JP3854531B2 - 墓石の免震装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地震等の大きな震動によっても積層された墓石ブロックが転倒しないようにした墓石の免震装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、居住用住宅等の建築物は、土盤上に石などを積層して基礎ブロックを施工し、その上で建築物の土台などを強固に固定して一体化するという結合構造を採用している。
【0003】
このような結合構造においては、地震等による振動が発生した場合、その振動の大半がそのまま建築物に伝わるため不快な思いをしたり、場合によっては、基礎ブロックに破損が生じて、建築物に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0004】
建築物の基礎ブロックと同様、石等が積層されることにより組み立てられる墓石は、極めて重い石を積み重ねたものであるから、風雨等で倒れることはない。しかし、建築基礎ブロックとは違い、その積層高さが高いだけに大きな地震等では倒れやすく、多数の墓石ブロックを高く積層した墓石ブロックは特に倒れやすい。
【0005】
また、それほど大きな地震ではなくとも、地震の周期が墓石の揺れる周期に共振すると、極めて倒れやすい。これは、墓石ブロックが地震等による垂直あるいは水平方向への震動により、墓石ブロックがその震動とともに移動してしまい、墓石の積層位置の安定性を損なうことが原因とされる。
【0006】
一般に墓石は、複数の墓石ブロックを墓場に運搬し、墓場で積み重ねて構築される。墓石ブロックは、決められた安定位置に正確に積層して構築される。この場合、墓石ブロックにモルタルを充填して墓石ブロックをセメントで結合したり、エポキシ系の接着剤や、シアノアクレート系の接着剤で墓石を固定するようにしている。
【0007】
従来の構築法によるセメントの結合による墓石は、地震がそれほど大きなものでない場合でも、セメントが衝撃に弱いため、墓石ブロックの振動で簡単に剥離してしまい、積層される墓石ブロックの安定性を低下させてしまうという問題がある。
【0008】
また、エポキシ系の接着剤等により接着された墓石では、墓石ブロック同士の接着強度は強固なものの、耐衝撃強度が低いため接着部分が剥離し、あるいは、墓石ブロックの一部が破損する欠点がある。
【0009】
従来の墓石では、いずれにしても、墓石ブロック相互の安定性を維持することが難しく、墓石ブロックが転倒する等、その衝撃により墓石ブロックが破損し再使用することができないことがある。
【0010】
一方、墓石は、後に戒名等を刻石するため、墓石ブロックを取り外して作業上に運搬する必要もある。この場合には、セメント等の接着剤の剥離作業に手間がかかるばかりでなく、その剥離作業時に墓石ブロックに傷を付けてしまう等、作業性の問題も指摘されている。
【0011】
このため、墓石ブロックが地震等の衝撃によっても移動することがなく、墓石ブロック相互間を必要に応じて取り外すことができる免震装置が提案されている。その一例を図の墓石外観図および図の構造図により説明する。
【0012】
この免震装置10は、墓石1を構成する上下ブロック2,3の対向面に予め石工事によって略円柱形状の上下の穴4,5が施され、その穴4,5内に跨って固定されるもので、ステンレス等の剛性を有する金属材料で形成された支持棒11と、支持棒11の両端を支持するゴム等の弾性材料からなるリング状の上支持部12および下支持部13とを備えている。
【0013】
支持棒11は、上支持部12と下支持部13内に挿通され、上下支持部12,13の両端面からナット14a,14bおよび15a,15bに締着され固定支持される。
【0014】
この状態で、下穴5内に支持部13を押し込んで固定した後、下穴5と上穴4とを相対させるように上ブロック2を降下させ、上穴4内に支持部12を強制的に挿入することにより、墓石1内に組み込まれる。
【0015】
このようにして、免震装置10は、墓石の大きさや高さに応じて適宜(この例では4つ)の個数が用意され、上下墓石ブロック2,3の相対する対向面内に設けられる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の免震装置10は、墓石ブロック同士を接着剤等によることなく固定することができるとともに、地震等の振動を上下支持部12,13の弾性力によって吸収することができる。
【0017】
