JP4568235B2 - 伝送路変換器 - Google Patents

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Description

本発明は、誘電体基板上に導波管が形成された伝送路変換器に関する。
近年、大容量高速通信や自動車レーダなどにおいて、ミリ波を用いた各種システムの開発が進められている。このようなミリ波システムの実現に必要な要素技術の一つとして、導波管とマイクロストリップ線路等の誘電体基板上に形成された平面線路とを接続し、導波管により伝送される電力と平面線路により伝送される電力とを相互に変換する伝送路変換器が知られている。
具体的には、図9に示す様に、導波管を、セラミックス製の誘電体基板P1を挟んで一体に固定される短絡用部分導波管P2と伝送用部分導波管P3とで構成し、これら両部分導波管P1、P2を、誘電体基板P1に形成されたストリップ線路P4の先端(開放端)が、導波管の内部に位置するように配置し、これにより導波管内に突出したストリップ線路P4の先端を、導波管励振用アンテナP5として用いるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−261312号公報
ところで、ミリ波を扱うシステムでは、システムを構成する各構成部品が非常に小さなものとなるため、装置を小型化ができる反面、部品製造時や部品組立時の加工バラツキにより、特性のばらつきが生じやすい。
具体的には、上述した様に、誘電体基板P1を挟んで伝送用部分導波管P3の反対側に金属蓋である短絡用部分導波管P2を取り付ける場合には、短絡用部分導波管P2の加工精度や誘電体基板P1に対する組み付け性が悪く、量産に不向きであるという問題があった。
また、誘電体基板P1に伝送用部分導波管P3を取り付ける際に、伝送用部分導波管P3の取付位置がずれると、特性が変化するという問題があった。つまり、導波管励振用アンテナP5と対向する面(即ち伝送用部分導波管P3が取り付けられる面)にはグランドパターンP6が形成されており、この導波管励振用アンテナP5の先端とグランドパターンP6との距離が変化すると特性に大きな影響を与えるので、伝送用部分導波管P3の取付位置がずれると、グランドパターンP6がずれたのと同様な影響があるという問題があった。
これに対して、加工や取付精度のバラツキを小さくすることが考えられるが、そのためには、部品製造や部品組立を非常に高い加工精度で行うことが要求され、膨大な手間とコストを要するという問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、大量生産に好適であり、加工や取付時にバラツキがあっても、特性に変化を与えることを防止できる伝送路変換器を提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するためになされた請求項1の発明の伝送路変換器は、主誘電体基板と、前記主誘電体基板の一方の表面側に取り付けられた導波管と、前記主誘電体基板の他方の表面側に積層された短絡側誘電体基板と、前記主誘電体基板及び前記短絡側誘電体基板に形成され、一端が短絡された誘電体導波路と、前記主誘電体基板又は前記短絡側誘電体基板に設けられた平面線路と、前記平面線路に電気的に接続されると共に、前記誘電体導波路の短絡端から所定間隔だけ離れた誘電体導波路内部のアンテナ設定位置に配置された励振アンテナと、を備え、前記導波管及び前記誘電体導波路により伝送される電力と、前記励振アンテナにより伝送される電力とを相互に変換する伝送路変換器において、前記誘電体導波路は、前記導波管の電力伝送方向の垂直断面を当該電力伝送方向に投影した投影領域の範囲の内側にあり、前記主誘電体基板の前記導波管側に第1グランドパターンを備えるとともに、前記主誘電体基板の前記短絡端側に前記励振アンテナと同一平面にて対向する第2グランドパターンを備え、前記第1グランドパターンと前記第2グランドパターンとは、前記主誘電体基板内に設けられた導体部により電気的に接続されており、前記第1グランドパターンと前記第2グランドパターンとの前記励起アンテナと反対側の端部は、前記投影領域の外周より前記励起アンテナ側に向かって張り出して形成されるとともに、前記第2グランドパターンは、前記第1グランドパターンよりも前記励振アンテナ側に張り出して形成されることを特徴とする。
