JP2007109685A - 化合物半導体製造装置および化合物半導体製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の基板に同時に気相成長させる化合物半導体を、それが極薄膜であっても、膜厚を均一化できる化合物半導体製造装置および化合物半導体製造方法を提供する。
【解決手段】複数の基板8が周方向に沿って配列される円盤状のサセプタ4と、サセプタ4を軸心廻りに回転させる回転シャフト6とをリアクター3内に備え、サセプタ4に設置された複数の基板8上に、ガス供給管1を通じて供給される材料ガスから化合物半導体を気相成長させる化合物半導体製造装置において、ガス供給管1は、サセプタ4の軸心に対向する位置に配設し、リアクター3の外周に向かう放射方向に材料ガスを流出させるガス供給部1aを一端に設ける。このガス供給部1aはサセプタ4の回転方向とは逆方向に回転可能とする。これにより、ガス供給部1aが傾いても各基板8への材料ガスの分配に影響が及ぶのを回避することができ、基板8間での膜厚バラツキを低減できる。
【選択図】図1
【解決手段】複数の基板8が周方向に沿って配列される円盤状のサセプタ4と、サセプタ4を軸心廻りに回転させる回転シャフト6とをリアクター3内に備え、サセプタ4に設置された複数の基板8上に、ガス供給管1を通じて供給される材料ガスから化合物半導体を気相成長させる化合物半導体製造装置において、ガス供給管1は、サセプタ4の軸心に対向する位置に配設し、リアクター3の外周に向かう放射方向に材料ガスを流出させるガス供給部1aを一端に設ける。このガス供給部1aはサセプタ4の回転方向とは逆方向に回転可能とする。これにより、ガス供給部1aが傾いても各基板8への材料ガスの分配に影響が及ぶのを回避することができ、基板8間での膜厚バラツキを低減できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、化合物半導体を基板上に気相成長させる化合物半導体製造装置および化合物半導体製造方法に関する。
光ピックアップ用光源として用いられる半導体レーザや、衛星用、携帯電話用の受信アンテナなどに用いられる高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)等に化合物半導体の需要が増大しており、それに伴って低価格で高品質が得られる量産技術が求められている。このため有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD法)を用いた多数枚成長技術が必要不可欠になっている。
化合物半導体を形成するためには、たとえばトリメチルガリウム(TMG)に代表される有機金属化合物とフォスフィン(PH3)に代表される水素化合物とを材料ガスとしてリアクター内に導入し、サセプタ(基板保持テーブル)上に設置されランプなどのヒータで加熱されている基板(ウエハ)の近傍で熱分解を起こさせ、基板表面にガリウム砒素(GaAs)などの化合物半導体を気相成長させる。
このために用いられているプラネタリ型MOCVD装置を図5に示す。材料ガスを供給するガス供給管1と排気管2とが連通したリアクター(反応容器)3内に、円盤状のサセプタ4と、サセプタ4に周方向に沿って配列された複数の基板ホルダ5と、サセプタ4および基板ホルダ5をそれぞれの軸心廻りに回転させる回転シャフト6,歯部7などの回転手段が設けられていて、サセプタ4を回転させるに伴って、各基板ホルダ5およびその内部に保持された基板8を、サセプタ4の軸心周りを公転させつつ自転させるようになっている。
化合物半導体を基板8表面に均一に成長させるには、材料ガスの流れを均一化することが重要であり、そのためにリアクター3内のガス流を制御することが必要である。特許文献1には、2種類以上の材料ガスを1本のガス供給管で供給し、その半径方向への流れを開口周りのリング状部材(静止体)で整流する、単純なガス供給構造の半導体製造装置が開示されている。特許文献2には、材料ガスとパージガスとを仕切板で分離して供給しつつその流速比を制御することにより、リアクター内に層流を生じさせる半導体製造装置が開示されている。
特開2003−318112公報
特開2001−335399公報
