JP2008050820A - 免震装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】容易、かつ、安価に設計及び施工を行うことができる免震装置及びこれを用いた免震基礎構造を提供する。
【解決手段】免震装置1によれば、基礎Hに固定された下側基礎パッキン4と、土台taに固定された上側基礎パッキン5を重ね合わせているため、地震が発生すると、両者の基礎パッキンが接触面で摺動し、地震エネルギーが消費される。これにより、木造建物Tに伝達する揺れを軽減することができる。また、基礎Hに埋設されるアンカーボルト3と建物Tに設置される緩衝体7とを連結部材8を介して連結していることから、上側基礎パッキン5の移動を抑制すると共に、水平方向の揺れを垂直方向に変換して吸収することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、建物の免震装置に関する。
地震の多いわが国では、従来から、免震機能を備えた建物の基礎構造において様々な研究、開発がなされている。例えば、特許文献1には、鋼材を格子状に組んだ架台と、基礎と前記架台の間に介設され転がり支承を有する移動支承部とからなる免震装置及びこの免震装置を複数介設した免震基礎構造の発明が記載されている。この発明は、地震の揺れ(地震エネルギー)を転がり支承で吸収させることにより、建物に伝達する揺れを軽減させるものである。また、転がり支承と固定部(例えば地面)をダンパーなどで連結することにより、水平方向の揺れの吸収効果を高める発明が記載されている。
特開平4−315650号公報(図1)
しかしながら、特許文献1に係る発明は、建物の荷重及び地震の揺れに耐える強固な架台を設けなければならず、この架台の設計及び施工は煩雑なものであり、施工コストも上昇するものであった。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、設計及び施工が容易であり、低コストで施工することができる免震装置を提供することを課題とする。
このような課題を解決するために創案された発明は、建物と基礎の間に介設され、2つの基礎パッキンを上下で重ね合わせた免震装置であって、前記基礎の上端に固定された下側基礎パッキンと、前記建物の下部材の下端に固定された上側基礎パッキンと、を有し、前記下側基礎パッキンと前記上側基礎パッキンを摺動可能に接触させたことを特徴とする。
かかる発明によれば、基礎に固定された下側基礎パッキンと、建物に固定された上側基礎パッキンを摺動可能に接触させているため、地震が発生すると、両者の基礎パッキンが摺動する。これにより、地震エネルギーが消費されるため、建物に伝達する揺れを軽減することができる。また、従来のように、架台を設置する必要がなく、2つの基礎パッキンを重ね合わせるだけであるため、比較的容易、かつ、安価に設計及び施工を行うことができる。
なお、本発明における下部材とは、建物の下端にかかる部材をいう。また、基礎の上に土台が設けられている場合、土台は、建物の概念の中に含むものとする。つまり、土台が設けられている場合、土台及び下枠材等を含めて下部材というものとする。
また、請求項2に係る発明は、前記下側基礎パッキンの上面には、この下側基礎パッキンの外縁部側から略中央下方に向って傾斜する凹部傾斜面が形成され、前記上側基礎パッキンの下面には、この上側基礎パッキンの外縁部側から略中央下方に向って傾斜する凸部傾斜面が形成され、前記凹部傾斜面と、前記凸部傾斜面を摺動可能に面接触させたことを特徴とする。
かかる発明によれば、地震が発生した場合に、面接触された基礎パッキンが傾斜面で摺動するため、地震エネルギーを消費し、揺れを軽減することができる。さらに、凹部傾斜面を摺動した上側基礎パッキンは、建物の自重により凹部傾斜面に沿って、スムーズに元の位置に復元することができる。
また、請求項3に係る発明は、前記下側基礎パッキンの上面に、前記外縁部よりも凹んで設けられ、前記上側基礎パッキンの幅よりも大きく形成された凹溝部と、この凹溝部と前記上側基礎パッキンが嵌め合わされることによって形成された間隙と、この間隙に設置される減衰材と、を有することを特徴とする。
