JP4154594B2 - 無電解スズの2段メッキ方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は無電解スズの2段メッキ方法に関して、疑似ホイスカーを有効に防止し、メッキ皮膜の外観に優れるものを提供する。
【0002】
【従来の技術】
スズのメッキ皮膜にはホイスカーが発生する弊害が知られているが、このホイスカーには、メッキの数日後に生成して成長する真正ホイスカーと、メッキ中に生成・成長する疑似ホイスカーとがある。
無電解スズメッキの疑似ホイスカーを防止する方法としては、例えば、特許文献1に示すように、ホウフッ化錫、次亜リン酸、チオ尿素を基本組成とした無電解スズメッキ浴に、アルカンスルホン酸及びポリエチレングリコール又はその誘導体を含有させるか、或は、アルカンスルホン酸、フェノールスルホン酸及びポリエチレングリコール又はその誘導体を含有させるものがある。
【0003】
また、特許文献2には、疑似ホイスカーの防止とは異なり、フィルムキャリヤテープでのソルダレジスト下部の配線パターンにえぐれ部が形成されるのを防止する目的で、第一スズ塩の濃度が13〜50g/Lである無電解スズ浴を用いてプレメッキを施した後、同様の第一スズ塩濃度の無電解スズ浴を用いて本スズメッキを施すとともに、本スズメッキ層をプレスズメッキ層より厚く形成する無電解スズの2段メッキ方法が開示されている(段落9〜12、請求項6参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−252665号公報
【特許文献2】
特開2001−168147号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
無電解スズメッキ浴の成分を特定化する特許文献1では、得られるスズメッキ皮膜の疑似ホイスカーを防止するには不充分な点が残り、特許文献2は発明の目的が疑似ホイスカーの防止ではなく、フィルムキャリアの配線パターンにおいてえぐれ部の形成を防止することにある。
本発明は無電解スズメッキ浴に含有する成分を特定化するだけの方法とは基本的に異なる方式により、皮膜の疑似ホイスカーを防止し、皮膜外観を良好に保持することを技術的課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記特許文献2のような2段メッキを前提とする疑似ホイスカーの防止方法を鋭意研究した結果、2段メッキの各工程でメッキ浴の組成を異ならせ、且つ、この浴組成と膜厚制御を組み合わせることを着想した。
即ち、特許文献2のような第一スズ塩濃度ではなく、浴中の酸や添加剤の成分又は濃度が異なる二つのメッキ浴を用意し、そのうちの一方の浴と膜厚制御をリンクさせて、この一方の特定組成のメッキ浴を用いて所定の薄い膜厚条件でスズメッキを行う工程と、他方の特定組成の浴によりスズメッキを行う工程との2段に分けてスズメッキを施すと、皮膜の疑似ホイスカーを有効に防止できるうえ、皮膜外観も良好に保持できることを見い出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明1は、第1浴が可溶性第一スズ塩とアルカンスルホン酸を含有する無電解スズメッキ浴であり、第2浴が可溶性第一スズ塩とアルカノールスルホン酸を含有し、且つ、アルカンスルホン酸を含有しない無電解スズメッキ浴であり、
第1浴により被メッキ物に0.3μm以下の膜厚でスズメッキを施した後、第2浴によりスズメッキを施すか、又は、
第2浴によりスズメッキを施した後、第1浴により被メッキ物に0.3μm以下の膜厚でスズメッキを施すことを特徴とする無電解スズの2段メッキ方法である。
【0008】
本発明2は、第1浴が可溶性第一スズ塩と有機スルホン酸を含有し、界面活性剤を含有しない無電解スズメッキ浴であり、第2浴が可溶性第一スズ塩と有機スルホン酸と界面活性剤を含有する無電解スズメッキ浴であり、
第1浴により被メッキ物に0.3μm以下の膜厚でスズメッキを施した後、第2浴によりスズメッキを施すか、又は、
第2浴によりスズメッキを施した後、第1浴により被メッキ物に0.3μm以下の膜厚でスズメッキを施すことを特徴とする無電解スズの2段メッキ方法である。
【0009】
本発明3は、第1浴が可溶性第一スズ塩と有機スルホン酸と次亜リン酸類を含有し、次亜リン酸類の含有量が0.3モル/L以下の無電解スズメッキ浴であり、第2浴が可溶性第一スズ塩と有機スルホン酸と次亜リン酸類を含有し、次亜リン酸類の含有量が0.3モル/Lより多く、且つ、1.0モル/L以下である無電解スズメッキ浴であり、
第1浴により被メッキ物に0.3μm以下の膜厚でスズメッキを施した後、第2浴によりスズメッキを施すか、又は、
第2浴によりスズメッキを施した後、第1浴により被メッキ物に0.3μm以下の膜厚でスズメッキを施すことを特徴とする無電解スズの2段メッキ方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、特定組成の一方の浴により所定以下の膜厚で薄くメッキする工程と、この一方の浴とは異なる組成の他方の浴でメッキする工程とを組み合わせて、組成の異なる無電解浴で2段階のスズメッキを行う方法であり、第一は、有機スルホン酸の種類を変えた無電解スズの2段メッキ方法(即ち、上記本発明1)であり、第二は、界面活性剤の含有形態を変えた2段メッキ方法(即ち、本発明2)であり、第三は、次亜リン酸類の含有濃度を変えた2段メッキ方法(即ち、本発明3)である。 上記2段メッキでは、最初に第1浴で膜厚を薄く形成する工程を行った後に、第2浴を用いたメッキ工程を行っても良いし、逆に、最初に第2浴によるメッキ工程を行った後に、第1浴で膜厚を薄く形成する工程を行っても良い。