上記した特許文献1、2に記載されたMOCVD装置はいずれも、材料ガスをガス供給管1から直接に直接にサセプタ4に吹き付ける構造である。そのため、部品製作時の加工誤差やメンテナンス後の組み立て誤差や基板8の加熱等によって図6(a)に示すようにサセプタ4に傾きが生じた場合に、その傾きに材料ガスの流れが支配され、サセプタ4上の複数の基板8への材料ガスの供給量に差が生じる。図中の矢印の太さが供給量の大小を表わしている。このようにして材料ガスが吹き付けられる領域および吹き付けられない領域はサセプタ4上の一定の箇所であり、この関係はサセプタ4が回転しても解消されることなく継続する。その結果、複数の基板8のそれぞれへの材料ガスの供給量はサセプタ4上での基板8位置に依存して相違し、基板8間で化合物半導体の成長速度、膜厚に差が生じる。図6(b)にサセプタ4上に配列された基板ホルダ5の位置(以下、基板位置という)および材料ガスの供給量を示す。サセプタ4の周方向に沿って順に番号W1,W2,・・・を付している。ガス供給管1に関して対称な基板位置W4,W8で材料ガスの供給量の差が大きくなる。
したがって、たとえば図7(a)に示すようにGaAs基板上にGaInPを1.0μm厚みで成長させる場合、成長速度分布は図7(b)に示したものとなる。材料ガスの供給量の大きい基板位置W4で成長速度が大きくなる一方、基板位置W4の対称にある基板位置W8で成長速度が小さくなっており、基板間で膜厚差が大きくなる。
図8(a)は、サセプタ4にガス供給管1から直接に材料ガスを吹き付けるのでなく、ガス供給管1の端部のノズルやインジェクタなどのガス供給部1aからリアクター3の外周方向に供給するようにしたMOCVD装置を示す。この装置では、図8(b)に示すように、サセプタ4に傾きが生じなくてもガス供給部1aの取り付けに傾きが生じてガス供給に不均一が生じることがあるが、このガス供給の不均一さはサセプタ4から見て位置が静止しており、材料ガスが吹き付けられる領域および吹き付けられない領域はサセプタ4の回転に伴って各基板位置に巡るので、各位置の基板8への材料ガスの供給量は平均化されていく。
したがって、たとえば図9(a)に示すようにGaAs基板上にGaInPを1.0μm厚みで成長させる場合、成長速度分布は図9(b)に示したものとなる。各基板位置(W1,W2,・・・)で成長速度はほぼ等しく、基板間で均一な膜厚を得ることが可能である。
ところが、図10(a)に示すように2nmや4nmといった数nmオーダーの極薄膜を形成する場合は、上記と同様の結果は得られない。図10(b)は、各基板位置で図10(a)の膜積層構造を形成した基板を77Kまで冷却し、フォトルミネッセンス(Photo Luminescence:PL)の強度と波長との相関(以下、PL波長@77Kという)を調べた結果の内、基板位置W4,基板位置W8の基板についての結果を示す。GaAsの膜厚が小さいほど基板間でピークのずれが大きく、膜厚10nmでピークがほぼ一致している。GaAsの膜厚を10nmまで大きくすると、基板間で膜厚が均一化されることを示している。
これは、サセプタ4の回転数、つまり基板8の公転数が5〜10rpmであることに基づく。10nmの薄膜に関しては、0.1〜0.2nm/sec程度まで成長速度を落とすことで、100〜50sec間で成膜することが可能になるので、基板8の公転数を数回転〜十数回転とすることができ、各位置の基板間で膜厚は十分に均一化される。一方、2nmや4nmといった数nmオーダーの極薄膜に関しては、0.1〜0.2nm/sec程度まで成長速度を落としても、10〜40sec間で成膜することになるので、基板8の公転数は1回転未満〜数回転でしかなく、各位置の基板間で膜厚は均一化されず、膜厚差が生じる。
よって、例えば半導体レーザの活性層を形成する場合、多重量子井戸構造を用いていてその膜厚は2〜5nmであるため、基板ごとに活性層の膜厚差が生じることになり、発振波長の安定したデバイスを作製することは困難である。
