JP2002286123A - クラッチのトルク点学習方法 - Google Patents

クラッチのトルク点学習方法

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JP2002286123A
JP2002286123A JP2001090481A JP2001090481A JP2002286123A JP 2002286123 A JP2002286123 A JP 2002286123A JP 2001090481 A JP2001090481 A JP 2001090481A JP 2001090481 A JP2001090481 A JP 2001090481A JP 2002286123 A JP2002286123 A JP 2002286123A
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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 湿式多板クラッチにおけるトルク点学習時に
誤学習を防止する。 【解決手段】 エンジンから変速機に至る途中に流体継
手と湿式摩擦クラッチとを直列に設け、湿式摩擦クラッ
チに供給される作動流体圧をECUから出力されるデュ
ーティパルスに応じて変化させ、これによりクラッチの
断接状態を制御する車両の動力伝達装置において、クラ
ッチが断状態から接続されていくときに最初に所定トル
クを伝達するトルク点をECUに学習する際に、クラッ
チの入力側回転数Ntとエンジン回転数Neとを検出し
つつクラッチを徐々に接していき、その過程でクラッチ
の入力側回転数Ntがエンジン回転数Neに対し所定回
転数Nm落ち込んだとき、そのときのディーティ比の値
Dmをトルク点として学習する。学習は、回転数落ち込
み検出時から一定時間Δt1経過した後に行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はクラッチのトルク点
学習方法に係り、特に車両の動力伝達系に湿式摩擦クラ
ッチを用いた場合に、そのトルク点を好適に学習できる
ようにした学習方法に関する。
【0002】
【従来の技術】車両の動力伝達装置において、エンジン
から変速機に至る動力伝達経路の途中に、流体継手(ト
ルクコンバータを含む)と湿式摩擦クラッチとをそれぞ
れ直列に設け、変速時に湿式摩擦クラッチを自動的に断
接するものがある。この場合、車両停止中にギヤイン操
作されると、この後クラッチが自動接続され、クリープ
が発生する。この点通常のAT車と同様である。
【0003】クラッチの接続は、早すぎるとクラッチ接
続ショック(所謂ガレージショック等)が生じ、遅すぎ
るとギヤイン操作からクリープ発生までに時間がかか
り、ドライバがいつアクセルを踏み込んでよいのか分か
らなくなる(タイムラグ大)。そこでこのようなクラッ
チ接続ショックと接続時間短縮との両立を図るため、ク
ラッチがつながり始めるまでの遊び領域はクラッチを急
接し、クラッチがつながり始めたら接続速度を切り換え
てゆっくりつなぐ、という制御が行われている。
【0004】このクラッチのつながり始めの位置、言い
換えれば最初に所定トルクを伝達することができるトル
ク伝達開始点をトルク点と称し、このトルク点をコント
ロールユニットに学習して接続速度切換のポイントに利
用するなど、トルク点はクラッチ制御における重要な役
割を占めている。トルク点を学習値とするのは、クラッ
チに製造誤差等に起因するバラツキないし個体差があ
り、クラッチ毎にトルク点が異なるからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
トルク点学習に関し、従来は乾式摩擦クラッチにおい
て、最初に所定トルクを伝達するクラッチストロークの
値を検出し、その値をトルク点として学習していた。
【0006】しかし、湿式摩擦クラッチの場合、油中で
クラッチプレートが常時滑っており、クラッチピストン
でプレート同士を押し付け合うことでトルク伝達が達成
されるため、元々ストロークという概念がない。またク
ラッチピストンがストロークするもののそのストローク
量は微小である(例えば2mm程度)。従って乾式と同様
にクラッチピストンのストロークを検出して学習値とす
る方法は採用できない。
【0007】また、湿式摩擦クラッチでは、クラッチピ
ストンに付加される油圧を検出するという方法も考えら
れる。しかし、油圧センサは高価な上に、構造上の理由
から油圧検出は困難である。また油圧脈動が大きく検出
値自体の信頼性に問題があると共に、同じ油圧値に対し
て必ずしも同じトルクが伝達されているわけではないと
いう個体差バラツキの問題もある。従ってこの方法も採
用できない。
【0008】そこで、本発明者らは、クラッチ制御に用
いるデューティパルスのデューティ比の値をもってトル
ク点の値とすることを新たに見出した。即ち、湿式摩擦
クラッチはコントロールユニットから出力されるデュー
ティパルスに応じて制御されるが、クラッチがトルク点
に到達したと思われる所定条件が整ったとき、このとき
コントロールユニット自らが出力しているデューティパ
ルスのデューティ比の値をトルク点として学習するので
ある。
【0009】しかし、ここで次のような問題が生じた。
即ち、上記所定条件が整ったとしても、それがノイズ等
の影響で一時的なものである場合があり、このような場
合にまで学習を行ってしまうと不正確な学習値を記憶し
てしまい、誤学習となってしまう点である。
【0010】そこで、以上の問題に鑑みて本発明は創案
され、その目的は湿式摩擦クラッチにおけるトルク点学
習時の誤学習を防止することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係るクラッチの
