JP3854614B2 - 押圧成型乾燥食材の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明においては、対象となる食材は特に限定されないが、嵩高く水分含有率の高い食材であることが好ましい。本発明の目的が良好な復元性を備えた乾燥食材の開発であるため、嵩高く水分含有率の高い食材においてこそ、本発明の効果が十分に発揮されるからである。具体的には、キャベツ、ほうれんそう、こまつな、チンゲンサイ、野沢菜等のいわゆる葉もの野菜類、あるいはもやし、豆苗などの幼芽状態の野菜、カリフラワーやブロッコリーなどの花芽植物などが例として挙げられる。ブロッコリーやカリフラワーなどの花芽植物の場合においては、従来の乾燥食材では花芽の部分が剥離、落下してしまう問題があったが、本発明ではほぼ付着した状態を維持できる。また、場合によっては、野菜の他にきのこや海藻を好適に使用することができる。なお、これらの食材は適宜、トリミングして洗浄した後、食材の種類に応じて20〜50mm×20〜50mmの大きさにカットされ、乾燥食材の製造に供される。
[ブランチ工程]
先ず、本発明に係る乾燥食材の製造方法においては、対象となる食材にブランチ処理を施して、ブランチ処理済み食材を得るブランチ工程が含まれる。ブランチ工程では、トリミング、洗浄後に所定の大きさにカットされた食材に対して、加熱処理または冷却処理等の前処理が施される。このブランチ処理工程により、各食材が喫食可能な状態となる。
ブランチ処理工程の後には、ブランチ処理によって喫食可能な状態になった食材に賦形剤を混合して、賦形剤混合済み食材を得る賦形剤混合工程が行われる。ここで、混合される賦形剤としては、糖類が好ましい。具体的には、ブドウ糖や乳糖の他、果糖等の単糖類やショ糖等の二糖類でもよいが、2種以上を併用することが好ましい。賦形剤の種類の選択に当たっては、対象とする食材により選択するのが好ましく、これら賦形剤の混合量も適宜調整される。好ましい賦形剤の混合量は、食材の重量の1%以上10%以下であり、さらに好ましくは、食材の重量の1%以上6%以下である。ただし、賦形剤の混合量が食材の重量の1%以下であったり、10%以上であっても、本発明と同等の効果がある限り、均等物として解釈されるべきである。これら賦形剤を添加して均一な状態になるまでよく混合し、熱風乾燥に供する。
賦形剤混合工程終了後には、賦形剤混合済み食材に対して熱風乾燥処理を施して、熱風乾燥処理済み食材を得る熱風乾燥工程が行われる。この熱風乾燥工程に供される食材は、水分含有率の高い状態の食材であり、比較的高温下で乾燥を実施しても蒸発水分量も多く、製品自体の温度が上昇することがない。また、熱風乾燥の初期段階では、食材の付着水及び植物体組織内の遊離状態にある水分が、組織内を移動して組織の表面、多くは切断面に達したところで蒸発が起こる。この遊離状態の水分の除去は比較的容易に行うことができ、植物体自体に与える組織的損傷も少なく、効率的な乾燥を行うことができる。一方、この遊離状態の水分除去の段階を超えて熱風乾燥を継続した場合には、組織を構成している成分としての水分、いわゆる結合状態にある水分を除去することになるので、不可逆的な変化をもたらすだけでなく、かなりのエネルギーを要することになる。