本発明は、上記問題に鑑み、複数の基板に同時に気相成長させる化合物半導体を、それが極薄膜であっても、膜厚を均一化できる化合物半導体製造装置および化合物半導体製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の化合物半導体製造装置は、複数の基板が周方向に沿って配列して設置される円盤状のサセプタと、前記サセプタを軸心廻りに回転させる回転機構とを反応容器内に備え、前記サセプタに設置された複数の基板上に、前記反応容器に連通したガス供給管を通じて供給される材料ガスから化合物半導体を気相成長させる化合物半導体製造装置であって、前記ガス供給管は、前記サセプタの軸心に対向する位置に配設され、前記反応容器の外周に向かう放射方向に材料ガスを流出させるガス供給部を一端に有し、前記ガス供給部がサセプタの回転方向とは逆方向に回転可能であることを特徴とする。
また本発明の化合物半導体製造装置は、複数の基板が周方向に沿って配列して設置される円盤状のサセプタと、前記サセプタを軸心廻りに回転させる回転機構とを反応容器内に備え、前記サセプタに設置された複数の基板上に、前記反応容器に連通したガス供給管を通じて供給される材料ガスから化合物半導体を気相成長させる化合物半導体製造装置であって、前記ガス供給管は、前記サセプタの軸心に対向する位置に配設され、前記反応容器の外周に向かう放射方向に材料ガスを流出させるガス供給部を一端に有し、前記ガス供給部を含む前記ガス供給管の一端は、前記サセプタの軸心に対して対称となるように複数に分割され、分割された各ガス供給管内のガス流量を個別に制御する流量制御手段が設けられたことを特徴とする。
サセプタ上に回転自在に設置され基板を保持する複数の基板ホルダと、前記複数の基板ホルダをそれぞれの軸心廻りに回転させる回転機構とが設けられているのが好ましい。
また、サセプタへの対向面を100〜500℃に保持する温度制御手段を有しているのが好ましい。
また、サセプタへの対向面を100〜500℃に保持する温度制御手段を有しているのが好ましい。
本発明の化合物半導体製造方法は、上述した第1の構成の化合物半導体製造装置を用い、反応容器内で、複数の基板を設置したサセプタを軸心廻りに回転させ、前記サセプタ上の複数の基板を所定温度に加熱する状態において、ガス供給管を通じて材料ガスを導入し、その一端のガス供給部を前記サセプタの回転方向とは逆方向に回転させながら流出させることにより、前記サセプタの回転に伴われて回転され加熱されている複数の基板上に、前記サセプタとは逆方向に回転しているガス供給部から供給され基板面に沿うように流下する材料ガスを接触させて、化合物半導体を気相成長させることを特徴とする。これにより、ガス供給部が万が一傾いても、基板への材料ガスの分配に影響が及ぶのを回避することができ、極薄膜を形成する場合も基板間での膜厚バラツキを低減できる。
また本発明の化合物半導体製造方法は、上述した第2の構成の化合物半導体製造装置を用い、反応容器内で、複数の基板を設置したサセプタを軸心廻りに回転させ、前記サセプタ上の複数の基板を所定温度に加熱する状態において、複数に分割されたガス供給管を通じて材料ガスを導入し、各々のガス供給部の位置に基づいて個別に流量制御しながら流出させることにより、前記サセプタの回転に伴われて回転され加熱されている複数の基板上に、前記各々のガス供給部から基板面に沿うように流下する材料ガスを接触させて、化合物半導体を気相成長させることを特徴とする。このことにより、サセプタやガス供給部が万が一傾いても、基板への材料ガスの分配に影響が及ぶのを回避することができ、極薄膜を形成する場合も基板間での膜厚バラツキを低減できる。
化合物半導体製造装置が、サセプタ上に回転自在に設置され基板を保持する複数の基板ホルダと、前記複数の基板ホルダをそれぞれの軸心廻りに回転させる回転機構とを備えていて、前記複数の基板ホルダに保持された基板をサセプタの軸心廻りに回転させつつ基板ホルダの軸心廻りに回転させるのが好ましい。基板内での膜厚バラツキを低減できるからである。
本発明の化合物半導体製造装置および化合物半導体製造方法によれば、ガス供給管のガス供給部をサセプタとは逆方向に回転させることにより、またはガス供給管を複数に分割して各々流量制御することにより、サセプタやガス供給部が万が一傾いても、基板への材料ガスの分配に影響が及ぶのを回避することができ、極薄膜を形成する場合も基板間での膜厚バラツキを低減できる。