かかる発明によれば、地震が発生し上側基礎パッキンが摺動する際、地震エネルギーが減衰材により吸収されるため、地震の揺れをより軽減させることができる。
また、請求項4に係る発明は、前記基礎に埋設されたアンカーボルトと、前記下部材の上端に設置された緩衝体と、前記下側基礎パッキン、前記上側基礎パッキン及び前記下部材を貫通する貫通孔に挿通され、前記アンカーボルトと前記緩衝体を連結する連結部材と、を有することを特徴とする。
かかる発明によれば、基礎に埋設されるアンカーボルトと下部材に設置される緩衝体とを連結部材を介して連結するため、下側基礎パッキン及び上側基礎パッキンが摺動した場合に、連結部材が引っ張られると共に緩衝体が圧縮される。即ち、地震エネルギーが、緩衝体の圧縮作用に用いられて吸収されるため、揺れをより軽減することができる。
また、請求項5に係る発明は、前記凹部傾斜面は、略すり鉢形状を呈し、前記凸部傾斜面は、略円錐形状を呈することを特徴とする。
かかる発明によれば、地震が発生した場合に、上側基礎パッキンは凹部傾斜面を自在に摺動可能なため、様々な水平方向の揺れ(左右方向、前後方向、斜め方向)に対して復元効果を発揮することができる。
本発明によれば、基礎パッキンを2つ重ね合わせて、両者を摺動させることにより、地震の揺れを軽減させることができるため、容易、かつ、安価に免震装置の設計及び施工を行うことができる。
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、第一実施形態に係る免震基礎構造を示した斜視図である。図2は、第一実施形態に係る免震装置を示した図であって、(a)は、斜視図、(b)は、当該免震装置の基礎パッキンを示した斜視図である。図3は、地震が発生した場合の免震装置の動作状態を示した拡大斜視図である。なお、実施形態の説明において、上下左右前後は、図1の矢印に従う。
[第一実施形態]
第一実施形態に係る免震基礎構造Gは、平面視矩形の基礎Hと、基礎Hの上方に施工される建物Tと、基礎Hと建物Tの間に略均等の間隔をあけて介設される免震装置1,1・・・及び免震装置1’,1’・・・とからなる。建物Tは、本実施形態においては、例えば、枠組壁工法で施工された住宅であって、土台taの上端に、床合板tb、下枠材tc及び壁面材td、tdを有する壁組Eが設置されるものである。なお、本実施形態においては、木造による建物Tを例にして説明するが、木造に限定される趣旨ではなく、鉄骨造などの建物であってもよい。
以下、免震装置1の構造について、詳細に説明する。
基礎Hは、建物Tを地盤に固定すると共に、建物Tに作用する力を地盤に伝えて安定を保つものである。基礎Hは、図1に示すように、第一実施形態においては、鉄筋コンクリートからなる布基礎である。基礎Hは、第一実施形態においては、布基礎を用いたが、これに限定されるものではなく、他の種類の基礎であってもよい。
下部材tとは、図1及び図2の(a)に示すように、建物Tの下端に位置する部材をいう。即ち、第一実施形態において、下部材tとは、土台ta、床合板tb及び下枠材tcをいう。
土台taは、建物Tの下部を支える水平材として用いられるものである。土台taは、図1及び図2に示すように、上側基礎パッキン5と床合板tbの間に介設されている。
下枠材tcは、図1及び図2の(a)に示すように、壁組Eの下端にかかる部材であって、床合板tbの上面に設置されている。土台ta、床合板tb及び下枠材tcは、共に後記する連結部材8を挿通させる貫通孔9が設けられている。
第一実施形態に係る免震装置1は、図2の(a)に示すように、基礎Hに埋設されたアンカーボルト3と、基礎パッキンPと、建物Tの下端に係る部材である下部材tと、下部材tの上端に設置された緩衝体7と、アンカーボルト3と緩衝体7を連結する連結部材8からなる。
