本発明は、可変気筒エンジンと電動機或いはモータジェネレータとを駆動力源として走行させられる車両の制御装置、およびその可変気筒エンジンの制御装置に関し、特に、燃費を向上させる技術に関するものである。
駆動輪に連結される動力伝達機構にエンジンおよび電動機或いはモータジェネレータを連結した車両用ハイブリッド駆動装置が知られている。たとえば、特許文献1に記載された装置がそれである。これによれば、すべての気筒を運転する全気筒運転と一部の気筒を作動させ他の気筒を休止する部分気筒運転(減筒運転或いは休筒運転)とに切換可能な可変気筒エンジンが用いられているとともに、減速走行時には回生によって車両の運動エネルギを電動モータにより電気エネルギに変換して回収し、その電気エネルギを発進時などにおいて電動モータからアシストトルクとして出力させることにより燃費を改善することが行われている。
特開平11−350995号公報
しかしながら、車両の燃費の向上に対する要求には際限がなく、上記のように可変気筒エンジンおよび電動モータを駆動源として用いる車両においても、燃費をさらに改善することが望まれていた。
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、車両の燃費を一層向上させることができる可変気筒エンジンの制御装置或いは車両の制御装置を提供することにある。
かかる目的を達成するための本第1発明の要旨とするところは、可変気筒エンジンの制御装置であって、(a) 車両の回生制動状態を判定する回生制動状態判定手段と、(b) その回生制動状態判定手段により判定された車両の回生制動状態に基づいて、回生状態によら ず同様の制動効果が得られるように回生量の増減に応じて非作動気筒のデコンプ量を増減 し、車両の走行状態に応じて一部の気筒はコンプレッション状態として、前記可変気筒エンジンの非作動気筒のデコンプ状態を設定するデコンプ状態設定手段とを、含み、(c)発 電機による回生トルクと該デコンプ状態設定手段により設定された前記可変気筒エンジン の非作動気筒のデコンプ状態とに基づいて駆動力源ブレーキが制御されることにある。
このようにすれば、デコンプ状態設定手段により、前記回生制動状態判定手段により判 定された車両の回生制動状態に基づいて、回生状態によらず同様の制動効果が得られるように回生量の増減に応じて非作動気筒のデコンプ量を増減し、車両の走行状態に応じて一 部の気筒はコンプレッション状態として、前記可変気筒エンジンの非作動気筒のデコンプ状態が設定されるので、回生制動に対応して必要かつ十分に可変気筒エンジンの非作動気筒のデコンプ状態が設定され、車両の燃費が改善されると同時にエンジンブレーキ性能が確保される。また、一律に全気筒をデコンプする場合に比較して、一部がコンプレッショ ン状態とされるので、コンプレッション状態とされた気筒は直ちにトルクを出せることに なり、可変気筒エンジンの次の動作すなわち再始動が容易となるという効果も得られます 。
ここで、好適には、前記可変気筒エンジンは複数の気筒を有する片バンク毎に作動可能な1対のバンクを備えたものであり、前記デコンプ状態設定手段は、前記回生制動状態検出手段により回生制動中が検出されない場合には上記可変気筒エンジンの両バンクをコンプレッション状態とするが、回生制動中が検出された場合には、上記可変気筒エンジンの一方のバンクをコンプレッション状態とし、他方のバンクをデコンプ状態すなわち圧縮工程における気筒内を非圧縮状態とするものである。このようにすれば、回生制動中でない場合は両バンクがコンプレッション状態とされることにより適切なエンジンブレーキ効果が得られる一方、回生制動中である場合は一方のバンクがコンプレッション状態とされ且つ他方のバンクがデコンプ状態とされて回生制動分だけエンジンブレーキ作用が少なくされるので、全体として同様の制動効果が得られると同時に、回生によって燃費が高められる。
また、好適には、前記可変気筒エンジンを車両走行中に停止させるエンジン停止モード、たとえばモータ走行モード或いはフューエルカットモードであるか否かを判定するエンジン停止モード判定手段が設けられ、前記回生制動状態検出手段は、そのエンジン停止モード判定手段によりエンジン停止モードであると判定された場合に、回生制動状態を検出するものである。このようにすれば、エンジン停止走行における回生制動中において、車両の燃費が改善されると同時にエンジンブレーキ性能が確保される。
また、好適には、前記可変気筒エンジンの再始動の可能性があるか否かを判定する再始動可能性判定手段が設けられ、前記回生制動状態検出手段は、その再始動可能性判定手段により前記可変気筒エンジンの再始動の可能性があると判定された場合に回生制動状態を検出するものであり、前記デコンプ状態設定手段はその回生制動状態検出手段により回生制動中が検出された場合に、上記可変気筒エンジンの一方のバンクをコンプレッション状態とし、他方のバンクをデコンプ状態とするものである。このようにすれば、回生制動中においては一方のバンクがコンプレッション状態とされるので、エンジン再始動要求に際して直ちに可変気筒エンジンを再始動させることができる。
また、好適には、前記再始動可能性判定手段により前記可変気筒エンジンの再始動の可能性がないと判定された場合には、前記デコンプ状態設定手段は、前記回生制動状態検出手段により回生制動中が検出されない場合には上記可変気筒エンジンの両バンクをコンプレッション状態とするが、回生制動中が検出された場合には、上記可変気筒エンジンの両バンクをデコンプ状態とするものである。このようにすれば、回生制動中でない場合は両バンクがコンプレッション状態とされることにより適切なエンジンブレーキ効果が得られる一方、回生制動中である場合は両バンクがデコンプ状態とされて回生量ができるだけ大きくされる利点がある。
前記目的を達成するための第2発明の要旨とするところは、発電機が作動的に連結された可変気筒エンジンの制御装置であって、(a) 前記可変エンジンの作動によって前記発電機による発電が必要な状態であるか否かを判定する発電要求判定手段と、(b) その発電要求判定手段により前記発電機による発電が必要な状態であると判定された場合には、前記可変気筒エンジンを部分気筒運転とする気筒数切換手段と、(c) 走行位置および非走行位 置へ操作されるシフトレバーとを含み、前記気筒数切換手段は、そのシフトレバーの操作 位置が走行位置或いは非走行位置である場合には、前記可変気筒エンジンを部分気筒運転 とすることにある。
このようにすれば、発電要求判定手段により前記可変エンジンの作動によって前記発電機による発電が必要な状態であると判定された場合には、気筒数切換手段により前記可変気筒エンジンが部分気筒運転とされることから、発電が必要なときには部分気筒運転状態の可変気筒エンジンにより発電機が駆動されるので、発電のための燃費が向上させられる。さらに、シフトレバーが走行位置へ操作されることにより動力伝達経路が達成されて可 変気筒エンジンの出力トルク振動が車輪へ伝達される状態では全気筒運転に変更されるが 、シフトレバーが非走行位置へ操作されることにより動力伝達経路が遮断されて可変気筒 エンジンの出力トルク振動が車輪へ伝達されない状態では部分気筒運転に変更されるので 、発電機を回転駆動するときの車両振動が好適に抑制される。
ここで、好適には、前記可変気筒エンジンは複数の気筒を有する片バンク毎に作動可能な1対のバンクを備えたものであり、前記気筒数切換手段は、発電要求判定手段により前記発電機による発電が必要な状態であると判定された場合に、その可変気筒エンジンの一方のバンクを部分気筒運転とし、他方のバンクをデコンプ状態とするものである。このようにすれば、他方のバンクがデコンプ状態とされるので、発電のための燃費が一層向上させられる。
また、好適には、前記気筒数切換手段は、車両の走行中は、予め記憶された駆動源マップから決定される気筒数切換判定に優先的に従って前記可変気筒エンジンの気筒数を切り換えるものであり、前記発電機はその駆動源マップから決定された気筒数で作動させられる可変気筒エンジンによって回転駆動されるものである。このようにすれば、車両走行中の燃費が確保される。
前記発明と主要部が共通する第3発明の要旨とするところは、可変気筒エンジンと電動機との両方または一方を駆動力源として走行する車両の制御装置であって、(a) 車両の減速走行中であるか否かを判定する減速走行中判定手段と、(b) その減速走行中判定手段により車両の減速走行中であると判定された場合には、発電機による回生トルクと、前記可変気筒エンジンの非作動気筒のデコンプ量とに基づいて、回生状態によらず同様の制動効 果が得られるように回生量の増減に応じて非作動気筒のデコンプ量を増減し、車両の走行 状態に応じて一部の気筒はコンプレッション状態として駆動力源ブレーキを制御する駆動力源ブレーキ制御手段とを、含み、発電機による回生トルクと該デコンプ状態設定手段に より設定された前記可変気筒エンジンの非作動気筒のデコンプ状態とに基づいて駆動力源 ブレーキが制御されることにある。
このようにすれば、車両の減速走行中では、駆動力源ブレーキ制御手段により、前記発電機による回生トルクと前記可変気筒エンジンの非作動気筒のデコンプ量とに基づいて、 回生状態によらず同様の制動効果が得られるように回生量の増減に応じて非作動気筒のデ コンプ量を増減し、車両の走行状態に応じて一部の気筒はコンプレッション状態として駆動力源ブレーキが制御されることから、回生トルクに加えて可変気筒エンジンのデコンプ量を用いることにより駆動力源ブレーキ力が調節され得るので、減速度を制御できるパラメータが増加し、その減速度の制御性が高められる。また、一律に全気筒をデコンプする 場合に比較して、一部がコンプレッション状態とされるので、コンプレッション状態とさ れた気筒は直ちにトルクを出せることになり、可変気筒エンジンの次の動作すなわち再始 動が容易となるという効果も得られます。
