JP3855949B2 - 両頭ピストン式圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸の回転により両頭型のピストンが前後に往復動されて、ピストンの前後に区画形成された前側圧縮室及び後側圧縮室のそれぞれでガスの圧縮が行われる両頭ピストン式圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両空調装置に用いられる両頭ピストン式圧縮機としては、例えば、特許文献1に示すようなものが存在する。
【0003】
即ち、図7に示すように、前記両頭ピストン式圧縮機は、前側吐出室111Aが形成された前側シリンダヘッド101と、吸入室112及び後側吐出室111Bが形成された後側シリンダヘッド102とを備えている。更に前記両頭ピストン式圧縮機は、各シリンダヘッド101,102がそれぞれシール部材103等を介して接合固定される一対のシリンダブロック104A,104Bを備えている。なお、後側シリンダヘッド102とシリンダブロック104Bとの間には、前側シリンダヘッド101側と同様にシール部材103が設けられているため、図において後側シリンダヘッド102側のシール部材103の図示は省略されている。前記両頭ピストン式圧縮機のハウジングは、これら各シリンダヘッド101,102、及び、シリンダブロック104A,104Bによって構成されている。
【0004】
前記前側のシリンダブロック104A内には前側圧縮室113Aが、また後側のシリンダブロック104B内には後側圧縮室113Bが、それぞれ両頭型のピストン114によって区画されている。
【0005】
前記前側圧縮室113Aに適用される前側吸入弁装置115A、及び後側圧縮室113Bに適用される後側吸入弁装置115Bには、前側回転弁117A、及び、後側回転弁117Bがそれぞれ用いられている。各回転弁117A,117Bは回転軸116に設けられ、該回転軸116と同期回転することで、それぞれ対応する各圧縮室113A,113Bと、回転軸116の軸内空間116aとを吸入行程において順次連通する吸入連通路118A,118Bを有している。
【0006】
前記軸内空間116aは、回転軸116の後端部で吸入室112に開口されている。そして、外部冷媒回路から後側シリンダヘッド102の吸入室112に導入された冷媒は、回転軸116の軸内空間116a及び後側回転弁117Bを介して後側圧縮室113Bに導入されるとともに、軸内空間116a及び前側回転弁117Aを介して前側圧縮室113Aにも導入される。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−63165号公報(第3,4頁、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献1の両頭ピストン式圧縮機においては、各吸入弁装置115A,115Bとして各回転弁117A,117Bを用いている。従って、前記両頭ピストン式圧縮機においては、外部冷媒回路からの冷媒ガスを、後側シリンダヘッド102に形成された吸入室112から、後側回転弁117Bの吸入連通路118B及び前側回転弁117Aの吸入連通路118Aへと分配するようになっている。このため、吸入室112からのガス経路が、後側回転弁117Bよりも前側回転弁117Aの方が長くなっている。そして、回転軸116の軸内空間116aにおいて、吸入室112から、後側回転弁117Bの吸入連通路118Bと軸内空間116aとの連通部分の前端位置までの区間119の全てが、前側回転弁117Aと後側回転弁117Bとで共用されている。
【0009】
よって、吸入室112から前側回転弁117Aの吸入連通路118Aに向かう冷媒ガスが、その途中で後側回転弁117Bの吸入連通路118Bに導入されがちとなり、前側圧縮室113Aにおいては、吸入する冷媒ガスが不足して圧縮比が増大しがちとなる。そしてこれにより、前側吐出室111Aへ吐出される冷媒ガスの温度が後側吐出室111Bのそれと比べて上昇する。その結果、前側吐出室111A及び前側圧縮室113Aと圧縮機外部とを遮断するシール部材103の外周シール部103aが、後側吐出室111B及び後側圧縮室113Bと圧縮機外部とを遮断するシール部材103の外周シール部103aと比較して熱的に厳しくなっていた。
【0010】
本発明の目的は、前側圧縮室に導入されるガス量の不足を解消することができる両頭ピストン式圧縮機を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、回転軸の軸内空間には軸線方向に延在する隔壁によって、前側の回転弁の吸入連通路が連通される第1通路と、後側の回転弁の吸入連通路が連通される第2通路とが区画形成されている。前記隔壁の後端部は、後側の回転弁の吸入連通路と第2通路との連通部分の前端位置よりも後側に配置されている。
【0012】
