JPH09151622A - 建築物の免震装置 - Google Patents

建築物の免震装置

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JPH09151622A
JPH09151622A JP30472395A JP30472395A JPH09151622A JP H09151622 A JPH09151622 A JP H09151622A JP 30472395 A JP30472395 A JP 30472395A JP 30472395 A JP30472395 A JP 30472395A JP H09151622 A JPH09151622 A JP H09151622A
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JP
Japan
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pedestal member
seismic isolation
isolation device
pillar
load
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JP30472395A
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Katsuhiko Someya
勝彦 染谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】簡単な構成にて地震等による振動を効果的に吸
収できる建築物の免震装置を提供する。 【解決手段】荷重が作用する被支持部と荷重を支持する
支持部との間に設置される建築物の免震装置において、
被支持部12に設置される上部台座部材13と、支持部
14に設置される下部台座部材15とが係留ボルト17
によって連結される。上部台座部材13と下部台座部材
15との間には直線状ばね棒材からなる支柱材16が鉛
直に起立した状態で介在し、下部台座部材15の上には
複数のスライド盤18が重ねられて載置され、係留ボル
ト17によって挿通され位置規制される。また、上部台
座部材13とスライド盤との間にはコイルばね19が介
在して、スライド盤18同士を圧着させる。振動により
係留ボルト17が変位すると、複数のスライド盤18が
それぞれ横滑りし、このとき生じる摩擦により支柱材1
6の過剰な撓みを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の免震装置
に関する。詳しくは、振動を土台と基礎との間に鉛直に
位置する支柱材で吸収・緩和するとともに、積み重ねら
れた複数のスライド盤が支柱材の撓みによってそれぞれ
横滑りし、各スライド盤の間で生じる摩擦により支柱材
の過剰な撓みを防止することができる建築物の免震装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】高層建築物においては、地震等の振動を
緩和する種々の免震装置が考えられている。例えば、床
全体をコイルばねあるいはゴムと鋼板との積層材等で弾
性的に支持し、地震等の振動をそこで吸収する免震装置
がある。
【0003】一方、一般の木造家屋については免震につ
いて考慮されていない場合が多い。木造家屋では構造強
度を上げるために通常基礎コンクリートと土台、また土
台と柱をボルトにて固定したり筋かいを入れることが行
われるが、これらは十分な免震対策とはなっていないば
かりか、基礎コンクリートと土台の固定は地震の衝撃を
建築物に直接伝える結果となり、むしろこの種の便宜的
な方法は逆効果でさえあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】高層建築物に用いられ
る従来の免震装置は一般的に構造が複雑で大掛かりなも
のであり、コストも高かった。
【0005】さらに、木造家屋について高層建築物に用
いられる免震装置をそのまま適用しようとした場合、次
のような問題があった。
【0006】床全体をコイルばねやゴム積層材で弾性的
に支持する場合は床全体を一つの剛構造物とみなせるこ
とが必要がある。ところが、木造家屋では床は剛構造と
なっていない。しかも、床を実質的に支持している複数
の柱が皆同じ大きさの荷重を支持しているわけではな
く、家屋全体の構造からそれぞれの柱が分担する荷重の
大きさは均一でないのが実状である。
【0007】従って、コイルばねやゴム材で床あるいは
柱を弾性的に支持することを企図した場合、それぞれの
施工部位毎に個別にコイルばねやゴム材の弾性係数、減
衰係数等を設計しなければならず、非常に製造コストが
高くなる。さらに、柱等にかかる荷重が変化したときに
は家屋全体が傾いてしまう虞もあった。
【0008】さらに、建築物の支持材料としてのゴム積
層材は高価であり、しかも家屋の外部で用いられる場合
には雨水、外気等の影響で耐用年数が短く、家屋本体よ
りも早く劣化してしまうという欠点がある。
【0009】因に、地震による木造家屋の倒壊は、主と
して建物の慣性と地震波の揺り返しとの横方向の衝突
(カウンターショック)によって発生する。この場合、
木造家屋では縦材である柱と横材である梁との結合が脆
弱であり、慣性と揺り返しとの連続的な衝突による横揺
れにより結合部分が破損して倒壊に至ることが多い。す
なわち、柱は縦揺れには強いが、横揺れによって柱が傾
いてしまうと荷重を支えられずに比較的容易に倒れてし
まう。また、高層建築物では柱が座屈や剪断を起こして
破損や倒壊に至る。
【0010】本発明はこのような状況に鑑みて成された
ものであり、簡単な構成にて地震等による振動を効果的
に吸収できる建築物の免震装置を提供することを目的と
