JP3890961B2 - 動力伝達装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンに流体継手と変速クラッチとを介して変速機を連結した動力伝達装置に係り、特に、冷間始動時にエンストを回避しつつ変速機の油温を上昇(暖機)させるようにした動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1に示すように、本発明者等は、先に、エンジンEから変速機T/Mに至る動力伝達経路の途中に流体継手2と変速クラッチ3(湿式摩擦式)とを直列に介設し、変速時に変速クラッチ3を自動的に断接するようにした車両用の動力伝達装置1を開発した。この動力伝達装置1は、変速機T/Mの変速中には変速クラッチ3を切ることで変速を可能とし、変速終了後に変速クラッチ3を繋ぐことでエンジンEの動力を車輪に伝達して発進・走行する。本システムでは、変速クラッチ3の断接制御は、運転室内のシフトレバーに設けたノブスイッチの作動によって行われる。すなわち、変速クラッチ3は、運転中は原則として接されており、運転者がシフトレバーを握って変速操作をする際にノブスイッチがオンされると断される。
【0003】
このシステムでは、停車中、変速機T/Mがニュートラル状態のとき運転者がシフトレバーを変速操作しない場合には変速クラッチ3が接となっていたが、このニュートラル状態から素早い変速操作が行われると、シフトレバーの操作によってノブスイッチがオンされても種々の不可避な応答遅れによって直ちに変速クラッチ3が断されるわけではなくタイムラグが生じるため、変速クラッチ3が完全に断される前にギヤ変速が開始される可能性があり、変速操作が重くなったり、引っ掛かり感が発生したりするという問題が発生した。また、変速機T/Mがニュートラル状態のときに変速クラッチ3を接していると、カウンタシャフト10が回転するため変速機2内のメインギヤM1、M2、M3、M4等とカウンタギヤC1、C2、C3、C4等とのバックラッシによる歯打ち音(変速機T/Mのガラ音)が発生するという問題もあった。
【0004】
そこで、本発明者等は、変速機T/Mがニュートラル状態のときには、車両の走行・停止に拘わらず、変速クラッチ3を断として待機するようにし、前段で述べた問題(素早いシフト操作時の引っ掛かり感等)を回避したものを開発した。このシステムでは、変速機T/Mがニュートラル状態であることを検出したとき、変速クラッチ3を断状態に保持する。例えば、変速機T/Mがニュートラル状態での停車中や、走行中の変速途中で変速機T/Mがニュートラル状態となったとき、変速クラッチ3を断とする。
【0005】
ところが、このように変速機T/Mがニュートラル状態のときに常に変速クラッチ3を断していると、変速機T/M内のカウンタシャフト10およびカウンタギヤC1、C2、C3、C4等が回転しないため、冷間時には変速機T/M内部のオイルOの温度がなかなか上昇しないという問題が生じた。オイルOが低温であると、粘度が高いために見かけ上の摩擦係数が低下し、変速操作時におけるシンクロ操作力が大きくなる。従って、オイルOが所定温度に達するまで変速操作力が大きくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明者等は、変速機T/Mがニュートラル状態でも、変速機T/MのオイルOの温度が低い場合には油温の上昇(暖機)促進を目的に変速クラッチ3を接し、変速機T/M内のシャフト10およびギヤC1、C2、C3、C4等を回転させ、オイルOを攪拌して暖機促進させるようにしたものを創案した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、低温状態でのエンジン始動時などエンジンEがかかり難い状況で、エンジン始動直後から変速クラッチ3を接してしまうと、変速機T/M内の低温のオイルOの粘性によって変速機T/M内部の回転抵抗が増加しているため、その回転抵抗に負けてエンジンEがエンストするという問題が生じた。かといって、変速クラッチ3を断のままとすると、オイルOの暖機を促進できない。
