に形成されている。また、図2に破線に示すように、各挿入溝19aはそれぞれ奥方から開口側に向かうに従い取付溝19の延びる方向に沿って幅広となるように形成されている。図1、図3及び図4に示すように、上下各側壁15の外面において、底壁14側の左右両部には、それぞれ取付溝19を横断する支持部20が形成されている。その支持部20にはバー材取付部12に取り付けられたバー材11が係合可能な係合凹部20aが形成されている。
【0024】
図5に示すように、底壁14の左右各側壁15側の上下両部において、前記各挿入溝19aに対応する位置には、それぞれ底壁14の左右各外端縁からボックス本体16内方へ延びる一対の切り欠き溝21が形成されている。その切り欠き溝21の間に固定片22が形成され、それら各固定片22は弾性変形可能に形成されている。図3及び図4に示すように、各固定片22には抜脱防止手段を形成する突部としての固定突条22aが取付溝19の延びる方向に沿って挿入溝19a内へ突設されている。各固定突条22aはそれぞれ挿入溝19aの内側から外側に向かうに連れて底壁14側へ傾斜するように形成されている。
【0025】
次いで、前記バー材11について説明すると、図1及び図2に示すように、バー材11は断面円形状をなす金属棒により形成されている。バー材11の中央部には、同バー材11を軸方向に沿って凹凸状、即ちコ字状となるように折り曲げることにより形成された屈曲部11aが間隔をおいて2箇所に形成されている。各屈曲部11aはそれぞれ突出する方向に向かうに連れて幅狭となるように折り曲げられている。また、バー材11において、各屈曲部11aより先端側はそれぞれバー材11の中央部の延びる方向に対して45度(又は135度)をなす状態で屈曲部11aの突出する方向とは反対方向へ延びるように折り曲げられている。
【0026】
図2に破線に示すように、一対の屈曲部11aはそれぞれ各側壁15の各挿入溝19aに挿入可能に形成されている。左右各側壁15において、バー材11の両屈曲部11aがそれぞれ隣接する挿入溝19aに挿入されることにより、各バー材11をバー材取付部12に取付可能に形成されている。また、バー材取付部12にバー材11が取り付けられることによりボックス本体16からバー材11の両端部が突出する。そして、図8に示すように、このバー材11の両端部がそれぞれコンクリート構築物としてのコンクリート壁の支骨をなす鉄筋24にバインド線25等により結束、固定されることにより、バー材11が鉄筋24に支持されるようになっている。
【0027】
鉄筋24に対するバー材11の架設により、鉄筋24に対して配線用ボックス13を支持させることができるとともに、配線用ボックス13とバー材11とよりなるコンクリート埋設物装置10が鉄筋24に設置される。
【0028】
次に、上記構成のコンクリート埋設物装置10の使用方法を作用とともに説明する。
まず、図2に示すように、一対のバー材11の一対の屈曲部11aをそれぞれ左右各側壁15の一対の挿入溝19a内に挿入する。このとき、各屈曲部11aはそれぞれ突出する方向に向かうに連れて幅狭に形成され、挿入溝19aは奥方から開口側へ向かうに連れて幅広に形成されているため、挿入溝19a内への挿入作業が円滑に行われる。さらに、屈曲部11aを挿入溝19a内奥方へ挿入すると、屈曲部11aが固定突条22aに当接するが、固定片22が外方へ弾性変形するため屈曲部11aは固定突条22aを乗り越える。
【0029】
そして、屈曲部11aが固定突条22aを乗り越えると、固定片22は自身の弾性変形により元の状態に復帰する。固定片22が復帰すると、図6に示すように、固定突条22aが屈曲部11aの凹状をなす部分に沿って係合する。即ち、図7に破線に示すように、挿入溝19a内において、屈曲部11aよりも挿入溝19aの開口側に固定突条22aが位置する。
【0030】
それと同時に、図5に破線に示すように、バー材11の中央部は取付溝19内に挿入され、図7に示すように、屈曲部11aより先端側は係合凹部20aに係合して、バー材11のボックス本体16内方へのそれ以上の入り込みが規制される。そして、バー材11がバー材取付部12に取り付けられて、バー材11が配線用ボックス13に取り付けられる。このとき、図1に示すように、各バー材11の各屈曲部11aより先端側はそれぞれ上下各側壁15からボックス本体16の外方へ突出し、その両突出長さが略同一となる。
