JP3855161B2 - 電子部品のスズホイスカーの防止方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフィルムキャリアなどのスズホイスカーの防止方法に関し、簡便な操作でスズホイスカーの発生を確実に防止できるものを提供する。
【0002】
【発明の背景】
スズメッキは、ハンダ付け性向上用皮膜、エッチングレジスト用皮膜などとして、弱電工業並びに電子工業部品などに広く利用されているが、スズメッキ皮膜にはいわゆる真正スズホイスカーが発生することが知られており、リードの線幅がきわめて狭い高密度実装用の微細パターンでは、このホイスカーが短絡の原因となり易く、プリント基板やフィルムキャリアなどの各種電子部品の信頼性を低下させるという問題がある。
【0003】
【従来の技術】
スズホイスカーの防止方法としては、メッキ後にアニール処理或はリフロー処理を行ったり、スズメッキ皮膜を金や錫−鉛合金などの他のメッキ皮膜で代替する方法などが知られている。
例えば、特開平5−33187号公報(以下、従来技術1という)には、銅又は銅合金の微細パターンの上にスズメッキを施し、このスズ層を加熱処理してすべて銅−スズ拡散層とした後、この拡散層の上に純スズ層を被覆するホイスカー防止方法が開示されている(請求の範囲及び実施例1〜2参照)。
【0004】
また、特開平5−247683号公報(以下、従来技術2という)には、フィルムキャリアのインナーリードに、スズ−鉛合金メッキを施した後、その上にスズメッキを施し、両メッキ層を加熱処理することが開示されている(請求の範囲及び実施例1参照)。
ちなみに、上記従来技術1では、スズメッキは無電解メッキと電気メッキを問わないが、メッキ厚のバラツキを低減する見地から無電解メッキが好ましいことが記載され(同公報の段落10参照)、従来技術2の実施例1では、無電解メッキにより錫−鉛合金皮膜及びスズ皮膜を形成している(同公報の段落12参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術2では、上層のスズメッキ層にも加熱処理を施すため、加熱の制御が適正でないと、純スズ層が低減して銅拡散スズ層が主要形成層になったり、或は、スズ層が酸化されたりして、表面のスズメッキ層のハンダ付け性を損なって、電子部品の信頼性を低下させる問題がある。また、当該従来技術2では下地メッキ層がスズ−鉛合金層であり、近年の環境保全の見地から鉛の使用は好ましくない。
【0006】
一方、上記従来技術1では、上層のスズメッキ層には加熱処理を施さず、また、下地メッキ層もスズ層であるため、従来技術2のような問題点はない。但し、微細パターン上に保護用のソルダレジストを被覆したフィルムキャリアなどの形態の電子部品にこの従来技術1を適用した場合、ソルダレジストが塗布された状態の微細パターン上にスズ−銅拡散層が下地メッキとして被覆され、さらにその上にスズ層が被覆されるため、微細パターンとソルダレジストの密着性が良好とはいえず、ソルダレジストの端部が剥離して微細パターンがメッキ液で侵食され易く、電子部品の信頼性を低下させる恐れがある。
【0007】
本発明は、フィルムキャリアなどの微細パターン上にハンダ付け性などを良好に確保する目的で形成したスズ皮膜において、上記従来技術1とは別の簡便な下地メッキ方式により、スズホイスカーを確実に防止するとともに、フィルムキャリアなどに適用した場合に、ソルダレジストの密着性を良好に確保することを技術的課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記従来技術1〜2などの下地メッキ処理或はアニール処理などによるホイスカー防止方法を鋭意研究した結果、金、銀、パラジウム、ビスマス、ニッケルなどの特定の金属を微細パターン上に下地メッキし、加熱処理した後にスズメッキを施すと、上層のスズメッキ面のスズホイスカーの発生を良好に防止できること、また、下地皮膜を置換メッキすることでその上層にスズ皮膜を円滑に形成でき、膜厚の制御が容易になること、さらには、微細パターン上に下地メッキ層を形成した後にソルダレジストを塗布すると、ソルダレジストの密着性を改善して剥離防止に資することを見い出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明1は、(a)銅又は銅合金の微細パターンをソルダレジストで被覆した形態の電子部品において、当該微細パターン上に、金、銀、白金、パラジウム、インジウム、ビスマス、ニッケルよりなる群から選ばれた単一金属の下地皮膜を置換メッキで形成し、
(b)上記下地皮膜及び微細パターンを加熱処理した後、
(c)下地皮膜上にスズ皮膜を置換メッキで形成することを特徴とする電子部品のスズホイスカーの防止方法である。
【0010】
本発明2は、上記本発明1において、微細パターンに下地皮膜を形成した後、パターン保護用のソルダレジストを塗布して硬化するとともに、下地皮膜及び微細パターンを加熱処理し、次いで、ソルダレジストから露出した下地皮膜上にスズ皮膜を形成することを特徴とする電子部品のスズホイスカーの防止方法である。
【0011】