次に、熱風乾燥済み食材に押圧成型処理を施して、押圧成型処理済み食材を得る押圧成型工程が行われる。この押圧成型という処理は、乾燥食材の製造においてはこれまで見られなかった処理であり、「乾燥による折り畳み性の付与」という新たな技術的思想に着目して採用されたものである。具体的には、熱風乾燥済み食材をモールドトレーと呼ばれる成型加工用の容器内に入れた後、押圧処理が行われる。押圧処理の際に食材にかける圧力は、0.05kg/cm2以上0.50kg/cm2以下の範囲内であることが好ましく、0.11kg/cm2以上0.23kg/cm2以下の範囲内であることがさらに好ましい。圧力が0.05kg/cm2以下の場合には、乾燥後の製品の成型状態の維持が困難であり、押圧処理の効果を発揮することができない。一方、圧力が0.50kg/cm2以上の場合には、乾燥後の製品は固い成型状態を保ってはいるものの、使用に際して復元に供したときに数分以内での素早い復元が期待できない。さらには、野菜の組織が強く圧迫された状態のまま良好に復元せず、いわゆる「シャキッ」としたテクスチャーを得ることができない。また、この押圧成型工程に供される熱風乾燥済み食材は、幾分残存している遊離状態の水分に賦形剤混合工程で添加した賦形剤が溶解して粘性を帯び、接着性を有している。しかも、かなりの柔軟性を有していることから、押圧成型処理に十分に耐えて成型された状態を維持することができる。従って、このような熱風乾燥処理済み食材を押圧成型工程に供することにより、その後の凍結乾燥工程を経ても、成型された形状を保持することができる。即ち、乾燥食材に加工性の良さという付加価値を付与することができる。
最後に、押圧成型済み食材に凍結乾燥処理を施して、凍結乾燥処理済み食材を得る凍結乾燥工程が行われる。この凍結乾燥工程に供される押圧成型済み食材は、水分含有率はほぼ20〜40%であり、賦形剤も存在していることを考慮して、−30℃くらいの凍結で十分である。この凍結乾燥工程では、一般的な食材に採用している真空条件よりもやや高真空条件下で行われ、食材が凍結状態を十分に維持できる70〜30Paの条件下で行うのが好ましく、凍結乾燥工程中の製品温度は45℃を上限として行われる。
本発明に係る製造方法により製造される乾燥食材は、非常に大きな単位体積当たりの復元後の重量を有している。具体的には、本発明で製造される乾燥食材の単位体積当たりの復元後の重量は、1.4g/cm3以上5.0g/cm3以下である。ここで、乾燥食材単位体積当たりの復元後の重量は、以下の数式1により求められる。
本発明に係る製造方法により製造された乾燥食材は、上述したように、非常に大きな単位体積当たりの復元後の重量を有している。従って、この乾燥食材の特徴を生かして、この乾燥食材を運搬に供することにより、大量運搬が可能な乾燥食材の運搬方法を提供することができる。この運搬方法によれば、非常に効率的な運搬が可能となる。
生鮮キャベツ2kgについて、最外皮及び芯部を除去した後、平均30mm×25mmの大きさにカットして洗浄した。洗浄後、太めの葉脈部や短時間の加熱処理では熱の伝わりにくい部分を除去したキャベツ1640gを得た。次いで、98℃、100秒のブランチ処理を行った後、水冷して20℃以下にし、遠心脱水を2分間行って1430gのブランチ処理済みキャベツを得た。このブランチ処理済みキャベツの重量の2%量に相当するブドウ糖28.6g及び乳糖28.6gずつを加えてよく混合し、30分間静置して1470gの賦形剤混合済みキャベツを得た後、熱風乾燥に供した。熱風乾燥は、積載40kg/m2(換算量)、70℃の条件下で行った。ときおり攪拌しながら熱風乾燥を進め、100分後、初期重量のほぼ30%に相当する440gの重量に達したところで熱風乾燥を打ち切り、全体の水分分布が均等になるように30分静置した。次いで、開口部の大きさが30mm×30mmで、深さが20mmの大きさの成型用モールドトレーに、1個の枠あたり15gずつを充填した後、厚さが15mm程度になるように食材を強く押圧した。押圧して得られた押圧成型処理済みキャベツを−30℃での凍結に供した。凍結完了後、60Paの真空条件下で凍結乾燥し、1個の大きさがおよそ26mm(縦)×26mm(横)×14mm(高さ)、平均重量3.7g、水分含有率2.1%の成型乾燥食材を得た。