しかし、上下支持部12,13によって、転倒モーメントによる浮き上がり等の垂直方向への動きを制御することはできるものの、水平方向への変位に対しては、上下支持部12,13に曲げやせん断などの変形が生じることがある。
【0018】
この変形がさらに進むと、支持棒11の引っ張り力が支配的となり、支持部12,13に凸形の変形が生じてしまう。この凸形等の歪みは、振動等の吸収を低減させるだけでなく、墓石ブロック2,3への直接の衝撃となって横振れなど弾性的な挙動を制御することができない。
【0019】
また、上下支持部12,13の歪みにより、支持棒11には、直接地震等の振動が伝達されてしまい、支持棒11が切断する等、その耐久性に問題が生じ、上下ブロック2,3を安定よく支持するという初期の目的が達成できないという問題も生じる。
【0020】
このため、従来の免震装置10は、上ブロック2の移動を制御することができず、上下ブロック2,3の安定位置を維持することができない。その結果、地震等の振動によって上ブロック2が転倒して破損する等の問題が生じている。
【0021】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたもので、その目的は、積層される墓石ブロック相互間を支持して上墓石ブロックが安定位置から移動して転倒等することがないようにするとともに、簡単な作業で上下墓石ブロック内に装着することができる墓石の免震装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は上墓石ブロッックと下墓石ブロッックの少なくとも2つの墓石ブロッックを積層して構築される墓石の免震装置において、前記下墓石ブロックの上面側に埋設される下装着体と、前記下墓石ブロック上に設置される上墓石ブロックの底面側において、前記下装着体との相対位置に埋設される上装着体と、これら下装着体と上装着体とに挿通される強靱なワイヤー等の鋼索で所定の長さを有する支持体とで構成され、前記下装着体は、金属ブロック等の剛性を有する固定部を備え、該固定部の略中心には、その上下面を連通する連通孔が形成されるとともに、該連通孔には、前記固定部の上面側から下面側にかけて所定の長さ範囲にわたって雌ネジが切られており、前記上装着体は、弾性材料からなる弾性保持部と、上面に開口部を有して前記弾性保持部の収納を自在とする剛性を有する金属材料からなる外装ケースと、前記開口部から挿入されて前記弾性保持部の上面に配置される剛性を有する金属材料からなる冠着部とを備えているとともに、前記弾性保持部、前記外装ケースおよび前記冠着部のそれぞれ略中央には、前記支持体を通通するための挿通孔が形成されており、前記支持体には、前記連通孔の雌ネジと螺合するボルトが移動自在に挿通されているとともに、該支持体の一端側には前記冠着部の上面に当接される上係止部が設けられ、その他端側には前記ボルトの底面と当接する下係止部が設けられていることを特徴としている。
【0023】
この場合、保持体は、シリコンゴムで形成されることが好ましく、固定部と外装ケースの外周面には、ローレット加工などの表面目あらし加工が施されるとよい。
【0024】
また、本願の第2発明は、上墓石ブロッックと下墓石ブロッックの少なくとも2つの墓石ブロッックを積層して構築される墓石の免震装置において、前記上墓石ブロッックと下墓石ブロッックの対向面内に埋設される上装着体および下装着体と、一端側に第1ボルト部、他端側に第2ボルト部を備えて剛性を有する金属材料で一体的に形成される支持体とで構成され、前記下装着体は、記下墓石ブロックの穴内に取り付けられる弾性材料からなる固定部を備え、該固定部の略中央には前記第1ボルト部と螺合する第1雌ネジが形成されており、前記上装着体は、内周面に前記第2ボルト部と螺合する第2雌ネジを備え、記上墓石ブロックの穴内に取り付けられる弾性材料からなる保持部と、記上墓石ブロックの穴における記保持部の取り付け高さを規定する剛性を有する金属材料からなる筒状のスペーサとを備え、前記上墓石ブロックの穴には前記スペーサにより前記保持部の上部に前記第2雌ネジを突き抜けた前記第2ボルト部が収納される収納空間が設けられており、前記支持体の第1ボルト部は前記下装着体の前記第1雌ネジに螺着され、前記支持体の第2ボルト部は前記上装着体の前記第2雌ネジを突き抜けた状態で前記上墓石ブロックの穴内の前記収納空間内に収納されていることを特徴としている。
【0025】
この第発明において、震動時の衝撃からネジ山を保護するうえで、前記第2ボルト部と前記第2雌ネジのネジ山ピッチが、前記第1ボルト部と前記第1雌ネジのネジ山ピッチよりも大きくされていることが好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