アンカーボルト3は、後記する緩衝体7及び連結部材8を用いて基礎Hと建物T(下部材t)を垂直方向に固定させるものである。アンカーボルト3は、第一実施形態においては、図1及び図2に示すように、基礎Hの上端まで埋設されるものを用いる。通常、基礎と土台の固定方法は、基礎に埋設され、この基礎の上方に突出したアンカーボルトに、土台を貫通させ、座金及びナットで土台を固定させる方法が用いられている。しかし、第一実施形態においては、後記する緩衝体7及び緩衝体7とアンカーボルト3を連結する連結部材8を用いて基礎Hと建物T(下部材t)を垂直方向に固定させるため、アンカーボルト7は基礎Hの上端まで埋設されるものを使用する。
基礎パッキンPは、図2の(a)に示すように、下側基礎パッキン4及び上側基礎パッキン5からなり、基礎Hと建物Tの間に介設され、基礎Hと土台taの間に隙間を設けることにより床下の通気を良好にするものである。さらに、揺れが生じた場合には、下側基礎パッキン4及び上側基礎パッキン5の接触面で摺動することにより、地震エネルギーを消費するものである。
下側基礎パッキン4は、図2の(a)及び(b)に示すように、基礎Hと略同等の幅からなり、基礎Hの上端に固定されている。下側基礎パッキン4は、両外縁部M,Mから略中央下方に向って窪む凹部傾斜面10,10を有する。
上側基礎パッキン5は、図2の(a)及び(b)に示すように、土台taと略同等の幅からなり、土台taの下端に固定されている。上側基礎パッキン5は、両外縁部N,N(図2の(b)参照)から略中央下方に突出する凸部傾斜面11,11を有する。下側基礎パッキン4及び上側基礎パッキン5の略中央には後記する連結部材8を貫通させる貫通孔9が備えられている。
凹部傾斜面10と凸部傾斜面11は、図2の(b)に示すように、それぞれ略同等の傾斜角αを有し、静置状態において、凹部傾斜面10と凸部傾斜面11における全ての面が面接触するように形成される。これにより、上側基礎パッキン5は、下側基礎パッキン4の中央部で安定した静置状態を維持することができる。第一実施形態においては、凹部傾斜面10及び凸部傾斜面11の傾斜角αは共に約10°である。
下側基礎パッキン4と基礎H及び上側基礎パッキン5と土台taは、第一実施形態においては、ネジ等の締結具(図示せず)を用いて固定されている。なお、締結具の頭部は、凹部傾斜面10及び凸部傾斜面11の表面よりも突出しないように、溝(図示せず)を設けて埋没させている。
また、第一実施形態においては、下側基礎パッキン4の幅は、上側基礎パッキン5の幅よりも大きく形成されているため、揺れが発生した場合であっても、上側基礎パッキン5が下側基礎パッキン4から脱落しづらいように形成されている。
下側基礎パッキン4及び上側基礎パッキン5の製造方法は、第一実施形態においては、射出成形により製造されるが、これに限定されるものではなく、他の製造方法であってもよい。また、凹部傾斜面10及び凸部傾斜面11の傾斜の傾斜角αは、摺動性と復元性を考慮した上で、建物Tの荷重や、地震の想定レベルに合わせて適宜設定すればよい。傾斜角αは、第一実施形態においては、約10°としたが、傾斜角は0〜20°であることが好ましい。
なお、第一実施形態においては、下側基礎パッキン4と基礎H、上側基礎パッキン5と土台taを締結具を用いて固定させたが、これに限定されるものではなく、例えば、エポキシ系樹脂接着剤を用いて固定させてもよい。また、接着剤と締結具の両者を用いて固定させてもよい。
第一実施形態における基礎パッキンPは、樹脂からなるものであるが、これに限定されるものではなく、他の素材であってもよい。基礎パッキンPは、下側基礎パッキン4と上側基礎パッキン5が面接触して摺動するものであるため、摩擦係数が低い素材を用いることが好ましい。
緩衝体7は、後記する連結部材8を介して圧縮されることにより、水平方向の地震エネルギーを垂直方向に吸収するものである。緩衝体7は、図2の(a)に示すように、アンカーボルト3の垂直線上であって下枠材tcの上端に設置されている。緩衝体7は、第一実施形態においては、発泡ウレタンを用いており、挟持板K,Kによって挟持され、ボルトJにより後記する連結部材8と連結されている。緩衝体7は、本実施形態においては、下枠材tcの両端に設置される2枚の壁面材td,td(図1参照)によって壁組Eの中に収納されているため、外観、内観上景観を損なうことがない。