ここで、好適には、車両の減速走行中であるか否かを判定する減速走行中判定手段と、その減速走行中判定手段により車両の減速走行中であると判定された場合には、予め記憶された関係から実際の車速および運転者が設定する減速度設定値に基づいて減速走行中の目標減速度を算出する目標減速度算出手段とが設けられ、前記駆動力源ブレーキ制御手段は、実際の車両の減速度がその目標減速度となるように発電機(モータジェネレータ)による回生トルクと可変気筒エンジンの非作動気筒のデコンプ状態とに基づいて駆動力源ブレーキを制御するものである。このようにすれば、運転者が求める減速度で減速走行できる。
また、好適には、前記駆動力源ブレーキ制御手段は、前記モータジェネレータによる回生量を制御する回生量制御手段と、前記可変気筒エンジンの気筒のうちの一部をデコンプ状態とするデコンプ状態制御手段と、その可変気筒エンジンのデコンプ状態とされた気筒の吸入空気抵抗をたとえばスロットル開度を用いて、そのデコンプ状態とされた気筒による回転抵抗を制御するデコンプ量制御手段とを備え、上記発電機(モータジェネレータ)による回生制動量が減少すると、可変気筒エンジンの回転抵抗が大きくなるように上記デコンプ量を制御してその不足分を補うものである。
また、好適には、前記発電機(モータジェネレータ)による回生作動の切換を判定する回生切換判定手段と、その回生切換判定手段により前記モータジェネレータによる回生作動の切換が判定された場合には、可変気筒エンジンと変速機との間に設けられた流体継手のロックアップクラッチを開放或いは半係合とするロックアップクラッチ開放手段とが設けられる。このようにすれば、発電機(モータジェネレータ)の回生作動の切換に伴うショックが流体継手により吸収される。
また、前記目的を達成するための第4発明の要旨とするところは、可変気筒エンジンの制御装置であって、(a)予め記憶された関係から車両走行状態に基づいて前記可変気筒エ ンジンが全気筒か部分気筒かを切り換える駆動力源切換制御手段と、(b) 車両の回生制動状態を判定する回生制動状態判定手段と、(c) その回生制動状態判定手段により車両の回生制動状態が判定された場合において、前記可変気筒エンジンが部分気筒状態であるときは全気筒状態に比較して回生量が高められるように制御する手段とを、含むことにある。
ここで、好適には、上記可変気筒エンジンの再始動の可能性があるか否かを判定する再始動可能性判定手段が設けられ、前記回生量が高められるように制御する手段は、上記再始動可能性判定手段の判定結果に基づき、前記可変気筒エンジンを部分気筒状態とするとともに全気筒状態に比較して回生量が高められるように制御をするものである。
また、好適には、上記可変気筒エンジンの部分気筒状態である気筒のデコンプ状態を設定するデコンプ状態設定手段が設けられ、そのデコンプ状態設定手段は前記再始動可能性判定手段により上記可変気筒エンジンの再始動の可能性があると判定された場合に、上記可変気筒エンジンの一部の気筒をコンプレッション状態とし、残りの気筒をデコンプ状態とするものである。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例の制御装置が適用された車両用動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。図において、車両の駆動力源或いは原動機としての可変気筒エンジン10の出力は、クラッチ12、トルクコンバータ14を介して自動変速機16に入力され、図示しない差動歯車装置および車軸を介して駆動輪へ伝達されるようになっている。上記クラッチ12とトルクコンバータ14との間には、電動機或いは電動モータおよび発電機として機能する第1モータジェネレータMG1(以下、MG1という)が配設されている。このMG1も車両の駆動力源或いは原動機として機能する。上記トルクコンバータ14は、クラッチ12に連結されたポンプ翼車20と、自動変速機16の入力軸22に連結されたタービン翼車24と、それらポンプ翼車20およびタービン翼車24の間を直結するためのロックアップクラッチ26と、一方向クラッチ28によって一方向の回転が阻止されているステータ翼車30とを備えている。なお、上記可変気筒エンジン10には、それを始動させる電気モータおよび発電機として機能するモータジェネレータMG2(以下、MG2という)が作動的に連結されている。
また、上記可変気筒エンジン10は、吸排気弁の作動タイミングを変更する可変バルブタイミング機構と、燃料を供給し或いは停止する燃料噴射弁と、圧縮行程において吸気弁或いは排気弁を開き(デコンプレッション状態)且つ燃料供給を停止させて気筒を休止させることにより、エンジンの負荷状態に応じて排気量を実質的に変化させ、燃料消費量が低減され得ることを可能としたエンジンである。
上記自動変速機16は、ハイおよびローの2段の切り換えを行う第1変速機32と、後進変速段および前進4段の切り換えが可能な第2変速機34とを備えている。第1変速機32は、サンギヤS0、リングギヤR0、およびキャリアK0に回転可能に支持されてそれらサンギヤS0およびリングギヤR0に噛み合わされている遊星ギヤP0から成るHL遊星歯車装置36と、サンギヤS0とキャリアK0との間に設けられたクラッチC0および一方向クラッチF0と、サンギヤS0およびハウジング38間に設けられたブレーキB0とを備えている。
第2変速機34は、サンギヤS1、リングギヤR1、およびキャリアK1に回転可能に支持されてそれらサンギヤS1およびリングギヤR1に噛み合わされている遊星ギヤP1から成る第1遊星歯車装置40と、サンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリアK2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2およびリングギヤR2に噛み合わされている遊星ギヤP2から成る第2遊星歯車装置42と、サンギヤS3、リングギヤR3、およびキャリアK3に回転可能に支持されてそれらサンギヤS3およびリングギヤR3に噛み合わされている遊星ギヤP3から成る第3遊星歯車装置44とを備えている。
上記サンギヤS1とサンギヤS2は互いに一体的に連結され、リングギヤR1とキャリアK2とキャリアK3とが一体的に連結され、そのキャリアK3は出力軸46に連結されている。また、リングギヤR2がサンギヤS3に一体的に連結されている。そして、リングギヤR2およびサンギヤS3と中間軸48との間にクラッチC1が設けられ、サンギヤS1およびサンギヤS2と中間軸48との間にクラッチC2が設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2の回転を止めるためのバンド形式のブレーキB1がハウジング38に設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2とハウジング38との間には、一方向クラッチF1およびブレーキB2が直列に設けられている。この一方向クラッチF1は、サンギヤS1およびサンギヤS2が入力軸22と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
キャリアK1とハウジング38との間にはブレーキB3が設けられており、リングギヤR3とハウジング38との間には、ブレーキB4と一方向クラッチF2とが並列に設けられている。この一方向クラッチF2は、リングギヤR3が逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
以上のように構成された自動変速機16では、例えば図2に示す作動表に従って後進1段および変速比が順次異なる前進5段の変速段のいずれかに切り換えられる。図2において「○」は係合状態を表し、空欄は解放状態を表し、「◎」はエンジンブレーキのときの係合状態を表し、「△」は動力伝達に関与しない係合を表している。この図2から明らかなように、第2変速段(2nd)から第3変速段(3rd)へのアップシフトでは、ブレーキB3を解放すると同時にブレーキB2を係合させるクラッチツークラッチ変速が行われ、ブレーキB3の解放過程で係合トルクを持たせる期間とブレーキB2の係合過程で係合トルクを持たせる期間とがオーバラップして設けられる。それ以外の変速は、1つのクラッチまたはブレーキの係合或いは解放作動だけで行われるようになっている。上記クラッチおよびブレーキは何れも油圧アクチュエータによって係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
前記可変気筒エンジン10は、その作動気筒数および非作動気筒数が必要に応じて変更されることが可能となるように構成されたものであり、たとえば図3に示すように、3気筒ずつから構成される左右1対のバンク10Aおよび10Bを備え、その1対のバンク10Aおよび10Bは単独で或いは同時に作動させられるようになっている。
図3において、可変気筒エンジン10の吸気配管50には、スロットルアクチュエータ60によって操作されるスロットル弁62が設けられている。このスロットル弁62は、基本的には図示しないアクセルペダルの操作量すなわちアクセル開度θACC に対応するスロットル開度θTHとなるように制御されるが、可変気筒エンジン10の出力を調節するために変速過渡時などの種々の車両状態に応じた開度となるように制御されるようになっている。なお、上記スロットルアクチュエータ60によって操作されるスロットル弁62が設けられた吸気配管50および排気管52は、図3では1系統だけが示されているが、好適には、バンク10Aおよび10B毎にスロットル弁62が設けられた吸気配管50および排気管52が独立して2系統設けられる。
また、前記MG1は可変気筒エンジン10と自動変速機16との間に配置され、クラッチ12は可変気筒エンジン10とMG1との間に配置されている。上記自動変速機16の各油圧式摩擦係合装置およびロックアップクラッチ26は、電動油圧ポンプ64から発生する油圧を元圧とする油圧制御回路66により制御されるようになっている。また、可変気筒エンジン10には、スタータ電動機および発電機などとして機能する第2モータジェネレータMG2(以下、MG2という)が作動的に連結されている。そして、MG1およびMG2の電源として機能する燃料電池70および二次電池72と、それらからMG1およびMG2へ供給される電流を制御したり或いは充電のために二次電池72へ供給される電流を制御するための切換スイッチ74および76とが設けられている。この切換スイッチ74および76は、スイッチ機能を有する装置を示すものであって、たとえばインバータ機能などを有する半導体スイッチング素子などから構成され得るものである。
