JP3855732B2 - 炭化珪素単結晶の製造方法および製造装置 - Google Patents

炭化珪素単結晶の製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化珪素単結晶を効率よく製造する炭化珪素単結晶の製造方法及びこれに適した炭化珪素単結晶の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化珪素単結晶は、高耐圧、高電子移動度という特徴を有するため、パワーデバイス用半導体基板として期待されている。炭化珪素単結晶には、一般に昇華法(改良レーリー法)と呼ばれる単結晶成長方法が用いられる。
【0003】
改良レーリー法は、黒鉛製ルツボ内に炭化珪素原料を挿入すると共に、この原料部と対向するように種結晶を配置し、原料部を2200〜2400℃に加熱して昇華ガスを発生させ、原料部より数十〜数百℃低温にした種結晶に再結晶化させることで炭化珪素単結晶を成長させるものである。
【0004】
また、昇華法(改良レーリー法)に代わる手法として、CVDによって炭化珪素をエピタキシャル成長させる技術がある。これは、図11に示すように、ルツボ100内において、台座101に種結晶となる炭化珪素単結晶基板102が固定され、ルツボ100の底面から混合ガス導入管103を通して炭化珪素単結晶の成長に必要なSiやCを含有する混合ガスが供給され、種結晶102から単結晶104が成長するものである。
【0005】
ところが、種結晶表面への原料ガスの供給を活発にして効率よく単結晶を製造したいという要求がある。また、混合ガスの供給系配管の詰まりを抑えてメンテナンスを極力省力化したいという要求がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような背景の下になされたものであり、その目的は、種結晶表面における原料ガスの供給を活発にし、効率よく単結晶を製造することができるようにすることにある。加えて、混合ガス導入管内での配管詰まりを防止することができるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1,6に記載の発明によれば、反応容器の内部の混合ガスを乱流状態にすることで、乱流の混合作用により基板表面(種結晶表面)での原料ガスの供給を促進し、炭化珪素単結晶を効率よく製造できる。また、Siを含有するガスと、Cを含有するガスとの混合が活発になり、均質な原料ガスが基板(種結晶)に供給され、高品質な炭化珪素単結晶が成長する。
【0008】
これに加えて、請求項2に記載の発明によれば、管内を層流にすることで、配管詰まりを防止できる。つまり、乱れの小さい層流を保つことで、混合ガス導入管内の反応が抑制され、混合ガス導入管の詰まりを抑制することができる。さらに、請求項3に記載の発明によれば、配管内部を層流に維持することができる。
【0009】
請求項5の記載の発明によれば、反応容器の内部が乱流状態であっても、反応容器の内壁面に混合ガスが接触し反応するのを抑制し、混合ガスと側壁面との接触が無くなり、壁面からの剥がれに伴なう種結晶での結晶欠陥の誘発を回避することができる。その結果、高効率かつ高品質な炭化珪素単結晶を製造することができる。
【0010】
請求項7,8に記載の発明によれば、混合ガス導入管内での先端部においてガス流れに乱れ(渦)が発生し、そこを起点に乱流状態にすることができる。
請求項9に記載の発明によれば、確実に乱流状態にすることができる。
【0011】
請求項10に記載の発明によれば、透孔を通過する際に乱れ(渦)が発生し、そこを起点に乱流状態にすることができる。
請求項11に記載の発明によれば、一枚目の板材の透孔を通過した際に発生した乱れ(渦)を、2枚目以降の板材の透孔で増幅させ、確実に乱流状態にすることができ、また、形成された乱流は層流に戻りにくくすることができる。
【0012】
請求項12に記載の発明によれば、混合ガス導入管から流入した混合ガスにより、プロペラが回転し、その結果、強制的に乱流状態にすることができ、また、形成された乱流は層流に戻りにくくすることができる。
【0013】
請求項13に記載の発明によれば、乱流状態にすることによって種結晶表面に供給される混合ガスに、欠陥を誘発する不純物が混入するのを防ぎ、高効率かつ高品質な炭化珪素単結晶を製造することができる。
【0014】
請求項14に記載の発明によれば、反応容器の内部が乱流状態であっても、反応容器の内壁面に混合ガスが接触し反応するのを抑制し、混合ガスと側壁面との接触が無くなり、壁面からの剥がれに伴なう種結晶での結晶欠陥の誘発を回避することができる。その結果、高効率かつ高品質な炭化珪素単結晶を製造することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
