JP5146807B2 - 斜板式圧縮機の潤滑構造及び斜板式圧縮機 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば斜板式圧縮機の潤滑構造に関し、特に潤滑油等の潤滑材によるスラスト軸受の潤滑構造に関するものである。
この種の斜板式圧縮機の潤滑構造として、例えば特許文献1に示されるように、圧縮機の下側に位置する油槽(オイルパン)に一時的に貯められた潤滑油を、オイルポンプを利用して強制的に吸引することで、吸い上げ通路からシャフト内を当該シャフトの軸方向に沿って延びる給油路を通した後、この給油路より分岐した分岐路から摺動部に供給する構造が公知となっている。
また、この種の斜板式圧縮機として、例えば特許文献2に示されるように、オイルパンやオイルポンプを用いずに、潤滑油を含んだ冷媒を、クランク室を経由させて吸入室に導くことによって、クランク室内の可動部品を潤滑する構造が公知となっている。
さらに、この特許文献2に記載の圧縮機においては、ラジアル軸受に潤滑油を供給するために、リア側シリンダブロックのフロント側シリンダブロックと対峙する内側面において、シャフトの径方向に沿って当該シャフトから放射状に延びると共にラジアル軸受側に開口した溝状の潤滑路と、フロント側シリンダブロックにおいて、ラジアル軸受が配設された部位から斜板室(クランク室)に向けてシャフトの軸方向に対して斜めに延びた貫通孔状の潤滑路とが形成されている。
実開平3−35274号公報 特開平10−89245号公報
しかしながら、特許文献1に示される潤滑構造では、信頼性が高い一方で、オイルパンやオイルポンプを用いるため圧縮機の構造が複雑化し、重量化、製造コストの上昇を招くので、この潤滑構造を採用した圧縮機は、冷凍車では用いることができても、一般の自動車の冷凍サイクルに用いることは困難であるという不都合を有する。
この点、特許文献2に示される圧縮機は、オイルパンやオイルポンプを不要とするが、クランク室内に流入した潤滑油を含む冷媒は、リア側シリンダブロックに溝状に形成された潤滑路によりラジアル軸受に導かれ、ラジアル軸受を潤滑した後、吸入室に流入することとなる。しかるに、特許文献2に示される潤滑構造においては、ラジアル軸受に供給された潤滑油は、再びクランク室に戻ることなく吸入室に出ていってしまうので、スラスト軸受への潤滑油の供給量が不十分となるのみならず、潤滑油が圧縮機外に吐出されることによって、この圧縮機と共に冷凍サイクルを構成している熱交換器の効率が低下するという不都合を有する。
そこで、本発明は、斜板に対しシャフトの軸方向の両側に配置されたスラスト軸受に対し、オイルポンプ等の送油装置やオイルパン等の構造を採用することなく、簡易な構造で潤滑材を供給することを可能とした潤滑構造及びこの潤滑構造を用いた斜板式圧縮機を提供することを目的とする。
本発明に係る斜板式圧縮機の潤滑構造は、ハウジングと、このハウジングに回転自在に支持されて外部の駆動力にて回転するシャフトと、少なくともこのシャフトと共に回転する斜板及びこの斜板と連動するピストンを有して構成されて前記シャフトの回転を作動流体の圧縮作用に変換する圧縮機構と、前記斜板に対し前記シャフトの軸方向の両側に配置されたスラスト軸受とを備え、前記ハウジングのうち前記斜板が収納されるクランク室を画成する部位の当該クランク室側に、前記シャフトの径方向に沿って延びると共に前記クランク室側に開放された潤滑材案内溝を設け、前記ハウジングと前記シャフトとの間に潤滑材を一時的に貯めることが可能な貯蔵室を設けると共に、前記潤滑材案内溝のシャフト側部位と前記貯蔵室とを中継通路により連通させ、さらに前記シャフトと前記スラスト軸受との間に前記貯蔵室と連通する隙間部を設けることで、潤滑材が前記クランク室から前記潤滑材案内溝、前記中継通路、前記貯蔵室、前記隙間部を順次経て前記スラスト軸受に至った後、前記クランク室に戻る潤滑材経路が形成されていることを特徴としている(請求項1)。ここで、外部の駆動力とは例えば車両のエンジンの回転力である。また、作動流体とは例えば冷媒であり、潤滑材とは例えば潤滑オイルであり、このことは以下の記載においても同様である。更に、クランク室を画成する部材とは、例えばフロント側シリンダブロック、リア側シリンダブロックである。