生鮮ブロッコリー3kgについて、花芽部より下部15mmのところで茎部を除去して1510gの花芽部を得た。次いで、これを洗浄して90℃、120秒のブランチ処理を行った後、水冷してから2分間の遠心脱水を行い、1500gのブランチ処理済みブロッコリーを得た。このブランチ処理済みブロッコリーの重量の2%に相当するブドウ糖30g及び乳糖30gずつを加えてよく混合し、30分間静置して1540gの賦形剤混合済みブロッコリーを得た後、熱風乾燥に供した。熱風乾燥は、積載30kg/m2(換算量)、70℃の条件下で行った。ときおり攪拌しながら熱風乾燥を進め、45分後、初期重量の約38%量の585gに達した時点で熱風乾燥を打ち切り、30分間静置して水分分布を均等にした。次いで、開口部の大きさが30mm×30mmで、深さが20mmの大きさの成型用モールドトレーに、1個の枠あたり15gずつを充填し、厚さが15mm程度になるように食材を強く押圧した。押圧して得られた押圧成型処理済みブロッコリーを−30℃での凍結に供した。凍結完了後、60Paの真空条件下で凍結乾燥を行い、1個の大きさがおよそ26mm(縦)×26mm(横)×14mm(高さ)、平均重量3.4g、水分含有率3.0%の成型乾燥食材を得た。
約30cmに生育した生鮮ほうれんそう3kgについて、赤い根の部分より上部1cmのところでカットして根の部分を除去し、さらにその他の非可食部を除去したほうれんそう2610gを得た。次いで、これを洗浄して3cmにカットし、98℃、120秒間のブランチ処理を行った。その後、水冷してから2分間の遠心脱水を行い、2200gのブランチ処理済みほうれんそうを得た。このブランチ処理済みほうれんそうの重量の5%量に相当するブドウ糖110g及び乳糖110gずつを添加してよく混合し、約40分静置して2380gの賦形剤混合済みほうれんそうを得た後、熱風乾燥に供した。熱風乾燥は、積載約10kg/m2(換算)、70℃の条件下で行った。ときおり攪拌しながら熱風乾燥を進め、約35分後、初期重量の55%量の1300gに達した時点で熱風乾燥を打ち切り、30分間静置して水分分布を均等にした。次いで、開口部の大きさが30mm×30mmで、深さが20mmの大きさの成型用モールドトレー(8×10面構成:面積はほぼ880cm2)に、1個の枠あたり16gずつ秤量して充填した。充填後、食材全体に150kgの重石を載せて(圧力:150kg/880cm2=0.17kg/cm2)押圧し、2分間静置した。押圧して表面を均等にした後、−25℃での凍結に供した。凍結完了後、90Paの真空条件下で凍結乾燥を行い、1個の大きさがおよそ27mm(縦)×27mm(横)×18mm(高さ)、平均重量5.1g、水分含有率3.0%の成型乾燥食材を得た。
ごく一部に開きかけのものがある以外は、そのほとんどが蕾の状態の花芽を有する生鮮菜の花(アブラナ科の野菜で花芽部が発生した可食状態のもの)を準備した。この菜の花を、葉部を含めてほぼ25cmの長さにカットし、カット済みの生鮮菜の花2.8kgを得た。このカット済みの菜の花について、切り口部を含む下部1cmを切り捨て、さらにその他の非可食部分を除去した2460gの菜の花を得た。花芽部を長さ3cmのところでカットして葉・茎部とに分け、それぞれを洗浄した後、さらに葉・茎部を3cmにカットした。