JP4313741B2 - 墓石の免震装置及び免震装置を備えた墓石 - Google Patents
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Description
しかし地震等によって強い振動を受けた場合には、上記のような簡単な構成に起因して基台部上に載置される墓石本体部が移動したり、傾いたりすることが予想され、上記墓石の位置ずれや倒壊等が生じ得る。
特に地震の多い我国にあっては、地震による墓石の位置ずれや倒壊を防ぐ免震装置等の必要性は高く、既設及び新設の両方の墓石に対応できる墓石用の免震装置の開発が望まれていた。
また、既設と新設の両方の墓石に免震装置を取り付けることが可能となる。
実施例1では新たに墓石を据え付ける場合に適用できる墓石の構成と、基本的な免震装置の構成について説明し、実施例2では既設の墓石に免震装置を取り付ける場合の構成を説明する。
本体部5は、後述する本発明の免震装置25を介して上述の基台部3上に設置される芝台13と、芝台13上に設置される中台15と、中台15の手前側の開口部を塞ぐように芝台13上に設置される水鉢17と、水鉢17を挟むようにその左右の芝台13上に設置される花立19と、中台15上に設置される上台21と、上台21上に設置される竿石23とを組み上げることによって構成されている。
受け金物29の穴には雄ネジシャフト62が挿通され、受け金物29を挟んで雄ネジシャフト62に螺合されたナット64によって固定されている。雄ネジシャフト62は受け金物29の上面から突出している。
また、下部架台31の穴には受け金物29に固定されている雄ネジシャフト62が挿通されており、下部架台31は雄ネジシャフト62に螺合するナット64によって受け金物29に取り付けられている。
上枠33の幅寸法と奥行寸法は芝台13の内法寸法に合わせ、上枠33の高さ寸法は芝台13の高さ寸法の3分の2くらいの高さに設定されている。
この免震装置25にはスライド機構39とバネ手段41とが備えられている。また免震装置25には、上枠33の下面に取り付けられる上述の載置板37と、載置板37の下面に取り付けられる上部バネ取付板43と、下部架台31の上面に取り付けられる下部バネ取付板45とが設けられており、スライド機構39とバネ手段41は、上部バネ取付板43と下部バネ取付板45との間に配設されている。従って、載置板37は本体部5側に備えられ、下部バネ取付板45は基台部3側に備えられる。
また上部バネ取付板43の各コーナー部の下面には矩形平板状のスペーサ53を介してホルダ55が4つ設けられている。ホルダ55には滑り材61が貼設されている。この滑り材61としてはPTFE(フッ化エチレン樹脂)等の滑り特性の優れた材料が適用できる。
上記載置板37は下部バネ取付板45より幅寸法と奥行寸法が一回り小さく形成されている。また、下部バネ取付板45は上記下部架台31より幅寸法と奥行寸法が僅かに大きな矩形平板状の部材である。
従って、引張りコイルバネ57は全部で12本設けられており、これらが3本ずつ組になって図3に示すように平面視十字形状となるように張設されている。
滑り板65としては、ステンレススチール製の板が適用でき、滑り板65の上面にはホルダ55の下面に貼設されている滑り材61が摺接するようになっている。
本実施例では、上記滑り板65と滑り材61から成る滑り支承によってスライド機構39が構成されており、上部バネ取付板43と下部バネ取付板45との間に張設されている引張りコイルバネ57によってバネ手段41が構成されている。
シール部材49によって免震装置25のスライド機構39及びバネ手段41等が収容されている空間27を密閉して雨水等が侵入するのを防ぎ、空間内70に配置されている部材の腐食を防止する。さらに内部空間70へも雨水等が侵入するのが防止されるので、受け金物29や下部架台31等が腐食するのも防止することができる。
(1)ベースの形成と根石の載置(図5(a)、(b)参照)
最初に地面Gを掘り、図示しない型枠を設けて、この型枠内にコンクリートを流し込んで、図5(a)に示すようにベース72を形成する。このベース72は中央に四角形の穴がある長方形の板状に形成されており、その上面が地面とほぼ同じ高さの水平面になっている。
次いで、図5(b)に示すようにベース72上に角棒状の根石7を井桁状に組んで載置する。
図6(a)に示すように根石7の上面に中石9を設置する。中石9は根石7より高さ寸法の大きな直方体状の部材である。
中石9の上面に均石11を設置する。均石11は角棒状の部材であり、内側面に緩衝材120が貼設されている。緩衝材120は均石11の互いに接合する部分を除いた領域に備えられている。
そして図6(b)に示すように根石7とその上方の中石9、中石9とその上方の均石11を断面L字形の接合金物67を使用して固定する。
