JP4221027B2 - コンクリート埋設物装置 - Google Patents

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Description

本発明は、建築物内のコンクリート壁の支骨をなす鉄筋に配線用ボックスを支持、固定した状態で同配線用ボックスをコンクリート壁内に埋設するために形成されるコンクリート埋設物装置に関するものである。
従来より、建築物内のコンクリート壁面にコンセント等の配線器具を取り付けるために、コンクリート壁内にはコンクリート埋設物装置が設置されている。このコンクリート埋設物装置は、前面に開口を有する有底四角箱状に形成されたコンクリート埋設物としての配線用ボックスと、同配線用ボックスをコンクリート壁の支骨をなす鉄筋に支持させる金属棒製のバー材とより構成されている。
前記バー材は断面円形状をなし、手により三次元方向に自在に曲げ変形可能であるとともに、所要の突っ張り強度を有している。そして、バー材を配線用ボックスに取り付け、そのバー材の両端側をそれぞれ鉄筋側へ折り曲げ、同鉄筋に固定することにより、配線用ボックスを鉄筋に対して所望する位置に支持することができる。
また、鉄筋に対する配線用ボックスの支持状態において、コンクリート壁形成用の型枠を配線用ボックスの開口側端面に押し当てるようにして立設すると、バー材の突っ張り強度により配線用ボックスが型枠面に対して押圧される。そのため、型枠間へのコンクリート打設時における配線用ボックスの開口から内部へのコンクリートの侵入を防止するようになっている。さらに、配線用ボックスは前記バー材によって鉄筋に支持されることにより、コンクリート打設時に、そのコンクリートの打設圧による傾きや位置ずれが防止されるようになっている。
ところが、上記従来構成において、バー材により配線用ボックスを型枠に対して押圧させるためには、バー材を配線用ボックスに回転不能に取り付けなければならない。配線用ボックスに対してバー材を回転不能に取り付けるには種々の方法が提案されている。第1の方法は、配線用ボックスとは別体の板材に対して一対のバー材の中央部を溶接又はかしめ固定して形成された取付体を、当該配線用ボックスの底壁の裏面に固定するものである。
第2の方法は、配線用ボックスの周壁を切り起こして形成された一対の突片間にバー材を挿通し、前記突片をかしめて配線用ボックスにバー材を固定するものである。第3の方法は、配線用ボックスの側壁に形成された凹部にバー材を嵌め込み、そのバー材を固定ビスの頭部と側壁とで挟持するように同固定ビスを側壁にねじ込んで固定するものである。
しかし、前記第1の方法においては、板材にバー材を溶接又はかしめ固定する作業、さらに前記取付体を配線用ボックスに取り付ける作業が必要であった。第2の方法においては、バー材を突片間に挿通する作業及び突片をかしめる作業が必要であった。第3の方法においては、バー材を凹部に嵌め込む作業及び固定ビスを配線用ボックスの側壁にねじ込む作業が必要であった。即ち、第1〜第3のいずれの方法においても、配線用ボックスにバー材を回転不能に取り付けるには複数の作業工程を必要とし、その作業工程の中には溶接、かしめ又はビス締め作業といった煩雑な工程が含まれていた。その結果、施工現場において多量の配線用ボックスそれぞれに対してバー材を回転不能に取り付ける作業を行うのは非常に面倒であるという問題があった。
本発明は、コンクリート埋設物に対してバー材を回転不能に取り付けることができるとともに、コンクリート埋設物に対するバー材の取付作業を容易に行うことができるコンクリート埋設物装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、手により三次元方向に折り曲げ可能な略断面円形状に延びて形成されているバー材と、前記バー材を挿通可能な挿通孔が形成されているバー材挿通部を備えたコンクリート埋設物とよりなり、前記バー材をバー材挿通部に挿通し、コンクリート埋設物から突出したバー材の両端側をコンクリート構築物の支骨をなす鉄筋に固定することにより、当該鉄筋にコンクリート埋設物を支持させるとともに、バー材の突っ張り強度によりコンクリート構築物形成のために立設された型枠に対してコンクリート埋設物を押圧させるように構成したコンクリート埋設物装置であって、前記バー材が軸方向への移動により一端側からバー材挿通部に挿通された状態で、当該バー材挿通部内でのバー材の周方向への回転を防止する回転防止手段を、前記バー材の長さ方向に沿った一部に突設された係合突片と、バー材挿通部の挿通孔内に凹設された前記係合突片が係合可能な細溝との係合により形成し、前記係合突片の全体が細溝内に挿入配置されてバー材の両端側がコンクリート埋設物から突出するようにしたことを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンクリート埋設物装置において、前記バー材挿通部にバー材が挿通された状態において、バー材のバー材挿通部内への一定以上の挿通を制限すべく前記係合突片が係合する係合面をコンクリート埋設物に形成したことを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のコンクリート埋設物装置において、前記バー材をプレス成形して係合突片を形成したことを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載のコンクリート埋設物装置において、前記回転防止手段を、バー材の外面に突設された突刺体がバー材挿通部内面に食い込むことにより形成することを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載のコンクリート埋設物装置において、前記コンクリート埋設物は開口を有する有底箱状をなし、内部に配線器具を取付可能に形成された配線用ボックスであることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載のコンクリート埋設物装置において、前記配線用ボックスの相対向する側壁の底壁側に前記バー材挿通部を形成したことを要旨とする。
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、コンクリート埋設物に対してバー材を回転不能に取り付けることができるとともに、コンクリート埋設物に対するバー材の取付作業を容易に行うことができる。また、係合突片全体は凹部内に挿入されるため、バー材を任意の方向へ容易に折り曲げることができ、バー材を鉄筋に固定する作業を容易に行うことができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、係合面と係合突片との係合によりバー材のバー材挿通部内への一定以上の入り込みを防止してバー材の両端側をそれぞれコンクリート埋設物から突出させることができる。そのため、バー材の一端又は他端がバー材挿通部内に入り込んでしまうといった不具合をなくすことができる。
請求項に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、バー材に係合突片を別部材で形成する場合と異なり、コンクリート埋設物を鉄筋に支持させる作業の簡易化を図ることができる。
請求項に記載の発明によれば、請求項に記載の発明の効果に加え、回転防止手段を容易に形成することができる。
請求項に記載の発明によれば、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、コンクリート打設に伴うバー材の回転による配線用ボックスの傾きや位置ずれを防止して、配線用ボックスをコンクリート壁の所望する位置に埋設することができるとともに、その配線用ボックスに取り付けられる配線器具をコンクリート壁の所望する位置に取り付けることができる。
請求項に記載の発明によれば、請求項に記載の発明の効果に加え、バー材挿通部に挿通されたバー材により配線用ボックスの各側壁における底壁側を補強することができ、コンクリート打設圧によって側壁及び底壁が変形するのを防止することができる。
以下、本発明を具体化したコンクリート埋設物装置、配線用ボックス及びバー材の一実施形態を図1〜図7に従って説明する。
図1に示すように、コンクリート埋設物装置10は、手により三次元方向に折り曲げ可能な金属棒製のバー材11と、前記バー材11を挿通可能なバー材挿通部12を備えたコンクリート埋設物としての配線用ボックス13とよりなるものである。そして、前記バー材11がバー材挿通部12に挿通された状態でバー材挿通部12内でのバー材11の周方向への回転を防止する回転防止手段をバー材11と配線用ボックス13との間に形成したものである。
まず、前記配線用ボックス13について説明すると、合成樹脂材料製の配線用ボックス13は底壁14とその底壁14の周縁に立設された側壁15とより、前面に開口を有する有底四角箱状に形成されたボックス本体16よりなるものである。上下両側壁15にはそれぞれ配線器具、配線器具保持枠又はボックスカバー(いずれも図示せず)を取り付けるための取付孔17が設けられている。また、各側壁15にはそれぞれ配線、配管を挿通可能とするノック18が2箇所ずつ形成されている。
図1及び図2に示すように、相対向する左右各側壁15内面と底壁14の左右側縁とに跨る位置には、左右各側壁15の上下方向に延びるバー材挿通部12が形成されている。図3及び図4に示すように、ボックス本体16には上下各側壁15の相対向する位置から前記バー材挿通部12内を貫通して、左右各側壁15の上下方向に沿って延びる挿通孔20が形成され、その挿通孔20内に前記バー材11を挿通可能に形成されている。
