JP3671153B2 - 杭基礎構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばビルや橋梁等のような建築・土木関係の構造物に固定されて地中地盤に埋め込まれたコンクリート製フーチング(構造物の基礎)を、基礎杭(硬盤層などの深い層に伝達して支持させる先端支持杭や杭外周面と地盤土砂との間の摩擦力で支持させる摩擦杭)の上端部たる杭頭部に支承させてなる杭基礎構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の杭基礎構造にあっては、一般に、図10に示す如く、地中地盤81に構造単位としての基礎杭82を打設し、その杭頭部82aとその上位に配置したコンクリート製のフーチング83とを、複数の杭鉄筋84…を両者82,83にコンクリート打設により埋設させることにより、剛接合しているのが普通である。なお、フーチング83は、上部構造体側の柱85及び基礎梁86に固定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、かかる剛接合構造では、地震等による過大な力(以下「地震力」という)が作用した場合、両者の境界部となる杭頭部接合部に応力が集中し、大地震時に杭頭部82a及びフーチング83の下部が損傷、破損し易く、それが原因で上部構造物の倒壊など被害が拡大する可能性がある。また、剛接合であるため、杭頭部接合部に作用する応力が大きくなるため、鉄筋84…の埋設数を必要以上に多くしたり、杭82やフーチング83の断面を大きくしたりする必要がある。その結果、施工が煩雑になるばかりでなく、配筋工事の増大によって施工コストが嵩む。また、杭頭部接合部に損傷、破損が生じた際にはその箇所を復旧する必要があるが、杭頭部接合部は、地中地盤81に構造単位としてコンクリート打設された杭82に支持された下部構造であるために、復旧作業自体の作業性が非常に悪いとともに莫大な復旧費用を要する。
【0004】
本発明は、このような問題を生じることなく、優れた耐震性能及び免震性能を発揮しうる杭基礎構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決した本発明の杭基礎構造は、フーチングを、接合手段及び引抜抵抗力付与手段を介して、基礎杭の上端部たる杭頭部に支承させてなるものである。而して、接合手段は、杭頭部に凹部を形成した下部支承部材を設け、フーチングの下端部に前記凹部に嵌合された上部支承部材を設けると共に、両支承部材間に、前記凹部内において、弾性部材とその上面全域に敷設されたシムプレートとその上に載置され且つ上向きテーパ面を有する環状の側方変位拘束部材とを装填して、杭頭部とフーチングとを弾性部材の弾性変形により相対回転自在に接合すると共に弾性部材に作用する荷重が側方変位拘束部材のテーパ面により弾性部材側への押圧力と凹部の内周面側への押付力との分力に分けられるように構成したものであり、引抜抵抗力付与手段は、複数の鉄筋を、それらの上端側部分が杭頭部から突出し且つ接合手段による接合部分の外周環状領域を通過する状態で、基礎杭に固設し、内径を鉄筋径より大きくした複数の鉄筋挿通路をフーチングに上下貫通状に形成して、各鉄筋の上端側部分をフーチング上に突出する状態に各鉄筋挿通路に挿通させ、フーチング上に突出する各鉄筋部分に抜止体を取り付けると共に、各抜止体とフーチング上面との間に、鉄筋に対してフーチングを下方へと押圧附勢するバネ部材を介装してなるものである。
【0006】
引抜抵抗力付与手段にあっては、各鉄筋挿通路は、鉄筋径より大径の管状部材をフーチングに埋設することにより形成されていることが好ましい。また、フーチング上に突出する各鉄筋部分は、フーチング上面に載置した金属製の支圧板を貫通しており、この支圧板と抜止体との間にコイルスプリング,皿バネ等のバネ部材が装填されていることが好ましい。また、フーチング上面と支圧板との間には、低摩擦性材からなる滑り層が形成されていることが好ましい。さらに、フーチング上には、フーチングに対する各鉄筋の水平変位領域及び鉛直変位領域を確保するための空間を確保するための蓋部材が配置されていることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて具体的に説明する。