図4は、前記油圧制御回路66の一部を説明する図である。図4において、シフトレバー68に対して機械的に連結されることによりそのシフトレバー68の操作に連動させられるマニアル弁76などを介してクラッチC1およびC2が油圧制御されるようになっている。また、エンジン10とトルクコンバータ14との間に直列に介挿された入力クラッチ12は、入力クラッチ制御弁77により直接的に圧制御されるようになっている。また、オイルタンク78に還流させられた作動油は電動油圧ポンプ64により圧送され、プライマリレギュレータ79によって調圧されてから各油圧機器に供給されるようになっている。
図5は、電子制御装置80に入力される信号およびその電子制御装置80から出力される信号を例示している。たとえば、電子制御装置80には、アクセルペダルの操作量であるアクセル開度θACC を表すアクセル開度信号、自動変速機16の出力軸46の回転速度NOUT に対応する車速信号、エンジン回転速度NE を表す信号、吸気配管50内の過給圧PINを表す信号、空燃比A/Fを表す信号、シフトレバーの操作位置SH を表す信号などが図示しないセンサから供給されている。また、電子制御装置80からは、燃料噴射弁から可変気筒エンジン10の気筒内へ噴射される燃料の量を制御するための噴射信号、自動変速機16のギヤ段を切り換えるために油圧制御回路66内のシフト弁を駆動するシフトソレノイドを制御する信号、ロックアップクラッチ26を開閉制御するために油圧制御回路66内のロックアップコントロールソレノイドを制御する信号などが出力される。
図6は、車両のコンソールに立設された図示しないシフトレバーの操作位置を示している。このシフトレバーは、車両の前後方向に位置するPポジション、Rポジション、Nポジション、Dおよび4ポジション、3ポジション、2およびLポジションへ択一的に操作されるとともに、Dポジションと4ポジションの間が車両の左右方向に操作されるように、また、3ポジションと2ポジションとの間、および2ポジションとLポジションとの間が斜め方向に操作されるように、その支持機構が構成されている。また、そのコンソールには、自動変速モードとマニュアル変速モードとを択一的に選択するためのモード切換スイッチ82が設けられている。
上記電子制御装置80は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、可変気筒エンジン10およびMG1の作動を切り換えるために駆動力源切換制御、ロックアップクラッチ26の係合、解放、或いはスリップを実行する制御、上記自動変速機16の変速制御などを行うものである。たとえば、駆動力源切換制御では、予め記憶された図7乃至図9の駆動力源マップから選択(設定)された1つの駆動力源マップから実際の車速Vおよびアクセル開度θACC に基づいて、MG1を作動させる電動モータ作動領域A、バンク10Aおよび10Bの一方である片バンクを作動させる部分気筒作動領域B、両バンク10Aおよび10Bを共に作動させる全気筒作動領域Cのいずれかを判定し、判定された領域に対応する駆動力源すなわちMG1、可変気筒エンジン10の片バンク、可変気筒エンジン10の両バンクのいずれかを作動させる。また、変速制御では、たとえば図7乃至図9の破線に示す予め記憶されたよく知られた関係(変速線図)からアクセル開度θACC (%)および車速Vに基づいて変速判断を行い、その変速判断に対応してギヤ段が得られるように油圧制御回路66内のシフトソレノイドを制御する。
上記図7は、燃料電池70から出力される電力によってMG1からの出力トルクによるアシスト駆動が十分に保証されている状態で用いられるものであり、片バンクで出せる可変気筒エンジン10の出力トルクにこのMG1からの出力トルクを加えた総トルクが大きくなって、片バンクが使用される部分気筒運転領域Bが最も拡大されている。可変気筒エンジン10では、両バンク作動時においてその最大トルクが出力され、片バンク時の出力トルクはその半分であるが、図7では、その半分にMG1の出力トルクを加えることにより、できるだけ高アクセル開度まで片バンク状態で継続可能とし、MG1によるトルクアシストを有効に用い、片バンクの損失低減効果により燃費を改善することを狙いとしている。この片バンクの損失低減効果は、使用する気筒数の低減によって、不使用気筒がデコンプ状態とされてそのポンプ損失効果を低減させるものであり、不使用気筒に対する燃料噴射量を単に低減するものではない。
図8は、燃料不足や過熱などにより、燃料電池70から出力される電力によってMG1からの出力トルクによるアシスト駆動が十分に保証されない状態で用いられるものであり、片バンクを使用できる部分気筒運転領域Bがアクセル開度θACC で見て図7よりも少し狭く設定されている。エンジン停止状態でMG1単独で作動させられる電動モータ作動領域Aが図7よりも狭く設定されている。図9は、燃料不足や過熱などにより、燃料電池70から出力される電力によってMG1からの出力トルクによるアシスト駆動が全く保証されない状態で用いられるものであり、電動モータ作動領域Aが設けられず、部分気筒運転領域Bが図8よりも狭く設定されている。
図10では、可変気筒エンジン10の片バンク作動時および両バンク作動時の出力トルク特性が実線および破線を用いて示されている。また、図10の1点鎖線により示されているように、片バンク作動時においては、その出力トルクにMG1の出力トルク(アシストトルク)を加えたものが総トルクとなるので、アクセル開度θACC に対応した総トルクを得るためにMG1の出力トルクを用いることにより片バンク状態で走行できる領域が拡大される。また、アクセル開度が所定値以下であっても片バンク走行に不都合がある場合、たとえば暖気中、定期的な左右のバンク切換ができない場合には両バンク走行が行われる。図11は、アクセル開度θACC に対する総トルク特性を説明する図である。MG1のアシストトルクにより、片バンク状態で走行できる片バンク作動領域がアクセル開度θACC に対して増加することを示している。
図12は、上記電子制御装置80の制御機能の要部すなわち駆動力源切換制御を説明する機能ブロック線図である。図12において、回生制動状態判定手段100は、たとえば減速走行(駆動力源ブレーキ走行)或いは制動中において車両の運動エネルギによってMG1を回転駆動させそれから電気エネルギを取り出して二次電池72を充電する回生制動中、非回生制動中、回生制動量などの車両の回生制動状態を判定する。デコンプ状態設定手段102は、その回生制動状態判定手段100により判定された車両の回生制動状態に基づいて前記可変気筒エンジンの非作動気筒のデコンプ状態を設定する。
エンジン停止モード判定手段104は、可変気筒エンジン10のエンジン停止モードすなわち惰行走行中の車速Vが予め設定されたフューエルカット車速よりも高いために燃料供給が停止されている走行状態であるか否かを判定する。エンジン再始動可能性判定手段106は、車両走行中に停止させられている可変気筒エンジン10の再始動可能性があるか否かを判定する。通常走行の場合には、殆どエンジン再始動可能性判定手段106により可変気筒エンジン10の再始動可能性があると判定される。前記デコンプ状態設定手段102は、エンジン停止モード判定手段104により可変気筒エンジン10のエンジン停止モードであると判定され、且つエンジン再始動可能性判定手段106により再始動可能性があると判定された場合の回生制動中においては、可変気筒エンジン10の一方のバンク(片バンク)10Aをコンプレッション状態とし、他方のバンク(片バンク)10Bをデコンプ状態とするが、エンジン停止モードであると判定され且つ再始動可能性がないと判定された場合の回生制動中においては、可変気筒エンジン10の両バンク10Aおよび10Bをデコンプ状態とする。
図13は、電子制御装置80の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、所定のサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。図13において、前記エンジン停止モード判定手段104に対応するステップ(以下、ステップを省略する)SA1では、可変気筒エンジン10のエンジン停止モードであるか否か、すなわち惰行走行中の車速Vが予め設定されたフューエルカット車速よりも高いために燃料供給が停止されている走行状態であるか否かが判定される。このSA1の判断が否定される場合は、惰行走行中のエンジン停止状態ではないので本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は前記エンジン再始動可能性判定手段106に対応するSA2において、車両走行中に停止させられている可変気筒エンジン10の再始動可能性がある状態であるか否かが判定される。通常はこのSA2の判断が肯定されるので、前記回生制動状態判定手段100に対応するSA3において、たとえば車両の走行運動エネルギによってMG1を駆動してそのMG1から出力される電気エネルギを二次電池72に蓄える回生中であるか否かが判断される。このSA3の判断が否定される場合は、可変気筒エンジン10の全気筒すなわち両バンクがコンプレッション状態とされ、可変気筒エンジン10の回転抵抗およびブレーキトルクが高められる。しかし、上記SA3の判断が肯定される場合は、SA5において、可変気筒エンジン10の所定の部分気筒すなわち一方のバンク10Aがコンプレッション状態とされ、且つ他の部分気筒すなわち他方のバンク10Bがデコンプレッション状態とされることにより、回生量が高められてブレーキトルクも高められるとともに、直ちに可変気筒エンジン10の点火すなわち再始動が可能とされている。図14のt0 乃至t1 の間はこの状態を示している。
