JP7245417B2 - 成膜装置および成膜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、成膜装置および成膜方法に関し、例えば、複数の支持基板等を非接触の状態で互いに隙間を空けて等間隔に積層し、多結晶炭化珪素等を成膜する成膜装置および成膜方法に関するものである。
炭化珪素(SiC)は、2.2~3.3eVの広い禁制帯幅を有するワイドバンドギャップ半導体であり、その優れた物理的、化学的特性から、例えば、高周波電子デバイス、高耐圧かつ高出力電子デバイス、青色から紫外にかけての短波長光デバイス等をはじめとして、炭化珪素(SiC)によるデバイス(半導体素子)作製の研究開発が盛んに行われている。SiCデバイスの実用化を進めるにあたっては、高品質のSiCエピタキシャル成長のために大口径の炭化珪素基板を製造することが求められている。現在、その多くは、種結晶を用いた昇華再結晶法(改良レーリー法、改良型レーリー法等と呼ばれる)やCVD法(化学的気相蒸着法)等で製造されている。
CVD法を利用する炭化珪素基板の製造方法は、原料ガスを気相反応させ、基材面上に炭化珪素生成物を析出させて被膜を生成した後、基材を除去するものであり、緻密で高純度の炭化珪素基板を得ることができる。また、基材は切削や研磨等により除去されるが、基材に炭素材を用いると空気中で熱処理することにより除去できる。
特許文献1には、CVD法による炭化珪素基板の製造方法として、基材の表面に化学蒸着法により炭化珪素膜を形成し、その後前記基材を除去して得られた炭化珪素基板の両面に、更に炭化珪素膜を形成することを特徴とする、化学蒸着法による炭化珪素基板の製造方法が提案されている。
SiC基板を作製するために、CVD法の中で熱CVD法を利用する際には、一般に、成長室内の基板ホルダー上に炭化珪素基板を載せて、ホルダーを回転させながら、SiC基板の直上に、例えば珪素源のシランガスやクロロシランガス等と炭素源の炭化水素ガス等とを混合した原料ガスを、水素等のキャリアガスと共に供給して、SiC単結晶薄膜をエピタキシャル成長させる方法が採用されている(例えば非特許文献1参照)。
このとき、窒素(N2)等のドーピングガスは、通常、原料ガスに混合されて供給される。そして、このようにSiC基板をホルダーに載置する基板処理装置を、ここでは横型配列構造の基板処理装置と呼ぶ。また、同じ横型配列構造の基板処理装置でも、より大きなホルダーを使って複数の炭化珪素基板を横に並べて搭載し、各SiC基板を回転(自転)させると共にホルダーを回転(公転)させて、一度の処理で複数枚のエピタキシャル成長させた炭化珪素ウエハ(エピタキシャルSiCウエハ)を得ることも可能である。このようにホルダー上に複数のSiC基板を並べる基板処理装置を、ここではプラネタリ構造の基板処理装置と呼ぶ。
このプラネタリ構造の基板処理装置の場合には、SiC基板の自転と公転を組み合わせることで、複数のSiC基板に対して同等のエピタキシャル成長環境を作り出すことが可能なため、ひとつのSiC基板の基板面内のみならず、複数のSiC基板の基板間での膜厚やドーピング密度のばらつきを抑えることができて、生産性の観点から有利であるとされる。しかしながら、ホルダーの大きさで搭載可能なSiC基板の枚数が決まるため、SiC基板の口径が大きくなるにつれて、搭載可能な基板の数は減少してしまう。特に、大口径化を図っているSiC基板においては、エピタキシャルSiCウエハの生産性についても同時に検討しなければならない。
エピタキシャルSiCウエハの生産性を向上させる手段のひとつに、成長室内でホルダーを縦方向に並べて、複数のSiC基板を互いに隙間を空けて積層する方向に配列させる縦型配列構造の基板処理装置が挙げられる。これによれば、SiC基板の口径が大きくなっても然程装置上の制約は受けず、縦方向に配列するSiC基板の数を増やすことで、横型配列構造の基板処理装置よりも生産性良くエピタキシャルSiCウエハを製造することを可能にする。
ところが、このような縦型配列構造の基板処理装置では、横型配列構造の基板処理装置の場合とは異なる制御が求められる。例えば、成長室の温度が縦方向に揃っていないと、炭化珪素基板を配置した場所によって、得られるエピタキシャル成長膜の膜厚が変わってしまったり、ドーピング密度にばらつきが生じてしまうおそれがある。また、成長室内を縦方向に配列された各SiC基板に、それぞれ均一にエピタキシャル成長膜を成長させるためには、成長室内を縦方向に沿う配管を通じて珪素源と炭素源を含んだ原料ガスを導入し、SiC基板間の各隙間に対応する位置にガス吹出し口を設けて、SiC基板の表面に原料ガスを供給する。ここで、横型配列構造の基板処理装置の場合のように、珪素源のガスと炭素源のガスとを混合して供給すると、SiCの熱CVD法における高温環境下において、配管内でこれらのガスが反応してSiCが生成してしまい、これによって吹き出し口を塞いでしまったり、配管内にSiCが堆積してしまうことがある。
そこで、珪素源を含んだ珪素材料ガスと炭素源を含んだ炭素材料ガスとを、個別のガス導入管によりそれぞれ成長室内に導入する、縦型配列構造の基板処理装置が提案されている(例えば特許文献2、3参照)。この縦型配列構造の基板処理装置を使えば、多数枚のSiC基板に対して均一な膜厚でSiCのエピタキシャル成長膜を成膜することが可能になる。しかしながら、このような基板処理装置を使っても、得られるエピタキシャルSiCウエハは、SiC基板を配置した場所によってそのSiC単結晶薄膜のドーピング密度にばらつきがあったり、単一のエピタキシャルSiCウエハにおいてSiC単結晶薄膜の同一面内でのドーピング密度にばらつきが生じてしまうことがある。
これらの課題に対応するため、特許文献4では、ガス導入管が炭化珪素単結晶基板間の各隙間に対応する位置に、それぞれガス吹出し口を有しており、各炭化珪素単結晶基板の表面にそれぞれ珪素材料ガス、炭素材料ガス、及びドーピングガスとキャリアガスとして希ガスを混合して供給する、エピタキシャル炭化珪素ウエハの製造方法が提案されている。
特開平8-188408号公報 特開2010-283336号公報 特開2011-3885号公報 特開2014-103188号公報
Materials Science Forum Vols.45-648(2010), pp77-82
しかしながら、従来のホットウォール式の縦型炉に、特許文献4のように成膜対象面を水平にして基板を積層した場合、基板間に十分な原料ガスを供給するためにはSiCが生成する温度領域に配管を形成する必要があり、そうすると、SiCが生成して配管内やガス噴出口にSiCが析出することで、ガスの供給の制御が困難となるおそれがある。また、積層した基板の間に1つ以上のガス噴出口と排気口が必要なため、積層する基板の枚数が増加すると、管理するガス噴出口と排気口の数が多くなり、管理が難しい場合がある。そして、原料ガスを珪素材料ガス、炭素材料ガスに分離して供給する場合には、原料ガスの混合が不十分になることで、基板上で原料ガス組成を均一化できないおそれや、基板上に成膜した膜の厚みが著しくばらついて、均一な膜厚に成膜できないおそれがある。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑み、ガス噴出口やこれにつながる配管内にSiCが析出することを防止し、同一成膜対象面内や基板間での膜厚のばらつきを緩和して、より均一な膜厚の成膜が可能な、成膜装置および成膜方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、例えば、直線状のスリットを持つ固定円板と、直線状のスリットの等速直線運動を回転座標系に座標変換して作成した曲線状スリットを持つ回転可能な円板とを密着させて、曲線状スリットを持つ円板を回転させることで、原料ガスおよびキャリアガスを含む混合ガスを噴出する噴出口が、直線状のスリット上を長手方向に移動させることが可能であり、これにより、配管等にSiCが析出することを防止し、同一成膜対象面内や基板間での膜厚のばらつきを緩和できることを見出し、本発明を完成させた。また、特定の回転座標系に座標変換することで、複数の噴出口の間隔を一定に保てることを見出した。