トルク点学習方法は、エンジンから変速機に至る動力伝
達経路の途中であって、その上流側に流体継手を、下流
側に湿式摩擦クラッチをそれぞれ直列に設け、上記湿式
摩擦クラッチに作動流体圧を供給するための流体圧供給
装置を設け、この流体圧供給装置から供給される流体圧
を、電子コントロールユニットから出力されるデューテ
ィパルスのデューティ比に応じて変化させ、これにより
上記湿式摩擦クラッチの断接状態を制御するようにした
車両の動力伝達装置において、上記湿式摩擦クラッチが
断状態から接続されていくときに最初に所定トルクを伝
達するトルク点を上記電子コントロールユニットに学習
する際に、上記湿式摩擦クラッチの入力側の回転数と、
上記エンジンの回転数とをそれぞれ検出しつつ、上記デ
ューティ比を所定周期毎に所定値ずつ変化させていって
上記湿式摩擦クラッチを断状態から徐々に接していき、
その過程で上記湿式摩擦クラッチの入力側の回転数が上
記エンジン回転数に対し所定回転数落ち込んだとき、そ
のときの上記デューティ比の値をトルク点として学習す
るようにし、且つ、その学習を、上記所定回転数の落ち
込み検出時から上記所定周期より長い一定時間経過した
後に行うものである。
【0012】また、本発明に係るクラッチのトルク点学
習方法は、エンジンから変速機に至る動力伝達経路の途
中であって、その上流側に流体継手を、下流側に湿式摩
擦クラッチをそれぞれ直列に設け、上記湿式摩擦クラッ
チに作動流体圧を供給するための流体圧供給装置を設
け、この流体圧供給装置から供給される流体圧を、電子
コントロールユニットから出力されるデューティパルス
のデューティ比に応じて変化させ、これにより上記湿式
摩擦クラッチの断接状態を制御するようにした車両の動
力伝達装置において、上記湿式摩擦クラッチが断状態か
ら接続されていくときに最初に所定トルクを伝達するト
ルク点を上記電子コントロールユニットに学習する際
に、上記湿式摩擦クラッチの入力側の回転数と、上記エ
ンジンの回転数とをそれぞれ検出しつつ、上記デューテ
ィ比を所定周期毎に所定値ずつ変化させていって上記湿
式摩擦クラッチを接状態から徐々に断していき、その過
程で上記湿式摩擦クラッチの入力側の回転数と上記エン
ジン回転数との差が所定回転数以内になったとき、その
ときの上記デューティ比の値をトルク点として学習する
ようにし、且つ、その学習を、上記回転差が所定回転数
以内になったことを検出した時から上記所定周期より長
い一定時間経過した後に行うものである。
【0013】ここで、上記トルク点学習の開始条件が、
車両停止、パーキングブレーキ作動中、フットブレーキ
作動中、且つ変速機ギヤインという条件を含むのが好ま
しい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適実施形態を添
付図面に基いて説明する。
【0015】図1は本実施形態における車両の動力伝達
装置を示す。図示するように、エンジンEには、クラッ
チ機構1を介して変速機T/Mが接続されている。クラ
ッチ機構1は流体継手(フルードカップリング)2と湿
式多板クラッチ3とからなる。流体継手2は、エンジン
Eから変速機T/Mに至る動力伝達経路の途中であって
その上流側に設けられ、湿式多板クラッチ3は同下流側
に直列に設けられる。なおここでいう流体継手とはトル
クコンバータを含む広い概念であり、現に本実施形態に
おいてもトルクコンバータを用いている。
【0016】流体継手2は、エンジンの出力軸(クラン
ク軸)に接続されたポンプ4と、ポンプ4に対向されク
ラッチ3の入力側に接続されたタービン5と、タービン
5とポンプ4との間に介設されたステータ6と、ポンプ
4とタービン5との締結・切離を行うロックアップクラ
ッチ7とを有する。湿式多板クラッチ3は、その入力側
が入力軸3aを介してタービン5に接続され、出力側が
変速機T/Mの入力軸8に接続され、流体継手2と変速
機T/Mとの間を断接するものである。
【0017】変速機T/Mは、入力軸8と、これと同軸
に配置された出力軸9と、これらに平行に配置された副
軸10とを有する。入力軸8には、入力主ギヤ11が設
けられている。出力軸9には、1速主ギヤM1と、2速
主ギヤM2と、3速主ギヤM3と、4速主ギヤM4と、
リバース主ギヤMRとが夫々軸支されていると共に、6
速主ギヤM6が固設されている。副軸10には、入力主
ギヤ11に噛合する入力副ギヤ12と、1速主ギヤM1
に噛合する1速副ギヤC1と、2速主ギヤM2に噛合す
る2速副ギヤC2と、3速主ギヤM3に噛合する3速副
ギヤC3と、4速主ギヤM4に噛合する4速副ギヤC4
と、リバース主ギヤMRにアイドルギヤIRを介して噛
合するリバース副ギヤCRとが固設されていると共に、
6速主ギヤM6に噛合する6速副ギヤC6が軸支されて
いる。
【0018】この変速機T/Mによれば、出力軸9に固
定されたハブH/R1にスプライン噛合されたスリーブ
S/R1を、リバース主ギヤMRのドグDRにスプライ
ン噛合すると、出力軸9がリバース回転し、上記スリー
ブS/R1を1速主ギヤM1のドグD1にスプライン噛
合すると、出力軸9が1速相当で回転する。そして、出
力軸9に固定されたハブH/23にスプライン噛合され
たスリーブS/23を、2速主ギヤM2のドグD2にス
プライン噛合すると、出力軸9が2速相当で回転し、上
記スリーブS/23を3速主ギヤM3のドグD3にスプ
ライン噛合すると、出力軸9が3速相当で回転する。
【0019】そして、出力軸9に固定されたハブH/4
5にスプライン噛合されたスリーブS/45を、4速主
ギヤM4のドグD4にスプライン噛合すると、出力軸9
が4速相当で回転し、上記スリーブS/45を入力主ギ
ヤ11のドグD5にスプライン噛合すると、出力軸9が
5速相当(直結)で回転する。そして、副軸10に固定
されたハブH6にスプライン噛合されたスリーブS6
を、6速副ギヤC6のドグD6にスプライン噛合する