基板を基板ホルダに保持させてその軸心廻りに回転させることにより、基板面内の膜厚バラツキも低減できる。またサセプタへの対向面を100〜500℃に保持することにより、この対向面への薄膜形成を抑え、基板に接触する材料ガス量を安定させて、基板面内の膜厚の経時変化をより低減することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における化合物半導体製造装置の概略全体構成を示す断面図である。この化合物半導体製造装置は先に図5、図8を用いて説明した従来のものと同様にプラネタリ型MOCVD装置と呼ばれる構造を有している。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における化合物半導体製造装置の概略全体構成を示す断面図である。この化合物半導体製造装置は先に図5、図8を用いて説明した従来のものと同様にプラネタリ型MOCVD装置と呼ばれる構造を有している。
材料ガスを供給するガス供給管1と排気管2とが連通した密閉構造のリアクター3内に、円盤状のサセプタ4と、サセプタ4に周方向に沿って等間隔で配列された複数の基板ホルダ5と、サセプタ4および基板ホルダ5をそれぞれの軸心廻りに回転させる回転手段とが設けられていて、基板ホルダ5に保持された基板8はプラネタリ型の回転機構で回転される。
詳細には、サセプタ4は、駆動装置に接続された回転シャフト6に取付蓋6aによって同軸状に固定されていて、回転シャフト6の軸心廻りに回転可能である。基板ホルダ5は、基板8の周縁部を保持する筒状体であって、サセプタ4に周方向に沿って適当間隔で形成された複数の取り付け穴のそれぞれに回転自在に保持され、それぞれの外周に形成された歯部5aで、リアクター3の内周に形成された歯部7と噛み合っている。この構造により、回転シャフト6によってサセプタ4が回転されるに伴って、基板ホルダ5およびその内部の基板8がサセプタ4の軸心廻りに回転(公転)しつつ基板ホルダ5の軸心廻りに回転(自転)する。
サセプタ4の上方には、基板ホルダ5に保持された基板8を所定温度に加熱するためのランプなどのヒータ9が設けられており、リアクター3の底部には、サセプタ4に対向した対向面3aを100℃に保持する冷却水配管10が設けられている。
100℃という対向面3aの温度は、材料ガスたる有機金属が分解を起こさない温度として十分低く設定されている。対向面3aの温度が低すぎると、分解した有機金属が対向面3aで冷やされて金属ドロップ化し、そのまま対向面3aに付着してしまい、成長を重ねるうちに吹き飛ばされ、基板8にパーティクルとして付着する原因となる。このため100℃未満は望ましくなく、100℃以上に温度設定される。一方で対向面3aの温度が高すぎると、分解した有機金属が対向面3aやサセプタ4にもデポされ、基板8に到達する原料量が少なくなってしまう。特にGaInPなどのIn含有材料を用いる場合、Inが基板8に届く前に枯渇してしまい、所望の膜が形成されず基板8は白濁してしまう。このため対向面3aは材料ガスが分解しない温度、たとえば400℃程度まで、高くとも500℃以下に温度設定される。
上述した排気管2は、リアクター3の底部の周縁部に複数本開口しており、それぞれ真空ポンプ(図示せず)に連通している。ガス供給管1は、所定の姿勢のサセプタ4の軸心、つまりリアクター3および回転シャフト6と同軸状にある姿勢のサセプタ4の軸心(以下、設計軸という)に対向する位置にサセプタ4の設計軸に沿う方向に延び、外周部が開口した円盤状のガス供給部1aが端部に取り付けられていて、管内をサセプタ4の設計軸方向に流れてきた材料ガスをガス供給部1aの外周部から、サセプタ4の設計軸と交わる方向に流れ方向を変えて、すなわちリアクター3の外周に向かう放射方向に変えて、流出させる。
この化合物半導体製造装置が従来のものと異なるのは、ガス供給部1aをガス供給管1とともにサセプタ4の回転方向とは逆方向に回転させる回転手段11を備えている点である。回転手段11の詳細な図示は省略するが、比較的短寸のガス供給管1を回転可能に接続した管継ぎ手や回転駆動装置である。
以下、上記化合物半導体製造装置における化合物半導体の製造方法を説明する。