バー材挿通部12内において、前記挿通孔20の各開口側における内周面の相対向する位置には、それぞれ回転防止手段を形成する細溝20aが挿通孔20の延びる方向に沿って凹設されている。それら各細溝20aの内周面から挿通孔20の内周面へ連なる部分に形成される段差部にはバー材11のバー材挿通部12内への一定以上の挿通を制限する係合面20bが形成されている。
図4及び図5に示すように、底壁14の左右各側壁15側にはそれぞれ挿通孔20に沿って延びる長孔21が形成され、各長孔21は前記挿通孔20と連通している。また、底壁14の左右各側壁15側には、それぞれ各長孔21から左右各側壁15側へ延びる挿入孔22が形成され、その挿入孔22と前記挿通孔20とは連通している。
次いで、前記バー材11について説明すると、図5及び図6(a)、(b)に示すように、金属棒製のバー材11は略断面円形状に延びて形成されている。バー材11の一端側にはバー材11をその長さ方向に沿ってプレス成形することにより円盤状に形成された係合突片11aが回転防止手段として突設されている。
この係合突片11aはバー材11の径方向における相対向する外面からそれぞれ先端が互いに離れるように外方へ突出している。また、係合突片11aの厚みはバー材11の断面円形状をなす部分よりも薄く形成されている。
このバー材11は他端側から前記挿通孔20内へ挿通されることにより、バー材挿通部12内へ挿通可能に形成されている。図5に破線及び図6(b)に示すように、挿通孔20内へバー材11が挿通された状態において、係合突片11aは細溝20a内へ挿入されるとともに、係合突片11aと細溝20aとが凹凸の係合関係により係合して挿通孔20内でのバー材11の周方向への回転を防止する回転防止手段が形成される。
前記回転防止手段が形成された状態において、係合突片11aは係合面20bに係合可能に形成されている。前記係合状態において、バー材11の一端側及び他端側はそれぞれ上下各側壁15からボックス本体16の外方へ突出し、その両突出長さが略同一となるようにバー材11の長さ方向における係合突片11aの位置が設定されている。
また、図7に示すように、ボックス本体16から突出するバー材11の両端部がそれぞれコンクリート構築物としてのコンクリート壁の支骨をなす鉄筋24にバインド線25等により結束、固定されることにより、バー材11が鉄筋24に架設されるようになっている。そして、鉄筋24に対するバー材11の架設により、鉄筋24に対して配線用ボックス13を支持させることができるとともに、配線用ボックス13とバー材11とよりなるコンクリート埋設物装置10が構成されている。
さらに、鉄筋24に対する配線用ボックス13の支持状態において、コンクリート壁形成用の型枠23を配線用ボックス13の開口側端面に押し当てるようにして立設すると、バー材11の突っ張り強度により配線用ボックス13が型枠23面に対して押圧されるように構成されている。
次に、上記構成のコンクリート埋設物装置10の使用方法を作用とともに説明する。
まず、図5及び図6(a)に示すように、一対のバー材11をそれぞれ他端側から挿通孔20内へ挿通してバー材挿通部12内にバー材11を挿通させ、係合突片11aを細溝20a内に挿入させるとともに、係合面20bに係合させる。
すると、図6(b)に示すように、その挿入状態で一対の細溝20a内において、各細溝20a内面と対応する係合突片11aとの係合により回転防止手段が形成され、バー材11全体の周方向への回転が防止される。また、図5に示すように、係合突片11aの係合面20bに対する係合によりバー材11の他端側の挿通孔20内への一定以上の入り込みが規制され、ボックス本体16の所定位置にバー材11が仮止めされるとともに、バー材11の両端側がそれぞれ配線用ボックス13から突出するように配置される。
また、上下各側壁15から突出するバー材11の長さは略同一となっているため、その突出長さを調整することなくバー材11の長さ方向の中央部に配線用ボックス13を位置させることができる。続いて、図7に示すように、バー材11の両端部をそれぞれ上下各側壁15から突出する位置から鉄筋24方向へ折り曲げ、バー材11の両端部を鉄筋24に沿ってバインド線25で結束する。
このとき、円盤状をなす係合突片11a全体はバー材挿通部12内へ挿入され、上下各側壁15から突出しているバー材11の両端側はそれぞれ断面円形部分となっている。そして、バー材11における断面円形部分から折り曲げることにより、バー材11のボックス本体16の上下方向への移動が規制される。その結果、鉄筋24に対して配線用ボックス13が支持されるとともに、コンクリート埋設物装置10が構成される。
さて、コンクリート埋設物装置10が構成された状態において、配線用ボックス13を挟むように一対の型枠23を立設し、一方の型枠23を配線用ボックス13の開口側端面に当接させ、さらに、その型枠23により配線用ボックス13を鉄筋24方向へ押圧する。
