JP4120791B2 - 無電解スズメッキ浴 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は無電解スズの有機スルホン酸浴に関して、有機スルホン酸をアルカノールスルホン酸に基本限定しながら、このアルカノールスルホン酸にカルボン酸を共存させることにより、スズメッキ皮膜に異常粒子や過剰析出が発生するのを有効に防止できるものを提供する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無電解スズの有機スルホン酸浴は、排水処理の容易性、スズ塩の溶解性などの見地から多く研究され、報告されている。
本出願人も、特許文献1〜6などで、浴ベースとしての有機スルホン酸と、可溶性第一スズ塩と、銅製素地との置換反応を促進するためのチオ尿素類とを基本組成とする無電解スズメッキ浴を開示している。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−186878号公報
【特許文献2】
特開平7−113179号公報
【特許文献3】
特開平10−36973号公報
【特許文献4】
特開平11−61426号公報
【特許文献5】
特開平11−256350号公報
【特許文献6】
特開平11−343578号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、無電解スズの有機スルホン酸浴を用いた場合、得られるスズメッキ皮膜には析出異常が認められることが少なくないという実情がある。
この点を詳述すると、例えば、プリント基板のリードにスズ皮膜を形成すると、スズ皮膜の表面に微細な異常粒子が群棲して発生したり(図2参照)、或は、ベースフィルムのポリイミド樹脂上にインナリードをパターン形成したフィルムキャリアなどにスズメッキを施すと、インナリードの表面からポリイミド樹脂の周縁に向けてスズ皮膜が樹氷又はフリル状に過剰析出し(図3参照)、これらの異常粒子や過剰析出の発生が短絡や接合強度低下の原因になるため、電子部品などの信頼性を低下させてしまう。
ちなみに、図4〜5は、異常粒子や過剰析出の発生がない正常なスズ皮膜を示したものである。
【0005】
本発明は、有機スルホン酸と可溶性第一スズ塩とチオ尿素類を基本組成とする無電解スズメッキ浴において、得られるスズ皮膜に異常粒子や過剰析出が発生するのを有効に防止することを技術的課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、無電解スズの有機スルホン酸浴において、有機スルホン酸の種類や含有量を変えてスズ皮膜の析出異常の発生状況を鋭意観察した結果、浴ベースとなる有機スルホン酸がアルカンスルホン酸の場合とアルカノールスルホン酸とでは、得られるスズ皮膜上の析出異常の発生度合が大きく異なり、アルカンスルホン酸のアニオン部分が存在すると、スズ皮膜が析出異常になる頻度が増すが、アルカンスルホン酸をアルカノールスルホン酸で代替すると、スズ皮膜の析出異常を顕著に回避できることを突き止めた。
そこで、この知見に基づいて、さらに研究を重ねた結果、このアルカンスルホン酸のアニオン部分が存在しない条件下で、アルカノールスルホン酸にカルボン酸が共存すると、スズメッキ皮膜の異常粒子や過剰析出の発生を有効に防止できることを見い出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明1は、可溶性第一スズ塩と有機スルホン酸とチオ尿素類を含有する無電解スズメッキ浴において、
上記有機スルホン酸として、アルカノールスルホン酸のアニオン部分を含み、且つ、アルカンスルホン酸のアニオン部分を含有せず、
さらに、上記アルカノールスルホン酸とともに、カルボン酸を含有することを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
【0008】
本発明2は、上記本発明1において、アルカノールスルホン酸がC1〜C5アルカノールスルホン酸であることを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
【0009】
本発明3は、上記本発明1又は2において、カルボン酸が、脂肪族オキシカルボン酸、脂肪族ポリカルボン酸であることを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
【0010】
本発明4は、上記本発明1〜3のいずれかにおいて、可溶性第一スズ塩が、ホウフッ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第一スズ、塩化第一スズ、ピロリン酸スズ、スルファミン酸スズ、亜スズ酸塩より選ばれた無機系の可溶性塩、アルカノールスルホン酸第一スズ、スルホコハク酸第一スズ、脂肪族カルボン酸第一スズより選ばれた有機系の可溶性塩であることを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
【0011】
本発明5は、上記本発明1〜4のいずれかにおいて、さらに、酸化防止剤を含有することを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
【0012】
本発明6は、上記本発明1〜5のいずれかにおいて、さらに、界面活性剤を含有することを特徴とする無電解スズメッキ浴である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、可溶性第一スズ塩と有機スルホン酸とチオ尿素類を基本組成とする無電解スズメッキ浴において、下記の(a)〜(b)のすべての条件を満たす浴である。
(a)有機スルホン酸として、アルカノールスルホン酸のアニオン部分を含み、且つ、アルカンスルホン酸のアニオン部分を含有しない。即ち、有機スルホン酸として、アルカノールスルホン酸を含有する必要があるが、これとは逆に、アルカンスルホン酸の含有は排除される。
上記アルカノールスルホン酸のアニオン部分とは、浴中に遊離酸として含まれても良いし、アルカノールスルホン酸の第一スズ塩として含まれても良いという意味である。従って、アルカンスルホン酸のアニオン部分に関しては、遊離酸としてのアルカンスルホン酸のみならず、アルカンスルホン酸の第一スズ塩も浴中での存在を排除される。