すなわち、本発明の成膜装置は、第1面と、前記第1面と対向する第2面と、前記第1面と前記第2面とをつなぐ4つの側面からなる直方体状の内形を有する成膜室と、原料ガスおよびキャリアガスを含む混合ガスを、前記第1面から前記成膜室に噴出する混合ガス噴出機構と、前記第2面またはその近傍にあり、前記混合ガスを前記成膜室から排出する混合ガス排出口と、4つの前記側面を囲み、前記成膜室を加熱するヒータと、複数の基板を、基板同士を非接触で等間隔に積層して保持可能であり、前記成膜室の前記第1面と前記第2面との間において、前記基板の成膜対象面を前記側面と平行に設置可能な基板ホルダーと、前記成膜室に噴出される前記混合ガスの噴出速度を、前記混合ガスの拡散速度よりも早くすることができる噴出速度制御手段と、を備え、前記混合ガス噴出機構は、前記混合ガスを前記成膜室へ噴出する混合ガス噴出口と、前記成膜室の外部にあり、前記混合ガス噴出口へ前記混合ガスを導入する混合ガス導入口を有する混合ガス導入管と、前記混合ガス導入管から前記成膜室へ流れる前記混合ガスが通過する、長手方向を有する長方形状の開口部と、前記第1面と前記混合ガス導入管との間にあり、前記混合ガスの導入方向を中心軸とする回転動作をし、前記混合ガス噴出口、前記混合ガス導入口および前記開口部を連通する連通口を有する円盤状の回転板と、を有し、前記混合ガス噴出口は、前記回転動作によって前記開口部を長手方向に移動する。
前記連通口は、前記開口部を移動する前記混合ガス噴出口の等速直線運動を回転座標系に座標変換して得られる曲線状に開口してもよい。
本発明の成膜装置は、前記連通口を複数備えてもよい。
前記開口部は、前記回転板の中心軸と交わってもよい。
前記混合ガス噴出口と前記基板ホルダーとの最短距離は、150mm以上であってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の成膜方法は、上記の本発明の成膜装置を用いる成膜方法であって、前記成膜室において、前記基板ホルダーに基板同士を非接触で等間隔に積層され、かつ、前記成膜対象面を前記側面と平行に設置された複数の前記基板に対し、前記混合ガス噴出口から前記混合ガスを前記成膜室に噴出すると共に、前記混合ガス排出口から前記混合ガスを前記成膜室から排出して、当該混合ガスを前記成膜対象面と平行な方向に流通させて、前記基板に膜を成膜する成膜工程を含み、前記回転板は、前記成膜工程において、前記混合ガスの導入方向を中心軸とする回転動作をし、前記混合ガス噴出口は、前記回転動作によって前記開口部を長手方向に移動する。
前記混合ガス噴出口から噴出される前記混合ガスの噴出速度を、前記混合ガスの拡散速度よりも早くしてもよい。
本発明の成膜方法は、炭化珪素多結晶膜の成膜方法であり、前記原料ガスは、珪素源ガスおよび炭素源ガスを含み、前記珪素源ガスは、SiH4、SiH3Cl、SiH2Cl2、SiHCl3、およびSiCl4からなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、前記炭素源ガスは、炭素数が5以下の炭化水素から選ばれた1種または2種以上であり、前記キャリアガスは水素ガスであってもよい。
前記成膜室の室内の温度を1400K~1700K、かつ前記第1面の温度を1100K以下としてもよい。
前記混合ガス噴出口の温度を1200K以下としてもよい。
本発明の成膜方法は、炭化珪素単結晶膜の成膜方法であり、前記原料ガスは、珪素源ガスおよび炭素源ガスを含み、前記珪素源ガスは、SiH4、SiH3Cl、SiH2Cl2、SiHCl3、およびSiCl4からなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、前記炭素源ガスは、炭素数が5以下の炭化水素から選ばれた1種または2種以上であり、前記キャリアガスは水素ガスであり、前記珪素源ガスにおける珪素原子数に対する前記炭素源ガスにおける炭素原子数の比(C/Si)を0.7~1.3にして、前記基板に炭化珪素単結晶の薄膜をエピタキシャル成長させてもよい。
本発明であれば、ガス噴出口やこれにつながる配管内にSiCが析出することを防止し、同一成膜対象面内や基板間での膜厚のばらつきを緩和して、より均一な膜厚の成膜が可能な、成膜装置および成膜方法を提供することができる。
本発明の一実施形態の成膜装置1000の上面からみた断面を示す概略図である。 円板231、回転板240を正面から見た正面概略図である。 回転板240を時計回りに回転させた場合の、連通口241および混合ガス噴出口210の動きについて説明する図である。 連通口241、242を備える回転板240を時計回りに回転させた場合の、連通口241、242および混合ガス噴出口210の動きについて説明する図である。 図2~4とは異なる態様の開口部230、回転板240、混合ガス導入管220の組み合わせについて説明する図である。 第2面120を成膜室100の内部から見た正面概略図である。 基板ホルダー500の模式図である。 混合ガスの噴出について説明する模式図である。 炭化珪素多結晶基板650において膜厚の測定部分を示す図である。 従来例で使用した成膜装置2000の上面からみた断面を示す概略図である。 従来例における第1面110aを成膜室100の内部から見た正面概略図である。
以下、本発明の成膜装置および成膜方法の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
[成膜装置1000]
図1に、本発明の一実施形態の成膜装置1000の上面からみた断面を示す概略図を示す。成膜装置1000は、成膜室100と、混合ガス噴出機構200と、混合ガス排出口300と、ヒータ400と、基板ホルダー500と、を備える。
〈成膜室100〉
成膜室100は、第1面110と、第1面110と対向する第2面120と、第1面110と第2面120とをつなぐ4つの側面130からなる直方体状の内形を有する。直方体状の内形とすることで、複数の基板を成膜室100に設置した場合において、基板と基板との間の隙間と基板と側面130との間の隙間の形状が同一または近似する。そのため、基板と基板との間を流れる混合ガスと同様に、側面130と基板との間を流れる混合ガスも、後述する混合ガス噴出口210等から混合ガス排出口300へ向かって均一に流すことができる。その結果として、基板に対して均一でばらつきの少ない膜を成膜することができる。
例えば、成膜室100の内形が直方体状ではなく、筒状の場合には、基板と基板との間の隙間と、基板と側面130との間の隙間の形状が大きく異なるため、基板と基板との間を流れる混合ガスと、側面130と基板との間を流れる混合ガスとが均一に流れなくなる。その結果として、基板と基板との間で成膜した膜と、基板と側面130との間で成膜した膜が不均一となり、基板間でばらつきの大きい膜が成膜されるおそれがある。