している。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
め、本発明においては、荷重が作用する被支持部と該荷
重を支持する支持部との間に設置される建築物の免震装
置において、被支持部に設置される上部台座部材と、支
持部に設置される下部台座部材と、上部台座部材と下部
台座部材との間に鉛直に起立した状態で介在して被支持
部の荷重を支える直線状ばね棒材からなる支柱材と、上
部台座部材と下部台座部材とを連結する係留手段と、下
部台座部材の上に重ねて載置され、係留手段又は支柱材
によって位置規制される複数のスライド盤とを備え、震
動が加えられると支柱材で震動を緩和すると共に、支柱
材の撓みに応じて複数のスライド盤がそれぞれ横滑りし
スライド盤間で生じる摩擦により震動を減衰することを
特徴とするものである。
【0012】この免震装置においては、地震等による振
動を鉛直に配置された支柱材で吸収・緩和するととも
に、横滑りした各スライド盤の間で生じる摩擦により支
柱材の過剰な撓みを防止する。
【0013】
【発明の実施の形態】続いて、本発明の実施の形態を図
面により詳細に説明する。
【0014】図1及び図1のA−A断面図を表す図2は
本発明の第1の実施の形態に係る免震装置を示す。本免
震装置11は、荷重が作用する被支持部である家屋の土
台12に設置される上部台座部材13と、その荷重を支
持する支持部である基礎14に設置される下部台座部材
15と、上部台座部材13と下部台座部材15との間に
介在する支柱材16,16及び係留手段である係留ボル
ト17と、下部台座部材15の上に重ねて載置される複
数のスライド盤18と、スライド盤18と上部台座部材
13との間に介在するばね手段であるコイルばね19を
有する。
【0015】本実施の形態では下部台座部材15は例え
ば厚い鉄板であり、図2及び図3に示すように基礎14
の上面を覆う平面視が略正方形に成形される。下部台座
部材15には基礎14に固定されたアンカーボルト2
0,20が挿通されるボルト孔21,21(図2)が係
留ボルト17を挟んで両側2カ所に穿設され、そのボル
ト孔21,21を取り囲んでナット穴24,24が凹設
されている。
【0016】基礎14の上に下部台座部材15を載せ、
ボルト孔21,21を貫通したアンカーボルト20,2
0にナット41,41を螺合して締め付けることで下部
台座部材15が基礎14に固定される。
【0017】図1に示すように左右に配された2本の支
柱材16,16は直線状のばね棒材からなり、上部台座
部材13と下部台座部材15との間に鉛直に起立するよ
うに位置する。すなわち、下部台座部材15の上面に
は、ボルト孔21,21(図2)を結ぶ線を挟んで両側
2カ所に支持穴25,25が穿設され、ここに支柱材1
6,16の下端部が挿入される。下部台座部材15の支
持穴25,25の内径と支柱材16,16の外径は、支
柱材16,16が支持穴25,25内に隙間なく嵌入で
きる寸法とする。
【0018】本実施の形態では支柱材16,16が下部
台座部材15の支持穴25,25から抜け出すのを防止
する係留手段が設けられている。すなわち、図1及び図
2に示すように係留ボルト17が上部台座部材13と下
部台座部材15との間に鉛直に起立して位置する。係留
ボルト17には、後述するように実質的な荷重がかから
ないので、比較的柔らかい材質であってもよい。
【0019】係留ボルト17と下部台座部材15とは自
在継手手段(ユニバーサルジョイント手段)によって連
結されている。すなわち、下部台座部材15の中央には
挿通孔42が穿設され、挿通孔42の内周壁面は全周に
わたって曲面状に膨出して形成される。挿通孔42の最
小内径は係留ボルト17の外周面に接触し、これを保持
できる寸法とする。下部台座部材15の下面には、挿通
孔42を取り囲んでこれより径の大きいボルト穴43が
凹設され、ボルト穴43の内側の天井面は略球面状に凹
んで形成される。
【0020】係留ボルト17は上面が略球面状に形成さ
れた座金44を介して、下部台座部材15の下面側から
ボルト穴43及び挿通孔42に挿通され、これによって
係留ボルト17が下部台座部材15に連結される。
【0021】ここで、ボルト穴43の球面状の天井面に
沿って座金44が滑動自在であり、かつ挿通孔42の曲
面状の内周壁面に沿って係留ボルト17が変位自在とな
っている。したがって、略球面状に形成されたボルト穴
43と座金44及び挿通孔42は、係留ボルト17を下
部台座部材15に変位自在に連結する自在継手手段を構
成する。
【0022】下部台座部材15の上面には、平面視が略
正方形の普通鉄のスライド盤18(図3)が複数枚、本
例では6枚積み重ねられる。スライド盤18の一辺は一
対の支柱材16,16の間隔よりも短く選定されるとと
もに、その中央には係留ボルト17が挿通される挿通孔
47が穿設され、挿通孔47の内周壁面は全周にわたっ
て曲面状に膨出して形成される。挿通孔47の最小内径
は係留ボルト17の外周面に接触する寸法とされ、挿通
孔47を貫通する係留ボルト17によって各スライド盤
18の水平方向の位置が同一になるように規制される。
なお、スライド盤18は厚さを変更することによって、
装着する枚数を増減することができる。
【0023】一方、上部台座部材13の平面図を表す図
4に示すように、上部台座部材13は下部台座部材15
と同様に平面視が略正方形の厚い鉄板であり、土台12
に固定される。
【0024】上部台座部材13には、図2に示すように
両側に係留ボルト17を挟んで両側2カ所にそれぞれボ
ルト孔38,38が穿設され、これらのボルト孔38,
38を用いて土台固定ボルト39,39及びナット4
0,40により上部台座部材13を土台12に固定す
る。また、下部台座部材15の場合と同様に、図1に示
すように支柱材16,16の上端部が上部台座部材13
