JP3891918B2 - 高周波モジュール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波またはミリ波などの高周波帯域の信号の伝搬に用いられる高周波モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、マイクロ波帯やミリ波帯等の高周波信号を伝送するための伝送路としては、ストリップ線路、マイクロストリップ線路、同軸線路、導波管、および誘電体導波管などが知られている。これらはまた、高周波用の共振器およびフィルタを構成するものとして知られている。また、これら高周波用の構成要素をモジュール化したものとしては、MMIC(モノリシックマイクロ波集積回路)などがある。以下、高周波用の伝送路およびフィルタなどを構成するマイクロストリップ線路、および導波管などを総称して、導波路と呼ぶ。
【0003】
ここで、導波路における電磁波の伝搬モードについて説明する。図19(A),(B)は、矩形導波管におけるTEモード(TE10モード)と呼ばれる状態での電界分布(同図(A))と磁界分布(同図(B))とを示している。図19(A),(B)において、断面S1〜S5の位置はそれぞれ対応している。また図20には、断面S1における電磁界分布を示す。これらの図に示したように、断面方向にのみ電界成分があり、電磁波の進行方向(管軸方向)Zには電界成分が存在しないような状態を「TEモード」と呼ぶ。
【0004】
また、図21(A),(B)は、TMモード(TM11モード)と呼ばれる状態での電磁界分布を示している。図21(A)は、管軸方向Zに直交するXY断面内での電磁界分布を示し、図21(B)は、側面のYZ断面内での電磁界分布を示している。これらの図に示したように、断面方向にのみ磁界成分があり、電磁波の進行方向Zには磁界成分が存在しないような状態を「TMモード」と呼ぶ。
【0005】
なお、これら各モードにおいて、電界Eに平行な面は「E面」、磁界Hに平行な面は「H面」と呼ばれる。図19(A),(B)のTEモードの例では、XY平面に平行な面がE面、XZ平面に平行な面がH面となる。
【0006】
一方、図22(A),(B)に示したマイクロストリップ線路および同軸線路などにおいては、TEMモードと呼ばれる状態が存在する。ここで、マイクロストリップ線路とは、図22(A)に示したように、誘電体102を挟んでグランド(接地)導体101と、線路状の導体よりなる線路パターン103とを対向配置したものである。同軸線路は、図22(B)に示したように、中心導体111の周囲を円筒状のグランド導体112によって取り囲んだものである。
【0007】
図23(A),(B)は、それぞれマイクロストリップ線路および同軸線路におけるTEMモードでの電磁界分布を示している。これらの図に示したように、電界成分と磁界成分の双方が断面内にのみ存在し、電磁波の進行方向Zにはそれらの成分が存在しないような状態を「TEMモード」と呼ぶ。
【0008】
ところで、複数の導波路を有する高周波モジュールにおいては、各導波路を相互接続する構造が必要となる。特に、異なるモードの導波路を接続する場合には、各導波路間でモード変換を行うための構造が必要とされる。
【0009】
従来、マイクロストリップ線路と導波管とを接続する構造としては、例えば、図24に示したように、管路中央にリッジ部121を設けたいわゆるリッジ導波管の構成にする方法が知られている。マイクロストリップ線路の線路パターン103は、リッジ部121が設けられている部分に挿入される。この場合、マイクロストリップ線路がTEMモード、リッジ導波管がTEモードであるものとすると、マイクロストリップ線路における電界分布は、図25(A)、リッジ部121における電界分布は、図25(B)に示したようになる。接続部分において、双方の電界分布を合わせることにより、マイクロストリップ線路とリッジ導波管との間で、モード変換が行われる。
【0010】
ところで最近では、多層構造の配線基板内に、積層技術によって誘電体導波管線路を形成したものが知られている。これは、誘電体を挟んで積層された複数のグランド導体と、内面がメタライズされ、グランド導体間を導通するようになされたスルーホールとを備え、これらグランド導体とスルーホールとで囲まれた領域内で電磁波を伝搬するようにしたものである。この多層構造の導波管をマイクロストリップ線路に接続する構造としては、例えば以下の特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載された構造は、基本的にリッジ導波管を用いた構造と同様であり、導波路の中央部にスルーホールを用いて階段状に擬似的なリッジ部を形成している。
【0011】
そのほか、異なる種類の導波路を接続する構造としては、誘電体共振器における底辺の端部に入出力端子電極を備え、この入出力端子電極をプリント基板上の線路パターンに結合する例もある(特許文献2)。
【0012】
【特許文献1】
特開2000−216605号公報
【特許文献2】
特開2002−135003号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このように、異なる導波路を接続する構造は従来よりいくつか知られているが、その一方で、多層構造の導波管については比較的最近の技術であり、異種導波路との接続構造に関して、まだ開発が不十分なところがある。特に、TEMモードの導波路と多層構造の導波管とを接続する場合において、それらの間のモード変換を適切に行うための変換構造については、改善の余地がある。