すると、バー材11は鉄筋24までの間隔が短くなる方向に力が加わって撓み変形し、配線用ボックス13は鉄筋24方向へ後退するとともに、バー材11の弾性力により配線用ボックス13を鉄筋24方向へ押圧する。その結果、型枠23に対して配線用ボックス13の開口側端面が密接される。このとき、係合突片11aと細溝20aとが係合しているため、前記押圧によりバー材11が周方向へ回転するのが防止され、型枠23の押圧によりバー材11が回転することなく、配線用ボックス13の型枠23への密接状態が維持される。
続いて、一対の型枠23間にコンクリートを打設する。このとき、バー材11は係合突片11aと細溝20aとの係合により回転不能となっているため、コンクリート打設圧によりバー材11が回転するのが防止され、バー材11の回転に伴う配線用ボックス13の位置ずれや傾きが防止される。また、配線用ボックス13の開口側端面は型枠23に密接しているため、その開口からコンクリートが配線用ボックス13内に侵入する不具合が防止される。
また、ボックス本体16の底壁14の左右両側縁及び左右各側壁15の上下方向に沿ってバー材11が挿通されているため、そのバー材11により底壁14の左右両側縁及び左右各側壁15を補強して、所要の剛性が付与される。そのため、コンクリートの打設圧によりボックス本体16の底壁14及び左右両側壁15が変形してしまうといった不具合が防止される。
さらに、係合突片11aの係合面20bへの係合及びバー材11の折り曲げにより前記打設圧によりバー材11に沿って配線用ボックス13が移動してしまうといった不具合も防止される。そして、コンクリート硬化後、型枠23を除去することによりコンクリート壁が構築されるとともに、そのコンクリート壁内に配線用ボックス13が埋設される。
上記実施形態によれば、以下のような特徴を得ることができる。
(1) バー材11に係合突片11aを形成し、配線用ボックス13の挿通孔20に細溝20aを形成した。そのため、挿通孔20にバー材11を挿通することにより、係合突片11aが細溝20aに係合して挿通孔20内でのバー材11の周方向に沿った回転が防止される。その結果、配線用ボックス13にバー材11を回転不能に取り付けるために複数の作業工程を必要とし、その作業工程の中に溶接、かしめ又はビス締め作業といった煩雑な工程が含まれていた従来と異なり、配線用ボックス13に対してバー材11を取り付ける作業を容易に行うことができる。従って、施工現場において、多量の配線用ボックス13に対するバー材11の取付作業を速やかに行うことができる。
(2) 係合突片11aはバー材11の径方向の相対向する位置からバー材11の外方へ突出し、細溝20aは挿通孔20の相対向する位置に形成されている。そのため、コンクリート打設圧等がバー材11に作用したとき、その打設圧は各係合突片11aから対応する細溝20aにより略均等に支持される。従って、係合突片11a及び細溝20aが1箇所又は非対向位置に形成されている場合と比較してバー材11の回転を効果的に防止することができる。
(3) バー材11に突設された係合突片11aと挿通孔20内に凹設された細溝20aとの係合により、挿通孔20内におけるバー材11の周方向への回転を効果的に防止することができる。また、バー材11をプレス成形して形成された係合突片11aと、バー材挿通部12の成形時に形成される細溝20aとによりバー材11の回転防止手段が形成されるため、その回転防止手段を容易に形成することができる。
(4) 係合面20bと係合突片11aとの係合によりバー材11のバー材挿通部12内への一定以上の入り込みを防止して、バー材11の両端側をそれぞれ配線用ボックス13から突出させることができる。そのため、バー材11の一端又は他端がバー材挿通部12内に入り込んでしまい、バー材11の両端側を配線用ボックス13から突出させる作業を行う必要をなくすことができる。
(5) 係合面20bと係合突片11aとの係合によりバー材11を回転不能にした状態でバー材11を配線用ボックス13に仮止めすることができる。そのため、手や粘着テープ等によりバー材11を配線用ボックス13に仮止めしながらバー材11の鉄筋24への取付作業を行う場合と比較して、バー材11、即ち配線用ボックス13の鉄筋24への取付作業の簡易化を図ることができる。
(6) 係合面20bに係合突片11aが係合したとき、バー材11の両端の突出長さは略同一となるように係合突片11aの位置が設定されている。そのため、バー材11の各突出長さを調整してバー材11の長さ方向における中央部に配線用ボックス13を位置させる作業を行うことなく鉄筋24に配線用ボックス13を支持させることができる。
