JP3550574B2 - 滑り支承式免震装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地震による建築物、橋梁(高架の道路及び線路を含む)等の倒壊、破壊を防止する様にした滑り支承式免震装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特に木造建築物にあっては、コンクリート基礎上面に突出したアンカーボルト上端部を、土台の適宜位置に縦貫形成した挿通穴内を挿通する様にして、コンクリート基礎上に土台を直接載置すると共に、アンカーボルトの突端部に座金及びナットを取付け、螺嵌して、コンクリート基礎上に土台を緊結して両者を一体化していた。
又、RC造、S造、SRC造等の建築物と基礎の間、橋梁における橋脚と橋桁間も剛接合である。
しかし、上記構造にあっては、下記の通り解決せねばならない課題があった。
(1)地震の衝撃、振動等がそのまま建築物、橋桁に伝達してしまう。
(2)筋違、耐力壁等を多用して堅固化し、地震による衝撃に耐える構造にしているだけであって、建築物、橋梁自体は地盤の振動と同様に揺れてしまうため、規模の大きい地震では建築物、橋梁が倒壊、破壊する危険性大。
【0003】
そこで、特公昭62ー11141号公報、特公昭62ー11142号公報に記載の様に、地震の水平振動を上部に伝えない様に滑り材の摩擦係数を低くし、又滑り材が逸脱しない様に構成された滑り式支承式の免震装置が開発された。
更に、特願平10ー326574号公報に記載の様に、弾性を有する合成樹脂円筒内に摩擦抵抗の極めて小さい滑り材を用いて、変位復元方式と免震性能の改善を図った滑り式支承式の免震装置も開発された。
又、滑り支承部とゴム積層体を組み合わせて同一免震層(平面)内に並列配置することも一般的に行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の滑り式支承式の免震装置にあっては、大きな地震等の衝撃を受けたときは、初期滑りを開始する際の引金となる摩擦係数である初期剛性摩擦係数が高いことから、滑り支承による免震機能が働く前に、支承している上部構造物に剪断力が作用してしまい、その結果接合部に亀裂が生じたり、構造物が損傷してしまう等の課題があった。又、復元能力がないため、地震後大きな変形が残ってしまう恐れがあった。
又、後者の滑り支承部とゴム積層体からなる免震装置にあっては、地震において初期の水平剛性の応答値については、剛性の高い側の装置の特性を示すことから、並列に配置した場合は滑り支承部の特性で応答してしまい、ゴム積層体は復元作用のみのために働くことになり、結局前述の免震装置と同様の課題を有していた。又、多くの装置を取り付けねばならないため、工事費等が高くなり、実用化に問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来技術に基づく、地震初期に上部構造物に剪断力が作用してしまう課題に鑑み、低摩擦係数を有する複数枚のスライドディスクを弾性材からなる円筒体内に積層収容した滑り支承部と、該滑り支承部の上方及び/又は下方に直列に配置した、水平方向に変形容易にして弾性を有し、且つ鉛直荷重に対する圧縮変形が少ない緩衝部とにより構成した免震装置を基礎と上部構造物の間に設置し、地震初期の水平力に対し先ず緩衝部を応答させ変形させることによって、上部構造物に伝達される水平力を減少させる様にして、上記課題を解決する。
ここで水平方向に変形容易とは、地震時の変位の初期における微小な変位に対しても水平バネ定数乃至初期剛性が小さいことをいう。
又、本発明で使用出来るのは、鉛直バネ定数/水平バネ定数の比が通常50以上のものである。
又、滑り支承部は円筒体に弾性が具備されており、又緩衝部はそれ自体に弾性が具備されていることから、夫々に復元能力があるため、地震後の変形が残り難く、又滑り支承と自己復元の弾性体が一体となっているため、工事が簡単であり、工事費用の低コスト化が図られ、容易に実用化可能としている。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図9〜12に示す様に、上部構造物Wにおけるコンクリート基礎B上の適宜位置に免震装置1、1a…を配置、固定すると共に、かかる免震装置1、1a…上に上部構造物Wの土台Cを敷設、固定して、コンクリート基礎Bと土台C間に免震装置1、1a…を介設させている。