なお、成膜室100の内形は、基板ホルダー500と基板ホルダー500に保持された基板が入る大きさがあればよく、成膜に関与しない混合ガスが混合ガス噴出口210等から混合ガス排出口300へ向かって流れて、成膜室100から排出されてしまうような余分な空間を設けないことが好ましい。
また、成膜室100は黒鉛製であることが好ましい。黒鉛であれば直方体状への加工が容易であり、また、成膜時に不活性雰囲気下とすることで、高温となる成膜条件に十分な耐久性を持つことができる。
〈混合ガス噴出機構200〉
混合ガス噴出機構200は、原料ガスおよびキャリアガスを含む混合ガスを、第1面110から成膜室100に噴出する機構である。混合ガス噴出機構200は、以下に説明する混合ガス噴出口210と、混合ガス導入管220と、開口部230と、回転板240とを有する。
(混合ガス噴出口210)
混合ガス噴出口210は、混合ガスを成膜室100へ噴出する噴出口である。後述する回転板240の回転動作によって、開口部230を長手方向に移動する。
(混合ガス導入管220)
混合ガス導入管220は、成膜室100の外部にあり、混合ガス噴出口210へ混合ガスを導入する混合ガス導入口221を有する。混合ガス導入管220の内部に混合ガスが流通し、成膜装置1000の外部より混合ガス噴出口210を介して成膜室100へ混合ガスを導入することができる。図1では、混合ガス導入管220として、1つの管であって、管の途中から混合ガス噴出口210へ向かってテーパー状に管の径が大きくなる形状のものを例示したが、これに限定されない。混合ガス噴出口210の数に応じて複数の混合ガス導入管220を設けてもよく、テーパー状でなくてもよい。また、混合ガス導入口221は、混合ガスのガス漏れが生じないよう、後述する回転板240の回転を阻害しないように、回転板240と密接や密着等していることが好ましい。なお、成膜装置1000は、混合ガス導入管220の温度を制御できるよう、混合ガス導入管220を適宜加熱できるヒータや冷却できるクーラー等の温度制御手段を備えてもよい。
(開口部230)
開口部230は、混合ガス導入管220から成膜室100へ流れる混合ガスが通過する。図1における開口部230を備える円板231を、正面から見た正面概略図を図2(a)に示す。図2~5では、実際の円板には付されていないが、説明のために円板231の中心を原点(0、0)とし、横軸(X軸)および縦軸(Y軸)を付している。円板231は動かないように固定されており、上下方向を長手方向とする長方形状の開口部230を備えている。なお、開口部230は円板に形成されることに限定されず、第1面110の混合ガス噴出口が上下方向を長手方向とする長方形状の開口部230を兼ねている態様や、混合ガス導入口221が上下方向を長手方向とする長方形状の開口部230を兼ねている態様もとることができる。
なお、図2(a)では、原点を通り、X=0である上下方向を長手方向とする開口部230を例示したが、これに限定されない。例えば、原点を通り、Y=0である左右方向を長手方向とする開口部230や任意の斜め方向を長手方向とする開口部230でもよい。また、図1、2(a)では、1つの開口部230を例示したが、開口部230は複数あっても良い。
(回転板240)
回転板240は、第1面110と混合ガス導入管220との間にあり、混合ガスの導入方向を中心軸とする回転動作をし、混合ガス噴出口210、混合ガス導入口221および開口部230を連通する連通口を有する円盤状の板である。図1における回転板240を正面から見た正面概略図を、図2(b)に示す。回転板240は、原点を中心軸とする回転動作をし、連通口241を備える。
図2(b)の連通口241は、混合ガス噴出口210が等速直線運動によって開口部230を上から下へ移動することができるよう、混合ガス噴出口210の等速直線運動を回転座標系に座標変換して得られる曲線状に開口している。例えば、図2(a)の開口部230は、原点を通り、X=C(Cは任意であるが、図2(a)の場合はC=0)である上下方向を長手方向とするものであり、この開口部230を等速直線運動する場合の式は、以下の[式1]に示すものとなる。
[式1]
X=C、Y=V×t
(Vは速さ、tは時間)
式1の等速直線運動を回転座標(Xc、Yc)へ変換すると、以下の[式2]となり、連通口241の曲線形状が得られる。
[式2]
Xc=x*cos(w*t)+y*sin(w*t)、Yc=-x*sin(w*t)+y*cos(w*t)
(wは角速度π/T、Tは周期時間(1回転する時間)の半分)
図2(c)は、回転板240の前に円板231を重ねた状態を正面から見た正面概略図であり、この状態で回転板240を時計回りに回転させた場合の、連通口241および混合ガス噴出口210の動きについて図3に示す。回転板240が等速で時計回りに180度回転すると、連通口241がa~dへと回転移動する(図3(a))。開口部230と連通口241の交点が混合ガス噴出口210となり、開口部230を上から下へ混合ガス噴出口210が等速で移動する(図3(a))。なお、原点(0、0)の位置は、開口部230と連通口241が交わっているが、原点には回転板240が回転するための軸となる中心軸を設置して、混合ガスが噴き出さない構造とすることができる。
連通口241がdの位置にあり、混合ガス噴出口210が開口部230の下端にある状態から、さらに回転板240を等速で時計回りに180度回転すると、連通口241がd~hへと回転移動する(図3(b))。そして、開口部230と連通口241の交点が混合ガス噴出口210となり、開口部230を下から上へ混合ガス噴出口210が等速で移動する(図3(b))。
例えば、開口部230の上端の座標を(0、a)、下端の座標を(0、-a)として、式1、式2においてC=0、V=2a/90、w=π/90/秒とした場合、回転板240は180秒で1回転することができる。そして、混合ガス噴出口210は開口部230を上端の座標(0、a)から下端の座標(0、-a)まで90秒で等速移動し、その後、座標(0、a)から下端の座標(0、-a)まで90秒で等速移動することができる。
式1、式2において、直線状の開口部230が原点を通ればよく、数値は任意に変えることが可能である。なお、直線状の開口部230が原点を通らない場合は、直線状の開口部230と曲線状の連通口241との交点が複数現れるため、混合ガス噴出口210が等速で移動しなくなるおそれがある。
図2、3では、1つの連通口241を備える態様を示したが、成膜装置は連通口を複数備えてもよい。例えば、図4に示すように、連通口241に加え、曲線状の連通口242を備えることができる。この場合、連通口が2つあることで、開口部230と連通口241、242との交点が2つとなり、すなわち混合ガス噴出口210が2つとなる(図4(a))。そして、回転板240が時計回りに等速回転すると、図4(a)の矢印で示すように、2つの混合ガス噴出口210は開口部230の上端および中央付近から下へ等速移動する。そして、回転板240が時計回りに90度回転した状態(図4(b))から、回転板240が時計回りに等速回転すると、図4(b)の矢印で示すように、2つの混合ガス噴出口210は開口部230の上端および中央付近から下へ等速移動する。