【0008】
図1〜図5は本発明の実施の形態を示すもので、この実施の形態における杭基礎構造にあっては、図1に示す如く、基礎杭2の上端部たる杭頭部2aとその上位に配置されたフーチング6とが、接合手段7により接合されると共に引抜抵抗力付与手段20により接合手段による相対回転を許容する状態で連結されている。なお、基礎杭2は、地中地盤1に場所打施工により形成された断面中実円形の鉄筋コンクリート杭(一般に「場所打杭」又は「現場造成杭」と称せられるもの)であり、フーチング6は、上部構造体である建物3から下方へ一体に延設した柱4及び基礎梁5に固定させて地中に埋め込み設置されたコンクリート製のものである。
【0009】
而して、接合手段7は、図2及び図4に示す如く、杭頭部2aに設けた下部支承部材10とフーチング6の下端部に設けた上部支承部材6aとの間に弾性部材13を装填してなる。すなわち、下部支承部材10は、杭頭部2aの中心部に金属製のベースプレート8とその上面に固着された金属製の筒壁9とからなるシューを載置すると共に、杭頭部2a上にコンクリートの打設により当該シュー8,9を囲繞する外堀コンクリート層11を形成してなる。筒壁9及びコンクリート層11の上面位置は、杭工事掘削面のレベルに設定される。上部支承部材6aはフーチング6の下面部に一体的に突出形成されており、シュー8,9で構成される凹部12に嵌合されている。なお、筒壁(シュー)9つまり凹部12の横断面形状は方形又は円形をなしており、この例では正方形をなしている。上部支承部材6aの横断面形状は、凹部12の横断面形状より小さい相似形状をなしている。両支承部材6a,10間には、弾性部材13、シムプレート14、側方変位拘束部材15、金属プレート16及びクッション材17が装填されている。すなわち、凹部12の底面を構成するベースプレート(シュー)8と凹部12に嵌合された上部支承部材6aの下端面との間には、ベースプレート8上に載置された弾性部材13と、弾性部材13上に載置されたシムプレート14と、シムプレート14上に載置された金属プレート16及び側方変位拘束部材15とが装填されている。弾性部材13は、凹部12の横断面形状に合致する平板形状をなしており、一般に、圧縮復元特性に優れたゴム弾性材又はゴム基材で構成されるエラストマー材で構成されていて、弾性変形により杭頭部2aとフーチング6との相対回転変位を許容する。なお、弾性部材13の構成材としては、流動変形性のある鉛や鉛合金又は粘弾性体等を使用することも可能である。シムプレート14はPTFE等の低摩擦性樹脂材で構成されており、弾性部材13と同一の横断面形状をなしている。金属プレート16は、その周縁部16aを上方に広がる傾斜状に立ち上がらせたものである。側方変位拘束部材15は、金属プレート16の周縁部16aと筒壁9との対向面間に充填された環状体であり、内周面15aを金属プレート16の周縁部16aに密接するテーパ面に形成してある。側方変位拘束部材15の構成材としては、PTFE、PFA、ゴアテックス等のフッ素系樹脂やフッ素系ゴムを使用することが好ましいが、銅や真鏡等の銅合金を使用することも可能である。また、側方変位拘束部材15の上方における上部支承部材6aと筒壁9との対向面間には、筒状のクッション材17が充填されている。さらに、下部支承部材10の上面部とフーチング6の下面部との間には、上部支承部材6aに嵌合する環状板形状をなすクッション材18が装填されている。これらのクッション材17,18は、フーチング6及びこれに一体形成される上部支承部材6aの施工時(コンクリート打設時)の捨型枠として機能するものであり、コンクリート硬化後は杭頭部2aとフーチング6との相対水平変位及び相対回転変位を許容するためのクリアランス形成部材として機能する。クッション材17,18の構成材としては、コンクリート捨型枠としての必要強度を有しており且つフーチング6と杭頭部2aとの相対相対変位を許容すべく圧縮変形しうるもの、例えば、発泡スチロールや防水剤のスプレー塗布や防水紙の貼付け等によって内面に防水加工が施されたダンボール材等が使用される。