と、出力軸9が6速相当で回転する。上記各スリーブ
は、図示しないシフトフォークおよびシフトロッドを介
して、運転室内のシフトレバーによってマニュアル操作
される。
【0020】湿式多板クラッチ3は通常の構成である。
即ち、図示省略するが、オイルが満たされたクラッチケ
ーシング内で、入力側と出力側とにそれぞれ複数枚ずつ
互い違いにクラッチプレートがスプライン噛合され、こ
れらクラッチプレート同士をクラッチピストンにより押
し付け合い、或いは解放して、クラッチの接続・分断を
行うものである。図2を参照して、クラッチピストン2
7はクラッチスプリング28により常に断側に付勢され
ると共に、これを上回る油圧がクラッチピストン27に
付加されたときクラッチ3が締結される。クラッチ締結
力ないしクラッチのトルク容量は与えられる油圧に応じ
て増大される。
【0021】次に、湿式多板クラッチ3に作動油圧を供
給するための油圧供給装置について説明する。図2に示
すように、オイルタンク13のオイルがろ過器14を介
して油圧ポンプOPにより吸引吐出されると共に、その
吐出圧がリリーフバルブ15により調整され、一定のラ
イン圧PLが作られる。このライン圧PLのオイルを圧
力(減圧)制御してクラッチ3に送り込むわけだが、こ
のためクラッチコントロールバルブCCVとクラッチソ
レノイドバルブCSVという二つのバルブを用いてい
る。即ち、メインの油圧ラインに接続されたクラッチコ
ントロールバルブCCVを、クラッチソレノイドバルブ
CSVから送られてくるパイロット油圧Ppに応じて開
閉させるという、パイロット操作型油圧制御方式を採用
している。そしてパイロット油圧Ppの大きさが、電子
コントロールユニット(以下ECUという)16から出
力されるディーティパルスのデューティ比Dに応じて変
化される。
【0022】即ち、クラッチソレノイドバルブCSVは
電磁ソレノイドを有した電磁弁であり、無段階で開閉可
能であると共に、常にライン圧PLが供給されている。
そしてECU16から出力されたディーティパルスを受
け取り、そのデューティ比Dに応じた量だけ弁体を開放
させる。これによりクラッチソレノイドバルブCSVは
デューティ比Dに応じたパイロット油圧Ppを出力する
ことになる。
【0023】クラッチコントロールバルブCCVは、パ
イロット油圧Ppに基づき無段階で開閉作動されるスプ
ール弁であり、これ自体は電子制御されない。即ちパイ
ロット油圧Ppの大きさに応じて内蔵スプールを開放側
にストロークさせ、これによりライン圧PLを適宜調整
しクラッチ圧Pcとしてクラッチ3に送り込む。こうし
て、結果的に、クラッチ3に供給される油圧がECU1
6によりデューティ制御されることとなる。
【0024】なお、クラッチソレノイドバルブCSVと
クラッチコントロールバルブCCVとを結ぶ経路の途中
にアキュムレータ17が設けられる。
【0025】図3に油圧供給装置の特性線図を示す。横
軸は、ECU16から出力されるディーティパルスのデ
ューティ比Dであり、より詳しくは所定の制御周期(本
実施形態では20msec)におけるソレノイドon時間の割合
を示すonデューティ比である。本実施形態では、デュー
ティ比Dが0(%)のときクラッチが完接されるようにし
てある。これは電気系統の故障等でクラッチソレノイド
バルブCSVに何等通電されなくなったようなとき(所
謂offスタックの状態)にも、クラッチを接続状態とし
て、なんとか車両の走行を維持できるようにするためで
ある。
【0026】図示するように、デューティ比Dが大ほど
断、小ほど接である。デューティ比Dの値が小さくなる
につれ、クラッチコントロールバルブCCVから出力さ
れるパイロット油圧Ppの値が比例的に増加し、これに
伴ってクラッチに供給される油圧即ちクラッチ圧Pc
と、クラッチ3のトルク容量Tcとが比例的に増加する
傾向を示す。なおクラッチコントロールバルブCCVの
バルブ開度Vは図示上は3ポジションであるが、実際上
は全開、全閉以外の中間開度(バルブ開度0mm)でスプ
ール弁が微小ストロークし、クラッチ圧Pcを連続的に
変更できるものである。
【0027】本実施形態にはロックアップクラッチ7の
制御系も存在するが、ここでは本発明に直接関係ないた
め説明を省略する。その油圧制御系の構成は湿式多板ク
ラッチ3の油圧制御系と大略同様である。
【0028】次に、動力伝達装置を電子制御するための
電子制御装置を図4を用いて説明する。前述のECU1
6にはクラッチソレノイドバルブCSVの他、本装置を
電子制御するために様々なスイッチやセンサが接続され
ている。これにはエンジン回転数を検出するためのエン
ジン回転センサ18、クラッチ3の入力側の回転数即ち
タービン5の回転数を検出するためのタービン回転セン
サ19、変速機T/Mの回転数、代表的には入力副ギヤ
12の回転数を検出するための変速機回転センサ20、
及び車速を検出するための車速センサ21が含まれる。
これらのセンサは図1にも示される。また、パーキング
ブレーキが作動中か否かを検出するためのパーキングブ
レーキスイッチ22、フットブレーキが作動中か否かを
検出するためのフットブレーキスイッチ23、及び変速
機のギヤポジションを検出するためのギヤポジションセ
ンサ24も含まれる。
【0029】また、ECU16にはノブスイッチ25も
接続されている。即ち、本実施形態ではドライバによる
変速操作の開始時期を検出するため、或いはクラッチ断
を開始するタイミングを決定するため、運転室のシフト
レバーにおいて、レバーに対しシフトノブが僅かにシフ
ト方向に揺動可能に取り付けられており、これらレバー
とシフトノブとの間にノブスイッチ25が設けられてい
る。そしてドライバによる変速操作時、レバーの動作に
先立ってシフトノブが揺動すると、ノブスイッチ25が
onとなり、これを合図にクラッチ断を開始するようにな