本発明3は、上記本発明1又は2において、下地皮膜の膜厚が0.1μm以下であることを特徴とする電子部品のスズホイスカーの防止方法である。
【0012】
本発明4は、上記本発明1〜3のいずれかにおいて、スズ皮膜の膜厚が0.2μm以上であることを特徴とする電子部品のスズホイスカーの防止方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、第一に、フィルムキャリア、プリント回路基板(PCB)、フレキシブルプリント基板(FPC)などを代表例とする、銅又は銅合金の微細パターンをソルダレジストで被覆した形態の電子部品の当該微細パターン上に特定金属の下地皮膜を置換メッキで形成し、加熱処理した後、下地皮膜上にスズ皮膜を置換メッキで形成するスズホイスカーの防止方法であり、第二に、保護用のソルダレジストが被覆された形態の微細パターンに第一の方法を適用するに際して、微細パターン上に下地皮膜を形成した後にソルダレジストを被覆し、ソルダレジストから露出した下地皮膜上にスズ皮膜を形成するスズホイスカーの防止方法である。
【0014】
本発明は、TAB、T−BGA、ACIC等のフィルムキャリアテープを初め、PCB、FPC、COPなどの銅又は銅合金の微細パターンにソルダレジストが被覆された形態の電子部品を対象とする。
上記下地皮膜は、金、銀、白金、パラジウム、インジウム、ビスマス、ニッケルよりなる群から選ばれた特定の単一金属の皮膜であり、下地皮膜とその上に形成するスズ皮膜は共に置換メッキで形成される。
上記置換メッキはメッキ浴中の金属と被メッキ物である微細パターンとの化学置換反応に基づくメッキ方法であり、下地皮膜及び上層のスズ皮膜は、相当する可溶性金属塩を金属の供給源とする置換メッキ浴により、下地皮膜及び上層のスズ皮膜は形成される。
【0015】
上層のスズ皮膜を得るための置換メッキ浴には、基本的に、可溶性第一スズ塩と、浴ベースとしての酸又はその塩と、錯化剤、界面活性剤、光沢剤などの各種添加剤が含有される。
上記可溶性第一スズ塩は、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−プロパノールスルホン酸、スルホコハク酸、p−フェノールスルホン酸などの有機スルホン酸の第一スズ塩を初め、ホウフッ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第一スズ、塩化第一スズ、スズ酸ナトリウム、スズ酸カリウムなどである。
上記浴ベースとしての酸は、有機酸、無機酸、或はそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などである。
上記有機酸としては有機スルホン酸、脂肪族カルボン酸などが挙げられ、無機酸としては、硫酸、塩酸、ホウフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、スルファミン酸などが挙げられる。この中では、スズの溶解性、排水処理の容易性などの見地から有機スルホン酸又はその塩が好ましい。有機スルホン塩としては、有機スルホン酸のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタミン、ペンタエチレンテトラミン塩などが使用できる。
上記酸又はその塩は単用又は併用でき、その含有量は0.1〜10mol/L、好ましくは0.5〜5mol/Lである。
【0016】
上記有機スルホン酸は、アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸、スルホコハク酸、芳香族スルホン酸などであり、アルカンスルホン酸としては、化学式Cn2n+1SO3H(例えば、n=1〜11)で示されるものが使用でき、具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1―プロパンスルホン酸、2―プロパンスルホン酸、1―ブタンスルホン酸、2―ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸などが挙げられる。
【0017】
上記アルカノールスルホン酸としては、化学式
m2m+1-CH(OH)-Cp2p-SO3H(例えば、m=0〜6、p=1〜5)
で示されるものが使用でき、具体的には、2―ヒドロキシエタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸(2−プロパノールスルホン酸)、2―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシペンタン―1―スルホン酸などの外、1―ヒドロキシプロパン―2―スルホン酸、3―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、4―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシヘキサン―1―スルホン酸などが挙げられる。
【0018】
