JP3855672B2 - クラッチのトルク点学習方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はクラッチのトルク点学習方法に係り、特に車両の動力伝達系に湿式摩擦クラッチを用いた場合に、そのトルク点を好適に学習できるようにした学習方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の動力伝達装置において、エンジンから変速機に至る動力伝達経路の途中に、流体継手(トルクコンバータを含む)と湿式摩擦クラッチとをそれぞれ直列に設け、変速時に湿式摩擦クラッチを自動的に断接するものがある。この場合、車両停止中にギヤイン操作されると、この後クラッチが自動接続され、クリープが発生する。この点通常のAT車と同様である。
【0003】
クラッチの接続は、早すぎるとクラッチ接続ショック(所謂ガレージショック等)が生じ、遅すぎるとギヤイン操作からクリープ発生までに時間がかかり、ドライバがいつアクセルを踏み込んでよいのか分からなくなる(タイムラグ大)。そこでこのようなクラッチ接続ショックと接続時間短縮との両立を図るため、クラッチがつながり始めるまでの遊び領域はクラッチを急接し、クラッチがつながり始めたら接続速度を切り換えてゆっくりつなぐ、という制御が行われている。
【0004】
このクラッチのつながり始めの位置、言い換えれば最初に所定トルクを伝達することができるトルク伝達開始点をトルク点と称し、このトルク点をコントロールユニットに学習して接続速度切換のポイントに利用するなど、トルク点はクラッチ制御における重要な役割を占めている。トルク点を学習値とするのは、クラッチに製造誤差等に起因するバラツキないし個体差があり、クラッチ毎にトルク点が異なるからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなトルク点学習に関し、従来は乾式摩擦クラッチにおいて、最初に所定トルクを伝達するクラッチストロークの値を検出し、その値をトルク点として学習していた。
【0006】
しかし、湿式摩擦クラッチの場合、油中でクラッチプレートが常時滑っており、クラッチピストンでプレート同士を押し付け合うことでトルク伝達が達成されるため、元々ストロークという概念がない。またクラッチピストンがストロークするもののそのストローク量は微小である(例えば2mm程度)。従って乾式と同様にクラッチピストンのストロークを検出して学習値とする方法は採用できない。
【0007】
また、湿式摩擦クラッチでは、クラッチピストンに付加される油圧を検出するという方法も考えられる。しかし、油圧センサは高価な上に、構造上の理由から油圧検出は困難である。また油圧脈動が大きく検出値自体の信頼性に問題があると共に、同じ油圧値に対して必ずしも同じトルクが伝達されているわけではないという個体差バラツキの問題もある。従ってこの方法も採用できない。
【0008】
そこで、本発明者らは、クラッチ制御に用いるデューティパルスのデューティ比の値をもってトルク点の値とすることを新たに見出した。即ち、湿式摩擦クラッチはコントロールユニットから出力されるデューティパルスに応じて制御されるが、クラッチがトルク点に到達したと思われる所定条件が整ったとき、このときコントロールユニット自らが出力しているデューティパルスのデューティ比の値をトルク点として学習するのである。
【0009】
しかし、ここで次のような問題が生じた。即ち、上記所定条件が整ったとしても、それがノイズ等の影響で一時的なものである場合があり、このような場合にまで学習を行ってしまうと不正確な学習値を記憶してしまい、誤学習となってしまう点である。
【0010】
そこで、以上の問題に鑑みて本発明は創案され、その目的は湿式摩擦クラッチにおけるトルク点学習時の誤学習を防止することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るクラッチのトルク点学習方法は、エンジンから変速機に至る動力伝達経路の途中であって、その上流側に流体継手を、下流側に湿式摩擦クラッチをそれぞれ直列に設け、上記湿式摩擦クラッチに作動流体圧を供給するための流体圧供給装置を設け、この流体圧供給装置から供給される流体圧を、電子コントロールユニットから出力されるデューティパルスのデューティ比に応じて変化させ、これにより上記湿式摩擦クラッチの断接状態を制御するようにした車両の動力伝達装置において、
上記湿式摩擦クラッチが断状態から接続されていくときに最初に所定トルクを伝達するトルク点を上記電子コントロールユニットに学習する際に、上記湿式摩擦クラッチの入力側の回転数と、上記エンジンの回転数とをそれぞれ検出しつつ、上記デューティ比を所定周期毎に所定値ずつ変化させていって上記湿式摩擦クラッチを断状態から徐々に接していき、その過程で上記湿式摩擦クラッチの入力側の回転数が上記エンジン回転数に対し所定回転数落ち込んだときから、そのときのデューティ比の値を保持しつつ、上記所定周期より長い一定時間の経過を待ち、その待ち時間経過時に再度上記湿式摩擦クラッチの入力側の回転数が上記エンジン回転数に対し所定回転数落ち込んでいれば、保持していた上記デューティ比の値をトルク点として学習するものである。
【0012】