上記SA2の判断が否定された場合は、前記回生制動状態判定手段100に対応するSA7において、SA3と同様に回生走行中であるか否かが判断される。このSA7の判断が否定される場合は、SA8においてSA4と同様に、可変気筒エンジン10の全気筒すなわち両バンクがコンプレッション状態とされるが、SA7の判断が否定される場合は、SA9において、可変気筒エンジン10の全気筒すなわち両バンクがデコンプレッション状態とされる。本実施例によれば、上記SA4乃至SA6、SA8乃至SA9が前記デコンプ状態設定手段102に対応している。ここで、上記コンプレッション状態とは、4サイクルエンジンの圧縮行程において、吸気弁および排気弁のタイミングがエンジン作動時と同様とされて吸入空気が圧縮される状態を示している。また、上記デコンプレッション状態すなわちデコンプ状態とは、4サイクルエンジンの圧縮行程において、吸気弁或いは排気弁のタイミングがずらされて吸入空気の圧縮が十分に行われないようにされるとともに、スロットル弁62および図示しないEGR弁が解放されてクランク軸の回転抵抗が低くされた状態を示している。
二次電池72が満充電となることなどによって回生が終了させられた場合は、上記SA3或いはSA7の判断が否定されるので、図14のt1 時点以後に示すように、可変気筒エンジン10の両バンクがコンプレッション状態とされる。なお、上記SA3或いはSA7では、回生の有無が判断されていたが、回生量が所定値以上であるか否かに基づいて判断されてもよい。この場合には、回生量に応じて各バンクのデコンプレッション状態が変更される。図15は、回生量が所定値よりも小さくなることに基づいて可変気筒エンジン10のデコンプ状態が設定される場合のタイムチャートである。t1 時点において回生量が予め設定された判断基準値Aよりも小さくなったことが判定されると、可変気筒エンジン10の両バンクがコンプレッション状態とされる。
上述のように、本実施例によれば、デコンプ状態設定手段102(SA5、SA6)により、回生制動状態判定手段100(SA3)により検出された車両の回生制動状態に基づいて可変気筒エンジン10の非作動気筒のデコンプ状態が設定されるので、回生制動に対応して必要かつ十分に可変気筒エンジン10の非作動気筒のデコンプ状態が設定され、車両の燃費が改善されると同時にエンジンブレーキ性能が確保される。
また、本実施例によれば、可変気筒エンジン10は複数の気筒を有する片バンク毎に作動可能な1対のバンク10Aおよび10Bを備えたものであり、前記デコンプ状態設定手段102(SA4、SA5、SA6)は、回生制動状態判定手段100により回生制動中が検出されない場合には可変気筒エンジン10の両バンクをコンプレッション状態とするが、回生制動中が検出された場合には、上記可変気筒エンジン10の一方のバンクをコンプレッション状態とし、他方のバンクをデコンプ状態すなわち圧縮行程における気筒内を非圧縮状態とするものであることから、回生制動中でない場合は両バンクがコンプレッション状態とされることにより適切な駆動力源(エンジン)ブレーキ効果が得られる一方、回生制動中である場合は一方のバンクがコンプレッション状態とされ且つ他方のバンクがデコンプ状態とされて回生制動分だけ駆動力源(エンジン)ブレーキ作用が少なくされるので、全体として同様の制動効果が得られると同時に、回生によって燃費が高められる。
また、本実施例によれば、可変気筒エンジン10を車両走行中に停止させるエンジン停止モード、たとえばモータ走行モード或いはフューエルカットモードであるか否かを判定するエンジン停止モード判定手段104(SA1)が設けられ、回生制動状態判定手段100は、そのエンジン停止モード判定手段104によりエンジン停止モードであると判定された場合に、回生制動状態を検出するものであるので、エンジン停止走行における回生制動中において、車両の燃費が改善されると同時にエンジンブレーキ性能が確保される。
また、本実施例によれば、可変気筒エンジン10の再始動の可能性があるか否かを判定するエンジン再始動可能性判定手段106(SA2)が設けられ、回生制動状態判定手段100は、そのエンジン再始動可能性判定手段106により可変気筒エンジンの再始動の可能性があると判定された場合に回生制動状態を検出するものであり、デコンプ状態設定手段102はその回生制動状態判定手段100により回生制動中が検出された場合に、上記可変気筒エンジン10の一方のバンク10Aをコンプレッション状態とし、他方のバンク10Bをデコンプ状態とするものであることから、回生制動中においては一方のバンク10Aがコンプレッション状態とされるので、エンジン再始動要求に際して直ちに可変気筒エンジン10を再始動させることができる。
また、本実施例によれば、エンジン再始動可能性判定手段106により前記可変気筒エンジン10の再始動の可能性がないと判定された場合には、前記デコンプ状態設定手段102は、前記回生制動状態判定手段100により回生制動中が検出されない場合には上記可変気筒エンジン10の両バンクをコンプレッション状態とするが、回生制動中が検出された場合には、上記可変気筒エンジン10の両バンクをデコンプ状態とするものである。このようにすれば、回生制動中でない場合は両バンクがコンプレッション状態とされることにより適切なエンジンブレーキ効果が得られる一方、回生制動中である場合は両バンクがデコンプ状態とされて回生量ができるだけ大きくされる利点がある。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図16は前記電子制御装置80の他の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図16において、発電要求判定手段すなわち発電モード判定手段110は、発電機として機能するMG1或いはMG2による発電が要求されている状態か否かを、たとえば二次電池72の充電残量が所定値以下であるか否かに基づいて判定する。気筒数切換手段112は、その発電モード判定手段110によりMG1或いはMG2による発電が要求されていると判定された場合には、可変気筒エンジン10を部分気筒運転すなわち減筒運転とし、たとえば片バンク作動状態の可変気筒エンジン10にMG1或いはMG2を回転駆動させる。
中立判定手段114は、可変気筒エンジン10から駆動輪に至る動力伝達経路が解放されたか否かを、図示しないシフトレバーがニュートラル(N)位置、パーキング(P)位置などの非走行位置へ操作されたか否か或いは自動変速機16が中立状態とされたか否かに基づいて判定する。ニュートラル制御中判定手段116、たとえばクラッチ12を解放する車両のニュートラル(N)制御の作動中であるか否かを判定する。上記気筒数切換手段112は、上記中立判定手段114により動力伝達経路が解放されたと判定されるか、或いは上記ニュートラル制御中判定手段116によりクラッチ12が解放されたと判定されると、片バンク作動状態の可変気筒エンジン10にMG1或いはMG2を回転駆動させる。
図17は、電子制御装置80の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、所定のサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。前記発電モード判定手段110に対応するSB1では、発電機として機能するMG1或いはMG2による発電が要求されている状態か否かが、たとえば二次電池72の充電残量が所定値以下であるか否かに基づいて判定される。このSB1の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は、前記中立判定手段114に対応するSB2において、可変気筒エンジン10から駆動輪に至る動力伝達経路が解放されたか否すなわち自動変速機16が中立状態とされたか否かが、図示しないシフトレバーがニュートラル(N)位置、パーキング(P)位置などの非走行位置へ操作されたことに基づいて判断される。このSB2の判断が否定された場合は、前記ニュートラル制御中判定手段116に対応するSB3において、たとえばクラッチ12を解放する車両のニュートラル(N)制御の作動中であるか否かが判断される。上記SB2およびSB3の判断が共に否定された場合は、SB4において、両バンク作動状態の可変気筒エンジン10によりMG1或いはMG2が回転駆動されて発電が行われる。しかし、上記SB2およびSB3の判断の少なくとも一方が肯定された場合は、SB5において片バンク作動状態の可変気筒エンジン10によりMG1或いはMG2が回転駆動されて発電が行われるとともに、SB6において、可変気筒エンジン10の他の非作動の片バンクがデコンプ状態とされて、その非作動の片バンクにおける損失が低減される。たとえば図18のt1 乃至t2 時点以後はこの状態を示している。本実施例では、上記SB4乃至SB6が前記気筒数切換手段112に対応している。
上述のように、本実施例によれば、発電モード(要求)判定手段110(SB1)によりMG1或いはMG2による発電が必要な状態であると判定された場合には、気筒数切換手段112(SB5)により可変気筒エンジン10が部分気筒運転とされることから、発電が必要なときには部分気筒運転状態とされて回転損失の少ない可変気筒エンジン10により発電機が駆動されるので、発電のための燃費が向上させられる。
また、本実施例によれば、可変気筒エンジン10は複数の気筒を有する片バンク毎に作動可能な1対のバンク10A、10Bを備えたものであり、気筒数切換手段112は、発電要求判定手段110によりMG1或いはMG2による発電が必要な状態であると判定された場合に、その可変気筒エンジン10の一方のバンク10Aを部分気筒運転とし、他方のバンク10Bをデコンプ状態とするものであるので、可変気筒エンジン10の回転損失が一層少なくされて発電のための燃費が一層向上させられる。