これらを分けた状態で98℃、150秒間のブランチ処理を行なった後、水冷して2分間の遠心脱水を行い、ブランチ処理済みの菜の花の花芽部260g及び葉・茎部1950gを得た。次いで、このブランチ処理済みの菜の花の花芽部に、その重量の5%量に相当するブドウ糖13g及び乳糖13gずつを添加してよく混合した。また、ブランチ処理済みの菜の花の葉・茎部にも、その重量の5%量に相当するブドウ糖97.5g及び乳糖97.5gずつを添加してよく混合した。混合後、これらを約45分間静置して賦形剤混合済みの菜の花の花芽部280g及び葉・茎部2100gを得て熱風乾燥に供した。熱風乾燥は、積載12kg/m2(換算量)、70℃の条件下でときおり攪拌しながら行った。約40分後、花芽部が初期重量の61%量の170g、葉・茎部が初期重量の59%量の1240gに達した時点で熱風乾燥を打ち切り、40分間静置して水分分布を均等にした。水分分布を均等にした後、開口部の大きさが36mm×40mmで、深さが20mmの大きさの成型用モールドトレー(8×7面構成:面積はほぼ880cm2)に、1個の枠あたり花芽部と葉・茎部合わせて25gを秤量して充填した。その際、いずれの枠の中にも花芽部が1個以上入るように調整した。次いで、食材全体に150kgの重石を載せて(圧力150kg/880cm2=0.17kg/cm2)2分間静置し、表面を均等化してから−25℃での凍結に供した。凍結完了後、80Paの真空条件下で凍結乾燥を行い、1個の大きさがおよそ34mm(縦)×38mm(横)×18mm(高さ)、平均重量6.1g、水分含有率2.8%の成型乾燥食材を得た。
生鮮しいたけ、ひらたけ、えのきたけ、及び、加工された水煮状態のしめじ(各きのこの名称は市販品での名称を使用)を準備した。しいたけについては、柄の部分は使用しないため除去し、直径5cm〜7cm程度の生鮮しいたけのいわゆる傘部のみを洗浄した。洗浄後、ほぼ円形の傘部を半裁して直角に4mm〜5mm巾にスライスした。ひらたけについては、高さ7cm〜10cm程度の生鮮ひらたけを使用し、いしづき部分を除去して洗浄し、最長5cmの長さになるようにほぼ半分に切断して、方向は特に定めずに4mm〜5mm巾にスライスした。えのきたけについては、全長およそ15cm〜18cm、直径6cm〜8cm程度の生鮮えのきたけを使用した。この生鮮えのきたけの下部より5cmくらいのところでカットして根の部分を除去し、上部をほぼ半分にカットして4cm〜5cmの長さとし、バラバラの状態にほぐした。水煮しめじについては、傘の部分の直径が6mm〜7mm、全長30mm以内の大きさの水煮しめじを使用し、金網ザルで水切りした。以上4種のきのこを洗浄、水切りした後、洗浄・水切り後の重量比が同一となるような割合でこれらを混合して、2000gのきのこミックスを得た。各きのこの原料としての使用量は、しいたけが680g、ひらたけが550g、えのきたけが650gであった。このきのこミックスに対して、98℃、45秒間のブランチ処理を行った後、取り扱いがし易いように軽く水冷して3分間の遠心分離を行い、1650gのブランチ処理済みきのこミックスを得た。次いで、このブランチ処理済みきのこミックスの重量の3%量に相当するブドウ糖49.5g及び乳糖49.5gずつを添加してよく混合した。混合後、40分間静置して、このきのこミックス1730gを網目が1mm程度の布を敷いて固定した状態で熱風乾燥に供した。熱風乾燥は、積載約20kg/m2(換算量)、70℃の条件下で行った。45分後、初期重量の69%量の1200gに達した時点で熱風乾燥を打ち切り、水分分布を均等化するために、約60分間静置した。