っている。具体的構成は特開平11−236931号公
報に示されたものと同様である。
【0030】また、本実施形態の動力伝達装置には、同
公報に示されたような坂道発進補助装置(HSA;Hill Star
t Aid)が設けられており、その装置の手動on/offを行う
ため運転室にHSAスイッチ26が設けられ、HSAス
イッチ26がECU16に接続されている。このHSA
スイッチ26は本発明のトルク学習を開始する際のトリ
ガスイッチを兼用するもので、本発明においてはHSA
自体にあまり意味を持たない。
【0031】次に、本実施形態に係る動力伝達装置の作
動を説明する。
【0032】この動力伝達装置では、エンジンEの動力
を流体継手2、湿式多板クラッチ3、変速機T/Mとい
う順で伝達する。ロックアップクラッチ7は原則として
発進後の走行中は常にon(接)され、停車時のみoff
(断)される。従って発進時は流体継手2のクリープを
利用でき、摩擦クラッチを電子的に発進制御するものに
比べ制御が簡単になると共に、走行中は流体継手2がロ
ックアップされるのでスリップによるロスを防止でき
る。湿式多板クラッチ3は変速の度毎に断接される。こ
れは通常のMT車と同様である。
【0033】まず、車両発進時の作動を説明する。車両
がギヤニュートラルで停止中、ドライバが発進しようと
してシフトレバーを発進段に操作しようとしたとする。
するとシフトレバーにおいて、レバーの動作に先立って
シフトノブが揺動することによりノブスイッチ25がon
され、これを合図にクラッチ3が分断される。そして引
き続きシフトレバーが操作されることによって変速機T
/Mが発進段にギヤインされ、これがギヤポジションセ
ンサ24によって検出されるとクラッチ3が接続され
る。この接続によってタービン5が駆動輪側から止めら
れるので、タービン5に対しポンプ4が滑動し、クリー
プ力が発生するようになる。従って後はブレーキを離し
たりアクセルを踏み込んだりすれば車両が動き出すので
ある。
【0034】次に、車両走行中の変速時の作動を説明す
る。車両が所定ギヤ段で走行中、ドライバが変速しよう
としてシフトレバーを次の変速段に操作しようとしたと
する。するとレバーの動作に先立ってシフトノブが揺動
し、ノブスイッチ25がonされ、これを合図にクラッチ
3が分断される。そして引き続きシフトレバーが操作さ
れることによって変速機T/Mが次の変速段にギヤイン
され、これがギヤポジションセンサ24によって検出さ
れるとクラッチ3が接続される。これによって変速が完
了する。この変速中ロックアップクラッチ7はonのまま
で、エンジン動力がそのままクラッチ3に伝達される。
【0035】ところで、クラッチ3の接続は、完断から
トルク点付近までは高速(急接)で行われ、トルク点付
近からは低速(緩接)で行われる。このように接続速度
が切り換えられることで、接続ショック低減と接続時間
短縮の両立を図っている。
【0036】そして、クラッチのつながり始めの位置、
言い換えれば最初に所定トルクを伝達することができる
ポイントであるトルク点を把握しておくことは重要であ
る。なぜならこのトルク点を基準として接続速度切換ポ
イントが定められるからである。
【0037】トルク点は、クラッチ毎に個体差、バラツ
キがあり、一義的に定めることができない。本実施形態
でいえば、図3に示すように、同じデューティパルスを
与えてもクラッチトルク容量線図が矢印で示すようにず
れるのが殆どである。従ってクラッチ毎或いは車両毎に
トルク点を学習する必要がある。従来の乾式摩擦クラッ
チを制御するものでは、そのクラッチストロークによっ
てトルク点を定めることができた。しかし、本発明のよ
うな湿式多板クラッチでは、元々ストロークという概念
がないため、同様な手法を採れない。
【0038】そこで、本発明では、ECU16自らが出
力するデューティパルスのデューティ比の値をもってト
ルク点学習値としている。以下、これについて詳述す
る。
【0039】図5は本発明に係るトルク点学習制御の内
容を表すタイムチャートである。(a)はECU16が出
力するデューティパルスを示し、(b)はそのデューティ
比Dの変化の様子を示し、(c)は理解容易のため仮想的
に湿式多板クラッチ3のクラッチストロークを示したも
のであり、(d)はエンジンEの回転数(エンジン回転数
Ne)とタービン5の回転数(タービン回転数Nt)と
の変化の様子を示す。(a)に示すように、トルク学習制
御の時間周期はΔtで、本実施形態ではΔt=20(msec)
である。
【0040】まず、時刻t1で所定の学習条件が成立し
たとする。このときデューティ比D=100(%)であり、ク
ラッチは完断されている。従ってタービン5がポンプ4
に連れ回り、タービン回転数Ntはエンジン回転数Ne
に一致する。この後、時刻t2で所定の学習開始条件が
成立したら学習が開始される。最初は、デューティ比D
を比較的大きく接側に下げ、開始デューティD0=60
(%)とする。これは学習時間の短縮のためである。もっ
とも、これによってクラッチがたとえバラツキがあって
も目的とするトルク点に絶対到達しないように、開始デ
ューティD0の値が定められている。つまりD=100〜6
0(%)は全てのクラッチにおける無効領域(遊び)といえ
るもので、このような無効領域分は一気につないでしま
って学習時間を短縮しようというのがここでの狙いであ
る。
【0041】図3によれば、デューティ比Dが100(%)か
ら60(%)になったところでトルク容量は0のままであ
る。従ってこのような無効分は一気につないでしまうの
が得策である。開始デューティD0は図示するような実
験データに基づき予め定められる。
【0042】次に、このような多目の接続を終えたら、
周期毎の接続幅を少なくしてクラッチ接続速度を極端に
落とす。即ち図5に示すように、周期毎のデューティ比
の減少量をステップデューティDs(本実施形態では0.
