JP3165063B2 - 耐震基礎構造 - Google Patents

耐震基礎構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】これまでの地震災害や199
5年の阪神淡路大震災の経験により、構造物本体のみで
なくその基礎構造体の耐震安全性の重要性が指摘されて
いる。本発明は、海・湖・河川・沼沢地・池などの水上
・水中や軟弱地盤に構築するために杭基礎を必要とする
全ての構造物の基礎に適用可能であり、経済的な方法で
杭基礎およびその上部構造体の耐震安全性能を高める基
礎構造方式に関するものである。
【0002】
【従来の技術】軟弱地盤や水上に構造物を建設する場合
には、構造物を支持するために鋼杭やプレストレスト鉄
筋コンクリート杭などの既成杭、あるいは場所打ちコン
クリート杭など各種の杭基礎が採用されている。
【0003】これらの杭は、平常時における構造物の重
量を支持することが本来の目的であったが、過去におけ
るこれまでの地震災害において杭の損傷事例が多数報告
されてきたために、地震時における杭および基礎構造体
の耐震安全性を確保することが耐震設計上の重要課題と
なっている。
【0004】杭の耐震安全性を向上させるこれまでの方
法は、杭と構造物の連結部である杭頭の曲げ応力に対し
て「杭頭固定」条件が成立するように基礎フーチングや
地中梁で拘束し、その杭頭に構造物からの水平力が伝達
された場合の応力を計算し、杭体にはその応力以上の曲
げおよびせん断耐力を付与するというものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】1995年の阪神淡路
大震災をはじめとして、近年の地震災害では水平最大加
速度が1000cm/s2前後、最大速度は100cm
/s前後あるいはそれ以上という極めて強い地震動が観
測されている。そのような強い地震動に対して構造物を
耐震設計しようとすると、構造物には極めて大きな水平
力が発生し、従って杭体にも非常に大きな水平力が伝達
されることになる。この大きな水平力に対して杭頭固定
の条件で基礎構造体を安全に設計しようとすると、極め
て大径の杭と大断面の地中梁が必要となり、設計不可能
・施工不能の基礎構造体となる場合が生じている。
【0006】阪神淡路大震災以降、わが国においては免
震構造建物が普及しつつあるが、地震応答が著しく低減
される免震構造においてさえ、上記の問題が生じる場合
が多く、ましてや厳しい地震応答が生じる従来の耐震構
造では殆ど設計不可能と言わざるを得ない。
【0007】本発明は、このような暗礁に乗り上げてい
る杭基礎構造体の耐震設計上の難題に対して、厳しい地
震動作用時においても杭体が損傷を受けず、且つ上部構
造体の地震応答低減にも効果のある、経済的で且つ施工
も容易という基礎構造方式を提案するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】これまでの杭基礎の設計
では、上記のとおり杭頭の回転を拘束する杭頭固定とし
て構造物と一体化することを重要な前提条件としてい
る。本発明は、杭に発生する曲げおよびせん断応力を低
減するために、この技術的常識を否定し、杭頭における
構造物と杭体の連結を解除することを第一条件とする。
【0009】第1の方法は、杭頭と構造物を完全に分離
するもので、杭体自体の上に構造物を単に載せるのみ
で、鉄筋その他の構造部材で両者を連結しないことを重
要条件とする。バラバラの杭体のみでは杭自体が安定し
ない場合は、杭頭を地中梁や耐圧盤等で連結した上で、
その杭頭部の構造体の上に、分離された構造体を載せる
方法を採用する。
【0010】この場合、杭頭もしくは杭頭連結部材とそ
の上に載せられた構造体との接触面には摩擦力が存在す
るため、この摩擦抵抗力分の水平力は杭頭に伝達され
る。しかし、コンクリート接触面の摩擦係数は一般に
0.2〜0.4程度であり、基礎固定の構造物に発生す
る大地震時のベースシア係数が1.0以上に達すること
に較べれば基礎構造体と上部構造体の間ですべりを許容
することにより、上部構造体に発生する地震力も杭体等
の基礎構造体に作用する地震力も1/2以下に低減され
ることになる。これは積層ゴム等の免震装置を何も使用
しないで免震構造物を実現する方法であると言ってもよ