又、コンクリート基礎B上面に、免震装置1、1a…をコンクリート基礎Bに緊結する複数本のアンカーボルトA、Aa…を突出させている。
【0007】
免震装置1、1a…の夫々は、複数枚のスライドディスク2、2a…を、合成樹脂製、ゴム等の弾性材料(本明細書中、弾性を有する合成樹脂と称する)で形成し、円筒体外皮3a内に積層収容して円筒体3に形成された滑り支承部4と、該滑り支承部4の上方及び/又は下方に配置された緩衝部5とにより構成されている。具体的には、図1〜3に示す様に、耐候性に優れるゴム材料で作られた円筒体3の上下部に、コンクリート基礎B及び土台Cへの固定板6、6aが固設され、上方及び/又は下方の固定板6、6aと、最上段及び/又は最下段のスライドディスク2、2a…の間に緩衝部5が設けられている。
尚、円筒体3は、低い反力で水平変形すると共に、除荷後に自動復元する弾性を具有させる様に形成するのが望ましい。
【0008】
又、スライドディスク2、2a…にあっては、図3に示す様に、円筒体3の内径と略同径とし、表裏両面の摩擦抵抗を極めて小さくした硬質材料により形成し、具体的には、ステンレス板にフッ素系樹脂(四フッ化エチレン樹脂等)を焼付加工したり、材質をポリアミド(ナイロン)樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂等としたりするなど、金属板に低摩擦樹脂加工したもの及び合成樹脂板又はそれに低摩擦樹脂加工したもの、又は予め板状に成形した低摩擦材料を固着したものとしている。
【0009】
又、隣接するスライドディスク2、2a…の摺接面7、7aの中央に円形凹部8、8aを設けると共に、該円形凹部8、8aにより収容空間を形成し、該収容空間内に下方の円形凹部8aの深さより厚いストッパーディスク9を収容している。
又、各スライドディスク2、2a…の上下方外周縁部に面取部10、10a を設けている。
又、ストッパーディスク9の表裏両面に、外周部をストッパーディスク9より突出させた板状のスライダー11、11a を固設すると共に、凹部8、8aの内周面の奥部に、スライダー11、11a の外周部が差し込まれる逃げ溝12、12a を周設している。
【0010】
又、緩衝部5にあっては、スライドディスク2、2a…と同径の中間フランジ板15と、該中間フランジ板15上に固設した1個又は複数個の緩衝体16とにより構成され、該緩衝体16の上部は上方の固定板3aの下面に固設されている。
又、緩衝体16にあっては、防振ゴム、高減衰ゴム等により形成され、その形状及び個数は、図1〜3に示す様に、複数個の緩衝体16を円柱形状に形成して中間フランジ板15上に規則的に配列したり、図7に示す様に、複数個の緩衝体16を異径のリング形状に形成して中間フランジ板15上に同心円状に配列したり、或いは図8に示す様に、1個の緩衝体16を渦巻き形状に形成して中間フランジ板15上の中央に配置したりしている。
尚、緩衝体16にあっては、要するに水平荷重に対し変形すると共に、鉛直荷重、即ち圧縮荷重に対し変形しない、又は極僅かしか変形しない性質を有した材質で形成され、具体的には、薄厚な鋼板等の金属板、セラミック等からなる硬質板18、18a …及びゴム等弾性材料からなる軟質板19、19a …を交互に積層して形成されている。
又、緩衝体16にあっては、図6に示す様に、ゴム製の円柱体30内に、上下配置されたフランジ31、31a と、該フランジ31、31a 間に所定間隔毎に配列された複数枚の硬質板18、18a …を埋設一体化している。
又、フランジ31、31a と硬質板18、18a …間、隣接する硬質板18、18a …間に円柱体30を形成するゴム材を介在させると共に、フランジ31、31a 及び硬質板18、18a …の外周部を、円柱体30を形成するゴム材で囲う様に、円柱体30内にフランジ31、31a 及び硬質板18、18a …を埋設し、且つ上方のフランジ31の上面及び下方のフランジ31a の下面を、円柱体30の上下面と面一としている。
又、複数個の緩衝体16が円柱形状に形成して中間フランジ板15上に規則的に配列された免震装置1、1a…にあっては、緩衝体16の個数を1〜10個程度、好ましくは3〜8個、更に好ましくは4〜6個としている。
又、緩衝体16の大きさ、硬質板18、18a …及び軟質板19、19a …の積層数、軟質板19、19a …の材質等は、上部構造物W、地震時に要求される許容変形量、許容応答加速度及び上部構造物Wの許容せん断係数等により異なることから、最適な条件に設計された緩衝体16を使用する様にしている。
【0011】