【0014】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、複数の導波路間において、TEMモードとその他のモードとのモード変換を良好に行うことができる高周波モジュールを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の観点に係る高周波モジュールは、TEMモードの電磁波を伝搬する第1の導波路と、この第1の導波路に結合され、TEMモードとは異なる他のモードの電磁波を伝搬する第2の導波路とを備えている。第2の導波路は、互いに対向する少なくとも2層のグランド電極と、少なくとも2層のグランド電極間を導通する導通体とにより囲まれた領域を有し、その領域内を電磁波が伝搬するようになされている。第1の導波路は、第2の導波路における対向するグランド電極の間に位置すると共に、グランド電極の積層方向に直交する方向に延在し、その端部が、積層方向に直交する方向側から、導通体を介して間接的に第2の導波路のグランド電極のひとつに導通されている。また、第1の導波路と第2の導波路とが、第1の導波路に伝搬される電磁波の磁界の方向と第2の導波路に伝搬される電磁波の磁界の方向とが一致するように、第2の導波路のE面において磁界結合されている。
なお、第1の導波路の結合部分において、第1の導波路が導通されたグランド電極側、またはその反対側の少なくとも一方に窓を設けるようにしても良い。
【0016】
本発明の第2の観点に係る高周波モジュールは、TEMモードの電磁波を伝搬する第1の導波路と、この第1の導波路に結合され、TEMモードとは異なる他のモードの電磁波を伝搬する第2の導波路とを備えている。第2の導波路は、互いに対向する少なくとも2層のグランド電極と、少なくとも2層のグランド電極間を導通する導通体とにより囲まれた領域を有し、その領域内を電磁波が伝搬するようになされている。第1の導波路は、グランド電極の積層方向に直交する方向に延在し、その端部が、積層方向に直交する方向側から、直接または間接的に第2の導波路のグランド電極のひとつに導通されている。また、第1の導波路と第2の導波路とが、第1の導波路に伝搬される電磁波の磁界の方向と第2の導波路に伝搬される電磁波の磁界の方向とが一致するように、第2の導波路のE面において磁界結合され、第1の導波路と第2の導波路との結合部分に、結合調整用の貫通導体が設けられている。
【0017】
本発明の第3の観点に係る高周波モジュールは、TEMモードの電磁波を伝搬する第1の導波路と、この第1の導波路に結合され、TEMモードとは異なる他のモードの電磁波を伝搬する第2の導波路とを備えている。第2の導波路は、互いに対向するように積層された3層以上のグランド電極と、各グランド電極間を導通する導通体とを有すると共に、各グランド電極と導通体とにより囲まれた電磁波の伝搬領域を積層方向に複数有している。第1の導波路は、グランド電極の積層方向に直交する方向に延在し、その端部が、積層方向に直交する方向側から、第2の導波路における隣接する伝搬領域間のグランド電極に導通されている。また、第1の導波路と第2の導波路とが、第1の導波路に伝搬される電磁波の磁界の方向と第2の導波路に伝搬される電磁波の磁界の方向とが一致するように、第2の導波路のE面において磁界結合されている。
この場合、第1の導波路を伝搬した電磁波が、第2の導波路における複数の伝搬領域に分岐して伝搬されるように、第1の導波路の端部が、第2の導波路における隣接する伝搬領域間のグランド電極に導通されている構成にすることもできる。
【0018】
本発明による高周波モジュールでは、第1の導波路にTEMモードの電磁波が伝搬される。第2の導波路では、互いに対向する少なくとも2層のグランド電極と、少なくとも2層のグランド電極間を導通する導通体とにより囲まれた領域内を、TEMモードとは異なる他のモードの電磁波が伝搬される。第1の導波路の端部は、グランド電極の積層方向に直交する方向側から、直接または間接的に第2の導波路のグランド電極のひとつに導通される。そして、第1の導波路と第2の導波路とが、第1の導波路に伝搬される電磁波の磁界の方向と第2の導波路に伝搬される電磁波の磁界の方向とが一致するように、第2の導波路のE面において磁界結合される。これにより、第1の導波路と第2の導波路との接続部分において、TEMモードと他のモードとのモード変換が行われる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1〜図3は、それぞれ本発明の一実施の形態に係る高周波モジュールの構成例を示している。図1〜図3のいずれの構成例も、TEMモードの電磁波を伝搬する第1の導波路と、この第1の導波路に結合され、TEMモードとは異なる他のモードの電磁波を伝搬する第2の導波路とを備えた高周波モジュールであり、TEMモードと他のモードとの変換構造を有している。これらの高周波モジュールは、例えば高周波信号用の伝送路およびフィルタなどに使用することができる。なお、図1および図2では、図面の簡略化のため、最上層の厚みを省略し、ハッチングを施している。図3では、中間層の厚みを省略し、ハッチングを施している。
【0028】
図1に示した高周波モジュールは、第1の導波路をマイクロストリップ線路10とし、第2の導波路を多層構造の導波管型導波路20とした構成例である。マイクロストリップ線路10と導波管型導波路20は、1つの誘電体基板12を共有し、一体的に構成されている。
【0029】
導波管型導波路20は、誘電体基板12を挟んで互いに対向するグランド電極21,23と、これらグランド電極21,23間を導通する導通体としての複数のスルーホール22とを有している。導波管型導波路20では、それらグランド電極21,23とスルーホール22とにより囲まれた領域内を、例えば図のS方向に電磁波が伝搬するようになっている。なお、導波管型導波路20は、その電磁波の伝搬領域が誘電体で満たされた誘電体導波管の構成であっても良いし、内部を空洞にしたキャビティ導波管の構成であっても良い。スルーホール22は、伝搬される電磁波が漏れ出さないよう、所定値以下(例えば信号波長の1/4以下)の間隔で設けられている。スルーホール22の内面は、メタライズされている。スルーホール22の断面形状は、円形に限らず、多角形または楕円等、他の形状であっても良い。
【0030】
マイクロストリップ線路10は、誘電体基板12を挟んで、導体のグランド電極11と線路パターン13とを対向配置した構成となっている。グランド電極11は、誘電体基板12の底面に一様に設けられている。線路パターン13は、誘電体基板12の上面に部分的に線路状に設けられている。
【0031】
マイクロストリップ線路10は、導波管型導波路20のグランド電極21,23の積層方向に直交する方向(Z方向)に延在し、その端部が、積層方向に直交する方向側から、ひとつのグランド電極23に直接的に接続され、導通されている。また、マイクロストリップ線路10は、導波管型導波路20のE面(電界に平行な面)において磁界結合されている。なお、導波管型導波路20がTEモードで、電磁波の進行方向Sが図1のZ方向のとき、導波管型導波路20のE面は図のXY平面に平行な面となる。
【0032】
図4(A)〜(C)は、マイクロストリップ線路10と導波管型導波路20との接続部およびその近傍における、XY断面内での磁界分布を示している。接続部近傍におけるマイクロストリップ線路10の磁界H1は、TEMモードであるから、例えば図4(A)に示したように、線路パターン13の周囲に環状に分布している。一方、導波管型導波路20の磁界H2は、例えば最低次のTEモード(TE10モード)であるものとすると、図4(B)に示したように、その断面内においては一方向に分布している。従って、導波管型導波路20のE面内において図4(C)に示したように、導波管型導波路20とマイクロストリップ線路10との磁界H1,H2の方向を一致させることにより、磁界結合がなされ、TEMモードからTEモードへの変換がなされる。
【0033】
一方、図2に示した高周波モジュールは、第1の導波路をコプレーナ線路30とし、第2の導波路を多層構造の導波管型導波路40とした構成例である。コプレーナ線路30と導波管型導波路40は、1つの誘電体基板32を共有し、一体的に構成されている。図5には、この高周波モジュールの平面図を示す。
【0034】
導波管型導波路40の構成は、基本的に図1における導波管型導波路20と同様であり、互いに対向するグランド電極41,43と、これらグランド電極41,43間を導通する導通体としての複数のスルーホール42とを有し、それらグランド電極41,43とスルーホール42とにより囲まれた領域内を、例えば図のS方向に電磁波が伝搬するようになっている。
【0035】
コプレーナ線路30は、誘電体基板32の底面に一様に設けられたグランド電極31と、誘電体基板32の上面に線路状に形成された導体の線路パターン33と、この線路パターン33の幅方向に形成されたグランド電極34A,34Bとを有している。線路パターン33の幅方向において、グランド電極34A,34Bとの間には、導体が設けられていない領域36A,36Bが形成されている。
【0036】
このコプレーナ線路30において、その線路パターン33の周囲には、線路パターン33に沿って、貫通導体としてのスルーホール35が複数設けられている。スルーホール35の内面は、メタライズされている。スルーホール35は、誘電体基板32を貫通し、上面のグランド電極34A,34Bと底面のグランド電極31とを導通している。スルーホール35の断面形状は、円形に限らず、多角形または楕円等、他の形状であっても良い。スルーホール35は、このコプレーナ線路30においてTEMモード以外のモード(TE,TMモード)の電磁波が伝搬しないようにするためのものであり、線路パターン33を挟んで幅方向の間隔W(図5参照)が、コプレーナ線路30を伝搬する電磁波の遮断周波数以下の間隔で設けられている。
【0037】
このコプレーナ線路30も、図1におけるマイクロストリップ線路10と同様、導波管型導波路40のグランド電極41,43の積層方向に直交する方向(Z方向)に延在し、その端部が、積層方向に直交する方向側から、ひとつのグランド電極43に直接的に接続され、導通されている。また、このコプレーナ線路30も、導波管型導波路40のE面において磁界結合されている。
【0038】