(7) 係合突片11aはバー材11をプレス成形することにより予め形成されている。そのため、バー材11に係合突片11aを別部材で形成する場合と異なり、配線用ボックス13を鉄筋24に支持させる作業の簡易化を図ることができる。
(8) 係合突片11aと細溝20aとの係合によりコンクリートの打設によりバー材11が挿通孔20内で回転するのを防止することができる。そのため、コンクリート打設に伴うバー材11の回転による配線用ボックス13の傾きや位置ずれを防止することができる。従って、配線用ボックス13をコンクリート壁の所望する位置に埋設することができるとともに、その配線用ボックス13に取り付けられる配線器具をコンクリート壁の所望する位置に取り付けることができる。
(9) バー材挿通部12は左右各側壁15の上下方向に沿って形成されているため、バー材挿通部12内にバー材11が挿通されることにより、底壁14及び左右各側壁15を補強することができる。従って、コンクリート打設圧によって底壁14及び左右各側壁15が変形するのを防止することができる。
(10) バー材挿通部12にバー材11を挿通したとき、係合突片11a全体はバー材挿通部12内へ挿入され、係合突片11aよりバー材11の各端部側が上下各側壁15から突出している。そのため、配線用ボックス13から突出するバー材11の両端側はそれぞれ断面円形部分となっている。従って、バー材11は断面円形部分から折り曲げられ、円盤状をなす係合突片11aから折り曲げる場合と比較して、バー材11を任意の方向へ容易に折り曲げることができ、バー材11を鉄筋24に固定する作業を容易に行うことができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 図8に示す配線用ボックス13を備えたコンクリート埋設物装置10としてもよい。配線用ボックス13の左右両側壁15の上下部の外面にはそれぞれバー材挿通部12が外方へ突設され、上下に相対向するバー材挿通部12にはそれぞれ相対向する位置に挿通孔20が形成されている。また、各バー材挿通部12内にはそれぞれ細溝20a及び係合面20bが形成されている。そして、上下各挿通孔20内にバー材11を挿通し、係合突片11aを細溝20aに係合させてコンクリート埋設物装置10を形成してもよい。このとき、バー材11の中央部分は露出することになる。
・ 図9に示す配線用ボックス13及びバー材11を備えたコンクリート埋設物装置10としてもよい。図9に破線に示すように、配線用ボックス13のバー材挿通部12内には挿通孔20の延びる方向全体に沿って細溝20aが形成されているとともに、係合面20bが省略されている。一方、バー材11の中央部には前記細溝20aの長さに対応するようにバー材11の長さ方向に沿って係合突片11aが形成されている。そして、挿通孔20内にバー材11を挿通すると、バー材挿通部12の長さ全体に沿って係合突片11aと細溝20aとが係合し、その係合により挿通孔20内におけるバー材11の回転を確実に防止することができる。なお、このときは、突出したバー材11を折り曲げることによりバー材挿通部12からのバー材11の抜け落ちを防止することができる。
・ 図10に示すように、バー材11の中央部を折り曲げることによりバー材挿通部12からのバー材11の抜け落ちを防止するようにしてもよい。即ち、挿入孔22からドライバの先端を挿通孔20内に挿入し、同挿通孔20内に挿入されたバー材11を長孔21方向へ折り曲げるとともに、バー材11の一部を長孔21内へ位置させる。このように構成した場合、折り曲げられたバー材11が長孔21の内周面に当接して、バー材11の挿通孔20内での回転及び長さ方向に沿った移動を防止することができる。
・ 実施形態では、バー材挿通部12を底壁14側に形成したが、バー材挿通部12を相対向する上下又は左右各側壁15におけるボックス本体16の開口側端部に形成してもよい。このように構成した場合、上下又は左右各側壁15におけるボックス本体16の開口側をバー材11により補強することができる。従って、ボックス本体16の開口側の強度を向上させることができ、コンクリートの打設圧等による変形を防止することができる。
・ 実施形態では、配線用ボックス13とバー材11とによりコンクリート埋設物装置10を形成したが以下のように変更してもよい。即ち、図11に示すように、コンクリート埋設物としてのボックスカバー26に少なくとも挿通孔20及び細溝20aを形成し、その挿通孔20にバー材11を挿入してコンクリート埋設物装置10を形成してもよい。このように構成した場合、配線用ボックス13に対してボックスカバー26を取り付け、そのボックスカバー26に回転不能に挿入されたバー材11を鉄筋24に取付ける。その結果、ボックスカバー26を介して配線用ボックス13を鉄筋24に支持させることができ、係合突片11aと細溝20aとの係合により、バー材11の回転を防止して配線用ボックス13の移動を防止することができる。