また、本発明に係るクラッチのトルク点学習方法は、エンジンから変速機に至る動力伝達経路の途中であって、その上流側に流体継手を、下流側に湿式摩擦クラッチをそれぞれ直列に設け、上記湿式摩擦クラッチに作動流体圧を供給するための流体圧供給装置を設け、この流体圧供給装置から供給される流体圧を、電子コントロールユニットから出力されるデューティパルスのデューティ比に応じて変化させ、これにより上記湿式摩擦クラッチの断接状態を制御するようにした車両の動力伝達装置において、
上記湿式摩擦クラッチが断状態から接続されていくときに最初に所定トルクを伝達するトルク点を上記電子コントロールユニットに学習する際に、上記湿式摩擦クラッチの入力側の回転数と、上記エンジンの回転数とをそれぞれ検出しつつ、上記デューティ比を所定周期毎に所定値ずつ変化させていって上記湿式摩擦クラッチを接状態から徐々に断していき、その過程で上記湿式摩擦クラッチの入力側の回転数と上記エンジン回転数との差が所定回転数以内になったときから、そのときのデューティ比の値を保持しつつ、上記所定周期より長い一定時間の経過を待ち、その待ち時間経過時に再度上記湿式摩擦クラッチの入力側の回転数と上記エンジン回転数との差が所定回転数以内になっていれば、保持していた上記デューティ比の値をトルク点として学習するものである。
【0013】
ここで、上記トルク点学習の開始条件が、車両停止、パーキングブレーキ作動中、フットブレーキ作動中、且つ変速機ギヤインという条件を含むのが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適実施形態を添付図面に基いて説明する。
【0015】
図1は本実施形態における車両の動力伝達装置を示す。図示するように、エンジンEには、クラッチ機構1を介して変速機T/Mが接続されている。クラッチ機構1は流体継手(フルードカップリング)2と湿式多板クラッチ3とからなる。流体継手2は、エンジンEから変速機T/Mに至る動力伝達経路の途中であってその上流側に設けられ、湿式多板クラッチ3は同下流側に直列に設けられる。なおここでいう流体継手とはトルクコンバータを含む広い概念であり、現に本実施形態においてもトルクコンバータを用いている。
【0016】
流体継手2は、エンジンの出力軸(クランク軸)に接続されたポンプ4と、ポンプ4に対向されクラッチ3の入力側に接続されたタービン5と、タービン5とポンプ4との間に介設されたステータ6と、ポンプ4とタービン5との締結・切離を行うロックアップクラッチ7とを有する。湿式多板クラッチ3は、その入力側が入力軸3aを介してタービン5に接続され、出力側が変速機T/Mの入力軸8に接続され、流体継手2と変速機T/Mとの間を断接するものである。
【0017】
変速機T/Mは、入力軸8と、これと同軸に配置された出力軸9と、これらに平行に配置された副軸10とを有する。入力軸8には、入力主ギヤ11が設けられている。出力軸9には、1速主ギヤM1と、2速主ギヤM2と、3速主ギヤM3と、4速主ギヤM4と、リバース主ギヤMRとが夫々軸支されていると共に、6速主ギヤM6が固設されている。副軸10には、入力主ギヤ11に噛合する入力副ギヤ12と、1速主ギヤM1に噛合する1速副ギヤC1と、2速主ギヤM2に噛合する2速副ギヤC2と、3速主ギヤM3に噛合する3速副ギヤC3と、4速主ギヤM4に噛合する4速副ギヤC4と、リバース主ギヤMRにアイドルギヤIRを介して噛合するリバース副ギヤCRとが固設されていると共に、6速主ギヤM6に噛合する6速副ギヤC6が軸支されている。
【0018】
この変速機T/Mによれば、出力軸9に固定されたハブH/R1にスプライン噛合されたスリーブS/R1を、リバース主ギヤMRのドグDRにスプライン噛合すると、出力軸9がリバース回転し、上記スリーブS/R1を1速主ギヤM1のドグD1にスプライン噛合すると、出力軸9が1速相当で回転する。そして、出力軸9に固定されたハブH/23にスプライン噛合されたスリーブS/23を、2速主ギヤM2のドグD2にスプライン噛合すると、出力軸9が2速相当で回転し、上記スリーブS/23を3速主ギヤM3のドグD3にスプライン噛合すると、出力軸9が3速相当で回転する。
【0019】
そして、出力軸9に固定されたハブH/45にスプライン噛合されたスリーブS/45を、4速主ギヤM4のドグD4にスプライン噛合すると、出力軸9が4速相当で回転し、上記スリーブS/45を入力主ギヤ11のドグD5にスプライン噛合すると、出力軸9が5速相当(直結)で回転する。そして、副軸10に固定されたハブH6にスプライン噛合されたスリーブS6を、6速副ギヤC6のドグD6にスプライン噛合すると、出力軸9が6速相当で回転する。上記各スリーブは、図示しないシフトフォークおよびシフトロッドを介して、運転室内のシフトレバーによってマニュアル操作される。
【0020】
湿式多板クラッチ3は通常の構成である。即ち、図示省略するが、オイルが満たされたクラッチケーシング内で、入力側と出力側とにそれぞれ複数枚ずつ互い違いにクラッチプレートがスプライン噛合され、これらクラッチプレート同士をクラッチピストンにより押し付け合い、或いは解放して、クラッチの接続・分断を行うものである。図2を参照して、クラッチピストン27はクラッチスプリング28により常に断側に付勢されると共に、これを上回る油圧がクラッチピストン27に付加されたときクラッチ3が締結される。クラッチ締結力ないしクラッチのトルク容量は与えられる油圧に応じて増大される。