【0031】
図6に示すように、前記屈曲部11aと固定突条22aとの係合状態において、バー材11と配線用ボックス13、即ちバー材11とバー材取付部12との間には、一対の屈曲部11aの対応する挿入溝19aからの抜脱を防止してバー材11のバー材取付部12から抜脱を防止する抜脱防止手段が形成される。また、挿入溝19aを形成する相対向する内面が、屈曲部11aのコ字状をなす相対向する両外面に当接、即ち圧接して屈曲部11aは挿入溝19a内に挟持され、屈曲部11aの挿入溝19a内での回転が防止可能となる。
【0032】
続いて、バー材11の両端部をそれぞれ上下各側壁15から突出する位置から鉄筋24方向へ折り曲げ、図1に示すように、バー材11の両端部を鉄筋24に沿ってバインド線25で結束する。このとき、バー材11の両突出部はそれぞれ同バー材11の中央部の延びる方向に対して45度(又は135度)となるように外方へ折り曲げられているため、バー材11の各端部を鉄筋24に取り付ける作業が容易に行われる。
【0033】
続いて、図8に示すように、配線用ボックス13を挟むように一対の型枠23を立設し、一方の型枠23を配線用ボックス13の開口側端面に当接させ、さらに、その型枠23により配線用ボックス13を鉄筋24方向へ押圧する。すると、バー材11は鉄筋24までの間隔が短くなる方向に力が加わって撓み変形し、配線用ボックス13は鉄筋24方向へ後退するとともに、バー材11の弾性力により配線用ボックス13は型枠23方向へ押圧される。その結果、型枠23に対して配線用ボックス13の開口側端面が密接される。このとき、屈曲部11aは挿入溝19a内面に当接しているとともに、挿入溝19a内に挟持されているため、前記押圧によりバー材11が周方向へ回転するのが防止され、配線用ボックス13の型枠23への密接状態が維持される。
【0034】
続いて、一対の型枠23間にコンクリートを打設すると、その打設圧がバー材11や配線用ボックス13に作用する。このときも、挿入溝19a内面と屈曲部11aとの当接によりバー材11の周方向への回転が防止される。加えて、各屈曲部11aの径方向に延びる外面が挿入溝19aの幅方向に沿った内面及び支持部20に当接するため、バー材11の軸方向への移動が規制される。
【0035】
また、屈曲部11aと固定突条22aとの係合によりバー材11がバー材取付部12から外れることなく配線用ボックス13の位置ずれや傾きが防止され、配線用ボックス13の開口側端面の型枠23に対する密接状態が維持される。そのため、コンクリートが配線用ボックス13の開口から内部に侵入する不具合が防止される。さらに、両バー材取付部12に取り付けられたバー材11により底壁14の左右両側縁及び左右各側壁15が補強される。そして、コンクリート硬化後、型枠23を除去することによりコンクリート壁が構築されるとともに、そのコンクリート壁内に配線用ボックス13が埋設され、その配線用ボックス13に配線器具が取り付けられる。
【0036】
上記実施形態によれば、以下のような特徴を得ることができる。
(1) 挿入溝19a内に屈曲部11aを挿入することにより、屈曲部11aが固定突条22aに係合してバー材11をバー材取付部12からの抜脱を防止した状態に取り付けることができる。それと同時に、挿入溝19aの相対向する内面と屈曲部11aとの当接によりバー材11の周方向への回転を防止した状態でバー材11をバー材取付部12に取付けることができる。その結果、溶接、かしめ又はビス締め作業といった煩雑な工程を行っていた従来と異なり、配線用ボックス13に対してバー材11を取り付ける作業を容易に行うことができる。従って、施工現場において、多量の配線用ボックス13に対するバー材11の取付作業を速やかに行うことができる。
【0037】