なお、熱風乾燥はときおり攪拌しながら行ったが、えのきたけが他のきのこにからみつくような状態であった。次いで、このきのこミックスを15gずつ秤量し、1個の枠あたりに全ての種類のきのこが入るように調整しながら、開口部の大きさが30mm×30mmで、深さが20mmの大きさの成型用モールドトレー(8×10面構成:面積はほぼ880cm2)に充填した。充填後、食材全体に150kgの重石を載せて(圧力150kg/880cm2=0.17kg/cm2)2分間静置し、表面を均等にしてから−25℃での凍結に供した。凍結完了後、80Paの真空条件下で凍結乾燥を行い、1個の大きさがおよそ28mm(縦)×28mm(横)×19mm(高さ)、平均重量3.1g、水分含有率2.8%の成型乾燥食材を得た。
通常に収穫した生鮮こまつなについて、根の部分より2cm上のところでカットし、枯葉、変色葉、虫食い等の非可食部分を除去して洗浄に供した。次いで、40mm×30mmの大きさにカットし、98℃、180秒のブランチ処理を行った後、水冷して3分間の遠心脱水を行ってブランチ処理済みこまつなを得た。このブランチ処理済みこまつなの重量の5%量に相当するブドウ糖及び乳糖をそれぞれ添加してよく混合し、40分間静置して均等化を図ってから熱風乾燥に供した。熱風乾燥は、積載約30kg/m2、80℃の条件下でときおり攪拌しながら行い、約50分後、初期重量の68%量に達した時点で熱風乾燥を打ち切り、30分以上静置して水分分布の均等化を図った。一方、通常に収穫した生鮮青ねぎ(一般的な九条細ねぎ系の原料)について、根の部分の2cm上のところでカットし、枯葉、変色葉、虫食い等の非可食部分を除去して洗浄に供した。次いで、繊維方向と直角に巾4mm〜5mmにカットし、98℃、30秒のブランチ処理を行った後、水冷して3分間の遠心脱水を行い、ブランチ処理済み青ねぎを得た。このブランチ処理済み青ねぎの重量の3%量に相当するブドウ糖及び乳糖をそれぞれ添加してよく混合し、40分間静置して均等化を図ってから熱風乾燥に供した。熱風乾燥は、積載約20kg/m2(換算量)、70℃の条件下でときおり攪拌しながら行い、約30分後、初期重量の61%量に達した時点で熱風乾燥を打ち切り、30分間以上静置して水分分布の均等化を図った。さらに、通常に収穫して葉部を除去し、軽く洗浄したにんじんについて、頂部および毛根等の非可食部を除去した後、洗浄に供した。次いで、標準の大きさ3mm×3mm×30mmの千切り状にカットした後、1%濃口しょうゆ及び0.05%のビタミンCの混合液中で、98℃、150秒間加熱し、引き上げた。その後、水冷せずに放置冷却して遠心脱水を2分間行ない、ブランチ処理済みにんじんを得た。このブランチ処理済みにんじんの重量の5%量に相当する砂糖を添加してよく混合し、40分静置して均等化した。次いで、積載約20kg/m2(換算量)、70℃の条件下で熱風乾燥に供し、35分後に初期重量の68%量に達した時点で熱風乾燥を打ち切り、30分間の静置を行なって水分分布の均等化を図った。以上のようにして得られたこまつなを15g、青ねぎを5g、にんじんを3gの他、市販の乾燥わかめチップ(復元時の大きさ:標準20mm×20mm)0.5gを秤量して混合し、合計23.5gを開口部の大きさが36mm×40mmで、深さが20mmの大きさの成型用モールドトレー(8×7面構成:面積はほぼ880cm2)に充填した。充填後、食材全体に150kgの重石を載せて(圧力150kg/880cm2=0.17/cm2)2分間静置し、表面を均等にしてから−25℃での凍結に供した。凍結完了後、70Paの真空条件下で凍結乾燥を行い、1個の大きさがおよそ34mm(縦)×37mm(横)×18mm(高さ)、平均重量6.8g、水分含有率2.6%の成型乾燥食材を得た。