また、本実施例によれば、D、R位置などの走行位置とN、P位置などの非走行位置とへ操作されるシフトレバーが設けられており、気筒数切換手段112は、このシフトレバーの操作位置が走行位置或いは非走行位置であることに応じて、MG1或いはMG2を駆動する可変気筒エンジン10の気筒数を変更するものであることから、シフトレバーが走行位置へ操作されることにより動力伝達経路が達成されて可変気筒エンジン10の出力トルク振動が車輪へ伝達される状態では全気筒運転に変更されるが、シフトレバーが非走行位置へ操作されることにより動力伝達経路が遮断されて可変気筒エンジン10の出力トルク振動が車輪へ伝達されない状態では部分気筒運転(片バンク運転)に変更されるので、MG1或いはMG2を回転駆動するときの車両振動が好適に抑制される。
また、本実施例によれば、気筒数切換手段112は、車両の走行中は、予め記憶された図7乃至図9の駆動源マップから決定される気筒数切換判定に優先的に従って可変気筒エンジン10の気筒数を切り換えるものであり、MG1或いはMG2はその駆動源マップから決定された気筒数で作動させられる可変気筒エンジン10によって回転駆動されるものであるので、車両走行中の燃費も確保される。
図19は、前記電子制御装置80の他の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図19において、駆動力源ブレーキ制御手段122は、車両の減速走行中において、MG1或いはMG2の発電により発生させられる回生トルクと可変気筒エンジン10の非作動気筒のデコンプ状態とに基づいて、車両の減速走行時の駆動力源ブレーキを制御する。この駆動力源ブレーキとは、可変気筒エンジン10およびMG1或いはMG2を車両の減速走行運動により回転駆動させるときに発生する車両の制動トルクに起因する制動作用である。
減速走行中判定手段124は車両の減速走行中であるか否かを、たとえばアクセル開度および車速に基づいて判定する。目標減速度算出手段126は、その減速走行中判定手段124により車両の減速走行中であると判定された場合には、予め記憶された関係から実際の車速および運転者が設定する減速度設定値などに基づいて減速走行中の目標減速度GT を算出する。前記駆動力源ブレーキ制御手段122は、実際の車両の減速度Gがその目標減速度GT となるようにMG1或いはMG2による回生トルクと可変気筒エンジンの非作動気筒のデコンプ状態とに基づいて駆動力源ブレーキを制御する。
上記駆動力源ブレーキ制御手段122は、MG1或いはMG2による回生量を制御する回生量制御手段128と、可変気筒エンジン10の気筒のうちの一部をデコンプ状態とするデコンプ状態設定手段130と、その可変気筒エンジン10のデコンプ状態とされた気筒の吸入空気抵抗をたとえばスロットル開度を用いて、デコンプ状態とされた気筒による回転抵抗すなわちデコンプ量を制御するデコンプ量制御手段132とを備え、上記MG1或いはMG2による回生制動量が減少して不足すると、可変気筒エンジン10の回転抵抗が大きくなるように上記デコンプ量を制御してその不足分を補うものである。
回生切換判定手段134は、二次電池72の満充電や温度上昇などにより回生不可となったような、MG1或いはMG2による回生作動の切換を判定する。ロックアップクラッチ開放手段136は、その回生切換判定手段134によりMG1或いはMG2による回生作動の切換が判定された場合には、可変気筒エンジン10と変速機16との間に設けられた流体継手のロックアップクラッチ26を解放或いは半係合とするが、MG1或いはMG2による回生作動の切換、およびそれに起因する片バンクのデコンプ量の制御、他の片バンクのコンプレッション制御が終了した時点でロックアップクラッチ26を係合状態へ復帰させる。
図20は、電子制御装置80の他の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、所定のサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。前記減速走行中判定手段124に対応するSC1では、車両の減速走行中であるか否かが、たとえば車速Vが所定値以上であり且つアクセル開度が略零であることに基づいて判断される。このSC1の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は、前記目標減速度算出手段126に対応するSC2において、予め記憶された関係からたとえば実際の車速および運転者が設定する減速度設定値などに基づいて減速走行中の目標減速度GT が算出される。次いで、前記回生切換判定手段134に対応するSC3では、二次電池72の満充電や温度上昇などにより回生不可となったような、MG1或いはMG2による回生作動の切換が判定される。このSC3の判断が否定される場合は、SC4において、目標減速度GT に実際の減速度Gが一致するようにMG1或いはMG2による回生量を制御する現駆動力源ブレーキ制御が継続される。
しかし、上記SC3の判断が肯定される場合は、前記駆動力源ブレーキ制御手段122に対応するSC5乃至SC9が実行される。先ず、ロックアップクラッチ解放手段136に対応するSC5においてロックアップクラッチ26が解放或いは半係合とされる。次いで、前記回生量制御手段128に対応するSC6では、目標減速度GT に実際の減速度Gが一致するようにMG1或いはMG2による回生量が制御される。次に、前記デコンプ状態設定手段130に対応するSC7では、可変気筒エンジン10の気筒の一部すなわち一方のバンクたとえばバンク10Aの気筒がデコンプ状態とされるとともに、前記デコンプ量制御手段132に対応するSC8において、MG1或いはMG2による回生トルクの不足分に相当する制動トルクを発生させるために、吸入弁および排出弁のタイミングやスロットル弁62の開度を調節することにより可変気筒エンジン10の回転抵抗すなわちデコンプ量が調節される。そして、前記ロックアップクラッチ解放手段136に対応するSC9において、ロックアップクラッチ26が係合状態に復帰させられる。上記可変気筒エンジン10の気筒の他の一部すなわち他方のバンクは、エンジンの再始動性を高めるために、それに対応するスロットル弁62が閉じられたままでコンプレッション状態とされる。
上述のように、本実施例によれば、車両の減速走行中において、駆動力源ブレーキ制御手段122により、MG1或いはMG2による回生トルクと可変気筒エンジン10の非作動気筒のデコンプ状態(量)とに基づいて駆動力源ブレーキが制御されることから、回生トルクに加えて可変気筒エンジン10のデコンプ量を用いることにより駆動力源ブレーキ力が調節され得るので、車両の減速度を制御できるパラメータが増加し、その減速度の制御性が高められる。たとえば、図21に示すように、MG1或いはMG2による回生トルク量によって車両の減速度が調節されるが、二次電池72の満充電や高温によってそのMG1或いはMG2による回生が不可となった場合には、そのMG1或いはMG2による回生トルクに替えて、可変気筒エンジン10の非作動気筒のデコンプ状態(量)により制御される可変気筒エンジン10の回転抵抗(制動トルク)が用いられる。
また、本実施例によれば、車両の減速走行中であるか否かを判定する減速走行中判定手段124と、その減速走行中判定手段124により車両の減速走行中であると判定された場合には、予め記憶された関係から実際の車速Vおよび運転者が設定する減速度設定値に基づいて減速走行中の目標減速度GT を算出する目標減速度算出手段126とが設けられ、前記駆動力源ブレーキ制御手段122は、実際の車両の減速度Gがその目標減速度GT となるようにMG1或いはMG2による回生トルクと可変気筒エンジン10の非作動気筒のデコンプ状態およびデコンプ量とに基づいて駆動力源ブレーキを制御するものであるので、運転者が求める減速度で減速走行できる。
また、本実施例によれば、駆動力源ブレーキ制御手段122は、MG1或いはMG2による回生量を制御する回生量制御手段128と、可変気筒エンジン10の気筒のうちの一部をデコンプ状態とするデコンプ状態設定手段130と、その可変気筒エンジン10のデコンプ状態とされた気筒の吸入弁および排出弁のタイミングやスロットル開度を用いて可変気筒エンジン10の回転抵抗を制御するデコンプ量制御手段132とを備えたものであるので、上記MG1或いはMG2による回生制動量が減少すると、可変気筒エンジン10の吸入空気抵抗を増大させてその不足分が補われる。
また、本実施例によれば、MG1或いはMG2による回生作動の切換を判定する回生切換判定手段134と、その回生切換判定手段134によりMG1或いはMG2による回生作動の切換が判定された場合には、可変気筒エンジン10と変速機16との間に設けられたトルクコンバータ14のロックアップクラッチ26を開放或いは半係合とするロックアップクラッチ開放手段136とが設けられるので、MG1或いはMG2の回生作動の切換に伴うショックがトルクコンバータ14により吸収される。
図22は、前記電子制御装置80の他の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図22において、アイドル停止判定手段140は、車両が停止し且つ可変気筒エンジン10がアイドル運転させられている状態であるか否かを判定する。減筒/中立手段142は、そのアイドル停止判定手段140により車両が停止し且つ可変気筒エンジン10がアイドル運転させられている状態であると判定された場合には、その可変気筒エンジン10の部分気筒運転を行うと同時に自動変速機16内を中立状態とする。
エンジン停止中判定手段144は、可変気筒エンジン10が停止中であるか否かを判定する。ヒルホールド手段146は、前記アイドル停止判定手段140により車両が停止し且つ可変気筒エンジン10がアイドル回転中であると判定され、且つそのエンジン停止中判定手段144により可変気筒エンジン10が停止中ではないと判定された場合に、車両の制動装置を作動させることにより車両の停止状態を保持する。