【0008】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、冷間始動時にエンストを回避しつつ変速機のオイルの温度を上昇(暖機)できる動力伝達装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明は、エンジンにより作動される流体継手と、該流体継手に入力部が連結された変速クラッチと、該変速クラッチの出力部に連結された変速機と、上記変速クラッチを断接作動するクラッチ作動手段と、上記変速機の油温を検出する油温検出手段と、上記変速機について運転者によりニュートラルが選択されたときそれを検出するニュートラル検出手段と、上記クラッチ作動手段を制御するコントローラとを備え、該コントローラは、上記エンジンの始動時に、上記変速機がニュートラルで上記油温が所定温度以下のとき、上記変速クラッチを切って上記変速機内部の回転抵抗がエンジンに伝わらないようにした状態を所定時間保った後、上記変速クラッチを繋いで上記変速機をニュートラル状態で回転させて上記油温の上昇を図り、上記エンジンの始動時に上記変速機がギヤイン状態であるとき、上記油温の高低に拘わらず上記変速クラッチを直ちに繋いで発進に対応するようにしたものである。
【0010】
また、上記所定時間は、上記変速クラッチを繋いだときエンジンが変速機内部の回転抵抗によってエンストすること無く回転維持可能となる時間に設定されることが好ましい。
【0011】
また、上記油温検出手段は、流体継手の作動油温度またはエンジンの冷却水温度に基づき変速機の油温を間接的に検出するものであってもよい。
【0012】
また、上記コントローラは、エンジン始動時に、上記変速機がニュートラルで且つ上記油温が所定温度以下の場合には、上記変速クラッチを切った状態を所定時間保った後、エンジンが回転していることを条件に上記変速クラッチを繋ぐように上記クラッチ作動手段を制御するものであってもよい。
【0013】
また、上記コントローラは、上記油温検出手段で検出された油温の低・高に応じて、上記所定時間を長・短と変更するものであってもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を添付図面に基いて説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る車両用の動力伝達装置1の概要を示すものである。図示するように、エンジンEと変速機T/Mとの間には、流体継手2(フルードカップリング)と変速クラッチ3(湿式多板クラッチ)とが直列に介設されている。流体継手2は、トルクコンバータを含む広い概念であり、本実施形態ではトルクコンバータを用いている。
【0017】
流体継手2は、エンジンEの出力部(クランク軸)に接続されたポンプ4と、ポンプ4に対向され変速クラッチ3の入力部3aに接続されたタービン5と、タービン5とポンプ4との間に介設されたステータ6と、ポンプ4とタービン5との締結・切離を行うロックアップクラッチ7とを有する。
【0018】
変速クラッチ3は、その入力側が入力軸3aを介して流体継手2のタービン5に接続され、出力側が変速機T/Mの入力軸8に接続されており、流体継手2と変速機T/Mとの間を断接するものである。変速クラッチ3には、通常の湿式多クラッチが用いられている。すなわち、変速クラッチ3は、オイルが満たされたクラッチケーシング内で入力側(3a)と出力側(8)とにそれぞれ複数枚ずつ互い違いにクラッチプレートがスプライン噛合されており、これらクラッチプレート同士をクラッチピストンにより押し付け合い或いは解放することで、接続・分断を行う。図2を参照すると、クラッチピストン27はクラッチスプリング28により常に断側に付勢されると共に、これを上回る油圧がクラッチピストン27に付加されたときクラッチ3が接続される。
【0019】
変速機T/Mは、図1に示すように、入力軸8と、これと同軸に配置された出力軸9と、これらに平行に配置された副軸10とを有する。入力軸8には、入力主ギヤ11が設けられている。出力軸9には、1速主ギヤM1と、2速主ギヤM2と、3速主ギヤM3と、4速主ギヤM4と、リバース主ギヤMRとが夫々軸支されていると共に、6速主ギヤM6が固設されている。副軸10には、入力主ギヤ11に噛合する入力副ギヤ12と、1速主ギヤM1に噛合する1速副ギヤC1と、2速主ギヤM2に噛合する2速副ギヤC2と、3速主ギヤM3に噛合する3速副ギヤC3と、4速主ギヤM4に噛合する4速副ギヤC4と、リバース主ギヤMRにアイドルギヤIRを介して噛合するリバース副ギヤCRとが固設されていると共に、6速主ギヤM6に噛合する6速副ギヤC6が軸支されている。
【0020】