そして、前記隙間部は、前記シャフトの外周面のうち前記スラスト軸受のレースと対峙する部分の全部又は一部を当該シャフトの外周面の他の部位よりも窪ませることで形成されている(請求項2)。また、前記隙間部は、前記スラスト軸受のレースの内周面のうち全周又は一部を他のレースの内周面よりも径方向に沿って相対的に大きくすることで形成されている(請求項3)。
これにより、ピストン及び斜板の揺動によって跳ね上げられてクランク室内に散布されることにより、クランク室を画成する部位の当該クランク室側に設けられた潤滑材案内溝に導かれた潤滑材は、この潤滑材案内溝を重力に従ってシャフトの径方向中心側に向けて移動し、この潤滑材案内溝の下方から中継通路を通って貯蔵室に至り、この貯蔵室から隙間部まで移動した後、遠心力によって隙間部からスラスト軸受の隙間を通ってクランク室内に散布されて、重力に従って落下する際に潤滑材案内溝に再度導かれる。
前記シャフトと前記ハウジングとの間は、前記貯蔵室の前記隙間部に対しシャフトの軸方向の反対側では潤滑材の移動が抑制される構成となっている(請求項4)。ここで、潤滑材の移動が抑制される構成とは、例えば、シャフトをシャフト支持孔に回転可能に支持するための軸受をプレーンベアリングとした構成をいう。これにより、貯蔵室に入った潤滑材は他の空間に逃げずほぼ全て隙間部に送られるので、潤滑材が潤滑材経路を移動する間に不足するのを回避することができる。
尚、本発明に係る斜板式圧縮機は、前記シャフト内にその軸方向に沿って延びるように形成され、前記クランク室に連通する上流側開口部と吸入室に連通する下流側開口部とを有するシャフト内通路を設けることで、前記クランク室内に流入した作動流体が、前記上流側開口部を介して前記シャフト内通路に入った後、前記下流側開口部から前記吸入室に至る作動流体経路が形成されている(請求項5)。これにより、シャフトの回転により生ずる遠心力によって、比重の相対的に大きい潤滑材は、前記上流側開口部から吸入室に流入することができず、比重の相対的に小さい作動流体(冷媒)のみが前記上流側開口部から吸入室に流入することができるので、確実に潤滑材をクランク室内に溜めることが可能となる。
以上のように、この発明によれば、ピストン及び斜板の揺動によって跳ね上げられてクランク室内に散布されることにより、クランク室を画成する部位のクランク室側面に設けられた潤滑材案内溝に導かれた潤滑材は、この潤滑材案内溝を重力に従ってシャフトの径方向中心側に向けて移動し、潤滑材案内溝の下方から中継通路を通って貯蔵室に至り、この貯蔵室から隙間部まで移動した後、遠心作用によって隙間部からスラスト軸受の隙間を通ってクランク室内に吹き上げられて散布されることで、重力により落下する際に潤滑材案内溝に再び導かれるという循環的な潤滑材経路がオイルポンプ等の給油装置なしで形成され、しかも専用のオイルパンをハウジング内に設ける必要性もないので、潤滑構造について高い信用性を確保しつつ斜板式圧縮機の簡略化を図ることができる。更には、クランク室内の作動流体に対し、遠心力により、スラスト軸受の隙間からスラスト軸受とシャフトとの間の隙間部に侵入することを防止することが可能である。
特に請求項4又は請求項5に記載の発明によれば、クランク室内部の潤滑材を他の空間に逃がさずに上記した潤滑材の潤滑経路を形成することができるので、常時安定して潤滑材を供給することが可能である。
以下、この発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1及び図2において、この発明の実施形態の一例として、冷媒を作動流体とする冷凍サイクルに用いられる固定容量斜板式往復動型と称されるピストン型の斜板式圧縮機が示されている。
この圧縮機は、図2に示されるように、フロント側シリンダブロック2と、このフロント側シリンダブロック2に組み付けられるリア側シリンダブロック3と、フロント側シリンダブロック2のフロント側(図2の図中、左側)にバルブプレート4を介して組み付けられるフロントヘッド5と、リア側シリンダブロック3のリア側(図2の図中、右側)にバルブプレート6を介して組み付けられるリアヘッド7とを有して構成されている。そして、これらフロントヘッド5、バルブプレート4、フロント側シリンダブロック2、リア側シリンダブロック3、バルブプレート6及びリアヘッド7は、締結ボルト16によりその軸方向に沿って締結され、圧縮機のハウジング1を構成している。