まず、図1および図2を参照して、本発明の免震装置100は、基礎ブロックとして積層される上ブロック150および下ブロック160において、下ブロック160に埋設される下装着体120と、上ブロック150に埋設される上装着体110と、上下装着体110,120間を支持する支持体130とで構成される。
【0027】
支持体130は、ワイヤー等の強靱な鋼索で形成され、ボルト131が挿通されている。ボルト131には、支持体130に挿通される挿通孔131aが設けられ、挿通孔131aは、頭部131cから雄ネジ部131bにかけて連通して設けられている。
【0028】
なお、本実施形態では、支持体130はワイヤーで形成されているが、ワイヤーと同等の強靱性を備えるプラスチック材料から形成されてもよい。また、ボルト131を六角ボルトで構成しているが、ボルトの種類はこれに限定されるものではない。
【0029】
支持13の長さは、上下ブロック150,160の穴151,161内に埋設される上下装着体110,120の位置関係に応じて適宜選択され、その両端部には略円柱形状を呈する上係止部132および下係止部133が例えばカシメなどにて固着されている。
【0030】
この場合、上下係止部132,133は、少なくとも支持体130の外径よりも大きく形成され、下係止部133は、ボルト131の雄ネジ部131bより小径で、かつ、挿通孔131aより大径に形成されている。
【0031】
下装着体120は、金属ブロックで形成される固定部121を備え、この固定部121には、上面122から底面123にかけてその略中央を連通する連通孔124が設けられている。
【0032】
連通孔124には、上面122側から底面123側に向けて雄ネジ部131bと螺合する雌ネジを備える雌ネジ部125が設けられている。また、連通孔124の長さは、少なくとも雄ネジ部131bと下係止部133とが収納される大きさに形成されている。
【0033】
上装着体110は、ゴム等の弾性材料で形成される弾性保持部111と、その上面に弾性保持部111より大径の開口部113を有して略カップ状を呈して形成される外装ケース112と、弾性保持部111と略同径で略円盤状を呈する冠着部114とを備えている。
【0034】
この場合、弾性保持部111、外装ケース112および冠着部114のそれぞれ略中央には、支持体130が挿通される挿通孔111a,112a,114aが形成されている。
【0035】
弾性保持部111は、適度な弾力性を有するとともに、挿通される支持体130の移動に伴う損傷が生じないような弾性材である例えばシリコンゴムから形成されている。また、外装ケース112および冠着部114は、ステンレス等の剛性を有する金属材料で形成されている。
【0036】
上装着体10は、上係止部132の側から挿通孔111a,112a,114aを介して冠着部114、弾性保持部111および外装ケース113の順で支持体130に挿通される。また、ボルト131はその頭部131cが外装ケース113の底面側に位置するように支持体130に挿通される。
【0037】
下装着体120は、ボルト131の雄ネジ部131bを連通孔124の雌ネジ部125に螺合させることにより、支持体130に支持される。なお、本実施形態では、雌ネジ部125を連通孔124と一体的に形成しているが、連通孔124に雄ネジ部131bと合致するナットを取付けるようにしてもよい。
【0038】
図2および図3に示すように、相対する上ブロック150と下ブロック160の対向面には、予め石工事等により穴(上穴)151と穴(下穴)161とがそれぞれ形成されている。
【0039】
上穴151は、上装着体120と略同じ径幅で形成されるとともに、その長さは、少なくとも冠着部114と上係止部132とが当接した状態での上係止部132と上装着体110との長さよりやや大きく形成されている。
【0040】
また、下穴161は、下装着体と略同じ径幅で形成されるとともに、その長さは、ボルト131の頭部131aが締結された状態での頭部131cと下装着体120との長さよりやや大きく形成されている。
【0041】
上装着体110および下装着体120は、各穴151,161内に挿入され、例えばエポキシ系樹脂等の接着剤により固定される。本実施の形態において、外装ケース112および固定部121は、その外表面にローレット加工等の表面目あらし加工が施され、穴151,161との滑りを防止して接着効果を向上させるようにしている。
【0042】