【0014】
(b)浴中には、アルカノールスルホン酸と共に、カルボン酸が共存することが必要である。
カルボン酸は、浴中に遊離酸として含まれることを基本とするが、例えば、カルボン酸の第一スズ塩として含まれることを排除するものではない。
また、浴中には、アルカノールスルホン酸とカルボン酸の共存が必要条件であるため、この外に他の酸、例えば、フェノールスルホン酸、ナフトールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホサリチル酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などのようなアルカンスルホン酸には属さない芳香族スルホン酸や、硫酸、塩酸、ホウフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、スルファミン酸などの無機酸が存在しても差し支えない。
【0015】
上記アルカンスルホン酸は、化学式Cn2n+1SO3H(例えば、n=1〜11)で示されるものであり、具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1―プロパンスルホン酸、2―プロパンスルホン酸、1―ブタンスルホン酸、2―ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸などが挙げられる。
【0016】
上記アルカノールスルホン酸は、化学式
m2m+1-CH(OH)-Cp2p-SO3H(例えば、m=0〜6、p=1〜5)
で示されるものであり、具体的には、ヒドロキシメタンスルホン酸、2―ヒドロキシエタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシペンタン―1―スルホン酸などの外、1―ヒドロキシプロパン―2―スルホン酸、3―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、3―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、4―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシヘキサン―1―スルホン酸などが挙げられる。
本発明で使用するアルカノールスルホン酸としては、本発明2に示すように、C1〜C5アルカノールスルホン酸が好ましく、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシブタンスルホン酸、3−ヒドロキシブタンスルホン酸、4−ヒドロキシブタンスルホン酸などがより好ましい。
【0017】
上記カルボン酸は、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸などである。当該脂肪族カルボン酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、グリコール酸などのオキシカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ジグリコール酸、グルタル酸、アジピン酸などのポリカルボン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸などが挙げられる。
上記芳香族カルボン酸としては、安息香酸、サルチル酸、テレフタル酸などが挙げられる。但し、スルホ安息香酸のように、分子内にスルホン酸基とカルボン酸基を兼備する芳香族化合物は本発明では芳香族カルボン酸ではなく、芳香族スルホン酸に属するものとして定義される。
上記カルボン酸としては、脂肪族カルボン酸が好ましく、特に、本発明3に示すように、脂肪族オキシカルボン酸、脂肪族ポリカルボン酸がより好適である。
【0018】
本発明の無電解スズ浴では、上記アルカノールスルホン酸とカルボン酸の共存が必要であるが、これらのアルカノールスルホン酸とカルボン酸は、各々単用又は併用でき、その添加量は総計で0.1〜7.0モル/L、好ましくは1.0〜5.0モル/Lである。
無電解スズ浴に共存させるアルカノールスルホン酸とカルボン酸としては、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−ヒドロキシプロパンスルホン酸などのアルカノールスルホン酸と、クエン酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、グリコール酸、コハク酸、メルカプトコハク酸、シュウ酸、ギ酸などのカルボン酸の組み合わせが好ましい。
【0019】
上記可溶性第一スズ塩を上記条件(a)〜(b)に基づいて説明すると、本発明4に示すように、ホウフッ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第一スズ、塩化第一スズ、ピロリン酸スズ、スルファミン酸スズ、亜スズ酸塩などの無機系の可溶性塩、アルカノールスルホン酸第一スズ、芳香族オキシスルホン酸第一スズ塩、脂肪族カルボン酸第一スズなどの有機系の可溶性塩などが挙げられる。
当該可溶性第一スズ塩の添加量は1〜200g/L、好ましくは5〜100g/Lである。
但し、上記条件(a)により、有機スルホン酸の第一スズ塩では、アルカンスルホン酸の第一スズ塩は排除される。
【0020】
上記チオ尿素類は、素地金属の銅、銅合金に配位して錯イオンを形成し、銅の電極電位を卑の方向に変移させて、スズとの化学置換反応を促進するために含有される。
このチオ尿素類には、チオ尿素、或は、1,3―ジメチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素(例えば、1,3―ジエチル―2―チオ尿素)、N,N′―ジイソプロピルチオ尿素、アリルチオ尿素、アセチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、1,3―ジフェニルチオ尿素、二酸化チオ尿素、チオセミカルバジドなどのチオ尿素誘導体が挙げられる。