また、上記本発明1〜3のメッキ条件は各々独立であり、本発明1の条件を満たす限り、その他の浴組成などの条件は任意であり、例えば、本発明2又は3の浴組成の条件はこれを満たす方が良いが、これらの浴組成の条件から外れても差し支えない。この点は、本発明2又は3についても同様である。
【0011】
本発明の無電解スズメッキ浴は、可溶性第一スズ塩、浴ベースとしての酸、チオ尿素類などの錯化剤、次亜リン酸類などの酸化防止剤、界面活性剤を含有し、或は、必要に応じて光沢剤、半光沢剤、pH調整剤等の各種添加剤を含有する。上記本発明1は、第1浴と第2浴の組成のうち、浴ベースとしての酸の種類を変えたもので、第1浴ではアルカンスルホン酸を含有し、第2浴ではアルカノールスルホン酸を含有し、且つ、アルカンスルホン酸を含有しない。この場合、第1浴では、アルカンスルホン酸が必須成分であり、アルカノールスルホン酸の有無は問わない。また、本発明1において、アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸の含有又は不存在は、アルカンスルホン酸又はアルカノールスルホン酸のアニオン部分を含有し、又は含有しないことを意味する。従って、例えば、アルカンスルホン酸を含有するとは、遊離のアルカンスルホン酸を含有しなくても、アルカンスルホン酸の第一スズ塩を含有する場合には、この含有条件を満たしており、逆に、アルカンスルホン酸を含有しないとは、遊離のアルカンスルホン酸を含有しないとともに、アルカンスルホン酸の第一スズ塩なども含有しないことを意味する。
上記本発明2は、第1浴と第2浴の組成のうち、界面活性剤の含有形態の有無を変えたもので、第1浴では界面活性剤を含有し、第2浴では界面活性剤を含有しない。
上記本発明3は、第1浴と第2浴の組成のうち、次亜リン酸類の含有濃度を変えたもので、第1浴では次亜リン酸類の含有量を0.3モル/L以下とし、第2浴では同含有量を0.3モル/Lより多く、1.0モル/L以下とする。
【0012】
上記本発明1〜3において、第1浴と第2浴で限定される組成以外の成分は、特に制限されず、任意の成分を必要に応じて含有できる。例えば、本発明1の第1浴では、浴ベースとしての酸はアルカンスルホン酸を必須成分とし、同第2浴では、酸はアルカノールスルホン酸に限定されるが、その他の成分である可溶性第一スズ塩、チオ尿素類などの錯化剤、次亜リン酸類などの酸化防止剤、或は、界面活性剤や光沢剤などの各種添加剤の種類や含有量は任意である。また、本発明2の第1浴と第2浴では、界面活性剤の含有形態の有無が必須条件であるが、その他の成分である浴ベースとしての酸、可溶性第一スズ塩、錯化剤、酸化防止剤、界面活性剤、或は光沢剤などの各種添加剤の種類や含有量は制限されない。次亜リン酸類の含有濃度が必須条件である本発明3も、同様に、その他の浴成分の種類や含有量は制限されない。
【0013】
本発明においては、上記本発明1〜3のいずれか2発明の要件を共に満たしても良く、この場合、第1浴と第2浴の組み合わせを挙げると、次の通りである。
(1)本発明1と2の要件を共に満たす例。
第1浴にはアルカンスルホン酸を含有し、且つ、界面活性剤を含有せず、第2浴にはアルカノールスルホン酸を含有し、アルカンスルホン酸を含有せず、且つ、界面活性剤を含有する。
(2)本発明2と3の要件を共に満たす例。
第1浴には次亜リン酸類を0.3モル/L以下で含有し、且つ、界面活性剤を含有せず、第2浴には次亜リン酸類を0.3〜1.0モル/L含有し、且つ、界面活性剤を含有する。
(3)本発明1と3の要件を共に満たす例。
第1浴には次亜リン酸類を0.3モル/L以下で含有し、且つ、アルカンスルホン酸を含有し、第2浴には次亜リン酸類を0.3〜1.0モル/L含有し、且つ、アルカノールスルホン酸を含有し、アルカンスルホン酸を含有しない。
また、本発明においては、上記本発明1〜3の要件のすべてを満たすものであっても良い。
即ち、第1浴にはアルカンスルホン酸を含有し、次亜リン酸類を0.3モル/L以下で含有し、且つ、界面活性剤を含有せず、また、第2浴にはアルカノールスルホン酸を含有し、アルカンスルホン酸を含有せず、次亜リン酸類を0.3〜1.0モル/L含有し、且つ、界面活性剤を含有する場合である。
【0014】
一方、上記本発明1〜3は、上述のように、組成の異なる第1浴と第2浴での2段階メッキと、特定組成の第1浴を用いたメッキ工程での膜厚制御とを組み合わせたものであり、本発明1〜3において、第1浴を用いた各メッキ工程では、スズ皮膜の膜厚を0.3μm以下に制御することは必須条件である。
この場合、本発明1〜3では、第1段と第2段メッキの全工程によりスズ皮膜を適正な膜厚に形成するのであり、各発明の第2浴でのメッキでは、第1浴を用いて形成したスズ膜厚と上記全工程での適正膜厚との差異に相当する膜厚を形成することになる。全工程でのスズ膜厚は0.6〜2.0μm程度が適当であり、好ましくは0.6〜1.0μmである。
また、無電解スズメッキを行う際の浴温は室温〜80℃、好ましくは室温〜70℃、より好ましくは30℃〜65℃である。
【0015】
上記無電解スズメッキ浴に含有する可溶性第一スズ塩は特に制限されず、例えば、ホウフッ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第一スズ、塩化第一スズ、ピロリン酸スズ、スルファミン酸スズ、亜スズ酸塩などの無機系の可溶性塩、アルカンスルホン酸第一スズ、アルカノールスルホン酸第一スズ、芳香族オキシスルホン酸第一スズ塩、スルホコハク酸第一スズ、脂肪族カルボン酸第一スズなどの有機系の可溶性塩などが使用できる。