なお、緩衝体7は、発泡ウレタンに限定されるものではなく、例えば、バネ、ゴム、ダンパー、発泡樹脂等弾性変形可能な部材を用いればよい。また、従来は、揺れを吸収させる手段として油圧式ダンパー、ショックアブソーバー等を用いていたため装置の大型化、施工費の高額化を招来していたが、緩衝体7によれば、小型かつ安価に施工することができる。また、緩衝体7は、本実施形態においては、前記したように配設されたがこれに限定されるものではなく、例えば、土台ta又は下枠材tcの上部をくり貫いて緩衝体7を埋設させてもよい。
また、緩衝体7の上部に係る挟持板Kは、本実施形態においては単一の厚みからなる円板を用いたが、これに限定されるものではない。緩衝体7の上部に係る挟持板Kは、例えば、下方に向って連続的に幅狭(円錐台形状)又は、断続的に幅狭(円板を積層させた形状)であって、揺れが大きくなるにしたがって緩衝体7にめり込むように形成してもよい。これにより、揺れの大きさによって緩衝材7に対する挟持板Kの受圧面積が変化するため、例えば、小さい揺れが発生した場合であっても、緩衝体7が揺れを吸収し、建物Tを復元させることができる。
また、挟持板Kは用いずに緩衝体7と連結部材8を直接連結してもよい。
連結部材8は、アンカーボルト3と緩衝体7を連結するものである。連結部材8は、通常時は、基礎H、基礎パッキンP、下部材tの各部材を垂直方向に固定する。一方、連結部材8は、地震時は、上側基礎パッキン5によって左右に引っ張られて変形することにより、緩衝体7を圧縮させ、基礎パッキンPの摺動を所定の範囲内で許容するものである。
連結部材8は、第一実施形態においては、図2に示すように、基礎パッキンP、下部材tを貫通する貫通孔9に挿通され、アンカーボルト3と緩衝体7が連結されている。連結部材8は、第一実施形態においては、図2の(a)に示すように、一端をアンカーボルト3の上端と溶接により接合されており、他端をボルトJにより螺合されて緩衝体7と接合されている。
なお、連結部材8は、垂直方向の引張強度が強く、かつ、水平方向に変形するものが好ましい。第一実施形態における連結部材8は、鋼製のワイヤーを用いているが、これに限定されるものではなく、他の素材を用いてもよい。また、アンカーボルト3の上端と連結部材8は、溶接以外の公知の接合方法により接合されていてもよい。
貫通孔9は、連結部材8を挿通させるための孔である。連結部材8は、図2の(a)に示すように、連結部材8の直径よりも大きくなるように形成されている。貫通孔9の形状は、第一実施形態においては円筒状としたが、他の形状であってもよい。
次に、地震が発生した場合において、免震装置1の動作について説明する。
図3に示すように、水平方向右側に揺れが生じると(矢印20)、上側基礎パッキン5は凹部傾斜面10を摺動して中央よりも右側に移動する。この際、連結部材8も右側に引っ張られると共に、連結部材8が引っ張られた分緩衝体7が圧縮される(矢印21)。即ち、水平方向の揺れ(地震エネルギー)は、緩衝体7を垂直方向に圧縮させることにより吸収される。そして、揺れが収まると、建物Tの自重により凹部傾斜面10及び凸部傾斜面11の傾斜に沿って、スムーズに図2の(a)の状態に復元する。
ここで、図2の(a)の矢印Fに示すように、凹部傾斜面10及び凸部傾斜面11の傾斜方向をFとする。
免震装置1に係る凹部傾斜面10及び凸部傾斜面11は、図2の(b)に示すように、外縁部M,Nから中央下方に向って傾斜する二面の傾斜面から形成されているため、例えば、左右方向(傾斜方向F)の揺れが発生した場合に凹部傾斜面10及び凸部傾斜面11に沿って元の位置に復元することができる。しかし、例えば、前後方向の揺れが発生した場合、1個の免震装置では元の位置に復元することはできない。
従って、第一実施形態においては、図1に示すように、複数の免震装置1,1・・・を用いて、基礎パッキンPの傾斜方向F,F’を直交させることにより、左右方向及び前後方向の揺れに対して建物Tが元の位置に復元できるように免震基礎構造Gを構築している。免震装置1は左右方向、前後方向、斜め方向の揺れに対して柔軟に対応できるように、基礎パッキンPの形状(傾斜方向F)、配置方向、配置位置、配置個数等を適宜設定すればよい。
