JP3664358B2 - 方向性結合器及び、それを用いた携帯電話 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波通信機器用に使用される方向性結合器に関し、特にデュアルバンド用携帯電話などに使用される積層チップ型方向性結合器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のストリップラインを用いた方向性結合器の斜視図を図5に示す。この従来例は誘電体基板53の表面に2本のストリップライン51、52が間隔Sだけ離れて平行に配されている。これらのストリップライン51、52の平行な長さは、誘電体基板内を伝搬する電磁波の1/4波長の長さになるように構成されている。ポート54より入力された高周波電力は、主線路であるストリップライン51を通り、ポート55に出力される。このとき、主線路であるストリップライン51と副線路であるストリップライン52との結合により、ストリップライン51を通る電力の一部が、ストリップライン52に流れ、ポート56に出力される。このとき、ポート57に出力は現れない。
【0003】
次に、主線路であるストリップライン51の逆方向に、つまりポート55からポート54に向かって電力を流した場合、その一部の電力がポート57に現れ、ポート56には現れない。つまり、このような構成をとることにより、主線路のストリップライン51を流れる順方向電力と逆方向電力の一部を、副線路のストリップライン52の出力ポート56及び57端子にそれぞれ分離して取り出すことができる。これが、方向性結合器の基本的な動作である。
【0004】
主線路51から副線路52への結合は、二つのストリップライン間の平行部分の間隔Sを調節することにより可能である。図5の従来例の説明では、主線路及び副線路をストリップライン51、52としたが、図5の対称な構造から明らかなように、主線路及び副線路の役割を入れ替えても、同じように方向性結合器の基本的動作を実現できる。
【0005】
図7にその応用例のブロック図を示す。方向性結合器71の主線路72のポートP1、P2を送信電力増幅器とアンテナの間に配するとともに、副線路73の一つのポートP3を自動利得制御回路に接続し、他のポートP4に電力を吸収する抵抗素子Rを接続する。このようにすると、送信電力増幅器の出力の一部だけがポートP3に現れ自動利得制御回路に導かれる。アンテナから逆流する高周波電力の一部はポートP4に現れ、抵抗素子Rで吸収される。自動利得制御回路の信号出力は利得制御可能な送信電力増幅器に送られ、目的に応じた高周波出力の制御を行うことができる。
【0006】
また、携帯電話などではその小型化が重要になってきている。通常、上記方向性結合器については1/4波長の長さを有するストリップラインで構成することが一般的であるが、そのストリップラインの長さは例えば900MHzで3.3cm(1/4波長、比誘電率8とした場合)の長さを必要とし、十分な小型化は期待できない。このため、特開平7−131211号公報によれば図6に示される構成により3.2×1.6mmといった小型化を実現し、かつ所望の結合度を得、低損失の優れた特性を有する積層型方向性結合器などの提案がなされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年の携帯電話の普及はめざましいものがあり、携帯端末機の機能の向上が計られている。その一つとして、1つの携帯端末機で2つの周波数帯での通話を可能とするデュアルバンド携帯電話の提案がなされている。このデュアルバンド携帯電話を構成するためには、その2つの周波数帯(例えば900MHzと1800MHz)を選択する必要があり、各々の周波数に応じた使用部品の選定をしなければならないため、部品点数が多くなり取り付け面積が大きくなるという問題点があった。
【0008】
例えば図8に示すブロック図の使用例における方向性結合器71a、71bについても同様である。このとき、自動利得制御回路は数十〜数分の一の一定の電力を取り出して出力制御を行うため、周波数の関係なく共用化することが可能である。しかしながら、図5または図6を用いた方向性結合器については、先述のようにその使用される周波数帯に応じて2本のストリップラインの長さあるいは2本のストリップラインの間隔を調節することにより構成されており、各々の周波数帯において結合損失、挿入損失などの諸特性が異なるため、実用上共用化することは困難である。このため各々の周波数帯に応じた部品を2個使用する必要があり、部品点数が多くなると共に取り付け面積が大きくなる。
【0009】
また、各々の部品を従来より、より一層小型化するという方法も考えられるが、部品点数を2個使用することは変わりなく、方向性結合器71a、71b部分だけ小型化されても機器全体の小型化、低価格化は容易ではない。すなわち、抵抗素子Rを2個使用する必要があること、各々の部品の小型化により実装基板上のパターン及び部品搭載位置などに高精度の寸法が要求されること、部品点数が2個分の実装時間を要するといった問題点がある。