当該チオ尿素類と同様の錯化作用を奏する化合物としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA・2Na)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、エチレンジアミンテトラメチレンリン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンリン酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、イミノジプロピオン酸(IDP)、アミノトリメチレンリン酸、アミノトリメチレンリン酸五ナトリウム塩、ベンジルアミン、2―ナフチルアミン、イソブチルアミン、イソアミルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、シンナミルアミン、p―メトキシシンナミルアミンなども有効である。
上記錯化剤の添加量は0.1〜7.0モル/L、好ましくは0.5〜4.0モル/L、より好ましくは1.0〜3.0モル/Lである。
【0021】
本発明6に示すように、無電解スズメッキ浴には上記基本成分以外に、公知の界面活性剤を含有できる。
上記界面活性剤には通常のノニオン系、アニオン系、両性、或はカチオン系などの各種界面活性剤が挙げられ、メッキ皮膜の外観、緻密性、平滑性、密着性などの改善に寄与する。
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、モノ〜トリアルキルアミン塩、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、トリメチルアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、C1〜C25アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシルリン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、C1〜C22脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2〜300モル付加縮合させたものなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。
当該界面活性剤の添加量は0.01〜100g/L、好ましくは0.1〜50g/Lである。
【0022】
本発明5に示すように、無電解スズメッキ浴には公知の酸化防止剤を含有できる。
上記酸化防止剤は、浴中のSn2+の酸化防止を目的としたもので、次亜リン酸又はその塩、アスコルビン酸又はその塩、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、フロログルシン、クレゾールスルホン酸又はその塩、フェノールスルホン酸又はその塩、カテコールスルホン酸又はその塩、ハイドロキノンスルホン酸又はその塩、ヒドラジンなどが挙げられる。
上記酸化防止剤の添加量は0.01〜2.0モル/L、好ましくは0.05〜1.5モル/L、より好ましくは0.1〜1.0モル/Lである。
【0023】
また、無電解スズメッキ浴には上記成分以外に、必要に応じて公知の光沢剤、半光沢剤、pH調整剤、防腐剤などの各種添加剤を混合できることはいうまでもなく、浴中に少量又は微量添加される。
上記光沢剤、或は半光沢剤としては、ベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、2,4,6−トリクロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、フルフラール、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、3−アセナフトアルデヒド、ベンジリデンアセトン、ピリジデンアセトン、フルフリルデンアセトン、シンナムアルデヒド、アニスアルデヒド、サリチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、グルタルアルデヒド、パラアルデヒド、バニリンなどの各種アルデヒド、トリアジン、イミダゾール、インドール、キノリン、2−ビニルピリジン、アニリン、フェナントロリン、ネオクプロイン、ピコリン酸、チオ尿素類、N―(3―ヒドロキシブチリデン)―p―スルファニル酸、N―ブチリデンスルファニル酸、N―シンナモイリデンスルファニル酸、2,4―ジアミノ―6―(2′―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―エチル―4―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―ウンデシルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、サリチル酸フェニル、或は、ベンゾチアゾール、2―メチルベンゾチアゾール、2―アミノベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メトキシベンゾチアゾール、2―メチル―5―クロロベンゾチアゾール、2―ヒドロキシベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メチルベンゾチアゾール、2―クロロベンゾチアゾール、2,5―ジメチルベンゾチアゾール、5―ヒドロキシ―2―メチルベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール類などが挙げられる。
【0024】
上記pH調整剤としては、塩酸、硫酸等の各種の酸、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の各種の塩基などが挙げられるが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸類、ホウ酸類、リン酸類、シュウ酸、コハク酸などのジカルボン酸類、乳酸、酒石酸などのオキシカルボン酸類などが有効である。