の下面に穿設された支持穴34,34内に挿入され、支
柱材16,16が保持される。
【0025】上部台座部材13の中央に挿通孔49が穿
設され、下部台座部材15と同様に上部台座部材13の
上面には挿通孔49を取り囲んでナット穴50が凹設さ
れ、ボルト穴50の底面は略球面状に凹んで形成され
る。挿通孔49に係留ボルト17の上端部が挿通され、
下面が略球面状に形成された座金44を介してナット5
1を螺合して締め付けることによって、上部台座部材1
3と係留ボルト17が連結される。したがって、略球面
状に形成されたナット穴50と座金44及び挿通孔49
は、係留ボルト17を上部台座部材13に変位自在に連
結する自在継手手段を構成する。
【0026】コイルばね19は係留ボルト17に巻装さ
れ、上部台座部材13とスライド盤18との間に圧縮さ
れた状態で介在する。コイルばね19の上端面及び下端
面は平坦に形成され、それぞれ上部台座部材13の下面
及びスライド盤18の上面に当接する。コイルばね19
の復元力によって各スライド盤18が下方に押圧され互
いに圧着させられる。
【0027】本免震装置11は以下のようにして施工さ
れる。免震装置11の組立は例えば工場内であらかじめ
行われる。先ず、下部台座部材15の挿通孔42に下面
側から係留ボルト17を挿通させ、さらに支持穴25,
25に支柱材16,16を嵌入する。続いて、複数のス
ライド盤18を係留ボルト17に挿通させて下部台座部
材15の上に載置し、さらにその上からコイルばね19
を係留ボルト17に巻装しスライド盤18の上に載置す
る。最後に、支柱材16の上端部に上部台座部材13の
支持穴34,34を嵌入し、係留ボルト17を挿通孔4
9に通してナット51にて螺合する。
【0028】一方、免震装置11を取り付ける家屋の作
業現場では、図2に示すように先ず2本のアンカーボル
ト20,20を所定の位置関係をもってコンクリート基
礎14に固定すると共に基礎14の上面に水平な平坦面
を形成する。なお、この場合木造建築において通常用い
られる布基礎は不要である。
【0029】そして、あらかじめ組み立てられた免震装
置11の下部台座部材15を基礎14の平坦面上に載
せ、アンカーボルト20,20をナット41,41にて
固定する。その後、上部台座部材13の上に土台12を
載せて土台固定ボルト39、ナット40にて土台12を
固定する。土台12の上に柱42が立設される。このよ
うに、本免震装置11は工場内であらかじめ組み立てら
れるので、家屋の作業現場での作業が簡略化される。
【0030】図6及び図7はそれぞれ支柱材の数が異な
る他の例の横断面図である。上述したように、本発明に
かかる免震装置では支持すべき荷重の多少に応じて支柱
材の数を変更してもよい。図6は支柱材16を4本設け
た例を示す。下部台座部材61は略正方形に形成され、
4本の支柱材16はスライド盤18の4隅に対応して配
置されている。なお、図示しないが、上部台座部材は下
部台座部材61と同様の形状となっているが、上部台座
部材は土台側に応じて適宜な形状としてもよい。
【0031】図7は支柱材16を8本設けた例を示す。
支柱材16はスライド盤18の4隅及び4辺に対応して
配置されている。支持すべき荷重の増加に対応して、下
部台座部材62は4カ所のアンカーボルト20をナット
41によて土台14に固定されている。このように、支
持すべき荷重に対応して支柱材16の数を増減すること
が可能である。図6及び図7のように、支柱材16の本
数が増えれば、それだけ支えられる荷重が増え、後述す
る免震効果も大きくなる。
【0032】図5は木造家屋の一例の平面図であり、同
図(a)は基礎部分の平面図、同図(b)はそれに対応
する1階部分の縮小平面図、同図(c)は同じくそれに
対応する2階部分の縮小平面図である。4本又は8本の
支柱材16を備えた免震装置11が例えば図5(a)に
示すように、木造家屋でいわゆる役柱、効き柱等と呼ば
れる建築物の荷重を支持する主要な柱P(例えば9〜1
5箇所、図示した例では12箇所)の下部にそれぞれ設
置され、複数の免震装置11によって木造家屋の全体の
荷重を実質的に支える。
【0033】また、4本又は8本の支柱材16を備える
免震装置11が設置されていない部位については、図5
(a)で「・」印で示すように適宜な位置に補助的な支
持具、例えば2本の支柱材16を備える免震装置11を
設ける。図1の構成に代えて、係留ボルトを支柱材に代
え、両側を支柱材やスライド盤を不要にした簡易型の免
震装置(図示しない)を用いることもできる。
【0034】このような免震装置11は、地震等の振動
に対して免震、座屈防止、共震の減衰等の各効果を有す
る。本免震装置11では図1に示す柱材16,16が鉛
直方向の荷重を支持している。鉛直荷重は支柱材16,
16に対する圧縮荷重として作用するが、支柱材16,
16は圧縮荷重に対しては十分な剛性を有し、例えば施
工された部位の家屋の荷重が多少変化しても支柱材16
の長さ(土台12の高さ)は実質的に変化しない。一
方、地震の縦揺れ等の縦方向振動に対しては、支柱材1
6,16及びコイルばね19で細かい振動は吸収されて
土台12への伝達が遮断される。
【0035】一方、横方向の荷重は支柱材16に対する
曲げ荷重として作用する。細長い支柱材16は曲げに対
しては剛性が低く、横方向荷重に対しては比較的変位し
易い構成となっている。従って、地震の横揺れ等の横方
向振動に対しては、支柱材16,16は比較的大きく弾
性変位して振動を吸収し、横揺れのカウンターショック
は支柱材16,16の弾性によって緩和される。
【0036】次に、支柱材16,16は比較的細い棒状
弾性体からなるから、瞬間的な衝撃は棒状弾性体である
支柱材16,16の微震動に変換され、この効果は縦揺
れの瞬間的な衝撃緩和にも有効である。