すなわち、このコプレーナ線路30の磁界分布は、TEMモードであるから、図4(A)に示したマイクロストリップ線路10の場合と同様、線路パターン33の周囲に環状に分布している。一方、導波管型導波路40の磁界分布は、例えば最低次のTEモード(TE10モード)であるものとすると、図4(B)に示した導波管型導波路20と同様、その断面内においては一方向に分布している。従って、導波管型導波路40のE面内において、導波管型導波路40とコプレーナ線路30との磁界分布の方向を一致させることにより、磁界結合がなされ、TEMモードからTEモードへの変換がなされる。
【0039】
図3に示した高周波モジュールは、第1の導波路をストリップ線路50とし、第2の導波路を多層構造の導波管型導波路60とした構成例である。ストリップ線路50と導波管型導波路60は、積層された2つの誘電体基板52A,52Bを共有し、一体的に構成されている。図10(A)には、この高周波モジュールの中間層部分の平面図を示す。また図9(A)には、ストリップ線路50と導波管型導波路60との接続部分の断面を示す。図9(A)は、図10(A)のBB線部分の断面に相当する。
【0040】
導波管型導波路60は、互いに対向する3層のグランド電極61,63,64と、これらグランド電極61,63,64間を導通する導通体としての複数のスルーホール62とを有している。下側グランド電極61は、下側の誘電体基板52Aの底面に一様に設けられている。上側グランド電極63は、上側の誘電体基板52Bの上面に一様に設けられている。中間グランド電極64は、誘電体基板52A,52Bの間で、電磁波の伝搬領域の側方に設けられている。なお、中間グランド電極64を設けない構成にすることも可能である。導波管型導波路60では、上下のグランド電極61,63とスルーホール62とにより囲まれた領域内を、例えば図のS方向に電磁波が伝搬するようになっている。
【0041】
なお、導波管型導波路60は、その電磁波の伝搬領域が誘電体で満たされた誘電体導波管の構成であっても良いし、内部を空洞にしたキャビティ導波管の構成であっても良い。スルーホール62の断面形状は、円形に限らず、多角形または楕円等、他の形状であっても良い。
【0042】
ストリップ線路50は、下側の誘電体基板52Aの底面に一様に設けられた下側グランド電極51と、上側の誘電体基板52Bの上面に一様に設けられた上側グランド電極59と、誘電体基板52A,52Bの間に設けられた導体の線路パターン53と、線路パターン53の幅方向に形成された中間グランド電極54A,54Bとを有している。線路パターン53の幅方向において、中間グランド電極54A,54Bとの間には、導体が設けられていない領域56A,56Bが形成されている。なお、中間グランド電極54A,54Bを設けない構成にすることも可能である。
【0043】
このストリップ線路50において、その線路パターン53の周囲には、図2におけるコプレーナ線路30と同様、線路パターン53に沿って、貫通導体としてのスルーホール55が複数設けられている。スルーホール55は、誘電体基板52A,52Bを貫通し、各グランド電極51,59,54A,54B間を導通している。スルーホール55は、図2におけるコプレーナ線路30と同様、このストリップ線路50においてTEMモード以外のモード(TE,TMモード)の電磁波が伝搬しないようにするために設けられている。
【0044】
このストリップ線路50の線路パターン53は、導波管型導波路60の各グランド電極51,59,54A,54Bの積層方向に直交する方向(Z方向)に延在し、その端部が、積層方向に直交する方向側から、下側グランド電極61に間接的に接続され、導通されている。
【0045】
より詳しくは、図9(A)および図10(A)にも示したように、ストリップ線路50と導波管型導波路60との接続部分58において、線路パターン53の端部近傍にスルーホール57が設けられ、このスルーホール57によって間接的に、線路パターン53が、導波管型導波路60における下側グランド電極61に導通されている。なお、スルーホール57を上側に設け、上側グランド電極63に導通するようにしても良い。
【0046】
ストリップ線路50は、導波管型導波路60のE面において磁界結合されている。なお、導波管型導波路60がTEモードで、電磁波の進行方向Sが図3のZ方向のとき、導波管型導波路60のE面は図のXY平面に平行な面となる。
【0047】
すなわち、このストリップ線路50の磁界分布は、TEMモードであるから、線路パターン53の周囲に環状に分布している。一方、導波管型導波路60の磁界分布は、例えば最低次のTEモード(TE10モード)であるものとすると、その断面内においては一方向に分布している。ここで、接続部分58において、導波路を上側と下側の領域に分けて考える。すると、図9(A)に示したように、スルーホール57が下側の領域に設けられていることにより、ストリップ線路50の磁界H1は、接続部分58においては、主として上側の領域にのみ分布する。この上側の領域を導波管型導波路60との結合窓として、導波管型導波路60の磁界H2の方向とストリップ線路50の磁界H1の方向とを一致させることにより、E面内において磁界結合がなされ、TEMモードからTEモードへの変換がなされる。
【0048】
ここで、図9(B)および図10(B)に示したように、接続部分58に設けるスルーホール57の数を減らし、上側のみならず、下側の領域にも結合窓を設けることも可能である。なお、図9(B)は、図10(B)のCC線部分の断面に相当する。この場合、下側の領域においては、導波管型導波路60の磁界H2の方向とストリップ線路50の磁界H1の方向とが逆向きになるので、磁界結合の度合いが弱まることになる。一方、図9(A)のように上側の領域にのみ結合窓を設けた場合には、磁界結合の度合いが最も強くなる。従って、下側の領域に設ける結合窓の大きさを調節することにより、結合調整を行うことができる。