このように構成された本発明では、基本的に、誘電体導波路を伝搬する高周波が短絡端で反射することにより、誘電体導波路内に定在波が生じる。そして、この定在波の腹の部分がアンテナ設置位置となるように励振アンテナ(導波管励振アンテナ)を配置することにより、導波管を伝搬する電力は、誘電体導波路から平面線路を伝搬する電力へと効率良く変換され、また、その逆も同様に効率良く変換される。
特に本発明では、従来の様な金属蓋を用いて一端が短絡された導波路を構成するのではなく、主誘電体基板の他方の側(即ち導波管とは逆の側)に短絡側誘電体基板を積層し、この短絡側誘電体基板を用いて誘電体導波路を構成している。
従って、従来の金属蓋を用いた場合の様に、組み付け性が悪いという問題も無く、大量生産に適しているという顕著な効果を奏する。
また、本発明では、誘電体導波路は、導波管の電力伝送方向の垂直断面を当該電力伝送方向に投影した投影領域の範囲の内側に形成されている。
本発明では、誘電体導波路は(電力伝送方向において)導波管の横断面(電力伝送方向と垂直の断面)の投影領域の内側に設けられている。従って、電磁波の高次モードの発生が抑制されるので、伝送ロスを低減できるという顕著な効果を奏する。
更に、本発明では、主誘電体基板の導波管側に第1グランドパターンを備えるとともに、主誘電体基板の短絡端側に励振アンテナと同一平面にて対向する第2グランドパターンを備え、第1グランドパターンと第2グランドパターンとは、主誘電体基板内に設けられた導体部により電気的に接続されており、第1グランドパターンと第2グランドパターンとの励起アンテナと反対側の端部は、投影領域の外周より励起アンテナ側に向かって張り出して形成されるとともに、第2グランドパターンは、前記第1グランドパターンよりも励振アンテナ側に張り出して形成されている
つまり、本発明では、上述した張り出しにより、励振アンテナと(該励振アンテナと)同一平面にて対向する第2グランドパターンとの間隔を調節することができる。これによって、誘電体導波路内にて2重共振を発生させ、電力伝送の周波数特性を広帯域特性にできる。
)請求項の発明では、前記誘電体導波路は、前記導体部により囲まれていることを特徴とする。
本発明は、電力伝送方向から見た場合の誘電体導波路の領域を例示したものである。この誘電体導波路が導体部により囲まれて形成されていることにより、誘電体基板からの電磁界の漏出を抑制できるため、伝送路変換器の変換効率が低下してしまうことを防止できる。
ここで、導体部としては、スルーホールやビアが挙げられる。尚、グランドパターンとは接地されているパターンのことを示している(以下同様)。
)請求項の発明は、前記励振アンテナの入力部に、インピーダンス変成器を備えたことを特徴とする。
ここで、入力部とは、平面線路と励振アンテナとの接続部分であり、この入力部にてインピーダンス整合することにより、低損失で高効率での変換を実現できる。
)請求項の発明は、前記励振アンテナの設置位置と前記誘電体導波路の短絡端との間隔が、伝送信号の誘電体導波路内波長の約1/4であることを特徴とする。
本発明は、励振アンテナの設置位置と誘電体導波路の短絡端との間隔の設定方法を示したものである。ここで、アンテナ設定位置を規程する所定間隔は、定在波の腹となる位置であればよいが、短絡側誘電体基板の厚みは必要最小限であることが望ましいため、前記間隔を伝送信号の誘電体導波路内波長(λp)の約1/4とすることが望ましい。但し、必ずしも正確に1/4である必要はなく、仕様に応じて許容範囲内で設定すればよい。
)請求項の発明では、前記平面線路は、マイクロストリップ線路であることを特徴とする。
本発明は、平面線路を例示したものである。つまり、平面線路は、例えば、スロット線路、コプレナ線路、ストリップ線路、マイクロストリップ線路、トリプレート型の線路など、誘電体基板上に形成されるものであれば何でもよいが、特に、構造が簡単なマイクロストリップ線路であることが望ましい。
)請求項の発明では、前記主誘電体基板は、複数の誘電体基板が積層されたものであることを特徴とする。