【0016】
無電解スズメッキ浴のベースを構成する酸としては、排水処理の容易性から、アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸、芳香族スルホン酸等の有機スルホン酸、或は、脂肪族カルボン酸などの有機酸が好ましいが、塩酸、ホウフッ化水素酸、硫酸、ケイフッ化水素酸、過塩素酸などの無機酸でも良い。
但し、本発明1については、第1浴と第2浴で有機スルホン酸の種類が特定化されることは勿論である。
【0017】
上記アルカンスルホン酸としては、化学式CnH2n+1SO3H(例えば、n=1〜5、好ましくは1〜3)で示されるものが使用でき、具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1―プロパンスルホン酸、2―プロパンスルホン酸、1―ブタンスルホン酸、2―ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸などの外、ヘキサンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸等が挙げられる。
【0018】
上記アルカノールスルホン酸としては、化学式
CmH2m+1-CH(OH)-CpH2p-SO3H(例えば、m=0〜2、p=1〜3)
で示されるものが使用でき、具体的には、2―ヒドロキシエタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシペンタン―1―スルホン酸などの外、1―ヒドロキシプロパン―2―スルホン酸、3―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、4―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシヘキサン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシデカン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシドデカン―1―スルホン酸などが挙げられる。
【0019】
上記芳香族スルホン酸としては、基本的にはベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸などであって、具体的には、1−ナフタレンスルホン酸、2―ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、p―フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、スルホサリチル酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸、ジフェニルアミン―4―スルホン酸、ナフトールジスルホン酸、ジヒドロキシナフフタレンスルホン酸などが挙げられる。
【0020】
上記脂肪族カルボン酸としては、一般に、炭素数1〜6のカルボン酸が使用できる。具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、トリフルオロ酢酸、スルホコハク酸などが挙げられる。
【0021】
上記錯化剤は素地金属の銅、銅合金に配位して錯イオンを形成し、銅の電極電位を卑の方向に変移させ、スズとの化学置換反応を促進する目的で含有され、チオ尿素類が好ましい。
このチオ尿素類には、チオ尿素、或は、1,3―ジメチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素(例えば、1,3―ジエチル―2―チオ尿素)、N,N′―ジイソプロピルチオ尿素、アリルチオ尿素、アセチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、1,3―ジフェニルチオ尿素、二酸化チオ尿素、チオセミカルバジドなどのチオ尿素誘導体が挙げられる。
当該チオ尿素類と同様の錯化作用を奏する化合物としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA・2Na)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、エチレンジアミンテトラメチレンリン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンリン酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、イミノジプロピオン酸(IDP)、アミノトリメチレンリン酸、アミノトリメチレンリン酸五ナトリウム塩、ベンジルアミン、2―ナフチルアミン、イソブチルアミン、イソアミルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、シンナミルアミン、p―メトキシシンナミルアミンなども有効である。
【0022】
上記界面活性剤には通常のノニオン系、アニオン系、両性、或はカチオン系などの各種界面活性剤が挙げられ、メッキ皮膜の外観、緻密性、平滑性、密着性などの改善に寄与する。上記本発明2の第2浴に含有される界面活性剤はこれらの各種活性剤を使用できる。