【0049】
次に、以上の各構成の高周波モジュールの作用を説明する。
【0050】
以上の各構成の高周波モジュールでは、第1の導波路(マイクロストリップ線路10、コプレーナ線路30およびストリップ線路50)に、TEMモードの電磁波が伝搬される。例えば図2のコプレーナ線路30においては、線路パターン33の幅方向に、遮断周波数以下の間隔W(図5)でスルーホール35が設けられていることにより、TEMモード以外のモード(TE,TMモード)の電磁波は伝搬されない。
【0051】
TEMモードの電磁波は、TEMモード以外のモードを伝搬する第2の導波路(導波管型導波路20,40,60)へと伝搬される。第1の導波路と第2の導波路との接続部分においては、図4(A)〜(C)などに示したように、第2の導波路のE面内において、第1の導波路に伝搬される電磁波の磁界H1の方向と第2の導波路に伝搬される電磁波の磁界H2の方向とが一致するように、磁界結合がなされ、これにより、TEMモードから他のモードへと変換がなされる。
【0052】
ここで、第1の導波路がコプレーナ線路30である場合を例に、磁界結合の度合いを調整する方法について説明する。
【0053】
まず、第1の調整方法として、線路パターン33の周囲に設けられたスルーホール35の間隔W(図5)によって調整する方法がある。この場合、間隔Wを短くすると、結合の度合いが小さくなるように作用する。
【0054】
次に、第2の調整方法として、図6に示したように、線路パターン33が接続されている部分の近傍に、結合調整用のスルーホール37を設ける方法がある。結合調整用スルーホール37の内面は、メタライズされ、上下のグランド電極41,43を導通する。結合調整用スルーホール37の断面形状は、円形に限らず、多角形または楕円等、他の形状であっても良い。
【0055】
図11(A),(B)に示したように、一般に多角形状の導波管(キャビティ共振器)では、多角形状の各辺の中央付近で磁界強度が最大になる。なお図11(A),(B)は、それぞれH面方向の断面形状が四角形状および三角形状の導波管における、H面内での磁界分布を示している。図中、ハッチングを施した領域が磁界強度が強い領域である。
【0056】
従って、図6に示した第2の調整方法において、磁界の強度分布を考慮し、結合調整用スルーホール37を設ける位置により、結合の度合いを調整することができる。すなわち、導波管型導波路40側において、例えば磁界強度の強くなる場所(多角形状の場合には各辺の中央)に結合調整用スルーホール37を設けることにより、結合の度合いを弱くすることができる。また、結合調整用スルーホール37を設ける数を多くすれば、それだけ結合の度合いが弱くなる。
【0057】
次に、第3の調整方法として、磁界の強度分布を考慮し、線路パターン33を接続する位置自体で調整する方法がある。図5に示したように、線路パターン33が導波管型導波路40の辺の中央付近で接続されていれば、そこは磁界強度が強いので、結合の度合いが強くなる。逆に、図7に示したように、辺の中央から離れた位置で接続すれば、それだけ結合の度合いが弱くなる。
【0058】
また、第4の調整方法として、接続部において、線路パターン33の端部の位置を調整する方法もある。例えば図8(A)に示したように、線路パターン33を延長し、その端部を導波管型導波路40の内部にまで延在させるようにすることも可能である。この場合、信号波長λの1/4の長さの範囲内で線路パターン33を延長する。線路パターン33の端部が、導波管型導波路40の内部に行くに従い、結合の度合いは弱くなる。また逆に、図8(B)に示したように、線路パターン33を短くし、その端部を導波管型導波路40から遠ざけるようにすることも可能である。この場合、信号波長λの1/4の長さの範囲内で線路パターン33を短くする。線路パターン33の端部が、導波管型導波路40から遠ざかるほど、結合の度合いは弱くなる。
【0059】
なお、既に図9(A),(B)を用いて説明したように、図3に示した高周波モジュールの場合には、接続部分58において、上下に設ける結合窓の大きさにより、結合調整を行う方法がある。
【0060】
なお、以上の説明では、電磁波が第1の導波路から第2の導波路側へと伝搬されるものとしていたが、これとは逆に、電磁波が第2の導波路から第1の導波路側へと伝搬されるようにしても良い。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1の導波路の端部を、グランド電極の積層方向に直交する方向側から、直接または間接的に第2の導波路のグランド電極のひとつに導通させ、第1の導波路と第2の導波路との磁界の方向を、E面内において一致させて磁界結合するようにしたので、各導波路間において、TEMモードとその他のモードとのモード変換を良好に行うことができる。
【0062】
また、本実施の形態によれば、第1の導波路と第2の導波路とを、同一基板を用いて一体的に製造できるので、製造が容易である。また、平面構造で第1の導波路と第2の導波路とを接続でき、全体の構造を単純化できる。また、平面構造であることから、例えば、高周波モジュールをチップ化して他の基板に搭載することなども容易に行うことができる。