本発明は、主誘電体基板の構成を例示したものである。例えば前記各誘電体基板の表面には、導体パターン等が形成され、各導体パターンは、スルーホールやビアにより接続できる。
)請求項の発明で、前記短絡側誘電体基板は、複数の誘電体基板が積層されたものであることを特徴とする。
本発明は、短絡側誘電体基板の構成を例示したものである。例えば前記各誘電体基板の表面には、グランドパターン等が形成され、各グランドパターンは、スルーホールやビアにより接続できる。尚、例えば、最外層の誘電体基板の外側にグランドパターンが形成されている場合には、このグランドパターンにて誘電体導波路が短絡することになる。
)請求項の発明では、前記平面線路と前記励振アンテナとが、前記電力伝送方向において異なる位置にあり、前記平面線路と前記励振アンテナとが導体部により電気的に接続されていることを特徴とする。
本発明は、短絡側誘電体基板が例えば複数の誘電体基板から構成されている場合を例示している。つまり、ある誘電体基板の表面に平面線路が形成され、他の誘電体基板の表面に励振アンテナが構成されている場合には、この平面線路と励振アンテナとをスルーホールやビアを介して電気的に接続することができる。
)請求項の発明は、前記第1グランドパターンは、少なくとも前記平面線路側の端部が、前記投影領域の外周より内側に張り出して形成されていることを特徴とする。
伝送路変換器の変換特性(反射特性ひいては動波周波数帯域)は、導波路の内部側に突出した励起アンテナの先端と第1グランドパターンとの間隔(平面線路側の第1グランドパターンとの間隔:設定長)に依存して大きく変動する。そのため、安定した変換特性を得るためには、アンテナ設定位置における導波管の内部空間の断面形状(電力伝送方向の垂直断面)が常に一定となるように、導波管を高い精度で誘電体基板に組み付ける必要がある。
これに対して、本発明の伝送路変換器によれば、第1グランドパターンの平面線路側の端部が、導波管の断面形状の投影領域よりも内部(中空部)側に突出している。よって、導波管が内部側に多少ずれて固定されたとしても、励振アンテナとグランドパターンとの間隔(特に前記設定長)は全く変化しないため、安定した変換特性を得ることができる。
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
なお、下記の第3実施形態が、本発明(請求項1)の内容を例示しており、第1、2、4〜7実施形態は、本発明の構成の一部を含む参考例又は本発明に加えることができる構成を含む参考例である。
[第1実施形態]
図1は、本発明が適用されたマイクロストリップ線路−導波管変換器(以下、「MSL−WG変換器」と称する。)の構造を分解して示す分解斜視図、図2(a)〜(c)は、MSL−WG変換器を電力伝送方向(軸方向)に垂直に破断した断面を示す説明図、図2(d)は、MSL−WG変換器を軸方向に破断した説明図である。但し、図1,2において、誘電体基板の厚さや誘電体基板上に形成されたパターンの厚さは、図面を見易くして構造を理解し易くするために、実際のものより強調(厚く)して示している(以下同様)。
図1及び図2に示すように、本実施形態のMSL−WG変換器1は、誘電体である例えばアルミナからなる主(第1)誘電体基板3と、第1誘電体基板3の一方の表面側(電波の送信方向である先端方向:図1の下方)に接続された導波管5と、第1誘電体基板3の他方の表面(短絡端側の方向である後端方向:図1の上方)に積層された例えばアルミナからなる短絡側(第2)誘電体基板7とを備えている。
前記第1誘電体基板3の先端側の表面には、導電性材料(例えば金属薄膜等)からなる第1グランドパターン(接地パターン)9が形成され、その第1グランドパターン9上に導波管5が配置されている。
この導波管5は、例えばアルミニウムからなる四角筒状の方形導波管であり、この導波管5の断面長方形の貫通孔(中空部)15の一方の開放端が、第1グランドパターン9に接するように配置され、ろう付け(又はネジ止め)によって第1誘電体基板3に固定されている。