フロント側シリンダブロック2とリア側シリンダブロック3との内部には、それぞれのシリンダブロック2、3を組み付けることによって画成されたクランク室8が設けられている。このクランク室8には、フロント側シリンダブロック2及びリア側シリンダブロック3に形成されたシャフト支持孔9、10に軸受11、12を介して回転自在に支持され、一端がフロントヘッド5から突出したシャフト13が配設されている。軸受11、12は、ラジアル軸受としてのプレーンベアリング(以下、プレーンベアリング11、12として示す。)であり、後述するシャフト内通路31の側孔33、34の開口の妨げとならない位置に取り付けられている一方で、シャフト13とフロント側シリンダブロック2又はリア側シリンダブロック3との間の潤滑オイルの移動を抑制している。また、シャフト13の先端部とフロントヘッド5との間には、冷媒の漏洩を防止するためのシール部材14が配され、フロントヘッド5から突出したシャフト13の先端には、電磁クラッチ(図示せず)が取り付けられる。
それぞれのシリンダブロック2、3には、シャフト支持孔9、10に対して、平行に且つシャフト13を中心とした仮想円の円周上に沿って等間隔に配された複数のシリンダボア15が形成されている。そして、それぞれのシリンダボア15内には、両端に頭部を有する両頭ピストン17が往復摺動可能に挿入され、この両頭ピストン17とバルブプレート4、6との間に圧縮室19が画成されている。
シャフト13には、クランク室8内に収納され、このシャフト13と共に回転する斜板20が当該シャフト13と一体に形成されている。この斜板20は、フロント側シリンダブロック2及びリア側シリンダブロック3に対してスラスト軸受21、21を介して回転自在に支持されていると共に、その周縁部分は、当該周縁部分の前後を挟み込むように設けられた半球状の一対のシュー23a、23bを介して、両頭ピストン17の中央部に形成された係留凹部18に係留されている。
これにより、シャフト13が回転して斜板20が回転すると、この回転運動がシュー23a、23bを介して両頭ピストン17の往復動に変換されて、圧縮室19の容積が変化することとなる。ここで、スラスト軸受21は、基本的には、後述する図4、図6、及び図7及にも示されるように、斜板20側のレース21bと、斜板20とは反対側のレース21aと、このレース21aと前記レース21bとの間に挟まれたころ軸受21cとを有して構成されている。
それぞれのバルブプレート4、6には、吸入バルブによって開閉される吸入孔4a、6aと、吐出バルブによって開閉される吐出孔4b、6bとが、それぞれのシリンダボア15に対応して形成されている。また、両頭ピストン17の頂部には、バルブプレート4、6の吐出孔4b、6bに対応する箇所に、当該吐出孔4b、6bに挿入可能な突部が形成されるようにしても良い。さらに、フロントヘッド5とリアヘッド7とには、圧縮室19に供給する冷媒を収容するための吸入室24、25と、圧縮室19から吐出された冷媒を収容するための吐出室26、27とがそれぞれ形成されている。この実施形態においては、吸入室24、25はフロントヘッド5、リアヘッド7の略中央に形成され、吐出室26、27は吸入室24、25の周囲に形成されている。
また、この実施形態では、リア側シリンダブロック3には、図1に示されるように、外部サイクルから冷媒を吸入するための吸入口29と、吐出室26、27に連通し、圧縮された冷媒を外部サイクルに吐出するための吐出口30とが形成されている。
尚、図1の符号38は、吐出通路を指している。
このような本構成において、吸入口29から吸入室24、25に至る第1の冷媒吸入経路は、クランク室8の外側に形成された吸入通路28(図1に示す)を、フロントヘッド5からリアヘッド7まで延出させた構成として、バルブプレート4、6に形成された通孔(図示せず)を介してフロントヘッド5とリアヘッド7とに形成された導入室51、52に連通させ、またフロントヘッド5及びリアヘッド7のそれぞれに吐出室26、27と干渉しないようにシャフト13の略径方向に沿って外側から穿設される中継通路53、54を形成して、この中継通路53、54により導入室51、52と吸入室24、25とを接続させ、吸入室29から吸入された冷媒の一部を、クランク室8を経由しないで圧縮機に対しシャフト13の軸方向の相対的外側に位置する吸入室24、25へ導くようになっている。
