JP3929934B2 - 導波管/ストリップ線路変換器 - Google Patents

導波管/ストリップ線路変換器 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、主としてマイクロ波帯およびミリ波帯で用いる導波管/ストリップ線路変換器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の導波管/ストリップ線路変換器では、誘電体導波管とストリップ線路がスロットを介して結合する構成となっている(例えば特許文献1参照)。誘電体導波管は、スロットから誘電体導波管における管内波長の1/4倍離れた所で接続導体によって短絡されており、スロット付近において磁界が最大となるようになっている。このため、誘電体導波管を伝搬してきた高周波信号は、スロットにおいて効率良く磁界結合し、ストリップ線路に伝搬することができる。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−151225号公報(図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の変換器では、スロットの長さを波長の1/2倍以上とする必要があるため、変換器の小形化が難しいという問題があった。また、誘電体導波管を構成する層とストリップ線路を構成する層を別にする必要があるため、薄型化も難しいという問題があった。
【0005】
また、スロットを共振させることにより誘電体導波管とストリップ線路を結合させているため、広帯域な特性を得ることが難しいという問題もあった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、マイクロ波帯およびミリ波帯において、小形・薄型で広帯域な特性を有する導波管/ストリップ線路変換器を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る導波管/ストリップ線路変換器は、第1の誘電体基板と、前記第1の誘電体基板の下側の面に設けられる第1の地導体パターンと、前記第1の誘電体基板の上側の面に設けられるストリップ導体パターンと、前記第1の誘電体基板の上側の面に前記ストリップ導体パターンに連続して設けられる導波管形成用導体パターンと、前記第1の地導体パターンと前記導波管形成用導体パターンを接続する第1の接続用導体と、前記第1の誘電体基板の前記ストリップ導体パターンが設けられた面の上に積層された第2の誘電体基板と、前記第2の誘電体基板の上側の面に設けられた第2の地導体パターンと、前記第2の地導体パターンと前記導波管形成用導体パターンを接続する第2の接続用導体とを備え、前記第1の誘電体基板と前記第2の誘電体基板と前記ストリップ導体パターンと前記第1の地導体パターンと前記第2の地導体パターンからストリップ線路を構成し、前記第1の誘電体基板と前記第1の地導体パターンと前記導波管形成用導体パターンと前記第1の接続用導体とから第1の誘電体導波管を構成し、前記第2の誘電体基板と前記第2の地導体パターンと前記導波管形成用導体パターンと前記第2の接続用導体とから第2の誘電体導波管を構成し、前記第2の誘電体導波管は、前記ストリップ導体パターンと前記導波管形成用導体パターンが接続されている位置からおよそ1/4波長離れた位置で、前記第2の接続用導体により短絡されていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における導波管/ストリップ線路変換器を示す斜視図である。図2は、図1に示される導波管/ストリップ線路変換器の断面図である。図3は、図1に示される誘電体基板1aと1bの間の面に配置された導体パターンを示す図である。なお、図2に示された断面図は、図3に示されるA−A’断面図として与えられるものである。
【0009】
これら図に示すように、この発明の実施の形態1における導波管/ストリップ線路変換器は、第1の誘電体基板1bと、第1の誘電体基板1bの下側の面に設けられる第1の地導体パターン2bと、第1の誘電体基板1bの上側の面に設けられるストリップ導体パターン3と、第1の誘電体基板1bの上側の面にストリップ導体パターン3に連続して設けられた導波管形成用導体パターン4と、第1の地導体パターン2bと導波管形成用導体パターン4を接続する第1の導波管壁用ヴィア5b(なお、ヴィアとは、本願明細書において円柱状導体を示す用語として用いるものとする)と、第1の誘電体基板1bのストリップ導体パターン3が設けられた面の上に積層された第2の誘電体基板1aと、第2の誘電体基板1aの上側の面に設けられた第2の地導体パターン2aと、第2の地導体パターン2aと導波管形成用導体パターン4を接続する第2の導波管壁用ヴィア5aとを備えている。