【0010】
以上のような接合手段7による杭頭部接合構造においては、地震力が作用した場合、杭頭部2aとフーチング6とがクッション材17により規制されている凹部12内の所定範囲内で相対的に水平移動しつつ、そのときのエネルギーがクッション材17部分によって吸収されるだけでなく、クッション材17,18及び凹部12の底部に収納されている弾性部材13により杭頭部2aとフーチング6とが全方向に相対回転変位しつつ、そのときのエネルギーが弾性部材13及びクッション材17,18部分で吸収されることになる。これによって、地震力が作用したときの杭頭部2aとフーチング6との接合部への応力集中が著しく減少されるために、杭2及びフーチング6の断面を強度上の必要最低限に縮小し、かつ、配筋量も低減して施工の容易性及び低コスト化を図りながらも、過大な水平力が作用したときでも、杭頭部2a及びフーチング6の損傷、破損を防止して優れた耐震性能、免震性能を発揮させることが可能となる。
【0011】
ところで、凹部12に収納されている弾性部材13にはフーチング6を通じて上部構造体の重量が長期鉛直荷重として作用しており、さらに、地震力が作用した場合には、杭頭部2aとフーチング6との相対回転変位に伴い弾性部材13には強大な偏荷重が作用することになり、このとき、凹部12の内周面(筒壁9の内周面)とフーチング6の上部支承部材6aとの間に僅かな隙間があっても、その隙間に弾性部材13の周縁部がはみ出して弾性部材13が損傷(亀裂が入る等)し易く、それに伴い所定のエネルギー吸収機能が損なわれる可能性がある。
【0012】
しかし、凹部12内に収納されている弾性部材13の上面全域にはシムプレート14が敷設されていると共に、シムプレート14上には上向きテーパ面15aを有する側方変位拘束部材15が載置されているので、杭頭部2aとフーチング6との相対水平移動時における弾性部材13の上面の摩耗や破損がシムプレート14により阻止されるだけでなく、弾性部材13に長期鉛直荷重や杭頭部2aとフーチング6との相対回転変位に伴う偏荷重が作用したとき、それら荷重は側方変位拘束部材15のテーパ面15aにより弾性部材13側への押圧力と筒壁9の内周面側への押付力との分力に分けられ、さらに、側方変位拘束部材15の下面がシムプレート14で受けられているので、筒壁9の内周面側への側方変位拘束部材15の押付力が増強されることになる。
【0013】
したがって、地震等の発生時においても、筒壁9で構成される凹部12の内周面と上部支承部材6aとの間に隙間が発生されることが皆無となり、弾性部材13の周縁部のはみ出しによる亀裂等の損傷を防止することが可能であると同時に、弾性部材13の腐食及び劣化も低減することが可能となり、これによって、弾性部材13による上述の優れた耐震性能、免震性能を長期に亘って安定よく維持することができる。
【0014】
また、側方変位拘束部材15を筒壁9の内周面とシムプレート14と金属プレート16の下向きテーパ面16aとで取り囲むことにより、フーチング6と杭頭部2aとの相対水平移動や相対回転変位時に側方変位拘束部材15自体がコンクリートに直に接触して破損されたり、歪変形されたりすることを防ぎ、この側方変位拘束部材15による本来の弾性部材はみ出し防止機能を一層安定よく保持して、長期間経過後においても所定の耐震性能、免震性能をより確実に発揮させることができる。
【0015】
また、シムプレート14の上面に金属プレート16を配置し、この金属プレート16の周縁部に側方変位拘束部材15の上向きテーパ面に対面する下向きテーパ面を形成する構成を採用することによって、側方変位拘束部材15を立上がり筒壁9の内周面とシムプレート14と金属プレート16の下向きテーパ面16aとで取り囲んでフーチング6と杭頭部2aとの相対水平移動や相対回転変位時に側方変位拘束部材15自体が破損されたり、歪変形されたりすることを防ぎ、この側方変位拘束部材15による本来の弾性部材はみ出し防止機能を安定保持して、長期間経過後においても所定の耐震性能、免震性能を確実に発揮させることができる。