い。
【0011】第2の方法は、上部構造体と基礎構造体両
者に作用する地震力を更に緩和するためにこの摩擦力を
低減させる方法である。両者の接触面に鉛直荷重は支持
できながら水平方向の摩擦力を緩和できるゴム板等の粘
弾性体、ゴムと鋼板を一体化した積層ゴム体、アスファ
ルト等の粘塑性体、個体潤滑剤などを介在させる。ま
た、両者の接触面全体にはゴム板等を介在させ、その中
央部にせん断力伝達用の小断面の鉄骨部材や鉄筋等を配
置することによって、杭頭の曲げ応力は解除しながら水
平せん断力のみは伝達できる杭頭ピンの条件を実現す
る。
【0012】第3の方法は、杭先端部の拘束条件を解除
し「先端ピン」の条件に近づける方法である。前項によ
り杭頭ピンとなった杭体は、杭先端固定の条件では支持
層から直立した片持ち柱となり、杭先端付近に大きな曲
げ応力が発生する。この先端部の過大な応力を緩和する
ためには、杭先端の回転拘束を解除する方法が必要とな
る。
【0013】堅固な支持層に埋め込まれた杭先端の回転
拘束力は、埋め込まれた杭体の側面を堅固な地層が固め
ており、杭先端部が傾こうとする変形に周囲の地層が抵
抗するために発生する。本発明では、支持層に埋め込ま
れた杭先端部の側面に圧縮力により容易に変形する軟ら
かい緩衝表面を設けることによって周囲側面地盤による
拘束抵抗力を弱める。杭側面に軟らかい層を形成するに
は、発砲スチロールなどのスポンジ状物質を、杭体築造
時、杭の鉄筋を建て込む時点に組立鉄筋籠の外側に固定
し、所定の位置に挿入した後でコンクリートを内側から
打設する。
【0014】上記の第2の方法および第3の方法によ
り、杭頭および杭先端のそれぞれの回転拘束を解除し
て、杭頭ピン、杭先端ピン、両端ピンの条件を自由に実
現することが可能となる。両端ピンの杭体は、力学的に
は不安定な構造系であるが、地盤内に埋め込まれている
実際の杭は、平常時は水平移動を周囲地盤に拘束されて
おり、地震時には周囲地盤の変位と同じ動きを強制され
るだけで下記条件以外では不安定となる恐れはない。
【0015】地震時において両端ピンの杭体が不安定と
なる可能性があるのは、周囲地盤が液状化現象を起こし
た場合および地震時に地盤の側方流動が発生する場合で
ある。第4から第7の方法は、この対策方法を示したもの
である。
【0016】第4の方法は、杭を採用した基礎構造体に
水平方向の復元力を与えるものである。本方法は、地盤
掘削のための山留め構法やアスペクト比の大きい塔状構
造物の浮き上がり防止などのためにPC鋼材を地盤内に
定着する地盤アンカー構法を利用するもので、建物下の
地盤内に斜めの地盤アンカーを配置し、その先端を堅固
な支持層に定着し、他端を杭上部の基礎構造体に固定す
る。地盤アンカーの配置は、平面的には建物平面下もし
くは敷地内からはみ出さず、抵抗力の水平方向分力が大
きくなるようにできるだけ水平に近い角度に配置する。
【0017】従来の地盤アンカー構法は、PC鋼材等に
あらかじめ張力を導入しておき、その引っ張り抵抗力を
利用するものであるが、本発明は支持層に対して構造物
が相対水平変位を生じた場合に元位置に復帰しようとす
る復元力の付与を目的とするもので、そのバネ効果を利
用するものである。従って、初期張力の導入は必ずしも
必要ではなく、その張力は目的とするばね効果と許容変
位の観点から設定される。
【0018】第1から第3の方法の杭と第4の方法の地
盤アンカーの組み合わせによって構成される基礎構造体
は、杭により上部構造体の重量を支持しながら地盤の水
平変位に追従し、上部構造体の支持地盤に対する水平変
位が大きくなるに伴い、その水平変位に応じた水平復元
力が付加されることになる。この水平復元力は杭の水平
抵抗力によってではなく地盤アンカーによって提供され
るので、杭には大きな応力を発生させないで構造物に元
位置への復帰能力を与えることが可能となる。
【0019】第5から第7の方法は、以上の基礎構造体
に地震応答の抑制に効果の大きい減衰性能を付与する方
法である。第5の方法は、地盤アンカーの緊張材の周囲
に被覆管を配置して2重管構造とし、緊張材と被覆管の
間に粘性材料を充填するものである。基礎構造体の水平
変位に伴い緊張材が伸びると、粘性材料の働きにより被
覆管との間に粘性減衰抵抗力が発生し、エネルギーが消