本発明においては、軸内空間において、互いに区画された第1通路と第2通路とが設けられている。つまり、軸内空間において吸入室から前側の回転弁の吸入連通路に導入されるガスは第1通路を経由して、また、後側の回転弁の吸入連通路に導入されるガスは第2通路を経由して各吸入連通路に導入される。そして第1通路と第2通路とを区画する隔壁の後端部は、後側の回転弁の吸入連通路と第2通路との連通部分の前端位置よりも後側に配置されており、吸入室から各圧縮室へのガス流に関する第1通路と第2通路との分岐点が前記連通部分の前端位置よりも後側に設定された状態となっている。つまり、隔壁の後端部が前記連通部分の前端位置よりも後側に配置されている分だけ、吸入室から前側の回転弁の吸入連通路に向かうガスが、その途中で後側の回転弁の吸入連通路に導入され難くなる。
【0013】
従って、前側の回転弁の吸入連通路に導入されるガス量の不足を解消することができ、このガス量不足に伴いガス吸入時における圧縮室内の圧力が低下することで生じる体積効率の低下(圧縮比の上昇)等を防止することができる。よって、例えばこの圧縮比の上昇により生じる、圧縮室から吐出されるガスの温度上昇を防止することができる。
【0014】
なお、本構成においては、回転軸の軸線方向の一方を前方とし、他方を後方としている。
請求項2の発明は請求項1において、前記隔壁の後端部は前記軸内空間から吸入室へと突出して配置されている。
【0015】
この発明によれば、吸入室から各圧縮室へのガス流に関する第1通路と第2通路との分岐点が、吸入室内に設定された状態となる。従って、吸入室から第1通路に導入されるガスが、吸入室から第2通路に向かうガス流の影響をより受け難くなる。このため、吸入室から軸内空間に導入されるガスのうち、第1通路に導入されるガスの確保がより効率的になる。
【0016】
請求項3の発明は請求項1又は2において、前記隔壁は円筒状をなしている。そして前記軸内空間において、隔壁の円筒内空間が第1通路を構成するとともに隔壁の外側の空間が第2通路を構成している。
【0017】
この発明によれば、回転軸内において第1通路は、第2通路によって取り囲まれた状態となる。従って、前側圧縮室に吸入されるガスが、回転軸内を移動する間に回転軸外から熱影響を受け難くなるため、このガスの温度上昇が抑えられる。このガスの温度上昇の抑制は、体積効率の低下抑制につながる。
【0018】
前記第1通路は第2通路に比べて長く、前側圧縮室に吸入されるガスは後側圧縮室に吸入されるガスよりも前記熱影響を受ける時間が長くなりがちであるため、本発明の構成は特に有用であると言える。
【0019】
また、円筒状の隔壁を用いて軸内空間を区画する構造は、第1通路の通過断面積と第2通路の通過断面積とを異なるように設定した場合であっても隔壁を回転軸と同一の軸線上に配置すること、即ち、回転軸の回転バランスを良好に維持することを容易とする。
【0020】
請求項4の発明は請求項1〜3のいずれかにおいて、前記ガス中には圧縮機内の潤滑を行うための潤滑油が混在されている。一対のシリンダブロック間には、回転軸の回転をピストンの往復動に変換するためのクランク機構が収容されたクランク室が形成されている。このクランク室において、回転軸の外周側には、軸線方向への該回転軸の移動を規制するための一対のスラスト軸受が前記軸線方向に並設されている。回転軸には、該回転軸内の潤滑油をスラスト軸受に供給するための給油孔が、回転軸の内面と該回転軸の外周面とを連通するようにして、スラスト軸受に対応して設けられている。給油孔の少なくとも一つは、前記第2通路と連通されている。
【0021】
給油孔は、クランク室から回転軸内へのガスの侵入経路となり得る。従ってこの発明によれば、例えば、第1通路に対して全ての給油孔が連通された態様と比較して、クランク室のガスが、第1通路に侵入し難くなる。この結果、第1通路のガスは、クランク室のガスの熱影響を受け難くなる。
【0022】
請求項5の発明は請求項1〜3のいずれかにおいて、前記ガス中には圧縮機内の潤滑を行うための潤滑油が混在されている。一対のシリンダブロック間には、回転軸の回転をピストンの往復動に変換するためのクランク機構が収容されたクランク室が形成されている。このクランク室において、回転軸の外周側には、軸線方向への該回転軸の移動を規制するための一対のスラスト軸受が前記軸線方向に並設されている。回転軸には、該回転軸内の潤滑油をスラスト軸受に供給するための給油孔が、回転軸の内面と該回転軸の外周面とを連通するようにして、スラスト軸受に対応して設けられている。給油孔は、前記第1通路のみと連通されている。
【0023】
給油孔は、クランク室から回転軸内へのガスの侵入経路となり得る。従ってこの発明によれば、例えば、第2通路に給油孔が連通された態様と比較して、クランク室のガスが、第2通路に侵入し難くなる。この結果、第2通路のガスは、クランク室のガスの熱影響を受け難くなる。
【0024】
請求項6の発明は請求項4又は5において、前記回転軸内において少なくとも一方の給油孔の近傍には、回転軸の内面に沿った潤滑油の流動を妨げるための壁面が設けられている。
【0025】
この発明によれば、前記壁面によって給油孔の近傍で潤滑油の流動が妨げられることで、潤滑油が給油孔の入口(回転軸の内面側の開口)付近に溜まり易くなる。従って、給油孔に導入される潤滑油の確保を効率よく行うことができ、スラスト軸受の潤滑を効率よく行うことができるようになる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、車両空調装置における冷媒循環回路を構成する固定容量型の両頭ピストン式圧縮機(以下単に圧縮機とする)において本発明を具体化した一実施形態を、図1を用いて説明する。なお、図面の左方を圧縮機の前方とし右方を後方とする。