【0010】
そして、第1の誘電体基板1bと第2の誘電体基板1aとストリップ導体パターン3と第1の地導体パターン2bと第2の地導体パターン2aからストリップ線路51を構成し、第1の誘電体基板1bと第1の地導体パターン2bと導波管形成用導体パターン4と第1の導波管壁用ヴィア5bとから第1の誘電体導波管52bを構成し、第2の誘電体基板1aと第2の地導体パターン2aと導波管形成用導体パターン4と第2の導波管壁用ヴィア5aとから第2の誘電体導波管52aを構成し、第2の誘電体導波管52aは、ストリップ導体パターン3と導波管形成用導体パターン4が接続されている位置から距離L離れた位置で、第2の導波管壁用ヴィア5aにより短絡されている。
【0011】
上記のような構成を有する導波管/ストリップ線路変換器において、ストリップ線路51では、地導体パターン2a、2bとストリップ導体パターン3の間にそれぞれ電界が生じている。一方、誘電体導波管52a、52bでは、導波管断面の中央部が最も強い電界分布となっている。そこで、ストリップ線路51を構成するストリップ導体パターン3を誘電体導波管52a、52bを構成する導波管形成用導体パターン4の中央に接続すれば、ストリップ線路51において電界が生じている部分と誘電体導波管52a、52bにおいて電界が強い部分が一致する。ストリップ線路と導波管の電界分布が近いことから、高周波信号は大きな反射を生じることなくストリップ線路モードから導波管モードに変換されて伝搬することができる。
【0012】
さらに、誘電体基板1aに形成された誘電体導波管52aは、ストリップ導体パターンと導波管形成用導体パターンの接続部から距離Lだけ離れた所で導波管壁用ヴィア5aによって短絡され、先端短絡スタブを構成している。この距離Lを管内波長の約1/4倍となるようにすれば、ストリップ線路51を伝搬してきた高周波信号は、誘電体導波管52a、52bとの接続部において誘電体導波管52a側は開放に見えるため、すべて誘電体導波管52b側へ伝搬していく。
【0013】
以上のように、この実施の形態1によれば、従来の変換器において、誘電体基板内に形成していた1/2波長以上の長さを有するスロットが必要ないことから、小形・薄型の導波管/ストリップ線路変換器が得られるという効果がある。
【0014】
また、スロットのような共振構造をもたないため、広帯域な特性を実現できるという効果がある。
【0015】
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2における導波管/ストリップ線路変換器を示す斜視図である。図5は、図4に示される導波管/ストリップ線路変換器の断面図である。図6は、図4に示される誘電体基板1aと1bの間に面に配置された導体パターンを示す図である。なお、図5に示された断面図は、図6に示されるA−A’断面図として与えられるものである。
【0016】
これら図に示すように、この実施の形態2では、実施の形態1の構成に対して、ストリップ導体パターン3と導波管形成用導体パターン4の接続部近辺に、地導体パターン2a、2bを接続する地導体パターン接続用ヴィア6をさらに備えている。
【0017】
上記のような構成を有する導波管/ストリップ線路変換器においては、地導体パターン2aを流れるグラウンド電流が、ストリップ線路モードから導波管モードへの変換部でストリップ導体パターン3の近くに設けられた地導体パターン接続用ヴィア6を通って地導体パターン2bに流れることができる。このため、グラウンド電流の経路長差による寄生リアクタンスは小さくなるため、高周波信号は大きな反射を生じることなく伝搬することができる。
【0018】
以上のように、この実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、誘電体基板内に形成していた1/2波長以上の長さを有するスロットが必要ないことから、小形な導波管/ストリップ線路変換器が得られるという効果がある。また、スロットのような共振構造をもたないため、広帯域な特性を実現できるという効果がある。さらに、地導体パターン接続用ヴィア6によって上下の地導体パターン2a、2bが接続されるため、ストリップ導体パターン3の幅に対して誘電体導波管52a,52bの幅が大きくなるような低い周波数においても、良好な特性が得られるという効果もある。
【0019】
実施の形態3.