上記防腐剤としては、ホウ酸、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、塩化ベンザルコニウム、フェノール、フェノールポリエトキシレート、チモール、レゾルシン、イソプロピルアミン、グアヤコールなどが挙げられる。
【0025】
無電解スズメッキの条件としては任意であるが、浴温は45〜90℃が好ましく、析出速度を増す見地から50〜70℃がより好ましい。
【0026】
【発明の効果】
冒述したように、無電解スズメッキでは、浴ベースとなる有機スルホン酸がアルカンスルホン酸の場合とアルカノールスルホン酸とでは、得られるスズ皮膜上の析出異常の発生度合が大きく異なり、アルカンスルホン酸のアニオン部分が存在すると、スズ皮膜が析出異常する頻度が増し、アルカノールスルホン酸では、このような析出異常は顕著に解消される。
本発明は、上記知見に基づくもので、無電解メッキ浴中にアルカンスルホン酸(アニオン部分)を存在させず、アルカノールスルホン酸とカルボン酸を共存させるため、浴から得られるスズ皮膜に異常粒子が発生したり、過剰析出を起こすのを有効に防止して、良好な外観のメッキ皮膜を形成できる。
【0027】
ちなみに、冒述の特許文献6の実施例5(段落50参照)には、アルカンスルホン酸(アニオン部分)を含まず、アルカノールスルホン酸(アニオン部分)とスルホ安息香酸を共存させた無電解スズメッキ浴が開示されているが、スルホ安息香酸は芳香族スルホン酸であり、本発明が定義するカルボン酸から外れる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の無電解スズメッキ浴の実施例、当該メッキ浴から得られたスズ皮膜の外観評価試験例を順次説明する。
尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0029】
下記の実施例1〜12のうち、実施例1、実施例2〜3、実施例6、実施例8〜11はアルカノールスルホン酸と脂肪族オキシカルボン酸を併用した例、実施例4、実施例7、実施例12はアルカノールスルホン酸と脂肪族ポリカルボン酸の併用例、実施例5はアルカノールスルホン酸と脂肪族モノカルボン酸の併用例である。また、実施例5、実施例8、実施例10〜12は複数種のアルカノールスルホン酸を使用した例である。
一方、比較例1〜6のうち、比較例1は冒述の特許文献6の実施例5(段落50)を援用したもので、アルカンスルホン酸(アニオン部分)を含まず、アルカノールスルホン酸のみを含有する例(詳細には、アルカノールスルホン酸と、芳香族スルホン酸に属するスルホ安息香酸が共存する例)である。比較例2はアルカンスルホン酸(アニオン部分)を含まず、カルボン酸のみを含有する例である。比較例3はアルカンスルホン酸を含有し、アルカノールスルホン酸及びカルボン酸を含有しない例である。比較例4はアルカノールスルホン酸(アニオン部分)及びカルボン酸を含有し、さらに、アルカンスルホン酸を含有する例である。比較例5は有機スルホン酸として、芳香族スルホン酸(フェノールスルホン酸)のみを含有する例であり、比較例6は有機スルホン酸として、アルカノールスルホン酸と芳香族スルホン酸(フェノールスルホン酸)を含有する例である。
【0030】
《実施例1》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004120791
【0031】
《実施例2》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004120791
【0032】
《実施例3》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004120791
【0033】
《実施例4》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004120791
【0034】
《実施例5》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004120791
【0035】
《実施例6》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004120791
【0036】
《実施例7》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004120791
【0037】
《実施例8》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004120791
【0038】
《実施例9》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004120791
【0039】
《実施例10》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004120791
【0040】
《実施例11》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004120791
【0041】
《実施例12》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004120791
【0042】
《比較例1》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004120791
【0043】
《比較例2》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004120791
【0044】
《比較例3》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004120791
【0045】
《比較例4》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004120791
【0046】