図1には、本実施形態における炭化珪素単結晶の製造装置の概略断面図を示す。
【0016】
図1において、筒形状の真空容器1は、下部容器2と上部容器3からなる。上部容器3の内部と下部容器2の内部とは連通している。下部容器2は、反応容器としてのルツボ4を入れる部位であり、上部容器3は完成した炭化珪素(SiC)を取り出す部位である。
【0017】
上部容器3は、例えばSUS(ステンレス)からなり、その側面には、結晶成長させたSiC単結晶を取り出すための試料取り出し口3aが設けられている。この上部容器3の上端の開口部は、例えばSUSからなる上部蓋材(フランジ)5により塞がれている。上部蓋材5には排気管6が接続されており、排気管6には真空ポンプ(図示せず)が接続されている。この真空ポンプにより真空容器1の中が圧力制御(真空排気)されるようになっている。
【0018】
下部容器2は、例えば石英からなり、下端の開口部が例えばSUSからなる下部蓋材(フランジ)7によって塞がれている。この下部容器2内においてルツボ4が配置され、その周囲は断熱部材8により囲まれている。
【0019】
ルツボ4は有底をなし、かつ上面が開口している。ルツボ4の開口部には台座9が設置され、かつ、ルツボ4と台座9の間には空隙(エアギャップ)が形成されている。この台座9の下面には炭化珪素単結晶基板10が取り付けられている。つまり、台座9は、SiC単結晶基板取り付け台座となっている。そして、この炭化珪素単結晶基板10が種結晶となってルツボ4の内部においてSiC単結晶が成長することとなる。
【0020】
また、このように構成されるルツボ4の材料としては、例えば高温(例えば、2400℃程度)に耐え得る高純度の黒鉛を用いることができる。このような高純度の黒鉛を用いることにより、加熱されたルツボ4から不純物が発生して結晶成長中に結晶内に不純物が取り込まれることを低減することができる。
【0021】
また、前述の台座9は上下方向に延びるシャフト11の下端に固定されている。このシャフト11は回転・上下動機構12に連結され、この機構12によりシャフト11を回転および上下動できるようになっている。つまり、図1の状態からシャフト11の上動により成長したSiCを試料取り出し室まで移動させることができるとともに、上動させた状態から種結晶10を下動させてルツボ4内に移動させることができる。さらに、種結晶10がルツボ4内に配置された状態において成長時にシャフト11を回転させることにより種結晶10を回転させることができるようになっている。
【0022】
一方、ルツボ4の底面には混合ガス導入管13が接続され、混合ガス導入管13はルツボ4の底面において開口している。混合ガス導入管13は黒鉛よりなり、この混合ガス導入管13からルツボ4内に混合ガスが供給される。この混合ガスには、キャリアガスとしての水素ガス(またはアルゴンガスまたはヘリウムガス)と、Siを含有する原料ガスとしてのモノシラン(SiH4)と、Cを含有する原料ガスとしてのプロパンガス(C38)と、ドーパントガスとしての窒素ガス(N2)とを所定の割合で混合したものが使用される。また、ルツボ4の配置高さにおける真空容器1の外周部には誘導コイル(RFコイル)14が巻回され、同コイル14を通電することによりルツボ4等を加熱することができるようになっている。
【0023】
さらに、混合ガス導入管13内における出口部分での内周部にはインナーパイプ15が嵌め込まれており、このインナーパイプ15が混合ガスを乱流状態にするための構造物として機能する。
【0024】
このインナーパイプ15について図2,3を用いて詳しく説明する。図2は図1におけるルツボ4と混合ガス導入管13と台座9を拡大した図であり、図3は図2のA−A線での断面図である。
【0025】
図2,3において、混合ガス導入管13はルツボ4の底部を貫通し、ルツボ4内にて開口している。混合ガス導入管13の先端部における内周面にはインナーパイプ15が嵌め込まれている。ここで、混合ガス導入管13の内径D1は5mmであり、インナーパイプ15は肉厚t1が1mm程度であり、内径D2が3mmとなっている。つまり、混合ガス導入管13におけるガス通路に関して内径が5mmの管内を混合ガスが通過し、ルツボ4への開口部において内径が3mmに絞られてルツボ4内に供給される。この時、ガス流が層流状態から乱流状態にされる。混合ガスを乱流状態にするための構造物としてのインナーパイプ15は、黒鉛よりなる。Cの他にもTaまたはTaCまたはSiC多結晶を使用してもよい。
【0026】
また、図2,3に示すように、ルツボ4の底面での外周部にはガススクリーン用穴16が多数設けられ、この穴16からアルゴンガスがルツボ4の内壁に沿って吹き出されるようになっている。つまり、外部からアルゴンガスの供給を受けてルツボ4の内壁に沿って吹き出される。このルツボ4の内壁に沿って吹き出されたアルゴンガス(不活性ガス)にてルツボ4の内周面にガススクリーンが形成され、ルツボ4内に導入された混合ガスとルツボ4の内周面との間が遮断されることになる。