【0021】
次に、湿式多板クラッチ3に作動油圧を供給するための油圧供給装置について説明する。図2に示すように、オイルタンク13のオイルがろ過器14を介して油圧ポンプOPにより吸引吐出されると共に、その吐出圧がリリーフバルブ15により調整され、一定のライン圧PLが作られる。このライン圧PLのオイルを圧力(減圧)制御してクラッチ3に送り込むわけだが、このためクラッチコントロールバルブCCVとクラッチソレノイドバルブCSVという二つのバルブを用いている。即ち、メインの油圧ラインに接続されたクラッチコントロールバルブCCVを、クラッチソレノイドバルブCSVから送られてくるパイロット油圧Ppに応じて開閉させるという、パイロット操作型油圧制御方式を採用している。そしてパイロット油圧Ppの大きさが、電子コントロールユニット(以下ECUという)16から出力されるディーティパルスのデューティ比Dに応じて変化される。
【0022】
即ち、クラッチソレノイドバルブCSVは電磁ソレノイドを有した電磁弁であり、無段階で開閉可能であると共に、常にライン圧PLが供給されている。そしてECU16から出力されたディーティパルスを受け取り、そのデューティ比Dに応じた量だけ弁体を開放させる。これによりクラッチソレノイドバルブCSVはデューティ比Dに応じたパイロット油圧Ppを出力することになる。
【0023】
クラッチコントロールバルブCCVは、パイロット油圧Ppに基づき無段階で開閉作動されるスプール弁であり、これ自体は電子制御されない。即ちパイロット油圧Ppの大きさに応じて内蔵スプールを開放側にストロークさせ、これによりライン圧PLを適宜調整しクラッチ圧Pcとしてクラッチ3に送り込む。こうして、結果的に、クラッチ3に供給される油圧がECU16によりデューティ制御されることとなる。
【0024】
なお、クラッチソレノイドバルブCSVとクラッチコントロールバルブCCVとを結ぶ経路の途中にアキュムレータ17が設けられる。
【0025】
図3に油圧供給装置の特性線図を示す。横軸は、ECU16から出力されるディーティパルスのデューティ比Dであり、より詳しくは所定の制御周期(本実施形態では20msec)におけるソレノイドon時間の割合を示すonデューティ比である。本実施形態では、デューティ比Dが0(%)のときクラッチが完接されるようにしてある。これは電気系統の故障等でクラッチソレノイドバルブCSVに何等通電されなくなったようなとき(所謂offスタックの状態)にも、クラッチを接続状態として、なんとか車両の走行を維持できるようにするためである。
【0026】
図示するように、デューティ比Dが大ほど断、小ほど接である。デューティ比Dの値が小さくなるにつれ、クラッチコントロールバルブCCVから出力されるパイロット油圧Ppの値が比例的に増加し、これに伴ってクラッチに供給される油圧即ちクラッチ圧Pcと、クラッチ3のトルク容量Tcとが比例的に増加する傾向を示す。なおクラッチコントロールバルブCCVのバルブ開度Vは図示上は3ポジションであるが、実際上は全開、全閉以外の中間開度(バルブ開度0mm)でスプール弁が微小ストロークし、クラッチ圧Pcを連続的に変更できるものである。
【0027】
本実施形態にはロックアップクラッチ7の制御系も存在するが、ここでは本発明に直接関係ないため説明を省略する。その油圧制御系の構成は湿式多板クラッチ3の油圧制御系と大略同様である。
【0028】
次に、動力伝達装置を電子制御するための電子制御装置を図4を用いて説明する。前述のECU16にはクラッチソレノイドバルブCSVの他、本装置を電子制御するために様々なスイッチやセンサが接続されている。これにはエンジン回転数を検出するためのエンジン回転センサ18、クラッチ3の入力側の回転数即ちタービン5の回転数を検出するためのタービン回転センサ19、変速機T/Mの回転数、代表的には入力副ギヤ12の回転数を検出するための変速機回転センサ20、及び車速を検出するための車速センサ21が含まれる。これらのセンサは図1にも示される。また、パーキングブレーキが作動中か否かを検出するためのパーキングブレーキスイッチ22、フットブレーキが作動中か否かを検出するためのフットブレーキスイッチ23、及び変速機のギヤポジションを検出するためのギヤポジションセンサ24も含まれる。
【0029】
また、ECU16にはノブスイッチ25も接続されている。即ち、本実施形態ではドライバによる変速操作の開始時期を検出するため、或いはクラッチ断を開始するタイミングを決定するため、運転室のシフトレバーにおいて、レバーに対しシフトノブが僅かにシフト方向に揺動可能に取り付けられており、これらレバーとシフトノブとの間にノブスイッチ25が設けられている。そしてドライバによる変速操作時、レバーの動作に先立ってシフトノブが揺動すると、ノブスイッチ25がonとなり、これを合図にクラッチ断を開始するようになっている。具体的構成は特開平11−236931号公報に示されたものと同様である。
【0030】