この変速機T/Mによれば、出力軸9に固設されたハブH/R1にスプライン噛合されたスリーブS/R1を、リバース主ギヤMRのドグDRにスプライン噛合すると、出力軸9がリバース回転し、上記スリーブS/R1を1速主ギヤM1のドグD1にスプライン噛合すると、出力軸9が1速相当で回転する。そして、出力軸9に固設されたハブH/23にスプライン噛合されたスリーブS/23を、2速主ギヤM2のドグD2にスプライン噛合すると、出力軸9が2速相当で回転し、上記スリーブS/23を3速主ギヤM3のドグD3にスプライン噛合すると、出力軸9が3速相当で回転する。
【0021】
そして、出力軸9に固設されたハブH/45にスプライン噛合されたスリーブS/45を、4速主ギヤM4のドグD4にスプライン噛合すると、出力軸9が4速相当で回転し、上記スリーブS/45を入力主ギヤ11のドグD5にスプライン噛合すると、出力軸9が5速相当(直結)で回転する。そして、副軸10に固設されたハブH6にスプライン噛合されたスリーブS6を、6速副ギヤC6のドグD6にスプライン噛合すると、出力軸9が6速相当で回転する。上記各スリーブS/R1、S/23、S/45、S/6は、図示しないシフトフォークおよびシフトロッドを介して、運転室内のシフトレバーによってマニュアル操作される。
【0022】
次に、変速クラッチ3を作動制御するクラッチ作動手段29を、図2を用いて説明する。図示するように、オイルタンク13内のオイルは、濾過器14を介して油圧ポンプOPにより吸引吐出され、その吐出圧がリリーフバルブ15により調圧され、一定のライン圧PLとなる。このライン圧PLのオイルを圧力(減圧)制御して変速クラッチ3に送り込むわけだが、このためにクラッチコントロールバルブCCVとクラッチソレノイドバルブCSVという2つのバルブを用いている。
【0023】
すなわち、メインの油圧ラインに接続されたクラッチコントロールバルブCCVを、クラッチソレノイドバルブCSVから送られてくるパイロット油圧Ppに応じて開閉制御するという、パイロット操作型油圧制御方式を採用している。なお、クラッチソレノイドバルブCSVとクラッチコントロールバルブCCVとを接続する経路の途中には、アキュームレータ17が介設されている。
【0024】
クラッチソレノイドバルブCSVは、電磁ソレノイドを有した開閉電磁弁(オンオフ弁)であり、常にライン圧PLが供給されており、コントローラ16(ECU)から出力されたデューティーパルスを受け、そのデューティー(デューティー比)に応じて弁体を素早く開閉し、模式的に開度調節する。これにより、クラッチソレノイドバルブCSVは、デューティー比に応じたパイロット油圧Ppを出力する。
【0025】
クラッチコントロールバルブCCVは、パイロット油圧Ppに基づき無段階で作動されるスプール弁であり、これ自体は電子制御されない。すなわち、パイロット油圧Ppの大きさに応じて内蔵スプールを開放側にストロークさせ、これによりライン圧PLを適宜調整してクラッチ圧Pcとして変速クラッチ3に送り込む。こうして、結果的に、変速クラッチ3に供給される油圧PcがECU16によってデューティー制御される。
【0026】
具体的には、変速クラッチ3に供給される油圧Pcが、クラッチ3を断方向に付勢するクラッチスプリング28の付勢力より大きいと、その油圧Pcによってクラッチピストン27が図中右方に移動されてクラッチ3が接され、さもなければクラッチピストン27がクラッチスプリング28により図中左方に押されてクラッチ3が断される。また、接と断との間には、デューティー比を細かく変化させてクラッチピストン27への供給油圧Pcを微妙に制御することで、変速クラッチ3の半クラッチ状態を実現できる。
【0027】
また、ECU16からクラッチソレノイドバルブCSVへのデューティーパルス出力がない場合(デューティー比=0)には、クラッチソレノイドバルブCSVの弁体がバネ30によって連通方向に移動され、ライン圧PLがそのままパイロット油圧PpとしてクラッチコントロールバルブCCVに供給されるため、クラッチコントロールバルブCCVの弁体(スプール)がバネ31に打ち勝って連通方向に移動される。この結果、変速クラッチ3にはライン圧PLがそのままクラッチ圧Pcとして供給され、クラッチピストン27が図中右方に移動されて変速クラッチ3が接とされる。ECU16からクラッチソレノイドバルブCSVへの電気回路に故障が生じたときでも、変速クラッチ3を接状態として車両の走行を確保するためである。
【0028】