減筒/中立条件判定手段148は、可変気筒エンジン10の部分気筒運転、自動変速機16のニュートラル、上記ヒルホールド手段146による車両のヒルホールドのうちのすべてが同時制御可能な状態であるか否かを判定する。この減筒/中立条件判定手段148により可変気筒エンジン10の部分気筒運転、自動変速機16のニュートラル、上記ヒルホールド手段146による車両のヒルホールドのうちのすべてが同時制御可能な状態であると判定された場合は、前記減筒/中立手段142は、可変気筒エンジン10の部分気筒運転を行うと同時に自動変速機16内を中立状態とし、前記ヒルホールド手段146は、車両の制動装置を作動させることにより車両の停止状態を保持する。しかし、その減筒/中立条件判定手段148によって前記可変気筒エンジンの部分気筒運転、前記変速機のニュートラル、ヒルホールド手段146による車両のヒルホールドのうちのすべてが同時制御可能な状態でないと判定された場合には、全気筒運転手段150は上記可変気筒エンジン10を全気筒運転とし、上記ヒルホールド手段146は、車両の停止状態を保持するヒルホールド制御を解除する。
図23は、電子制御装置80の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、所定のサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。図23において、前記アイドル停止判定手段140に対応するSD1では、車速Vが零であり且つ可変気筒エンジン10がアイドル回転であるアイドル停止中であるか否かが判断される。このSD1の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は、前記エンジン停止中判定手段144に対応するSD2において、可変気筒エンジン10が停止しているか否かが判断される。このSD2の判断が肯定される場合は本ルーチンが終了させられるが、否定される場合は、前記減筒/中立条件判定手段148に対応するSD3において、可変気筒エンジンの部分気筒運転、前記変速機のニュートラル、ヒルホールド手段146による車両のヒルホールドのうちのすべてが同時制御可能な状態であるか否かが判断される。このSD3の判断が否定される場合は、前記全気筒運転手段150に対応するSD4において可変気筒エンジン10が全気筒運転された後、SD5において、自動変速機16を中立状態とするニュートラル制御が解除される。
上記SD3の判断が肯定される場合は、前記減筒/中立手段142に対応するSD6およびSD7において、可変気筒エンジン10の一方のバンクたとえばバンク10Aが作動させられるとともに他方のバンクたとえばバンク10Bがデコンプ状態とされ、且つたとえば自動変速機16のクラッチC0を除くすべての油圧式摩擦係合装置が解放されて中立状態とされる。そして、前記ヒルホールド手段146に対応するSD8において、車両の制動装置が作動させられることにより車両の停止状態が保持される。図24のt1 時点以後はこの状態を示している。
上述のように、本実施例によれば、車両が停止し且つ可変気筒エンジン10がアイドル運転させられている状態であるアイドル停止を判定するアイドル停止判定手段140と、そのアイドル停止判定手段140により車両が停止し且つ可変気筒エンジン10がアイドル運転させられている状態であるアイドル停止が判定された場合には、その可変気筒エンジン10の部分気筒運転すなわち片バンク運転を行うと同時に自動変速機16を中立状態とする減筒/中立手段142とが設けられていることから、アイドル停止状態であるときには、可変気筒エンジン10の部分気筒運転が行われると同時に自動変速機16が中立状態とされるので、車両のアイドル停止時の燃費が向上させられるとともに、可変気筒エンジン10の振動が駆動輪に伝達されずしかも無負荷時の歯車の噛合音などが抑制され、振動や騒音が低減させられる。
また、本実施例によれば、可変気筒エンジン10が停止中であるか否かを判定するエンジン停止中判定手段144と、アイドル停止判定手段140により車両が停止し且つ可変気筒エンジン10がアイドル回転中であると判定され、且つそのエンジン停止中判定手段144により可変気筒エンジン10が停止中ではないと判定された場合に、車両の制動装置を作動させることにより車両の停止状態を保持するヒルホールド手段146とが設けられていることから、車両のアイドル停止中において、可変気筒エンジン10の部分気筒運転が行われると同時に自動変速機16が中立状態とされたとき、たとえ坂路であっても車両の停止状態が保持される。
また、本実施例によれば、可変気筒エンジン10の部分気筒運転、自動変速機16のニュートラル(N)制御、ヒルホールド手段146による車両のヒルホールド制御のうちのすべてが同時制御可能な状態であるか否かを判定する減筒/中立条件判定手段148が設けられ、その減筒/中立条件判定手段148によって可変気筒エンジン10の部分気筒運転、自動変速機16のニュートラル制御、ヒルホールド手段146による車両のヒルホールド制御が同時制御可能な状態でないと判定された場合には、可変気筒エンジン10が全気筒運転すなわち両バンク運転とされるので、可変気筒エンジン10の暖気前(低温)状態、システムフェイルなどの部分気筒運転不可状態、自動変速機16の低温状態、システムフェイルなどのニュートラル制御不可状態などでは、可変気筒エンジン10のアイドル回転作動が全気筒運転により行われる。
図25は、本発明の他の実施例における車両の動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。この車両の駆動装置は、半数の気筒を備えて切換可能な一対のバンク210Aおよび210Bを有する内燃機関である可変気筒エンジン210と、電気モータおよび発電機として選択的に機能するモータジェネレータMG1(以下、MG1という)と、ラビニヨ型歯車列を有する遊星歯車装置214と、変速比が連続的に変化させられる無段変速機216とを同心に備えている。上記可変気筒エンジン210は第1原動機すなわち主原動機として機能し、MG1は第2原動機すなわち副原動機として機能している。なお、上記可変気筒エンジン210には、それを始動させるとともに電気モータおよび発電機として選択的に機能するモータジェネレータMG2(以下、MG2という)が作動的に連結されている。
上記遊星歯車装置214は、機械的に力を合成し或いは分配する合成分配機構であって、共通の軸心まわりに独立して回転可能に設けられた3つの回転要素、すなわち上記エンジン210にダンパ装置218および第1クラッチC1を介して連結された大径サンギヤ220と、上記エンジン210にダンパ装置218および第2クラッチC2を介して連結され且つ上記MG1の出力軸が連結された小径サンギヤ222と、無段変速機216の入力軸224に連結されたリングギヤ226と、ブレーキB1により回転阻止されることが可能なキャリヤ228と、リングギヤ226と大径サンギヤ220との間に配置されてそれらに噛み合わされ、キャリヤ228によって回転可能に支持された大径ピニオン(遊星歯車)230と、大径ピニオン230と小径サンギヤ222との間に配置されてそれらに噛み合わされ、キャリヤ228によって回転可能に支持された小径ピニオン(遊星歯車)232とを備えている。上記第1クラッチC1、第2クラッチC2、ブレーキB1は、いずれも互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータによって押圧されることにより係合させられたり、その押圧解除により解放されたりする油圧式摩擦係合装置である。
上記遊星歯車装置214の小径サンギヤ222に連結されたMG1は、エンジン210の作動状態すなわち大径サンギヤ220の回転状態においてMG1の発電量を制御すること、すなわちMG1の回転駆動トルクである反力が逐次大きくなるように小径サンギヤ222に発生させられることにより、リングギヤ226の回転数を滑らかに増加させて車両の滑らかな発進加速を可能とする電気トルコン(ETC)装置を構成している。このとき、遊星歯車装置214のギヤ比ρ1 (小径サンギヤ222の歯数/リングギヤ226の歯数)がたとえば一般的な値である0.5とすると、リングギヤ226のトルク:キャリヤ228のトルク:大径サンギヤ220のトルク=1/ρ1 :(1−ρ1 )/ρ1 :1の関係から、エンジン210のトルクが1/ρ1 倍たとえば2倍に増幅されて無段変速機216の入力軸224へ伝達されるので、トルク増幅モード、或いはギヤ比が1/ρ1 の第1速(1st)ギヤ段と称される。なお、クラッチC1およびC2が共に係合させられると遊星歯車装置214は一体回転させられるので、ギヤ比が1の第2速(2nd)ギヤ段と称される。
また、上記無段変速機216は、入力軸224および出力軸234にそれぞれ設けられた有効径が可変の1対の可変プーリ236および238と、それら1対の可変プーリ236および238に巻き掛けられた無端環状の伝動ベルト240とを備えている。この伝動ベルト240は、可変プーリ236および238により挟圧されることにより発生する摩擦を介して動力を伝達する動力伝達部材として機能している。上記1対の可変プーリ236および238は、入力軸224および出力軸234にそれぞれ固定された固定回転体242および244と、その固定回転体242および244との間にV溝を形成するように入力軸224および出力軸234に対して軸心方向に移動可能且つ軸心まわりに相対回転不能に取付られた可動回転体246および248と、それら可動回転体246および248に推力を付与して可変プーリ236および238の掛かり径すなわち有効径を変化させることにより変速比γ(=入力軸回転速度/出力軸回転速度)を変更する1対の油圧シリンダ250および252とを備えている。
上記無段変速機216の出力軸234から出力されたトルクは、減速装置254、差動歯車装置256、および1対の車軸258、260を介して1対の前輪(駆動輪)262、264へ伝達されるようになっている。なお、本実施例では、一対の前輪262、264が駆動輪として用いられているが、後輪が駆動輪として用いられてもよい。