また、本実施形態の動力伝達装置には、同公報に示されたような坂道発進補助装置(HSA;Hill Start Aid)が設けられており、その装置の手動on/offを行うため運転室にHSAスイッチ26が設けられ、HSAスイッチ26がECU16に接続されている。このHSAスイッチ26は本発明のトルク学習を開始する際のトリガスイッチを兼用するもので、本発明においてはHSA自体にあまり意味を持たない。
【0031】
次に、本実施形態に係る動力伝達装置の作動を説明する。
【0032】
この動力伝達装置では、エンジンEの動力を流体継手2、湿式多板クラッチ3、変速機T/Mという順で伝達する。ロックアップクラッチ7は原則として発進後の走行中は常にon(接)され、停車時のみoff(断)される。従って発進時は流体継手2のクリープを利用でき、摩擦クラッチを電子的に発進制御するものに比べ制御が簡単になると共に、走行中は流体継手2がロックアップされるのでスリップによるロスを防止できる。湿式多板クラッチ3は変速の度毎に断接される。これは通常のMT車と同様である。
【0033】
まず、車両発進時の作動を説明する。車両がギヤニュートラルで停止中、ドライバが発進しようとしてシフトレバーを発進段に操作しようとしたとする。するとシフトレバーにおいて、レバーの動作に先立ってシフトノブが揺動することによりノブスイッチ25がonされ、これを合図にクラッチ3が分断される。そして引き続きシフトレバーが操作されることによって変速機T/Mが発進段にギヤインされ、これがギヤポジションセンサ24によって検出されるとクラッチ3が接続される。この接続によってタービン5が駆動輪側から止められるので、タービン5に対しポンプ4が滑動し、クリープ力が発生するようになる。従って後はブレーキを離したりアクセルを踏み込んだりすれば車両が動き出すのである。
【0034】
次に、車両走行中の変速時の作動を説明する。車両が所定ギヤ段で走行中、ドライバが変速しようとしてシフトレバーを次の変速段に操作しようとしたとする。するとレバーの動作に先立ってシフトノブが揺動し、ノブスイッチ25がonされ、これを合図にクラッチ3が分断される。そして引き続きシフトレバーが操作されることによって変速機T/Mが次の変速段にギヤインされ、これがギヤポジションセンサ24によって検出されるとクラッチ3が接続される。これによって変速が完了する。この変速中ロックアップクラッチ7はonのままで、エンジン動力がそのままクラッチ3に伝達される。
【0035】
ところで、クラッチ3の接続は、完断からトルク点付近までは高速(急接)で行われ、トルク点付近からは低速(緩接)で行われる。このように接続速度が切り換えられることで、接続ショック低減と接続時間短縮の両立を図っている。
【0036】
そして、クラッチのつながり始めの位置、言い換えれば最初に所定トルクを伝達することができるポイントであるトルク点を把握しておくことは重要である。なぜならこのトルク点を基準として接続速度切換ポイントが定められるからである。
【0037】
トルク点は、クラッチ毎に個体差、バラツキがあり、一義的に定めることができない。本実施形態でいえば、図3に示すように、同じデューティパルスを与えてもクラッチトルク容量線図が矢印で示すようにずれるのが殆どである。従ってクラッチ毎或いは車両毎にトルク点を学習する必要がある。従来の乾式摩擦クラッチを制御するものでは、そのクラッチストロークによってトルク点を定めることができた。しかし、本発明のような湿式多板クラッチでは、元々ストロークという概念がないため、同様な手法を採れない。
【0038】
そこで、本発明では、ECU16自らが出力するデューティパルスのデューティ比の値をもってトルク点学習値としている。以下、これについて詳述する。
【0039】
図5は本発明に係るトルク点学習制御の内容を表すタイムチャートである。(a)はECU16が出力するデューティパルスを示し、(b)はそのデューティ比Dの変化の様子を示し、(c)は理解容易のため仮想的に湿式多板クラッチ3のクラッチストロークを示したものであり、(d)はエンジンEの回転数(エンジン回転数Ne)とタービン5の回転数(タービン回転数Nt)との変化の様子を示す。(a)に示すように、トルク学習制御の時間周期はΔtで、本実施形態ではΔt=20(msec)である。
【0040】
まず、時刻t1で所定の学習条件が成立したとする。このときデューティ比D=100(%)であり、クラッチは完断されている。従ってタービン5がポンプ4に連れ回り、タービン回転数Ntはエンジン回転数Neに一致する。この後、時刻t2で所定の学習開始条件が成立したら学習が開始される。最初は、デューティ比Dを比較的大きく接側に下げ、開始デューティD0=60(%)とする。これは学習時間の短縮のためである。もっとも、これによってクラッチがたとえバラツキがあっても目的とするトルク点に絶対到達しないように、開始デューティD0の値が定められている。つまりD=100〜60(%)は全てのクラッチにおける無効領域(遊び)といえるもので、このような無効領域分は一気につないでしまって学習時間を短縮しようというのがここでの狙いである。
【0041】
図3によれば、デューティ比Dが100(%)から60(%)になったところでトルク容量は0のままである。従ってこのような無効分は一気につないでしまうのが得策である。開始デューティD0は図示するような実験データに基づき予め定められる。
【0042】