また、金属プレート16とシムプレート14との間に低摩擦によるすべり機能を持たせることが可能であり、地震等による回転力を一層効果的に吸収することができる。また、金属プレート16の周縁部先端をクリアランス内に配置する構成とすることにより、金属プレート16の周縁部先端が側方変位拘束部材15に食い込むことによる側方変位拘束部材15の損傷を可及的に回避して本来の弾性部材はみ出し防止機能を長期間に亘って安定よく保持させることができる。なお、図6又は図7に示す如く、金属プレート16を周縁部が立ち上がらない平板形状として、上部支承部材6aの下端外周縁部を側方変位拘束部材15のテーパ面15aに密接するテーパ面に形成した場合にも、上記した場合とほぼ同等の弾性部材はみ出し防止機能を発揮させることができる。
【0016】
ところで、中高層建物の外周部の柱(特に、隅柱)4には地震力や水の浮力等によって大きな引抜力が作用することがあるが、かかる場合、杭頭部2aとフーチング6とを上記した接合手段7によって接合した杭基礎構造にあっては、当該引抜力に十分に対抗することができず、相対的にフーチング6から基礎杭2が抜け出す虞れがある。このような状態となると、構造物全体の力の釣り合いが急激に崩れて、構造物に甚大な被害が生じることになる。そこで、本発明に係る杭基礎構造にあっては、杭頭部2aとフーチング6とを次のような引抜抵抗力付与手段20により連結しておくことによって、接合手段7による上記した耐震機能,免震機能を何ら損なうことなく、当該引抜力に十分対抗できる抵抗力(引抜抵抗力)を確保できるように工夫してある。
【0017】
すなわち、引抜抵抗力付与手段20は、図2、図3及び図5に示す如く、複数の鉄筋21…を、それらの上端側部分21a…が杭頭部2aから突出し且つ接合手段7による接合部分(上部支承部材6aと下部支承部材10(凹部12)との嵌合部分)の外周環状領域を通過する状態で、基礎杭2に固設し、内径Dを鉄筋径dより大きくした複数の鉄筋挿通路22…をフーチング6に上下貫通状に形成して、各鉄筋21の上端側部分21aをフーチング6上に突出する状態に各鉄筋挿通路22に挿通させ、フーチング6上に突出する各鉄筋部分21bに抜止体23を取り付けると共に、各抜止体23とフーチング上面(フーチング天面)6bとの間に、鉄筋21に対してフーチング6を下方へと押圧附勢するバネ部材24を介装してなる。
【0018】
鉄筋21…は、図2及び図3に示す如く、基礎杭2と同心をなす円上に等ピッチで並列し且つコンクリート層11を貫通する状態で、基礎杭2に埋設固定されており、その上端側部分21aは、フーチング天面6bを所定量超える位置まで鉛直上方に延びている。各鉄筋21は、フーチング天面6b上に突出する上端部分21bにネジ部21cを刻設した主鉄筋又はPC鋼材である。なお、鉄筋21…の基礎杭2(及びコンクリート層11)に埋設された部分は帯鉄筋(図示せず)により上記した円形配置形態で相互連結されている。
【0019】
鉄筋挿通路22…は、図3に示す如く、鉄筋21…と同一の配置形態をなしてフーチング6に形成されており、各鉄筋21は各鉄筋挿通路22にその中心部に位置した状態で挿通されている。鉄筋挿通路22に挿通された鉄筋部分21aは、図5に示す如く、両者21a,22の径差D−dに応じた範囲において、鉄筋挿通路22に対して水平方向に相対変位することができるが、鉄筋挿通路22の径Dは、かかる鉄筋部分21aの水平方向における相対変位量が接合手段7によって許容される杭頭部2aとフーチング6との水平方向相対変位量(地震力を吸収すべく両者2a,6が相対回転変位することによって生じる水平方向相対変位量)に一致又は略一致するように、鉄筋径dに応じて設定されている。各鉄筋挿通路22は、内径をDとする管状部材22aをフーチング6に埋設することにより形成されている。すなわち、管状部材22a…をフーチング形成用の型枠の一部(捨型枠)としてコンクリートを打設することにより、鉄筋挿通路22…を有するフーチング6が形成されるのである。したがって、管状部材22aとしては、コンクリート打設時及びコンクリート硬化時の圧力に耐えることができる程度(押し潰されない程度)の剛性を有するものであればよく、鋼管等の金属管や樹脂管,紙製管(カポスタック等)を使用することができる。