一方、前記第1誘電体基板3の後端側の表面、即ち第1誘電体基板3と第2誘電体基板7との間には、同様な導電材料からなる第2グランドパターン11が形成されており、第2誘電体基板7の後端側には第3グランドパターン13が形成されている。
図2(c)に示す様に、第1グランドパターン9の中央には、長方形の開口部17が設けられている。この開口部17は、導波管5の貫通孔15の投影領域(図2(c)にて破線で囲まれた領域)以内となるように形成されている。
具体的には、開口部17の下端は、導波管5の貫通孔15の下端と一致しているが、開口部17の左右端は、導波管5の貫通孔15の左右端より内部側に張り出すように形成されており、開口部17の上端は、導波管5の貫通孔15の上端より、所定の突出量p1にて内部側に張り出すように形成されている。
尚、ここで投影領域とは、導波管5(従ってその貫通孔15)を電力伝送方向(図2(d)の左右方向)に対して垂直に切断した場合に、その断面を電力伝送方向に投影した領域を示している(以下、投影方法に関しては同じ)。
図2(b)に示す様に、第2グランドパターン11の中央にも、前記開口部17と同様な開口部19が設けられているが、この開口部19の同図下方は切りかかれて開口している。つまり、第2グランドパターン11の開口部19は、後述する給電パターン21と接触することがないように切り欠かれている。尚、この開口部19も、所定の突出量p1だけ内側に張り出している。
図2(a)に示す様に、第3グランドパターン13は、第1、2グランドパターン9、19のような開口部17、19はなく、その開口部17、19の投影領域を覆うとともに、第2誘電体基板7の後端面のほぼ全面を覆うように形成されている。
そして、第1グランドパターン9、第2グランドパターン11、第3グランドパターン13は、それぞれスルーホール(又はビア)23、25を介して、電気的に接続されている。
このスルーホール23、25は、各開口部17、19の左右と上部とを囲むように略コの字状に配置されている。また、スルーホール23、25の配置間隔は、各グランドパターン9〜13の間からの電磁界の漏洩が効果的に抑制されるように、伝送信号の基板内波長をλr(λr=λo/√(εγ)、但し、εγは比誘電率、λoは自由空間波長)として、使用周波数の電波がカットオフになるλr/2以下となるように設定されている。
また、本実施形態においては、高周波はMSL−WG変換器1の導波管5及び第1、2誘電体基板3、7内を伝搬するが、その第1、2誘電体基板3、7内における高周波の伝搬経路である誘電体導波路は、スルーホール23、25で囲まれた投影領域にある。
この誘電体導波路の投影領域(従って、実質的に第1、第2グランドパターン9、11の開口部17、19)の大きさは、第1、第2誘電体基板3、7の誘電体導波路内波長λpに応じて狭く設定する。具体的には、誘電体導波路内波長λpが短いほど誘電体導波路の投影領域を小さくする。

ここで、誘電体導波路内波長(λp)は導波管内波長(λ)とは異なり、誘電体の種類により定まっている。具体的には、下記式(1)により求めることができる。


λp=λo/√(εγ−(λo/2Ae)2) ・・・(1)

但し、εγ:比誘電率、Ae:導波管の横断面の長径、λo:自由空間波長

尚、前記第3グランドパターン13が、前記誘電体導波路の短絡端であり、その短絡端から導波管励起アンテナ29までの所定間隔sは、伝送信号(設計周波数)の誘電体導波路内波長をλpとして、s≒λp/4となるように設定されている。
また、前記給電パターン21は、マイクロストリップ線路である平面線路27と平面線路27の先端に接続された導波管励起アンテナ29とから構成されている。
この導波管励起アンテナ29は、第1誘電体基板21の後端側の表面に形成されており、図2(b)に示す様に、その先端と開口部19の下端との間の間隔は、所定の特性を得るために、所定の設定長lに設定されている。
以上詳述した様に、本実施形態のMSL−WG変換器1では、誘電体基板を多層に積層した多層基板を用いることにより、従来の金属蓋を用いた場合と同様な広帯域特性のMSL−WG変換器1を実現できる。
また、導波管5及び第1、2誘電体基板3、7を伝搬し、短絡端で反射した高周波が、第1、2誘電体基板3、7内で定在波を発生させ、その腹の部分に導波管励振アンテナ29が位置することになるため、導波管5等を伝搬する電力は 平面線路27を伝搬する電力へと効率良く変換され、また、その逆も同様に効率良く変換される。