費される。
【0020】第6の方法は、エネルギー吸収装置を基礎
構造体もしくは構造物内に設置するものである。この減
衰装置は、2枚以上の抵抗板を僅かな隙間をもって配置
し、その隙間には粘性流体を充填するか、もしくは両抵
抗板をエネルギー吸収性能の高い高減衰ゴムなどの粘弾
性体で結合したものである。この抵抗板の一方は構造体
側に固定しておき、他方を地盤アンカーの緊張材に結合
している。この状態で地震時に支持基盤に対して構造物
が相対水平変位を生じると、地盤アンカーの緊張材の働
きにより抵抗板間に相対変位が生じ、粘性減衰抵抗力が
発生してエネルギーが吸収される。
【0021】第7の方法は、第6の方法を実際の構造物
に合わせて合理的に適用する代表的方法を示したもの
で、構造物内の離れた2点から配置された地盤アンカー
を共通のエネルギー吸収装置に連結することで、水平2
方向の動きに常に効果を発揮し配置面積も小さくてすむ
という、効率的な減衰性能を有する基礎構造体を実現す
るものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例を示す図面
に基づいて説明する。
【0023】図1は、杭頭固定とするこれまでの杭基礎
と建物の設計要領を示している。杭頭の回転を拘束して
杭頭固定とすると、地震時には杭頭に非常に大きな曲げ
モーメントとせん断力が発生する。
【0024】図2〜図4方法は、杭頭と構造物を分離
し、杭の基礎構造体の上に構造物を載せる要領を示して
いる。図2はそれぞれ単独の杭の上に構造物を載せる場
合、図3は、各杭を地中梁やスラブ等によって水平面内
に一体化した上に建物を載せる場合を示している。ま
た、図4は地下階を有する建物の例を示している。
【0025】図5は、杭頭部分の連結方式を、地下階な
しの図2の場合について示したものである。(1)は、
杭の基礎構造体と上部構造物を完全に分離し、基礎構造
体の上に上部構造体を単に載せるだけの場合である。こ
の場合、上下構造体の接触面に発生する摩擦力分の水平
力は伝達されるが、その摩擦抵抗力以上の水平力は上部
構造体に伝達されず、免震構造物となる。コンクリート
接触面の摩擦係数は一般に0.3±0.1程度と考えら
れるので、上部構造体の大地震時ベースシア係数が0.
5以上にはならず、基礎固定の構造物に較べれば大地震
時の地震力を1/2以下に低減させることができる。
【0026】図5の(2)は、この摩擦力を低減させ上
部構造体と基礎構造体両者に作用する地震力を更に緩和
するために、両者の接触面(32−P)にゴム板等の粘
弾性体、ゴムと鋼板を一体化した積層ゴム体、アスファ
ルト等の粘塑性体、個体潤滑剤などを介在させる場合を
示している。
【0027】図5の(3)は、両者の接触面全体(32
−P)にはゴム板等を介在させて、その中央部にせん断
力伝達用の小断面の鉄骨部材や鉄筋等(33)を配置す
ることによって、杭頭の曲げ応力を解除しながら水平せ
ん断力は伝達できる杭頭ピンの条件を実現している。
(4)はその杭頭部分の設計詳細の例である。
【0028】図6は、3の方法の杭先端部の拘束条件を
解除し「先端ピン」の条件に近づける方法で、図6
(1)は一般の場所打ちコンクリート杭、図6(2)は
拡底杭の場合を示している。堅固な支持層(5)に埋め
込まれた杭先端の回転拘束力は、杭体の側面を堅固な地
層が固めているために発生する。そこで、支持層に埋め
込まれた杭先端部分の側面に発砲スチロールやスポンジ
状物質などの軟らかい緩衝層(35)を設ける。この緩
衝層は、側圧によって容易に圧縮変形するので曲げ応力
による杭体の傾斜を妨げず、杭先端を回転自由のピン支
点に近づけることになる。
【0029】図5、図6に示した方法により、杭頭およ
び杭先端の回転拘束を解除して、杭頭ピン、杭先端ピ
ン、両端ピンの3条件を自由に実現することができる。
図7に杭頭・杭先端の固定条件を固定(F)、ピン
(P)とした4通りの組み合わせ条件(FF,PF,F
P,PP)によって、杭に発生する地震時応力が如何に
異なるかの地震時応答解析結果の一例を示す。
【0030】図7は、GL−11mまで地下階があり、
その下にGL−35mまで場所打ちコンクリート杭を打
設した建物での地盤−杭・建物連成系モデルによる地震
応答解析の例である。上段(1)にFF(杭頭固定・先