・ 実施形態では、配線用ボックス13とバー材11とによりコンクリート埋設物装置10を形成したが以下のように変更してもよい。即ち、コンクリート埋設物を、コンクリート壁等のコンクリート構築物の外面にボルト螺挿用の孔を形成する孔形成部材(インサート)に具体化してもよい。又はコンクリート埋設物をコンクリート壁等のコンクリート構築物内に配設された保護管の開口端部を保護し、前記コンクリート構築物の外面に保護管内と連通する開口を形成する開口形成部材(エンドカバー)に具体化してもよい。
・ 実施形態では、係合突片11aと係合面20bとの係合によりバー材11のバー材挿通部12内への一定以上の挿通を制限したが、以下のように変更してもよい。図12に示すように、係合突片11aを段差状にプレス成形し、その段差部分に係合段部11bを形成する。一方、図13に示すように、コンクリート埋設物としての配線用ボックス13は金属材料により、前面に開口を有する有底四角箱状をなすボックス本体16より形成されている。
また、ボックス本体16の上下各側壁15の両側部には、上下に相対向する挿通孔20が側壁15を貫通してバー材挿通部として形成されている。図14(a)に示すように、各挿通孔20は、バー材11の断面円形状をなす部位を挿通可能とする円形部20cと、前記係合突片11aを係合可能とすべく前記円形部20cから同円形部20cの直径方向へ延びる一対の係合溝20dとより形成されている。前記係合溝20dは係合突片11aが係合されることによりバー材11の周方向への回転を防止する回転防止手段として形成されている。
そして、前記係合段部11bを備えた一対のバー材11をそれぞれ他端側から挿通孔20内へ挿通して、係合突片11aを係合溝20d内に挿入して係合させるとともに、係合段部11bをバー材挿通部としての挿通孔20の開口周縁部である上側壁15の外面に係合させる。すると、図14(a)に示すように、その挿入状態で一対の係合溝20d内において、各係合溝20d内面と対応する係合突片11aとの係合により回転防止手段が形成され、バー材11全体の周方向への回転が防止される。
また、図14(b)に示すように、係合段部11bの上側壁15の外面に対する係合によりバー材11の他端側の挿通孔20内への一定以上の入り込みが規制される。即ち、ボックス本体16の所定位置にバー材11が仮止めされるとともに、バー材11の両端側がそれぞれ配線用ボックス13から突出するように配置される。
係合段部11bが側壁15の外面に係合した状態において、バー材11の一端側及び他端側はそれぞれ上下各側壁15からボックス本体16の外方へ突出し、その両突出長さが略同一となるようにバー材11の長さ方向における係合突片11aの位置が設定されている。また、係合段部11bが形成されたバー材11と、実施形態の配線用ボックス13、図8〜図10に示す配線用ボックス13及び図11に示すボックスカバー26とよりコンクリート埋設物装置10を形成してもよい。
なお、上記では、上側壁15の外面に係合段部11bが係合したが、以下のように変更してもよい。例えば、上下各側壁15の両側部をそれぞれ裏面側へ凹設してバー材挿通部としての凹部を形成し、その凹部の内底面に前記挿通孔20、円形部20c及び係合溝20dを形成する。そして、バー材11を挿通孔20に挿通したとき、係合突片11a全体が前記凹部内に挿入され、その凹部の内底面における挿通孔20の開口周縁部に係合段部11bを係合させてもよい。
このように構成した場合、係合突片11a全体は凹部内に挿入されるため、同係合突片11aよりバー材11の各端部側が上下各側壁15から突出する。そのため、バー材11は断面円形部分から折り曲げられ、円盤状をなす係合突片11aから折り曲げる場合と比較して、バー材11を任意の方向へ容易に折り曲げることができ、バー材11を鉄筋24に固定する作業を容易に行うことができる。
・ バー材11をプレス成形して係合突片11a又は係合段部11bを備えた係合突片11aを形成したが、少なくとも係合突片11aを形成可能とする別部材をバー材11に取り付けてもよい。又はバー材11成形用の金型を少なくとも係合突片11aを形成可能に形成し、バー材11の成形と同時に少なくとも係合突片11aを成形してもよい。
・ バー材挿通部12にバー材11を挿入したとき、上下各側壁15からのバー材11の突出長さが略同一となるように係合突片11a又は係合段部11bの位置を設定したが、前記突出長さが略同一とならない位置に係合突片11a又は係合段部11bを形成してもよい。
・ 上下各側壁15内面と底壁14の上下側縁とに跨る位置にバー材挿通部12を形成し、そのバー材挿通部12に少なくとも挿通孔20及び細溝20aを形成してもよい。