また、第2の冷媒吸入経路は、吸入口29に連通するクランク室8と、クランク室8を貫通するシャフト13に形成されたシャフト内通路31とを経由してフロントヘッド5及びリアヘッド7のそれぞれの吸入室24、25に至るものとなっている。
より具体的には、クランク室8の外側において、シャフト13の軸方向に沿って延びて吸入口29と連通する吸入通路28(図1に示す)を形成した本実施形態にあっては、この第1の冷媒吸入経路は、この軸方向通路の途中にクランク室8に連通する通孔(図示せず)を設けることで当該経路の一部が構成されている。さらに、この第2の冷媒吸入経路は、前述のシャフト13内に形成のシャフト内通路31として、シャフト13に対しリア側先端からフロント側に向けてその軸方向に沿って延びると共に、リア側先端はリアヘッド7に設けられた吸入室25に対しその軸方向にて開口する開口部32aが形成された軸孔32と、シャフト13の径方向に沿って延びて一方側が軸孔32に連通すると共に他方側がクランク室8に開口している流入側の側孔33と、シャフト13の径方向に沿って延びて一方側が軸孔32に連通すると共に他方側がフロントヘッド5に形成された吸入室24に開口する流出側の側孔34とを設けることで当該経路の一部が構成されている。そして、このような構成としたことで、この第2の冷媒吸入経路は、吸入口29から吸入された冷媒の一部を、吸入通路28から図示しない通孔を介してクランク室8に流入させ、その後、流入側の側孔33からシャフト13の軸孔32、流出側の側孔34又は開口部32aを経由して圧縮機に対しシャフト13の軸方向の相対的外側に位置する吸入室24、25に導くようにしている。
このような2つの冷媒吸入経路を有する構成にあって、第2の冷媒吸入経路には、当該第2の冷媒吸入経路を流れる冷媒流量が第1の冷媒吸入経路を流れる冷媒量よりも少なくなるように冷媒量を規制する絞りとなる絞り部55が設けられている。この実施形態では、絞り部55は、第2の吸入経路のクランク室8の上流側の部位、例えばフロント側シリンダブロック2とリア側シリンダブロック3との突き合わせ部分に設けられている。
したがって、第2の冷媒吸入経路を形成するクランク室8に流入した潤滑オイル混在の冷媒は、シャフト13の回転による遠心分離作用により、潤滑オイルが分離されることとなる。しかも、絞り部55の大きさを第2の冷媒吸入経路を流れる冷媒の流量が第1の冷媒吸入経路を移動する冷媒の流量よりも少なくなる大きさに設定したので、冷媒がシャフト13の側孔33、34を通過する際の流速が抑制されて、シャフト13の回転による遠心分離作用をより効果に機能させることができる。
尚、本実施形態においては、第2の冷媒吸入経路を形成することにより吸入冷媒に含まれる潤滑オイルを分離してクランク室8内に潤滑オイルを保持するようにしたが、吸入口29とクランク室8とを連通させないで、圧縮室19からクランク室8へ流入したいわゆるブローバイガスのみを、シャフト内通路31を通すことによりシャフト13の回転による遠心力でオイル分離した後、吸入室24、25に逃がすようにしても良い。
ところで、この発明に係る圧縮機においては、各可動部品への潤滑オイルの供給は、クランク室8内に滞留するオイルが、両頭ピストン17及び斜板20の揺動によって跳ね上げが生ずることにより、クランク室8内に散布されることで行われる。尚、以下において、図面との関係でリア側シリンダブロック3を中心に説明するがフロント側シリンダブロック2においても同様の構成及び作用効果を得られるものとなっている。