《比較例5》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004120791
【0047】
《比較例6》
下記の組成により無電解スズメッキ浴を建浴した。
Figure 0004120791
【0048】
《スズメッキ皮膜の外観評価試験例》
そこで、SLP(電解銅箔の一種)でパターン形成したTABのフィルムキャリアを被メッキ物として、このフィルムキャリアのインナリード上に、上記実施例1〜12及び比較例1〜6の各無電解スズメッキ浴を用いて、浴温65℃、メッキ時間5分の条件で無電解メッキを施して、得られたスズ皮膜の析出状況を微視観察し、皮膜外観を評価した。
【0049】
即ち、上記皮膜外観は、冒述したように、スズ皮膜の表面に微細な異常粒子が群棲して発生しているか、或は、スズ皮膜が樹氷又はフリル状に過剰析出しているかなどを中心とした析出異常の有無に基づいて評価した。具体的には、異常粒子のない正常なスズ皮膜を示す基準写真(図4に対応)、過剰析出のない正常なスズ皮膜を示す基準写真(図5に対応)、異常粒子の発生したスズ皮膜を示す基準写真(図2に対応)、過剰析出の発生したスズ皮膜を示す基準写真(図3に対応)を用意し、実施例1〜12及び比較例1〜6の各スズ皮膜の状態がこれらの基準写真のいずれに該等するのかを判定したうえで、下記の評価基準に従って評価した。
○ :過剰析出も異常粒子も認められず。
1:異常粒子が発生した。
2:過剰析出が発生した。
× :過剰析出と異常粒子が共に発生した。
【0050】
図1はその試験結果を示す。
実施例1〜12から得られたスズ皮膜では、すべて異常粒子や過剰析出の発生はなく、良好な外観のスズ皮膜が形成できたが、比較例1〜6では異常粒子及び/又は過剰析出が発生し、スズ皮膜に析出異常が認められたため、良好なスズ皮膜は得られなかった。
以上の点を詳述すると、先ず、実施例1〜12と比較例3〜4の対比から、メッキ浴中にアルカンスルホン酸のアニオン部分が存在すると、なんらかの析出異常が発生し、それは、比較例3のように、有機酸としてアルカンスルホン酸のみを含む場合に限らず、比較例4のように、アルカノールスルホン酸とカルボン酸の共存下でアルカンスルホン酸を含む場合も同じく析出異常になることが確認できた。
また、アルカンスルホン酸(アニオン部分)が存在しないメッキ浴であっても、アルカノールスルホン酸のみしか存在しない比較例1、或は、カルボン酸しか存在しない比較例2では、いずれも異常粒子が発生することから、析出異常を防止する見地に立てば、メッキ浴中にはアルカンスルホン酸(アニオン部分)が不在であることに加え、アルカノールスルホン酸とカルボン酸の両成分の共存の必要性が確認できた。
さらに、有機スルホン酸として芳香族スルホン酸しか含まず、カルボン酸を含まない比較例5では、異常粒子と過剰析出の両方が観察された。同様に、カルボン酸を含まず、有機スルホン酸としてアルカノールスルホン酸とフェノールスルホン酸を含有し、且つ、アルカノールスルホン酸とフェノールスルホン酸の含有モル比が1:1である比較例6では、過剰析出が観察された。
以上のことから、無電解スズの有機スルホン酸浴にあっては、アルカンスルホン酸(アニオン部分)が存在すると得られるスズ皮膜に析出異常が発生するが、アルカンスルホン酸(アニオン部分)の不在下でも、アルカノールスルホン酸とカルボン酸の一方だけが存在しても析出異常を円滑に回避できず、異常粒子、過剰析出のいずれの析出異常をも円滑に回避して、良好な外観のスズ皮膜を得るためには、アルカンスルホン酸(アニオン部分)の不在下で、且つ、アルカノールスルホン酸とカルボン酸の共存が必要であることが明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜12及び比較例1〜6の各無電解スズメッキ浴から得られたスズ皮膜の外観評価試験の結果を示す図表である。
【図2】異常粒子が発生したスズ皮膜を示す電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。
【図3】過剰析出が発生したスズ皮膜を示す電子顕微鏡写真(倍率500倍)である。
【図4】異常粒子の発生がない正常なスズ皮膜を示す電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。
【図5】過剰析出の発生がない正常なスズ皮膜を示す電子顕微鏡写真(倍率500倍)である。

Claims (6)

  1. 可溶性第一スズ塩と有機スルホン酸とチオ尿素類を含有する無電解スズメッキ浴において、
    上記有機スルホン酸として、アルカノールスルホン酸のアニオン部分を含み、且つ、アルカンスルホン酸のアニオン部分を含有せず、
    さらに、上記アルカノールスルホン酸とともに、カルボン酸を含有することを特徴とする無電解スズメッキ浴。
  2. アルカノールスルホン酸が、C1〜C5アルカノールスルホン酸であることを特徴とする請求項1に記載の無電解スズメッキ浴。
  3. カルボン酸が、脂肪族オキシカルボン酸、脂肪族ポリカルボン酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の無電解スズメッキ浴。
  4. 可溶性第一スズ塩が、ホウフッ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第一スズ、塩化第一スズ、ピロリン酸スズ、スルファミン酸スズ、亜スズ酸塩より選ばれた無機系の可溶性塩、アルカノールスルホン酸第一スズ、スルホコハク酸第一スズ、脂肪族カルボン酸第一スズより選ばれた有機系の可溶性塩であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の無電解スズメッキ浴。
  5. さらに、酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の無電解スズメッキ浴。
  6. さらに、界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の無電解スズメッキ浴。
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