端固定)モデル、PP(杭頭ピン・先端ピン)モデル、
下段(2)にFPモデル、PFモデルを示している。杭
体の中央部の応力は、杭の変形が地層のせん断歪みに支
配され上下端の固定条件によって大きな差異は生じてい
ない。一方、杭頭および杭先端は、固定からピンにする
ことによって曲げモーメントが大幅に解消され、それに
伴ってせん断力も格段に小さくなっている。また図7
は、杭頭・杭先端の固定条件の違いによって、構造物の
支持地盤に対する相対水平変位に殆ど差異が生じないこ
とも示している。これは、構造物の地震時変位は、地層
の水平せん断変形によって支配されており、両端ピンの
杭体としても、地盤内に埋め込まれている実際の杭は地
震時にも不安定な構造系とはならないことを示してい
る。
【0031】以上図7に示した地盤−杭・建物連成系に
よる地震応答解析によって、杭頭および杭先端を固定と
する従来の方法は、杭に発生する応力を大きくするだけ
で耐震安全性上のメリットはなく、他方、本発明による
ピン条件の導入は杭の応力を大幅に解消し杭体の地震時
安全性を飛躍的に向上させることがわかる。
【0032】図8・図9は、第4の方法の杭基礎構造体
に水平方向の復元力を与える方法を示している。図8は
地下階のない建物で、(1)は各杭頭を地中梁等で連結
した場合、(2)は各杭等を連結する地中梁を省略した
場合である。図9は地下階を有する建物の場合を示して
いる。いずれも、PC鋼材等の緊張材を支持地盤内に定
着する地盤アンカーを利用するもので、建物下に斜めの
地盤アンカーを配置し、その先端を堅固な支持層に定着
し、他端を杭上部の基礎構造体もしくは建物構造体に固
定する。また図10は、(1)(2)共に地盤アンカー
上部の定着要領を示している。
【0033】構造物が支持層に対して相対水平変位を生
じると、地盤アンカーの芯材(PC鋼材)の伸びに応じ
た引っ張り抵抗力が発生する。地盤アンカーは斜めに配
置されているため、その水平分力が基礎構造体若しくは
建物に付与する水平方向復元力となり、その鉛直分力は
杭体の付加軸力となる。従って、地盤アンカーは発生抵
抗力の水平方向分力が大きくなるようにできるだけ水平
に近い角度に配置するのが好ましく、また杭体はその鉛
直分力を負担できるように設計・配置する。
【0034】本発明は、従来の地盤アンカーのようにそ
の導入張力を利用するのではなく、アンカー芯材の伸び
に伴うバネ効果を利用することに特徴がある。このバネ
効果による復元力の付与により、杭頭・杭先端を共にピ
ンピンとした杭の周囲地盤が液状化現象を起こしたり、
地盤の側方流動が発生した場合でも杭の発生応力は小さ
いままで安定な杭基礎構造体を実現することができる。
【0035】図11〜図15は、第5〜第7の方法に示す
地盤アンカー付き基礎構造体に更に減衰性能を付与する
方法を示している。図11は第5の方法の地盤アンカー
の緊張材の周囲に被覆管を配置して2重管構造とし、芯
材(PC鋼材)と被覆管の間に粘性材料を充填する地盤
アンカーの断面構成図である。(1)はアンカー上部の
水平部分に適用した場合、(2)は斜めアンカー部分に
適用した場合である。基礎構造体の水平変位に伴い芯材
と被覆管の間に相対的ずれが発生し、粘性材料の働きに
より粘性減衰抵抗力が発生してエネルギーが消費され
る。
【0036】図12は、エネルギー吸収装置を基礎構造
体もしくは構造物内に設置する場合の全体構成の例を示
し、エネルギー吸収装置の設置部分の拡大図を図13に
示す。その中で、斜めに配置された地盤アンカー芯材
(PC鋼材)を水平方向へ角度変換する回転ローター部
65を図14に示している。
【0037】エネルギー吸収装置は、図15に示すよう
に、2枚以上の水平の抵抗板を僅かな隙間をもって配置
し、その隙間には粘性流体を充填するか、もしくは両抵
抗板をエネルギー吸収性能の高い高減衰ゴムなどの粘弾
性体で結合する。この抵抗板の一方は構造体に固定さ
れ、他方は地盤アンカーの芯材(PC鋼材)に結合され
ている。この状態で地震時に支持基盤に対して構造物が
相対水平変位を生じると、地盤アンカーの芯材が図14
の回転ローターの作用によって抵抗板間に水平相対変位
を生じさせ、粘性減衰抵抗力が発生してエネルギーが吸
収される。
【0038】
【発明の効果】以上により、本発明による基礎構造体で