特に本実施形態では、従来の様な金属蓋を用いて一端が短絡された導波路を構成するのではなく、第1誘電体基板3の他方の側(即ち導波管5とは逆の側)に第2誘電体基板7を積層し、この第2誘電体基板7及び第1誘電体基板3により誘電体導波路を構成している。従って、従来の金属蓋を用いた場合の様に、組み付け性が悪いという問題も無く、大量生産に適しているという顕著な効果を奏する。
また、本実施形態では、誘電体導波路は、導波管5の電力伝送方向の垂直断面をその電力伝送方向に投影した投影領域の範囲以内に形成されている。従って、電磁波の高次モードの発生が抑制されるので、伝送ロスを低減できるという顕著な効果を奏する。
更に、本実施形態では、図2(d)に示す様に、第1グランドシート9の開口部17の上端は、導波管5の貫通孔15の上端より内部側に張り出している。このため、この張出部分9aにおいて、導波管5の固定位置が内部側に多少ずれて固定されたとしても、導波管励振アンテナ29と張出部分9aとの間隔gは全く変化することがない。よって、加工バラツキによって変換特性(反射特性)が大きく劣化してしまうことがないため、安定した変換特性を得ることができる。
尚、本実施形態のMSL−WG変換器1を製造する工程においては、第1、2誘電体基板3、7の積層体をセラミックスで形成する場合には、セラミックスのグリーンシートに導電パターンを印刷したものを積層し焼成することにより形成できる。また、第1、2誘電体基板3、7の積層体を樹脂で形成する場合には、樹脂シートと導電シートを貼り合わせることにより形成できる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
図3(a)は、第2グランドパターンにおける電力伝送方向の垂直断面を示す説明図、図3(b)は、MSL−WG変換器を軸方向に破断した説明図である。尚、図3(a)には、第1グランドパターンの張出部分を一点鎖線で示してある。
図3(a)、(b)に示す様に、本実施形態では、第1グランドパターン31の開口部33の下端は、前記第1実施形態の第1グランドパターンに比べて、導波管35の貫通孔37の内部側に、大きく張り出している。
つまり、第1グランドパターン31の開口部33の下端は、所定の突出量p2だけ上方に張り出している。それによって、その張出部分31aの先端(上端)と導波管励振アンテナ39との先端との間隔(設定量l)は、予め第1実施形態と同程度となるように設定されており、導波管35の下側部分35aは、第1グランドパターン31の張出部分31aより下側に位置している。
上述した構成によって、前記第1実施形態と同様な効果を奏するとともに、導波管35の下側部分35aが、第1グランドパターン31の張出部分31aより下側に位置していることにより、導波管35が内部側に多少ずれて固定されたとしても、導波管励振アンテナ39と第1グランドパターン31との設定長lは全く変化しないため、安定した変換特性を得ることができるという利点がある。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
図4(a)は、第2グランドパターンにおける電力伝送方向の垂直断面を示す説明図、図4(b)は、MSL−WG変換器を軸方向に破断した説明図である。
図4に示す様に、本実施形態では、第2グランドパターン43は、前記第1実施形態の第2グランドパターンより下方(導波管45の貫通孔47の内部側)に、大きく張り出している。
つまり、本実施形態の第2グランドパターン43の張出部分43aの突出量p3は、第1実施形態の第2グランドパターンより大きく設定されており、それによって、第2グランドパターン43の張出部分43aの先端(下端)と導波管励振アンテナ49との先端との間隔が小さくなっている。
この間隔を狭くすることによって、第1、2誘電体基板3、7の誘電体導波路内にて2重共振を発生させ、電力伝送の周波数特性を広帯域特性にできるという利点がある。