【0027】
次に、炭化珪素単結晶の製造方法について説明する。
図4は、ルツボの温度と誘導コイルの通電量とガススクリーン用アルゴンガスの供給状態と、混合ガスにおけるキャリアガスである水素ガスの供給状態と、混合ガスにおける原料ガスであるモノシランの供給状態と、混合ガスにおける原料ガスであるプロパンの供給状態と、混合ガスにおけるドーパントガスである窒素の供給状態を表している。
【0028】
まず、台座9に炭化珪素単結晶基板(種結晶)10を取り付け、ルツボ4内の所定の位置に配置する。この際、炭化珪素単結晶基板10の成長面は4H−SiCのカーボン面(0001バー)である。
【0029】
そして、図4のt1のタイミングにおいて、ルツボ4(容器1内)を真空排気する。さらに、ガススクリーン用アルゴンガスを5リットル/分で流して、図5に示すように、ルツボ4の内壁にガススクリーンを形成する。また、図4において、φ5mmの混合ガス導入管13からキャリアガスとしての水素ガスを10リットル/分の流量で導入する。
【0030】
引き続き、RF電源に電力を投入し、ルツボ4を加熱する。ルツボ4の温度が1800℃に達した時点(図4のt2のタイミング)で、SiH4を1℃あたり2cc/分、C38を1℃あたり0.5cc/分、N2を1℃あたり2cc/分で昇温とともに増加させながら導入する。
【0031】
そして、炭化珪素単結晶基板10の温度が2300℃になった時点(図4のt3のタイミング)で、SiH4を1リットル/分、C38を0.27リットル/分、N2を1リットル/分に固定する。これにより(定常)成長が開始される。この成長時においては図1の回転・上下動機構12を駆動してシャフト11(種結晶10)を回転させて結晶表面での温度分布とガス濃度分布を均一化する。また、回転・上下動機構12を駆動して成長時においてシャフト11(種結晶10)を、2.0mm/hで上方に引き上げつつ結晶成長を連続して行う。
【0032】
このようにして成長を30時間行う。この成長時において、図5に示すように混合ガス導入管13内には混合ガスが層流状態で流れており、乱れの小さい層流を保つことで、混合ガス導入管13内の反応が抑制され、混合ガス導入管13の詰まりを抑制することができる。詳しくは、混合ガスの流量Qと混合ガス導入管13の内径D1の比Q/D1=2であり、レイノルズ数(流速・管径/動粘性係数)=852である。即ち、混合ガス導入管13内におけるレイノルズ数が2000以下であり、配管内部を層流に維持することができる。
【0033】
また、混合ガス導入管13の先端部においてはインナーパイプ15が設置されており、この部材15によりガス流が乱される。これにより、混合ガスの流れが層流状態から乱流状態にされ、図5のごとく乱流状態にされたガスがルツボ4内の基板10に向かって供給される。同時に、混合ガス導入管13の出口におけるレイノルズ数が2000以上になり、これによっても混合ガスを乱流状態で炭化珪素単結晶基板10に供給することになる。
【0034】
このようにして、混合ガス導入管13内での先端部においてガス流れに乱れ(渦)が発生し、そこを起点に乱流状態にすることができる。よって、ルツボ4の内部の混合ガスを乱流状態にすることで、乱流の混合作用により基板表面(種結晶表面)での原料ガスの供給を促進し、炭化珪素単結晶17(図5参照)を効率よく製造できる。また、Siを含有するガスとCを含有するガスの混合が活発になり、均質な原料ガスが基板10に供給され、基板10から高品質な炭化珪素単結晶17が成長する。つまり、基板10の面内で均一に成長させることができる。
【0035】
また、ルツボ4の内周面に、アルゴンガス(不活性ガス)によるガスカーテンを形成するようにしたので、ルツボ4の内部が乱流状態であっても、ルツボ4の内壁面に混合ガスが接触し反応するのを抑制し、混合ガスと側壁面との接触が無くなり、壁面からの剥がれに伴なう種結晶での結晶欠陥の誘発を回避することができる。その結果、高効率かつ高品質な炭化珪素単結晶を製造することができる。
【0036】
また、インナーパイプ15(構造物)の材質が、CまたはTaまたはTaCまたはSiC多結晶であるので、乱流状態にすることによって基板表面(種結晶表面)に供給される混合ガスに、欠陥を誘発する不純物が混入するのを防ぎ、高効率かつ高品質な炭化珪素単結晶を製造することができる。
【0037】
成長完了後の図4でのt4のタイミングにおいてRF電源の電力を下げて降温する。降温時において昇温時と同様に、ルツボ4の温度が1800℃になるまで(t4からt5の期間)、SiH4およびN2の流量は1℃あたり2cc/分とするとともに、C38の流量は0.5cc/分で減少させる。