【0027】
前記圧縮機のハウジングは、一対の前側シリンダブロック11A及び後側シリンダブロック11Bと、前側ハウジング13と、後側ハウジング(後述する後側圧縮室40Bの後側に配置されたシリンダヘッド)14とからなっている。前側ハウジング13は、前側の弁・ポート形成体12Aを介して前側シリンダブロック11Aの前側に接合固定されている。後側ハウジング14は、後側の弁・ポート形成体12Bを介して後側シリンダブロック11Bの後側に接合固定されている。
【0028】
前記前側の弁・ポート形成体12Aは、前側ハウジング13側から後側に向かって順に、リテーナ形成板15A、吐出弁形成板26A及びバルブプレート25Aが重合配置されてなる。後側の弁・ポート形成体12Bは、後側ハウジング14側から前側に向かって順に、リテーナ形成板15B、吐出弁形成板26B及びバルブプレート25Bが重合配置されてなる。
【0029】
前記前側ハウジング13には、前側吐出室21Aが区画形成されている。前側吐出室21Aは、リテーナ形成板15Aの前面18Aと、該前面18Aに当接する前側ハウジング13の端面13aとが接合されることによって区画形成されている。また、後側ハウジング14には、後側吐出室21Bが区画形成されている。後側吐出室21Bは、リテーナ形成板15Bの後面18Bと、該後面18Bに当接する後側ハウジング14の端面14aとが接合されることによって区画形成されている。また、後側の弁・ポート形成体12Bを介して、後側ハウジング14と後側シリンダブロック11Bとの間には、吸入室22が区画形成されている。
【0030】
なお、前記各リテーナ形成板15A,15Bの各前後面には、これら各面に当接される各シリンダブロック11A,11B、前側ハウジング13、及び、後側ハウジング14の各端面との僅かな隙間を封止するためのエラストマ等からなるシール部材19が設けられている。なお、後側のリテーナ形成板15Bには、前側のリテーナ形成板15Aと同様にシール部材19が設けられているため、図において後側のリテーナ形成板15Bのシール部材19の図示は省略されている。
【0031】
前記各バルブプレート25A,25Bには、吐出ポート27A,27Bが形成されている。各吐出弁形成板26A,26Bには、吐出弁28A,28Bが形成されている。各吐出弁28A,28Bはそれぞれ対応する吐出ポート27A,27Bを開閉する。各リテーナ形成板15A,15Bには、リテーナ29A,29Bが形成されている。各リテーナ29A,29Bはそれぞれ対応する吐出弁28A,28Bの開度を規制する。
【0032】
前記両シリンダブロック11A,11Bには、回転軸31が回転可能に支持されている。回転軸31は、各シリンダブロック11A,11Bの中心部においてそれぞれ貫設された前側収容孔32A及び後側収容孔32Bに挿通されている。回転軸31は、各収容孔32A,32Bを介して各シリンダブロック11A,11Bによって滑り軸受け支持されている。
【0033】
前記回転軸31の前端部は、前側の弁・ポート形成体12A、及び、前側ハウジング13を貫通するように形成された挿通孔33を介して圧縮機のハウジング外へ突出され、車両の走行駆動源であるエンジンEgに作動連結されている。挿通孔33において前側ハウジング13と回転軸31との間には、軸シール部材34が介在されている。
【0034】
前記両シリンダブロック11A,11B間に形成されたクランク室36において、回転軸31の外周面31a上には、クランク機構を構成するカム体35が設けられている。カム体35は、回転軸31に固着された円環状の基部35aと、該基部35aと一体形成された斜板部35bとからなる。
【0035】
前記カム体35の基部35aの前面と、この前面に対向する前側シリンダブロック11Aの後端面との間には、前側スラスト軸受37Aが介在されている。また、カム体35の基部35aの後面と、この後面に対向する後側シリンダブロック11Bの前端面との間には、後側スラスト軸受37Bが介在されている。回転軸31は、前後一対の両スラスト軸受37A,37Bによってカム体35の基部35aが挟まれることで、軸線L方向へのスライド移動が規制されている。
【0036】
前記各シリンダブロック11A,11Bには、複数の前側シリンダボア38A及び後側シリンダボア38Bが、回転軸31の軸線L周りに配列されるように形成されている。なお、図においては各シリンダボア38A,38Bはそれぞれ一つのみ図示されている。前側シリンダボア38Aと後側シリンダボア38Bとは、互いに同一軸線上に対をなして配置されている。前側シリンダボア38Aには両頭型のピストン39の前側の頭部39aが、後側シリンダボア38Bにはピストン39の後側の頭部39bが挿入されている。ピストン39は、各シリンダボア38A,38B内に前側圧縮室40A及び後側圧縮室40Bを区画する。
【0037】
前記ピストン39は、カム体35の斜板部35bにシュー41を介して係留されている。回転軸31と一体的に回転するカム体35の回転運動は、シュー41を介してピストン39に伝えられ、ピストン39が各シリンダボア38A,38B内を前後に往復運動する。カム体35、及び、シュー41は、回転軸31の回転をピストン39の往復動に変換するクランク機構を構成する。