図7は、この発明の実施の形態3における導波管/ストリップ線路変換器を示す斜視図である。図8は、図7に示される導波管/ストリップ線路変換器の断面図である。図9は、図7に示される誘電体基板1aと1bの間に面に配置された導体パターンを示す図である。なお、図8に示された断面図は、図9に示されるA−A’断面図として与えられるものである。
【0020】
これら図に示すように、この実施の形態3では、実施の形態2の構成に対して、ストリップ導体パターン3と導波管形成用導体パターン4の接続部近辺に設けられている複数の地導体パターン接続用ヴィア6を接続するようにスタブ形成用導体パターン8が設けられており、導波管形成用導体パターン4とスタブ形成用導体パターン8でスロット線路を構成している。さらに、スタブ形成用導体パターン8は、ストリップ導体パターン3と導波管形成用導体パターン4との接続部から距離SLだけ離れた位置で、導波管形成用導体パターン4と接続されている。
【0021】
上記のような構成を有する導波管/ストリップ線路変換器においては、ストリップ線路51を伝搬してきた高周波信号は、ストリップ導体パターン3と導波管形成用導体パターン4の接続部でスロット線路モードと導波管モードに変換される。しかし、スロット線路は距離SLだけ離れた位置で短絡されているため、このSLを波長の約1/4倍となるようにすれば、上記接続部においてスロット線路側は開放に見えるため、高周波信号はすべて誘電体導波管52bへ伝搬していく。
【0022】
以上のように、この実施の形態3によれば、実施の形態1と同様に、誘電体基板内に形成していた1/2波長以上の長さを有するスロットが必要ないことから、小形な導波管/ストリップ線路変換器が得られるという効果がある。また、スロットのような共振構造をもたないため、広帯域な特性を実現できるという効果がある。さらに、実施の形態1と異なり、誘電体基板内に1/4波長の先端短絡導波管を形成する必要もないため、より小形な変換器が得られるという効果がある。
【0023】
実施の形態4.
図10は、この発明の実施の形態4における導波管/ストリップ線路変換器を示す断面図である。図11は、図10に示される誘電体基板1aの下側の面に配置された導体パターンを示す図である。図12は、図10に示される誘電体基板1bの下側の面に配置される導体パターンを示す図である。図13は、図10に示される誘電体基板1cの下側の面に配置される導体パターンを示す図である。なお、図10に示された断面図は、図11ないし13に示されるA−A’断面図として与えられるものである。
【0024】
これら図に示すように、この実施の形態4では、上述した実施の形態1〜3の構成に対して、第1の地導体パターン2bに設けられる第1の地導体パターン抜き部8aと、第1の誘電体基板1bの第1の地導体パターン2bが設けられた面の下に積層された第3の誘電体基板1cと、第3の誘電体基板1cの下側の面に設けられた第3の地導体パターン2cと、第3の地導体パターン2cに設けられる第2の地導体パターン抜き部8bと、第1の地導体パターン2bと第3の地導体パターン2cを接続するように地導体抜き部8a、8bの周囲に設けられた導波管壁用ヴィア5cとをさらに備え、第3の誘電体基板1cと第1の地導体パターン2bと第3の地導体パターン2cと導波管壁用ヴィア5cとから第3の誘電体導波管54を構成し、第1の誘電体導波管52bが、第1の地導体パターン抜き部8aを介して第3の誘電体導波管54と接続されている。
【0025】
上記のような構成を有する導波管/ストリップ線路変換器においては、ストリップ線路51を伝搬してきた高周波信号は、ストリップ導体パターン3と導波管形成用導体パターン4の接続部で導波管モードに変換された後、地導体パターン抜き部8aを介して誘電体導波管54を伝搬し、さらに外部の導波管9へ伝搬していく。
【0026】
以上のように、この実施の形態4によれば、実施の形態1と同様に、誘電体基板内に形成していた1/2波長以上の長さを有するスロットが必要ないことから、小形な導波管/ストリップ線路変換器が得られるという効果がある。また、スロットのような共振構造をもたないため、広帯域な特性を実現できるという効果がある。
【0027】
さらに、誘電体基板の裏面から直接導波管9を接続することができるため、導波管インターフェースを有するモジュール基板への適用が容易であるという効果もある。
【0028】
なお、上記各実施の形態において、第1〜第3の誘電体基板は、所定の厚さが必要となるが、複数の誘電体基板を積層して形成することにより、所定の厚さの誘電体基板を容易に形成することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、マイクロ波帯およびミリ波帯において、小形・薄型で広帯域な特性を有する導波管/ストリップ線路変換器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1における導波管/ストリップ線路変換器を示す斜視図である。
【図2】 図1に示される導波管/ストリップ線路変換器の断面図である。
【図3】 図1に示される誘電体基板1aと1bの間の面に配置された導体パターンを示す図である。
【図4】 この発明の実施の形態2における導波管/ストリップ線路変換器を示す斜視図である。
【図5】 図4に示される導波管/ストリップ線路変換器の断面図である。