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、モノ〜トリアルキルアミン塩、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、トリメチルアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、C1〜C25アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシルリン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、C1〜C22脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2〜300モル付加縮合させたものなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。
【0023】
上記次亜リン酸類は可溶性第一スズ塩の第二スズ塩への酸化を防止する目的で含有され、次亜リン酸類は次亜リン酸及びその塩を意味する。
この第一スズ塩の酸化防止剤としては、アスコルビン酸又はその塩、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、フロログルシン、クレゾールスルホン酸又はその塩、フェノールスルホン酸又はその塩、カテコールスルホン酸又はその塩、ハイドロキノンスルホン酸又はその塩、ヒドラジンなども有効である。
【0024】
一方、前述したように、無電解スズメッキ浴には上記成分以外に、必要に応じて公知の光沢剤、半光沢剤、pH調整剤、防腐剤などの各種添加剤を含有することができる。
上記光沢剤、或は半光沢剤としては、ベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、2,4,6−トリクロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、フルフラール、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、3−アセナフトアルデヒド、ベンジリデンアセトン、ピリジデンアセトン、フルフリルデンアセトン、シンナムアルデヒド、アニスアルデヒド、サリチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、グルタルアルデヒド、パラアルデヒド、バニリンなどの各種アルデヒド、トリアジン、イミダゾール、インドール、キノリン、2−ビニルピリジン、アニリン、フェナントロリン、ネオクプロイン、ピコリン酸、チオ尿素類、N―(3―ヒドロキシブチリデン)―p―スルファニル酸、N―ブチリデンスルファニル酸、N―シンナモイリデンスルファニル酸、2,4―ジアミノ―6―(2′―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―エチル―4―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―ウンデシルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、サリチル酸フェニル、或は、ベンゾチアゾール、2―メチルベンゾチアゾール、2―アミノベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メトキシベンゾチアゾール、2―メチル―5―クロロベンゾチアゾール、2―ヒドロキシベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メチルベンゾチアゾール、2―クロロベンゾチアゾール、2,5―ジメチルベンゾチアゾール、5―ヒドロキシ―2―メチルベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール類などが挙げられる。
【0025】
上記pH調整剤としては、塩酸、硫酸等の各種の酸、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の各種の塩基などが挙げられるが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸類、ホウ酸類、リン酸類、シュウ酸、コハク酸などのジカルボン酸類、乳酸、酒石酸などのオキシカルボン酸類などが有効である。
上記防腐剤としては、ホウ酸、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、塩化ベンザルコニウム、フェノール、フェノールポリエトキシレート、チモール、レゾルシン、イソプロピルアミン、グアヤコールなどが挙げられる。
【0026】
【発明の効果】
本発明では、有機スルホン酸の種類を変え、或は、界面活性剤の含有形態又は次亜リン酸類の含有濃度を変えた無電解スズの第1浴と第2浴を使用するとともに、特定の組成を有する第1浴を用いて0.3μm以下の薄い膜厚でスズメッキを施した後、第2浴を用いたメッキで所望の膜厚までスズ皮膜を形成し、或は、その逆に、第2浴でメッキした後に、特定組成の第1浴を用いて0.3μm以下の膜厚制御でメッキを行うため、スズメッキ皮膜の疑似ホイスカーを有効に防止できるとともに、皮膜の色調ムラやシミを抑制して皮膜外観にも優れる。
【0027】
【実施例】
以下、無電解スズの2段メッキ方法の実施例、当該2段メッキ方法により得られたスズ皮膜の疑似ホイスカーの評価試験例、及び当該皮膜の外観評価試験例を順次説明する。
尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0028】