【0020】
各鉄筋21の上端部分つまりフーチング天面6b上に突出する鉄筋部分21bには、図5に示す如く、下方から順に、鉄筋挿通路22より大径をなす金属製環状板である支圧板25、環状座金26、環状のバネ部材24及び環状座金27が挿通されると共に、抜止体23が取り付けられている。支圧板25は、中心部に鉄筋部分21bが挿通するに必要且つ十分な径の貫通孔を形成したもので、鉄筋挿通路22内での鉄筋変位(水平方向変位)に追従してフーチング天面6b上を滑動するものである。バネ部材24としては、圧縮コイルスプリング(コイル断面が円形又は方形をなすもの)又は複数の皿バネを積層したもの等が使用されるが、図示の例ではコイル断面が円形の圧縮コイルスプリングが使用されている。抜止体23は、鉄筋21のネジ部21cに螺着された一対のナット(ダブルナット)23a,23aである。而して、バネ部材24により鉄筋21に対してフーチング6が下方へと押圧附勢されるが、その附勢力は、ナット23a,23aによる締め付け量を変更することによって調整することができ、接合手段7により許容される杭頭部2aとフーチング6との鉛直方向相対変位(地震力を吸収すべく両者2a,6が相対回転変位することによって生じる鉛直方向相対変位)を妨げない範囲において基礎杭2のフーチング6からの引き抜きを十分に阻止しうる程度に設定される。
【0021】
したがって、上記した引抜抵抗力付与手段20によれば、接合手段7による杭頭部2aとフーチング6との相対変位を妨げることなく、基礎杭2のフーチング6からの引き抜きを確実に防止することができる。すなわち、杭頭部2aとフーチング6との鉛直方向の相対変位はバネ部材24の伸縮により吸収され、両者2a,6の水平方向変位は鉄筋挿通路22内での鉄筋移動(支圧板25の滑動)によって吸収されて、接合手段7による耐震機能及び免震機能が損なわれることがない。また、基礎杭2の引き抜きは抜止体23によって確実に阻止される。したがって、杭頭部2aとフーチング6との間を両手段7,20により接合,連結された杭基礎構造によれば、建物3の耐震性能及び免震性能を大幅に向上させることができる。
【0022】
ところで、フーチング天面6b上に基礎梁,スラブ,柱等のコンクリート打設が行われる場合があるが、かかる場合には、図5に示す如く、フーチング天面6b上に、各鉄筋21のフーチング6に対する水平変位領域(支圧板25の滑動領域)及び鉛直変位領域(バネ部材24の伸縮領域)を確保するための空間28aを確保するための蓋部材28を配置しておく。蓋部材28は捨型枠であり、コンクリート打設時及びコンクリート硬化時の圧力に耐えることができる程度(押し潰されない程度)の圧縮強度を有するものであればよく、金属製,樹脂製のものを使用することができる。また、このような蓋部材28に代えて、図8に示す如く、上記空間28aに相当する空間に、コンクリート打設時及びコンクリート硬化時の圧力に耐えることができる程度の圧縮強度を有し且つ支圧板25の滑動及びバネ部材24の伸縮を妨げない程度の弾性を有する発泡ウレタン等の弾性層29を充填させておいてもよい。
【0023】
また、支圧板25のフーチング天面6b上における滑動をより円滑に行われるように、フーチング天面6bと支圧板25との間に低摩擦性材からなる滑り層30を形成しておくことが好ましい。滑り層30は、図8に示す如く支圧板25に一体形成したものであっても、図9に示す如く支圧板25と別体構成をなすものであっても、何れでもよい。すなわち、図8に示すものでは、滑り層30が、支圧板25の下面にPTFE等の低摩擦性材をコーティングすることによって構成されている。また、図9に示すものでは、滑り層30が、フーチング天面6bより僅かに突出させた管状部材22aの上端部に嵌合固定させたPTFE等の低摩擦性材製の滑り板で構成されている。
【0024】
【発明の効果】