なお、開口部230と連通口241、242は、どちらが成膜室100側に配置されてもよい。例えば、順に、混合ガス導入管220、連通口241、開口部230、第1面110という配置である態様や、順に、混合ガス導入管220、開口部230、連通口241、第1面110という配置である態様もとることができる。
図5に、図2~4とは異なる態様の開口部230、回転板240、混合ガス導入管220の組み合わせについて説明する図を示す。図5において、回転板240は、連通口241の他にも回転板240の外周付近に複数の連通口243を均等に配置することができる(図5(a))。そして、円板231は、開口部230の他にも円板231の外周付近に複数の開口部230aを均等に配置することができる。回転板240が回転することで、開口部230と連通口241との交点が混合ガス噴出口210となるのみならず、開口部230aと連通口243が重なって交点となると、その交点が混合ガス噴出口となり、複数個所から混合ガスが噴出される。
円板231および回転板240の厚みや直径は、適宜設定することができる。例えば、厚みを1mm~20mmとし、直径は後述する外筒1100の内径未満に設定することができる。
円板231および回転板240は黒鉛製であることが好ましい。黒鉛であれば円盤状への加工が容易であり、また、成膜時に不活性雰囲気下とすることで、高温となる成膜条件に十分な耐久性を持つことができる。
また、成膜装置1000は、未図示ではあるが、回転板240の回転条件を制御することのできるパソコンやマイコン等の制御手段や、回転板240を回転駆動させるためのモータやエンジン等の駆動源等を備えることができる。また、回転軸等の回転板240を回転可能とする構成や、シーリング部等の回転駆動による混合ガス810のガス漏れを防止できる構成を備えることができる。
〈混合ガス排出口300〉
混合ガス排出口300は、成膜室100の第2面120またはその近傍にあり、混合ガスを成膜室100から排出する。混合ガス排出口300の一例としては、混合ガスが外部へ排出されるために流通する混合ガス排出管310において、混合ガスが排出される開口端部に相当する。そして、混合ガス排出口300は、第2面120にあってもよく、図1に示すように第2面120の近傍であって、成膜室100の内部側や、混合ガスのガス漏れが無いことを前提として成膜室100の外部にあってもよい。近傍は、例えば第2面120から20mm程度が目安となる。なお、炭化珪素等が混合ガス排出口300や混合ガス排出管310において析出しないよう、混合ガス排出口300や混合ガス導入管220を温度制御するべく、適宜加熱できるヒータや冷却できるクーラー等の温度制御手段を備えてもよい。
図6に、第2面120を成膜室100の内部から見た正面概略図を示す。図6では、第2面120の中央に1個の混合ガス排出口300が配置されている。混合ガス排出口300は、炭化珪素等が多少成膜しても混合ガスを問題なく排出できれば、1個であってもよく、複数あってもよいが、炭化珪素等が多少成膜しても混合ガスを問題なく排出できるよう、第2面の一辺の1/5~1/2程度の開口直径を持つものが好ましい。
〈ヒータ400〉
ヒータ400は、成膜室100の4つの側面130を囲み、成膜室100を加熱する。ヒータ400を制御することによって、成膜室100の温度を基板に膜を成膜させるのに適した温度に制御することができる。ヒータ400としては、熱CVD法に有用なヒータを用いることができ、例えば筒状のカーボンヒータやカンタルヒータを用いることができる。
〈基板ホルダー500〉
図7に基板ホルダー500の模式図を示す。図7(a)が基板600を保持した基板ホルダー500の側面図であり、図7(b)が成膜室100の内部において第1面110側から見た基板ホルダー500の正面図である。基板ホルダー500は、複数の基板600を、基板600同士を非接触で等間隔に積層して保持可能であり、成膜室100の第1面110と第2面120との間において、基板600の成膜対象面610を成膜室100の側面130と平行に設置可能である。
図7において、基板ホルダー500は、上保持棒510と下保持棒520によって基板600を上下の2か所より挟んで保持することができ、上保持棒510と下保持棒520のいずれも基板600を保持するための溝511、521を有するものである。ただし、基板ホルダーとしてはこれに限定されず、上下に加えて前後にも保持棒を有し、3か所または4か所で基板を保持することができる。
基板ホルダー500は、例えば上保持棒510と下保持棒520のいずれもが、成膜室100の側面130のうち、上側面130aと下側面130bとそれぞれ密接していることで、成膜に関与しない混合ガスが混合ガス噴出口210から混合ガス排出口300へ向かって流れて、成膜室100から大量に排出されてしまうことを防止することができる。
なお、図7(b)では、基板600の成膜対象面610は成膜室100の側面130のうち、左側面130cと右側面130dと平行に設置されており、上側面130aおよび下側面130bと垂直に設置されている。ただし、基板ホルダー500の形状を変えることにより、基板600の成膜対象面610が左側面130cおよび右側面130dと垂直に設置され、上側面130aおよび下側面130bと平行に設置されることもできる。すなわち、基板600は、垂直方向に積層してもよく、水平方向に積層してもよい。ただし、成膜対象面610が混合ガス噴出口210に面するように、成膜対象面610を第1面110および第2面120と平行となるように基板600を設置すると、基板の間に混合ガスが均一に流れなくなるため、好ましくない。
また、基板600の成膜対象面610と左側面130cとの隙間の幅700、および右側面130dとの隙間の幅710が、等間隔に積層した基板600間のそれぞれの隙間の幅720と同一であると、これらの隙間を混合ガスが均一に流れるため、基板間や同一成膜対象面において、厚みのバラツキの少ない膜を成膜することができる。
〈混合ガスの噴出速度〉
図8に、混合ガスの噴出について説明する模式図を示す。混合ガスにおける分子同士の衝突を無視した場合の混合ガスの広がりを模式的に示したものであり、混合ガスに加圧等せずに第1面の混合ガス噴出口210から自然に拡散する場合の拡散速度をVd、混合ガスを加圧等して混合ガス噴出口210から噴出する場合の噴出速度をVgとする。
拡散速度Vdが噴出速度Vgよりも速い場合、混合ガス800の拡散がゆっくりと進むため(図8(a))、原料ガスの成膜室100への供給量が少なくなり、成膜速度が遅くなるおそれがある。混合ガス噴出口210が混合ガスによって成膜しないように、成膜室100において基板600と混合ガス噴出口210との距離をある程度設けることで混合ガス噴出口の温度を低温(例えば1200K以下)に制御しようとすると、混合ガス800が基板600へ到達するまでに距離があるため、より成膜に時間がかかることとなる。
〈噴出速度制御手段〉
そのため、本発明の成膜装置1000では、混合ガス噴出口210から噴出される混合ガスの噴出速度を、前記混合ガスの拡散速度よりも早くすることができる噴出速度制御手段を備える。噴出速度Vgを拡散速度Vdよりも早くすることで(図8(b))、混合ガス810が混合ガス噴出口210より強制的に排出される。これにより、成膜室100において基板600と混合ガス噴出口210との距離をある程度設けた場合であっても、成膜速度の低下を抑えることができる。すなわち、従来法と同等の成膜速度を維持しつつ、混合ガス噴出口210が混合ガスによって成膜して口径が小さくなっていくことや、混合ガス噴出口210が塞がってしまうことを防止することができる。