(2) 屈曲部11aの挿入溝19aへの挿入によりバー材取付部12におけるバー材11の周方向への回転と抜脱を防止することができる。従って、バー材11が取り付けられた配線用ボックス13がコンクリートの打設により傾いたり、位置ずれするのを防止して、配線用ボックス13をコンクリート壁の所望する位置に埋設することができるとともに、その配線用ボックス13に取り付けられる配線器具をコンクリート壁の所望する位置に取り付けることができる。
【0038】
(3) 屈曲部11aと固定突条22aとの係合によりバー材11がバー材取付部12から抜脱する不具合が防止されるため、配線用ボックス13の位置ずれや傾きが防止され、配線用ボックス13の開口側端面の型枠23に対する密接状態が維持される。そのため、コンクリートが配線用ボックス13の開口から内部に侵入する不具合を防止することができる。
【0039】
(4) 配線用ボックス13に対してコンクリート打設圧が作用しても、各屈曲部11aは挿入溝19aの内面及び支持部20に当接するため、バー材11の軸方向への移動を防止することができる。従って、配線用ボックス13の傾きや位置ずれを防止して、配線用ボックス13をコンクリート壁の所望する位置に埋設することができる。
【0040】
(5) 屈曲部11aは突出する方向に向かうに連れて幅狭に形成され、挿入溝19aは奥方から開口側へ向かうに連れて幅広に形成されているため、挿入溝19a内に屈曲部11aを挿入する作業を円滑に行うことができる。
【0041】
(6) バー材11の中央部は取付溝19内面に当接し、屈曲部11aより先端側は係合凹部20a内面に当接するため、バー材11のボックス本体16内方への入り込みを制限してバー材11を位置決めすることができる。従って、バー材11を鉄筋24に取り付けるとき、バー材11がボックス本体16内方へ入り込んで移動するといった不具合をなくして、その取付作業を速やかに行うことができる。
【0042】
(7) 挿入溝19a内の屈曲部11aに対して固定突条22aが係合するため屈曲部11aの挿入溝19aから抜脱を効果的に防止することができる。
(8) バー材11を折り曲げて形成された屈曲部11aと、その屈曲部11aの折り曲げ部分に係合可能な固定突条22aとにより抜脱防止手段を形成した。そのため、バー材11又は配線用ボックス13とは別部材によりバー材11のバー材取付部12からの抜脱を防止する手段を形成する場合と比較して抜脱防止手段を容易に形成することができる。
【0043】
(9) 1本のバー材11は一対の屈曲部11aがそれぞれ挿入溝19aに挿入されてバー材取付部12に取り付けられている。そのため、1本のバー材11が1つの屈曲部11aの挿入溝19aへの挿入によりバー材取付部12に取り付けられている場合と比較して強固に取り付けることができる。
【0044】
(10) バー材取付部12を形成する取付溝19、挿入溝19a及び固定突条22aはそれぞれ左右各側壁15の上下方向に沿った底壁14側に形成されている。そのため、バー材取付部12にバー材11が取り付けられることにより、底壁14及び左右各側壁15を補強することができる。従って、コンクリート打設圧によって底壁14及び左右各側壁15が変形するのを防止することができる。
【0045】
(11) 各屈曲部11aは金属棒をコ字状に折り曲げることにより形成されているため、屈曲部11aは挿入溝19a内面に広範囲にわたって当接する。そのため、屈曲部11aに作用する力により屈曲部11aを変形しにくくすることができるとともに、バー材11の周方向への回転を確実に防止することができる。
【0046】
(12) バー材11がバー材取付部12に取り付けられたとき、バー材11の両端側の配線用ボックス13からの突出長さは略同一となり、バー材11をバー材取付部12に取付けるだけでバー材11の中央部に配線用ボックス13を位置させることができる。そのため、バー材11の長さ方向における中央部に配線用ボックス13を位置させる作業を省略することができ、バー材11を配線用ボックス13に取り付ける作業を容易に行うことができる。
【0047】
(13) バー材11をバー材取付部12に取り付けたとき、一対のバー材11の各先端側はそれぞれ配線用ボックス13の外方へ斜め45度に延びるため、バー材11の端部を鉄筋24に取り付ける作業を容易に行うことができる。