【0038】
前記前側シリンダブロック11Aには前側導通路47Aが前側シリンダボア38Aと前側収容孔32Aとを連通するように、また、後側シリンダブロック11Bには後側導通路47Bが後側シリンダボア38Bと後側収容孔32Bとを連通するように形成されている。
【0039】
前記回転軸31内には軸線L方向に延在するように軸内空間45が形成されている。軸内空間45は、回転軸31の後端に設けられた開口31bを介して吸入室22に連通されている。軸内空間45は、開口31b側(後側)に円柱状の大径空間45a、及び、奥側(前側)に大径空間45aよりも外径の小さい円柱状の小径空間45bを有するように形成されている。軸内空間45を区画する回転軸31の内周面31c上において大径空間45aと小径空間45bとの接続部分には、後側に臨む環状の壁面55を有する段差が形成されている。
【0040】
前記回転軸31内には、軸線L方向に延在する円筒状隔壁56が挿入固定されている。円筒状隔壁56は、その前端部が小径空間45b内に圧入された状態で固定されている。円筒状隔壁56の後端部56aは、軸内空間45から吸入室22に突出して配置されている。即ち、円筒状隔壁56の内部空間(円筒内空間)は、軸内空間45内に配置された軸側隔壁内空間60Aと、吸入室22内に配置され該吸入室22の内部空間の一部を構成する吸入室側隔壁内空間60Bとからなっている。
【0041】
前記円筒状隔壁56が設けられることで、軸内空間45は、小径空間45b及び円筒状隔壁56の軸側隔壁内空間60Aからなる空間と、前記壁面55よりも後側の円筒状隔壁56の外側の空間とに分割されることとなる。前者の分割空間(小径空間45b及び軸側隔壁内空間60Aからなる空間)は、小径空間45bに対応する回転軸31の内周面31cと回転軸31の外周面31aとを連通する前側吸入連通路48Aを介して回転軸31の外部と連通されている。従って、この分割空間は、吸入室22の内部空間の一部である吸入室側隔壁内空間60Bと前側吸入連通路48Aとを連通する第1通路57Aとして機能する。
【0042】
また、後者の分割空間(円筒状隔壁56の外側の空間)は、大径空間45aに対応する回転軸31の内周面31cと回転軸31の外周面31aとを連通する後側吸入連通路48Bを介して回転軸31の外部と連通されている。従って、この分割空間は、吸入室22と後側吸入連通路48Bとを連通する第2通路57Bとして機能する。両通路57A,57Bは、互いに区画されている。
【0043】
前述したように円筒状隔壁56の後端部56aは軸内空間45から吸入室22に突出して配置されているため、この後端部56aは、後側吸入連通路48Bと第2通路57Bとの連通部分の前端位置(後側吸入連通路48Bの第2通路57B側の開口の前端位置)Pよりも後側に配置された状態となっている。
【0044】
なお、第1通路57Aの通過断面積(軸線Lに直行する平面における、円筒状隔壁56の円筒内空間の断面積)は、第2通路57Bの通過断面積(軸線Lに直行する平面における、大径空間45aに対応する回転軸31の内周面31cと円筒状隔壁56の外周面との間の領域の断面積)よりも大きく設定されている。
【0045】
前述の前側吸入連通路48Aは前側シリンダブロック11Aの前側導通路47Aに対応して、また、後側吸入連通路48Bは後側シリンダブロック11Bの後側導通路47Bに対応してそれぞれ設けられている。前側吸入連通路48Aは、回転軸31の回転に伴って、第1通路57Aと前側導通路47Aとを間欠的に連通し、後側吸入連通路48Bは、回転軸31の回転に伴って、第2通路57Bと後側導通路47Bとを間欠的に連通する。
【0046】
従って、前記前側収容孔32Aによって包囲された回転軸31の部分は、前側吸入弁装置49Aを構成するとともに前側吸入連通路48Aを有し、回転軸31に一体形成された前側回転弁50Aとなる。また、後側収容孔32Bによって包囲された回転軸31の部分は、後側吸入弁装置49Bを構成するとともに後側吸入連通路48Bを有し、回転軸31に一体形成された後側回転弁50Bとなる。
【0047】
前記各通路57A,57Bと各導通路47A,47Bとは、それぞれ対応する圧縮室40A,40Bが吸入行程の状態にあるときに、回転軸31の各吸入連通路48A,48Bを介して互いに順次連通する。この状態では、吸入室22の冷媒ガスが各圧縮室40A,40Bに対して、それぞれ対応する通路57A,57B、吸入連通路48A,48B、及び、導通路47A,47Bを経由して導入される。
【0048】
前記各通路57A,57Bと各導通路47A,47Bとの連通は、それぞれ対応する圧縮室40A,40Bが圧縮及び吐出行程の状態にあるときに遮断される。この状態では、各圧縮室40A,40Bでの冷媒ガスの圧縮が行われるとともに、この圧縮された冷媒ガスがそれぞれ対応する吐出ポート27A,27Bから吐出弁28A,28Bを押し退けて吐出室21A,21Bに吐出される。各吐出室21A,21Bに吐出された冷媒ガスは、圧縮機とともに冷媒循環回路を構成する図示しない外部冷媒回路へ流出する。外部冷媒回路へ流出した冷媒ガスは、吸入室22へ還流する。なお冷媒循環回路を循環する冷媒ガス中にはミスト状の潤滑油が混在されている。この潤滑油は、圧縮機内の各部を潤滑するためのものである。
【0049】