また、第1グランドパターン41の張出部分41aは、突出量p1だけ内部側(同図下方)に突出している。これによって、導波管45が内部側に多少ずれて固定されたとしても、導波管励振アンテナ49と第1グランドパターン41との間隔gは全く変化しないため、安定した変換特性を得ることができるという利点がある。
尚、前記第2実施形態の開口部分における下方の張出部分31aの構成と、本実施形態の開口部分における上方の張出部分41aの構成を組み合わせると、安定した変換特性を得る上で、一層好適である。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
図5(a)〜(c)は、MSL−WG変換器を電力伝送方向に垂直に破断した断面を示す説明図、図5(d)は、MSL−WG変換器を軸方向に破断した説明図である。
図5(d)に示す様に、本実施形態では、平面線路51と導波管励振アンテナ53とが異なる平面に形成されている。
つまり、導波管励振アンテナ53は、第1誘電体基板55の後端側(同図左側)にて、第2グランドパターン57と同一平面に形成されているが、平面線路51は、第2誘電体基板59の後端側にて、第3グランドパターン61と同一平面に形成され、平面線路51と導波管励振アンテナ53とは、スルーホール(又はビア)63にて、電気的に接続されている。
そして、上述した構成に対応して、図5(a)に示す様に、平面線路51に接触しないように、凹状に切り欠かれた第3グランドパターン61が形成されている。また、図5(b)に示す様に、導波管励振アンテナ53に接触しないように周りを囲んで、略T字状の開口部65を有する第2グランドパターン57が形成されている。更に、図5(c)に示す様に、前記第1実施形態と同様な開口部67を有する第1グランドパターン69が形成されている。
尚、第1〜3グランドパターン69、57、61を接続するスルーホールは71、73は、前記第2グランドパターン57の開口部65の形状に合わせて、開口部65を囲むように配置されている。
これによって、前記第1実施形態と同様な効果を奏するとともに、平面線路51と導波管励振アンテナ53とが異なる平面に形成されているので、平面線路51などを形成する際の制限を緩和でき、設計の自由度が向上するという利点がある。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
図6(a)〜(d)は、MSL−WG変換器を電力伝送方向に垂直に破断した断面を示す説明図、図6(e)は、MSL−WG変換器を軸方向に破断した説明図である。
図6(e)に示す様に、本実施形態では、第1誘電体基板81以外に、第2、第3誘電体基板83、85を備えている。尚、この第2、3誘電体基板83、85が、短絡側誘電体基板に相当する。
それに応じて、先端側(同図右側)より、第1グランドパターン87、第2グランドパターン89、第3グランドパターン91、第4グランドパターン93が形成され、それらは、スルーホール(又はビア)95、97、99により、それぞれ電気的に接続されている。
また、本実施形態でも、平面線路101と導波管励振アンテナ103とが異なる平面に形成されている。
つまり、導波管励振アンテナ103は、第1誘電体基板81の後端側(同図左側)にて、第2グランドパターン89と同一平面に形成されているが、平面線路101は、第3誘電体基板85の後端側にて、第4グランドパターン93と同一平面に形成され、平面線路101と導波管励振アンテナ103とは、スルーホール(又はビア)105にて、電気的に接続されている。
そして、上述した構成に対応して、図6(a)に示す様に、平面線路101に接触しないように、凹状に切り欠かれた第4グランドパターン93が形成されている。また、図6(b)に示す様に、平面線路101に接触しないように形成された小さな開口部107と前記第1実施形態と同様な開口部109とを有する第3グランドパターン91が形成されている。更に、図6(c)に示す様に、平面線路101に接触しないように周りを囲んで、略T字状の開口部111を有する第2グランドパターン89が形成されている。その上、図6(d)に示す様に、前記第1実施形態と同様な開口部113を有する第1グランドパターン87が形成されている。