【0048】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 実施形態では、屈曲部11aより先端側をバー材11の中央部の延びる方向に対して45度(又は135度)となるように形成したが、その角度を任意に設定してもよく、屈曲部11aより先端側を折り曲げなくてもよい。
【0049】
・ 実施形態では、バー材取付部12にバー材11を取り付けたとき、上下各側壁15からのバー材11の突出長さが略同一となるように屈曲部11aの位置を設定したが、前記突出長さが略同一とならない位置に屈曲部11aを形成してもよい。
【0050】
・ 実施形態では、バー材11をコ字状に折り曲げて屈曲部11aを形成したが、バー材11を円弧状、山形状、Ω字状等に折り曲げて屈曲部11aを形成してもよい。
【0051】
・ 実施形態では、バー材取付部12を左右各側壁15の底壁14側に形成したが、バー材取付部12を相対向する上下又は左右各側壁15におけるボックス本体16の開口側端部に形成してもよい。このように構成した場合、上下又は左右各側壁15におけるボックス本体16の開口側をバー材11により補強することができる。従って、ボックス本体16の開口側の強度を向上させることができ、コンクリートの打設圧等による変形を防止することができる。
【0052】
・ 上下各側壁15の底壁14側にバー材取付部12を形成してもよい。上下又は左右各側壁15における底壁14とボックス本体16の開口側端部との間に、上下又は左右各側壁15の長さ方向に延びるバー材取付部12を形成してもよい。
【0053】
・ 実施形態では、バー材11に2箇所に屈曲部11aを形成し、配線用ボックス13のバー材取付部12にはそれぞれ2箇所に挿入溝19a及び固定突条22aを形成したが、バー材11に1箇所又は3箇所以上屈曲部11aを形成し、バー材取付部12にはそれぞれ屈曲部11aに対応するように1箇所又は3箇所以上挿入溝19a及び固定突条22aを形成してもよい。
【0054】
・ 実施形態では、挿入溝19aがボックス本体16のコーナ部に位置するように形成したが、挿入溝19aをボックス本体16のコーナ部以外の位置に形成してもよい。
【0055】
・ 実施形態では、屈曲部11aに対する固定突条22aの係合により抜脱防止手段を形成したが、屈曲部11aに前記固定突条22aが係合可能な係合溝を凹設し、屈曲部11aを挿入溝19a内に挿入したとき、固定突条22aが係合溝に係合することにより抜脱防止手段を形成してもよい。
【0056】
・ また、屈曲部11aの外面に固定突条22aを突設し、挿入溝19aの内面に固定突条22aが係合可能な係合溝を凹設する。そして、屈曲部11aを挿入溝19a内に挿入したとき、固定突条22aが係合溝に係合することにより抜脱防止手段を形成してもよい。
【0057】
・ 加えて、屈曲部11aの外面に例えば円錐状に突出する突刺体を形成し、屈曲部11aを挿入溝19a内に挿入したとき、係合突起が挿入溝19a内面に食い込むことにより抜脱防止手段を形成してもよい。
【0058】
・ 実施形態では、コンクリート構築物としてコンクリート壁にコンクリート埋設物装置10を埋設したが、コンクリート構築物としてコンクリート柱、コンクリート床等にコンクリート埋設物装置10を埋設してもよい。
【0059】
・ 実施形態では、配線用ボックス13とバー材11とによりコンクリート埋設物装置10を形成したが、コンクリート埋設物としてのボックスカバーに少なくとも挿入溝19a及び固定突条22aを形成してバー材取付部12を形成し、そのバー材取付部12にバー材11を回転不能に、かつ強固に取り付けてコンクリート埋設物装置10を形成してもよい。このように構成した場合、配線用ボックス13に対してボックスカバー26を取り付け、そのボックスカバー26に回転不能に、かつ強固に取り付けられたバー材11を鉄筋24に取付ける。その結果、ボックスカバー26を介して配線用ボックス13を鉄筋24に支持させることができ、バー材11の回転を防止して配線用ボックス13の移動を防止することができる。
【0060】