ECU16には、図3に示すように、変速機T/M内部のオイルOの温度を検出する油温センサ32(図1参照)、運転室内のシフトレバーの把持部に設けられレバー操作時にオンされるノブスイッチ33、変速機T/Mのギヤポジションをニュートラルを含めて検出するギヤポジションセンサ34、エンジンEの回転を検出するエンジン回転センサ35等、各種センサの出力が入力される。ECU16は、これらセンサからの入力信号に応じて、適宜クラッチソレノイドバルブCSVへデューティーパルス出力を送信し、変速クラッチ3を断接制御する。
【0029】
油温センサ32は、図1に示すように、変速機T/Mのオイルパン36の底部に設けられ貯留されたオイルOの温度を直接検出するものでもよいが、変速機T/Mのオイルギャラリに設けてもよく、また、流体継手2の作動油温度またはエンジンEの冷却水温度に基づき変速機T/MのオイルOの温度を間接的に検出するものでもよい。油温センサ32によって検出されたオイルOの温度に応じた変速クラッチ3の断接制御については後述する。
【0030】
ノブスイッチ33は、シフトレバーの頂部とその頂部にシフト方向に僅かに揺動可能に取り付けられたシフトノブとの間に、介設されている。そして、運転者による変速操作時に、シフトレバーの動作に先立ってシフトノブが揺動するとノブスイッチ33がオンになり、これを合図に変速クラッチ3の断を開始する。ギヤ変速(各スリーブSのドグDへの係合)を可能にするためである。なお、各スリーブSには、通常の変速機と同様に所謂シンクロ機構が備えられている。
【0031】
ギヤポジションセンサ34は、変速機T/Mのケース上部内面に取り付けられており、各スリーブSを移動させるシフトロッドの位置を検出することでニュートラルを含めたギヤポジションを検出するものであり、特許請求の範囲のニュートラル検出手段に相当する。ギヤポジションセンサ34が変速機T/Mのニュートラルを検出したときは、停車中・走行中に拘わらずこれを合図に変速クラッチ3の断を開始する。
【0032】
何故なら、仮にニュートラル状態のときに変速クラッチ3が接されていると、既述のように、停車中にニュートラルから素早いシフトレバーの操作が行われた場合、ノブスイッチがオンされても変速クラッチ3は種々の不可避な応答遅れ(油圧遅れ等)により直ちに断されるわけではなく、タイムラグが生じるため、変速クラッチ3が完全に断される前にギヤ変速が開始される可能性があり、変速操作が重くなったり、引っ掛かり感が発生したりするからである。
【0033】
本実施形態に係る動力伝達装置の作動を説明する。
【0034】
この動力伝達装置1では、エンジンEの出力を流体継手2、変速クラッチ3、変速機T/Mの順で伝達する。流体継手2のロックアップクラッチ7は、原則として発進後の走行中は常に接され、停車時のみ断される。よって、発進時には流体継手2のクリープを利用できる。また、変速クラッチ3は、既述のように、変速の度毎に、ノブスイッチのオンを合図に断され、変速終了後に接される。
【0035】
先ず、発進時の作動を説明する。エンジンEの始動後の車両停車中、変速機T/Mがニュートラルであると、ギヤポジションセンサ34がニュートラルであることを出力するため、変速クラッチ3が断されている。ここで、運転者が発進しようとしてシフトレバーを発進段に操作すると、シフトレバーの操作によって変速機T/Mが発進段にギヤインされ、これがギヤポジションセンサ34によって検出されると、変速クラッチ3が接される。これによって、流体継手2のタービン5に対してポンプ4が滑動し、クリープ力が発生し、車両の発進が可能となる。
【0036】
次に、車両走行中の変速時の作動を説明する。車両が所定ギヤ段で走行中、運転者が変速しようとしてシフトレバーを次の変速段に操作したとする。すると、シフトレバーの移動に先立って、シフトノブが揺動し、ノブスイッチ33がオンされ、これを合図に変速クラッチ3が断される。次いで、シフトレバーが移動されることによって変速機T/Mが次の変速段にギヤインされ、これがギヤポジションセンサ34によって検出されると、変速クラッチ3が接され、変速が終了する。なお、変速中、ロックアップクラッチ7は原則として接のままである。
【0037】
次に、エンジンEの冷寒始動時の作動を説明する。変速機T/Mのオイルパン36に貯留されたオイルOは、エンジンEの運転中に変速クラッチ3が接されている場合、副軸10および各副ギヤC1〜C6等に掻き上げられ、各ギヤC1〜C6および各スリーブSのシンクロ機構を潤滑する。ここで、オイルOは、温度が低いと粘度が高く見かけ上の摩擦係数が低下し、変速操作時のシンクロ操作力が増大し、操作に引っ掛かり感が生じる。従って、寒冷時にはなるべく早くオイルパン36内のオイルOを攪拌するなどしてその温度を上昇(暖機)させる必要がある。