また、冠着部114は、弾性保持部111と外装ケース112とが接着して弾性保持部111の遊動性を損なうことがないよう、外装ケース内112への接着剤の侵入を防いでいる。
【0043】
この免震装置100の基礎ブロックへの取付け手順の一例について説明する。まず、支持体130に上装着体110とボルト131とが挿通され(図1参照)、これに対して下装着体120が分離されている状態で、上ブロック150の上穴151に上装着体110を接着固定し、下ブロック160の下穴161に下装着体120を接着固定する。
【0044】
そして、上ブロック150を下ブロック160の上に運び、下係止部133を下装着体120の連通孔124内に入れた後、図示しないスパナなどの工具によりボルト131を下装着体120の雌ネジ部125にしっかりと螺合する。これにより、図2に示すように、上装着体110と下装着体120は、支持体130を介して連結支持される。
【0045】
このように、支持体130を伸張させた状態で下装着体120に取り付け、その後、上ブロック150を下ブロック160上に積層することにより、支持体130は、その積層後には伸張状態が解除され適度な緩みを持って上下ブロック150,160を支持することになる。
【0046】
本実施形態では、上係止部132および下係止部133は、ステンレス等の金属材料からなり、支持体130にカシメなどにより強固に固着されているため、地震等の振動により上ブロック150に位置ずれが生じ支持体130が伸張した場合でも、支持体130から離脱することはない。
【0047】
したがって、この免震装置100は、地震等の振動より上ブロック150が安定位置から移動したとしても、支持体130の強靱さによって上ブロック150の転倒を防止する。
【0048】
次に、図4に一般的な墓石の構造を示し、本発明の免震装置を墓石に適用した場合の実施形態について説明する。この例において、墓石200は、下段に中台201、中段に上台202、上段に竿台203が積層され、墓石200の背面側に卒塔婆塔210が構築されている。
【0049】
免震装置100は、上台202と中台201との相対する対面内の所定箇所(この例では2箇所)および上台と202と竿台203との相対する対面内の所定箇所(この例では1箇所)に設けられる。
【0050】
このように、本発明の免震装置100は、一般基礎ブロックより高く構築される墓石ブロック内に、墓石の大きさや高さを考慮して取り付けられることにより、地震等による振動によって、墓石ブロックが転倒して破損することがないように利用される。
【0051】
また、戒名等の刻石に際して墓石ブロックを取り外す際は、先の上ブロック150に相当する竿台203を持ち上げた後、ボルト131を緩めることにより、下装着体120と支持体130の連結を解除することができるため、簡単に取り外しでき、また、その作業に墓石に傷を付けることもない。
【0052】
なお、本実施形態では、上装着部110および下装着部120とを円筒形状としているが、この形状に限られることはなく、これらを例えば矩形状に形成し、上穴151および下穴161をこれらと適合できる形状に削石してもよい。
【0053】
また、本実施の形態では、本発明の免震装置100を、上装着体110を上ブロック150に装着し、下装着体120に下ブロック160を装着した例で説明したが、下装着体を120を上ブロック150に、上装着体110を下ブロック160に上装着体110に装着しても、上下ブロック150,160相互の安定性を維持することができる。
【0054】
また、図4に示すように、本発明の免震装置100は、墓石等の比較的重量のある大きな積層ブロックに適用することができるほか、卒塔婆塔210等の上ブロック211が比較的高く積層される構造を有する墓石構造にも適用できる。
【0055】
図5に、墓石200に適用される免震装置の他の例を示す。この免震装置400は、上ブロック450の穴(上穴)451内に取り付けられる上装着体410と、下ブロック460の穴(下穴)461内に取り付けられる下装着体420と、それらの間に設けられる支持体430とを含んで構成される。
【0056】
この免震装置400は、前記免震装置300と同じく特に卒塔婆塔210(図4参照)に好ましく適用され、その場合、上ブロック450は竿台211に相当し、下ブロック460は上台212に相当する。
【0057】
支持体430は、アルミニウム等の剛性を有する金属材料からなる棒状の胴体部431を備え、その下端側には雄ネジが切られた第1ボルト部432が設けられ、また、上端側にも雄ネジが切られた第2ボルト部433が設けられている。