前記回転軸31には、前側給油孔51A及び後側給油孔51Bが、回転軸31の内周面31cと外周面31aとを連通するようにして貫設されている。前側給油孔51Aは前側スラスト軸受37Aに、また、後側給油孔51Bは後側スラスト軸受37Bにそれぞれ対応して設けられている。各給油孔51A,51Bは、回転軸31の軸内空間45内の潤滑油を、回転軸31の回転に伴う遠心力によって、それぞれ対応するスラスト軸受37A,37Bに供給するためのものである。なお本実施形態において各給油孔51A,51Bは、共に、第2通路57Bと連通されている。つまり各スラスト軸受37A,37Bへは、第2通路57B内の潤滑油が供給される。
【0050】
両給油孔51A,51Bのうち前側給油孔51Aは、回転軸31内に設けられた前述の壁面55の近傍に配置されている。壁面55は、前側給油孔51Aの前側に位置している。壁面55は、回転軸31の内周面31cに沿った潤滑油の前方への流動を妨げる機能を有する。
【0051】
ところで、各圧縮室40A,40Bでの冷媒ガス圧縮が行われている状態においてクランク室36には、各シリンダボア38A,38Bとピストン39との隙間を介した各圧縮室40A,40Bからの高圧な冷媒ガスの漏出等により、該冷媒ガスとともに入り込んだ潤滑油が溜まりがちである。
【0052】
前記前側シリンダブロック11Aには、こうした潤滑油を、軸シール部材34が収容された挿通孔33に導出するための前側導油通路58Aが設けられている。また、後側シリンダブロック11Bには、前述の潤滑油を、吸入室22に導出するための後側導油通路58Bが設けられている。
【0053】
前記挿通孔33に導出された潤滑油の一部は軸シール部材34と回転軸31との摺接部の潤滑に供され、残りの潤滑油は回転軸31に形成された透孔59を介して軸内空間45の小径空間45b内に導入される。この小径空間45b内に導入された潤滑油は、前側吸入弁装置49Aを介して前側圧縮室40Aに導入され、前側シリンダボア38A内の潤滑に供される。また、吸入室22の潤滑油は、各通路57A,57B及び吸入弁装置49A,49Bを介してそれぞれ対応する圧縮室40A,40Bに導入され、各シリンダボア38A,38B内の潤滑に供される。
【0054】
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態においては、回転軸31の軸内空間45において、互いに区画された第1通路57Aと第2通路57Bとが設けられている。つまり、軸内空間45において吸入室22から前側吸入連通路48Aに導入される冷媒ガスは第1通路57Aを経由して、また、後側吸入連通路48Bに導入される冷媒ガスは第2通路57Bを経由して各吸入連通路48A,48Bに導入される。そして円筒状隔壁56の後端部56aは、後側吸入連通路48Bと第2通路57Bとの連通部分の前端位置Pよりも後側に配置されており、吸入室22から各圧縮室40A,40Bへのガス流に関する第1通路57Aと第2通路57Bとの分岐点が前記連通部分の前端位置Pよりも後側に設定された状態となっている。つまり、円筒状隔壁56の後端部56aが前記連通部分の前端位置Pよりも後側に配置されている分だけ、吸入室22から前側吸入連通路48Aに向かう冷媒ガスが、その途中で後側吸入連通路48Bに導入され難くなる。
【0055】
従って、前側吸入連通路48A、即ち、前側圧縮室40Aに導入される冷媒ガス量の不足を解消することができ、このガス量不足に伴いガス吸入時における前側圧縮室40A内の圧力が低下することで生じる体積効率の低下(圧縮比の上昇)等を防止することができる。例えばこの圧縮比の上昇は、前側吐出室21Aに吐出される冷媒ガスの温度上昇につながる。よって、前側ハウジング13と前側シリンダブロック11Aとの間に設けられたシール部材19の熱的負荷を軽減することができ、該シール部材19の耐久性を向上させることができる。
【0056】
なお、前側圧縮室40Aに吸入される冷媒ガス量の不足が解消されれば、この冷媒ガスとともに前側圧縮室40Aに入り込む潤滑油の量もその分増加することとなるため、前側シリンダボア38A内の潤滑がより効率よく行われ、ピストン39との摺動摩擦における熱発生を抑制することができる。
【0057】
(2)第1通路57Aは、第2通路57Bに比較して長い。そのため、例えば両通路57A,57Bで通過断面積が等しく設定された場合には、第1通路57Aのほうが冷媒ガスの流通抵抗が大きくなりがちである。つまり、前側回転弁50Aの前側吸入連通路48Aに導入される冷媒ガス量が、後側回転弁50Bの後側吸入連通路48Bに導入される冷媒ガス量に比べて少なくなりがちとなる。
【0058】
しかし本実施形態では、第1通路57Aの通過断面積は、第2通路57Bの通過断面積よりも大きく設定されている。これによれば、両通路57A,57Bでの流通抵抗を均等にし、ひいては、両圧縮室40A,40Bに導入される冷媒ガス量を均等にすることが容易となる。
【0059】
(3)円筒状隔壁56の後端部56aは、回転軸31の軸内空間45から吸入室22に突出して配置されている。これによれば、吸入室22から各圧縮室40A,40Bへのガス流に関する第1通路57Aと第2通路57Bとの分岐点が、吸入室22内に設定された状態となる。従って、吸入室22から第1通路57Aに導入される冷媒ガスが、吸入室22から第2通路57Bに向かうガス流の影響をより受け難くなる。このため、吸入室22から軸内空間45に導入される冷媒ガスのうち、第1通路57Aに導入される冷媒ガスの確保がより効率的になる。
