JP3859520B2 - 導波管アンテナ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導波管アンテナ、特にストリップ線路を併用した導波管アンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の導波管アンテナに関する従来技術の例が、特許公報第2581293号に「中央給電スロットアレイ空中線」として記載されている。このスロットアレイ空中線は、方形導波管の給電部付近の高周波放射用スロットをマイクロストリップ空中線に代えることにより、伝送モードが不安定なこの部分のスロットを設計する必要を無くし、これにより空中線の設計の容易化を図ったものである。給電回路はトリプレート構造とされ、その表面にはマイクロストリップ回路が形成され、マイクロストリップ空中線に分配して給電される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ロケット等に搭載されにより導波管アンテナにあっては、ロケットの大型化に伴い、通信回線確保のためにアンテナ数の増加が必要であるが、機体構造の複雑化により、アンテナ取付け可能位置は減少しているため、アンテナの実装スペースが不足している。
【0004】
上述の従来技術は、空中線の設計を容易化する目的でマイクロストリップ線路を導入しているが、これによってアンテナの実装スペース不足が解消されるわけではない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、小型・軽量化を図った導波管アンテナを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の導波管アンテナは、周波数の異なる2つの導波管アンテナと、各導波管アンテナに給電するためのストリップ線路を内蔵した誘電体とを、誘電体が2つの導波管アンテナの間に位置するようにスタックし、各導波管アンテナとストリップ線路は結合孔で接続されたことを特徴とするものである。
【0007】
より具体的には、第1の本発明の導波管アンテナは、低周波用導波管アンテナ(図1の1)と、低周波用導波管アンテナの上に搭置され、低周波用導波管アンテナに給電するための低周波給電用ストリップ線路(図1の6)を内蔵した誘電体(図1の3)と、この誘電体の上に搭置された電磁波隔離用の導電板(図1の5)と、導電板の上に搭置され、高周波用導波管アンテナ(図1の2)に給電するための高周波給電用ストリップ線路(図1の7)を内蔵した誘電体(図1の4)と、この誘電体の上に搭置された高周波用導波管アンテナとで構成され、低周波用導波管アンテナと低周波給電用ストリップ線路、および高周波用導波管アンテナと高周波給電用ストリップ線路は、それぞれ結合孔(図2の8,図3の9)を介して接続されることを特徴とする。
【0008】
また、第2の本発明の導波管アンテナは、低周波用導波管アンテナ(図4の1)と、低周波用導波管アンテナの上に搭置され、低周波用導波管アンテナおよび高周波用導波管アンテナ(図4の2)に給電するための給電用ストリップ線路(図4の11)を内蔵した誘電体(図4の10)と、誘電体の上に搭置された高周波用導波管アンテナとで構成され、低周波用導波管アンテナと給電用ストリップ線路、および高周波用導波管アンテナと給電用ストリップ線路は、それぞれ結合孔を介して接続され、かつ各結合孔と給電用ストリップ線路の終端との距離は、当該電磁波の四分の一波長の奇数倍に設定したことを特徴とする。
【0009】
本発明は、このように、周波数の異なる2つの導波管アンテナをスタックし、その間に介在させた誘電体の中にストリップ線路を配して、各導波管アンテナに給電するという構成を採用したため、小型・軽量の導波管アンテナを実現できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は本発明の第1実施例としての導波管アンテナの外観図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は側面図である。図1を参照すると、この導波管アンテナは、低周波用導波管アンテナ1の上に高周波用導波管アンテナ2をスタックし、その間に導電板5で仕切られ2つの誘電体3および4を挟んだ構造になっている。誘電体3中には低周波給電用ストリップ線路6、誘電体4中には高周波給電用ストリップ線路7をそれぞれ内蔵している。導電板5は低周波用導波管アンテナ1と高周波用導波管アンテナ2を電磁波的に隔離する役割を担う。
【0012】
図2は、低周波用導波管アンテナ1と低周波給電用ストリップ線路6の接続状態を示す。この図は、図1(B)における誘電体3を低周波給電用ストリップ線路6の上面で紙面と垂直にスライスして上から下を見たときの断面図である。図2を参照すると、低周波給電用ストリップ線路6から低周波用導波管アンテナ1への給電のために楕円状の結合孔8が設けられていることが分かる。したがって、低周波給電用ストリップ線路6上の低周波電磁波は、結合孔8を介して低周波用導波管アンテナ1を励振する。
【0013】
また、図3は、高周波用導波管アンテナ2と高周波給電用ストリップ線路7の接続状態を示す。この図は、図1(B)における誘電体4を高周波給電用ストリップ線路7の下面で紙面と垂直にスライスして下から上を見たときの断面図である。図3を参照すると、高周波給電用ストリップ線路7から高周波用導波管アンテナ2への給電のために楕円状の結合孔9が設けられていることが分かる。したがって、孔周波給電用ストリップ線路7上の高周波電磁波は、結合孔9を介して高周波用導波管アンテナ2を励振する。
【0014】
次に、本実施例の動作について説明する。
【0015】