又、固定板6、6aは、図1〜3に示す様に、金属製で、下方の固定板6に、アンカーボルトA、Aa…の挿通孔20、20a …を、上方の固定板6aに、後述するジョイントボルトJ、Jaの挿通孔21、21a を夫々形成している。
又、円筒体3の上下外周部に金属製の鍔部22、22a を固設すると共に、該鍔部22、22a の上下部に円筒体3の開口部を閉鎖する固定板6、6aを固設し、円筒体3内に上記と同様のスライドディスク2、2a…を積層するのが製造工程上望ましい。
具体的には、各固定板6、6aにボルト杆23、23a …を固設し、他方、各鍔部22、22a にボルト杆23、23a …の挿通孔24、24a …を形成し、該挿通孔24、24a …に挿通したボルト杆23、23a …の突端部にナット25、25a …を螺嵌して、鍔部22、22a に固定板6、6aを固設している。
又、固定板6、6aの外周形状を鍔部22、22a と同形同大にし、挿通孔20、20a …及び挿通孔21、21a を固定板6、6a及び鍔部22、22a を貫通させて形成している。
【0012】
尚、上記実施例における免震装置1、1a…にあっては、滑り支承部4と緩衝部5を一体化して形成されているが、かかる形態に限定せず、図10、11に示す様に、滑り支承部4と緩衝部5を別体とし、滑り支承部4と緩衝部5間に中間構造体Cを介在させて、その上に上部構造物Wを構築する様にしても良い。
【0013】
尚、免震装置1、1a…を設置するコンクリート基礎Bは、図面上、梁部の無い平坦形状であるが、かかる形態に限定せず、一般的な連続フーチング基礎、ベタ基礎等であっても良い。
【0014】
次に本発明に係る免震装置の取付作業について説明する。
先ず、各免震装置1、1a…の下方の固定板6の挿通孔20、20a …にアンカーボルトA、Aa…を挿通すると共に、その突端部にナットN、Na…を螺嵌して、コンクリート基礎B上の所定位置に免震装置1、1a…を固定した後、かかる免震装置1、1a…上に土台Cを敷設し、そして土台Cを上方より貫通させたジョイントボルトJ、Jaを、各免震装置1、1a…の上方の固定板6aの挿通孔21、21a に挿通させ、その突端部にナットN1、N1aを螺嵌して、免震装置1、1a…上に土台Cを固定し、図9、10に示す様に、コンクリート基礎Bと土台C間に免震装置1、1a…を介設する。
或いは、各免震装置1、1a…における滑り支承部4及び緩衝部5の一方をコンクリート基礎B上の所定位置に固定した後、その上に中間構造体Cを敷設し、該中間構造体C上に滑り支承部4及び緩衝部5の他方を中間構造体C上の所定位置に固定した後、その上に土台Cを固定し、図11、12に示す様に、コンクリート基礎Bと土台C間に免震装置1、1a…を介設する。
【0015】
次に本発明に係る免震装置の作用について説明する。
円筒体3の上下両面に、両端部にボルト挿通孔20、20a …、21、21a を形成した固定板6、6aを固設したことで、下方の固定板6のボルト挿通孔20、20a …に、コンクリート基礎B側のアンカーボルトA、Aa…を挿通させると共に、上方の固定板6aのボルト挿通孔21、21a に、土台Cを貫通させたジョイントボルトJ、Jaを夫々挿通させることで、免震装置1、1a…を設置することが出来、設置作業の簡単化が図られている。
【0016】
そして、コンクリート基礎B上の上部構造物Wは免震装置1、1a…上に構築されていることから、上部構造物Wとコンクリート基礎Bは切り離され、地震による振動の上部構造物Wへの伝達が抑止され、且つ地震発生時に免震装置1、1a…により、上部構造物W全体が長周期で揺れると共に、地震による振動を上部構造物Wに減衰させて伝える。
具体的には、先ず図4に示す様に、地震初期の微小変位時における初期剛性を緩衝部5が担うため、上部構造物W側に加力される水平力が小さくなる。
即ち、緩衝体16が変形して水平力を吸収するため、上部構造物Wに作用する水平力が減ぜられる。
次に、スライドディスク2、2a…が順次スライドすることで免震装置1、1a…が変形し、全てのスライドディスク2、2a…が限界までスライドすると、緩衝体16が更に変形して、揺れ戻し時に上部構造物Wに作用する水平力が吸収される。又、緩衝部5自体の復元機能もあり、更に中間フランジ板15を介してスライドディスク2、2a…に取り付けられているため、設計上安定した摩擦係数が得られる。