【0037】横方向振動が加えられると土台12と基礎
14との相対的な位置ずれが生じるが、係留ボルト17
は上下の台座部材13,15のそれぞれに対して自在継
手手段によって連結されているので、下部台座部材15
と上部台座部材13との間の相対的な位置ずれに対応し
て係留ボルト17の角度が自在に変位する。したがっ
て、係留ボルト17と上下の台座部材13,15との連
結部分に衝撃が集中することなく、激震の場合に連結部
分の破損が防止される。
【0038】ここで、スライド盤18の挿通孔47の内
壁面が曲面状に形成されているので、係留ボルト17の
変位に適応することが可能である。なお、係留ボルト1
7の角度が変位すると、摺動する座金44,44とナッ
ト穴50及びボルト穴43の底面及び天井面との間で摩
擦が生じる。この摩擦力が振動に対する抵抗となり、衝
撃をさらに緩和させる。
【0039】係留ボルト17の角度が変位すると、複数
のスライド盤18がその変位に応じてそれぞれ互いに接
触しながら横滑りし、各スライド盤18の間で摩擦が生
じる。この摩擦力が振動に対する抵抗となり、支柱材1
6,16の過剰な撓みが防止されるとともに衝撃がさら
に緩和される。なお、複数のスライド盤18はコイルば
ね19によって互いに圧着させられているので、スライ
ド盤18の横滑りによる摩擦が適切に発生する。
【0040】係留ボルト17の角度がさらに変位し、コ
イルばね19のターン部分の厚み(線径)以上変位しよ
うとしても、それ以上はコイルばね19及びスライド盤
18の作用で変位しない。このとき、上部台座部材13
がコイルばね19の上に着座されることになる。この状
態では、支柱材16,16だけではなくスライド盤72
全体も建築物の荷重を実質的に支持するので、支柱材1
6,16が座屈等弾性回復することが不可能なまでに過
剰に曲がることが防止される。
【0041】また万が一、激震等のために支柱材16が
座屈を起こすか又は剪断されたとしても、スライド盤1
8が建築物を支えているので建築物が地面に落下してし
まうことはなく、従ってこのスライド盤18は最終的な
安全装置となる。
【0042】さらに、各スライド盤18は共震を減衰す
るダンパーとしての役割を果たす。すなわち、各スライ
ド盤18間で生じる摩擦によって震動エネルギー全体を
熱等に転換し、震動の振幅を軽減することができる。
【0043】なお、免震装置11は基礎14上に間隔を
開けて点在する形になるので特に家屋の外周部におい
て、盗難防止、動物侵入防止及び美観上等で必要があれ
ば、図8に示すように隣接する免震装置11の間にフェ
ンス65等からなる目隠しのようなものを設置する。フ
ェンス65の端部は免震装置11のスライド盤18に当
接した状態で適宜な取付手段66,66で固定され、隙
間を塞ぐことになる。
【0044】図9及び図10に示す免震装置は本発明に
よる第2の実施の形態であり、上述の図1に示した第1
の実施の形態の変形例に相当している。図9はその縦断
面図、図10は図9のC−C断面図である。本免震装置
71のスライド盤72は免震装置11のスライド盤18
(図1)よりも大型に形成され、平面視が略正方形に形
成され、下部台座部材76の上に複数枚、本例では5枚
重ねて載置される。
【0045】スライド盤72の中央には係留ボルト17
を貫通させる貫通孔73が穿設されるが、貫通孔73の
内径は係留ボルト17の外周面に対して一定の隙間を隔
てるように設定される。
【0046】スライド盤72には、係留ボルト17を挟
んで両側に支柱材16,16を挿通させる挿通孔74,
74が穿設され、挿通孔74,74の内周壁面は全周に
わたって曲面状に膨出して形成される。挿通孔74,7
4の最小内径は支柱材16,16の外周面に接触する寸
法とされ、挿通される支柱材16,16によって各スラ
イド盤72の水平方向の位置が同一に規制される。
【0047】このような免震装置71も上述した免震装
置11(図1)と同様な作用、効果を奏するが、免震装
置11では係留ボルト17の角度の変位に応じてスライ
ド盤18が横滑りするのに対し、本免震装置71では支
柱材16,16の撓み量に応じて複数のスライド盤72
が互いに接触しながら横滑りし、各スライド盤72の間
で摩擦が発生する。この摩擦力が振動に対する抵抗とな
り、支柱材16,16の過剰な撓みが防止されるととも
に衝撃が緩和される。また、複数のスライド盤72はそ
の自重によって支柱材16,16の共振を防止する。な
お詳述しないが、支持すべき荷重の多少に応じて支柱材
16の数を例えば4本又は8本としてもよい。
【0048】図11及び図12に示す免震装置は本発明
による第3の実施の形態であり、上述の図1に示した第
1の実施の形態の変形例に相当している。図11はその
縦断面図、図12は図11のD−D断面図である。本免
震装置81は上述した免震装置11(図1)について大
型のスライド盤72(図9)を使用するとともに、自在
継手手段及びコイルばね19を省いた簡易型となってい
る。
【0049】基礎14に固定される下部台座部材83の
中央には挿通孔84が穿設され、下部台座部材83の下
面には挿通孔84を取り囲んでボルト穴85が凹設され
る。ボルト穴85の天井面は平坦に形成される。係留ボ
ルト17は下部台座部材83の下面側からボルト穴85
及び挿通孔84に挿通される。
【0050】下部台座部材83の上面には、図9の例と
同様のスライド盤72が複数枚、本例では9枚積み重ね
られ、スライド盤72の中央の貫通孔73には係留ボル
ト17が挿通され、挿通孔74には支柱材16,16が
挿通される。
【0051】土台に固定される上部台座部材87の中央
に挿通孔88が穿設され、下部台座部材83と同様に上
部台座部材87の上面には挿通孔88を取り囲んでナッ
ト穴89が凹設される。ナット穴89の底面は平坦に形