・ 実施形態では、配線用ボックス13とバー材11とによりコンクリート埋設物装置10を形成したが、コンクリート埋設物を、コンクリート壁等のコンクリート構築物の外面にボルト螺挿用の孔を形成する孔形成部材(インサート)又はコンクリート壁等のコンクリート構築物内に配設された保護管の開口端部を保護し、前記コンクリート構築物の外面に保護管内と連通する開口を形成する開口形成部材(エンドカバー)に具体化してもよい。
【0061】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、コンクリート埋設物に対してバー材をその周方向への回転及び同コンクリート埋設物からの抜脱を防止した状態に取り付けることができるとともに、その取付作業を容易に行うことができる。
【0062】
また、バー材の周方向への回転を効果的に防止することができる。
請求項に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、屈曲部の挿入部からの抜脱を効果的に防止することができる。
【0063】
請求項に記載の発明によれば、請求項に記載の発明の効果に加え、抜脱防止手段を容易に形成することができる。
請求項に記載の発明によれば、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、バー材に1箇所だけ形成された屈曲部を挿入部に挿入してバー材をバー材取付部に取り付ける場合と比較して強固に取り付けることができる。
【0064】
請求項に記載の発明によれば、請求項に記載の発明の効果に加え、バー材により底壁及びバー材取付部が形成された側壁を補強することができる。従って、コンクリート打設圧によって底壁及び側壁が変形するのを防止することができる。
【0065】
請求項に記載の発明によれば、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、屈曲部の軸方向に沿った外面は挿入部の内面に対して広範囲に亘って当接するため、バー材を周方向へ回転させる力が作用したとき、屈曲部が変形することなくバー材の周方向への回転を確実に防止することができる。
【0066】
請求項に記載の発明によれば、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、バー材がバー材取付部に取り付けられたとき、バー材の両端側のコンクリート埋設物からの突出長さは略同一となり、バー材の中央部にコンクリート埋設物を位置させることができる。そのため、バー材の各突出長さを調整してバー材の長さ方向における中央部にコンクリート埋設物を位置させる作業を省略することができ、バー材のコンクリート埋設物への取付作業を容易に行うことができる。
【0067】
請求項に記載の発明によれば、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、バー材を鉄筋に取り付ける作業を容易に行うことができる。
請求項に記載の発明によれば、バー材をその周方向への回転及び抜脱を防止した状態に取り付けることができるとともに、その取付作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のコンクリート埋設物装置を示す分解斜視図。
【図2】実施形態のコンクリート埋設物装置を示す正面図。
【図3】実施形態の配線用ボックスを示す平面図。
【図4】実施形態の配線用ボックスを示す側面図。
【図5】実施形態の配線用ボックスにバー材を取り付けた状態の背面図。
【図6】実施形態の配線用ボックスにバー材を取り付けた状態の側面図。
【図7】実施形態の配線用ボックスにバー材を取り付けた状態の平面図。
【図8】型枠間に配設されたコンクリート埋設物装置を示す側断面図。
【符号の説明】
10…コンクリート埋設物装置、11…バー材、11a…屈曲部、12…バー材取付部、13…コンクリート埋設物としての配線用ボックス、14…底壁、19a…挿入部としての挿入溝、22a…抜脱防止手段を形成する突部としての固定突条、23…型枠、24…鉄筋。

Claims (9)