このような潤滑オイルの供給にあたって、リア側シリンダブロック3は、図1に示されるように、シャフト13の軸方向に沿って延びる吸入通路28に対して、当該シャフト13のシャフト支持孔10の中心Pを通って延びる図2に示す基準線L1を採った場合に、この基準線L1から見て略対向した位置において、ダミー吸入通路56がシャフト13の軸方向に沿って形成されている。これにより、リア側シリンダブロック3の剛性を、前記基準線L1を挟んだその両側において、ほぼ均等にすることができるので、リア側シリンダブロック3が締結ボルト16により強く締結されても、リア側シリンダブロック3が不均一に歪むことでスラスト軸受21等の軸受に悪影響を与えてしまうのを防止することが可能となっている。
フロント側シリンダブロック2でも、吸入通路28に対し当該シャフト13のシャフト支持孔9の中心を通って延びる図1の基準線L1と同様の基準線を採って、この基準線から見て略対向した位置において、ダミー吸入通路をシャフト13の軸方向に沿って形成することで、フロント側シリンダブロック2の剛性を、前記基準線を挟んだその両側において、ほぼ均等にすることができるので、フロント側シリンダブロック2が締結ボルト16により強く締結されても、フロント側シリンダブロック2が不均一に歪むことでスラスト軸受21等の軸受に悪影響を与えてしまうのを防止することが可能となる。
さらに、このようにリア側シリンダブロック3のダミー吸入通路56及びフロント側シリンダブロック2のダミー吸入通路の側壁をシャフト13の軸方向に沿って当該シャフト13の中心側に向けて隆起させることにより、クランク室8のうち両頭ピストン17や斜板20が揺動しない領域、すなわち両頭ピストン17及び斜板20の揺動による潤滑オイルの跳ね上げが生ぜずに当該潤滑オイルが略溜まったままの状態となりやすい、いわゆる無駄空間が減少されるので、クランク室8内に潤滑オイルを確実に散布することが可能となっている。
その一方で、スラスト軸受21への潤滑オイルの供給は、以下の構成を採ることで行っている。すなわち、リア側シリンダブロック3のクランク室側のうちシャフト13のシャフト支持孔10の中心Pを通る水平線L2よりも上方となる部位には、図1及び図2に示されるように、クランク室8側に開放された潤滑オイルの案内溝39がそれぞれ形成されている。これらの案内溝39は、図1に示されるように、締結ボルト16の挿入される挿入孔40を上側の起点とし、この挿入孔40からシャフト13のシャフト支持孔10の中心P側に向けて延びた構成が採られている。
フロント側シリンダブロック2及びリア側シリンダブロック3のシャフト支持孔9、10とシャフト13との間には、潤滑オイルを一時的に貯蔵することが可能な貯蔵室41がそれぞれ画成されている。この貯蔵室41は、シャフト13について、スラスト軸受21に対応する部位に比べてプレーンベアリング11、12に対応する部位を一段外径寸法が小さくすることにより、その段差部とプレーンベアリング11、12の端面とで円環状の空間として画成されている。そして、この貯蔵室41と案内溝39とは、フロント側シリンダブロック2又はリア側シリンダブロック3に形成された中継通路43を介して連通している。中継通路43は、この実施形態では、シャフト13の径方向に沿って延びる直線に対し斜板20側に傾斜し、図3に示されるようにその一方端側がシャフト支持孔10に開口したものとなっており、これはフロント側シリンダブロック2のシャフト支持孔9でも同様である。尚、この実施形態においては、中継通路を貯蔵室41と案内溝39とを連通する孔によって形成したが、クランク室8側に開放された細い溝によって形成しても良い。
図4に示されるように、リア側シリンダブロック3において、シャフト13の貯蔵室41とスラスト軸受21に対応した箇所には、スラスト軸受21のレース21aの内周側面の下側を潜るように溝状の通路部46が形成されており、フロント側シリンダブロック2でも、シャフト13の貯蔵室41とスラスト軸受21のレース(図示せず)に対応した箇所には、溝状の通路部46が形成されている。これにより、シャフト13と2つのスラスト軸受21とを組み合わせた際に、シャフト13の軸方向に沿った側の一方端が貯蔵室41と連通し、シャフト13の軸方向に沿った側の他方端がころ軸受21cの径方向側まで達した2つの隙間部48が形成される。スラスト軸受21とシャフト13とは、図4に示されるように隙間部48以外でもその間にクリアランス47を有することで非接触となっているが、このクリアランス47の径方向寸法は、0.1mmから0.3mmまでの範囲内のものであり、クリアランス47は、オイルが移動するのに適した幅を有する隙間部48に比べてきわめて小さなものとなっている。また、シャフト13は、貯蔵室41の隙間部48の軸方向の反対側において、ラジアル軸受としてのプレーンベアリング11、12により、微小な隙間をもって軸支されている。