図26は、前記複数の油圧式摩擦係合装置の係合作動の組み合わせにより得られるギヤ段或いは走行モードをレンジおよび選択された駆動力源すなわち原動機毎に示している。図27は、遊星歯車装置214の作動を説明する共線図である。この共線図は、回転要素に対応する縦軸とギヤ比に対応する横軸とから構成されている。リバース(Rev)ポジションでは、MG1の回転を反転して小径サンギヤ222へ入力される。基本的には、前進でもリバースでも車両停止中のクリープ力はMG1により確保される。このため、図示しない燃料電池の燃料や二次電池の充電残量SOCがなくなってもエンジン210を始動させるMG2により発電して二次電池へ供給し充電するので、故障時以外はMG1による車両発進が可能とされている。また、走行方法については、ブレーキB1を係合して遊星歯車装置214を減速状態とした状態でMG1を用いて車両発進が行われる。MG1による走行領域からエンジン走行領域へ入る場合にはMG2により可変気筒エンジン210の始動が行われる。そして、同期回転に到達したらクラッチC1を係合させ、可変気筒エンジン210によるセカンド走行が行われる。可変気筒エンジン210による発進も可能であり、低速ではクラッチC1をスリップさせながら徐々に速度を上げる。比較的高速になるとクラッチC1を完全に係合させる。後進も同じである。この場合には、MG1を反転させてクリープ力を確保し、トルクが必要であるときには可変気筒エンジンを始動させる。低速ではクラッチC1をスリップさせる。上記の遊星歯車装置214によれば、少ない要素数で車両の発進から走行までのすべての機能が達成可能となっている。
図28は、車両のコンソールに立設されたシフトレバーの操作ポジションを示している。シフトレバーは、駐車時に操作されるPポジション、後進時に操作されるRポジション、動力伝達装置を中立状態とするときに操作されるNポジション、自動変速により前進走行させるときに操作されるDポジション、エンジンブレーキ走行時に操作されるBポジション、+或いは−位置への手動変速操作に応じてステップ的に変速させることにより前進走行させるときに操作されるMポジションへ操作されるようになっている。図29は、減速走行時の減速度或いは減速トルクを設定するために操作されるスライド式の減速度設定スイッチ268であり、それにより設定された減速度が得られるように減速走行時の無段変速機216の変速比γが調節される。
図30は、電子制御装置280に入力される信号およびその電子制御装置280から出力される信号を例示している。たとえば、電子制御装置280には、アクセルペダルの操作量であるアクセル開度θACC を表すアクセル開度信号、無段変速機216の出力軸46の回転速度NOUT に対応する車速信号、エンジン回転速度NE を表す信号、シフトレバーの操作位置SH 、無段変速機216内の作動油温度を表す信号などが図示しないセンサから供給されている。また、電子制御装置80からは、燃料噴射弁から可変気筒エンジン210の気筒内へ噴射される燃料の量を制御するための噴射信号、無段変速機216の変速比γを切り換えるために油圧制御回路内の変速比制御弁を制御する信号、ベルト挟圧力を調節するために油圧制御回路内のベルト挟圧力制御弁を制御する信号などが出力される。
上記電子制御装置280は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェースを備えた所謂マイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、駆動力源切換制御、無段変速機16の変速制御、ベルト挟圧力制御などの種々の制御を実行する。たとえば、駆動力源切換制御では、図31に示す予め記憶された関係(駆動力源マップ)から実際の車速Vおよび出力トルク(アクセル開度θACC )に基づいて領域判定を行い、モータ作動領域Aであれば原動機としてMG1を選択することにより専らMG1にて車両を走行させるが、エンジン作動領域(部分気筒作動領域Bまたは全気筒作動領域C)であれば原動機として可変気筒エンジン10を選択することにより専ら可変気筒エンジン10にて車両を走行させる。図31の(a) はシフトレバーが前進ポジションに操作されたときに選択される駆動力源マップであり、図31の(b) はシフトレバーが後進ポジッションに操作されたときに選択される駆動力源マップである。図31において、モータ作動領域Aと全気筒作動領域Cとの間の境界車速V3 、V2 、V1 は、V3 <V1 <V2 という関係にある。
また、上記無段変速機216の変速制御では、自動変速モードでは、燃費および運転性が最適となるように予め記憶された関係から実際の車速Vおよびアクセル開度θACC に基づいて目標エンジン回転速度NETを決定し、実際のエンジン回転速度NE がその目標エンジン回転速度NETと一致するように変速比γを制御する。手動変速モードでは、シフトレバーが+位置或いは−位置に操作される毎に予め定められた変速比変化量Δγだけ変化するように入力側油圧シリンダ250内の作動油量を調節して変速比γを制御する。ベルト挟圧力制御では、伝動ベルト240のすべりが発生しない範囲で可及的に小さいベルト挟圧力となるように予め定められた関係から無段変速機216の実際の入力トルクTINおよび変速比γに基づいて基本ベルト挟圧力制御圧PBLTBを決定し、この基本ベルト挟圧力PBLTBに補正値ΔPBLT を加算して得た補正後のベルト挟圧力制御圧PBLT を出力側油圧シリンダ252内に供給する。
図32は、上記電子制御装置280の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図32において、モータ走行状態判定手段282は、たとえば入力クラッチC1が解放されて可変気筒エンジン210と連結されていないMG1を駆動力源とする車両のモータ走行状態であるか否かを判定する。減筒手段284は、そのモータ走行状態判定手段282によりMG1を駆動力源とする車両のモータ走行状態であると判定された場合は、たとえばそのMG1へ電気エネルギを供給するMG2を回転駆動する可変気筒エンジン210の部分気筒運転すなわち片バンク運転を行う。
シフト位置判定手段286はシフトレバーがニュートラル位置に操作されているか否かを判定する。上記減筒手段284は、そのシフト位置判定手段286によりシフトレバーがニュートラル位置に操作されていると判定された場合も、MG1へ電気エネルギを供給するMG2を回転駆動する可変気筒エンジン210の部分気筒運転すなわち片バンク運転を実行させる。駆動力源切換手段288は、上記モータ走行状態判定手段282によりMG1を駆動力源とする車両のモータ走行状態でないと判定された場合、或いは上記シフト位置判定手段286によりシフトレバーがニュートラル位置に操作されていないと判定された場合は、たとえば図31に示す予め記憶された関係から実際の車速Vおよび出力トルクに基づいて、駆動力源の切換および気筒数の切換を実行させる。
図33は、上記電子制御装置280の制御作動の要部を説明するフローチャートである。図33において、前記シフト位置判定手段286に対応するSE1では、シフトレバーがニュートラル位置に操作されているか否かが判断される。このSE1の判断が否定される場合は、前記モータ走行状態判定手段282に対応するSE2において、たとえば入力クラッチC1が解放されて可変気筒エンジン210と連結されていないMG1を駆動力源とする車両のモータ走行状態であるか否かが判定される。上記SE2の判断が否定される場合は、前記駆動力源切換手段288に対応するSE3およびSE4において、たとえば図31に示す予め記憶された関係から実際の車速Vおよび出力トルクに基づいて、駆動力源の切換および気筒数が判断され、且つその駆動力源の切換および気筒数の切換を実行させる。しかし、上記SE1およびSE2の判断の一方が肯定される場合は、前記減筒手段284に対応するSE5において、たとえばそのMG1へ電気エネルギを供給するMG2を回転駆動する可変気筒エンジン210の部分気筒運転すなわち片バンク運転が行われる。
本実施例によれば、モータ走行状態判定手段282(SE1)によりMG1による車両のモータ走行状態であると判定された場合は、減筒手段284(SE5)により、MG1へ電気エネルギを供給するMG2を回転駆動する可変気筒エンジン210が部分気筒運転すなわち片バンク運転とされるので、車両の燃費が向上させられる。
また、本実施例によれば、可変気筒エンジン210は無段変速機216を介して駆動輪262、264に動力を伝達するものであるので、車両の燃費が一層向上させられる。
また、本実施例によれば、減筒手段284により可変気筒エンジン210の部分気筒運転すなわち片バンク運転が行われる場合には、その可変気筒エンジン210から駆動輪262、264に至る動力伝達経路が入力クラッチC1によって開放されることから、部分気筒運転によって大きくなる振動が可変気筒エンジン210からその後段へ伝達されないので、運転性が高められる。
図34は、電子制御装置280の他の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図34において、回生制御中判定手段290は、MG1或いはMG2により車両の運動エネルギを電気エネルギとして回収して二次電池に蓄電する回生制御中であるか否かを判定する。減筒/伝達抑制手段292は、その回生制御中判定手段290により車両の回生制御中であると判定された場合は、可変気筒エンジン210の部分気筒運転すなわち片バンク運転を行うと同時に、入力クラッチC1をスリップ或いは解放させることによりその可変気筒エンジン210とその後段の駆動軸との間の動力伝達を抑制する。コースト走行判定手段294は、車両のコースト走行すなわち減速走行であるか否かを判定する。上記減筒/伝達抑制手段292は、そのコースト走行判定手段294により車両のコースト走行であると判定され、且つ回生制御中判定手段290により車両の回生制御中であると判定された場合に、可変気筒エンジン210の部分気筒運転すなわち片バンク運転を行うと同時に、入力クラッチC1をスリップ或いは解放させることによりその可変気筒エンジン210とその後段の駆動軸との間の動力伝達をその間に設けられた入力クラッチC1により抑制する。