次に、このような多目の接続を終えたら、周期毎の接続幅を少なくしてクラッチ接続速度を極端に落とす。即ち図5に示すように、周期毎のデューティ比の減少量をステップデューティDs(本実施形態では0.048(%))とし、各制御回毎にデューティ比DをDsずつ下げていく。
【0043】
このように少しずつクラッチを接続していくとタービン回転数Ntがエンジン回転数Neに対し落ち込んでいく。即ち、変速機のギヤが入った状態でその出力側がブレーキで止められているので、クラッチの出力側は回転できない。これに対し、ポンプ4は相変わらずエンジンEで駆動されている。従ってクラッチを接続していくと、クラッチの入力側即ちタービン5が止まろうとして回転数を徐々に下げていくと同時に、ポンプ4とタービン5との間の滑りが徐々に大きくなり、タービン回転数Ntがエンジン回転数Neに対し徐々に落ち込んでいく。
【0044】
よって、これら回転数の差ΔN=Ne−Ntが所定値Nmに達したとき、このときのデューティ比Dの値をトルク点学習値DmとしてECU16に学習するのである。本実施形態ではNm=300(rpm)である。より具体的には、ECU16が、デューティ比DをステップデューティDsずつ下げてクラッチをゆっくり接続していく過程で、エンジン回転センサ18によって検出されるエンジン回転数Neと、タービン回転センサ19によって検出されるタービン回転数Ntとの差ΔN=Ne−Ntが所定値Nm以上になったとき、このときECU16自らが送出しているデューティパルスのデューティ比Dの値を、トルク点学習値DmとしてECU16内のメモリに記憶するのである。
【0045】
また、学習は、回転差ΔNが所定値Nm以上になったことを検出してから所定時間待って行う。即ち、たとえΔN≧Nmを検出したとしても、それがノイズ等の影響で一時的なものである場合があり、このような場合にまで検出即学習を行ってしまうと不正確な学習値を記憶してしまい誤学習になると共に、以降のクラッチ制御に支障をきたす。また、検出即学習とすると、クラッチピストンの応答遅れにより真のトルク点より接側のデューティを学習してしまう虞があり、同様の問題が生じる。これに対し、極端にゆっくりデューティを減少させることでクラッチピストンの応答遅れは解消できるが、学習時間が長くなり実用上使い勝手が悪い上、クラッチのμが安定せず、真のトルク点より断側の値を学習してしまう虞がある。
【0046】
そこで、検出から一定時間待ってもなおΔN≧Nmが成立しているようであれば、その事実を正しいとみなし学習を行う。これにより信頼性の高い正確な学習値を記憶できるのである。
【0047】
具体的には、ΔN≧Nmを検出した時から、そのときのデューティ比Dの値を保持しつつ、通常の制御周期Δt=20(msec)より長い所定の待ち時間Δt1=1(sec)の経過を待ち、その待ち時間Δt1の経過時に再度ΔN≧Nmとなっていれば、保持していたデューティ値を学習値Dmとして記憶する。これは待ち時間Δt1の最初と最後とでΔN≧Nmとなっていれば学習を行うやり方である。これとは別に、待ち時間Δt1の間中常にΔN≧Nmとなっていれば学習を行うやり方もある。いずれにしても、学習は、タービン回転数Ntのエンジン回転数Neに対する所定回転数Nmの落ち込み検出時から、所定周期Δtより長い一定時間Δt1経過した後に行う。なお、ここでの待ち時間Δt1=1(sec)は例示であり、待ち時間の長さは適宜変更可能である。
【0048】
このようにトルク点学習値Dmの記憶を終えたら実質的に学習は終了し、この後クラッチを完断して全ての学習制御(学習モード)を終了する。
【0049】
図3を参照して、例えばデューティ比D=50(%)になったとき回転差ΔNが初めて所定値Nm以上になったとすると、このときのクラッチ3のトルク容量はTcm=約200(Nm)であり、これがトルク点ということになる。クラッチ等のバラツキによりトルク容量線図がずれても、トルク容量と回転差ΔNとが一義的な関係にあるため、同じ回転差Nmを示すデューティ比Dを検出してやれば、同じトルク容量Tcmを示すポイントが検出できる。これによりクラッチの個体差に拘わらず常に一定のトルク点を検出し、学習することができる。
【0050】
このように本発明によれば、湿式多板クラッチにおいてもトルク点を好適に学習することができ、クラッチ毎に異なるトルク点を正確に把握して接続速度切換等種々のクラッチ制御に利用できる。そしてクラッチやその制御装置等のバラツキ、個体差を吸収し、どの車両でも同じフィーリングで湿式多板クラッチを接続できるようになる。
【0051】
また、タービン回転数のエンジン回転数に対する所定回転数の落ち込み検出時から一定時間経過した後に学習を行うので、正確なトルク点を学習でき、信頼性が高まる。
【0052】
ところで、このようにトルク点を学習した後のクラッチ接続制御は以下の通りである。即ち、デューティ比D=100(%)のクラッチ断状態から、トルク点学習値Dmより僅かに断側の値(多い値)のデューティ比を、クラッチソレノイドバルブCSVに最初にいきなり与える。これを一発接制御という。これによりクラッチの無効分は急接され、接続時間短縮が図れる。そしてこの状態で所定時間待った後、少量のステップデューティずつデューティ比を減算していく。これによりクラッチが緩接され、クラッチ接続ショックが防止される。