そして、免震装置1、1a…は円柱形状であることから、どの方向から横揺れが来ても、その方向に対応して同様に変形し、而も円筒体3は水平方向に変形容易であると共に、その内部はスライドディスク2、2a…で構成されているため、免震装置1、1a…の水平剛性は低く、上部構造物Wを長周期で振動させることが可能となる。而も、円筒体3及び緩衝部5に自己復元機能があることから、地震後の免震装置1、1a…の変形は極微小になり、殆ど元通りに復元する。
又、スライドディスク2、2a…及び緩衝体16により、上部構造物Wの荷重による圧縮変形及び変形時における鉛直方向への変形がなく、且つ免震装置1、1a…の水平剛性が大きくならない。
従って、本発明に係る免震装置1、1a…にあっては、地震時に上部構造物Wに作用する大きな水平力を緩和して、より安全で、高い免震機能を発揮するため、滑り式支承をつけるために構造物に必要となる耐力壁の数を減らすことが出来、経済的な構造設計が可能になる。
【0017】
又、スライドディスク2、2a…のスライドは、隣接する一方の円形凹部8の周面部がストッパーディスク9に当接しストッパーディスク9をスライドさせ、そしてストッパーディスク9が他方の円形凹部8aの周面部に当接して相互間のスライドが停止する。
そして、上記したことが順次隣接するスライドディスク2、2a…間で行われ、最終的に、図5に示す様に、約45度傾斜変形する。
尚、免震装置1、1a…の傾斜変形角度は、スライドディスク2、2a…の枚数、径、厚み及び最大スライド量により異なるため、上記約45度に限定されないが、30〜60度程度に設定するのが望ましい。
【0018】
【発明の効果】
要するに本発明は、低摩擦係数を有する複数枚のスライドディスク2、2a…を弾性材からなる円筒体3内に積層収容したので、円筒体外皮3aとスライドディスク2、2a…は別体で、相互間に結合関係はなく、円筒体3の変形に伴い、上部構造物Wを長周期で振動させることが出来る。
円筒体3の効果は、第1に個々のスライドディスク2、2a…に均等なすべり量を与えること、第2に免震装置1、1a…全体に復元力を付加することによって地震後に元の位置に戻すこと、特に復元機能を有さないスライドディスク2、2a…に復元力を与えること、そして第3に内部を被覆することによって耐候性を向上させると共に、スライドディスク2、2a…の脱落を防止することにある。
又、滑り支承部4の上方及び/又は下方に、水平方向に変形容易にして弾性を有し、且つ鉛直荷重に対する圧縮変形が少ない緩衝部5を直列に配置したので、地震初期時の水平力を緩衝部5で吸収し、その後スライドディスク2、2a…を順次スライドしてその後の水平力が吸収されるため、上部構造物Wへの剪断力の作用を極力抑止することが出来る。
尚、緩衝部5の水平剛性は台風時の風荷重では揺れない様に設計されているが、極力低い剛性に設定されており、免震装置1、1a…全体としての初期剛性が低く、上部構造物Wへの応答は柔らかくなる。
又、円筒体3は水平方向に一旦変位を生じ始めれば変形容易であると共に、その内部のスライドディスク2、2a…間の摩擦抵抗は小さいため、免震装置1、1a…の水平剛性を低くすることが可能であるも、上部構造物Wの荷重が免震装置1、1a…に作用するためにその圧縮変形は非常に大きくなるが、スライドディスク2、2a…を上下方向に積層、収容した滑り支承部4と、鉛直荷重に対する圧縮変形が少ない緩衝部5を上下方向に直列に配置したので、上部構造物Wの自重による免震装置1、1a…の圧縮変形がなく、且つ免震装置1、1a…の水平剛性を必要以上に大きくすることも防止することが出来る。
よって、本発明に係る免震装置1、1a…にあっては、コンクリート基礎Bと土台Cを直結しないことで、固定板6、6a間の免震装置1、1a…の変形が阻害されないため、かかる免震装置1、1a…の免震機能を効率的に機能させることが出来、而も強震時に上部構造物W全体を長周期で揺らすため、上部構造物W内での家具類の倒壊、上部構造物Wの破壊、倒壊を防止することが出来る。加えて、滑り支承部4及び緩衝部5に自己復元能力が具備されているため、地震後の変形を極微小に抑えることが出来、免震装置1、1a…が破損しない限りそのまま使用することが出来る。
【0019】
又、最上段のスライドディスク2、2a…及び/又は最下段のスライドディスク2、2a…と緩衝部5間に中間フランジ板15を介在させると共に、該中間フランジ板15に緩衝部5を固設したので、滑り支承部4と緩衝部5を一体化することが出来るため、設置作業の効率化を図ることが出来、よって工事費用の低コスト化を実現出来、簡単に実用化可能な免震装置を提供することが出来る。
【0020】