下記の実施例1〜8のうち、実施例1は第1浴と第2浴で有機スルホン酸の種類を変えた例、以下、同様に、実施例2と実施例8は界面活性剤の含有形態を変えた例、実施例3は次亜リン酸の含有濃度を変えた例、実施例4は有機スルホン酸の種類と界面活性剤の含有形態を変えた例、実施例5は有機スルホン酸の種類と次亜リン酸の含有濃度を変えた例、実施例6は界面活性剤の含有形態と次亜リン酸の含有濃度を変えた例、実施例7は有機スルホン酸の種類と界面活性剤の含有形態と次亜リン酸の含有濃度を変えた例である。
【0029】
一方、比較例1〜7のうち、比較例1は通常の無電解スズ浴による1段メッキの例である。比較例2は上記実施例1と同様に第1浴と第2浴で有機スルホン酸の種類を変えながら、アルカンスルホン酸を含有する第1浴での膜厚条件を0.40μmとした例、比較例3は同第1浴での膜厚条件を0.30μm以下とし、第2浴にアルカノールスルホン酸とアルカンスルホン酸を共存させた例である。比較例4は界面活性剤を少量含有する第1浴での膜厚条件を0.30μm以下とした例、比較例5は界面活性剤を含まない第1浴での膜厚条件を0.40μmとした例である。比較例6は次亜リン酸の含有量が0.35モル/Lである第1浴を用いて膜厚条件を0.10μmとした例、比較例7は次亜リン酸の含有量が0.30モル/Lである第1浴を用いて膜厚条件を0.40μmとした例である。
【0030】
《実施例1》
(1)第1浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.50モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(2)第2浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシプロパン
−1−スルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸 2.00モル/L
チオ尿素 2.40モル/L
次亜リン酸 0.50モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(3)メッキ条件
【0031】
《実施例2》
(1)第1浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.50モル/L
(2)第2浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.50モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(3)メッキ条件
【0032】
《実施例3》
(1)第1浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.30モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(2)第2浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.60モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(3)メッキ条件
【0033】
《実施例4》
(1)第1浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.50モル/L
(2)第2浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシプロパン
−1−スルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸 2.00モル/L
チオ尿素 2.10モル/L
次亜リン酸 0.05モル/L
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(3)メッキ条件
【0034】
《実施例5》
(1)第1浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.25モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(2)第2浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシプロパン
−1−スルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸 2.00モル/L
チオ尿素 2.10モル/L
次亜リン酸 0.60モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(3)メッキ条件
【0035】
《実施例6》
(1)第1浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.30モル/L
(2)第2浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.60モル/L
ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(3)メッキ条件
【0036】
《実施例7》
(1)第1浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.30モル/L
(2)第2浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシプロパン
−1−スルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸 2.00モル/L
チオ尿素 2.10モル/L
次亜リン酸 0.60モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(3)メッキ条件
【0037】
《実施例8》
(1)第1浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 0.20モル/L
p−フェノールスルホン酸 0.70モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.50モル/L
(2)第2浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 0.20モル/L
p−フェノールスルホン酸 0.70モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.50モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(3)メッキ条件
【0038】
《比較例1》
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 0.20モル/L
p−フェノールスルホン酸 0.70モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.60モル/L
オクチルアミンポリエトキシレート(EO10モル) 10g/L
メッキ条件は、浴温65℃、メッキ時間5分、膜厚0.6μmとした。
【0039】
《比較例2》
(1)第1浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.50モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(2)第2浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシプロパン
−1−スルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸 2.00モル/L
チオ尿素 2.40モル/L
次亜リン酸 0.50モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(3)メッキ条件
【0040】
《比較例3》
(1)第1浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.50モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(2)第2浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシプロパン
−1−スルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.40モル/L
次亜リン酸 0.50モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(3)メッキ条件
【0041】
《比較例4》
(1)第1浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.50モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 1g/L
(2)第2浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.50モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(3)メッキ条件
【0042】
《比較例5》
(1)第1浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.50モル/L
(2)第2浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.50モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(3)メッキ条件
【0043】
《比較例6》
(1)第1浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.35モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(2)第2浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.60モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(3)メッキ条件
【0044】
《比較例7》
(1)第1浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.30モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(2)第2浴
下記の組成で無電解スズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.25モル/L
メタンスルホン酸 1.00モル/L
チオ尿素 2.30モル/L
次亜リン酸 0.60モル/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO10モル) 10g/L