【0053】
次に、図6を用いてトルク点学習制御の内容をより詳細に説明する。図6はクラッチ制御フェーズの移行を示した状態遷移図である。
【0054】
トルク点学習は、ドライバの意思によって任意に行うことができる。そしてドライバが学習を行いたいときには、まずドライバによりシフトレバーをニュートラル(N)に操作してもらう。本装置ではクラッチの通常制御においてギヤニュートラルのときクラッチ断、ギヤインのときクラッチ接となっているので、シフトレバーをNに操作することで自動的にクラッチが切られる。
【0055】
この状態を図6に示すクラッチ完断フェーズ101という。つまりこのときはECU16からデューティD0=100(%)が出力され、クラッチが完断される。
【0056】
次に、この状態から所定条件が成立すると学習モードに入り、学習完断フェーズ102に移行する。このときの移行条件T1は
▲1▼ 車両停止(車速=0km/h)
▲2▼ 変速機T/Mがニュートラル
▲3▼ エンジンEがアイドル回転数付近(Ne=300〜800rpm、なお本実施形態のアイドル回転数=600rpm)
▲4▼ パーキングブレーキ作動中
▲5▼ フットブレーキ作動中
の全てが満たされており、且つこの状態で
▲6▼ HSAスイッチ26がonされた
ことである。このフェーズにおいてもクラッチを完断し、つまりECU16からデューティD0=100(%)を出力し続け、クラッチの完断を維持する。なお、▲5▼の条件よりフットブレーキが踏み込まれていることから、アクセルは解放状態にあり、エンジンが極端に高いファーストアイドル運転をしていない限り、通常▲4▼の条件は満たされる。移行条件T1としては他の条件を適宜追加したりすることができる。
【0057】
図5における時刻t1の学習条件成立とは、まさに上記の移行条件T1が成立したことを意味する。図5において、時刻t1以前はクラッチ完断フェーズ101によってクラッチが完断されており、時刻t1以降は学習完断フェーズ102によってクラッチが完断されている。
【0058】
次に、この学習完断フェーズ102から移行条件T2が成立すると学習緩接フェーズ103に移行する。移行条件T2は
▲1▼ 変速機T/Mが2速にギヤインされた
ことである。つまり学習完断フェーズ102の状態からドライバが2速に変速操作すると、学習緩接フェーズ103に移行し、クラッチの接続が自動的に開始される。いわば2速への変速操作が学習開始の合図である。なおこの移行条件T2も他の条件への変更や他の条件の追加が適宜可能である。2速は例示であり、要はクラッチの出力側がブレーキで止められればよいので、ギヤは何速でもよいことになる。ただしいずれかのギヤ段にギヤインされることが条件である。本実施形態では2速発進が多用される車両(トラック等)なので、実際に近いという理由から学習も2速で行うようにしている。
【0059】
図5における時刻t2の学習開始条件成立とは、まさにこの移行条件T2が成立したことを意味する。図5にも示したように、学習緩接フェーズ103では、最初に開始デューティD0=60(%)をECU16から出力してクラッチを比較的大きく接し、その後制御回毎にデューティ比DをステップデューティDs=0.048(%)ずつ下げ、クラッチを少しずつ接していく。
【0060】
この学習緩接フェーズ103から移行条件T3が成立すると学習停止フェーズ104に移行する。移行条件T3は
▲1▼ エンジン回転数Neとタービン回転数Ntとの回転差ΔN=Ne−Ntが所定値Nm=300(rpm)以上になったこと
である。この学習停止フェーズ104では、▲1▼が満たされたときのデューティ比Dを上記待ち時間Δt1=1(sec)の間保持し、クラッチを現状に保持すると共に、待ち時間Δt1の経過と同時に再度▲1▼の条件が成立しているか否かを判断し、成立していたらそのデューティ比Dの値をとりあえず一旦ECU16に取り込む。そしてこの値が学習値として正常な値かどうかを所定条件と比較して判断し、正常ならばその値を新たな学習値Dmとして更新学習する。このとき既に記憶されている旧い学習値は削除される。
【0061】
なお、この移行条件T3についても▲1▼以外の条件を適宜採り入れることができる。▲1▼の条件は、エンジンがアイドル回転数=600(rpm)だとすれば
▲1▼’タービン回転数Ntがエンジン回転数Neの1/2以下になったことと言い換えることができる。また▲1▼の条件は
▲1▼”エンジン回転数Neが所定回転数落ち込んだとき
という条件に置き換えることもできる。その理由は、タービン回転数Ntの落ち込みによりそれに引きずられてエンジン回転数Neも落ち込むので、エンジン回転数Neの落ち込み具合を見ることによりトルク学習点を決定してもよいからである。例えばエンジン回転数Neの落ち込み量は50(rpm)に設定する。
【0062】
次に、この学習停止フェーズ104から移行条件T4が成立すると学習終了フェーズ105に移行する。移行条件T4は
▲1▼ トルク点学習値Dmの学習が正常に終了した
という条件の他、
▲2▼ 車両が動き出した(車速≠0km/h)
▲3▼ 1,3,5速側のノブスイッチがonになった
▲4▼ エンジン回転数がアイドル回転数付近以外になった(Ne<300rpm or >800rpm)
▲5▼ パーキングブレーキが非作動となった