このような構成とすることで、両頭ピストン17及び斜板20の揺動により跳ね上げが生じてクランク室8内に散布された潤滑オイルのうち、いずれかの案内溝39に導かれた潤滑オイルは、この案内溝39内を重力に従ってシャフト13の径方向中心側に向けて移動し、この案内溝39の下方から中継通路43を通って貯蔵室41に至り、この貯蔵室41から隙間部48まで移動した後、遠心力によって隙間部48からスラスト軸受21の隙間を通ってクランク室8内に拡散され、シュー23を係留するピストン17の係留凹部18を潤滑した後、重力に従って落下する際に再び案内溝39に導かれるという循環的な潤滑オイルの経路が形成されて、スラスト軸受21への潤滑オイルの供給が図られる。しかも、プレーンベアリング11、12により、シャフト13とフロント側シリンダブロック2の又はリア側シリンダブロック3との間の潤滑オイルの移動が抑制されるので、貯蔵室41に入った潤滑オイルは吸入室24、25に逃げずにほぼ全て隙間部48に送られる。
もっとも、隙間部48を形成するための態様は、図4に示されるようなシャフト13に溝状の通路部46を設ける構成に限定されない。図5から図7に示されるような構成であっても良い。以下、これらの変形例について各図5乃至図7を用いて説明する。もっとも、先の実施形態と異なる構成について主に説明し、同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、図5乃至図7に示される実施形態は、図面上は、リア側シリンダブロック3での隙間部48の形成のためのものとして図示しているが、フロント側シリンダブロック2の隙間部48を形成する場合でも同様の構成を採ることは図4と同じである。
図5においては、シャフト13に対し水平方向に沿って切り欠かれた切欠き60を有する構成となっている。図6においては、シャフト13に対し他の部位よりも中心側に向けて窪ませて成る環状の溝形状の通路部61を有した構成となっている。そして、この図6に示される実施形態では、スラスト軸受21がその径方向に沿って動いてしまうので、スラスト軸受21に対しその径方向の外側からかかる動きを規制することが可能なようにシリンダブロック2、3に保持部62を突出形成させている。また、この図6に示される実施例では、貯蔵室41についてシャフト13の軸方向に沿った幅をそのままスラスト軸受21の下側まで延長することにより、隙間部48としている。これに対し、図7では、スラスト軸受21を構成するレース21aに、シャフト13の軸方向に沿って延びる溝状の通路部63を有する構成となっている。
これらの構成によっても、図4(A)、図5(A)、図6(A)、及び図7(A)に示されるように、シャフト13とスラスト軸受21、22とを組み付けることによって、貯蔵室41とスラスト軸受21のシャフト13の径方向内側部位とを連通する隙間部48が形成されるので、両頭ピストン17及び斜板20の揺動により跳ね上げが生じることでクランク室8に散布されて、フロント側シリンダブロック2又はリア側シリンダブロック3のうちのいずれかの案内溝39に導かれた潤滑オイルは、この案内溝39内を重力に従ってシャフト13の径方向中心側に向けて移動し、この案内溝39の下方から中継通路43を通って貯蔵室41に至り、この貯蔵室41から隙間部48まで移動した後、遠心力によって隙間部48からスラスト軸受21の隙間を通ってクランク室8内に吹き上げられて散布されて、重力に従って落下する際に案内溝39に導かれるという循環的な潤滑オイルの経路を形成することが可能である。