  1. 手により三次元方向に折り曲げ可能なバー材と、前記バー材を取付可能なバー材取付部を備えたコンクリート埋設物とよりなり、前記バー材をバー材取付部に取り付け、コンクリート埋設物から突出したバー材の両端側をコンクリート構築物の支骨をなす鉄筋に固定することにより、当該鉄筋にコンクリート埋設物を支持させるとともに、バー材の突っ張り強度によりコンクリート構築物形成のために立設された型枠に対してコンクリート埋設物を押圧させるように構成したコンクリート埋設物装置であって、
    前記バー材は、同バー材を軸方向に沿って凹凸状に折り曲げて形成された屈曲部を備え、前記バー材取付部は、前記コンクリート埋設物の外面に外方に開口して前記屈曲部が当該開口から挿入される挿入部を備えてなり、屈曲部を挿入部に挿入してバー材をバー材取付部に取り付け、当該挿入部に挿入された屈曲部の外面が挿入部内面と当接することによりバー材の周方向への回転を防止可能に形成するとともに、前記屈曲部の挿入部への挿入により、バー材とコンクリート埋設物との間に、互いに係合して挿入部からの屈曲部の抜脱を防止する抜脱防止手段を形成したことを特徴とするコンクリート埋設物装置。
  2. 前記挿入部と屈曲部との間に形成される係合関係により前記抜脱防止手段を形成したことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート埋設物装置。
  3. 前記屈曲部と、挿入部内に形成された突部との係合により前記抜脱防止手段を形成したことを特徴とする請求項2に記載のコンクリート埋設物装置。
  4. 前記コンクリート埋設物を開口を有する有底多角箱状をなし、内部に配線器具を取付可能に形成された配線用ボックスとし、前記挿入部は配線用ボックスの隣接するコーナ部に設けられ、その隣接する挿入部に1本のバー材の屈曲部が挿入されるべくバー材に屈曲部を2箇所に形成したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のコンクリート埋設物装置。
  5. 前記挿入部を配線用ボックスの底壁側に設けたことを特徴とする請求項4に記載のコンクリート埋設物装置。
  6. 前記バー材を同バー材の軸方向に沿ってコ字状に折り曲げて屈曲部を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のコンクリート埋設物装置。
  7. 前記バー材がバー材取付部に取り付けられた状態において、コンクリート埋設物から突出するバー材の両端側の突出長さが略同一となるべくバー材の長さ方向における屈曲部の位置を設定したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のコンクリート埋設物装置。
  8. 前記バー材の両端側が同バー材の中央部に対して45度をなすべく屈曲部より先端側を折り曲げて形成したことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のコンクリート埋設物装置。
  9. 手により三次元方向に折り曲げ可能なバー材を取付可能とするバー材取付部を備え、同バー材取付部に取り付けられたバー材の両端側をコンクリート構築物の支骨をなす鉄筋に固定することにより当該鉄筋に支持されるとともに、バー材の突っ張り強度によりコンクリート構築物形成用のために立設された型枠に対して押圧されるコンクリート埋設物であって、
    前記コンクリート埋設物を開口を有する有底多角箱状をなし、内部に配線器具を取付可能に形成された配線用ボックスとし、
    前記バー材取付部は、前記コンクリート埋設物の外面に外方に開口するとともに前記バー材を軸方向に沿って凹凸状に折り曲げて形成された屈曲部が当該開口から挿入される挿入部を備え、前記屈曲部が挿入部に挿入されてバー材がバー材取付部に取り付けられた際、当該挿入部に挿入された屈曲部の外面が挿入部内面と当接することによりバー材の周方向への回転を防止可能に形成するとともに、前記屈曲部の挿入部への挿入により、バー材との間で互いに係合して挿入部からの屈曲部の抜脱を防止する抜脱防止手段を備えていることを特徴とするコンクリート埋設物。
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