【0038】
その後、作製したSiC単結晶を図1の上部容器3へ搬送し、Arガス雰囲気で上部容器3を大気圧まで昇圧した後、試料取り出し口3aから取り出す。
なお、図3に代わる別例として図6に示すように、図3でのインナーパイプ15の代わりに混合ガス導入管13の出口部分での内周面から突起20を複数設けてもよい。この突起20によりガスの流れを層流状態から乱流状態にしてルツボ4内に供給することができる。このとき、突起20の径方向での突出量t1が、混合ガス導入管13の内径D1の1/10以上にすると、確実に乱流状態にすることができる。より具体的には、D1=5mmの場合、t1=1mm程度にする。
【0039】
また、混合ガス導入管13内でのレイノルズ数を2000以下にすべく、キャリアガスの種類、混合ガス導入管13の温度T[℃]、混合ガスの流量Q[リットル/分]、混合ガス導入管13の内径D[mm]により、
キャリアガスがアルゴンの場合には
T<1000℃ Q/D<4
1000℃<T<2000℃ Q/D<5
T>2000℃ Q/D<6
であり、
キャリアガスがヘリウムまたは水素の場合には、
T<1000℃ Q/D<25
1000℃<T<2000℃ Q/D<30
T>2000℃ Q/D<35
T>1500℃ Q/D<30
とするとよい。つまり、このようにしてキャリアガスの種類や管径に見合った流量を設定することで、混合ガス導入管13内を層流に維持することが可能となる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0040】
図2に代わり本実施形態においては図7に示す構成を採用している。
図7においてルツボ4の内部における混合ガス導入管13の先端よりも下流側には、層流を乱流状態にするための構造物30が設置されている。図8には構造物30の詳細を示す。図8において、3枚の板材31,32,33を具備し、板材31,32,33は、それぞれ、多数の透孔35が設けられている。透孔35の径(図8では縦・横寸法)は1mm程度である。各板材31,32,33は、立設した3本の支柱34により上下方向において所定の間隔をおいて連結支持されている。3枚の板材31,32,33での透孔35の位置は流れ方向に一致しないようにしてある。各板材31,32,33の材質はTaCであり、支柱34の材料は黒鉛である。このように構造物30の材質にはCまたはTaまたはTaCまたはSiC多結晶を用いる。
【0041】
なお、透孔35の形状は円形よりは多角形であることが望ましい。また、透孔35の配置は規則的である必要はない。
前述の支柱34は図7に示すようにルツボ4の底面に固定されている。そして、混合ガス導入管13からのガスは、その一部が最下段の板材33において透孔35を通過して板材32に向かう。同様に、板材32においてガスが透孔35を通過して板材31に向かうとともに、板材31においても透孔35を通過する。
【0042】
このようにして、構造物30において混合ガス導入管13からのガスは方向が変えられて乱流状態となって種結晶10に至る。
このように構造物30が、反応容器4の内部における混合ガス導入管13の先端よりも下流側に配置され、多数の透孔35を有する板材31,32,33であると、透孔35を通過する際に乱れ(渦)が発生し、そこを起点に乱流状態にすることができる。また、板材31,32,33はガス流れ方向において多数枚離間して設置したものであるので、一枚目の板材33の透孔35を通過した際に発生した乱れ(渦)を、2枚目以降の板材32,31の透孔35で増幅させ、確実に乱流状態にすることができ、また、形成された乱流は層流に戻りにくくすることができる。
【0043】
また、図7においてルツボ4の内壁は、TaC膜36によってコーティングしている。これにより、ルツボ4の内部が乱流状態であっても、ルツボ4の内壁面に混合ガスが接触し反応するのを抑制し、混合ガスと側壁面との接触が無くなり、壁面からの剥がれに伴なう種結晶10での結晶欠陥の誘発を回避することができる。その結果、高効率かつ高品質な炭化珪素単結晶を製造することができる。なお、コーティング膜36としてTaC膜の代わりにSiC膜やTa膜を用いてもよい。
【0044】
比較のための実験を行ったので説明する。本実施形態の構造物30が無い成長装置を用いて実験を行ったところ(図4に示した条件で、かつ、種結晶を0.5mm/hで上方に引き上げながら成長を20時間行ったときのSiC単結晶の成長量を測定したところ)、中心、周辺ともに10mmほどの成長量であった。成長速度は0.5mm/hであった。また、混合ガス導入管13の内壁面にはほとんど付着物が見られなかった。
【0045】