上記芳香族スルホン酸は、基本的にベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸などであり、具体的には、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、スルホサリチル酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸、ジフェニルアミン−4−スルホン酸などが挙げられる。
上記有機スルホン酸では、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−プロパノールスルホン酸、フェノールスルホン酸などが好ましい。
【0019】
一方、前述したように、置換スズメッキ浴には上記成分以外に、必要に応じて公知の錯化剤、界面活性剤、光沢剤、半光沢剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤などの各種添加剤を混合できることはいうまでもない。
上記錯化剤は微細パターンの銅、銅合金に配位して錯イオンを形成し、銅の電極電位を卑の方向に変移させて、スズとの化学置換反応を促進するものをいい、具体的には、下記の(1)〜(3)などの化合物を単用又は併用するのが好ましい。
【0020】
(1)チオ尿素、或は、1,3―ジメチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素(例えば、1,3―ジエチル―2―チオ尿素)、N,N′―ジイソプロピルチオ尿素、アリルチオ尿素、アセチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、1,3―ジフェニルチオ尿素、二酸化チオ尿素、チオセミカルバジド等のチオ尿素誘導体。 (2)エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA・2Na)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、エチレンジアミンテトラメチレンリン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンリン酸など。
(3)ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、イミノジプロピオン酸(IDP)、アミノトリメチレンリン酸、アミノトリメチレンリン酸五ナトリウム塩、ベンジルアミン、2―ナフチルアミン、イソブチルアミン、イソアミルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、シンナミルアミン、p―メトキシシンナミルアミンなど。
【0021】
上記界面活性剤には通常のノニオン系、アニオン系、両性、或はカチオン系などの各種界面活性剤が挙げられ、メッキ皮膜の外観、緻密性、平滑性、密着性などの改善に寄与する。
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、モノ〜トリアルキルアミン塩、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、トリメチルアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、C1〜C25アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシルリン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、C1〜C22脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2〜300モル付加縮合させたものなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。
【0022】
上記光沢剤、或は半光沢剤としては、ベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、2,4,6−トリクロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、フルフラール、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、3−アセナフトアルデヒド、ベンジリデンアセトン、ピリジデンアセトン、フルフリリデンアセトン、シンナムアルデヒド、アニスアルデヒド、サリチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、グルタルアルデヒド、パラアルデヒド、バニリンなどの各種アルデヒド、トリアジン、イミダゾール、インドール、キノリン、2−ビニルピリジン、アニリン、フェナントロリン、ネオクプロイン、ピコリン酸、チオ尿素類、N―(3―ヒドロキシブチリデン)―p―スルファニル酸、N―ブチリデンスルファニル酸、N―シンナモイリデンスルファニル酸、2,4―ジアミノ―6―(2′―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―エチル―4―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―ウンデシルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、サリチル酸フェニル、或は、ベンゾチアゾール、2―メチルベンゾチアゾール、2―アミノベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メトキシベンゾチアゾール、2―メチル―5―クロロベンゾチアゾール、2―ヒドロキシベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メチルベンゾチアゾール、2―クロロベンゾチアゾール、2,5―ジメチルベンゾチアゾール、5―ヒドロキシ―2―メチルベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール類などが挙げられる。
【0023】
上記pH調整剤としては、塩酸、硫酸等の各種の酸、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の各種の塩基などが挙げられるが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸類、ホウ酸類、リン酸類、シュウ酸、コハク酸などのジカルボン酸類、乳酸、酒石酸などのオキシカルボン酸類などが有効である。
上記酸化防止剤は、浴中のSn2+の酸化防止を目的として含有され、次亜リン酸又はその塩、アスコルビン酸又はその塩、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、フロログルシン、クレゾールスルホン酸又はその塩、フェノールスルホン酸又はその塩、カテコールスルホン酸又はその塩、ハイドロキノンスルホン酸又はその塩、ヒドラジンなどが挙げられる。
上記防腐剤としては、ホウ酸、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、塩化ベンザルコニウム、フェノール、フェノールポリエトキシレート、チモール、レゾルシン、イソプロピルアミン、グアヤコールなどが挙げられる。
【0024】
本発明1では、第一工程として、金、銀、パラジウム、ビスマス、ニッケルなどの上記特定金属の可溶性塩を含有する置換メッキ浴に微細パターンを浸漬して、微細パターン上に特定金属の下地皮膜を置換メッキする。
上記下地皮膜を形成するための置換メッキ浴の組成は、基本的に前記置換スズメッキ浴と同様に、上記特定金属の可溶性塩と、浴ベースとしての酸又はその塩と、各種添加剤からなる。
【0025】
上記特定金属の可溶性塩は、メッキ浴中でAu+、Ag+、Pt2+、Pd2+、In3+、Bi3+、Ni2+などの各種金属イオンを生成する任意の無機又は有機の塩を意味し、難溶性塩であってもこれらのイオンを生成するものであれば排除するものではない。但し、有機酸の塩としては、排水処理の容易性などから有機スルホン酸の塩などが好ましい。
例えば、可溶性銀塩は、メタンスルホン酸銀、エタンスルホン酸銀、2−プロパノールスルホン酸銀などの有機スルホン酸銀を初め、シアン化銀、ホウフッ化銀、硫酸銀、亜硫酸銀、炭酸銀、スルホコハク酸銀、硝酸銀、クエン酸銀、酒石酸銀、グルコン酸銀、シュウ酸銀、酸化銀、酢酸銀などであり、少量であればハロゲン化銀の沈殿はない。可溶性ビスマス塩は、硫酸ビスマス、酸化ビスマス、塩化ビスマス、臭化ビスマス、硝酸ビスマス、有機スルホン酸のビスマス塩、スルホコハク酸のビスマス塩などである。可溶性ニッケル塩は、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸ニッケルアンモニウム、酸化ニッケル、酢酸ニッケル、有機スルホン酸のニッケル塩などである。また、可溶性亜鉛塩としては塩化亜鉛など、可溶性インジウム塩としては塩化インジウム、酸化インジウム、有機スルホン酸インジウムなどが挙げられ、他の上記特定金属の可溶性塩も、これらと同様に、酸化物、ハロゲン化物、無機酸又は有機酸の塩などが挙げられる。
【0026】
一方、下地皮膜を形成するための置換メッキ浴において、浴ベースとしての酸又はその塩、或は錯化剤、界面活性剤、光沢剤、半光沢剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤などの各種添加剤は前記スズメッキ浴で述べた各種の化合物が使用できることは言うまでもない。
また、上記置換メッキ浴が銀、金、白金、パラジウムなどの貴金属の可溶性塩を含有する場合、これらの貴金属の電極電位は貴であることから、浴が不安定になって分解し易いため、貴金属イオンに錯化して安定化させるための安定剤を含有することが有効である。
【0027】
上記安定剤としては、次の(イ)〜(ニ)に列挙する含イオウ化合物などが挙げられる。
(イ)モノ又はジスルフィド結合に隣接してオキシアルキレン基を分子内に有するオキシアルキレン型スルフィド系化合物
上記オキシアルキレン基はオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシ(ヒドロキシプロピレン)基であり、これらのオキシアルキレン基をモノ又はジスルフィド結合の両側又は片側で単数又は繰り返し有する化合物をいう。