▲6▼ フットブレーキが非作動となった
等のいずれかの条件が成立することである。特に▲2▼〜▲6▼は学習実行にふさわしくない状態であることを意味し、これら条件が成立したときには学習完断フェーズ102及び学習緩接フェーズ103のときであっても、学習終了フェーズ105に移行する。つまり学習完断フェーズ102及び学習緩接フェーズ103から学習終了フェーズ105への移行条件T6,T5はT4に等しい。このような学習実行に不適当な条件は他にも種々考えられる。
【0063】
学習終了フェーズ105では、ECU16からデューティD0=100(%)を出力してクラッチを完断する。そしてこの出力により移行条件T7が成立し、学習モードから抜け出て通常制御に戻り、制御停止モード106に至る。制御停止モード106では、デューティD0=100(%)を維持してクラッチ完断を維持するが、ギヤが2速に入っているのにクラッチが切れているという通常と異なる状況になる。しかしドライバがギヤをニュートラルにすることで通常通りの制御に復帰する。
【0064】
以上がトルク点学習制御の詳細であるが、次に、このようにして得られたトルク点学習値に基づいた、通常のクラッチ接制御の内容及び制御値の補正について説明する。
【0065】
図7はクラッチ接制御の内容を表すタイムチャートである。横軸は時間t、縦軸はECU16から出力されるデューティ比Dである。実線は補正前のベースとなる線図、破線は2パターンの補正後の線図(補正後1,2)である。
【0066】
まずベースにおいて通常のクラッチ接制御の内容を説明する。完断状態(D=100(%))から最初に出力する一発接デューティ即ち開始デューティDst0と、クラッチ緩接終了を決める終了デューティDed0と、制御周期毎の減少幅であるステップデューティDs0とが、予めECU16に記憶されたマップから選択される。マップは、車両の運転状態等を反映した各最適値が得られるよう予め試験等に基づき作成されている。またトルク点学習値のベース値が、Dtbとして予め定められECU16に記憶されている。ここで、ステップデューティDs0は、学習時のステップデューティDsより大きな値とされ、逆にいえば学習時は通常時よりゆっくりとクラッチ緩接を行う。通常時は全体の接続時間が1秒弱であるが、学習時は5〜6秒程度と長い時間をかけて接続を行う。
【0067】
通常のクラッチ接制御は、完断状態(D=100(%))から最初に開始デューティDst0を出力し、一発接を実行した後、デューティ比をステップデューティDs0ずつ下げ、半クラッチでの緩接を行う。そして終了デューティDed0に達したらD=0(%)を出力してクラッチを完接する、というものである。
【0068】
ところで、トルク点学習の実行により、トルク点学習値がベース値Dtbより小さいDlt1に更新されたとする(補正後1)。すると以下のように開始デューティと終了デューティとが補正され、デューティ線図は補正後1の破線で示されるようにベースの線図を接側に平行移動したものとなる。
【0069】
即ち、まず半クラッチ接範囲を規定する開始デューティDst0と終了デューティDed0との差ΔDse=Dst0−Ded0、及びトルク点学習値のベース値Dtbと更新値Dlt1との差A=Dtb−Dlt1(>0)を算出する。そして補正後の開始デューティDst1を式
Dst1=Dst0−A
に基づいて算出し、補正後の終了デューティDed1を式
Ded1=Dst1−ΔDse
に基づいて算出する。補正後1のクラッチ接制御は、これら開始デューティDst1と終了デューティDed1とを用いて実行されることになる。以降のクラッチ接制御も同様に、各制御回毎にマップから得られる開始デューティと終了デューティとのベース値を、トルク点学習値のベース値Dtbと更新値Dlt1との差Aに基づき補正してから用いる。
【0070】
補正後1はトルク点学習値の更新値Dlt1がベース値Dtbより小さくなった例であるが、補正後2は逆に更新値Dlt2がベース値Dtbより大きくなった例であり、線図もベースに対しデューティ大(断)側に移動する。
【0071】
この補正後2の場合も同様に、開始デューティDst0と終了デューティDed0との差ΔDse=Dst0−Ded0、及びトルク点学習値のベース値Dtbと更新値Dlt2との差B=Dtb−Dlt2(<0)を算出し、補正後開始デューティを式
Dst2=Dst0−B
に基づいて算出し、補正後終了デューティを式
Ded2=Dst2−ΔDse
に基づいて算出する。そして補正後2のクラッチ接制御はこれら開始デューティDst2と終了デューティDed2とを用いて実行される。以降のクラッチ接制御も、各制御回毎にマップから得られる開始デューティと終了デューティとのベース値を、トルク点学習値のベース値Dtbと更新値Dlt2との差Bに基づき補正してから用いる。
【0072】
なお、本発明の実施形態は上述のものに限られない。例えば学習方法として、図5に示したようなクラッチを緩接していく方法とは逆に、クラッチを緩断していく方法もある。この場合、図8に示すように、学習開始条件成立と同時に(時刻t2)クラッチを完接し、開始デューティD1(ここでは例えば40%)を出力して多目のクラッチ断を行った後、ステップデューティDsずつデューティ比Dを増大してクラッチを緩断していく。そしてその過程で、エンジン回転数Neとタービン回転数Ntとの回転差ΔNが所定値Nm以内になったことを検出したとき、その検出時から一定時間Δt1経過した後にトルク点学習値Dmを記憶する。