これに対し、本実施形態においては、SiC単結晶の成長量を測定したところ、中心、周辺ともに60mmほどの成長量であった。成長速度は2.0mm/hであった。その結果、構造物30を設けることにより成長速度を大きくすることができることを確認した。また、混合ガス導入管13の内壁面にはほとんど付着物が見られなかった。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態を、第2の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0046】
図7に代わり本実施形態においては図9に示す構成を採用している。
図9においてルツボ4の内部における混合ガス導入管13の先端よりも下流側には、層流を乱流状態にするための構造物としてのプロペラ40が設置されている。図10にはプロペラ40の詳細を示す。図10において、3枚の羽根41,42,43を有し、羽根41,42,43は、それぞれ、回転リング44に固定されている。また、回転リング44内には回転リング支持用シャフト45が貫通しており、シャフト45の外周部においてリング44が回転可能に支持されている。シャフト45は3本の脚46a,46b,46cに連結・支持されている。羽根41,42,43や脚46a,46b,46c等は黒鉛よりなる。このように構造物(プロペラ)40の材質としては、CまたはTaまたはTaCまたはSiC多結晶を使用するとよい。
【0047】
前述の脚46a,46b,46cは図9に示すようにルツボ4の底面に固定されている。そして、混合ガス導入管13からのガス流が羽根41,42,43に当たると回転力が付与され、羽根41,42,43が回転するとともにガスの流れ変えられる。
【0048】
このようにして、プロペラ40において混合ガス導入管13からのガスは方向が変えられて乱流状態となって種結晶10に至る。
このように構造物40が、ルツボ4の内部における混合ガス導入管13の先端よりも下流側に配置され、ガス流により回転するプロペラであるので、混合ガス導入管13から流入した混合ガスにより、プロペラ40が回転し、その結果、強制的に乱流状態にすることができ、また、形成された乱流は層流に戻りにくくすることができる。
【0049】
また、図9においてルツボ4の内壁はSiC多結晶膜36でコーティングしている。
本実施形態での手法を用いてSiC単結晶の成長量を測定したところ、中心、周辺ともに40mmほどの成長量であった。成長速度は2.0mm/hであった。つまり、前述の比較例での成長速度(0.5mm/h)に比べ、構造物40を設けることにより成長速度を大きくすることができることを確認した。また、混合ガス導入管13の内壁面にはほとんど付着物が見られなかった。測定の際には図4に示した条件で行い、かつ、成長時間は20時間とした。
【0050】
なお、図9でのルツボ4の内壁のコーティング膜36はSiC多結晶膜の代わりにTaC膜やTa膜を用いてもよい。
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0051】
本実施形態においては図1でのインナーパイプ15は設けられておらず、混合ガス導入管13の出口におけるレイノルズ数を2000以上にすることにより、混合ガスを乱流状態で炭化珪素単結晶基板10に供給するようにしている。
【0052】
そのために、レイノルズ数を2000以上にすべく、キャリアガスの種類、混合ガス導入管13の出口温度T[℃]、混合ガスの流量Q[リットル/分]、混合ガス導入管13の内径D[mm]により、
キャリアガスがアルゴンの場合には
T<1000℃ Q/D>4
1000℃<T<2000℃ Q/D>5
T>2000℃ Q/D>6
であり、
キャリアガスがヘリウムまたは水素の場合には、
T<1000℃ Q/D>25
1000℃<T<2000℃ Q/D>30
T>2000℃ Q/D>35
T>1500℃ Q/D>30
としている。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における炭化珪素単結晶の製造装置の概要を示す構成図。
【図2】同じく製造装置における要部を示す構成図。
【図3】図2のA−A線での断面図。
【図4】作用を説明するためのタイムチャート。
【図5】作用を説明するための断面図。
【図6】別例の断面図。
【図7】第2の実施の形態における炭化珪素単結晶の製造装置の概要を示す構成図。
【図8】乱流状態にするための構造物を示す図。
【図9】第3の実施の形態における炭化珪素単結晶の製造装置の概要を示す構成図。
【図10】乱流状態にするためのプロペラを示す斜視図。
【図11】従来技術を説明するための図。
【符号の説明】
4…ルツボ、9…台座、10…種結晶としての炭化珪素単結晶基板、13…混合ガス導入管、15…インナーパイプ、20…突起、30…構造体、31,32,33…板材、35…透孔、40…プロペラ。