(ロ)モノ又はジスルフィド結合とカルボキシル基を分子内に有するカルボン酸型スルフィド系化合物
モノ又はジスルフィド結合の両側又は片側のアルキレン鎖にカルボキシル基を単数又は繰り返し有する化合物をいう。
(ハ)メルカプト基と水酸基を分子内に有するメルカプトアルコール系化合物
基本的にアルキレン鎖の異なる炭素原子にメルカプト基と水酸基を1個又は複数個有する化合物をいう。
(ニ)メルカプト基とカルボキシル基を分子内に有するメルカプトカルボン酸系化合物
メルカプト基とカルボキシル基が同一又は異なる炭素原子に結合し、その各個数は1個又は複数個である化合物をいう。
【0028】
上記(イ)のオキシアルキレン型スルフィド系化合物としては、次の化合物などが挙げられる。
(1)H−(OCH2CH2)10−S−(CH2CH2O)10−Hで表されるビス(デカエチレングリコール)チオエーテル
(2)H−(OCH2CH2)12−S−(CH2CH2O)12−Hで表されるビス(ドデカエチレングリコール)チオエーテル
(3)H−(OCH2CH2)15−S−(CH2CH2O)15−Hで表されるビス(ペンタデカエチレングリコール)チオエーテル
(4)HOCH2CH2−S−CH2CH2OHで表される2,2′−チオジグリコール
(5)HOCH2CH2CH2−S−CH2CH2CH2OHで表される3,3′−チオジプロパノール
(6)CH3−S−CH2CH2OHで表される2−(メチルチオ)エタノール
(7)HOCH2CH2−S−CH2CH2−S−CH2CH2OHで表される3,6−ジチア−1,8−オクタンジオール
【0029】
上記(ロ)のカルボン酸型スルフィド系化合物としては、チオジグリコール酸(HOOCCH2−S−CH2COOH)、チオジプロピオン酸(HOOCCH2CH2−S−CH2CH2COOH)、又はこれらの塩などが挙げられる。
上記(ハ)のメルカプトアルコール系化合物としては、チオグリコール(HSCH2CH2OH)などが挙げられる。
上記(ニ)のメルカプトカルボン酸系化合物としては、メルカプト酢酸(=チオグリコール酸:HSCH2COOH)、メルカプト乳酸(CH3CH(SH)COOH)、メルカプトコハク酸(HOOCCH2−CH(SH)COOH)、又はこれらの塩などが挙げられる。
また、上記安定剤には、チオ尿素又はその誘導体、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、2−アミノエタンチオールなどを初め、前記スズ置換メッキ浴で列挙した錯化剤も有用である。
【0030】
上記下地皮膜は通常の適正なメッキ膜厚であれば任意の膜厚で差し支えない。但し、本発明では、スズホイスカーを防止する要因の一つが、下地皮膜を素地の微細パターンと表面のスズ皮膜の間に介在させることにあるため、下地皮膜の厚みの増加はホイスカー防止機能の増進に寄与することが期待できる。
しかしながら、一方、本発明の方法をフィルムキャリアなどに適用する場合、後述の試験例に示すように、微細パターン上の下地皮膜の膜厚が0.1μm以下の薄いときでも、上層のスズ皮膜におけるホイスカー防止の有効性には問題がないのである。
【0031】
本発明1では、第二工程として、微細パターン上に特定金属の下地皮膜を置換メッキで形成した後、下地皮膜及び微細パターンを加熱処理する。
上記加熱処理は乾式のアニール処理、湿式のリフロー処理を問わない。加熱条件としては、下地皮膜の膜厚にもよるが、100〜200℃、30〜120分程度で行うのが一般的であり、好ましくは120〜180℃、60〜90分程度である。
微細パターン及び下地皮膜を加熱すると、下地皮膜の歪みが除去でき、また、銅素地を焼きなます作用があるため、スズホイスカー防止の有効性、確実性が増大する。
【0032】
本発明1のホイスカー防止方法は、フィルムキャリア、PCB、FPCなどのように、微細パターンがソルダレジストで被覆された形態の電子部品に適用される。
従って、微細パターンがソルダレジストで被覆された電子部品に下地皮膜とスズ皮膜を形成する場合、一般のフィルムキャリアなどでは、保護用のソルダレジストが既に被覆された形態であることから、先ず、ソルダレジストで被覆された微細パターンに下地皮膜を形成し、加熱処理した後に、下地皮膜上にスズ皮膜を形成する方式が採用できる。
一方、ソルダレジストの端部の剥離を有効に防止する見地から、本発明2に示すように、パターン保護用のソルダレジストを形成する前に、予め微細パターンに下地皮膜を形成する方式で実施できることも勿論である。この場合には、微細パターンに下地皮膜を形成した後、ソルダレジストを塗布して硬化するとともに、下地皮膜及び微細パターンを加熱処理してから、ソルダレジストから露出した下地皮膜上にスズ皮膜を形成することになる。
上記ソルダレジストとしては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂が一般的である。
上記ソルダレジストの熱硬化処理は100〜180℃、60〜180分程度で行われ、前記下地皮膜及び微細パターンの加熱処理と当該熱硬化処理は各々分離して行うのが基本であるが、上記加熱処理でこの熱硬化処理を兼ねることもできる。