【0073】
本発明にいう湿式摩擦クラッチは上記実施形態では多板式であったが、例えば単板式でも構わない。また本発明にいう流体圧は上記実施形態では油圧であったが、例えば空圧等他の流体圧でも構わない。本発明にいう変速機は、上記実施形態では常時噛み合い式マニュアル変速機であったが、例えば常時噛み合い式自動変速機や、AT車のような遊星歯車式自動変速機でも構わない。エンジンもディーゼル、ガソリン等の種別を問わない。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、湿式多板クラッチにおけるトルク点学習時に、誤学習を防止できるという、優れた効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る車両の動力伝達装置を示すスケルトン図である。
【図2】本発明の実施形態に係る油圧供給装置を示す油圧回路図である。
【図3】本発明の実施形態に係る油圧供給装置の特性線図である。
【図4】本発明の実施形態に係る電子制御装置を示す構成図である。
【図5】本発明の実施形態に係るトルク点学習制御の内容を示すタイムチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係るクラッチ制御フェーズの移行を示した状態遷移図である。
【図7】本発明の実施形態に係る通常のクラッチ接制御の内容を表すタイムチャートである。
【図8】本発明の別の実施形態に係るトルク点学習制御の内容を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
2 流体継手
3 湿式多板クラッチ
16 電子コントロールユニット(ECU)
21 車速センサ
22 パーキングブレーキスイッチ
23 フットブレーキスイッチ
24 ギヤポジションセンサ
E エンジン
T/M 変速機
CSV クラッチソレノイドバルブ
CCV クラッチコントロールバルブ
D デューティ比
Dm トルク点学習値
Nt タービン回転数
Ne エンジン回転数
ΔN 回転差
Nm 所定値
Δt1 待ち時間
Claims (3)
- エンジンから変速機に至る動力伝達経路の途中であって、その上流側に流体継手を、下流側に湿式摩擦クラッチをそれぞれ直列に設け、上記湿式摩擦クラッチに作動流体圧を供給するための流体圧供給装置を設け、該流体圧供給装置から供給される流体圧を、電子コントロールユニットから出力されるデューティパルスのデューティ比に応じて変化させ、これにより上記湿式摩擦クラッチの断接状態を制御するようにした車両の動力伝達装置において、
上記湿式摩擦クラッチが断状態から接続されていくときに最初に所定トルクを伝達するトルク点を上記電子コントロールユニットに学習する際に、上記湿式摩擦クラッチの入力側の回転数と、上記エンジンの回転数とをそれぞれ検出しつつ、上記デューティ比を所定周期毎に所定値ずつ変化させていって上記湿式摩擦クラッチを断状態から徐々に接していき、その過程で上記湿式摩擦クラッチの入力側の回転数が上記エンジン回転数に対し所定回転数落ち込んだときから、そのときのデューティ比の値を保持しつつ、上記所定周期より長い一定時間の経過を待ち、その待ち時間経過時に再度上記湿式摩擦クラッチの入力側の回転数が上記エンジン回転数に対し所定回転数落ち込んでいれば、保持していた上記デューティ比の値をトルク点として学習することを特徴とするクラッチのトルク点学習方法。 - エンジンから変速機に至る動力伝達経路の途中であって、その上流側に流体継手を、下流側に湿式摩擦クラッチをそれぞれ直列に設け、上記湿式摩擦クラッチに作動流体圧を供給するための流体圧供給装置を設け、該流体圧供給装置から供給される流体圧を、電子コントロールユニットから出力されるデューティパルスのデューティ比に応じて変化させ、これにより上記湿式摩擦クラッチの断接状態を制御するようにした車両の動力伝達装置において、
上記湿式摩擦クラッチが断状態から接続されていくときに最初に所定トルクを伝達するトルク点を上記電子コントロールユニットに学習する際に、上記湿式摩擦クラッチの入力側の回転数と、上記エンジンの回転数とをそれぞれ検出しつつ、上記デューティ比を所定周期毎に所定値ずつ変化させていって上記湿式摩擦クラッチを接状態から徐々に断していき、その過程で上記湿式摩擦クラッチの入力側の回転数と上記エンジン回転数との差が所定回転数以内になったときから、そのときのデューティ比の値を保持しつつ、上記所定周期より長い一定時間の経過を待ち、その待ち時間経過時に再度上記湿式摩擦クラッチの入力側の回転数と上記エンジン回転数との差が所定回転数以内になっていれば、保持していた上記デューティ比の値をトルク点として学習することを特徴とするクラッチのトルク点学習方法。 - 上記トルク点学習の開始条件が、車両停止、パーキングブレーキ作動中、フットブレーキ作動中、且つ変速機ギヤインという条件を含む請求項1又は2記載のクラッチのトルク点学習方法。
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