Claims (14)

  1. 反応容器(4)内に種結晶となる炭化珪素単結晶基板(10)を配置し、当該反応容器(4)内に、Siを含有するガスと、Cを含有するガスとの混合ガスを混合ガス導入管(13)から導入することにより、前記炭化珪素単結晶基板(10)から炭化珪素単結晶(17)を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において、
    前記反応容器(4)の内部において前記混合ガスを乱流状態で前記炭化珪素単結晶基板(10)に供給するようにしたことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
  2. 前記混合ガス導入管(13)内において前記混合ガスを層流状態で流すようにしたことを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  3. 混合ガス導入管(13)内におけるレイノルズ数が2000以下であることを特徴とする請求項2に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  4. 前記混合ガス導入管(13)の出口におけるレイノルズ数を2000以上にすることにより、混合ガスを乱流状態で炭化珪素単結晶基板(10)に供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  5. 前記反応容器(4)の内周面に、不活性ガスによるガスカーテンを形成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  6. 反応容器(4)内に種結晶となる炭化珪素単結晶基板(10)を配置し、当該反応容器(4)内に、Siを含有するガスと、Cを含有するガスとの混合ガスを混合ガス導入管(13)から導入することにより、前記炭化珪素単結晶基板(10)から炭化珪素単結晶(17)を成長させるための炭化珪素単結晶の製造装置であって、
    前記混合ガス導入管(13)内における出口部分、または、前記反応容器(4)の内部における前記混合ガス導入管(13)の先端よりも下流側に、混合ガスを乱流状態にするための構造物(15,20,30,40)を設置したことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。
  7. 前記構造物が、前記混合ガス導入管(13)内における出口部分での内周部に設置したインナーパイプ(15)であることを特徴とする請求項6に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  8. 前記構造物が、前記混合ガス導入管(13)内における出口部分での内周部に設置した突起(20)であることを特徴とする請求項6に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  9. 前記突起(20)の径方向での突出量(t1)が、混合ガス導入管(13)の内径(D1)の1/10以上であることを特徴とする請求項8に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  10. 前記構造物が、前記反応容器(4)の内部における前記混合ガス導入管(13)の先端よりも下流側に配置され、多数の透孔(35)を有する板材(31,32,33)であることを特徴とする請求項6に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  11. 前記板材(31,32,33)はガス流れ方向において多数枚離間して設置したものであることを特徴とする請求項10に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  12. 前記構造物が、前記反応容器(4)の内部における前記混合ガス導入管(13)の先端よりも下流側に配置され、ガス流により回転するプロペラ(40)であることを特徴とする請求項6に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  13. 前記構造物の材質が、CまたはTaまたはTaCまたはSiC多結晶であることを特徴とする請求項6に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  14. 前記反応容器(4)の内壁を、SiC膜またはTa膜またはTaC膜でコーティングしたことを特徴とする請求項6に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
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