成される。挿通孔88に係留ボルト17の上端部が挿通
され、ナット51を螺合して締め付けることによって、
上部台座部材87と係留ボルト17が連結される。
【0052】このように本免震装置81は上述した免震
装置11(図1)と異なり、係留ボルト17と上下の台
座部材83,87との連結は自在継手手段によらず、ま
た上部台座部材87とスライド盤72との間にはコイル
ばねは介在しない簡易な構成となっており、低コストで
製造することができる。
【0053】このような免震装置81は上述した免震装
置71(図9)と同様に、支柱材16,16によって地
震等の衝撃が吸収緩和される。また、支柱材16,16
の撓み量に応じて複数のスライド盤72が互いに接触し
ながら横滑りし、各スライド盤72の間で摩擦が発生す
る。この摩擦力が振動に対する抵抗となり、支柱材1
6,16の過剰な撓みが防止されるとともに衝撃が緩和
される。また、複数のスライド盤72はその自重によっ
て支柱材16,16の共震を防止する。なお詳述しない
が、支持すべき荷重の多少に応じて支柱材16の数を例
えば4本又は8本としてもよい。
【0054】図13に示す免震装置は本発明による第4
の実施の形態であり、上述の図11に示した免震装置8
1の変形例に相当する。図13はその縦断面図であり、
図14は図13のE−E断面図である。本免震装置91
は免震装置81(図11)についてコイルばね92を追
加したものである。
【0055】コイルばね92は上部台座部材93とスラ
イド盤72との間に圧縮された状態で介在し、コイルば
ね92は係留ボルト17を一定間隔離れて略1周取り巻
き、その一端が係留ボルト17に巻装される。係留ボル
ト17を取り巻く部分がスライド盤72の上面に当接
し、係留ボルト17に巻装される部分が上部台座部材9
3の下面に当接する。
【0056】このような免震装置91も上述した免震装
置81(図11)と同様な作用、効果を奏する。地震の
横揺れ等による横方向振動によって生じる支柱材16,
16の撓みに応じて、各スライド盤72がそれぞれ横滑
りし、各スライド盤72の間で摩擦が生じる。この摩擦
力が振動に対する抵抗となり、支柱材16,16の過剰
な撓みを防止されるとともに、地震の横揺れ等の横方向
振動が緩和される。複数のスライド盤72はコイルばね
92によって互いに圧着させられているので、スライド
盤72の横滑りによる摩擦力が適切に発生される。
【0057】さらに、免震によって支柱材16,16が
過剰に撓もうとすると、コイルばね92の垂直方向の高
さが線径と等しくなるまで圧縮される。このとき、上部
台座部材93がコイルばね92の上に着座されることに
なる。この状態では、支柱材16だけではなくスライド
盤72全体も建築物の荷重を実質的に支持するので、支
柱材16,16が座屈等弾性回復することが不可能なま
でに過剰に曲がることが防止される。
【0058】また万が一、激震等のために支柱材16が
座屈を起こすか又は剪断されたとしても、上部台座部材
93がコイルばね92の上に着座して建築物を支えるの
で建築物が地面に落下してしまうことはない。
【0059】図15に示す免震装置は本発明による第5
の実施の形態であり、上述の図1に示した実施の形態の
変形例に相当し、同図はその縦断面図である。本免震装
置101は上述した免震装置11(図1)について自在
継手手段を省いた簡易型となっている。
【0060】すなわち、基礎14に固定される下部台座
部材102の中央には挿通孔103が穿設され、下部台
座部材102の下面には挿通孔103を取り囲んでボル
ト穴104が凹設される。ボルト穴104の天井面は平
坦に形成される。係留ボルト17は下部台座部材102
の下面側からボルト穴104及び挿通孔103に挿通さ
れる。
【0061】一方、土台に固定される上部台座部材10
5の中央に挿通孔106が穿設され、下部台座部材10
2と同様に上部台座部材105の上面には挿通孔106
を取り囲んでナット穴107が凹設される。ナット穴1
07の底面は平坦に形成される。挿通孔106に係留ボ
ルト17の上端部が挿通され、ナット51を螺合して締
め付けることによって、上部台座部材105と係留ボル
ト17が連結される。
【0062】このように、係留ボルト17と上下の台座
部材102,105との連結は自在継手手段によらない
簡易な構成となっている。その他の構成は図1の免震装
置11と同様である。本免震装置101も係留ボルト1
7の角度が過剰に変位しない範囲内で、上述した免震装
置11(図1)と同様な作用、効果を奏する。
【0063】図16及び図16のF−F断面図を表す図
17は本発明の第6の実施の形態である免震装置を示
す。図16に示すように、本免震装置111は、荷重が
作用する被支持部である家屋の土台12に設置される上
部台座部材113と、その荷重を支持する支持部である
基礎14に設置される下部台座部材115と、上部台座
部材113と下部台座部材115との間に介在する支柱
材116と、支柱材116を取り囲むように位置し砂、
砂利等の砂状体151を封入した筒状部材117と、支
柱材116に取り付けられ筒状部材117の砂状体15
1の中に埋め込まれる抵抗体142とを有する。
【0064】本実施の形態では下部台座部材115と筒
状部材117は鋼鉄により一体に形成されている。下部
台座部材115は基礎14の上面を覆う板状の下部座板
118及び下部座板118の上面中央から起立するボス
部123とからなる。下部座板118には基礎14に固
定されたアンカーボルト20,20が挿通されるボルト
孔119,119が穿設されている。
【0065】筒状部材117は下部座板118から起立
する中空の四角筒である。筒状部材117の側面下部は
アンカーボルト20,20の上端部及びナット141,
141を避けるために窄まって成形されている。筒状部
材117と下部座板118との結合部の十分な剛性を確