【0063】
また、本実施の形態によれぱ、第1の導波路を、グランド電極に直接または間接的に第2の導波路のグランド電極に導通させているので、その接続位置を変化させることなく、広い周波数帯域において最大効率での結合を行うことが可能である。
【0064】
このことを図12(A),(B)に示した比較例のモード変換構造を参照して説明する。図12(A)は、このモード変換構造の平面図、図12(B)は側面方向の構成を示している。このモード変換構造では、第2の導波路320におけるグランド電極321の一部に結合窓322が形成されている。この第2の導波路320に、端部が開放(オープン)端となっているマイクロストリップ線路などの第1の導波路310を最大効率で結合させることを考える。この場合、図に示したように、第1の導波路310の開放端からλ/4(λ;信号波長)の長さの所に結合窓322を位置させることで、結合の度合いが最大になる。しかし、このようなモード変換構造の場合、最大効率で結合させようとすると、信号周波数に応じて、第1の導波路310と結合窓322との位置関係を修正する必要がある。
【0065】
これに対し、本実施の形態のモード変換構造の場合、接続部分において、第1の導波路と第2の導波路とが直接導通されているので、信号周波数が変わったとしても、接続位置の調整をすることなく、常に最大効率で結合(モード変換)させることができる。すなわち、広帯域において最大効率での結合を行うことが可能となる。
【0066】
[変形例]
次に、以上の高周波モジュール、ならびにモード変換構造および方法の変形例について説明する。
【0067】
<第1の変形例>
図13は、本変形例における高周波モジュールの構成を示している。図14には、この高周波モジュールの平面図を示す。図13では、図面の簡略化のため、最上層の厚みを省略し、ハッチングを施している。本変形例は、第2の導波路を多重モード(2重モード)の導波管型導波路90とした構成例である。この構成例では、2重モードの導波管型導波路90の信号の入出力部に、第1の導波路としてのコプレーナ線路70,80が接続されている。コプレーナ線路70,80と導波管型導波路90は、1つの誘電体基板72を共有し、一体的に構成されている。この高周波モジュールでは、導波管型導波路90に、例えば、コプレーナ線路70側から入力信号S1が入力され、コプレーナ線路80側から出力信号S2が出力される。
【0068】
導波管型導波路90は、互いに対向するグランド電極91,93と、これらグランド電極91,93間を導通する導通体としての複数のスルーホール92とを有し、それらグランド電極91,93とスルーホール92とにより囲まれた領域内を電磁波が2つのモードで伝搬するようになっている。スルーホール92は、全体として例えば略正方形状に配列されている。
【0069】
コプレーナ線路70,80の構成は、基本的に、図2におけるコプレーナ線路30と同様であり、それぞれ、誘電体基板72の上面に線路状に形成された導体の線路パターン73,83を有している。線路パターン73,83の周囲には、コプレーナ線路70,80においてTEMモード以外のモードの電磁波が伝搬しないよう、線路パターン73,83に沿って、貫通導体としてのスルーホール75,85が複数設けられている。線路パターン73,82の幅方向において、スルーホール75,85と線路パターン73,82との間には、導体が設けられていない領域76A,76B,86A,86Bが形成されている。
【0070】
コプレーナ線路70,80も、それぞれ、他の構成例と同様、線路パターン73,83がグランド電極91,93の積層方向に直交する方向に延在し、その出力端または入力端が、積層方向に直交する方向側から、ひとつのグランド電極93に直接的に接続され、導通されている。また、コプレーナ線路70,80は、導波管型導波路90のE面において磁界結合されている。
【0071】
図15(A),(B)に、この導波管型導波路90の2つのモードにおける磁界分布を示す。この導波管型導波路90では、構造的な対称面96に対して平行に磁界分布が生じる第1のモード(図15(A))と、対称面96に対して垂直に磁界分布が生じる第2のモード(図15(B))とが存在する。また、この導波管型導波路90では、対称面96とは反対側の対角位置94,95において、電磁波の伝搬領域の形状を変えることにより、信号周波数の帯域を調整することができる。例えば、伝搬領域の形状を、図示したように角を削り取ったような形状にすることにより、帯域を広げることができる。
【0072】
なお、2重モードの導波路は、以上の構成以外にも種々のものがある。例えば、図16(A),(B)に示したような2つの磁界分布モードで励振するような導波路がある。この導波路においても、構造的な対称面97に対して平行に磁界分布が生じる第1のモード(図16(B))と、対称面97に対して垂直に磁界分布が生じる第2のモード(図16(A))とが存在する。このように他の構成の2重モードの導波路に対しても、本実施の形態のモード変換構造を適用することが可能である。
【0073】
このように、本変形例によれば、2重モードの導波管型導波路90に対してもTEMモードの導波路を接続し、TEMモードと他のモード間との変換を行うことができる。
【0074】
<第2の変形例>