・ 上下又は左右各側壁15における底壁14とボックス本体16の開口側端部との間に、上下又は左右各側壁15の長さ方向に延びるバー材挿通部12を形成し、そのバー材挿通部12に少なくとも挿通孔20及び細溝20aを形成してもよい。
・ 実施形態では、係合面20bに係合突片11aが係合することにより、バー材11の挿通孔20内への一定以上の挿通を制限したが、係合面20bを省略するとともに、バー材11を挿通孔20内に挿通したとき、バー材11の挿通孔20内への一定上の挿通を制限する制限突部を係合突片11aの上側に形成してもよい。このように構成した場合、挿通孔20内にバー材11が挿通され、係合突片11aが細溝20aに係合した状態において、制限突部が上側壁15に係合してバー材11の一定以上の挿通孔20内への挿通を制限することができる。
・ 実施形態では、バー材挿通部12を2箇所に形成し、2本のバー材11により配線用ボックス13を支持させたが、バー材挿通部12を3箇所以上形成し、3本以上のバー材11により配線用ボックス13を支持させてもよい。
・ 実施形態では、係合突片11aをバー材11の径方向の相対向する位置から突出するように形成し、細溝20aを挿通孔20の相対向する位置に形成したが以下のように変更してもよい。例えば、係合突片11aをバー材11の径方向の非対向位置から外方へ突出するように形成し、細溝20aを係合突片11aに対応するように挿通孔20の非対向位置に形成してもよい。
・ 実施形態では、係合突片11aが2箇所に突出するように形成し、細溝20aを2箇所に形成したが、係合突片11aが1箇所又は3箇所以上に突出するようにバー材11を形成し、係合突片11aに対応して細溝20aを1箇所又は3箇所以上形成してもよい。
・ 実施形態では、バー材11に突設された係合突片11aと、挿通孔20に凹設された細溝20aとの係合により回転防止手段を形成したが、挿通孔20の内周面の相対向する位置にそれぞれ回転防止手段としての一対の係合突起を突設する。そして、挿通孔20内にバー材11を挿通したとき、相対向して突出する係合突片11aを一対の係合突起間に挿入させる。その結果、係合突片11aが係合突起に係合して回転防止手段が形成され、挿通孔20内におけるバー材11の周方向への回転を防止することができる。
・ 実施形態では、バー材11に突設された係合突片11aと、挿通孔20に凹設された細溝20aとにより回転防止手段を形成したが、係合突片11aを省略するとともに、バー材11の長さ方向に沿って少なくとも1箇所に回転防止手段としての係合溝を凹設する。その一方、挿通孔20の内周面に挿通孔20内方へ突出する係合突部を回転防止手段として形成する。そして、挿通孔20内にバー材11を挿通したとき、係合突部をバー材11の係合溝に係合させる。その結果、係合突部と係合溝との係合により回転防止手段が形成され、挿通孔20内におけるバー材11の周方向への回転を防止することができる。
・ 実施形態では、バー材11に突設された係合突片11aと、挿通孔20に凹設された細溝20aとにより回転防止手段を形成したが、係合突片11aを省略するとともに、バー材11の一端側外面に突刺体を突設する。その一方、挿通孔20の細溝20aを省略するとともに、挿通孔20内面を回転防止手段とする。そして、挿通孔20内にバー材11を挿通したとき、突刺体を挿通孔20内面に食い込ませる。その結果、その突刺体の挿通孔20内面への食い込みにより回転防止手段が形成され、挿通孔20内におけるバー材11の周方向への回転を防止することができる。また、細溝20aを省略することができるため、係合突片11aと細溝20aとの係合により回転防止手段を形成した場合と比較して回転防止手段を容易に形成することができる。
・ 実施形態では、バー材11の他端側を配線用ボックス13の上方から挿通孔20内へ挿通させ、細溝20aの上方から係合突片11aを挿入し、係合突片11aの下面を係合面20bに係合させたが以下のように変更してもよい。即ち、バー材11の他端側を配線用ボックス13の下方から挿通孔20内に挿通させ、配線用ボックス13の下側に形成された細溝20aの下方から係合突片11aを挿入し、係合突片11aの上面を係合面20bに係合させてもよい。このように構成した場合、バー材11が鉄筋24に固定されたとき、係合突片11aの上面に係合面20bが係合し、その係合により配線用ボックス13の下方への移動を防止することができる。
・ 実施形態では、コンクリート構築物としてコンクリート壁にコンクリート埋設物装置10を埋設したが、コンクリート構築物としてコンクリート柱、コンクリート床等にコンクリート埋設物装置10を埋設してもよい。
次に上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