【0010】
本発明は上記の事を鑑みて、複数の周波数帯で使用可能であり、かつ小型で良好な特性を有する方向性結合器を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、一端が抵抗素子を介して接地される一つの副線路に、それぞれに異なる周波数のマイクロ波電力が通過する複数の主線路が結合し、もって前記副線路の他端に、前記主線路との結合に応じてマイクロ波電力の一部が現れるマルチバンド方向性結合器である。
【0012】
前記マルチバンド方向性結合器は、誘電体層と電極パターンとを積層一体化した積層体として構成され、前記電極パターンで形成されたストリップラインからなる第1の主線路、第2の主線路及び第1の副線路を有し、第1の主線路、第2の主線路、及び第1の副線路は、それぞれ別々の誘電体層上に形成され、前記第1の主線路と前記第2の主線路との間に、前記第1の副線路が積層されており、もって、前記第1の副線路に、前記第1の主線路と第2の主線路とが結合するように構成するのが好ましい。
【0013】
更に、前記第1の主線路及び第2の主線路と前記第1の副線路とは、外部端子に接続される部分を除き、積層方向を見たとき重複するように形成されているのが好ましい。
【0014】
前記第1の主線路と前記第1の副線路との間に構成される誘電体層と、前記第2の主線路と前記第1の副線路との間に構成される誘電体層の厚みを異なるように構成することで所望の結合度を得ることが出来る。
【0015】
前記積層体は2つの表面と4つの側面を備え、第1の側面に前記第1の主線路の両端部が引き出され、前記第1の側面に対向する第2の側面に第2の主線路の両端部が引き出され、前記第1の副線路の端部がそれぞれ他の2つの側面に引き出されているのが好ましい。
【0016】
前記第1の主線路、前記第2の主線路及び第1の副線路を構成するストリップラインのいずれか、あるいは全てを、少なくとも2層以上に分けて形成された電極パターンで構成するのが好ましい。2層以上に分けて形成される電極パターンは巻線状、スパイラル状、ミアンダライン状などである。電極パターンを巻線状とした場合、主線路と副線路とをM結合させることが好ましい。
【0017】
第1及び第2の主線路をU字状に形成されたストリップラインとし、前記第1の副線路を直線状のストリップラインとし、前記第1の主線路と前記第2の主線路との間に、前記第1の副線路が誘電体層を介して配置し、さらに前記第1の主線路と前記第2の主線路は、他の誘電体層を介して配置されたアース電極によって挟まれ、前記副線路と前記第1、第2の主線路は積層方向に重複するように配置するのも好ましい。
【0019】
第2の発明は、上記マルチバンド方向性結合器を、送信電力増幅器とアンテナとの間に配置した携帯電話である。本発明に係るマルチバンド方向性結合器は、2つ以上の異なる使用周波数に対応するものであり、使用周波数に応じて複数の主線路を構成し、一方副線路は一つの副線路とし、複数の主線路が一つの副線路に結合することにより、一つの方向性結合器で複数の異なる使用周波数に用いることを可能としている。このようなマルチバンド方向性結合器を用いて構成した携帯電話、例えばデュアルバンド携帯電話は、機器全体の小型化を達成することが出来る。
【0020】
【発明の実施の形態】
デュアルバンド携帯電話の送信部を構成する図8のブロック図の機能について考えてみる。通常マイクロ波電力の送信は、使用する2つのシステム(例えば900MHz帯と1800MHz帯)に対する各々の電力を同時に送信することはなく、2つの方向性結合器71a、71bが同時に動作することはない。このことから、ある時間帯において1つの主線路と1つの副線路が互いに結合していればよく、副線路73a、73bを共用化することができると考えた。
【0021】
そこで、本発明では、図3に示す様に、2つの主線路32、33と、一つの副線路34を有する方向性結合器33とした。このように副線路を共用化することにより、方向性結合器の小型化が容易となり、また吸収抵抗素子も1個でよく機器全体の小型化に貢献できる。方向性結合器は使用する周波数により、線路長あるいは線路間の距離を設定しているため、主線路を共用化することはできない。
【0022】
従って、第1と第2の主線路及び第1の副線路を形成し、第1の主線路と第1の副線路、第2の主線路と第1の副線路がそれぞれ時間をかえて結合することにより、デュアルバンド携帯電話機の機器全体の小型化、低価格化に寄与できる方向性結合器を提供することができる。もちろん、本発明の方向性結合器は、上記したデュアルバンド携帯電話機以外の用途であっても活用出来る。本発明は、複数の主線路が一つの副線路に結合する構造、言い替えれば、一つの副線路を複数の主線路が共用することを特徴としている。例えば、主線路が3つの場合も考えられる。
【0023】