【0033】
本発明1では、第三に、微細パターン上に下地皮膜を形成した後、この下地皮膜で被覆された微細パターンを前記可溶性第一スズ塩を含有する置換スズメッキ浴に浸漬して、下地皮膜上にスズ皮膜を置換メッキする。
上記スズ皮膜の膜厚はハンダ付け性などを良好に確保する見地から、0.2μm以上が望ましい。
例えば、下地皮膜が硬い金属である場合、上層のスズ皮膜が薄過ぎると衝撃吸収作用が低下して、微細パターン上に各種電子部品をうまくハンダ付けできない恐れがあるため、上述のように、スズ皮膜の膜厚は0.2μm以上が好ましい。
【0034】
【作用】
スズ皮膜を下地皮膜を介して銅系の微細パターン上に形成するため、微細パターン上にスズ皮膜を直接形成する場合に比べて、スズと銅の拡散を下地メッキ層で遮断し、スズと銅の金属間化合物の生成を阻止するため、スズホイスカーの発生原因を有効に排除できるものと推定できる。しかも、下地皮膜及び微細パターンを加熱処理することで、バリア層の歪みが除去でき、また、銅素地を焼なます作用が働くため、スズホイスカーの防止に一層有効に寄与する。
ちなみに、下地皮膜上にスズ皮膜を置換メッキする際に、この下地皮膜を置換メッキで形成すると、下地皮膜にピンホール状の微視的な隙間が生成し易いため、この微視的隙間を介してスズメッキ浴中のスズと素地面(微細パターン)の銅が化学置換反応を起こし易くなり、下地皮膜上にスズ皮膜が円滑に置換メッキされる。
【0035】
【発明の効果】
本発明1では、下地皮膜の介在で表面のスズと素地の銅との間で金属間化合物が生成しないため、微細パターン上にソルダレジストを被覆する形態のFPC、PCB、フィルムキャリアなどのスズホイスカーを有効に防止でき、さらには、下地皮膜及び微細パターンを加熱処理することで、下地皮膜の歪みが除去でき、また、銅素地を焼なます作用があるため、より有効且つ確実にホイスカーを防止できる。この場合、下地皮膜の膜厚は、後述の試験例に示すように、0.1μm以下であっても良好にホイスカーを防止できる(本発明3参照)。
さらに、本発明では、冒述の従来技術1〜2とは異なり、上層のスズ皮膜を加熱処理しないため、スズ皮膜が素地の銅との間で拡散したり、酸化されることはない。従って、微細パターン上に下地皮膜を介して形成したスズ皮膜に関して、ハンダ付け性などの機能が損なわれる恐れはない。
【0036】
本発明2では、微細パターン上にソルダレジストを被覆する形態のFPC、PCB、COP、フィルムキャリアなどに本発明を適用する場合、微細パターン上に下地皮膜を予め形成し、この下地皮膜上にソルダレジストを被覆するため、ソルダレジストの密着性が向上し、ソルダレジストの端部が下地皮膜から剥離することがなく、微細パターンのえぐれを有効に防止できる。
【0037】
【実施例】
以下、下地皮膜の加熱による本発明のホイスカー防止方法の実施例を順次述べるとともに、当該実施例で得られたスズ皮膜についてのホイスカーの防止評価試験例を説明する。
尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0038】
実施例1〜6のうち、実施例1〜3は銀の下地皮膜の膜厚を変化させ、同条件で加熱した例、実施例4は銀の下地皮膜の加熱条件を変化させた例、実施例5はビスマスの下地皮膜を形成した例、実施例6はニッケルの下地皮膜を形成した例である。
また、比較例1〜4のうち、比較例1は下地皮膜を形成せずに置換スズメッキを素地金属上に直接行い、スズ皮膜を加熱処理しないブランク例、比較例2は下地メッキを電気メッキで形成した例、比較例3は下地皮膜を加熱処理しないでスズ皮膜を形成した例、比較例4は冒述の従来技術1に準拠してスズの下地皮膜を形成して加熱処理してからスズの上層皮膜を形成した例である。
【0039】
《実施例1》
VLP(電解銅箔の一種)によりパターン形成し、同パターンをソルダレジストで被覆した形態のTABのフィルムキャリアを試験片として、このフィルムキャリアの銅パターン上に下記(1)の置換メッキ浴により銀の下地メッキ皮膜を形成し、下記(2)の条件で下地皮膜を形成した試験片に加熱処理を施したのち、下記(3)の置換メッキ浴によりスズの上層皮膜を形成した。
(1)置換メッキによる下地皮膜の形成
下記(a)の置換銀メッキ浴を建浴し、下記(b)の液温で同欄の膜厚に達するまで試験片を浸漬して、試験片に置換メッキを施した。
(a)置換メッキ浴の組成
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 2g/L
メタンスルホン酸 30g/L
チオ尿素 25g/L
ビス(ドデカエチレングリコール)チオエーテル 60g/L
ジブチル−β−ナフトールポリエトキシレート(EO15) 7g/L
(b)置換メッキの条件
液温 :40℃
銀膜厚 :0.05μm
(2)下地皮膜の加熱
下記の条件で下地皮膜を形成した試験片を加熱処理した。
加熱温度 :170℃
加熱時間 :1時間
(3)置換メッキによるスズの上層皮膜の形成
試験片の下地皮膜の上に下記(a)の置換スズメッキ浴を建浴し、下記(b)の液温で同欄の膜厚に達するまで試験片を浸漬して、下地皮膜上に置換メッキを施した。