次に中石9と均石11の境界に上面が位置するように断面L字形の受け金物29を上下逆にした状態でボルト35によって中石9の内壁面上部に取り付ける。受け金物29の穴に雄ネジシャフト62が通されており、雄ネジシャフト62に螺合し受け金物29を挟んで配置されるナット64によって、雄ネジシャフト62が受け金物29に固定されている。雄ネジシャフト62は受け金物29の上面から上方へ向かって真っ直ぐに延びる状態に取り付けられる。
次に残りの中石9を前面部に設置し、上記受け金物29の上面に図7(a)に示すように、矩形枠部を横にした状態で下部架台31を載置して、さらに下部架台31の上に免震装置25及び免震装置25にボルト35で固定された上枠33を設置する。このとき、受け金物29に固定されている雄ネジシャフト62を下部バネ取付板45及び滑り板65の穴に通し、雄ネジシャフト62の上端部を滑り板65の上面から突出させる。そして、この雄ネジシャフト62の突出部分にナット64を螺合させ滑り板65の上面に当接させて、免震装置25を受け金物29に固定する。
前記したように載置板37は下部バネ取付板45より幅寸法と奥行寸法が一回り小さく形成されているので、均石11の内側面との間に隙間が形成されることになる。この隙間から手や工具を入れて、均石11の内側面と下バネ取付板45及び滑り板65との間に形成される間隙部47を埋めるシール部材49を備える。
また、均石11の内側面との間の隙間から手や工具を入れて、雄ネジシャフト62の滑り板65から突出する部分に引張りコイルバネ57の外側端部のフックを係止させ、雄ネジシャフト62の上端部に2つのナット64を取り付ける。
次に、上枠33の周りに上枠33を取り囲むように角棒状の芝台13を設置してボルト35によって固定する。
芝台13を設置した後、均石11と芝台13との間に形成される間隙部をシール部材49によって埋める。
次に芝台13の上面に芝台13より高さ寸法の大きな直方体状の中台15を設置する。中台15は前面を除く左右の側面と背面に対して設置され、その前面部には水鉢17が幾分手前側に突出した状態で設置される。
次に水鉢17の左右に花立19を設置し、中台15の上面に上台21を設置する。上台21は短寸の角柱状の部材である。
そして最後に上台21の上面に長寸の竿石23を設置すれば墓石1の組み立てが完了する。
地震等による振動が発生していない状態おいては、バネ手段41は弾性変形しておらず、本体部5は基台部3に対する正しい位置(当初の位置)に保たれている。
地震等によって墓地の地面Gが水平方向に振動すると、地面G上に載置されているベース72、根石7とその上方の中石9及び均石11を含む基台部3も同じように振動する。基台部3の振動はバネ手段41によって吸収され、本体部5には伝達されず、あるいは減衰されて極めて弱い振動になって伝達される。従って、本体部5の倒壊等が防止される。
本体部5の振幅がある程度の大きさになっても、緩衝材120が設けられているので、上部バネ取付板43、スペーサ53、ホルダ55及び滑り材61が均石11に直に接触するのを防ぐことができ、緩衝材120によって衝撃が吸収されるので、均石11が破損するのを防止することができる。
具体的には、基台部3上に設置されている本体部5を一旦取り外し、基台部3の内部空間27内に支持構造73を構築して受け金枠75を支持させる。
そして、受け金枠75上に本発明免震装置25を設置し、上述と同様の手順で本体部5を構成する芝台13、中台15、水鉢17、花立19、上台21及び竿石23を設置することで実施例2に係る墓石71の組み立て、そして据え付けが完了する。
ここでは実施例2に係る墓石71の特有の構成である受け金枠75と支持構造73に絞って説明する。
支持構造73は、図10あるいは図11に拡大して示すように基台部3の内部空間27の底面である地面Gに埋設される4本の杭77と、杭77の上方に立ち上げられる4本の脚柱79と、隣接する脚柱79間を連結する複数本の補強ブレース81とを備えている。
下側の取付面87bの取付穴89には、雄ネジシャフト86が通されており、下側の取付面87bの下面と支持円盤88の上面とが接合している。そして、座金93が雄ネジシャフト86に通され、雄ネジシャフト86に螺合する調整ナット97によって、脚柱79が杭77に取り付けられている。上方の取付面87aは、取付ボルト91、座金93及び取付ナット97を使用して受け金枠75に取り付けられる。
座金93は、取付面87aの下面側及び87bの上面側の凹陥部に宛がわれる部材で取付面87a、87bと同様の曲率半径を有する球面形状に湾曲されている。
脚柱79の胴部の上端及び下端寄りには、補強ブレース81の両端部に設けられているフックが係止される係止穴99が形成されている。
そして、それぞれの穴部103に杭77を上方から突き刺し、穴部103内に上方からモルタル105を充填し養生、固化させる。
そして、実施例1に係る墓石1と同様の手順で、免震装置25を設置し、載置板37上に本体部5を組み上げ、芝台13と均石11の上面との間の間隙部47にシール部材49を充填すれば実施例2に係る墓石71の組み立て及び据え付けが完了する。