(3)メッキ条件
【0045】
《皮膜外観並びに疑似ホイスカー発生度合の評価試験例》
そこで、上記実施例1〜8及び比較例2〜7の各第1浴と第2浴を用いた2段メッキ方法、或は、比較例1の通常の1浴によるメッキ方法によって、VLP(電解銅箔の一種)でパターン形成したTABのフィルムキャリアに無電解スズメッキを施し、フィルムキャリアのインナリード上に形成したスズ皮膜の外観を目視観察するとともに、走査型電子顕微鏡を用いて皮膜の疑似ホイスカーの発生度合を微視観察した。
この場合、皮膜外観の評価基準は次の通りである。
○:均一な白色外観を呈した。
×:シミ、ムラのある不均一な外観であった。
また、疑似ホイスカーの発生度合の評価基準は次の通りである。
○:同一視認領域での疑似ホイスカーの発生本数はゼロであった。
×:同一視認領域に疑似ホイスカーが発生し、その長さが5.0μm以上に達するものがあった。
【0046】
下表はその試験結果である。
【0047】
上表によると、通常の1浴式の比較例1では、スズ皮膜の外観は良好であったが、疑似ホイスカーが発生した。
有機スルホン酸の種類と膜厚制御の要件の一方を欠いた比較例2〜3では、疑似ホイスカーは防止できたが、皮膜にシミやムラが生じて皮膜外観が劣っていたのに対して、これらの要件の両方を満たす実施例1では、皮膜外観に優れ、疑似ホイスカーを円滑に防止できた。
界面活性剤の含有形態と膜厚制御の要件の両方を満たす実施例2又は実施例8では、皮膜外観に優れ、疑似ホイスカーを円滑に防止できたが、膜厚制御の要件を満たす反面、第1浴に界面活性剤が少量存在する比較例4では疑似ホイスカーが発生してしまい、逆に、第1浴に界面活性剤を含まない要件を満たす反面、膜厚制御の要件を欠く比較例5では、疑似ホイスカーは防止できたが、皮膜にシミやムラが発生した。
次亜リン酸の含有濃度と膜厚制御の要件の両方を満たす実施例3では、皮膜外観に優れ、疑似ホイスカーを円滑に防止できたが、第1浴の次亜リン酸の含有濃度が所定より多い状態で膜厚制御した比較例6では疑似ホイスカーが発生し、次亜リン酸の含有濃度の要件を満たす反面、膜厚制御の要件を欠く比較例7では、疑似ホイスカーは防止できたが、皮膜にシミやムラが発生した。
【0048】
また、有機スルホン酸の種類と界面活性剤の含有形態の両方の要件を満たす実施例4、有機スルホン酸の種類と次亜リン酸の含有濃度の両要件を満たす実施例5、界面活性剤の含有形態と次亜リン酸の含有濃度の両要件を満たす実施例6では、疑似ホイスカーの発生防止と皮膜外観の確保を円滑に達成でき、有機スルホン酸の種類と界面活性剤の含有形態と次亜リン酸の含有濃度の三要件を満たす実施例7でも、当然ながら同様の結果を達成した。
以上のように、第1浴により膜厚制御する工程と、第2浴による工程の2段でスズメッキを行うと、疑似ホイスカーの防止と皮膜外観の良好な保持の両立を図ることができた。この場合、第1浴と第2浴の組成要件、即ち、有機スルホン酸の種類、界面活性剤の含有形態、次亜リン酸類の含有濃度の要件は各々独立であり、これらの各組成要件を満たす限り、実施例1〜3に見るように、上記両立が図れる。また、各組成要件が加重された浴を使用すると、疑似ホイスカーの防止と皮膜外観の向上に一層資することになる。
【0049】
一方、実施例1は第1浴を用いたメッキ後に、第2浴を用いてメッキをする方法であるが、この工程を時系列的に逆にして、第2浴によりスズメッキを施した後、第1浴により0.3μm以下の膜厚でスズメッキを施したところ、同様に、皮膜外観は良好で、且つ、疑似ホイスカーの発生はなかった。
さらには、第1浴を用いたメッキ工程と第2浴を用いたメッキ工程を逆に行うことを実施例2又は実施例3に適用した場合にも、やはり、皮膜外観と疑似ホイスカー防止性の面で、実施例1と同様の結果が得られた。
Claims (3)
- 第1浴が可溶性第一スズ塩とアルカンスルホン酸を含有する無電解スズメッキ浴であり、第2浴が可溶性第一スズ塩とアルカノールスルホン酸を含有し、且つ、アルカンスルホン酸を含有しない無電解スズメッキ浴であって、
第1浴により被メッキ物に0.3μm以下の膜厚でスズメッキを施した後、第2浴によりスズメッキを施すか、又は、
第2浴によりスズメッキを施した後、第1浴により被メッキ物に0.3μm以下の膜厚でスズメッキを施すことを特徴とする無電解スズの2段メッキ方法。 - 第1浴が可溶性第一スズ塩と有機スルホン酸を含有し、界面活性剤を含有しない無電解スズメッキ浴であり、第2浴が可溶性第一スズ塩と有機スルホン酸と界面活性剤を含有する無電解スズメッキ浴であり、
第1浴により被メッキ物に0.3μm以下の膜厚でスズメッキを施した後、第2浴によりスズメッキを施すか、又は、
第2浴によりスズメッキを施した後、第1浴により被メッキ物に0.3μm以下の膜厚でスズメッキを施すことを特徴とする無電解スズの2段メッキ方法。 - 第1浴が可溶性第一スズ塩と有機スルホン酸と次亜リン酸類を含有し、次亜リン酸類の含有量が0.3モル/L以下の無電解スズメッキ浴であり、第2浴が可溶性第一スズ塩と有機スルホン酸と次亜リン酸類を含有し、次亜リン酸類の含有量が0.3モル/Lより多く、且つ、1.0モル/L以下である無電解スズメッキ浴であり、
第1浴により被メッキ物に0.3μm以下の膜厚でスズメッキを施した後、第2浴によりスズメッキを施すか、又は、
第2浴によりスズメッキを施した後、第1浴により被メッキ物に0.3μm以下の膜厚でスズメッキを施すことを特徴とする無電解スズの2段メッキ方法。
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