サセプタ4上の複数の基板ホルダ5のそれぞれに基板8を設置し、排気管2を通じてリアクター3内を1e10−3Paまで真空引きする。次に、リアクター3内を所定の圧力に保ちながら、回転シャフト6によってサセプタ4を回転させることにより、各基板ホルダ5に保持された基板8をサセプタ4の軸心周りに公転させつつ自転させる。サセプタ4に対向したリアクター3の対向面3aは冷却水配管10によって100℃に保持する。
サセプタ4上の複数の基板ホルダ5のそれぞれに基板8を設置し、排気管2を通じてリアクター3内を1e10−3Paまで真空引きする。次に、リアクター3内を所定の圧力に保ちながら、回転シャフト6によってサセプタ4を回転させることにより、各基板ホルダ5に保持された基板8をサセプタ4の軸心周りに公転させつつ自転させる。サセプタ4に対向したリアクター3の対向面3aは冷却水配管10によって100℃に保持する。
その状態で、ガス供給部1aを端部に有したガス供給管1を回転手段11によってサセプタ4とは逆方向に回転させながら、このガス供給管1を通じてリアクター3内にV族系材料ガスを供給する。そして、基板ホルダ5内の基板8をヒータ9によって均一に加熱し、所定の温度まで上昇した後に、ガス供給管1を通じてIII族系材料ガスを供給する。この際のガス供給部1aの回転速度は、たとえばサセプタ4の回転速度が8RPMである場合に、10RPMである。
このことにより、ガス供給管1内を流れてきたV族系およびIII族系の材料ガスは、回転シャフト6とは逆に回転しているガス供給部1aの内面に衝突し、その内面に沿うようにリアクター3の外周に向かう放射方向に流出し、各基板ホルダ5の近傍へと流れた後、上記したように回転(公転自転)されつつヒータ9によって加熱されている基板8面に沿うようにほぼ平行に流れ、この基板8面に接触した材料ガスから気相成長によって化合物半導体の薄膜が形成される。
この際に、ガス供給部1aがサセプタ4とは逆方向に回転していることにより、ガス供給部1aが回転していない場合と比べて、同じ成長時間でも、基板8がガス供給部1aの周りを回転する相対的な回転数(公転数)が多くなり、ガス供給部1aの取り付けに傾きが生じてガス供給に不均一が生じても、膜厚を十分に均一化することが可能である。基板8は公転のみならず自転もしているので、基板8内の膜厚ばらつきも回避できる。
またサセプタ4への対向面3aを100℃に保持しているため、この対向面3aには薄膜は形成されず、成膜を続けても基板8に常に一定量の安定した材料ガスが供給されることになり、基板8の膜厚の経時変化を抑制することができる。
図2(a)は、上記したようにしてGaAs基板上にAl0.4Ga0.6Asを100nm厚みにて成膜し、その上にGaAsの10nm,4nm,2nm厚の膜を、Al0.4Ga0.6Asの30nm厚の膜と交互に形成した積層構造を示す。図2(b)は、このGaAs基板上でサセプタ4の軸心に関して対称な基板位置W4,基板位置W8(上述した図6(b)参照)のそれぞれで形成された膜のPL波長@77Kの比較を示す。10nm,4nm,2nm厚といった極薄膜でも、基板位置W4,基板位置W8で波長の分布が一致しており、膜厚分布が均一化されていることがわかる。
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2における化合物半導体製造装置の構成を示す。
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2における化合物半導体製造装置の構成を示す。
この化合物半導体製造装置が実施の形態1の化合物半導体製造装置と相違するのは、円盤状のガス供給部1aが、回転するのでなく、サセプタの軸心(設計軸)に関して対称に8室(それぞれに室番号を付している)に分割されている点である。またガス供給管1が、ガス供給部1aの各室にそれぞれ連通するように8本に分割され、分割された各ガス供給管1bに、ガス供給部1aの各室の位置に基づいて個別に流量制御するマスフローコントローラ(MFC1〜MFC8)が設けられている点である。
この化合物半導体製造装置では、まず、実施の形態1の化合物半導体製造装置と同様にして、リアクター3内を所定の圧力に保ちながら、基板ホルダ5に保持された基板8をサセプタ4の軸心周りに公転させつつ自転させる。