保するために、下部座板118の上面と筒状部材117
の窄まった側面下部にかけて補強板121,121が一
体成形されている。
【0066】基礎14の上に下部台座部材115の下部
座板118を載せ、さらに下部座板118のボルト孔1
19,119を貫通したアンカーボルト20,20にナ
ット141,141を螺合して締め付けることで下部台
座部材115が基礎14に固定される。
【0067】支柱材116は直線状のばね棒材からな
り、上部台座部材113と下部台座部材115との間に
鉛直に起立するように位置する。支柱材116の下端部
は下部台座部材115のボス部123に穿設された支持
穴124内に挿入される。ボス部123の支持穴124
の内径と支柱材116の外径は支柱材116が支持穴1
24内に隙間なく嵌入できる寸法とし、ボス部123が
支柱材116を鉛直に起立させた状態で保持する。
【0068】本実施例では支柱材116とボス部123
の間に支柱材116が支持穴124から抜け出すのを防
止する連結手段が設けられている。すなわち、支柱材1
16の下端部外周面全周にわたって断面が略半円形をし
た溝125が凹設されると共に、支持穴124の内周面
の対応する位置に全周にわたって断面が略半円形をした
溝126が凹設され、両溝125,126で構成される
断面略円形の空所に係止リング127が嵌入される。係
止リング127はボス部123と支柱材116に跨って
位置し、ボス部123から支柱材116が抜け出すのを
防止する。
【0069】係止リング127は断面円形をしたばね鋼
よりなる円環であり、その円環の一部が切られ、弾性変
形により拡縮径することが可能である。また、図示して
いないが、支持穴124の溝126の深さは係止リング
127の断面の半径よりも深くされ、係止リング127
が溝126内で拡径することができるようになってい
る。
【0070】支柱材116を支持穴124内に挿入する
のに先立ち、係止リング127を縮径させた状態で支持
穴124に挿入して溝126に装着しておく。その後、
支持穴124に支柱材116を挿入すると、支柱材11
6の先端が係止リング127に当接し、さらに支柱材1
16を押し込むことで係止リング127のばね力に抗し
て係止リング127が拡径して支持穴124の溝126
内に入り込み支柱材116の通過が許容される。支柱材
116の先端面が支持穴124の底面に当接したところ
で、係止リング127が支柱材116の溝125に嵌入
して支柱材116をボス部123に固定する。尚、支柱
材116の先端の隅部は係止リング127の通過を容易
にするため、曲面、あるいは傾斜面としておくことが好
ましい。
【0071】筒状部材117の内部にはその内部空間を
ほぼ埋めるように砂、砂利等の砂状体151が封入さ
れ、筒状部材117の内部の支柱材116はこの砂状体
151に埋没している。支柱材116の埋没している部
分の下半分には銅線141が巻装され、銅線141の上
側に2個の抵抗体142,142が取り付けられる。
【0072】抵抗体142,142は砂状体151との
接触面積を多く確保すべく略円錐形に形成され、その頂
部から底部に貫通する支柱材挿通孔143,143が穿
設されている。支柱材挿通孔143,143の内周壁面
は全周にわたって曲面状に膨出して形成される。この支
柱材挿通孔143,143に支柱材116が挿通されて
取り付けられる。銅線141の上端部は下側の抵抗体1
42の下面に当接して、抵抗体142,142の垂直方
向の位置が規制される。なお、この銅線141に代え
て、下側の抵抗体143の下面に当接するようにパイプ
又はリング等を支柱材116に装着してもよい。
【0073】筒状部材117の上端開口部の外縁を覆う
スライド支持盤144が載置され、その上にスライド盤
145が載置され、筒状部材117の上端開口部が封止
される。スライド盤145の中央には支柱材挿通孔14
6が穿設され、支柱材挿通孔146の内径と支柱材11
6の外径は、支柱材116が支柱材挿通孔146内に隙
間なく嵌入できる寸法とする。
【0074】一方、上部台座部材113は、土台12に
固定するための上部座板128と、支柱材116を取り
囲む筒部130と、上部座板128の中央に起立するボ
ス部133を有し、これらは下部台座部材115と同様
に例えば鋼鉄により一体に形成される。筒部130は前
述の筒状部材117と同等の大きさの四角筒形状に形成
されている。荷重に対する十分な剛性を確保するため
に、上部座板128の下面から筒部130の側面にかけ
て補強板131が一体成形されている。また、ボス部1
33の中心には支持穴134が穿設されている。
【0075】下部台座部材115の場合と同様に、支柱
材116の上端部がボス部133の支持穴134内に挿
入され、ボス部133が支柱材116を保持する。ま
た、支柱材116と上部台座部材113との間にも支柱
材116が支持穴134から抜け出すのを防止するため
に連結手段が設けられており、この連結手段は係止リン
グ127を有する前述の下部台座部材115に関する連
結手段と同じ構成である。
【0076】上部台座部材113の上部座板128には
両側にそれぞれボルト孔138,138が穿設され、こ
れらのボルト孔138,138を用いて土台固定ボルト
139,139及びナット140,140により上部台
座部材113を土台12に固定する。
【0077】ボス部133にはコイルばね147が圧縮
された状態で巻装され、その上端部は上部座板128に
当接し、下端部はスライド盤145に当接する。コイル
ばね147の復帰力によりスライド盤145がスライド
支持盤144に圧着され、筒状部材117に封入された
砂状体151の上昇が防止される。
【0078】ここで、支柱材116が上部台座部材11
3と下部台座部材115の間に固定された状態におい