通常に収穫した生鮮ブロッコリーについて、白い花芽部分その他変色した花芽部分を除去し、花芽部分の下1cmくらいのところで花芽の巾が2cm〜3cmとなるようにカットして洗浄に供した。次いで、98℃、60秒の1次ブランチ処理を行って水冷した後、柔らかくなったブロッコリーの花芽の中の異物選別処理を行った。選別処理後、98℃、180秒の2次ブランチ処理を行った後、水冷して2分間の遠心脱水を行い、ブランチ処理済みブロッコリーを得た。このブランチ処理済みブロッコリーの重量の2%量に相当するブドウ糖及び乳糖をそれぞれ添加してよく混合し、40分間静置して均等化を図ってから熱風乾燥に供した。熱風乾燥は、積載約40kg/m2、70℃の条件下で行い、ときおり攪拌しながら乾燥を進めた。約50分後、初期重量の68%量に達したところで熱風乾燥を打ち切り、40分間以上静置して水分分布の均等化を図った。一方、通常に収穫した生鮮キャベツについて、最も外側の葉及び変色部を除去し、葉を1枚ずつはがして巾が15mm以上の葉脈部及び芯部を除去して洗浄を行った。次いで、40mm×30mmの大きさにカットし、98℃、180秒のブランチ処理を行った後、水冷して2分間の遠心脱水を行ない、ブランチ処理済みキャベツを得た。このブランチ処理済みキャベツの重量の5%量に相当するブドウ糖及び乳糖を添加してよく混合し、40分間静置して均等化を図ってから熱風乾燥に供した。熱風乾燥は、積載約35kg/m2、80℃の条件下で行い、ときおり攪拌しながら乾燥を進めた。約45分後、初期重量の68%量に達したところで熱風乾燥を打ち切り、30分間以上静置して水分分布の均等化を図った。水分の分布状態がほぼ均等になったブロッコリー9.5g及びキャベツ6gを秤量し、合計15.5gを小皿上で適宜混合し、開口部の大きさが30mm×30mmで、深さが20mmの大きさの成型用モールドトレー(8×10面構成:面積はほぼ880cm2)に充填し、食材全体に150kgの重石を載せて(圧力150kg/880cm2=0.17kg/cm2)、2分間静置し、表面を均等にして−30℃での凍結に供した。凍結完了後、60Paの真空条件下で凍結乾燥を行い、成型状態がしっかりした、1個の大きさがおよそ28mm(縦)×28mm(横)×19mm(高さ)、平均重量4.3g、水分含有率3.8%の成型乾燥食材を得た。
通常に収穫した生鮮こまつなについて、根の部分より2cm上のところでカットし、枯葉、変色葉、虫食い等の非可食部分を除去し、洗浄に供した。次いで、40mm×30mmの大きさにカットし、98℃、180秒のブランチ処理を行った後、水冷して3分間の遠心脱水を行ない、ブランチ処理済みこまつなを得た。このブランチ処理済みこまつなのの重量の5%量に相当するブドウ糖及び乳糖をそれぞれ添加してよく混合し、40分間静置して均等化を図ってから熱風乾燥に供した。熱風乾燥は、積載約30kg/m2、80℃の条件下で行い、ときおり攪拌しながら乾燥を進めた。約50分後、初期重量の68%の重量に達したところで熱風乾燥を打ち切り、30分間以上静置して水分分布の均等化を図った。一方、通常に収穫した生鮮キャベツについて、最も外側の葉、及び変色部を除去し、葉を1枚づつはがして巾が15mm以上の葉脈部、芯部を除去して洗浄を行なった。次いで、40mm×30mmの大きさにカットし、98℃、180秒のブランチ処理を行った後、水冷して2分間の遠心脱水を行い、ブランチ処理済みキャベツを得た。