本発明に係る一実施例の積層型方向性結合器の積層構造図を図1に、斜視図を図2に示す。図1、2において斜線を施した部分は導体部分である。この実施例の方向性結合器1はパターン電極の形成された誘電体層を積層して構成され、側面及び表面に外部電極が形成されている。また、誘電体層の厚みは適宜設定され、その間に電極パターンの形成されていない無地の誘電体層を挿入することができる。この実施例の積層構造について図1、2を用いて更に詳しく説明する。
【0024】
下層の誘電体層11にはアース用のパターン電極21が形成され、そのアース用のパターン電極21は外部端子T7、T8に接続されるように引き出し部を有しており、アース接続される。その上に、主線路となるストリップライン用パターン電極23が形成された誘電体層12を積層する。このパターン電極23はコの字状に形成され外部端子T1、T2に接続される。その上に、副線路となるストリップライン用パターン電極25が形成された誘電体層13を積層する。このパターン電極25は外部端子T5、T6に接続される。また、このパターン電極25は直線状に形成され、誘電体層13の中心線の位置に配置されている。その上にもう一方の主線路となるストリップライン用パターン電極24が形成された誘電体層14を積層する。このパターン電極24はコの字状に形成され外部端子T3、T4に接続される。その上に、アース用のパターン電極22が形成された誘電体層15を積層する。このアース用のパターン電極22は誘電体層11上に形成されたパターン電極21と同一の電極パターンであり、外部端子T7、T8に接続されるように引き出し部を有し、アース接続される。その上に、特にパターン電極の形成されていない誘電体層16を積層する。
【0025】
また、ストリップライン用電極パターン23、24、25は誘電体層に垂直な方向から投影してみたとき、外部端子に接続される部分を除き、重複されるように形成されている。従ってパターン電極23、25は誘電体層の中心線に対し対称な形状となっている。
【0026】
この実施例は約900℃以下の低温焼成が可能な誘電体材料を用い、この誘電体材料をスラリー化した後、ドクターブレードでシート状に形成し、そのシート(誘電体層)上に適宜Agからなる導電体をスクリーン印刷法にて、電極パターンを形成し、それらを積層し、圧着した後、チップ状に切断し、焼成した。焼成後、外部電極を印刷焼付けし、さらにめっきを施して積層型方向性結合器を構成した。また、外部電極は積層体を焼成した後に形成しても良いし、焼成前に形成しても良い。尚、本実施例では誘電率が約8の誘電体材料を用いたが、本発明において誘電率は5〜15程度が望ましい。また、本発明は上記製造工程に限定されるものではない。
【0027】
本実施例では図1、2に示すように副線路を直線状に形成し、外部端子T5、T6に接続している。また、第1の主線路となるストリップライン用パターン電極23と第2の主線路となるストリップライン用パターン電極24は、長さ及び幅が同一で、副線路との間に構成される誘電体層の厚みが異なっている。つまり、図1の誘電体層13の厚さと誘電体層14の厚さ(複数枚の誘電体層で構成しても良い)が異なっている。また、第1の主線路と第2の主線路はその直線状部分で副線路と対向し結合している。そして、その間隔で結合の度合を調整している。この構成によれば、第1の主線路と第2の主線路に同一印刷パターンを使用することが出来るため、製造コストを低減出来る。もちろん、所望の結合度を得ることができる。
【0028】
また、本実施例では、図2に示す様に8個の外部端子が形成されている。第1の主線路の外部端子T1、T2は、第1の側面に形成され、第2の主線路の外部端子T3、T4は、第1の側面に対向する第2の側面に形成されている。副線路の外部端子T5、T6は、それらとは別の側面にそれぞれ形成されている。また、アース用の外部端子T7、T8は、主線路の外部端子間に形成されている。これにより、小型化が容易になると共に、回路基板に実装した際においても他の部品と接続する配線パターンが形成し易くなる。
【0029】
また、この実施例の方向性結合器を使用した回路ブロック図を図3に示す。図3において、本発明の実施例の方向性結合器が破線で示した31であり、第1の主線路が32であり、第2の主線路が33であり、副線路が34である。図8に示す従来例に係る方向性結合器の使用例の回路ブロック図に比べて、使用部品点数が少なく構成できるため、機器全体の小型化、低価格化が実現可能となるものである。
【0030】
また、図1、2に示す積層型方向性結合器は第1の使用周波数f1を900MHz、第2の使用周波数f2を1750MHz用として構成している。この実施例の積層型方向性結合器はf1の周波数帯が880〜915MHz、f2の周波数帯が1710〜1785MHz(いずれも送信周波数)のデュアルバンド携帯電話用の送信部に使用される。このときの挿入損失及び結合損失の特性を図4に示す。入力端子を周波数毎に選択することにより、いずれの周波数帯においても結合損失は20dB程度と同一であり、また挿入損失も0.2dB以下と良好な特性を得ることができた。図4には示していないが、アイソレーション特性も30dB以上と良好である。