【0058】
下装着体420は、ゴムなどの弾性材料からなる固定部421を備え、この固定部421の略中央には、第1ボルト部432と螺合する雌ネジ部423を有する支持穴422が設けられている。
【0059】
上装着体410は、第2ボルト部433に螺合するネジ山が切られたゴムなどの弾性材料からなる保持部411と、この保持部411の上ブロック450の上穴451内での取り付け位置を規定する例えば金属材料からなる筒状のスペーサ412とを備えている。
【0060】
この場合、スペーサ412は、上ブロック450の上穴451内で保持部411の上部に支持体430の第2ボルト部433を収納するのに十分な空間413を確保するために用いられている。
【0061】
すなわち、支持体430の第1ボルト部432と下装着体420の雌ネジ部423は緊密な螺合形態をとるのに対して、支持体430の第2ボルト部433と上装着体410の保持部411は、図7に示すように、ネジ山ピッチが粗く、かつ、ネジ溝が深いだけでなく、ネジ山数も例えば2〜3と少ない。
【0062】
したがって、第2ボルト部433を保持部411に螺合して数回まわすと、第2ボルト部433が保持部411を突き抜ける。スペーサ412は、その突き抜けた第2ボルト部433を上穴451内で遊びをもって収納する空間413を確保するために用いられている。
【0063】
この免震装置400は、例えば次のようにして組み立てられる。下装着体420については、その固定部421を下ブロック460の下穴461内に嵌合してエポキシ系樹脂の接着剤等により固定する。上装着体410については、上ブロック450の上穴451内に、スペーサ412および保持部411をこの順序で入れた後、その各々を接着材で固定する。
【0064】
支持体430の第1ボルト部432を下装着体420の雌ネジ部423に螺合して、支持体430を下装着体420に立設した後、図示しないホイスト式天井クレーンなどの吊り下げ搬送手段にて上ブロック450を支持体430上にまで運び、支持体430に対して保持部411に位置合わせする。
【0065】
そして、上ブロック450を数回程度回して第2ボルト部433を保持部411に螺合させて、第2ボルト部433を保持部411から突き抜けさせた後、上ブロック450を下ブロック上に置く。
【0066】
この免震装置400によれば、第2ボルト部433が保持部411の上部空間413内にフリーの状態で配置されるため、積層後に上ブロック450を任意に回転させて、その正面を任意の方向に向けることができる。また、上穴451や下穴461の軸線が傾いていても、下ブロック460上に上ブロック450を真っ直ぐに置くことができる。ちなみに、保持部411と第2ボルト部433とを緊密な螺合形態とした場合には、これができない。
【0067】
また、地震等の振動による上ブロック450の浮き上がりは第2ボルト部433により阻止され、横方向の震動は支持体430の胴体部431が保持部411のネジ山に接触することにより緩衝される。
【0068】
いずれにしても、保持部411のネジ山は、上ブロック450が安定位置からずれて支持体430と接触した場合に、その衝撃を緩和し得る弾力性を確保できる程度の大きなピッチで形成され、第2ボルト部433もその大きさに対応しているため、衝撃によって保持部411のネジ山が崩れてしまうおそれがなく、第2ボルト部433を保持部411のネジ山に沿って回転させることにより、支持体430を上装着体410から容易に取り外すことができる。
【0069】
図4に示すように、本発明の免震装置100,400を墓石200のそれぞれ積層されるブロックの重量や高さを考慮して上下ブロック内に埋設することにより、墓石ブロックが地震などの振動により安定位置から移動するのを防ぎ、安定位置から移動することによって引き起こされる転倒などによる墓石の破損を回避することができる。
【0070】
また、免震装置100,400はそれぞれ積層される墓石相互間に接着剤などを介在させることなく取り付けられるため、取り外し作業に際して墓石を破損することもなく、その作業も容易に行うことができる。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の免震装置によれば、積層される墓石ブロック同士をセメントや接着剤等の接着手段を介在させることなく支持することができるとともに、地震等の震動による上ブロックの移動を最小限に抑えて安定位置を維持することができる。また、墓石ブロックの取り外し作業も簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による免震装置を分解して示す斜視図。