これによって、前記第3実施形態と同様な効果を奏するとともに、誘電体導波路の短絡端から第1誘電体基板81までの所定間隔sを容易に長く設定でき、設計の自由度が向上するという利点がある。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
図7は、MSL−WG変換器を電力伝送方向に垂直に破断した断面を示す説明図である。
本実施形態では、前記第1実施形態の図2(a)に示す給電パターンを変更したものである。
具体的には、図7に示す様に、本実施形態では、第1誘電体基板121の後端側(短絡側)には、第2グランドパターン123と給電パターン125とが形成されており、特に、給電パターン125を構成する平面線路117と導波管励振アンテナ129との接続部分、即ち、導波管励振アンテナ129の入力部は、そのパターンの幅が狭くされ、インピーダンス変成器131として構成されている。
これによって、前記第1実施形態と同様な効果を奏するとともに、インピーダンス変成器131にてインピーダンス整合することにより、低損失で高効率での変換を実現できるという利点がある。
[第7実施形態]
次に、第7実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
図8は、MSL−WG変換器を電力伝送方向に垂直に破断した断面を示す説明図である。
図8に示す様に、本実施形態は、前記第1〜第6実施形態のMSL−WG変換器とは異なり、導波管141は、セラミックス製の誘電体基板143を挟んで一体に固定される短絡用部分導波管145と伝送用部分導波管157とで構成されている。
そして、これら両部分導波管145、147を、誘電体基板143に形成された平面線路149の先端(開放端)が、導波管141の内部に位置するように配置し、これにより導波管141内に突出した平面線路149の先端を、導波管励振用アンテナ151として用いる。
特に、本実施形態では、前記第2実施形態と同様に、第1グランドパターン153の開口部155の下端は、伝送用部分導波管147の貫通孔157の内部側に、大きく張り出している。
つまり、第1グランドパターン153の開口部155の下端は、所定の突出量p2だけ上方に張り出している。それによって、その張出部分153aの先端(上端)と導波管励振アンテナ151との先端との間隔(設定量l)は、第1実施形態より小さくなっており、伝送用部分導波管147の下側部分147aは、第1グランドパターン153の張出部分153aより下側に位置している。
上述した構成によって、伝送用部分導波管147が内部側に多少ずれて固定されたとしても、導波管励振アンテナ151と第1グランドパターン153との設定長lは全く変化しないため、安定した変換特性を得ることができるという利点がある。
第1実施形態のMSL−WG変換器を分解して示す斜視図である。 (a)は第2誘電体基板を後端側から見た説明図、(b)は第1誘電体基板を後端側から見た説明図、(c)は第1グランドパターンを後端側から見た説明図、(d)はMSL−WG変換器を軸方向に沿って破断した断面図である。 (a)は第2実施形態の第1誘電体基板を後端側から見た説明図、(b)はMSL−WG変換器を軸方向に沿って破断した断面図である。 (a)は第3実施形態の第1誘電体基板を後端側から見た説明図、(b)はMSL−WG変換器を軸方向に沿って破断した断面図である。 (a)は第4実施形態の第1誘電体基板を後端側から見た説明図、(b)は第2誘電体基板を後端側から見た説明図、(c)は第1グランドパターンを後端側から見た説明図、(d)はMSL−WG変換器を軸方向に沿って破断した断面図である。 (a)は第5実施形態の第3誘電体基板を後端側から見た説明図、(b)は第2誘電体基板を後端側から見た説明図、(c)は第1誘電体基板を後端側から見た説明図、(d)は第1グランドパターンを後端側から見た説明図、(e)はMSL−WG変換器を軸方向に沿って破断した断面図である。 第6実施形態の第1誘電体基板を後端側から見た説明図である。 第7実施形態のMSL−WG変換器を軸方向に沿って破断した断面図である。 従来技術の説明図である。
符号の説明
1…MSL−WG変換器
5、35、45、141…導波管
3、55、81、121…第1誘電体基板