【0038】
しかし、上述したようにギヤポジションセンサ34が変速機T/Mのニュートラルを検出したときに変速クラッチ3を断するのでは、エンジンEが始動しても副軸10が回転することはなく、オイルパン36内のオイルOが副軸10および各副ギヤC1等によって攪拌されることはなく、オイルOの暖機が進まない。かといって、低温状態でのエンジンEの始動時などエンジンEがかかり難い状況で、オイルOを暖機する目的でエンジン始動直後から変速クラッチ3を接すると、変速機T/M内の低温のオイルOによって変速機T/M内部の回転抵抗が増加しているため、その回転抵抗に負けてエンジンEがエンストする可能性がある。
【0039】
そこで、本実施形態では、エンジンEの始動時に、ギヤポジションセンサ34が変速機T/Mがニュートラルであることを検出し、油温センサ32によって検出されたオイルOの温度が所定温度(例えばセッ氏20度)以下の場合には、変速クラッチ3を所定時間(例えば5秒)切った後に繋ぐようにした。上記所定時間は、変速クラッチ3を繋いだときエンジンEが変速機T/M内部の回転抵抗によってエンストすること無く回転維持可能となる時間に設定されている。
【0040】
これにより、低温状態でのエンジンE始動時においても、エンストを回避しつつ変速機T/MのオイルOの油温を上昇(暖機)できる。すなわち、オイルOの油温が所定温度(例えば20度)以下の場合には、エンジンEの始動時には変速クラッチ3が断されているため、変速機T/Mの回転抵抗がエンジンEに加わることはなく、エンジンEの始動がその回転抵抗によって妨げられることはない。この状態は、エンジンEの始動時から所定時間(例えば5秒)継続される。よって、エンジンEの始動性が確保される。
【0041】
次いで、その所定時間(例えば5秒)経過後、エンジン回転センサ35がエンジンEの回転を検出していることを条件に、変速クラッチ3が接されて副軸10が回転され、オイルパン36内のオイルOが副軸10や各副ギヤC1等によって攪拌されて暖機される。このとき、エンジンEは始動後ある程度時間が経過して既に回転維持可能な状態となっているため、低温時の不安定なアイドル状態であっても、変速機T/Mの回転抵抗に負けてエンストすることはない。この結果、冷間時におけるエンジンEの始動性と変速機T/MのオイルOの暖機促進とを両立できるのである。
【0042】
具体的には、エンジンEの停止中には、油圧は発生しないため、図2に示すECU16がクラッチソレノイドバルブCSVを開弁作動しても、ライン圧PLが発生してない以上パイロット圧Ppも零であり、クラッチコントロールバルブCCVを開弁することができない。また、仮にクラッチコントロールバルブCCVを開弁できたとしても、ライン圧PLが発生してない以上、クラッチピストン27をクラッチスプリング28に抗して接側に移動させることはできない。よって、エンジンEの停止中は、クラッチピストン27がクラッチスプリング28によって断側に移動されて、変速クラッチ3が断となっている。
【0043】
この状態で、エンジンEが始動されると、始動時にエンジンEが回転し始めると同期してオイルポンプOPが始動されるため、ライン圧PLが徐々に上昇し、このとき仮にECU16がクラッチソレノイドバルブCSVを開弁作動していれば、徐々にパイロット圧Ppが立ち上がってクラッチコントロールバルブCCVが開弁され、これに伴い変速クラッチ3が接され、変速機T/Mの副軸10が回転されることになる。このとき、変速機T/MのオイルOの温度が低いと、その回転抵抗によりエンジンEがエンストし易い。
【0044】
そこで、本実施形態では、低温時(例えばオイル温度20度以下)には、エンジンEの始動性を考慮し、変速クラッチ3を所定時間(例えば5秒)断することで、変速機T/Mの内部の負荷トルクを切り、低温時のエンジンEの始動性を向上させているのである。また、所定時間(例えば5秒)経過後には、エンジンEが回転していることを条件に、変速クラッチ3が接されるので、その後、変速機T/Mのオイルパン36内のオイルOは、副軸10や各副ギヤC1等によって攪拌され、暖機促進されるのである。
【0045】