【0031】
また図1に示すストリップラインの導体パターンは幅0.2mm、長さ3〜4mm、厚さ10μmのAg電極から成る。また、図1に示す誘電体層13の厚みを約0.13mm、誘電体層14の厚みを約0.3mmに設定している。尚、これら寸法はいずれも焼成後の寸法である。また、本発明は各電極パターンの寸法あるいは誘電体層の厚さ(電極パターン間の間隔)、誘電体の誘電率などを変更することにより諸特性を調整可能であり、上記周波数帯の使用に限られたものではない。
【0032】
また、この実施例の外形は3.2×1.6mm、厚さは1.0mmであり、極めて小型に構成することができた。従来例には外形3.2×1.6mm、厚さは1.0mmと同一寸法の積層型方向性結合器もあるが、デュアルバンド用として使用する場合は2個必要となり、本発明の実施例によれば面積比で50%に小型化される。またこれらの部品を回路基板上に搭載することを考えた場合、基板上に配線パターンを設ける必要があり、本実施例によれば従来例に比べパターンが簡略化できるため、更なる小型化かつ回路設計の高効率化が期待できる。更に部品点数が少なくなることにより、部品搭載時間の短縮にも寄与できるものである。
【0033】
次に、本発明に係る別の実施例の積層型方向性結合器の積層構造図を図9に示す。尚、この実施例の斜視図は図2と同様である。図9において斜線を施した部分は導体部分である。この実施例の方向性結合器はパターン電極の形成された誘電体層を積層して構成され、側面及び表面に外部電極が形成されている。また、誘電体層の厚みは適宜設定され、その間に電極パターンの形成されていない無地の誘電体層を挿入することができる。この実施例の積層構造について図9を用いて更に詳しく説明する。
【0034】
下層の誘電体層81にはアース用のパターン電極91が形成され、そのアース用のパターン電極91は外部端子T7、T8に接続されるように引き出し部を有しており、アース接続される。その上に、第1の主線路となるストリップライン用パターン電極93が形成された誘電体層82を積層する。このパターン電極82は外部端子T1、T2に接続される。その上に、副線路の一部となるストリップライン用パターン電極95aが形成された誘電体層83を積層する。このパターン電極95aの一端は外部端子T6に接続され、もう一端にはビアホール用ラウンド電極95dが形成されている。その上に、副線路の一部となるストリップライン用パターン電極95bが形成された誘電体層84を積層する。このパターン電極95bの一端は外部端子T5に接続され、もう一端にはビアホール電極95cが形成されている。ビアホール電極95cは誘電体層83上のビアホール用ラウンド電極95dに接続され、パターン電極95aとパターン電極95bとで1本の副線路をコイル状に形成している。
【0035】
その上に、第2の主線路の一部となるストリップライン用パターン電極94aが形成された誘電体層85を積層する。このパターン電極94aの一端は外部端子T4に接続され、もう一端にはビアホール用ラウンド電極94dが形成されている。その上に、第2の主線路の一部となるストリップライン用パターン電極94bが形成された誘電体層86を積層する。このパターン電極94bの一端は外部端子T3に接続され、もう一端にはビアホール電極94cが形成されている。ビアホール電極94cは誘電体層85上のビアホール用ラウンド電極94dに接続され、パターン電極94aとパターン電極94bとで第2の主線路をコイル状に形成している。
【0036】
その上に、アース用のパターン電極92が形成された誘電体層87を積層する。このアース用のパターン電極92は誘電体層81上に形成されたパターン電極91と同一の電極パターンであり、外部端子T7、T8に接続されるように引き出し部を有し、アース接続される。その上に、特にパターン電極の形成されていない誘電体層88を積層する。
【0037】
本実施例のストリップライン用電極パターン93、95a、95b、94a、94bは誘電体層に垂直な方向から投影してみたとき、重複されるように形成されている。この構造により、第1の主線路と第1の副線路、及び第2の主線路と第1の副線路は、コイル結合(M結合)している。これは、上記実施例とは異なる結合手段による。このような、コイル結合によっても本発明の方向性結合器を構成することができる。この場合、各線路の線路長、巻数、間隔によって結合度が調整できる。
【0038】
本実施例においては各線路をコイル状に形成したが、スパイラル状など他の形状であっても良い。本実施例においても図1と同様誘電率が約8の誘電体材料を用い、製造工法も同様の方法で製造した。尚、本実施例においても、誘電率は5〜15程度が望ましく、また上記製造工程に限定されるものではない。本実施例によれば、上記実施例とは異なる周波数帯あるいは結合度など、使用用途に応じた積層型方向性結合器を提供することが可能である。