048(%))とし、各制御回毎にデューティ比DをDsずつ
下げていく。
【0043】このように少しずつクラッチを接続してい
くとタービン回転数Ntがエンジン回転数Neに対し落
ち込んでいく。即ち、変速機のギヤが入った状態でその
出力側がブレーキで止められているので、クラッチの出
力側は回転できない。これに対し、ポンプ4は相変わら
ずエンジンEで駆動されている。従ってクラッチを接続
していくと、クラッチの入力側即ちタービン5が止まろ
うとして回転数を徐々に下げていくと同時に、ポンプ4
とタービン5との間の滑りが徐々に大きくなり、タービ
ン回転数Ntがエンジン回転数Neに対し徐々に落ち込
んでいく。
【0044】よって、これら回転数の差ΔN=Ne−N
tが所定値Nmに達したとき、このときのデューティ比
Dの値をトルク点学習値DmとしてECU16に学習す
るのである。本実施形態ではNm=300(rpm)である。よ
り具体的には、ECU16が、デューティ比Dをステッ
プデューティDsずつ下げてクラッチをゆっくり接続し
ていく過程で、エンジン回転センサ18によって検出さ
れるエンジン回転数Neと、タービン回転センサ19に
よって検出されるタービン回転数Ntとの差ΔN=Ne
−Ntが所定値Nm以上になったとき、このときECU
16自らが送出しているデューティパルスのデューティ
比Dの値を、トルク点学習値DmとしてECU16内の
メモリに記憶するのである。
【0045】また、学習は、回転差ΔNが所定値Nm以
上になったことを検出してから所定時間待って行う。即
ち、たとえΔN≧Nmを検出したとしても、それがノイ
ズ等の影響で一時的なものである場合があり、このよう
な場合にまで検出即学習を行ってしまうと不正確な学習
値を記憶してしまい誤学習になると共に、以降のクラッ
チ制御に支障をきたす。また、検出即学習とすると、ク
ラッチピストンの応答遅れにより真のトルク点より接側
のデューティを学習してしまう虞があり、同様の問題が
生じる。これに対し、極端にゆっくりデューティを減少
させることでクラッチピストンの応答遅れは解消できる
が、学習時間が長くなり実用上使い勝手が悪い上、クラ
ッチのμが安定せず、真のトルク点より断側の値を学習
してしまう虞がある。
【0046】そこで、検出から一定時間待ってもなおΔ
N≧Nmが成立しているようであれば、その事実を正し
いとみなし学習を行う。これにより信頼性の高い正確な
学習値を記憶できるのである。
【0047】具体的には、ΔN≧Nmを検出した時か
ら、そのときのデューティ比Dの値を保持しつつ、通常
の制御周期Δt=20(msec)より長い所定の待ち時間Δt
1=1(sec)の経過を待ち、その待ち時間Δt1の経過
時に再度ΔN≧Nmとなっていれば、保持していたデュ
ーティ値を学習値Dmとして記憶する。これは待ち時間
Δt1の最初と最後とでΔN≧Nmとなっていれば学習
を行うやり方である。これとは別に、待ち時間Δt1の
間中常にΔN≧Nmとなっていれば学習を行うやり方も
ある。いずれにしても、学習は、タービン回転数Ntの
エンジン回転数Neに対する所定回転数Nmの落ち込み
検出時から、所定周期Δtより長い一定時間Δt1経過
した後に行う。なお、ここでの待ち時間Δt1=1(se
c)は例示であり、待ち時間の長さは適宜変更可能であ
る。
【0048】このようにトルク点学習値Dmの記憶を終
えたら実質的に学習は終了し、この後クラッチを完断し
て全ての学習制御(学習モード)を終了する。
【0049】図3を参照して、例えばデューティ比D=
50(%)になったとき回転差ΔNが初めて所定値Nm以上
になったとすると、このときのクラッチ3のトルク容量
はTcm=約200(Nm)であり、これがトルク点というこ
とになる。クラッチ等のバラツキによりトルク容量線図
がずれても、トルク容量と回転差ΔNとが一義的な関係
にあるため、同じ回転差Nmを示すデューティ比Dを検
出してやれば、同じトルク容量Tcmを示すポイントが
検出できる。これによりクラッチの個体差に拘わらず常
に一定のトルク点を検出し、学習することができる。
【0050】このように本発明によれば、湿式多板クラ
ッチにおいてもトルク点を好適に学習することができ、
クラッチ毎に異なるトルク点を正確に把握して接続速度
切換等種々のクラッチ制御に利用できる。そしてクラッ
チやその制御装置等のバラツキ、個体差を吸収し、どの
車両でも同じフィーリングで湿式多板クラッチを接続で
きるようになる。
【0051】また、タービン回転数のエンジン回転数に
対する所定回転数の落ち込み検出時から一定時間経過し
た後に学習を行うので、正確なトルク点を学習でき、信
頼性が高まる。
【0052】ところで、このようにトルク点を学習した
後のクラッチ接続制御は以下の通りである。即ち、デュ
ーティ比D=100(%)のクラッチ断状態から、トルク点学
習値Dmより僅かに断側の値(多い値)のデューティ比
を、クラッチソレノイドバルブCSVに最初にいきなり
与える。これを一発接制御という。これによりクラッチ
の無効分は急接され、接続時間短縮が図れる。そしてこ
の状態で所定時間待った後、少量のステップデューティ
ずつデューティ比を減算していく。これによりクラッチ
が緩接され、クラッチ接続ショックが防止される。
【0053】次に、図6を用いてトルク点学習制御の内
容をより詳細に説明する。図6はクラッチ制御フェーズ
の移行を示した状態遷移図である。
【0054】トルク点学習は、ドライバの意思によって
任意に行うことができる。そしてドライバが学習を行い