そしてその状態で、8系統あるガス供給管1bを通じてV族系材料ガスを個別に流量制御しながら供給する。次に基板ホルダ5内の基板8をヒータ9によって均一に加熱し、所定の温度まで上昇した後に、III族系材料ガスを個別に流量制御しながら供給する。
各材料ガスの制御流量は予め決めておく。たとえば、材料ガスを運ぶキャリアガスを流量V1にて流す場合、まず各ガス供給管1bからV1/8量ずつ均等に流出するようにマスフローコントローラ(MFC1〜MFC8)によって流量制御し、その流量でサセプタ4の回転を0RPM(非回転)として基板8上に成膜し、成膜された各々の基板8の膜厚分布を見て流量調整する。基板位置W1に設置した基板8の成長膜厚が他の基板8の成長膜厚より薄い場合、基板位置W1に対応するガス供給管1bからV1/8より多いキャリアガスを流すように流量調整する。
上記構成によれば、各ガス供給管1b内を流れてきたV族系およびIII族系の材料ガスは、ガス供給部1aの各室の内面に衝突し、その内面に沿うようにリアクター3の外周に向かう放射方向に流出し、各基板ホルダ5の近傍へと流れ、上記したように回転(公転自転)されつつヒータ9によって加熱されている基板8面に沿うように流れ、この基板8面に接触した材料ガスから気相成長によって化合物半導体の薄膜が形成される。
その際に、ガス供給部1aの各室から流れ出す材料ガスは上記したように流量制御されているため、ガス供給部1aの取り付けに傾きが生じていても(あるいはサセプタ4に傾きが生じていても)、各位置の基板8に供給されるガス供給量は均一化され、基板8間で化合物半導体の成長速度、膜厚を十分に均一化することが可能である。基板8は公転のみならず自転もしているので、基板8内の膜厚ばらつきも回避できる。
なお、ガス供給部1aの各室の吹出口は、図3(b)に示したように、サセプタ4の軸心(設計軸)方向Yから外周方向Xに向かって0度から90度の間で傾いて開口しているのが好ましい。そうでない場合、各ガス供給管1b内をサセプタ4の軸心方向に流れてきたガスがそのまま真っ直ぐに吹出すか、あるいは内周方向に向かって傾いて吹出して、サセプタに当たることになり、上述したように流量制御したにもかかわらず、混合してしまったり、サセプタの歪みで偏流が発生しまう。
以上の実施の形態1、2では、V族系材料ガスとIII族系材料ガスとをガス供給管1,ガス供給部1aにより同時にリアクター3に導入するものとして説明したが、図4に示したように、ガス供給管1,ガス供給部1aの流路を仕切板1cで2分割して各材料ガスを別々に流出させ、基板ホルダ5の近傍で混合させるというガス供給構造でも同様の効果を得ることができる。またV族系材料ガスとIII族系材料ガスとを用いるものとして説明したが、II族系材料ガスとIV族系材料ガスとを用いる場合も同様の効果を得ることができる。
本発明の化合物半導体製造装置および化合物半導体製造方法は、複数枚の基板に同時に成長させる化合物半導体を極薄膜であっても均一な膜厚に形成できるので、半導体レーザ、HEMT、フォトダイオード、太陽電池やトランジスタを構成する半導体デバイスなどの製造に有用である。
1・・・ガス供給管
1a・・・ガス供給部
2・・・排気管
3・・・リアクター
3a・・・対向面
4・・・サセプタ
5・・・基板ホルダ
5a・・・歯部
6・・・回転シャフト
7・・・歯部
8・・・基板
9・・・ヒータ
10・・・冷却水配管
1a・・・ガス供給部
2・・・排気管
3・・・リアクター
3a・・・対向面
4・・・サセプタ
5・・・基板ホルダ
5a・・・歯部
6・・・回転シャフト
7・・・歯部
8・・・基板
9・・・ヒータ
10・・・冷却水配管
Claims (7)
- 複数の基板が周方向に沿って配列して設置される円盤状のサセプタと、前記サセプタを軸心廻りに回転させる回転機構とを反応容器内に備え、前記サセプタに設置された複数の基板上に、前記反応容器に連通したガス供給管を通じて供給される材料ガスから化合物半導体を気相成長させる化合物半導体製造装置であって、
前記ガス供給管は、前記サセプタの軸心に対向する位置に配設され、前記反応容器の外周に向かう放射方向に材料ガスを流出させるガス供給部を一端に有し、前記ガス供給部がサセプタの回転方向とは逆方向に回転可能である化合物半導体製造装置。 - 複数の基板が周方向に沿って配列して設置される円盤状のサセプタと、前記サセプタを軸心廻りに回転させる回転機構とを反応容器内に備え、前記サセプタに設置された複数の基板上に、前記反応容器に連通したガス供給管を通じて供給される材料ガスから化合物半導体を気相成長させる化合物半導体製造装置であって、