【0060】
(4)回転軸31の軸内空間45において、円筒状隔壁56の円筒内空間が第1通路57Aを構成するとともに円筒状隔壁56の外側の空間が第2通路57Bを構成している。これによれば、回転軸31内において第1通路57Aは、第2通路57Bによって取り囲まれた状態となる。従って、前側圧縮室40Aに吸入される冷媒ガスが、回転軸31内を移動する間に回転軸31外から熱影響を受け難くなるため、この冷媒ガスの温度上昇が抑えられる。この冷媒ガスの温度上昇の抑制は、体積効率の低下抑制につながる。
【0061】
第1通路57Aは第2通路57Bに比べて長く、前側圧縮室40Aに吸入される冷媒ガスは後側圧縮室40Bに吸入される冷媒ガスよりも前記熱影響を受ける時間が長くなりがちであるため、本構成は特に有用であると言える。
【0062】
また、円筒状隔壁56を用いて回転軸31の軸内空間45を区画する構造は、本実施形態のように第1通路57Aの通過断面積と第2通路57Bの通過断面積とを異なるように設定した場合であっても円筒状隔壁56の軸線を回転軸31と同一の軸線L上に配置することを容易とする。従って、回転軸31の回転バランスを良好に維持することを容易とする。
【0063】
(5)回転軸31には、該回転軸31内の潤滑油を各スラスト軸受37A,37Bに供給するための前側給油孔51A及び後側給油孔51Bがそれぞれ各スラスト軸受37A,37Bに対応して設けられている。
【0064】
これら各給油孔51A,51Bは、クランク室36から回転軸31の軸内空間45への冷媒ガスの侵入経路となり得る。つまり軸内空間45へは、これら各給油孔51A,51Bを介して、吸入室22の冷媒ガスに比較して高温となりがちなクランク室36の冷媒ガスが侵入し得る。この冷媒ガスが仮に第1通路57Aに侵入すると、該第1通路57A内の冷媒ガスの温度が上昇し、対応する前側圧縮室40Aから前側吐出室21Aに吐出される冷媒ガスの温度上昇が引き起こされることとなる。つまり、前側圧縮室40Aから吐出される冷媒ガスの温度上昇を極力抑え込むためには、不都合な状態となる。
【0065】
しかし本実施形態においては、両給油孔51A,51Bが、第2通路57Bのみと連通されている。従って、クランク室36の冷媒ガスが第1通路57Aに侵入し難くなる。この結果、第1通路57Aの冷媒ガスがクランク室36の冷媒ガスの熱影響を受け難くなり、前側圧縮室40Aから吐出される冷媒ガスの温度上昇が抑えられる。
【0066】
また、両給油孔51A,51Bは、共に、第2通路57Bと連通され、第1通路57Aには連通されていないため、第1通路57A内の潤滑油は、各スラスト軸受37A,37Bの潤滑には供されない。従って例えば、第1通路57Aに対して両給油孔51A,51Bの少なくとも一方が連通された態様と比較して、前側シリンダボア38A内の潤滑はより効率的となる。
【0067】
(6)回転軸31の内周面31c上において前側給油孔51Aの前側の近傍には、回転軸31の内周面31cに沿った潤滑油の前方への流動を妨げるための壁面55が設けられている。これによれば、壁面55によって前側給油孔51Aの近傍で潤滑油の流動が妨げられることで、前側給油孔51Aの入口(回転軸31の内周面31c側の開口)付近に溜まり易くなる。従って、前側給油孔51Aに導入される潤滑油の確保を効率よく行うことができ、前側スラスト軸受37Aの潤滑を効率よく行うことができるようになる。
【0068】
(7)前側シリンダブロック11Aには、クランク室36の潤滑油を、第1通路57A(具体的には小径空間45b)に導出可能な通路(前側導油通路58A、挿通孔33、及び、透孔59)が設けられている。また、後側シリンダブロック11Bには、クランク室36の潤滑油を、吸入室22に導出するための後側導油通路58Bが設けられている。
【0069】
これによれば、両シリンダボア38A,38B内の潤滑をより効率よく行うことができる。特に前側シリンダボア38A内へは、吸入室22からの第1通路57Aを介した潤滑油の導入に加えて、前側導油通路58A、挿通孔33、及び、透孔59によって構成される前記通路を介した潤滑油の導入も行われ得るため、潤滑の効率は大幅に向上し得る。
【0070】
なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で例えば以下の態様でも実施できる。○ 前記実施形態では、回転軸31の内周面31cに沿った潤滑油の流動を妨げるための壁面55が、前側給油孔51Aにのみ対応して設けられたが、後側給油孔51Bに対応して設けられていてもよい。この場合、例えば図2に示すように構成する。
【0071】
この構成では、前記実施形態の円筒状隔壁56とは異なり、回転軸31内に挿入固定された円筒状隔壁61は、互いに一体形成された、基部61aと、該基部61aよりも外径が小さい小外径部61bとを有している。円筒状隔壁61は基部61aが大径空間45a内に圧入された状態で固定されている。軸内空間45における基部61aよりも前方の空間、及び、軸内空間45内における円筒状隔壁61の内部空間である軸側隔壁内空間60Aは、吸入室22の内部空間の一部である吸入室側隔壁内空間60Bと前側吸入連通路48Aとを連通する第1通路57Aを構成する。軸内空間45における円筒状隔壁61の外側の空間は、吸入室22と後側吸入連通路48Bとを連通する第2通路57Bを構成する。