以上説明したように、本発明の第一実施形態の免震装置1によれば、基礎Hに固定された下側基礎パッキン4と、下部材tに固定された上側基礎パッキン5を重ね合わせているため、地震が発生すると、両者の基礎パッキンPが接触面で摺動し、地震エネルギーが消費される。これにより、建物Tに伝達する揺れを軽減することができる。また、基礎Hに埋設されるアンカーボルト3と下部材tに設置される緩衝体7とを連結部材8を介して連結していることから、緩衝体7を圧縮させることにより地震エネルギーが吸収される。これにより、建物Tに伝達する地震による揺れをより軽減することができる。また、従来のように、架台を設置する必要がないため、比較的容易に、かつ、安価に設計及び施工を行うことができる。
また、基礎パッキンPは、中央下方に向って傾斜する凹部傾斜面10及び凸部傾斜面11を有するため、地震が発生して建物Tが移動したとしても、建物Tは自重により凹部傾斜面10に沿ってスムーズに元の位置に復元することができる。
また、従来技術では、架台及び転がり支承等を設置する分、通常よりも約20cm〜60cm床面の高さが上昇するものであった。しかし、第一実施形態によれば基礎パッキンを2つ重ね合わせるだけであるため、床面の高さの上昇を抑制することができる。
また、従来技術では、建物Tをリフォームする際、架台の構造を考慮しなければならず、リフォームの内容に制約がかかるものであった。しかし、第一実施形態によれば架台を設けないためそのような制約を受けずにリフォームを行うことができる。
なお、以上免震装置1の構成について説明したが、図1に示すように、免震装置1と免震装置1’を組み合わせて免震基礎構造Gを構築してもよい。免震装置1’は、図1に示すように、下側基礎パッキン4及び上側基礎パッキン5のみからなり、地震が発生した場合に、両者を摺動させて、地震エネルギーを消費するものである。即ち、免震装置1’のように、アンカーボルト3や連結部材8等(図2参照)垂直方向に固定する部材を必ずしも設けなくてもよい。免震装置1’の詳細な構成は、免震装置1と略同等であるため省略する。
以上、本発明の免震装置1の最良の実施形態について詳細に説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において、適宜変更が可能である。本発明の他の実施形態を以下に説明する。なお、第一実施形態と同一の部材については、同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。
図4は、第二実施形態に係る免震装置を示した図であって、(a)は、免震装置の断面図、(b)は、免震装置の平面図である。図5は、第三実施形態に係る免震装置を示した図であって、(a)は、免震装置の断面図、(b)は、免震装置の平面図である。図6は、基礎パッキンの変形例を示した図であって、(a)は、第四実施形態、(b)は、第五実施形態、(c)は、第六実施形態を示した斜視図である。
[第二実施形態]
第二実施形態に係る免震装置31は、図4に示すように、減衰材12が設置されていることを特徴とする。即ち、下側基礎パッキン13は、凹部傾斜面10,10と、下側基礎パッキン13の外縁部Mに凸設された外周部17と、凹部傾斜面10と外周部17とで形成された凹溝部15とからなる。凹溝部15は、上側基礎パッキン14よりも大きい幅で形成されている。これにより、下側基礎パッキン13と上側基礎パッキン14を嵌合させた場合、間隙16が形成され、この間隙16に減衰材12が設置されている。間隙16は、図4の(b)に示すように、上側基礎パッキン14の外周を取り巻くように形成されている。減衰材12は、第二実施形態においては、例えば、発泡樹脂を用いている。
第二実施形態によれば、どの方向の揺れが生じた場合であっても、減衰材12が上側基礎パッキン14の移動を抑制し、建物Tに伝達する揺れを軽減することができる。