たいときには、まずドライバによりシフトレバーをニュ
ートラル(N)に操作してもらう。本装置ではクラッチ
の通常制御においてギヤニュートラルのときクラッチ
断、ギヤインのときクラッチ接となっているので、シフ
トレバーをNに操作することで自動的にクラッチが切ら
れる。
【0055】この状態を図6に示すクラッチ完断フェー
ズ101という。つまりこのときはECU16からデュ
ーティD0=100(%)が出力され、クラッチが完断され
る。
【0056】次に、この状態から所定条件が成立すると
学習モードに入り、学習完断フェーズ102に移行す
る。このときの移行条件T1は 車両停止(車速=0km/h) 変速機T/Mがニュートラル エンジンEがアイドル回転数付近(Ne=300〜800
rpm、なお本実施形態のアイドル回転数=600rpm) パーキングブレーキ作動中 フットブレーキ作動中 の全てが満たされており、且つこの状態で HSAスイッチ26がonされた ことである。このフェーズにおいてもクラッチを完断
し、つまりECU16からデューティD0=100(%)を出
力し続け、クラッチの完断を維持する。なお、の条件
よりフットブレーキが踏み込まれていることから、アク
セルは解放状態にあり、エンジンが極端に高いファース
トアイドル運転をしていない限り、通常の条件は満た
される。移行条件T1としては他の条件を適宜追加した
りすることができる。
【0057】図5における時刻t1の学習条件成立と
は、まさに上記の移行条件T1が成立したことを意味す
る。図5において、時刻t1以前はクラッチ完断フェー
ズ101によってクラッチが完断されており、時刻t1
以降は学習完断フェーズ102によってクラッチが完断
されている。
【0058】次に、この学習完断フェーズ102から移
行条件T2が成立すると学習緩接フェーズ103に移行
する。移行条件T2は 変速機T/Mが2速にギヤインされた ことである。つまり学習完断フェーズ102の状態から
ドライバが2速に変速操作すると、学習緩接フェーズ1
03に移行し、クラッチの接続が自動的に開始される。
いわば2速への変速操作が学習開始の合図である。なお
この移行条件T2も他の条件への変更や他の条件の追加
が適宜可能である。2速は例示であり、要はクラッチの
出力側がブレーキで止められればよいので、ギヤは何速
でもよいことになる。ただしいずれかのギヤ段にギヤイ
ンされることが条件である。本実施形態では2速発進が
多用される車両(トラック等)なので、実際に近いとい
う理由から学習も2速で行うようにしている。
【0059】図5における時刻t2の学習開始条件成立
とは、まさにこの移行条件T2が成立したことを意味す
る。図5にも示したように、学習緩接フェーズ103で
は、最初に開始デューティD0=60(%)をECU16か
ら出力してクラッチを比較的大きく接し、その後制御回
毎にデューティ比DをステップデューティDs=0.048
(%)ずつ下げ、クラッチを少しずつ接していく。
【0060】この学習緩接フェーズ103から移行条件
T3が成立すると学習停止フェーズ104に移行する。
移行条件T3は エンジン回転数Neとタービン回転数Ntとの回転
差ΔN=Ne−Ntが所定値Nm=300(rpm)以上になっ
たこと である。この学習停止フェーズ104では、が満たさ
れたときのデューティ比Dを上記待ち時間Δt1=1(s
ec)の間保持し、クラッチを現状に保持すると共に、待
ち時間Δt1の経過と同時に再度の条件が成立してい
るか否かを判断し、成立していたらそのデューティ比D
の値をとりあえず一旦ECU16に取り込む。そしてこ
の値が学習値として正常な値かどうかを所定条件と比較
して判断し、正常ならばその値を新たな学習値Dmとし
て更新学習する。このとき既に記憶されている旧い学習
値は削除される。
【0061】なお、この移行条件T3についても以外
の条件を適宜採り入れることができる。の条件は、エ
ンジンがアイドル回転数=600(rpm)だとすれば ’タービン回転数Ntがエンジン回転数Neの1/2
以下になったことと言い換えることができる。またの
条件は ”エンジン回転数Neが所定回転数落ち込んだとき という条件に置き換えることもできる。その理由は、タ
ービン回転数Ntの落ち込みによりそれに引きずられて
エンジン回転数Neも落ち込むので、エンジン回転数N
eの落ち込み具合を見ることによりトルク学習点を決定
してもよいからである。例えばエンジン回転数Neの落
ち込み量は50(rpm)に設定する。
【0062】次に、この学習停止フェーズ104から移
行条件T4が成立すると学習終了フェーズ105に移行
する。移行条件T4は トルク点学習値Dmの学習が正常に終了したという
条件の他、 車両が動き出した(車速≠0km/h) 1,3,5速側のノブスイッチがonになった エンジン回転数がアイドル回転数付近以外になった
(Ne<300rpm or>800rpm) パーキングブレーキが非作動となった フットブレーキが非作動となった 等のいずれかの条件が成立することである。特に〜
は学習実行にふさわしくない状態であることを意味し、
これら条件が成立したときには学習完断フェーズ102
及び学習緩接フェーズ103のときであっても、学習終
了フェーズ105に移行する。つまり学習完断フェーズ
102及び学習緩接フェーズ103から学習終了フェー
ズ105への移行条件T6,T5はT4に等しい。この
ような学習実行に不適当な条件は他にも種々考えられ
る。
【0063】学習終了フェーズ105では、ECU16