は、杭頭・杭先端を自由にピン支点とすることが可能で
あり、そのために地震時に発生する杭応力が極めて小さ
くなり同時に変形性能が高まるので杭基礎自体の耐震安
全性が向上する。更に、基礎構造体全体に水平復元力を
付与できるので、万一周囲地盤の液状化現象が発生した
場合でも安定であり、その上、基礎構造体自体が大きな
減衰性能を有しているために上部構造体の地震応答まで
抑制されるという極めて耐震安全性能の優れた基礎構造
体・構造物が経済的に実現されることになる。
【0039】本発明の基礎方式の効果を列記すると以下
のとおりである。 (1)杭頭・杭先端をそれぞれ、あるいは同時に容易にピ
ン支点とすることができる。 (2)杭体に発生する地震時応力が著しく小さくなる。 (3)杭体の水平変形能力が大きくなる。 (4)杭体には応力が発生しないまま、水平方向復元力が
発生する。 (5)基礎構造体に任意の減衰性能を付与することができ
るので、上部構造体および基礎構造体両者の地震時応答
が飛躍的に改善される。
【0040】以上のとおり、本発明は、従来の杭基礎と
比較して、はるかに耐震安全性能の高い杭基礎構造体を
はるかに経済的に実現することを可能にしたものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】杭頭固定とする従来の杭基礎を使用する建物の
設計要領
【図2】杭頭ピンとする杭基礎建物の設計要領(各杭独
立型の場合)
【図3】杭頭ピンとする杭基礎建物の設計要領(各杭連
結型の場合)
【図4】地下室を有する建物の場合の杭頭ピン建物の設
計要領
【図5】杭頭ピン部分の設計要領
【図6】杭先端ピンの設計要領
【図7】杭頭および杭先端の固定条件による地震時杭応
力の差異 (1)FFモデルとPPモデルの地震時応答 (2)FPモデルとPFモデルの地震時応答
【図8】復元力を有する杭頭ピン基礎の設計要領と復元
力用地盤アンカーの設置要領(地下室のない場合)
【図9】復元力を有する杭頭ピン基礎の設計要領と復元
力用地盤アンカーの設置要領(地下室のある場合)
【図10】復元力用地盤アンカーの定着要領
【図11】減衰付き2重管式地盤アンカー断面図 (1)アンカー芯材が水平部分に適用した場合 (2)アンカー芯材が斜め部分に適用した場合
【図12】減衰装置を組み込んだ復元力を有する杭頭ピ
ン基礎の設計要領(地下室のある場合)
【図13】同上(図11)の地下減衰装置部分の詳細断
【図14】同上、地盤アンカー折り曲げ部要領
【図15】同上、粘性減衰装置の構成図
【符号の説明】
1:建物の柱 2:建物の地中梁 3:杭 4:軟弱層地盤 5:支持地盤 6:地盤アンカー(芯材) 7:減衰装置(エネルギー吸収装置) 21:建物床スラブ 22:耐圧盤震構造梁フランジ 31:杭頭補強部 32:杭基礎と建物の接触部 32−N:杭・建物接触部(単純接触) 32−P:杭・建物接触部の緩衝材 33:せん断力伝達用シアキー 35:杭先端周囲緩衝材 36:周囲緩衝材サポート 37:杭主筋 38:杭せん断補強フープ筋 39:杭頭せん断用補強材 61:地盤アンカー頭部定着体 62:地盤アンカー先端地盤定着部 63:地盤アンカー2重管部用被覆管 64:地盤アンカー2重管部充填粘性体 65:地盤アンカー方向変換ローター 71:減衰装置外側抵抗板 72:減衰装置内側抵抗板 74:減衰装置粘性流体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 27/12 E02D 27/34

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物を支持する杭体の頭部と、前記構
    造物若しくは前記構造物の基礎フーチングとの水平な接
    触面全体に両者の摩擦力を低減する弾性体の介在層を挟
    み、 前記杭体の頭部の中央部にのみせん断力伝達用の鉄骨部
    材若しくは鉄筋を配置したことを特徴とする耐震基礎構
    造。
  2. 【請求項2】 支持層に埋め込まれた杭体先端部分の側
    面であって、前記支持層と杭体に挟まれる部分に緩衝層
    を挟んだことを特徴とする耐震基礎構造。
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