図1は、この発明に係る斜板式圧縮機のリア側シリンダブロックのクランク室側構造をシャフトの軸方向から見た状態を示す説明図である。 図1は、この発明に係る斜板式圧縮機の内部構造をシャフトの径方向方から見た状態を示す図1よりも拡大した断面図である。 図3は、同上の斜板式圧縮機のリア側シリンダブロックのクランク室側構造のうち特に案内溝及びその周辺部位の構成を示す拡大図である。 図4(A)は、シャフトに溝状の通路部を形成することでシャフトとスラスト軸受とを組み合わせて隙間部を構成する実施形態例を示す拡大断面図であり、図4(B)は、図4(A)のI−I線断面図である。 図5は、シャフトに切り欠き状の通路部を形成することでシャフトとスラスト軸受とを組み合わせて隙間部を構成する実施形態例を示す拡大断面図である。 図6(A)は、シャフトに環状溝形状の通路部を形成することでシャフトとスラスト軸受とを組み合わせて隙間部を構成する実施形態例を示す拡大断面図であり、図6(B)は、図6(A)のII−II線断面図である。 図7(A)は、スラスト軸受のレースに溝状の通路部を形成することでシャフトとスラスト軸受とを組み合わせて隙間部を構成する実施形態例を示す拡大断面図であり、図7(B)は、図7(A)のIII−III線断面図である。
符号の説明
1 ハウジング
2 フロント側シリンダブロック(クランク室を画成する部位)
3 リア側シリンダブロック(クランク室を画成する部位)
8 クランク室
11 軸受
12 軸受
13 シャフト
17 両頭ピストン(ピストン)
20 斜板
21 スラスト軸受
21a レース
24 吸入室
25 吸入室
29 吸入口
31 シャフト内通路
39 案内溝(潤滑材案内溝)
41 貯蔵室
43 中継通路
46 通路部
48 隙間部

Claims (5)

  1. ハウジングと、このハウジングに回転自在に支持されて外部の駆動力にて回転するシャフトと、少なくともこのシャフトと共に回転する斜板及びこの斜板と連動するピストンを有して構成されて前記シャフトの回転を作動流体の圧縮作用に変換する圧縮機構と、前記斜板に対し前記シャフトの軸方向の両側に配置されたスラスト軸受とを備え、
    前記ハウジングのうち前記斜板が収納されるクランク室を画成する部位の当該クランク室側に、前記シャフトの径方向に沿って延びると共に前記クランク室側に開放された潤滑材案内溝を設け、前記ハウジングと前記シャフトとの間に潤滑材を一時的に貯めることが可能な貯蔵室を設けると共に、前記潤滑材案内溝のシャフト側部位と前記貯蔵室とを中継通路により連通させ、さらに前記シャフトと前記スラスト軸受との間に前記貯蔵室と連通する隙間部を設けることで、
    潤滑材が前記クランク室から前記潤滑材案内溝、前記中継通路、前記貯蔵室、前記隙間部を順次経て前記スラスト軸受に至った後、前記クランク室に戻る潤滑材経路が形成されていることを特徴とする斜板式圧縮機の潤滑構造。
  2. 前記隙間部は、前記シャフトの外周面のうち前記スラスト軸受のレースと対峙する部分の全部又は一部を当該シャフトの外周面の他の部位よりも窪ませることで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の斜板式圧縮機の潤滑構造。
  3. 前記隙間部は、前記スラスト軸受のレースの内周面のうち全周又は一部を他のレースの内周面よりも径方向に沿って相対的に大きくすることで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の斜板式圧縮機の潤滑構造。
  4. 前記シャフトと前記ハウジングとの間は、前記貯蔵室の前記隙間部に対しシャフトの軸方向の反対側では潤滑材の移動が抑制される構成となっていることを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3のいずれかに記載の斜板式圧縮機の潤滑構造。
  5. 請求項1乃至請求項4に記載の潤滑構造を備えた斜板式圧縮機であって、
    前記シャフト内にその軸方向に沿って延びるように形成され、前記クランク室に連通する上流側開口部と吸入室に連通する下流側開口部とを有するシャフト内通路を設けることで、
    前記クランク室内に流入した作動流体が、前記上流側開口部を介して前記シャフト内通路に入った後、前記下流側開口部から前記吸入室に至る作動流体経路が形成されていることを特徴とする斜板式圧縮機。
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