からデューティD0=100(%)を出力してクラッチを完断
する。そしてこの出力により移行条件T7が成立し、学
習モードから抜け出て通常制御に戻り、制御停止モード
106に至る。制御停止モード106では、デューティ
D0=100(%)を維持してクラッチ完断を維持するが、ギ
ヤが2速に入っているのにクラッチが切れているという
通常と異なる状況になる。しかしドライバがギヤをニュ
ートラルにすることで通常通りの制御に復帰する。
【0064】以上がトルク点学習制御の詳細であるが、
次に、このようにして得られたトルク点学習値に基づい
た、通常のクラッチ接制御の内容及び制御値の補正につ
いて説明する。
【0065】図7はクラッチ接制御の内容を表すタイム
チャートである。横軸は時間t、縦軸はECU16から
出力されるデューティ比Dである。実線は補正前のベー
スとなる線図、破線は2パターンの補正後の線図(補正
後1,2)である。
【0066】まずベースにおいて通常のクラッチ接制御
の内容を説明する。完断状態(D=100(%))から最初に
出力する一発接デューティ即ち開始デューティDst0
と、クラッチ緩接終了を決める終了デューティDed0
と、制御周期毎の減少幅であるステップデューティDs
0とが、予めECU16に記憶されたマップから選択さ
れる。マップは、車両の運転状態等を反映した各最適値
が得られるよう予め試験等に基づき作成されている。ま
たトルク点学習値のベース値が、Dtbとして予め定め
られECU16に記憶されている。ここで、ステップデ
ューティDs0は、学習時のステップデューティDsよ
り大きな値とされ、逆にいえば学習時は通常時よりゆっ
くりとクラッチ緩接を行う。通常時は全体の接続時間が
1秒弱であるが、学習時は5〜6秒程度と長い時間をか
けて接続を行う。
【0067】通常のクラッチ接制御は、完断状態(D=
100(%))から最初に開始デューティDst0を出力し、
一発接を実行した後、デューティ比をステップデューテ
ィDs0ずつ下げ、半クラッチでの緩接を行う。そして
終了デューティDed0に達したらD=0(%)を出力して
クラッチを完接する、というものである。
【0068】ところで、トルク点学習の実行により、ト
ルク点学習値がベース値Dtbより小さいDlt1に更
新されたとする(補正後1)。すると以下のように開始
デューティと終了デューティとが補正され、デューティ
線図は補正後1の破線で示されるようにベースの線図を
接側に平行移動したものとなる。
【0069】即ち、まず半クラッチ接範囲を規定する開
始デューティDst0と終了デューティDed0との差
ΔDse=Dst0−Ded0、及びトルク点学習値の
ベース値Dtbと更新値Dlt1との差A=Dtb−D
lt1(>0)を算出する。そして補正後の開始デュー
ティDst1を式 Dst1=Dst0−A に基づいて算出し、補正後の終了デューティDed1を
式 Ded1=Dst1−ΔDse に基づいて算出する。補正後1のクラッチ接制御は、こ
れら開始デューティDst1と終了デューティDed1
とを用いて実行されることになる。以降のクラッチ接制
御も同様に、各制御回毎にマップから得られる開始デュ
ーティと終了デューティとのベース値を、トルク点学習
値のベース値Dtbと更新値Dlt1との差Aに基づき
補正してから用いる。
【0070】補正後1はトルク点学習値の更新値Dlt
1がベース値Dtbより小さくなった例であるが、補正
後2は逆に更新値Dlt2がベース値Dtbより大きく
なった例であり、線図もベースに対しデューティ大
(断)側に移動する。
【0071】この補正後2の場合も同様に、開始デュー
ティDst0と終了デューティDed0との差ΔDse
=Dst0−Ded0、及びトルク点学習値のベース値
Dtbと更新値Dlt2との差B=Dtb−Dlt2
(<0)を算出し、補正後開始デューティを式 Dst2=Dst0−B に基づいて算出し、補正後終了デューティを式 Ded2=Dst2−ΔDse に基づいて算出する。そして補正後2のクラッチ接制御
はこれら開始デューティDst2と終了デューティDe
d2とを用いて実行される。以降のクラッチ接制御も、
各制御回毎にマップから得られる開始デューティと終了
デューティとのベース値を、トルク点学習値のベース値
Dtbと更新値Dlt2との差Bに基づき補正してから
用いる。
【0072】なお、本発明の実施形態は上述のものに限
られない。例えば学習方法として、図5に示したような
クラッチを緩接していく方法とは逆に、クラッチを緩断
していく方法もある。この場合、図8に示すように、学
習開始条件成立と同時に(時刻t2)クラッチを完接
し、開始デューティD1(ここでは例えば40%)を出力
して多目のクラッチ断を行った後、ステップデューティ
Dsずつデューティ比Dを増大してクラッチを緩断して
いく。そしてその過程で、エンジン回転数Neとタービ
ン回転数Ntとの回転差ΔNが所定値Nm以内になった
ことを検出したとき、その検出時から一定時間Δt1経
過した後にトルク点学習値Dmを記憶する。
【0073】本発明にいう湿式摩擦クラッチは上記実施
形態では多板式であったが、例えば単板式でも構わな
い。また本発明にいう流体圧は上記実施形態では油圧で
あったが、例えば空圧等他の流体圧でも構わない。本発
明にいう変速機は、上記実施形態では常時噛み合い式マ
ニュアル変速機であったが、例えば常時噛み合い式自動
変速機や、AT車のような遊星歯車式自動変速機でも構
わない。エンジンもディーゼル、ガソリン等の種別を問