噴出速度Vgを拡散速度Vdよりも早くするべく、混合ガス810を混合ガス噴出口210より強制的に排出することは、例えば、ガス量をレギュレータやコンプレッサ、吸引装置等の噴出速度制御手段により調整することで可能である。例えば、噴出速度Vgを0.4m/秒以上とすることで、従来法と同等の成膜速度を維持しつつ、混合ガス噴出口210が混合ガスの成膜によって口径が小さくなっていくことや、混合ガス噴出口210が塞がってしまうことを容易に防止することができる。さらに、噴出速度Vgが1m/秒以上であれば、従来法よりも成膜速度を明確に早めることが可能であり、成膜処理時間をより効果的に短縮することができる。
本発明の成膜装置1000において、混合ガス噴出口210と基板ホルダー500との最短距離は、150mm以上であることが好ましい。混合ガス810の噴出速度やガス流量、混合ガス噴出口210の口数によっても、最適な最短距離は異なるものの、上記の最短距離が150mm以上であれば、成膜室100における基板600周辺の成膜温度よりも、混合ガス噴出口210周辺の温度を十分に下げることができる。これにより、混合ガス噴出口210が混合ガスの成膜によって口径が小さくなっていくことや、混合ガス噴出口210が塞がってしまうことを容易に防止することができる。
(その他の構成)
本発明の一実施形態の成膜装置1000は、上記の構成の他、更なる構成を備えていてもよい。例えば、図1に示すように、成膜室100が内部に挿入された例えばカーボン製の円筒状の外筒1100、外筒1100の内部において成膜室100を第1面110および第2面120の外部から固定する保持治具1200、外筒1100が内部に挿入され、外筒1100との間にArガス等の不活性ガスを流通させるセラミック炉芯管1300、外筒1100およびセラミック炉芯管1300をそれらの両端において固定する固定フランジ1400、成膜室100を外筒1100およびセラミック炉芯管1300と共に内部に収める筐体1500を備えてもよい。また、未図示ではあるが、成膜室100の室内の温度や第1面110の温度、混合ガス噴出口210の温度を測定する温度計等の温度測定手段、ヒータ400の発熱を制御するスイッチ等の制御手段や発熱させるための電源等を備えることができる。
[成膜方法]
次に、本発明の成膜方法の一例として、成膜装置1000を用いる成膜方法について説明する。本発明の成膜方法は、成膜工程を含む。
〈成膜工程〉
成膜工程は、成膜室100において、基板ホルダー500に基板600を非接触で等間隔に積層され、かつ、成膜対象面610を側面130と平行に設置された複数の基板600に対し、混合ガス噴出口210から混合ガス810を成膜室100に噴出すると共に、混合ガス排出口300から混合ガス810を成膜室100から排出して、混合ガス810を成膜対象面610と平行な方向に流通させて、基板600に膜を成膜する工程である。このように成膜すれば、基板間や同一成膜対象面において、厚みのバラツキの少ない膜を成膜することができる。
また、基板600の成膜対象面610と左側面130cとの隙間の幅700、および右側面130dとの隙間の幅710が、等間隔に積層した基板600間のそれぞれの隙間の幅720と同一であると、これらの隙間を混合ガスが均一に流れるため、基板間や同一成膜対象面において、より厚みのバラツキの少ない膜を成膜することができる。
また、図2~5等を用いて説明したように、本発明の成膜方法では、回転板240は、成膜工程において、混合ガス810の導入方向を中心軸とする回転動作をし、混合ガス噴出口210は、この回転動作によって開口部230を長手方向に移動する。
例えば、図8を用いて説明したように、混合ガス噴出口210から噴出される混合ガス810の噴出速度Vgを、混合ガス810の拡散速度Vdよりも早くすることが好ましい。
本発明の成膜方法としては、例えば炭化珪素多結晶膜の成膜方法が挙げられる。この場合には、炭化珪素の原料となる珪素源ガスと炭素源ガスが原料ガスとなり、原料ガスとさらにこれらの原料ガスを運搬する役目を持つアルゴンガスやヘリウムガス等の希ガスや水素ガス等のキャリアガスを混合したものが、混合ガス810となる。混合ガス810は更に適宜窒素ガス等のドーパントガスやアルゴンガスを含んでもよい。
珪素源ガスとしては、基板600へ炭化珪素多結晶膜を問題なく成膜できれば、特に限定されない。例えば、単量体であるSiH4、SiH3Cl、SiH2Cl2、SiHCl3、およびSiCl4からなる群から選ばれた1種又は2種以上を珪素源ガスとして用いることができる。
また、炭素源ガスとしては、基板600へ炭化珪素多結晶膜を問題なく成膜できれば、特に限定されない。常温付近でガス状態であってハンドリングする上で好都合であることから、炭素数が5以下の飽和炭化水素、又は、炭素数が5以下の不飽和炭化水素からなる炭素源ガスであるのがよく、これらの1種又は2種以上を混合したものを好適に用いることができる。特に、炭素数が5以下の炭化水素から選ばれた1種または2種以上であり、メタン、エタン、プロパン、ブタンやこれらに類似する炭化水素ガスを、適宜炭素源ガスとして用いることができる。
炭化珪素多結晶膜を成膜する場合には、成膜室100の室内の温度を1400K~1700K、かつ第1面110の温度を1100K以下とすることが好ましい。成膜室100の室内の温度は、基板600へ炭化珪素多結晶膜を成膜させるために重要な条件である。室内の温度が低いと、炭化珪素多結晶膜が成膜しないか、成膜速度が遅くなって製造効率を低下させるおそれがある。さらに、成膜に関与しない原料ガスが成膜室から大量に排出されてしまい、原料ガスのロスが大きくなるおそれがある。また、室内の温度が高いと、エピタキシャル成長が起こるおそれや、混合ガス810の上流側に相当する混合ガス噴出口210から近い成膜対象面610が成膜され易く、混合ガス810の下流側に相当する混合ガス排出口300から近い成膜対象面610が成膜され難くなるおそれがあり、同一の成膜対象面610において炭化珪素多結晶膜の膜厚が著しくばらつくおそれがある。成膜室100の室内の温度を1400K~1700Kとすることで、製造効率を低下させることなく、炭化珪素多結晶膜の均一な成膜が可能となる。
そして、第1面110の温度は、混合ガス噴出口210へ炭化珪素多結晶膜が析出して塞がれないために、また、混合ガス810の噴出の制御が困難とならないようにするために重要な条件となる。第1面110の温度が高いと、混合ガス噴出口210へ炭化珪素多結晶膜が析出してしまい、混合ガス810の噴出の制御が困難となるおそれや、混合ガス噴出口210が塞がれてしまうおそれがある。また、第1面110の温度が低くても問題ないが、第1面110の温度が低くなることで成膜室100の室内の温度の制御が困難となるおそれがある。これらの点を考慮すると、第1面110の温度を1100K以下、より好ましくは600K~1000K程度とすることが良い。
さらに、炭化珪素多結晶膜を成膜する場合には、混合ガス噴出口210の温度を1200K以下とすることが好ましい。混合ガス噴出口210の温度は、混合ガス噴出口210へ炭化珪素多結晶膜が析出して塞がれないために、また、混合ガス810の噴出の制御が困難とならないようにするために重要な条件となる。混合ガス噴出口210の温度が高いと、混合ガス噴出口210へ炭化珪素多結晶膜が析出してしまい、混合ガス810の噴出の制御が困難となるおそれや、混合ガス噴出口210が塞がれてしまうおそれがある。また、混合ガス噴出口210の温度が低くても問題ないが、第1面110の温度が低くなることで成膜室100の室内の温度の制御が困難となるおそれがある。これらの点を考慮すると、混合ガス噴出口210の温度を1200K以下、より好ましくは600K~1000K程度とすることが良い。