て、上部台座部材113の筒部130の下端面とスライ
ド盤145の上面とが所定の隙間tを隔てて対向するよ
うになっている。この隙間tの大きさは、支柱材116
が所定量撓んだときに上部台座部材113の筒部130
がスライド盤145の上面に当接するように設定され
る。
【0079】このような免震装置111は、地震等の振
動を受けたときに次のように作用する。本免震装置11
1では支柱材116が鉛直方向の荷重を支持している。
鉛直荷重は支柱材116に対する圧縮荷重として作用す
るが、支柱材116は圧縮荷重に対しては十分な剛性を
有し、例えば施工された部位の家屋の荷重が多少変化し
ても支柱材116の長さ(土台12の高さ)は実質的に
変化しない。一方、地震の縦揺れ等の縦方向振動に対し
ては、支柱材116で細かい振動は吸収されて土台12
への伝達が遮断される。
【0080】一方、横方向の荷重は支柱材116に対す
る曲げ荷重として作用する。細長い支柱材116は曲げ
に対しては剛性が低く、横方向荷重に対しては比較的変
位し易い構成となっている。従って、地震の横揺れ等の
横方向振動に対しては、支柱材116は比較的大きく弾
性変位して振動を吸収し、横揺れのカウンターショック
は支柱材116の弾性によって緩和される。
【0081】ここで、支柱材116が過剰に撓もうとす
ると、支柱材116を取り囲む砂状体151が抵抗とな
って過剰な撓みを防止するとともに振動を吸収する。ま
た、支柱材116に取り付けられた砂状体151と抵抗
体142,142との摩擦抵抗により、支柱材116の
過剰な撓みの防止及び振動吸収の効果が増す。抵抗体1
42,142は支柱材挿通孔143,143の曲面状の
内周壁面によって変位自在であり、支柱材116の撓み
に適切に対応することができる。
【0082】スライド盤145はコイルばね147によ
ってスライド支持盤145に圧着されているので、支柱
材116の撓みによってスライド盤145が水平方向に
移動すると、スライド支持盤145との間で摩擦が生
じ、この摩擦が振動に対する抵抗となって衝撃をさらに
効果的に吸収する。
【0083】免震によって支柱材116がさらに過剰に
撓むと、上部台座部材113の下端面が筒状部材117
の上端面に当接し、上部台座部材113が筒状部材11
7の上に着座する形となる。この状態では、支柱材11
6に代わって筒状部材117が建築物の荷重を実質的に
支持することとなる。これにより支柱材116が座屈等
弾性回復することが不可能なまでに過剰に曲がることが
防止される。
【0084】また万が一、激震等のために支柱材116
が座屈を起こすか又は剪断されたとしても、筒状部材1
17が建築物を支えているので建築物が地面に落下して
しまうことはなく、従ってこの筒状部材117は最終的
な安全装置となる。係止リング127等からなる連結手
段は、激震等で縦に激しく振動したときでも支柱材11
6が上下の台座部材113,115から外れてしまうの
を防止する。
【0085】図18は抵抗体142の他の変形例である
抵抗体161の他の一例を示す。図18(a)はその抵
抗体161の縦断面図を示し、断面が略矩形に形成さ
れ、上部外縁部は曲面状に面取りされている。図18
(b)に示すように、抵抗体161は平面視が円形であ
り、その4方向の側面に緩やかな凹部162が設けられ
ている。図18(c)はその凹部162の最深部を基準
切断面とした縦断面図である。なお、上述の抵抗体14
2(図16)と同様に、抵抗体161の上面中央から底
部に貫通する支柱材挿通孔163が穿設され、その支柱
材挿通孔163の内周壁面は全周にわたって曲面状に膨
出して形成される。
【0086】このような抵抗体161によれば砂状体1
51に接触する表面積を大きく確保できるので、抵抗体
161と砂状体151との間の摩擦が適切に生じ、振動
に対する抵抗が増大し、衝撃をさらに効果的に吸収緩和
することができる。
【0087】なお、上述の各実施の形態では基礎と土台
あるいは柱の間に設置した例を示しているが、例えば高
層建築物等で各階層の間に設置することも可能である。
また、本発明の免震装置の適用は木造家屋、鉄骨建築物
に限られるものではなく、高速道路等の架橋道路、その
他免震構造が要求される各種の建築物に適用することが
可能である。
【0088】また、本発明の免震装置は試験管あるいは
美術品等の脆弱物、重要器物等を載せる免震台の免震装
置に用いることも可能である。
【0089】
【実施例】さらに、以下のような条件で実験した結果、
図1に示す簡易型の免震装置11を一般木造住宅に使用
した場合において、片側35mm(往復70mm)の揺
れを免震することができた。
【0090】全高:約140mm 係留ボルト17の直径:10mm 支柱材16の直径:10mm 支柱材16の有効距離:約100mm スライド盤72の厚さ:8mm コイルばね19の線径:8mm
【0091】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、荷重が作
用する被支持部と該荷重を支持する支持部との間に設置
される建築物の免震装置において、被支持部に設置され
る上部台座部材と、支持部に設置される下部台座部材
と、上部台座部材と下部台座部材との間に鉛直に起立し
た状態で介在して被支持部の荷重を支える直線状ばね棒
材からなる支柱材と、上部台座部材と下部台座部材とを
連結する係留手段と、下部台座部材の上に重ねて載置さ
れ、係留手段又は支柱材によって位置規制される複数の
スライド盤とを備え、震動が加わえられると支柱材で震
動を緩和すると共に、支柱材の撓みに応じて複数のスラ
イド盤がそれぞれ横滑りしスライド盤間で生じる摩擦に
より震動を減衰するようにしたものである。
【0092】従って本発明による免震装置では、鉛直に
起立した支柱材を用いて荷重を支持することで鉛直方向