例えば、免震装置25を除く、墓石1、71の構成は前述の実施例のものに限らず種々の構成が採用可能である。また本発明の免震装置25は、墓石だけに限定されるものではなく、石碑や石燈籠等に適用することも可能である。
上記実施例では、スライド機構を滑り板65と滑り材61から成る滑り支承によって構成したが、本発明はこれに限定されず、滑り板と鋼製のボール等との組み合わせによって構成してもよい。
また、緩衝材120を均石11に備えたが、本発明はこれに限定されず、緩衝材120を免震装置25の上部バネ取付板43、スペーサ53、ホルダ55及び滑り材61の周面に備えてもよく、また均石11側と免震装置25側の両方に備えてもよい。
なお、上記実施例では雄ネジシャフト62を左右1本ずつ合計2本備えるようにしたが、これに限定されるものではなく、左右2本ずつ合計4本或いはこれ以上の本数でもよいのは勿論である。また、引張りコイルバネ57も12本に限定されるものではなく、12本より少ない本数或いは多い本数であってもよい。
11 均石 13 芝台 15 中台 17 水鉢
19 花立 21 上台 23 竿石
25 (墓石の)免震装置 27 内部空間
29 受け金物 31 下部架台 33 上枠
35 ボルト 37 載置板 39 スライド機構
41 バネ手段 43 上部バネ取付板 45 下部バネ取付板
47 間隙部 49 シール部材 51 ネジ穴
53 スペーサ 55 ホルダ 57 引張りコイルバネ
59 バネ係止ボルト 61 滑り材 63 ネジ穴
62 雄ネジシャフト 64 ナット 70 空間
65 滑り板 67 接合金物
71 墓石 72 ベース 73 支持構造
75 受け金枠 77 杭 79 脚柱
86 雄ネジシャフト 88 支持円盤
81 補強ブレース 83 スリーブ 85 翼片
87a、87b 取付面 88 支持円盤
89 取付穴 91 取付ボルト 93 座金
95 調整ナット 97 取付ナット 99 係止穴
101 調整スリーブ 103 穴部 105 モルタル
120 緩衝材 G 地面
Claims (10)
- 基台部と基台部の上に設置される墓石の本体部から成る墓石の一部に組み込んで設置される墓石の免震装置において、前記本体部を水平方向に摺動させるスライド機構と、弾性変形することにより振動を吸収し且つ本体部の基台部に対する相対位置を当初の位置に戻す付勢力を発生するバネ手段とを備え、
さらに、前記本体部側に取り付けられる載置板と、前記載置板の下面に取り付けられる上部バネ取付板と、前記基台部側に取り付けられる下部バネ取付板とを備え、前記スライド機構と前記バネ手段は前記上部バネ取付板と前記下部バネ取付板との間に配設されていることを特徴とする墓石の免震装置。 - 請求項1に記載した墓石の免震装置において、スライド機構は基台部側に設けられる滑り板と、滑り板の上面に摺接し、本体部側に設けられる滑り材とを備えていることを特徴とする墓石の免震装置。
- 請求項1または2に記載した墓石の免震装置において、バネ手段は内側端部が上部バネ取付板に接続され、外側端部が下部バネ取付板に接続された複数本の引張りコイルバネを平面視において十字形状に張設することによって構成されていることを特徴とする墓石の免震装置。
- 基台部の上に本体部を設置することによって構成されている墓石において、基台部と本体部との間には請求項1〜3のいずれかに記載の墓石の免震装置が設けられていることを特徴とする免震装置を備えた墓石。
- 請求項4に記載した免震装置を備えた墓石において、基台部には免震装置を支持するための受け金物が取り付けられていることを特徴とする免震装置を備えた墓石。
- 請求項4に記載した免震装置を備えた墓石において、基台部の内部空間には、前記免震装置が上に設置される下部架台と、前記下部架台を支持するための受け金枠と、前記受け金枠を支持するための支持構造とが設けられていることを特徴とする免震装置を備えた墓石。
- 請求項6に記載した免震装置を備えた墓石において、支持構造は、基台部の内部空間底面に埋設される複数本の杭と、杭の上方に立ち上げられる複数本の脚柱と、隣接する脚柱間を連絡する複数本の補強ブレースとを備えていることを特徴とする免震装置を備えた墓石。
- 請求項7に記載した免震装置を備えた墓石において、脚柱の取付角度を可変して受け金枠の設置高さ及び水平方向の位置を調整する受け金枠調整手段を具備したことを特徴とする免震装置を備えた墓石。
- 請求項4〜8のいずれかに記載した免震装置を備えた墓石において、免震装置のスライド機構及びバネ手段が収容されている空間を密閉するシール部材が設けられていることを特徴とする免震装置を備えた墓石。
- 請求項4〜9のいずれかに記載した免震装置を備えた墓石において、本体部が摺動する際に、免震装置と基台部とが接触するのを防止する緩衝材を備えたことを特徴とする免震装置を備えた墓石。
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