給電源(図示省略)からの電磁波は、低周波給電用ストリップ線路6上を伝播し、結合孔8から低周波用導波管アンテナ1内へ導かれ、低周波用導波管アンテナ1から空中へ放射される。また、高周波給電用ストリップ線路7上を伝播する電磁波も同様に、結合孔9から高周波用導波管アンテナ2上へ給電され、高周波用導波管アンテナ2から空中へ放射される。
【0016】
図5は、低周波給電用ストリップ線路6の終端から見た低周波給電用ストリップ線路6上における低周波電磁波(実線)の定在波の分布例と、高周波給電用ストリップ線路7の終端から見た低周波給電用ストリップ線路6上における高周波電磁波(点線)の定在波の分布例とを重畳して示す。いま、低周波電磁波の波長をλ1、導波管内波長をλg1とし、高周波電磁波の波長をλ2、導波管内波長をλg2とする。
【0017】
このとき、低周波給電用ストリップ線路3終端と結合孔8との距離L1は、結合孔8において低周波電磁波の定在波が最大となるように、L1=m×λ1/4 と設定する。また、高周波給電用ストリップ線路4終端と結合孔9との距離L2は、結合孔9において高周波電磁波の定在波が最大となるように、L2=n×λ2/44 と設定する。ここで、mおよびnは奇数である。
【0018】
更に、結合孔8と低周波用導波管アンテナ1の導波管ショート面との距離Lg1は、Lg1=m×λg1/4 となるように設定する。また、結合孔9と高周波用導波管アンテナ2の導波管ショート面との距離Lg2は、Lg2=n×λg2/4 となるように設定する。
【0019】
なお、図5の例においてはL1とλ2、L2とλ1が等しくなっているが、必ずしも等しくなっている必要はない。
【0020】
次に、本発明の他の実施例について説明する。
【0021】
図4は本発明の第2実施例としての導波管アンテナの外観図であり、図4(A)は正面図、図4(B)は側面図である。図4を参照すると、この導波管アンテナは、低周波用導波管アンテナ1の上に高周波用導波管アンテナ2をスタックし、その間に1つの誘電体10を挟んだ構造になっている。
【0022】
誘電体10中に給電用ストリップ線路11を内蔵し、低周波給電用と高周波給電用として共用する。この場合には、低周波用導波管アンテナ1と高周波用導波管アンテナ2相互のアイソレーションのため、L1=o×λ2/2、 L2=p×λ1/2 となるようにL1、L2を設定する必要がある。従って、これらの式と前述のL1およびL2の式とから、λ1/λ2=2o/m=p/2n となる必要がある。なお、oおよびpは整数である。
【0023】
しかし、実際には一方の定在波が最小で、もう一方の定在波がほぼ最大となる位置を選択することが多い。
【0024】
更に、上記2つの実施例の導波管アンテナにおいて、高周波用導波管アンテナ2の遮断周波数が、低周波電磁波の周波数f1より高くなるような内径の場合には、L2に関してL2=p×λ1/2の条件を考慮する必要がなくなり、導波管アンテナをより一層小型化することが可能である。
【0025】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明では、周波数の異なる2つの導波管アンテナをスタックし、その間に介在させた誘電体の中にストリップ線路を配して、各導波管アンテナに給電するという構成を採用したため、小型・軽量の導波管アンテナを実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としての導波管アンテナの外観図
【図2】本発明における低周波用導波管アンテナ1と低周波給電用ストリップ線路6の接続状態を示す図
【図3】本発明における高周波用導波管アンテナ2と低周波給電用ストリップ線路7の接続状態を示す図
【図4】本発明の第2実施例としての導波管アンテナの外観図
【図5】本発明の導波管アンテナの給電用ストリップ線路上における定在波の分布例を示す図
【符号の説明】
1 低周波用導波管アンテナ
2 高周波用導波管アンテナ
5 導体板
6 低周波給電用ストリップ線路
7 高周波給電用ストリップ線路
8,9 結合孔
3,4,10 誘電体
11 給電用ストリップ線路

Claims (3)

  1. 周波数の異なる2つの導波管アンテナと、該各導波管アンテナに給電するためのストリップ線路を内蔵した誘電体とを、該誘電体が前記2つの導波管アンテナの間に位置するようにスタックし、前記各導波管アンテナと前記ストリップ線路は結合孔で接続されたことを特徴とする導波管アンテナ。
  2. 低周波用導波管アンテナと、
    該低周波用導波管アンテナの上に搭置され、低周波用導波管アンテナに給電するための低周波給電用ストリップ線路を内蔵した誘電体と、
    該誘電体の上に搭置された電磁波隔離用の導電板と、
    該導電板の上に搭置され、高周波用導波管アンテナに給電するための高周波給電用ストリップ線路を内蔵した誘電体と、
    該誘電体の上に搭置された高周波用導波管アンテナとで構成され、
    前記低周波用導波管アンテナと前記低周波給電用ストリップ線路、および前記高周波用導波管アンテナと前記高周波給電用ストリップ線路は、それぞれ結合孔を介して接続されることを特徴とする導波管アンテナ。
  3. 低周波用導波管アンテナと、
    該低周波用導波管アンテナの上に搭置され、低周波用導波管アンテナおよび高周波用導波管アンテナに給電するための給電用ストリップ線路を内蔵した誘電体と、
    該誘電体の上に搭置された前記高周波用導波管アンテナとで構成され、
    前記低周波用導波管アンテナと前記給電用ストリップ線路、および前記高周波用導波管アンテナと前記給電用ストリップ線路は、それぞれ結合孔を介して接続され、
    かつ前記各結合孔と前記給電用ストリップ線路の終端との距離は、当該電磁波の四分の一波長の奇数倍に設定したことを特徴とする導波管アンテナ。
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