図17は、本変形例における高周波モジュールの構成を示している。図18には、この高周波モジュールにおける第1の導波路と第2の導波路との接続部分の構成を示す。図17では、図面の簡略化のため、中間層の厚みを省略し、ハッチングを施している。本変形例は、図3の高周波モジュールに対する変形例であり、図3と同様の構成部分には、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0075】
図3の高周波モジュールでは、導波管型導波路60において電磁波の伝搬領域はひとつだけであったが、本変形例では、多層構造の導波管型導波路200において、伝搬領域が複数設けられている。すなわち、中間層に一様にグランド電極204を設け、積層方向に伝搬領域を複数有している。より詳しくは、中間グランド電極204、上側グランド電極63およびスルーホール62によって囲まれた領域を第1の伝搬領域210とし、中間グランド電極204、下側グランド電極61およびスルーホール62によって囲まれた領域を第2の伝搬領域220としている。このように、積層方向に隣接して2つの伝搬領域210,220が形成されている。そして、それらの伝搬領域210,220のそれぞれにおいて、例えば図17のS11,S12方向に、電磁波が伝搬されるようになっている。
【0076】
また図3の高周波モジュールでは、導波管型導波路60との接続部分58において、ストリップ線路50の線路パターン53を、スルーホール57を介して間接的に下側グランド電極61に接続するようにしたが、本変形例では、ストリップ線路50を伝搬した電磁波が、2つの伝搬領域210,220に分岐して伝搬されるよう、線路パターン53の端部が中間グランド電極204に直接接続され、導通されている。
【0077】
本変形例では、ストリップ線路50が、2つの伝搬領域210,220のそれぞれのE面において磁界結合されている。すなわち、図18に示したように、ストリップ線路50の磁界分布は、TEMモードであるから、線路パターン53の周囲に環状に分布している。一方、導波管型導波路200の磁界分布は、例えば最低次のTEモード(TE10モード)であるものとすると、各伝搬領域210,220において、その断面内においては一方向に分布している。ここで、接続部分において、各伝搬領域210,220における磁界H21,22の方向を互いに逆向きに設定することで、各磁界H21,22の方向をストリップ線路50の磁界H1の方向と一致させることができる。これにより、各伝搬領域210,220のそれぞれのE面内において、良好に磁界結合がなされ、TEMモードからTEモードへの変換がなされる。
【0078】
本変形例によれば、TEMモードで伝搬されたひとつの高周波信号を、他のモードで複数に分岐して伝搬することができる。この変形例のモード変換構造は、デュプレクサなどに好適に用いることができる。
【0079】
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施の形態では、第2の導波路(導波管型導波路)におけるグランド電極間を導通する構造として、スルーホールを用いた例を挙げたが、スルーホールとは異なる構造の導通体を用いるようにしても良い。例えば、スルーホールに代えて溝状の構造部分を設け、その内面をメタライズして金属壁とするような構成にしても良い。このような金属壁は、例えばマイクロマシン工法により作成することができる。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の高周波モジュールによれば、第1の導波路の端部を、グランド電極の積層方向に直交する方向側から、直接または間接的に第2の導波路のグランド電極のひとつに導通させ、かつ、第1の導波路と第2の導波路とを、第1の導波路に伝搬される電磁波の磁界の方向と第2の導波路に伝搬される電磁波の磁界の方向とが一致するように、第2の導波路のE面において磁界結合させるようにしたので、各導波路間において、TEMモードとその他のモードとのモード変換を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る高周波モジュールの一構成例を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る高周波モジュールの他の構成例を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る高周波モジュールのさらに他の構成例を、一部破断して示す斜視図である。
【図4】図1に示した高周波モジュールにおける磁界結合部分についての説明図である。
【図5】図2に示した高周波モジュールの平面図である。
【図6】図2に示した高周波モジュールにおける結合調整の説明図である。
【図7】図2に示した高周波モジュールにおける結合調整の他の説明図である。
【図8】図2に示した高周波モジュールにおける結合調整のさらに他の説明図である。
【図9】図3に示した高周波モジュールにおける磁界結合部分についての説明図である。
【図10】図3に示した高周波モジュールにおける中間層の平面図である。
【図11】多角形状の導波管における磁界分布の例を示す説明図である。
【図12】本発明の一実施の形態に係る高周波モジュールに対する比較例を示す説明図である。
【図13】第1の変形例の高周波モジュールの構成を示す斜視図である。
【図14】図13に示した高周波モジュールの平面図である。