(a)置換メッキ浴の組成
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 30g/L
フェノールスルホン酸 130g/L
メタンスルホン酸 70g/L
チオ尿素 200g/L
次亜リン酸 80g/L
α−ナフトールポリエトキシレート(EO15) 15g/L
(b)置換メッキの条件
液温 :60℃
スズ膜厚 :0.5〜0.6μm
【0040】
《実施例2》
上記実施例1を基本としながら、置換銀メッキ浴により下地メッキ皮膜を膜厚1.2μmで形成し、それ以外の条件は実施例1と同様に操作して、下地皮膜を形成した試験片を加熱処理した後、下地皮膜上に置換メッキによりスズの上層皮膜を形成した。
【0041】
《実施例3》
上記実施例1を基本としながら、置換銀メッキ浴により下地メッキ皮膜を膜厚0.03μmで形成し、それ以外の条件は実施例1と同様に操作して、下地皮膜を形成した試験片を加熱処理した後、下地皮膜上に置換メッキによりスズの上層皮膜を形成した。
【0042】
《実施例4》
上記実施例1を基本としながら、置換メッキ浴により形成した銀の下地皮膜を100℃、1時間の条件で加熱処理し、それ以外の条件は実施例1と同様に操作して、下地皮膜を形成した試験片を加熱処理した後、下地皮膜上に置換メッキによりスズの上層皮膜を形成した。
【0043】
《実施例5》
上記実施例1を基本としながら、下記(1)の置換メッキ浴により銀に替えてビスマスの下地メッキ皮膜を形成し、それ以外の条件は実施例1と同様に操作して、下地皮膜を形成した試験片を加熱処理した後、下地皮膜上に置換メッキによりスズの上層皮膜を形成した。
(1)置換メッキによる下地皮膜の形成
下記(a)の置換ビスマスメッキ浴を建浴し、下記(b)の液温で同欄の膜厚に達するまで試験片を浸漬して、試験片に置換メッキを施した。
(a)置換メッキ浴の組成
メタンスルホン酸ビスマス(Bi2+として) 5g/L
メタンスルホン酸 45g/L
チオ尿素 100g/L
DTPA 75g/L
スチレン化フェノールポリエトキシレート(EO18) 7g/L
(b)置換メッキの条件
液温 :70℃
ビスマス膜厚:0.05μm
【0044】
《実施例6》
上記実施例1を基本としながら、下記(1)の置換メッキ浴により銀に替えてニッケルの下地メッキ皮膜を形成し、それ以外の条件は実施例1と同様に操作して、下地皮膜を形成した試験片を加熱処理した後、下地皮膜上に置換メッキによりスズの上層皮膜を形成した。
(1)置換メッキによる下地皮膜の形成
下記(a)の置換ニッケルメッキ浴を建浴し、下記(b)の液温で同欄の膜厚に達するまで試験片を浸漬して、試験片に置換メッキを施した。
(a)置換メッキ浴の組成
硫酸ニッケル(Ni2+として) 25g/L
酪酸 55g/L
アセチルチオ尿素 175g/L
ジベンジルフェノールポリエトキシレート(EO12) 10g/L
(b)置換メッキの条件
液温 :60℃
ニッケル膜厚:0.05μm
【0045】
《比較例1》
試験片に下地皮膜の形成と加熱処理をしないで、実施例1と同様の条件により、試験片に置換メッキでスズ皮膜を直接形成した。
【0046】
《比較例2》
下記(1)の電気メッキ浴によりビスマスの下地メッキ皮膜を試験片に形成した。そして、上記実施例5と同様の条件で、加熱処理した後、下地皮膜上にスズ皮膜を置換メッキしようとしたが、スズ皮膜は形成不良であった。
(1)電気メッキによる下地皮膜の形成
下記(a)の置換ビスマスメッキ浴を建浴し、下記(b)の液温で同欄の膜厚に達するまで試験片を浸漬して、試験片に置換メッキを施した。
(a)電気メッキ浴の組成
硫酸ビスマス(Bi2+として) 2g/L
硫酸 30g/L
ラウリルアルコールポリエトキシレート(EO10) 7g/L
(b)電気メッキの条件
液温 :40℃
陰極電流密度:3A/dm2
ビスマス膜厚:0.1μm
【0047】
《比較例3》
上記実施例1を基本としながら、銀の下地皮膜の加熱処理を行わず、それ以外の条件は実施例1と同様に操作して、試験片上に下地皮膜を置換メッキで形成した後、直ちに下地皮膜上にスズ皮膜を置換メッキで形成した。
【0048】
《比較例4》
前述したように、冒述の従来技術1に準拠した例であり、上記実施例1を基本としながら、実施例1の(3)の置換メッキ浴により銀に替えてスズの下地メッキ皮膜を膜厚0.3μmで形成し、それ以外の条件は実施例1と同様に操作して、試験片上にスズの下地皮膜を置換メッキで形成し、加熱により下地スズ層に拡散処理を施した後、下地皮膜上にスズ皮膜を置換メッキで形成した。
【0049】
《スズホイスカーの発生防止評価試験例》
上記実施例1〜6及び比較例1〜4の各試験片を室温下で8日及び30日放置した後、試験片の同一視認部位を走査型電子顕微鏡で観察して、ホイスカーの発生状況を調べた。
ホイスカーの発生防止の評価基準は次の通りである。
○:同一視認部位でのホイスカーの発生本数はゼロであった。
△:同視認部位にホイスカーは見い出されたが、その長さは20μm未満であった。
×:同視認部位に20μm以上のホイスカーが見い出された。
【0050】