なお、各基板600の成膜対象面610に成長させる炭化珪素多結晶薄膜の膜厚については、適宜設定することができ、特に制限はない。一般的には膜厚を0.2~5mm程度の範囲とすることができる。
また、本発明の成膜方法としては、炭化珪素単結晶膜の成膜方法が挙げられる。この場合には、炭化珪素の原料となる珪素源ガスと炭素源ガスが原料ガスとなり、原料ガスとさらにこれらの原料ガスを運搬する役目を持つアルゴンガスやヘリウムガス等の希ガスや水素ガス等のキャリアガスを混合したものが、混合ガス810となる。混合ガス810は更に適宜窒素ガス等のドーパントガスやアルゴンガスを含んでもよい。
珪素源ガスとしては、基板600へ炭化珪素多結晶膜を問題なく成膜できれば、特に限定されない。例えば、単量体であるSiH4、SiH3Cl、SiH2Cl2、SiHCl3、およびSiCl4からなる群から選ばれた1種又は2種以上を珪素源ガスとして用いることができる。
また、炭素源ガスとしては、基板600へ炭化珪素多結晶膜を問題なく成膜できれば、特に限定されない。常温付近でガス状態であってハンドリングする上で好都合であることから、炭素数が5以下の飽和炭化水素、又は、炭素数が5以下の不飽和炭化水素からなる炭素源ガスであるのがよく、これらの1種又は2種以上を混合したものを好適に用いることができる。特に、炭素数が5以下の炭化水素から選ばれた1種または2種以上であり、メタン、エタン、プロパン、ブタンやこれらに類似する炭化水素ガスを、適宜炭素源ガスとして用いることができる。
さらに、炭化珪素単結晶膜を成膜する場合には、前記珪素源ガスにおける珪素原子数に対する前記炭素源ガスにおける炭素原子数の比(C/Si)が重要であり、C/Siを0.7~1.3に制御することにより、基板600に炭化珪素単結晶の薄膜をエピタキシャル成長させることが容易となり、成長速度を大きくすることができて生産性の向上に繋がる。C/Siが0.7~1.3から外れた場合には、珪素原子と炭素原子の存在割合のバランスが悪くなることで、成膜が困難となるおそれや、成膜速度が遅くなるおそれ、成膜に関与しない原料ガスが増えて無駄になるおそれがある。例えば、C/Siが0.7未満であると、未反応のSiが金属状態で膜に付着(ドロップレット)してしまうおそれがあり、欠陥発生の原因となる。また、C/Siが1.3を超えると、バンチングと呼ばれる表面段差が発生するおそれがあり、デバイスを作製する上で悪影響を与えることがある。より好ましくは、C/Siを0.8~1.2とする。
炭化珪素単結晶薄膜の成長速度は10μm/時間~70μm/時間とするのが好適であり、その際の珪素材料ガスについては、上記で好適な例として挙げた珪素源ガスの濃度が1体積%~10体積%になるようにするのがよく、好ましくは2体積%~4体積%であるのがよい。一方の炭素材料ガスについては、好適な例として挙げた炭素源ガスの濃度が0.01体積%~1体積%以下になるようにするのがよく、好ましくは0.02体積%~0.06体積%であるのがよい。なお、この濃度範囲は、一例としてC38の場合について例示したものであり、この濃度範囲を目安として、他の炭素源ガスを用いる場合には、カーボン(C)の量で等量となるように変更すればよい。例えば、メタン(CH4)を用いる場合には、この濃度範囲の上限値及び下限値をそれぞれ3倍にすればよい。
また、炭化珪素単結晶薄膜の成長圧力については、成長温度と同様、炭化珪素薄膜をCVD成長させる際の一般的な条件をそのまま採用することができる。例えば、成長圧力を10,000Pa~110,000Paの範囲とするのがよい。
なお、本発明の成膜方法は、炭化珪素多結晶膜や炭化珪素単結晶膜の成膜方法に限定されない。例えば、窒化チタン、窒化アルミニウム、炭化チタン、ダイヤモンドライクカーボン等の成膜にも有用な方法である。
(その他の工程)
本発明の成膜方法は、上記した成膜工程以外にも、他の工程を含むことができる。例えば、基板ホルダー500に基板600同士を非接触で等間隔に積層して、基板600を基板ホルダー500に設置する工程や、基板600を設置した基板ホルダー500を成膜室100に設置する工程、成膜装置1000を成膜できる状態に立ち上げる工程、成膜工程後に成膜室を冷却する工程、成膜後の基板を成膜室100から取り出す工程等が挙げられる。
また、本発明の成膜方法では、複数のSi基板又はC基板等の支持基板を基板600とし、その成膜対象面610のそれぞれに炭化珪素多結晶薄膜を成長させることができる。一度の成膜処理における基板600の枚数については、特に制限はないが、5~10枚の基板から20枚~30枚、またはそれ以上の数の基板600まで、同時に成膜させることができる。なお、基板600は支持基板に限定されず、成膜対象として好適なものを適宜選択して基板として使用することができる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の内容に制限されるものではない。
[実施例1]
基板600として、直径4インチ(100mm)、厚み1mmの炭素基板を9枚用意し、図1に示す成膜装置1000を用いて、熱CVD法により、基板600の成膜対象面610となる両面に炭化珪素多結晶膜を成膜する成膜工程を実施した。成膜工程後、混合ガス噴出口210における炭化珪素の析出の状態を確認すると共に、成膜した炭化珪素多結晶膜の膜厚を測定し、膜厚のばらつきについて評価した。
(成膜装置1000)
外筒1100は黒鉛製の両端坩堝から形成された筒状の形状であり、セラミック炉芯管1300に挿入されたものである。セラミック炉芯管1300および外筒1100の両端は金属製の固定フランジ1400で密閉されている。そして、外筒1100の内部に成膜室100が保持治具1200で固定されている。黒鉛製の混合ガス導入管220は、混合ガス噴出口210へ混合ガス810を導入する混合ガス導入口221を有し、混合ガス導入口221は、保持治具1200に挿入されて設置される。また、第1面110と混合ガス導入管220との間に円板231および回転板240が設置されている。そして、黒鉛製の混合ガス排出管310は、成膜室100の内部に混合ガス排出口300が位置するように、保持治具1200および第2面120に挿入されて設置される。また、セラミック炉芯管1300を囲む円筒状の黒鉛製ヒータ400が設置されており、さらに、成膜室100を外筒1100およびセラミック炉芯管1300と共に内部に収める筐体1500を備える。そして、成膜室100に供給された混合ガス810は、混合ガス排出管310に接続された未図示の真空ポンプを用いて成膜装置1000から外部へ排出可能である。
成膜装置1000において、セラミック炉芯管1300の寸法は外径210mm、内径190mmで厚みは均一であり、長さが700mmである。外筒1100は外径180mm、内径170mmで厚みは均一であり、長さが700mmである。また、成膜室100は、外形が118mm角で長さが320mmの直方体状であり、内形が110mm角で長さが320mmの直方体状であり、厚みは均一である。
(円板231)