以上のように、本発明の杭基礎構造によれば、冒頭で述べた問題を生じることなく、建物の耐震性能及び免震性能を大幅に向上させることができる。特に、引抜抵抗力付与手段により、接合手段による接合機能を損なうことなく、中高層建物の外周部の柱(特に隅柱)に地震力や水の浮力等によって作用する引抜力に良好に対抗することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る杭基礎構造の一例を示す縦断正面図である。
【図2】 図1の要部(隅柱の周辺部分)を示す拡大詳細図である。
【図3】 図2のIII−III線に沿う横断平面図である。
【図4】 図2の要部(接合手段の周辺部分)の拡大図である。
【図5】 図2の要部(引抜抵抗力付与手段の周辺部分)を拡大して示す詳細図である。
【図6】接合手段の変形例を示す図4相当の縦断正面図である。
【図7】接合手段の他の変形例を示す図4相当の縦断正面図である。
【図8】 引抜抵抗力付与手段の変形例を示す図7相当の縦断正面図である。
【図9】 引抜抵抗力付与手段の他の変形例を示す図7相当の縦断正面図である。
【図10】 従来の杭基礎構造を示す縦断正面図である。
【符号の説明】
2…基礎杭、2a…杭頭部、6…フーチング、6a…上部支承部材、6b…フーチング天面(フーチングの上面)、7…接合手段、10…下部支承部材、12…凹部、13…弾性部材、14…シムプレート、15…側方変位拘束部材、15a…テーパ面、20…引抜抵抗力付与手段、21…鉄筋、21a…鉄筋の上端側部分、21b…フーチング上に突出する鉄筋部分、22…鉄筋挿通路、22a…管状部材、23…抜止体、23a…ナット(抜止体)、24…バネ部材、25…支圧板、28…蓋部材、28a…空間、30…滑り層、D…鉄筋挿通路の径、d…鉄筋径。

Claims (5)

  1. フーチングを、接合手段及び引抜抵抗力付与手段を介して、基礎杭の上端部たる杭頭部に支承させてなり、
    接合手段は、杭頭部に凹部を形成した下部支承部材を設け、フーチングの下端部に前記凹部に嵌合された上部支承部材を設けると共に、両支承部材間に、前記凹部内において、弾性部材とその上面全域に敷設されたシムプレートとその上に載置され且つ上向きテーパ面を有する環状の側方変位拘束部材とを装填して、杭頭部とフーチングとを弾性部材の弾性変形により相対回転自在に接合すると共に弾性部材に作用する荷重が側方変位拘束部材のテーパ面により弾性部材側への押圧力と凹部の内周面側への押付力との分力に分けられるように構成したものであり、
    引抜抵抗力付与手段は、複数の鉄筋を、それらの上端側部分が杭頭部から突出し且つ接合手段による接合部分の外周環状領域を通過する状態で、基礎杭に固設し、内径を鉄筋径より大きくした複数の鉄筋挿通路をフーチングに上下貫通状に形成して、各鉄筋の上端側部分をフーチング上に突出する状態に各鉄筋挿通路に挿通させ、フーチング上に突出する各鉄筋部分に抜止体を取り付けると共に、各抜止体とフーチング上面との間に、鉄筋に対してフーチングを下方へと押圧附勢するバネ部材を介装してなるものであることを特徴とする杭基礎構造。
  2. 各鉄筋挿通路は、鉄筋径より大径の管状部材をフーチングに埋設することにより形成されていることを特徴とする、請求項1に記載する杭基礎構造。
  3. フーチング上に突出する各鉄筋部分は、フーチング上面に載置した金属製の支圧板を貫通しており、この支圧板と抜止体との間にバネ部材が装填されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載する杭基礎構造。
  4. フーチング上面と支圧板との間には、低摩擦性材からなる滑り層が形成されていることを特徴とする、請求項3項に記載する杭基礎構造。
  5. フーチング上には、フーチングに対する各鉄筋の水平変位領域及び鉛直変位領域を確保するための空間を確保するための蓋部材が配置されていることを特徴とする、請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載する杭基礎構造。
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