すなわち、本実施形態では、ECU16は、エンジンEの停止中には、変速機T/Mのギヤ段およびオイルOの温度に拘わらず変速クラッチ3の断制御を行う。そして、変速機T/MのオイルOの温度が所定温度(例えば20度)以下のエンジン始動時には、エンジンEが始動した時点ですぐには暖機モード(変速クラッチ3を接して副軸10および副ギヤC1等でオイルOを掻き上げるモード)に入らず、最初は変速クラッチ3を断しておき、その後、所定時間(例えば5秒)経過してエンジンEが回転していれば変速クラッチ3を接にして暖機モードに移行するのである。
【0046】
なお、上記所定温度(20度)および所定時間(5秒)は、あくまで例示であり、他の数値であってもよい(例えば0度、10秒等)。また、オイルOの検出温度(所定温度)の低・高に応じて、エンジンE始動時から変速クラッチ3を繋ぐまでのディレイ時間(所定時間)を長・短と変更するようにしてもよい。例えば、オイル検出温度が0度のときディレイ時間を10秒とするのであれば、オイル検出温度が−5度のときディレイ時間を15秒とする等である。
【0047】
また、上記ディレイ時間は、エンジンEの始動時から起算されるが、このエンジン始動時とは、キー穴に差し込まれた運転キーが捻られてスタータスイッチがオンされた時や、その後運転キーが捻り戻されてスタータスイッチがリターンされた時や、エンジンEがクランキング始めた時や、エンジンEが完爆した時、等が基準となり得る。
【0050】
また、本実施形態では、ギヤポジションセンサ34が変速機T/Mがギヤイン状態であることを検出したときには、変速機T/MのオイルOの温度が所定温度(例えば20度)以下であっても、変速クラッチ3を繋ぐようにしている。変速クラッチ3を接にしなければ発進・走行できないからであり、低温始動直後に緊急発進する必要がある場合も考えられるからである。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る動力伝達装置によれば、冷間始動時にエンストを回避しつつ変速機の油温を上昇(暖機)できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る動力伝達装置の概要図である。
【図2】上記動力伝達装置の変速クラッチを作動するための油圧回路図である。
【図3】上記動力伝達装置のコントローラとしてのECUを示す説明図である。
【符号の説明】
1 動力伝達装置
2 流体継手
3 変速クラッチ
16 コントローラ(ECU)
29 クラッチ作動手段
32 油温検出手段(油温センサ)
34 ニュートラル検出手段(ギヤポジションセンサ)
T/M 変速機
Claims (5)
- エンジンにより作動される流体継手と、該流体継手に入力部が連結された変速クラッチと、該変速クラッチの出力部に連結された変速機と、上記変速クラッチを断接作動するクラッチ作動手段と、上記変速機の油温を検出する油温検出手段と、上記変速機について運転者によりニュートラルが選択されたときそれを検出するニュートラル検出手段と、上記クラッチ作動手段を制御するコントローラとを備え、
該コントローラは、上記エンジンの始動時に、上記変速機がニュートラルで上記油温が所定温度以下のとき、上記変速クラッチを切って上記変速機内部の回転抵抗がエンジンに伝わらないようにした状態を所定時間保った後、上記変速クラッチを繋いで上記変速機をニュートラル状態で回転させて上記油温の上昇を図り、上記エンジンの始動時に上記変速機がギヤイン状態であるとき、上記油温の高低に拘わらず上記変速クラッチを直ちに繋いで発進に対応するようにしたものであることを特徴とする動力伝達装置。 - 上記所定時間は、上記変速クラッチを繋いだときエンジンが変速機内部の回転抵抗によってエンストすること無く回転維持可能となる時間に設定されている請求項1記載の動力伝達装置。
- 上記油温検出手段は、流体継手の作動油温度またはエンジンの冷却水温度に基づき変速機の油温を間接的に検出するものである請求項1又は2に記載の動力伝達装置。
- 上記コントローラは、エンジン始動時に、上記変速機がニュートラルで且つ上記油温が所定温度以下の場合には、上記変速クラッチを切った状態を所定時間保った後、エンジンが回転していることを条件に上記変速クラッチを繋ぐように上記クラッチ作動手段を制御するものである請求項1〜3のいずれかに記載の動力伝達装置。
- 上記コントローラは、上記油温検出手段で検出された油温の低・高に応じて、上記所定時間を長・短と変更するものである請求項1〜4のいずれかに記載の動力伝達装置。
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