図1はその試験結果である。
実施例1〜6では、8日経過時点のみならず、30日経過時点でもホイスカーの発生はなく、評価は全て○であった。
従って、銀の下地皮膜を形成した実施例1〜4を総合すると、下地皮膜の膜厚は1.2μmの厚い場合に限らず、1.0μm以下である0.05μm、或は0.03μmと薄い場合でも、上層のスズ皮膜のホイスカー発生を有効に防止できることが判明した。また、170℃、1時間で加熱した場合に限らず、より低い100℃で同時間加熱した場合でもホイスカーの発生防止には有効であることが判明した。
さらに、実施例1〜6を総合すると、下地皮膜の種類が銀、ビスマス、ニッケルに変化しても、ホイスカーの発生防止に有効に寄与することが判明した。
【0051】
これに対して、微細パターンにスズ皮膜を形成しただけの比較例1では、8日経過時点で20μm未満のホイスカーが既に発生しており、30日経過時点では当然ながら許容範囲を超えるホイスカーが発生した。
ビスマスの下地皮膜を電気メッキで形成した比較例2では、この下地皮膜上に置換スズメッキを施したところ、スズ皮膜が形成不良となり、試験片をホイスカー発生防止の評価試験に供することができなかった。このスズ皮膜の形成不良は、ビスマスの電着皮膜にピンホールが少なく、微細パターンの銅素地との間で浴による置換反応が円滑に進行しなかったことによると推定される。
加熱しない銀の下地皮膜上にスズ層を置換メッキした比較例3では、8日経過時点ではホイスカーの発生が認められなかったが、30日経過時点では20μm未満のホイスカーの発生が認められ、実施例1〜6との対比から、下地皮膜を加熱すると、ホイスカー防止の有効性、確実性が増すことが確認できた。
また、従来技術に準拠して、スズの下地皮膜を加熱した後に純スズ層を形成した比較例4では、30日経過時点でもホイスカーを良好に防止できたが、この比較例4の試験結果を上記実施例のそれと対比することで、スズ以外の特定金属を下地皮膜とし、これを加熱した後に純スズ層を形成した実施例1〜6にあっても、この比較例4と同水準でホイスカーを有効に防止できることが確認できた。
【0052】
一方、TABの微細パターンに銀又はビスマスの下地皮膜を形成した後、ソルダレジストを被覆し、下地皮膜上にスズ皮膜を形成した試験片(以下、本試験片という)を作成し、この本試験片を上記試験例と同様の条件で放置したが、上記試験結果と変わらず、ホイスカーは30日経過時点でも発生しなかった。
《フィルムキャリアにおけるソルダレジスト密着性試験例》
そこで、ソルダレジストで被覆済みの通常のTABに下地皮膜及びスズ皮膜を形成した前記試験片と、TABに下地皮膜を形成してからソルダレジストを被覆し、その上にスズ皮膜を形成した本試験片とについて、TABのソルダレジストの端部に粘着テープを貼って、急激に引き剥がす剥離試験を行ったところ、通常のTABを用いた試験片ではソルダレジストの端部が剥離したが、本試験片ではソルダレジストの剥離はなかった。これは、微細パターン上にソルダレジストが被覆されている通常のTABに対して、本試験片では、下地皮膜上にソルダレジストが被覆されるため、下地皮膜に対するソルダレジストの密着性が増し、ソルダレジストが剥離しなかったものと推定される。
従って、フィルムキャリア、プリント回路基板、フレキシブルプリント基板などのソルダレジスト被覆型の電子部品においては、予め下地金属を形成した後にソルダレジストを被覆して加熱した後に、純スズ層を形成すると、ホイスカーの発生を円滑に防止できるばかりでなく、ソルダレジストの剥離をも有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜6及び比較例1〜4の各試験片におけるホイスカー発生防止評価試験の結果を示す図表である。

Claims (4)

  1. (a)銅又は銅合金の微細パターンをソルダレジストで被覆した形態の電子部品において、当該微細パターン上に、金、銀、白金、パラジウム、インジウム、ビスマス、ニッケルよりなる群から選ばれた単一金属の下地皮膜を置換メッキで形成し、
    (b)上記下地皮膜及び微細パターンを加熱処理した後、
    (c)下地皮膜上にスズ皮膜を置換メッキで形成することを特徴とする電子部品のスズホイスカーの防止方法。
  2. 微細パターンに下地皮膜を形成した後、パターン保護用のソルダレジストを塗布して硬化するとともに、下地皮膜及び微細パターンを加熱処理し、次いで、ソルダレジストから露出した下地皮膜上にスズ皮膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の電子部品のスズホイスカーの防止方法。
  3. 下地皮膜の膜厚が0.1μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品のスズホイスカーの防止方法。
  4. スズ皮膜の膜厚が0.2μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子部品のスズホイスカーの防止方法。
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