【図6】 図4に示される誘電体基板1aと1bの間に面に配置された導体パターンを示す図である。
【図7】 この発明の実施の形態3における導波管/ストリップ線路変換器を示す斜視図である。
【図8】 図7に示される導波管/ストリップ線路変換器の断面図である。
【図9】 図7に示される誘電体基板1aと1bの間に面に配置された導体パターンを示す図である。
【図10】 この発明の実施の形態4における導波管/ストリップ線路変換器を示す断面図である。
【図11】 図10に示される誘電体基板1aの下側の面に配置された導体パターンを示す図である。
【図12】 図10に示される誘電体基板1bの下側の面に配置される導体パターンを示す図である。
【図13】 図10に示される誘電体基板1cの下側の面に配置される導体パターンを示す図である。
【符号の説明】
1a、1b、1c 誘電体基板、2a、2b、2c 地導体パターン、3 ストリップ導体パターン、4 導波管形成用導体パターン、5a、5b、5c 導波管壁用ヴィア、6 地導体パターン接続用ヴィア、7 スタブ形成用導体パターン、8a、8b 地導体パターン抜き部、9 導波管、51 ストリップ線路、52a,52b 誘電体導波管、54 誘電体導波管。

Claims (5)

  1. 第1の誘電体基板と、
    前記第1の誘電体基板の下側の面に設けられる第1の地導体パターンと、
    前記第1の誘電体基板の上側の面に設けられるストリップ導体パターンと、
    前記第1の誘電体基板の上側の面に前記ストリップ導体パターンに連続して設けられる導波管形成用導体パターンと、
    前記第1の地導体パターンと前記導波管形成用導体パターンを接続する第1の接続用導体と、
    前記第1の誘電体基板の前記ストリップ導体パターンが設けられた面の上に積層された第2の誘電体基板と、
    前記第2の誘電体基板の上側の面に設けられた第2の地導体パターンと、
    前記第2の地導体パターンと前記導波管形成用導体パターンを接続する第2の接続用導体と
    を備え、
    前記第1の誘電体基板と前記第2の誘電体基板と前記ストリップ導体パターンと前記第1の地導体パターンと前記第2の地導体パターンからストリップ線路を構成し、
    前記第1の誘電体基板と前記第1の地導体パターンと前記導波管形成用導体パターンと前記第1の接続用導体とから第1の誘電体導波管を構成し、
    前記第2の誘電体基板と前記第2の地導体パターンと前記導波管形成用導体パターンと前記第2の接続用導体とから第2の誘電体導波管を構成し、
    前記第2の誘電体導波管は、前記ストリップ導体パターンと前記導波管形成用導体パターンが接続されている位置からおよそ1/4波長離れた位置で、前記第2の接続用導体により短絡されている
    ことを特徴とする導波管/ストリップ線路変換器。
  2. 請求項1に記載の導波管/ストリップ線路変換器において、
    前記ストリップ導体パターンと前記導波管形成用導体パターンが接続されている位置の近傍に、前記第1の地導体パターンと前記第2の地導体パターンを接続する地導体パターン接続用導体を設けた
    ことを特徴とする導波管/ストリップ線路変換器。
  3. 請求項2に記載の導波管/ストリップ線路変換器において、
    前記第1の誘電体基板と前記第2の誘電体基板の間の面に、前記導波管形成用導体パターンと前記地導体パターン接続用導体を接続するスタブ形成用導体パターンを備え、
    前記導波管形成用導体パターンと前記スタブ形成用導体パターンとからスロット線路を構成し、
    前記スロット線路は、前記ストリップ導体パターンと前記導波管形成用導体パターンが接続されている位置からおよそ1/4波長離れた位置で短絡されている
    ことを特徴とする導波管/ストリップ線路変換器。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の導波管/ストリップ線路変換器において、
    前記第1の地導体パターンに設けられる第1の地導体パターン抜き部と、
    前記第1の誘電体基板の前記第1の地導体パターンが設けられた面の下に積層された第3の誘電体基板と、
    前記第3の誘電体基板の下側の面に設けられた第3の地導体パターンと、
    前記第3の地導体パターンに設けられる第2の地導体パターン抜き部と、
    前記第1の地導体パターンと前記第3の地導体パターンを接続する第3の接続用導体と
    を備え、
    前記第3の誘電体基板と前記第1の地導体パターンと前記第3の地導体パターンと前記第3の接続用導体とから第3の誘電体導波管を構成し、
    前記第1の誘電体導波管が、前記第1の地導体パターン抜き部を介して前記第3の誘電体導波管と接続されている
    ことを特徴とする導波管/ストリップ線路変換器。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の導波管/ストリップ線路変換器において、
    前記第1の誘電体基板と前記第2の誘電体基板と前記第3の誘電体基板のうち、少なくとも1つは複数の誘電体基板を積層して形成された
    ことを特徴とする導波管/ストリップ線路変換器。
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