前記ガス供給管は、前記サセプタの軸心に対向する位置に配設され、前記反応容器の外周に向かう放射方向に材料ガスを流出させるガス供給部を一端に有し、
前記ガス供給部を含む前記ガス供給管の一端は、前記サセプタの軸心に対して対称となるように複数に分割され、分割された各ガス供給管内のガス流量を個別に制御する流量制御手段が設けられた化合物半導体製造装置。 - サセプタ上に回転自在に設置され基板を保持する複数の基板ホルダと、前記複数の基板ホルダをそれぞれの軸心廻りに回転させる回転機構とが設けられた請求項1または請求項2のいずれかに記載の化合物半導体製造装置。
- サセプタへの対向面を100〜500℃に保持する温度制御手段を有した請求項1または請求項2のいずれかに記載の化合物半導体製造装置。
- 請求項1記載の化合物半導体製造装置を用い、反応容器内で、複数の基板を設置したサセプタを軸心廻りに回転させ、前記サセプタ上の複数の基板を所定温度に加熱する状態において、ガス供給管を通じて材料ガスを導入し、その一端のガス供給部を前記サセプタの回転方向とは逆方向に回転させながら流出させることにより、前記サセプタの回転に伴われて回転され加熱されている複数の基板上に、前記サセプタとは逆方向に回転しているガス供給部から供給され基板面に沿うように流下する材料ガスを接触させて、化合物半導体を気相成長させる化合物半導体製造方法。
- 請求項2記載の化合物半導体製造装置を用い、反応容器内で、複数の基板を設置したサセプタを軸心廻りに回転させ、前記サセプタ上の複数の基板を所定温度に加熱する状態において、複数に分割されたガス供給管を通じて材料ガスを導入し、各々のガス供給部の位置に基づいて個別に流量制御しながら流出させることにより、前記サセプタの回転に伴われて回転され加熱されている複数の基板上に、前記各々のガス供給部から基板面に沿うように流下する材料ガスを接触させて、化合物半導体を気相成長させる化合物半導体製造方法。
- 化合物半導体製造装置は、サセプタ上に回転自在に設置され基板を保持する複数の基板ホルダと、前記複数の基板ホルダをそれぞれの軸心廻りに回転させる回転機構とを備えていて、前記複数の基板ホルダに保持された基板をサセプタの軸心廻りに回転させつつ基板ホルダの軸心廻りに回転させる請求項6記載の化合物半導体製造方法。
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JP2005295947A JP2007109685A (ja) | 2005-10-11 | 2005-10-11 | 化合物半導体製造装置および化合物半導体製造方法 |
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Cited By (4)
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DE102008055582A1 (de) * | 2008-12-23 | 2010-06-24 | Aixtron Ag | MOCVD-Reaktor mit zylindrischem Gaseinlassorgan |
JP2010232376A (ja) * | 2009-03-26 | 2010-10-14 | Taiyo Nippon Sanso Corp | 気相成長装置の原料ガス供給ノズル |
JP2013225571A (ja) * | 2012-04-20 | 2013-10-31 | Taiyo Nippon Sanso Corp | 気相成長装置 |
KR101806251B1 (ko) * | 2016-07-20 | 2018-01-10 | 주성엔지니어링(주) | 기판 처리 장치 |
-
2005
- 2005-10-11 JP JP2005295947A patent/JP2007109685A/ja active Pending
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