円板231は、直径120mm厚さ10mmのカーボン製であり、垂直方向に円板231の中心を通るように長手方向100mm、幅10mmの開口部230を有するものを使用した(図2(a))。円板231は、回転板240と成膜室100の第1面110との間に位置し、成膜室100の外部に固定された。なお、円板231と回転板240は同心円となるよう配置した。
(回転板240)
回転板240は、直径120mmm厚さ10mmのカーボン製であり、混合ガス噴出口210が等速直線運動によって開口部230を上から下へ移動することができるよう、混合ガス噴出口210の等速直線運動を回転座標系に座標変換して得られる曲線状に開口している連通口241を有するものを使用した(図2(b))。具体的には、図2(a)の開口部230は、原点を通り、X=0である上下方向を長手方向とするものであり、この開口部230を等速直線運動する場合の式は、以下の[式3]に示すものとなった。ここで、中心(原点(0、0))を通る開口部230の上端の座標を(0、a)、下端の座標を(0、-a)とすると、開口部230は長手方向に100mm開口しているため、aは50mmとなる。式3では、開口部230の上端の座標(0、50mm)から下端の座標(0、-50mm)まで、混合ガス噴出口210が10分で等速移動し(Y=-V×t+50)、その後、下端の座標(0、-50mm)から上端の座標(0、50mm)まで、混合ガス噴出口210が10分で等速移動(Y=V×t-50)する条件とした。
[式3]
X=0
上端の座標(0、50mm)から下端の座標(0、-50mm)まで:Y=-V×t+50
下端の座標(0、-50mm)から上端の座標(0、50mm)まで:Y=V×t-50
V=10mm/分
(Vは速さ、tは時間)
式3の等速直線運動を回転座標(Xc、Yc)へ変換すると、以下の[式4]となり、連通口241の曲線形状は[式4]に基づいて形成した。式4において、角速度wは、180度/60秒、すなわち3度/秒である。連通口241の幅は10mmとした。
[式4]
Xc=x*cos(w*t)+y*sin(w*t)=y*sin(w*t)、Yc=y*cos(w*t) w=π /分
(wは角速度π/T、Tは周期時間(1回転する時間)の半分)
この回転板240を等速にて20分で一回転させると、混合ガス噴出口210は、回転板240が回転開始から半回転する10分後までに、開口部230の上端の座標(0、50mm)から下端の座標(0、-50mm)まで、等速移動した。その後、回転板240が半回転から1周する10分後までに、混合ガス噴出口210は開口部230の下端の座標(0、-50mm)から上端の座標(0、50mm)まで等速移動した。
(基板600の設置)
図7に示す態様のように、9枚の基板600を基板ホルダー500に設置した。基板600は、溝511および溝521によって基板ホルダー500に固定された状態で、成膜室100に設置した。図7(b)に示す態様のように、基板ホルダー500の上保持棒510は、上側面130aとの間に混合ガス810が侵入しないように上側面130aと密接させ、下保持棒520は、下側面130bとの間に混合ガス810が侵入しないように下側面130bと密接させた。基板600の成膜対象面610と左側面130cとの隙間の幅700、および右側面130dとの隙間の幅710は、等間隔に積層した基板600間のそれぞれの隙間の幅720と同一とし、それぞれ10mmとした。なお、混合ガス噴出口210と基板ホルダー500との最短距離は、150mmとした。
(炭化珪素多結晶膜の成膜)
黒鉛材料の酸化防止のために、外筒1100およびセラミック炉芯管1300との間、および筐体1500内にArガスを流した。そして、未図示の真空ポンプによって成膜室100内を真空排気した後、混合ガス導入管220を使って水素ガスを毎分200cm3の流量で成膜室100へ導入しながら、成膜室100内の圧力を大気圧(101,325Pa)に調整した。その後、圧力を一定に保ちながら、第1面110の温度を1100K以下、および混合ガス噴出口210の温度を1200K以下に維持しつつ、成膜室100内の温度を1550Kまで上げた。そして、成膜室100へ導入する水素ガスの流量を毎分6.5リットルまで増加させた。その状態を3分間保持した後、この水素ガスへSiCl4ガスを毎分0.65リットル、CHガスを毎分0.65リットル、アルゴンガスを毎分3.2リットル混合して混合ガス810とし、Vg>Vdの状態で基板600へ炭化珪素多結晶膜の熱CVDによる成膜を開始した。
成膜処理を40時間行った後、混合ガス810の供給やヒータ400による加熱を止めて基板600を室温まで冷却後、基板ホルダー500より炭化珪素多結晶膜が成膜した基板600を取り出した。そして、外周の研削処理により基板600を露出させ、大気中で基板600を焼成して灰化し、9枚の基板600のおもて面およびうら面に成膜した炭化珪素多結晶基板650を18枚得た。混合ガス噴出機構200を構成する混合ガス噴出口210、混合ガス導入管220、開口部230および回転板240には、炭化珪素は付着しておらず、混合ガス810の噴出に異常は無かったことを確認した。
(炭化珪素多結晶基板650の膜厚の測定)
斜入射型光学測定器を用いて、炭化珪素多結晶基板650の膜厚を測定した。図9に示すように、各基板で9か所測定した。ここで、1番の箇所は炭化珪素多結晶基板650の中心であり、8番の箇所は上側面130a側、6番の箇所は下側面130b側、7番の箇所は混合ガス噴出口210側、9番の箇所は混合ガス排出口300である。また、4番の箇所は1番の箇所および8番の箇所から等距離にあり、1番の箇所および8番の箇所を結ぶ直線状に位置する。3番の箇所、2番の箇所および5番の箇所についても、4番の箇所と同様である。表1に、同一の基板600より得られた2枚の炭化珪素多結晶基板650の同一箇所について測定した膜厚の平均値、およびこの平均値から算出した炭化珪素多結晶基板650の膜厚の平均値を示す。
[実施例2]
実施例1の連通口241のみを備える回転板240(図2(b))に代えて、図4に示す連通口241および連通口242の2つの連通口を有する回転板240を使用して回転させた他は、実施例1と同じ条件にて炭化珪素多結晶膜を成膜し、膜厚を測定した。なお、混合ガス810の使用量は実施例1と同じとしたため、混合ガス噴出口210が2つある実施例2の混合ガス810の流速は、実施例1の場合よりも遅くなった。連通口242の曲線形状は、下記式5の等速直線運動を回転座標(Xc、Yc)へ変換して形成した。成膜後、混合ガス噴出機構200を構成する混合ガス噴出口210、混合ガス導入管220、開口部230および回転板240には、炭化珪素は付着しておらず、混合ガス810の噴出に異常は無かったことを確認した。実施例1と同様に、膜厚の測定結果を表1に示す。
[式5]
1) 0≦w*t≦π/2 :x=0、y=-V*t、V=10mm/min、w=π/10 /分
2) π/2≦w*t≦π :x=0、y=-V*t+50、V=10mm/min、w=π/10 /分
[実施例3]
混合ガス810の噴出量を実施例2の場合の2倍とし、成膜処理時間を20時間にした以外は、実施例2と同じ条件にて炭化珪素多結晶膜を成膜し、膜厚を測定した。成膜後、混合ガス噴出機構200を構成する混合ガス噴出口210、混合ガス導入管220、開口部230および回転板240には、炭化珪素は付着しておらず、混合ガス810の噴出に異常は無かったことを確認した。実施例1と同様に、膜厚の測定結果を表1に示す。
[従来例]