【0072】
前記基部61aと小外径部61bとの接続部分には、後側に臨む環状の壁面62を有する段差が形成されている。この壁面62は、回転軸31の内周面31cに沿った潤滑油の前方への流動を妨げる機能を有する。壁面62は、後側給油孔51Bの前側の近傍に配置されている。これによれば、後側給油孔51Bに導入される潤滑油の確保を効率よく行うことができ、後側スラスト軸受37Bの潤滑を効率よく行うことができるようになる。
【0073】
またこの構成では、前側給油孔51Aは第1通路57Aに、後側給油孔51Bは第2通路57Bに連通されている。従って、例えば、両給油孔51A,51Bが共に第1通路57Aに連通された態様に比較して、第1通路57Aの冷媒ガスは、クランク室36の冷媒ガスの熱影響を受け難い。
【0074】
○ 両給油孔51A,51Bは、共に、第1通路57Aと連通されていてもよい。この場合、例えば、図6に示すように構成する。この態様では、図2に示す態様において円筒状隔壁61が後方にずらされた状態となっている。即ち、円筒状隔壁61の基部61aの前端面は、後側給油孔51Bよりも後側に配置されており、後側給油孔51Bは、前側給油孔51Aと共に、第1通路57Aと連通された状態となっている。なお、本態様において円筒状隔壁61は、図2に示す態様の円筒状隔壁61よりも(前後方向に)短くなっている。
【0075】
この態様においては、例えば、両給油孔51A,51Bの少なくとも一方が第2通路57Bに連通された態様に比較して、第2通路57Bの冷媒ガスがクランク室36の冷媒ガスの熱影響を受け難い。
【0076】
○ 前記前側スラスト軸受37Aには前側給油孔51Aが、また、後側スラスト軸受37Bには後側給油孔51Bが対応して設けられたが、これに限定されない。両スラスト軸受37A,37Bの一方のみに対応して給油孔が設けられていてもよい。また、給油孔は設けられていなくてもよい。
【0077】
○ 図3に示すように、前記実施形態の後側導油通路58Bに代えて、クランク室36の潤滑油を、吸入室22を介することなく第2通路57Bに導出する後側導油通路65を設けてもよい。即ち、後側シリンダブロック11Bには、クランク室36と後側収容孔32Bとを連通する上流側導油通路65aが設けられている。上流側導油通路65aの後側収容孔32B側の端部は後側収容孔32Bの内周面上に開口されている。
【0078】
前記回転軸31の後端部には、後側吸入連通路48Bと軸線L方向にずれた位置に、軸内空間45(第2通路57B)と連通する下流側導油通路65bが設けられている。下流側導油通路65bは、回転軸31の回転に伴って軸内空間45(第2通路57B)と上流側導油通路65aとを間欠的に連通可能とする。従ってクランク室36と軸内空間45とは、回転軸31の回転に伴って間欠的に連通可能となり、この連通によってクランク室36の潤滑油が吸入室22を介することなく軸内空間45に導出され得るようになる。
【0079】
これによれば、後側導油通路58Bを介してクランク室36から吸入室22に導出した潤滑油を軸内空間45(各通路57A,57B)に導入可能とした前記実施形態に比較して、第2通路57Bに導入される潤滑油の確保が容易になる。この場合、後側シリンダボア38B内の潤滑の効率を引き上げることが可能となる。
【0080】
○ 前記円筒状隔壁56の後端部56aは、吸入室22と連通する開口が、後端ほど拡開されるように形成されていてもよい。この場合、例えば図4に示すように、円筒状隔壁56の後端部56aを、ファンネル形状とする。これによれば、第1通路57A内への冷媒ガスの導入がより効率的になる。
【0081】
○ 前記隔壁は、円筒状の隔壁(円筒状隔壁56,61)に限定されない。断面が円形以外の、例えば、断面が多角形状の筒状を呈していてもよい。
○ 前記実施形態では、回転軸31の軸内空間45を、筒状の隔壁(円筒状隔壁56,61)によって区画したが、これに限定されない。例えば図5(a)及び図5(b)に示すように、平板状隔壁71によって回転軸31の軸内空間45を区画してもよい。即ち、回転軸31内には、平板状隔壁71が圧入固定されている。この平板状隔壁71によって、回転軸31の軸内空間45は、共に回転軸31の内周面31cと平板状隔壁71の板面とで囲まれた、第1通路57Aを構成する空間と、第2通路57Bを構成する空間とに区画される。平板状隔壁71の後端部71aは、回転軸31の軸内空間45から吸入室22に突出して配置されている。
【0082】
○ 回転軸31の軸内空間45を区画する隔壁(円筒状隔壁56,61、平板状隔壁71)の後端部は、後側回転弁50Bの後側吸入連通路48Bと第2通路57Bとの連通部分の前端位置Pよりも後側に配置されていればよく、回転軸31の軸内空間45から吸入室22に突出されていなくてもよい。
【0083】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1)前記第1通路の通過断面積は、第2通路の通過断面積よりも大きく設定されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の両頭ピストン式圧縮機。