又、地震はどの方向に横揺れするか予測不可能であるが、複数個の緩衝体16を円柱状に形成して規則的に配列したり、複数個の緩衝体16を異径のリング形状に形成して同心円状に配列したり、或いは1個の緩衝体16を渦巻き形状に形成したので、かかる緩衝体16を有した緩衝部5にあっては、どの方向から横揺れが作用しても同様に変形させることが出来るため、横揺れの方向による免震機能の低下を無くすことが出来る。
又、緩衝体16を、薄厚の硬質板18、18a …及び軟質板19、19a …を交互に積層して形成したので、かかる緩衝体16に水平荷重に対する変形容易性と、鉛直荷重(圧縮荷重)に対する変形困難性を兼備させることが出来る。
【0021】
又、隣接する一対のスライドディスク2、2a…における摺接面7、7aに凹部8、8aを対設し、下方の凹部8a内に、該凹部8aの深さより厚く、凹部8aより小さいストッパーディスク9を載置したので、各スライドディスク2、2a…のスライド量を規制することが出来、全てのスライドディスク2、2a…のスライド量の総和で、免震装置1、1a…の水平変形量にすることが出来、よって免震装置1、1a…を最大変形時に、上部構造物Wの荷重により鉛直座屈させない様にすることが出来る。
又、凹部8、8a及びストッパーディスク9を円形に形成したので、どの方向からの振動でも、スライドディスク2、2a…のスライド量を同一にすることが出来る。
又、隣接する一対のスライドディスク2、2a…間のスライドがストッパーディスク9により停止しても、更なる外力によって、上方のスライドディスク2、2a…がその下方のストッパーディスク9上に乗り上げてしまう可能性が少なからずあるが、ストッパーディスク9の表裏両面に、外周部をストッパーディスク9より突出させたスライダー11、11a を固設すると共に、凹部8、8aの内周面の奥部に、スライダー11、11a の外周部が差し込まれる逃げ溝12、12a を周設したので、ストッパーディスク9における上方のスライダー30の外周部が、上方のスライドディスク2、2a…における凹部8の逃げ溝12内に差し込まれるため、その下方のストッパーディスク9上への乗り上げを防止出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】免震装置の平面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1のXーX断面図である。
【図4】図1の免震装置の初期変形状態を示す断面図である。
【図5】図1の免震装置の最大変形状態を示す断面図である。
【図6】積層状態の緩衝体の平面図及び中央縦断面図である。
【図7】複数個の緩衝体を異形のリング形状に形成した免震装置の水平断面図である。
【図8】1個の緩衝体を渦巻き形状に形成した免震装置の水平断面図である。
【図9】免震装置の設置状態を示す要部拡大正面図である。
【図10】図9のYーY拡大断面図である。
【図11】滑り支承部と緩衝部を別体とした免震装置の設置状態を示す要部拡大正面図である。
【図12】図11のZーZ拡大縦断面図である。
【符号の説明】
2、2a… スライドディスク
3 円筒体
3a 円筒体外皮
4 滑り支承部
5 緩衝部
7、7a 摺接面
8、8a 凹部
9 ストッパーディスク
11、11a スライダー
12、12a 逃げ溝
15 中間フランジ板
16 緩衝体
18、18a … 硬質板

Claims (3)

  1. 低摩擦係数を有する複数枚のスライドディスクを弾性材からなる円筒体内に積層収容した滑り支承部と、該滑り支承部の上方及び/又は下方に直列に配置し、水平方向に変形容易にして弾性を有し、且つ鉛直荷重に対する圧縮変形が少ない緩衝部とにより構成される免震装置において、隣接する一対のスライドディスクにおける摺接面に凹部を対設し、下方の凹部内に、該凹部の深さより厚く、凹部より小さいストッパーディスクを載置したことを特徴とする滑り支承式免震装置。
  2. ストッパーディスクの表裏両面に、外周部をストッパーディスクより突出させた板状のスライダーを固設すると共に、凹部の内周面の奥部に、スライダーの外周部が差し込まれる逃げ溝を周設したことを特徴とする請求項1記載の滑り支承式免震装置。
  3. 凹部及びストッパーディスクを円形に形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項2記載の滑り支承式免震装置。
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