上記減筒/伝達抑制手段292は、たとえば図35に示すように、エンジントルク振動量が大きくなるほどスリップ量が小さくなるように予め定められた関係から可変気筒エンジン210から出力される出力トルクに含まれるエンジントルク振動量(振動成分の振幅、或いは振動成分の振動振幅を直流成分で除した振動成分比)にもとづいて入力クラッチスリップ量を決定し、可変気筒エンジン210と無段変速機216との間に設けられた入力クラッチC1をそのスリップ量だけスリップさせるものである。図36は、可変気筒エンジン210から出力される出力トルクに含まれるエンジントルク振動を示している。
駆動力源切換手段296は、上記コースト走行判定手段294により車両のコースト走行でないと判定されるか或いは上記回生制御中判定手段290により車両の回生制御中でないと判定された場合は、たとえば前記図31に示す予め記憶された関係から実際の車速Vおよび出力トルクに基づいて、駆動力源の切換および気筒数を判断し、且つその駆動力源の切換および気筒数の切換を実行する。
図37は、電子制御装置280の他の制御作動の要部を説明するフローチャートである。図37において、前記コースト走行判定手段294に対応するSF1では、車両のコースト走行であるか否かが判断される。このSF1の判断が肯定される場合は、前記回生制御中判定手段290に対応するSF2において、MG1或いはMG2を車両の減速走行の運動エネルギによって回転駆動させ、得られた電気エネルギを二次電池に蓄える回生走行中であるか否かが判断される。上記SF2の判断が肯定される場合は、前記減筒/伝達抑制手段292に対応するSF3およびSF4において、入力クラッチC1が解放或いはスリップ係合させられた後に、可変気筒エンジン210が片バンクコンプレッション状態とされ、他の片バンクはデコンプ状態とされる。このとき、再始動性を高める点からは可変気筒エンジン210を必要最低限のトルクで回転させるように上記入力クラッチC1はスリップ係合させられている方が有利であるが、解放させられている場合もパッククリアランスは詰められた状態に保持される。この入力クラッチC1は、可変気筒エンジン210が両バンク(全気筒)に切換られた後に直ちに係合させられる。
上記SF1およびSF2の判断のいずれかが否定される場合は、前記駆動力源切換手段296に対応するSF5において、たとえば前記図31に示す予め記憶された関係から実際の車速Vおよび出力トルクに基づいて、駆動力源の切換および気筒数が判断され、且つその駆動力源の切換および気筒数の切換が実行される。
本実施例によれば、MG1或いはMG2により車両の運動エネルギを回収する回生制御中であるか否かを判定する回生制御中判定手段290と、その回生制御中判定手段290により車両の回生制御中であると判定された場合は、可変気筒エンジン210の部分気筒運転すなわち片バンク運転を行うと同時に、その可変気筒エンジン210とその後段の大径サンギヤ220或いは小径サンギヤ222へ動力を伝達する駆動軸との間の動力伝達をその間に設けられた入力クラッチC1をスリップ或いは解放させることにより抑制する減筒/伝達抑制手段292とが設けられていることから、車両の運動エネルギをMG1或いはMG2により回収する回生制御中には、可変気筒エンジン210が部分気筒運転とされると同時に、その可変気筒エンジン210とその後段の駆動軸との間の動力伝達能力が低減させられるので、車両の燃費が向上させられるとともに、振動や騒音が軽減される。
また、本実施例によれば、車両の減速走行であるか否かを判定するコースト走行(減速走行)判定手段294が設けられ、減筒/伝達抑制手段292は、その減速走行判定手段294により車両の減速走行が判定されているときに、可変気筒エンジン210の部分気筒運転を行うと同時に、その可変気筒エンジン210とその後段の駆動軸との間の動力伝達を抑制するものであることから、減速走行中における回生制御中には、前記可変気筒エンジン210が部分気筒運転とされると同時に、その可変気筒エンジン210とその後段の駆動軸との間の動力伝達能力が低減させられるので、車両の燃費が向上させられるとともに、振動や騒音が軽減される。
また、本実施例によれば、駆動力源切換手段296は、車両の減速走行中でない場合或いは回生制動中でない場合は、たとえば図31に示す予め記憶された関係から実際の車速Vおよび出力トルクに基づいて可変気筒エンジン210の作動気筒数を決定し、その可変気筒エンジンを決定された気筒数で作動させるものであるので、車両の燃費が向上させられる。
また、本実施例によれば、減筒/伝達抑制手段292は、予め記憶された関係から可変気筒エンジン210から出力される出力トルクに含まれる振動量にもとづいて入力クラッチスリップ量を決定し、可変気筒エンジン210と無段変速機216との間に設けられた入力クラッチC1をそのスリップ量だけスリップさせるものであるので、必要かつ十分にトルク振動が抑制される利点がある。なお、その入力クラッチC1に替えて、図3のクラッチ12がスリップさせられるようにしてもよい。
なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々の変形が加えられ得るものである。
本発明の一実施例の車両の制御装置が適用された車両用駆動装置の要部骨子図である。
図1の車両用駆動装置内の自動変速機において、その摩擦係合装置の作動の組み合わせとそれにより得られるギヤ段との関係を示す係合表である。
図1の車両用駆動装置を備えた車両のエンジンに関連する装備を説明する図である。
図1の車両に設けられた油圧制御回路の要部を説明する図である。
図1の車両に設けられた電子制御装置の入出力信号の要部を説明する図である。
図1の車両のコンソール付近に設けられたシフトレバーの操作位置とモード切換スイッチを説明する図である。
車速およびスロットル開度に基づいて駆動力源を切り換えるための駆動力源マップであって、燃料電池から出力される電力によってMG1からの出力トルクによるアシスト駆動が十分に保証されている状態で用いられるものである。
車速およびスロットル開度に基づいて駆動力源を切り換えるための駆動力源マップであって、燃料電池から出力される電力によってMG1からの出力トルクによるアシスト駆動が十分に保証されない状態で用いられるものである。
車速およびスロットル開度に基づいて駆動力源を切り換えるための駆動力源マップであって、燃料電池から出力される電力によってMG1からの出力トルクによるアシスト駆動が全く保証されない状態で用いられるものである。
可変気筒エンジンの片バンク作動時および両バンク作動時の出力トルク特性を示す図である。
可変気筒エンジンのアクセル開度に対する総トルク特性を示す図である。
図5の電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
図5の電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
図5の電子制御装置の制御作動を説明するタイムチャートである。
図5の電子制御装置の他の制御作動を説明するタイムチャートである。
本発明の他の実施例における電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
図16の電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
図16の電子制御装置の制御作動を説明するタイムチャートである。
本発明の他の実施例における電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
図19の電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
図19の実施例においてMG(モータジェネレータ)により回生量と車両減速度との関係を説明する図である。
本発明の他の実施例における電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
図22の電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
図22の実施例の制御作動を説明するタイムチャートである。
本発明の他の実施例における制御装置が適用された車両用駆動装置の要部骨子図である。
図25の動力伝達装置に設けられている遊星歯車装置の作動と摩擦係合装置の係合の組み合わせとの関係を説明する図である。
図25の動力伝達装置に設けられている遊星歯車装置の作動を説明する共線図である。
図25の車両に設けられたシフトレバーの操作位置を説明する図である。
図25の車両において運転者により操作される減速度設定スイッチを示す図である。
図25の車両に備えられた電子制御装置の入力信号および出力信号を説明する図である。
図25の車両において原動機すなわち駆動力源の切換に用いられる駆動力源マップであって、(a) はシフトレバーが前進ポジションに位置させられているときに選択されるものを示し、(b) はシフトレバーが後進ポジションに位置させられているときに選択されるものを示している。
図30の電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
図30の電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
本発明の他の実施例における電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
図34の減筒/伝達抑制手段において、動力伝達を抑制するクラッチのスリップ量を求めるための関係を示す図である。
図34の減筒/伝達抑制手段において動力伝達を抑制するクラッチのスリップ量を求めるために用いられるエンジン出力トルク振動を示す図である。
図34の電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
符号の説明
10、210:可変気筒エンジン
80、280:電子制御装置
100:回生制動状態判定手段
102:デコンプ状態設定手段
110:発電モード(要求)判定手段
112:気筒数切換手段
122:駆動力源ブレーキ制御手段
140:アイドル停止判定手段
142:減筒/中立手段
282:モータ走行状態判定手段
284:減筒手段
290:回生制御中判定手段
292:減筒/伝達抑制手段