従来例では、図10に示す成膜装置2000を使用した他は、実施例1と同じ条件にて炭化珪素多結晶膜を成膜し、膜厚を測定した。成膜後、混合ガス噴出口210aおよび混合ガス導入管220aには炭化珪素は付着しておらず、混合ガス810の噴出に異常は無かったことを確認した。実施例1と同様に、膜厚の測定結果を表1に示す。
以下に、成膜装置2000について説明する。成膜装置2000では、混合ガス噴出機構200に代えて、4本の混合ガス導入管220aが、固定フランジ1400の外部から外筒1100、保持治具1200および第1面110aを突き抜けて成膜室100内に混合ガス噴出口210aが配置されるように設置した。
図11は、成膜装置2000の第1面110aを成膜室100の内部から見た正面概略図である。図11に示すように、第1面110aに内径が12mmの混合ガス噴出口210aを4個配置した。4つの混合ガス噴出口210aは、管中心で22mmの等間隔に配置し、また、混合ガス噴出口210aは、第1面110における幅方向(列と直交する方向)の中央部に1列に配置した。なお、成膜装置2000において成膜装置1000と同じ符号が付された構成については、成膜装置1000と同じものとした。
Figure 0007245417000001
従来例においては、同一成膜対象面内や基板間での膜厚のばらつきが認められたが、実施例1~3では、いずれにおいても従来例よりも同一成膜対象面内や基板間での膜厚のばらつきが緩和された。結果として、従来例よりも、より均一な膜厚の炭化珪素多結晶膜の成膜が可能となったことを、確認することができた。
[まとめ]
以上において説明したように、本発明の成膜装置および成膜方法であれば、ガス噴出口やこれにつながる配管内に炭化珪素が析出することを防止し、同一成膜対象面内や基板間での膜厚のばらつきを緩和して、より均一な膜厚の成膜が可能であることは、明らかである。
100 成膜室
110 第1面
110a 第1面
120 第2面
130 側面
130a 上側面
130b 下側面
130c 左側面
130d 右側面
200 混合ガス噴出機構
210 混合ガス噴出口
210a 混合ガス噴出口
220 混合ガス導入管
220a 混合ガス導入管
221 混合ガス導入口
230 開口部
230a 開口部
231 円板
240 回転板
241 連通口
242 連通口
243 連通口
300 混合ガス排出口
310 混合ガス排出管
400 ヒータ
500 基板ホルダー
510 上保持棒
511 溝
520 下保持棒
521 溝
600 基板
610 成膜対象面
650 炭化珪素多結晶基板
700 幅
710 幅
720 幅
800 混合ガス
810 混合ガス
1000 成膜装置
1100 外筒
1200 保持治具
1300 セラミック炉芯管
1400 固定フランジ
1500 筐体
2000 成膜装置
Vg 噴出速度
Vd 拡散速度

Claims (11)

  1. 第1面と、前記第1面と対向する第2面と、前記第1面と前記第2面とをつなぐ4つの側面からなる直方体状の内形を有する成膜室と、
    原料ガスおよびキャリアガスを含む混合ガスを、前記第1面から前記成膜室に噴出する混合ガス噴出機構と、
    前記第2面またはその近傍にあり、前記混合ガスを前記成膜室から排出する混合ガス排出口と、
    4つの前記側面を囲み、前記成膜室を加熱するヒータと、
    複数の基板を、基板同士を非接触で等間隔に積層して保持可能であり、前記成膜室の前記第1面と前記第2面との間において、前記基板の成膜対象面を前記側面と平行に設置可能な基板ホルダーと、
    前記成膜室に噴出される前記混合ガスの噴出速度を、前記混合ガスの拡散速度よりも早くすることができる噴出速度制御手段と、を備え、
    前記混合ガス噴出機構は、
    前記混合ガスを前記成膜室へ噴出する混合ガス噴出口と、
    前記成膜室の外部にあり、前記混合ガス噴出口へ前記混合ガスを導入する混合ガス導入口を有する混合ガス導入管と、
    前記混合ガス導入管から前記成膜室へ流れる前記混合ガスが通過する、長手方向を有する長方形状の開口部と、
    前記第1面と前記混合ガス導入管との間にあり、前記混合ガスの導入方向を中心軸とする回転動作をし、前記混合ガス噴出口、前記混合ガス導入口および前記開口部を連通する連通口を有する円盤状の回転板と、を有し、
    前記混合ガス噴出口は、前記回転動作によって前記開口部を長手方向に移動する、成膜装置。
  2. 前記連通口は、前記開口部を移動する前記混合ガス噴出口の等速直線運動を回転座標系に座標変換して得られる曲線状に開口している、請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記連通口を複数備える、請求項1または2に記載の成膜装置。
  4. 前記開口部は、前記回転板の中心軸と交わる、請求項1~3のいずれかに記載の成膜装置。
  5. 前記混合ガス噴出口と前記基板ホルダーとの最短距離は、150mm以上である、請求項1~4のいずれかに記載の成膜装置。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の成膜装置を用いる成膜方法であって、
    前記成膜室において、前記基板ホルダーに基板同士を非接触で等間隔に積層され、かつ、前記成膜対象面を前記側面と平行に設置された複数の前記基板に対し、前記混合ガス噴出口から前記混合ガスを前記成膜室に噴出すると共に、前記混合ガス排出口から前記混合ガスを前記成膜室から排出して、当該混合ガスを前記成膜対象面と平行な方向に流通させて、前記基板に膜を成膜する成膜工程を含み、
    前記回転板は、前記成膜工程において、前記混合ガスの導入方向を中心軸とする回転動作をし、前記混合ガス噴出口は、前記回転動作によって前記開口部を長手方向に移動する、成膜方法。
  7. 前記混合ガス噴出口から噴出される前記混合ガスの噴出速度を、前記混合ガスの拡散速度よりも早くする、請求項6に記載の成膜方法。
  8. 炭化珪素多結晶膜の成膜方法であり、前記原料ガスは、珪素源ガスおよび炭素源ガスを含み、前記珪素源ガスは、SiH4、SiH3Cl、SiH2Cl2、SiHCl3、およびSiCl4からなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、前記炭素源ガスは、炭素数が5以下の炭化水素から選ばれた1種または2種以上であり、前記キャリアガスは水素ガスである、請求項6または7に記載の成膜方法。
  9. 前記成膜室の室内の温度を1400K~1700K、かつ前記第1面の温度を1100K以下とする、請求項8に記載の成膜方法。
  10. 前記混合ガス噴出口の温度を1200K以下とする、請求項8または9に記載の成膜方法。
  11. 炭化珪素単結晶膜の成膜方法であり、前記原料ガスは、珪素源ガスおよび炭素源ガスを含み、前記珪素源ガスは、SiH4、SiH3Cl、SiH2Cl2、SiHCl3、およびSiCl4からなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、前記炭素源ガスは、炭素数が5以下の炭化水素から選ばれた1種または2種以上であり、前記キャリアガスは水素ガスであり、
    前記珪素源ガスにおける珪素原子数に対する前記炭素源ガスにおける炭素原子数の比(C/Si)を0.7~1.3にして、前記基板に炭化珪素単結晶の薄膜をエピタキシャル成長させる、請求項6または7に記載の成膜方法。
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