【図2】本発明による免震装置の上下ブロックに対する装着手順を示す断面図。
【図3】本発明による免震装置の上下ブロックに対する装着状態を示す断面図。
【図4】本発明による免震装置を墓石に適用した例を示す説明図。
【図5】墓石に適用される本発明の免震装置の他の例を示す断面図。
【図6】墓石に対する従来の免震装置の適用例を示す説明図。
【図7】従来の免震装置の上下ブロックに対する装着状態を示す断面図。
【符号の説明】
100,400 免震装置
110 上装着体
111 弾性保持部
111a,114a,131a 挿通孔
112 外装ケース
113 開口
114 冠着部
120 下装着体
121 固定部
124 連通孔
125 雌ネジ部
130 支持体
131 ボルト
131b 雌ネジ部
131c 頭部
132 上係止部
133 下係止部
150 上ブロック
160 下ブロック
151,161 穴
410 上装着体
411 保持部
412 スペーサ
420 下装着体
421 固定部
422 支持穴
423 雌ネジ部
430 支持体
431 胴体部
432 第1ボルト部
433 第2ボルト部

Claims (5)

  1. 上墓石ブロッックと下墓石ブロッックの少なくとも2つの墓石ブロッックを積層して構築される墓石の免震装置において、
    前記下墓石ブロックの上面側に埋設される下装着体と、前記下墓石ブロック上に設置される上墓石ブロックの底面側において、前記下装着体との相対位置に埋設される上装着体と、これら下装着体と上装着体とに挿通される強靱なワイヤー等の鋼索で所定の長さを有する支持体とで構成され、
    前記下装着体は、金属ブロック等の剛性を有する固定部を備え、該固定部の略中心には、その上下面を連通する連通孔が形成されるとともに、該連通孔には、前記固定部の上面側から下面側にかけて所定の長さ範囲にわたって雌ネジが切られており、
    前記上装着体は、弾性材料からなる弾性保持部と、上面に開口部を有して前記弾性保持部の収納を自在とする剛性を有する金属材料からなる外装ケースと、前記開口部から挿入されて前記弾性保持部の上面に配置される剛性を有する金属材料からなる冠着部とを備えているとともに、前記弾性保持部、前記外装ケースおよび前記冠着部のそれぞれ略中央には、前記支持体を通通するための挿通孔が形成されており、
    前記支持体には、前記連通孔の雌ネジと螺合するボルトが移動自在に挿通されているとともに、該支持体の一端側には前記冠着部の上面に当接される上係止部が設けられ、その他端側には前記ボルトの底面と当接する下係止部が設けられていることを特徴とする墓石の免震装置。
  2. 前記弾性保持部は、シリコンゴムで形成されることを特徴とする請求項1に記載の墓石の免震装置。
  3. 前記固定部と前記外装ケースの外周面には、ローレット加工などの表面目あらし加工が施されていることを特徴とする請求項1または2に記載の墓石の免震装置。
  4. 上墓石ブロッックと下墓石ブロッックの少なくとも2つの墓石ブロッックを積層して構築される墓石の免震装置において、
    前記上墓石ブロッックと下墓石ブロッックの対向面内に埋設される上装着体および下装着体と、一端側に第1ボルト部、他端側に第2ボルト部を備えて剛性を有する金属材料で一体的に形成される支持体とで構成され、
    前記下装着体は、記下墓石ブロックの穴内に取り付けられる弾性材料からなる固定部を備え、該固定部の略中央には前記第1ボルト部と螺合する第1雌ネジが形成されており、
    前記上装着体は、内周面に前記第2ボルト部と螺合する第2雌ネジを備え、記上墓石ブロックの穴内に取り付けられる弾性材料からなる保持部と、記上墓石ブロックの穴における記保持部の取り付け高さを規定する剛性を有する金属材料からなる筒状のスペーサとを備え、前記上墓石ブロックの穴には前記スペーサにより前記保持部の上部に前記第2雌ネジを突き抜けた前記第2ボルト部が収納される収納空間が設けられており、
    前記支持体の第1ボルト部は前記下装着体の前記第1雌ネジに螺着され、前記支持体の第2ボルト部は前記上装着体の前記第2雌ネジを突き抜けた状態で前記上墓石ブロックの穴内の前記収納空間内に収納されていることを特徴とする墓石の免震装置
  5. 前記第2ボルト部と前記第2雌ネジのネジ山ピッチが、前記第1ボルト部と前記第1雌ネジのネジ山ピッチよりも大きくされている請求項に記載の墓石の免震装置
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