の荷重に対しては強く、横方向の荷重に対しては比較的
撓み易く構成しているので、地震の横揺れ等の横方向振
動に対しては、支柱材は比較的大きく弾性変位して振動
を吸収し、横揺れのカウンターショックを支柱材の弾性
によって緩和することができる。
【0093】また、支柱材が撓むと、その撓みに応じて
複数のスライド盤がそれぞれ互いに接触しながら横滑り
することによって各スライド盤の間で摩擦が発生する。
この摩擦力が振動に対する抵抗となり、震動エネルギー
を熱等に転換して共震を減衰するダンパーとしての役割
を果たすことができる。
【0094】上部台座部材とスライド盤の間にばね手段
を介在させた場合には、支柱材がさらに撓もうとして
も、上部台座部材がばね手段の上に着座されることにな
る。この状態では、支柱材だけではなくバネ手段及びス
ライド盤全体も建築物の荷重を実質的に支持するので、
支柱材が座屈等弾性回復することが不可能なまでに過剰
に曲がることが防止される。
【0095】また、本発明にかかる免震装置は簡単な構
成であり、比較的低コストにて製造することができ、施
工も容易である。特に、建築現場でコンクリートによる
布基礎を打つ作業が不要となるので、現場作業が至極簡
便となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施の形態である免震装置
11の縦断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】上部台座部材13の平面図である。
【図5】本免震装置の施工箇所を示す木造家屋の一例の
設計平面図である。
【図6】支柱材16を4本設けた場合の水平断面図であ
る。
【図7】支柱材16を8本設けた場合の水平断面図であ
る。
【図8】フェンス65を取り付けた免震装置を示す水平
断面図である。
【図9】本発明による第2の実施の形態である免震装置
71の縦断面図である。
【図10】図9のC−C断面図である。
【図11】本発明による第3の実施の形態である免震装
置81の縦断面図である。
【図12】図11のD−D断面図である。
【図13】本発明による第4の実施の形態である免震装
置91の縦断面図である。
【図14】図13のE−E断面図である。
【図15】本発明による第5の実施の形態である免震装
置101の縦断面図である。
【図16】本発明による第6の実施の形態である免震装
置111の縦断面図である。
【図17】図16のF−F断面図である。
【図18】抵抗体の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
11,71,81,91,101,111 免震装置 12 土台 13,87,93,105,113 上部台座部材 14 基礎 15,76,83,102,115 下部台座部材 16,116 支柱材 17 係留ボルト 18,72 スライド盤 19,92,147 コイルばね 43,85,104 ボルト穴 44 座金 50,89,107 ナット穴 117 筒状部材 142,161 抵抗体 151 砂状体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 荷重が作用する被支持部と該荷重を支持
    する支持部との間に設置される建築物の免震装置におい
    て、 前記被支持部に設置される上部台座部材と、 前記支持部に設置される下部台座部材と、 前記上部台座部材と前記下部台座部材との間に鉛直に起
    立した状態で介在して前記被支持部の荷重を支える直線
    状ばね棒材からなる支柱材と、 前記上部台座部材と前記下部台座部材とを連結する係留
    手段と、 前記下部台座部材の上に重ねて載置され、前記係留手段
    又は前記支柱材によって位置規制される複数のスライド
    盤とを備え、 震動が加えられると前記支柱材で前記震動を緩和すると
    共に、前記支柱材の撓みに応じて前記複数のスライド盤
    がそれぞれ横滑りし前記スライド盤間で生じる摩擦によ
    り震動を減衰することを特徴とする建築物の免震装置。
  2. 【請求項2】 前記上部台座部材と前記スライド盤との
    間に介在し、該荷重を支えるとともに前記各スライド盤
    を圧着させるばね手段を備え、 強い震動が加えられると前記上部台座部材が前記ばね手
    段の上に着座して、前記ばね手段及び前記スライド盤で
    前記建築物の荷重を支持すると共に前記支柱材の座屈を
    防止することを特徴とする請求項1記載の建築物の免震
    装置。
  3. 【請求項3】 前記係留手段が前記上部台座部材及び前
    記下部台座部材に対して自在継手手段により連結されて
    いることを特徴とする請求項1記載の建築物の免震装
    置。
  4. 【請求項4】 荷重が作用する被支持部と該荷重を支持
    する支持部との間に設置される建築物の免震装置におい
    て、 前記被支持部に設置される上部台座部材と、 前記支持部に設置される下部台座部材と、 前記上部台座部材と前記下部台座部材との間に鉛直に起
    立した状態で介在して前記被支持部の荷重を支える直線
    状ばね棒材からなる支柱材と、 前記支柱材を取り囲むように位置し、前記支柱材が所定
    量撓んだときに当接して過剰な撓みを防止する筒状部材
    と前記筒状部材に封入され、前記支柱材の撓みに対する
    抵抗を生じさせる砂状体と、 前記支柱材に取り付けられて前記砂状体に埋没され、前
    記支柱材の撓みに対する抵抗を生じさせる抵抗体と、 を備えることを特徴とする建築物の免震装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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