・ 前記係合突片はバー材の径方向における相対向する外面からそれぞれ先端が互いに離れるように外方へ突出していることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか一項に記載のコンクリート埋設物装置。このように構成した場合、コンクリート打設圧等がバー材に作用したとき、その打設圧は各係合突片から対応する細溝により略均等に支持される。従って、係合突片が1箇所又は非対向位置に形成されている場合と比較してバー材の回転を効果的に防止することができる。
・ 前記係合突片はバー材挿通部内へ挿入され、前記係合突片よりバー材の端部側がコンクリート埋設物から突出していることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか一項に記載のコンクリート埋設物装置。このように構成した場合、係合突片よりバー材の各端部側がコンクリート埋設物から突出する。そのため、係合突片からバー材を折り曲げる場合と比較して、バー材を任意の方向へ折り曲げることができ、バー材を鉄筋に固定する作業を容易に行うことができる。
実施形態のコンクリート埋設物装置を示す斜視図。 実施形態の配線用ボックスを示す正面図。 実施形態の配線用ボックスを示す平面図。 実施形態の配線用ボックスを示す図3の4−4線断面図。 実施形態の配線用ボックスにバー材を挿通した状態を示す背面図。 (a)は実施形態の配線用ボックスにバー材を挿通する状態の分解斜視図、(b)は挿通孔内に挿入されたバー材を示す部分平面図。 型枠間に配設されたコンクリート埋設物装置を示す側断面図。 別例のコンクリート埋設物装置を示す斜視図。 別例のコンクリート埋設物装置を示す分解斜視図。 別例のコンクリート埋設物装置の使用方法を示す斜視図。 コンクリート埋設物としてのボックスカバーを示す斜視図。 別例のバー材の係合突片及び係合段部を示す部分斜視図。 別例のコンクリート埋設物装置を示す斜視図。 (a)は挿通孔に別例のバー材を挿通した状態を示す部分平断面図、(b)は係合段部と上側壁の外面との係合を示す部分側断面図。
符号の説明
10…コンクリート埋設物装置、11…バー材、11a…回転防止手段を形成する係合突片、11b…係合段部、12…バー材挿通部、13…コンクリート埋設物としての配線用ボックス、14…底壁、15…側壁、20a…回動防止手段を形成する細溝、20b…係合面、23…型枠、24…鉄筋、26…コンクリート埋設物としてのボックスカバー。

Claims (6)

  1. 手により三次元方向に折り曲げ可能な略断面円形状に延びて形成されているバー材と、前記バー材を挿通可能な挿通孔が形成されているバー材挿通部を備えたコンクリート埋設物とよりなり、前記バー材をバー材挿通部に挿通し、コンクリート埋設物から突出したバー材の両端側をコンクリート構築物の支骨をなす鉄筋に固定することにより、当該鉄筋にコンクリート埋設物を支持させるとともに、バー材の突っ張り強度によりコンクリート構築物形成のために立設された型枠に対してコンクリート埋設物を押圧させるように構成したコンクリート埋設物装置であって、
    前記バー材が軸方向への移動により一端側からバー材挿通部に挿通された状態で、当該バー材挿通部内でのバー材の周方向への回転を防止する回転防止手段を、前記バー材の長さ方向に沿った一部に突設された係合突片と、バー材挿通部の挿通孔内に凹設された前記係合突片が係合可能な細溝との係合により形成し、前記係合突片の全体が細溝内に挿入配置されてバー材の両端側がコンクリート埋設物から突出するようにしたことを特徴とするコンクリート埋設物装置。
  2. 前記バー材挿通部にバー材が挿通された状態において、バー材のバー材挿通部内への一定以上の挿通を制限すべく前記係合突片が係合する係合面をコンクリート埋設物に形成したことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート埋設物装置。
  3. 前記バー材をプレス成形して係合突片を形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンクリート埋設物装置。
  4. 前記回転防止手段を、バー材の外面に突設された突刺体がバー材挿通部内面に食い込むことにより形成することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート埋設物装置。
  5. 前記コンクリート埋設物は開口を有する有底箱状をなし、内部に配線器具を取付可能に形成された配線用ボックスであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のコンクリート埋設物装置。
  6. 前記配線用ボックスの相対向する側壁の底壁側に前記バー材挿通部を形成したことを特徴とする請求項5に記載のコンクリート埋設物装置
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