【0084】
(2)前記円筒状の隔壁の後端部は、吸入室と連通する開口が、後端側ほど拡開されるように形成されている請求項3に記載の両頭ピストン式圧縮機。
【0085】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜6に記載の発明によれば、両頭ピストン式圧縮機において、前側圧縮室に導入されるガス量の不足を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】両頭ピストン式圧縮機の概要を示す断面図。
【図2】別例の両頭ピストン式圧縮機を示す断面部分図。
【図3】別の別例の両頭ピストン式圧縮機を示す拡大断面部分図。
【図4】別の別例の両頭ピストン式圧縮機を示す拡大断面部分図。
【図5】(a)は、別の別例の両頭ピストン式圧縮機を示す断面部分図であり、(b)は、回転軸を取り出して後方から見た図。
【図6】別の別例の両頭ピストン式圧縮機を示す拡大断面部分図。
【図7】従来技術における両頭ピストン式圧縮機の概要を示す断面図。
【符号の説明】
11A,11B…前側及び後側シリンダブロック、14…後側圧縮室の後側に配置されたシリンダヘッドとしての後側ハウジング、22…吸入室、31…回転軸、31a…回転軸の外周面、31c…回転軸の内周面、32A,32B…前側及び後側収容孔、35…クランク機構を構成するカム体、36…クランク室、37A,37B…前側及び後側スラスト軸受、39…ピストン、40A,40B…前側及び後側圧縮室、41…クランク機構を構成するシュー、45…回転軸の軸内空間、48A,48B…前側及び後側吸入連通路、49A,49B…前側及び後側吸入弁装置、50A,50B…前側及び後側回転弁、51A,51B…前側及び後側給油孔、55,62…回転軸の内面に沿った潤滑油の流動を妨げるための壁面、56,61…円筒状隔壁、56a…円筒状隔壁の後端部、57A…第1通路、57B…第2通路、71…平板状隔壁、71a…平板状隔壁の後端部、L…回転軸の軸線、P…後側吸入連通路と第2通路との連通部分の前端位置。

Claims (6)

  1. 回転軸の回転により両頭型のピストンが前後に往復動されて、ピストンの前後に区画形成された前側圧縮室及び後側圧縮室のそれぞれでガスの圧縮が行われる両頭ピストン式圧縮機であって、後側圧縮室の後側に配置されたシリンダヘッドには吸入室が形成され、回転軸内には回転軸の後端部で吸入室に開口されるとともに前側へ向かって軸線方向に延在する軸内空間が形成され、吸入室のガスを、軸内空間、及び、回転軸の前側に配設された吸入弁装置を経由して前側圧縮室へと導入するとともに、軸内空間、及び、回転軸の後側に配設された吸入弁装置を経由して後側圧縮室へと導入し、各吸入弁装置が、回転軸と同期回転することで圧縮室と軸内空間とを吸入行程にて順次連通する吸入連通路を有する回転弁を備えた両頭ピストン式圧縮機において、
    前記軸内空間には軸線方向に延在する隔壁によって、前側の回転弁の吸入連通路が連通される第1通路と、後側の回転弁の吸入連通路が連通される第2通路とが区画形成されており、前記隔壁の後端部は、後側の回転弁の吸入連通路と第2通路との連通部分の前端位置よりも後側に配置されている両頭ピストン式圧縮機。
  2. 前記隔壁の後端部は前記軸内空間から吸入室へと突出して配置されている請求項1に記載の両頭ピストン式圧縮機。
  3. 前記隔壁は円筒状をなしており、前記軸内空間において、隔壁の円筒内空間が第1通路を構成するとともに隔壁の外側の空間が第2通路を構成している請求項1又は2に記載の両頭ピストン式圧縮機。
  4. 前記ガス中には圧縮機内の潤滑を行うための潤滑油が混在され、一対のシリンダブロック間に形成されるとともに回転軸の回転をピストンの往復動に変換するためのクランク機構が収容されたクランク室において、回転軸の外周側には、軸線方向への該回転軸の移動を規制するための一対のスラスト軸受が前記軸線方向に並設され、回転軸には、該回転軸内の潤滑油をスラスト軸受に供給するための給油孔が、回転軸の内面と該回転軸の外周面とを連通するようにして、スラスト軸受に対応して設けられ、給油孔の少なくとも一つは、前記第2通路と連通されている請求項1〜3のいずれかに記載の両頭ピストン式圧縮機。
  5. 前記ガス中には圧縮機内の潤滑を行うための潤滑油が混在され、一対のシリンダブロック間に形成されるとともに回転軸の回転をピストンの往復動に変換するためのクランク機構が収容されたクランク室において、回転軸の外周側には、軸線方向への該回転軸の移動を規制するための一対のスラスト軸受が前記軸線方向に並設され、回転軸には、該回転軸内の潤滑油をスラスト軸受に供給するための給油孔が、回転軸の内面と該回転軸の外周面とを連通するようにして、スラスト軸受に対応して設けられ、給油孔は、前記第1通路のみと連通されている請求項1〜3のいずれかに記載の両頭ピストン式圧縮機。
  6. 前記回転軸内において少なくとも一方の給油孔の近傍には、回転軸の内面に沿った潤滑油の流動を妨げるための壁面が設けられている請求項4又は5に記載の両頭ピストン式圧縮機。
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