このブランチ処理済みキャベツの重量の5%量に相当するブドウ糖及び乳糖をそれぞれ添加してよく混合し、40分間静置して均等化を図ってから熱風乾燥に供した。熱風乾燥は、積載約35kg/m2、80℃の条件下で行った。ときおり攪拌しながら乾燥を進め、約45分後、初期重量の68%の重量に達したところで熱風乾燥を打ち切り、30分間以上静置して水分分布の均等化を図った。水分分布状態がほぼ均等になったこまつな及びキャベツをそれぞれ8gずつ秤量し、合計16gを小皿上でよく混合し、開口部の大きさが30mm×30mmで、深さが20mmの大きさの成型用モールドトレー(8×10面構成:面積はほぼ880cm2)に充填し、食材全体に150kgの重石を載せて(150kg/880cm2=0.17kg/cm2)2分間静置し、表面を均等にしてから−30℃での凍結に供した。凍結完了後、60Paの真空条件下で凍結乾燥を行い、成型状態がしっかりした、1個の大きさがおよそ28mm(縦)×28mm(横)×19mm(高さ)、平均重量4.6g、水分含有率3.6%の成型乾燥食材を得た。
通常に収穫した生鮮こまつなについて、根の部分より2cm上のところでカットし、枯葉、変色葉、虫食い等の非可食部分を除去し、洗浄に供した。次いで、40mm×30mmの大きさにカットし、98℃、180秒のブランチ処理を行った後、水冷して3分間の遠心脱水を行ない、ブランチ処理済みこまつなを得た。このブランチ処理済みこまつなの重量の5%量に相当するブドウ糖及び乳糖をそれぞれ添加してよく混合し、40分間静置して均等化を図ってから熱風乾燥に供した。熱風乾燥は、積載約30kg/m2(換算量)、80℃の条件下で行い、ときおり攪拌しながら乾燥を進めた。約50分後、初期重量の68%量に達したところで熱風乾燥を打ち切り、30分以上静置して水分分布の均等化を図った。一方、長さがほぼ7cm以下、さやの中の豆が未熟状態の生鮮きぬさや(さやえんどうあるいはきぬさやえんどう:以下、きぬさやと称する)について、すじ及び両端を5mmほどカットして除去し、ほぼ半分のところで斜めにカットした。カット後のきぬさやの重量は、初期重量の86%であった。次いで、洗浄を行って、98℃、90秒のブランチ処理を行った後、水冷して3分間の遠心脱水を行ない、ブランチ処理済みきぬさやを得た。このブランチ処理済みきぬさやの重量の3%量に相当するブドウ糖及び乳糖をそれぞれ添加してよく混合し、45分間静置して均等化を図ってから熱風乾燥に供した。熱風乾燥は、積載約20kg/m2(換算量)、70℃の条件下で行い、ときおり攪拌をしながら乾燥を進めた。35分後、初期重量の67%の重量に達したところで熱風乾燥を打ち切り、30分間静置して水分分布の均等化を図った。水分分布が均等化したこまつな及びきぬさやを、開口部の大きさが36mm×40mmで、深さが20mmの大きさの成型用モールドトレー(8×7面構成:面積はほぼ880cm2)に、こまつな17g、きぬさや8gをそれぞれ秤量しよく混合し、充填した。充填の際には、きぬさやが多く偏った部分等は乾燥状態での保型性が弱くなってしまうことを考慮して、こまつなときぬさやの配置が偏よることなく均等になるように調整した。次いで、食材全体に150kgの重石を載せて(圧力150kg/880cm2=0.17kg/cm2)2分間静置し、表面を均等化してから−25℃での凍結に供した。凍結完了後、80Paの真空条件下で凍結乾燥を行い、1個の大きさがおよそ34mm(縦)×38mm(横)×18mm(高さ)、平均重量6.5g、水分含有率2.6%の成型乾燥食材を得た。