わない。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、湿
式多板クラッチにおけるトルク点学習時に、誤学習を防
止できるという、優れた効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る車両の動力伝達装置を
示すスケルトン図である。
【図2】本発明の実施形態に係る油圧供給装置を示す油
圧回路図である。
【図3】本発明の実施形態に係る油圧供給装置の特性線
図である。
【図4】本発明の実施形態に係る電子制御装置を示す構
成図である。
【図5】本発明の実施形態に係るトルク点学習制御の内
容を示すタイムチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係るクラッチ制御フェーズ
の移行を示した状態遷移図である。
【図7】本発明の実施形態に係る通常のクラッチ接制御
の内容を表すタイムチャートである。
【図8】本発明の別の実施形態に係るトルク点学習制御
の内容を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
2 流体継手 3 湿式多板クラッチ 16 電子コントロールユニット(ECU) 21 車速センサ 22 パーキングブレーキスイッチ 23 フットブレーキスイッチ 24 ギヤポジションセンサ E エンジン T/M 変速機 CSV クラッチソレノイドバルブ CCV クラッチコントロールバルブ D デューティ比 Dm トルク点学習値 Nt タービン回転数 Ne エンジン回転数 ΔN 回転差 Nm 所定値 Δt1 待ち時間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 59:54 F16H 59:54 63:20 63:20 Fターム(参考) 3J552 MA04 MA12 MA13 NA01 NB01 PA51 PA54 RB02 SA26 SA30 TA12 TB07 VA32W VA34W VA42W VA62W VB01W VC01W VD11W

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンから変速機に至る動力伝達経路
    の途中であって、その上流側に流体継手を、下流側に湿
    式摩擦クラッチをそれぞれ直列に設け、上記湿式摩擦ク
    ラッチに作動流体圧を供給するための流体圧供給装置を
    設け、該流体圧供給装置から供給される流体圧を、電子
    コントロールユニットから出力されるデューティパルス
    のデューティ比に応じて変化させ、これにより上記湿式
    摩擦クラッチの断接状態を制御するようにした車両の動
    力伝達装置において、 上記湿式摩擦クラッチが断状態から接続されていくとき
    に最初に所定トルクを伝達するトルク点を上記電子コン
    トロールユニットに学習する際に、上記湿式摩擦クラッ
    チの入力側の回転数と、上記エンジンの回転数とをそれ
    ぞれ検出しつつ、上記デューティ比を所定周期毎に所定
    値ずつ変化させていって上記湿式摩擦クラッチを断状態
    から徐々に接していき、その過程で上記湿式摩擦クラッ
    チの入力側の回転数が上記エンジン回転数に対し所定回
    転数落ち込んだとき、そのときの上記デューティ比の値
    をトルク点として学習するようにし、且つ、その学習
    を、上記所定回転数の落ち込み検出時から上記所定周期
    より長い一定時間経過した後に行うことを特徴とするク
    ラッチのトルク点学習方法。
  2. 【請求項2】 エンジンから変速機に至る動力伝達経路
    の途中であって、その上流側に流体継手を、下流側に湿
    式摩擦クラッチをそれぞれ直列に設け、上記湿式摩擦ク
    ラッチに作動流体圧を供給するための流体圧供給装置を
    設け、該流体圧供給装置から供給される流体圧を、電子
    コントロールユニットから出力されるデューティパルス
    のデューティ比に応じて変化させ、これにより上記湿式
    摩擦クラッチの断接状態を制御するようにした車両の動
    力伝達装置において、 上記湿式摩擦クラッチが断状態から接続されていくとき
    に最初に所定トルクを伝達するトルク点を上記電子コン
    トロールユニットに学習する際に、上記湿式摩擦クラッ
    チの入力側の回転数と、上記エンジンの回転数とをそれ
    ぞれ検出しつつ、上記デューティ比を所定周期毎に所定
    値ずつ変化させていって上記湿式摩擦クラッチを接状態
    から徐々に断していき、その過程で上記湿式摩擦クラッ
    チの入力側の回転数と上記エンジン回転数との差が所定
    回転数以内になったとき、そのときの上記デューティ比
    の値をトルク点として学習するようにし、且つ、その学
    習を、上記回転差が所定回転数以内になったことを検出
    した時から上記所定周期より長い一定時間経過した後に
    行うことを特徴とするクラッチのトルク点学習方法。
  3. 【請求項3】 上記トルク点学習の開始条件が、車両停
    止、パーキングブレーキ作動中、フットブレーキ作動
    中、且つ変速機ギヤインという条件を含む請求項1又は
    2記載のクラッチのトルク点学習方法。
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