【図15】図13に示した高周波モジュールにおける磁界分布のモードを示す説明図である。
【図16】2重モードの他の例を示す説明図である。
【図17】第2の変形例の高周波モジュールの構成を、一部破断して示す斜視図である。
【図18】図17に示した高周波モジュールにおける磁界結合部分についての説明図である。
【図19】TEモードの導波管における電磁界分布の説明図である。
【図20】TEモードの導波管におけるE面内での電磁界分布を示す説明図である。
【図21】TMモードの導波管における電磁界分布の説明図である。
【図22】マイクロストリップ線路および同軸線路の構成図である。
【図23】マイクロストリップ線路および同軸線路におけるTEMモードの電磁界分布を示す説明図である。
【図24】従来のマイクロストリップ線路と導波管との接続構造の例を示す斜視図である。
【図25】図24に示した接続構造における電界分布を示す説明図である。
【符号の説明】
10…マイクロストリップ線路、20,40,60…導波管型導波路、22,35,42,55,57,62…スルーホール、30…コプレーナ線路、37…結合調整用スルーホール、50…ストリップ線路。

Claims (8)

  1. TEMモードの電磁波を伝搬する第1の導波路と、
    この第1の導波路に結合され、TEMモードとは異なる他のモードの電磁波を伝搬する第2の導波路と
    を備え、
    前記第2の導波路は、互いに対向する少なくとも2層のグランド電極と、少なくとも2層のグランド電極間を導通する導通体とにより囲まれた領域を有し、その領域内を電磁波が伝搬するようになされており、
    前記第1の導波路が、前記第2の導波路における対向するグランド電極の間に位置すると共に、前記グランド電極の積層方向に直交する方向に延在し、その端部が、前記積層方向に直交する方向側から、導通体を介して間接的に前記第2の導波路のグランド電極のひとつに導通され、
    かつ、前記第1の導波路と前記第2の導波路とが、前記第1の導波路に伝搬される電磁波の磁界の方向と前記第2の導波路に伝搬される電磁波の磁界の方向とが一致するように、前記第2の導波路のE面において磁界結合されている
    ことを特徴とする高周波モジュール。
  2. 前記第2の導波路は、TEモードの電磁波を伝搬するものである
    ことを特徴とする請求項1記載の高周波モジュール。
  3. 前記第1の導波路の結合部分において、前記第1の導波路が導通されたグランド電極側、またはその反対側の少なくとも一方に窓が設けられている
    ことを特徴とする請求項記載の高周波モジュール。
  4. 前記第1の導波路は、ストリップ線路、マイクロストリップ線路、またはコプレーナ線路である
    ことを特徴とする請求項1記載の高周波モジュール。
  5. 前記第2の導波路は、多重モードで電磁波を伝搬するものである
    ことを特徴とする請求項1記載の高周波モジュール。
  6. TEMモードの電磁波を伝搬する第1の導波路と、
    この第1の導波路に結合され、TEMモードとは異なる他のモードの電磁波を伝搬する第2の導波路と
    を備え、
    前記第2の導波路は、互いに対向する少なくとも2層のグランド電極と、少なくとも2層のグランド電極間を導通する導通体とにより囲まれた領域を有し、その領域内を電磁波が伝搬するようになされており、
    前記第1の導波路が、前記グランド電極の積層方向に直交する方向に延在し、その端部が、前記積層方向に直交する方向側から、直接または間接的に前記第2の導波路のグランド電極のひとつに導通され、
    かつ、前記第1の導波路と前記第2の導波路とが、前記第1の導波路に伝搬される電磁波の磁界の方向と前記第2の導波路に伝搬される電磁波の磁界の方向とが一致するように、前記第2の導波路のE面において磁界結合され、
    前記第1の導波路と前記第2の導波路との結合部分に、結合調整用の貫通導体が設けられている
    ことを特徴とする高周波モジュール。
  7. TEMモードの電磁波を伝搬する第1の導波路と、
    この第1の導波路に結合され、TEMモードとは異なる他のモードの電磁波を伝搬する第2の導波路と
    を備え、
    前記第2の導波路は、互いに対向するように積層された3層以上のグランド電極と、前記各グランド電極間を導通する導通体とを有すると共に、前記各グランド電極と前記導通体とにより囲まれた電磁波の伝搬領域を積層方向に複数有し、
    前記第1の導波路が、前記グランド電極の積層方向に直交する方向に延在し、その端部 が、前記積層方向に直交する方向側から、前記第2の導波路における隣接する伝搬領域間のグランド電極に導通され、
    かつ、前記第1の導波路と前記第2の導波路とが、前記第1の導波路に伝搬される電磁波の磁界の方向と前記第2の導波路に伝搬される電磁波の磁界の方向とが一致するように、前記第2の導波路のE面において磁界結合されている
    ことを特徴とする高周波モジュール。
  8. 前記第1の導波路を伝搬した電磁波が、前記第2の導波路における複数の伝搬領域に分岐して伝搬されるように、前記第1の導波路の端部が、前記第2の導波路における隣接する伝搬領域間のグランド電極に導通されている
    ことを特徴とする請求項記載の高周波モジュール。
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