苗床に栽培して全体がほぼ8cm〜10cmほどに生育した豆苗(えんどうまめの苗状のもの)について、根の部分より約2cm位上のところでカットし、さらに長さ半分のところでカットし、3cm〜4cmの豆苗850gを得て、洗浄に供した。次いで、98℃、60秒間のブランチ処理を行った後、水冷して2分間の遠心脱水を行ない、ブランチ処理済み豆苗720gを得た。このブランチ処理済み豆苗の重量の2%量に相当するブドウ糖14.4g及び乳糖14.4gずつを添加してよく混合し、40分間静置して均等化を図ってから熱風乾燥に供した。熱風乾燥に供した豆苗の重量は740gであり、熱風乾燥は積載約20kg/m2(換算量)、70℃の条件下で行い、ときおり攪拌しながら乾燥を進めた。約30分後、初期重量の65%量の480gに達したところで熱風乾燥を打ち切り、30分間以上静置して水分分布の均等化を図った。水分分布が均等化した豆苗を、開口部の大きさが30mm×30mmで、深さが20mmの成型用モールドトレー(8×10面構成:面積はほぼ880cm2)にそれぞれ12gずつ秤量して、充填した。食材全体に150kgの重石を載せて(圧力150kg/880cm2=0.17kg/cm2)2分間静置し、表面を均等にしてから−25℃での凍結に供した。凍結完了後、90Paの真空条件下で凍結乾燥を行い、1個の大きさがおよそ28mm(縦)×28mm(横)×19mm(高さ)、平均重量3.6g、水分含有率2.4%の成型乾燥食材を得た。
生鮮キャベツ2kgについて、実施例1と同様のブランチ処理を施した後、熱風乾燥単独により得られた乾燥食材を比較例1とし、凍結乾燥単独により得られたものを比較例2、熱風乾燥と凍結乾燥の併用により得られたものを比較例3とした。
食材としてキャベツを用いた実施例1及び比較例1〜3により得られた各乾燥食材について、水分、かさ比重、復元比率、乾燥食材単位体積当たりの復元後の重量、触感、風味、色調、及び、型崩れの有無について評価の比較を行った結果を表1に示す。
2 容器
Claims (7)
- 乾燥食材の製造方法であって、
対象となる食材にブランチ処理を施して、ブランチ処理済み食材を得るブランチ工程と、
このブランチ処理済み食材に賦形剤を混合して、賦形剤混合済み食材を得る賦形剤混合工程と、
この賦形剤混合済み食材の重量が20%以上70%以下に減少するまで熱風乾燥処理を施して、熱風乾燥処理済み食材を得る熱風乾燥工程と、
この熱風乾燥処理済み食材に押圧成型処理を施して、押圧成型処理済み食材を得る押圧成型工程と、
この押圧成型処理済み食材に凍結乾燥処理を施して、凍結乾燥処理済み食材を得る凍結乾燥工程と、を含み、
前記押圧成型処理は、前記熱風乾燥処理済み食材を0.05kg/cm2以上0.50kg/cm2以下の圧力で押圧するものである乾燥食材の製造方法。 - 前記対象となる食材は、嵩高く水分含有率の高い食材である請求項1記載の乾燥食材の製造方法。
- 前記対象となる食材は、野菜、きのこ、及び、海藻よりなる群から選択される少なくとも一つである請求項1又は2記載の乾燥食材の製造方法。
- 前記賦形剤は、糖類である請求項1から3いずれか記載の乾燥食材の製造方法。
- 前記賦形剤の混合量は、前記対象となる食材の重量の1%以上10%以下である請求項1から4いずれか記載の乾燥食材の製造方法。
- 前記熱風乾燥工程は、前記賦形剤混合済み食材を揉捻しながら行われるものである請求項1から5いずれか記載の乾燥食材の製造方法。
- 前記押圧成型工程は、枠で小単位に分画された容器に入れて行われるものである請求項1から6いずれか記載の乾燥食材の製造方法。
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