7、59、83…第2誘電体基板
9、31、41、69、87、153…第1グランドパターン
11、43、57、89、123…第2グランドパターン
13、61、91…第3グランドパターン
15、37、47…貫通孔(中空部)
21、125…給電線パターン
27、51、101、127、149…平面線路(マイクロストリップ線路)
29、39、49、53、151、103、129、151…導波管励振アンテナ
85…第3誘電体基板
93…第4グランドパターン
131…インピーダンス変成器
143…誘電体基板、
145…短絡用部分導波管
147…伝送用部分導波管

Claims (9)

  1. 主誘電体基板と、
    前記主誘電体基板の一方の表面側に取り付けられた導波管と、
    前記主誘電体基板の他方の表面側に積層された短絡側誘電体基板と、
    前記主誘電体基板及び前記短絡側誘電体基板に形成され、一端が短絡された誘電体導波路と、
    前記主誘電体基板又は前記短絡側誘電体基板に設けられた平面線路と、
    前記平面線路に電気的に接続されると共に、前記誘電体導波路の短絡端から所定間隔だけ離れた誘電体導波路内部のアンテナ設定位置に配置された励振アンテナと、
    を備え、
    前記導波管及び前記誘電体導波路により伝送される電力と、前記励振アンテナにより伝送される電力とを相互に変換する伝送路変換器において、
    前記誘電体導波路は、前記導波管の電力伝送方向の垂直断面を当該電力伝送方向に投影した投影領域の範囲の内側にあり、
    前記主誘電体基板の前記導波管側の表面に第1グランドパターンを備えるとともに、前記主誘電体基板の前記短絡端側の表面に前記励振アンテナと同一平面にて対向する第2グランドパターンを備え、
    前記第1グランドパターンと前記第2グランドパターンとは、前記主誘電体基板内に設けられた導体部により電気的に接続されており、
    前記第1グランドパターンと前記第2グランドパターンとの前記励起アンテナと反対側の端部は、前記投影領域の外周より前記励起アンテナ側に向かって張り出して形成されるとともに、
    前記第2グランドパターンは、前記第1グランドパターンよりも前記励振アンテナ側に張り出して形成されることを特徴とする伝送路変換器。
  2. 前記誘電体導波路は、前記導体部により囲まれていることを特徴とする請求項1に記載の伝送路変換器。
  3. 前記励振アンテナの入力部に、インピーダンス変成器を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の伝送路変換器。
  4. 前記励振アンテナの設置位置と前記誘電体導波路の短絡端との間隔が、伝送信号の誘電体導波路内波長の約1/4であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の伝送路変換器。
  5. 前記平面線路は、マイクロストリップ線路であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の伝送路変換器。
  6. 前記主誘電体基板は、複数の誘電体基板が積層されたものであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の伝送路変換器。
  7. 前記短絡側誘電体基板は、複数の誘電体基板が積層されたものであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の伝送路変換器。
  8. 前記平面線路と前記励振アンテナとが、前記電力伝送方向において異なる位置にあり、前記平面線路と前記励振アンテナとが導体部により電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の伝送路変換器。
  9. 前記第1グランドパターンは、少なくとも前記平面線路側の端部が、前記投影領域の外周より内側に張り出して形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の伝送路変換器。
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