【0039】
上記実施例では、積層構造によって、複数の異なる使用周波数に対応した複数の主線路と、それに結合する一つの副線路からなる方向性結合器を構成することが出来た。これにより、複数の異なる使用周波数に対応した方向性結合器を非常に小型に構成することができた。しかしながら、本発明は、複数の主線路が一つの副線路に結合する構造、言い替えれば、一つの副線路を複数の主線路が共用することを特徴としており、上記実施例以外の構造であっても、本発明の効果を得ることができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、2つ以上の周波数帯において使用可能で、各々の周波数帯において所定の結合度及び良好な挿入損失特性が得られ、しかも極めて小型である方向性結合器を構成することができる。これにより、例えば携帯電話など小型のマイクロ波製品において機器全体の小型化に特性を犠牲にすることなく貢献できる。特にデュアルバンド携帯機において有効なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施例の積層構造を示す内部電極パターン図である。
【図2】本発明に係る一実施例の斜視図である。
【図3】本発明に係る方向性結合器の使用例の回路ブロック図である。
【図4】本発明に係る一実施例の特性図である。
【図5】従来例の斜視図である。
【図6】別の従来例の分解斜視図である。
【図7】方向性結合器の使用例の回路ブロック図である。
【図8】従来例に係る方向性結合器の使用例の回路ブロック図である。
【図9】本発明に係る別の実施例の積層構造を示す内部電極パターン図である。
【符号の説明】
1 積層型方向性結合器
11、12、13、14、15、16 誘電体層
23、25 主線路用ストリップライン電極
24 副線路用ストリップライン電極
21、22 アース電極
Claims (7)
- 一端が抵抗素子を介して接地される一つの副線路に、それぞれに異なる周波数のマイクロ波電力が通過する複数の主線路が結合し、もって前記副線路の他端に、前記主線路との結合に応じてマイクロ波電力の一部が現れるマルチバンド方向性結合器であって、
前記マルチバンド方向性結合器は、誘電体層と電極パターンとを積層一体化した積層体として構成され、前記電極パターンで形成されたストリップラインからなる第1の主線路、第2の主線路及び第1の副線路を有し、
第1の主線路、第2の主線路、及び第1の副線路は、それぞれ別々の誘電体層上に形成され、前記第1の主線路と前記第2の主線路との間に、前記第1の副線路が積層されており、
もって、前記第1の副線路に、前記第1の主線路と第2の主線路とが結合することを特徴とするマルチバンド方向性結合器。 - 前記第1の主線路及び第2の主線路と前記第1の副線路とは、積層方向に重複することを特徴とする請求項1に記載のマルチバンド方向性結合器。
- 前記第1の主線路と前記第1の副線路との間に構成される誘電体層と、前記第2の主線路と前記第1の副線路との間に構成される誘電体層の厚みが異なることを特徴とする請求項1又は2に記載のマルチバンド方向性結合器。
- 前記積層体は2つの表面と4つの側面を備え、第1の側面に前記第1の主線路の両端部が引き出され、前記第1の側面に対向する第2の側面に第2の主線路の両端部が引き出され、前記第1の副線路の端部がそれぞれ他の2つの側面に引き出されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のマルチバンド方向性結合器。
- 前記第1の主線路、前記第2の主線路及び第1の副線路を構成するストリップラインのいずれか、あるいは全てが、少なくとも2層以上に分けて形成された電極パターンで構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のマルチバンド方向性結合器。
- 一端が抵抗素子を介して接地される一つの副線路に、それぞれに異なる周波数のマイクロ波電力が通過する複数の主線路が結合し、もって前記副線路の他端に、前記主線路との結合に応じてマイクロ波電力の一部が現れるマルチバンド方向性結合器であって、
第1及び第2の主線路がU字状に形成されたストリップラインからなり、前記第1の副線路が直線状のストリップラインからなり、前記第1の主線路と前記第2の主線路との間に、前記第1の副線路が誘電体層を介して配置され、さらに前記第1の主線路と前記第2の主線路は、他の誘電体層を介して配置されたアース電極によって挟まれ、前記副線路と前記第1、第2の主線路は積層方向に重複するように配置されていることを特徴とするマルチバンド方向性結合器。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載の方向性結合器を、送信電力増幅器とアンテナとの間に配置したことを特徴とする携帯電話。
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