なお、減衰材12は、第二実施形態においては、発泡樹脂を用いるが、これに限定されるものではなく、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ウレタン等、揺れを吸収できる素材であればよい。また、緩衝体7と減衰材12は、同じ素材であってもよい。
[第三実施形態]
第三実施形態に係る免震装置41は、図5に示すように、減衰材12を用いている点及び下側基礎パッキン42と上側基礎パッキン43の接触面が平坦である点を特徴とする。
免震装置41は、基礎H、下側基礎パッキン42、上側基礎パッキン43、土台ta、基礎Hに埋設されるアンカーボルト3及びアンカーボルト3と緩衝材7を連結する連結部材8とからなる。緩衝材7は、中央に穴が設けられた板状に形成されており、座金46及びナット47により連結部材8と接合されている。緩衝体7、座金46及びナット47は、土台taの上端をくり貫いたスペースに埋設されている。
また、図5の(a)及び(b)に示すように、下側基礎パッキン42には、上側基礎パッキン43の幅よりも大きく形成された凹溝部48が形成されており、下側基礎パッキン42と上側基礎パッキン43が嵌め合わされることにより、上側基礎パッキン43の外周に形成される間隙49に減衰材12が設置されている。
これにより、免震装置41は、上側基礎パッキン43の外周に減衰材12が設置されているため、あらゆる方向の揺れに対して建物Tに伝達する揺れを軽減することができる。
また、基礎Hに埋設されるアンカーボルト3と土台taに設置される緩衝体7とを連結部材8を介して連結していることから、水平方向の揺れ(地震エネルギー)を緩衝体7を圧縮させて吸収することができるため、建物Tに伝達する揺れをより軽減することができる。
[第四実施形態]
第四実施形態に係る免震装置71は、図6の(a)に示すように、平面視円形ですり鉢状を呈する下側基礎パッキン74と、下方に向けて突出し、円錐状を呈する上側基礎パッキン75(基礎パッキンP1)を用いたことを特徴とする。
[第五実施形態]
また、第五実施形態に係る免震装置81は、図6の(b)に示すように、平面視矩形であって、下方に向けて四角錐状に突出する上側基礎パッキン85と、上側基礎パッキン85と面接触する下側基礎パッキン84(基礎パッキンP2)を用いたことを特徴とする。
[第六実施形態]
また、第六実施形態に係る免震装置91は、図6の(c)に示すように、平面視円形ですり鉢状を呈する下側基礎パッキン94と、球状を呈し下方に向けて突出する上側基礎パッキン95(基礎パッキンP3)を用いたことを特徴とする。
基礎パッキンP1,P2,P3によれば、あらゆる方向の揺れに対して元の位置に復元することができるため、基礎パッキンPの傾斜方向F(図1参照)を考慮することなく、施工することができる。また、第四実施形態乃至第六実施形態に係る下側基礎パッキンを平坦に形成して点接触させるように形成してもよい。
また、第一実施形態に係る免震基礎構造Gは、免震装置1,1・・・及び免震装置1’,1’・・・から構成したが、これに限定されるものではなく、免震基礎構造Gは、1種類の免震装置から構成してもよいし、3種類以上の免震装置を適宜組み合わせて構成してもよい。
第一実施形態に係る免震基礎構造を示した斜視図である。 第一実施形態に係る免震装置を示した図であって、(a)は、斜視図、(b)は、基礎パッキンを示した斜視図である。 第一実施形態に係る免震装置の動作状態を示した斜視図である。 第二実施形態に係る免震装置を示した図であって、(a)は、免震装置の断面図、(b)は、免震装置の平面図である。 第三実施形態に係る免震装置を示した図であって、(a)は、免震装置の断面図、(b)は、免震装置の平面図である。 基礎パッキンの変形例を示した図であって、(a)は、第四実施形態、(b)は、第五実施形態、(c)は、第六実施形態を示した斜視図である。
符号の説明
1 免震装置
3 アンカーボルト
4 下側基礎パッキン
5 上側基礎パッキン
7 緩衝体
8 連結部材
9 貫通孔
10 凹部傾斜面
11 凸部傾斜面
12 減衰材
15 凹溝部
16 間隙
H 基礎
G 免震基礎構造
M 外縁部
N 外縁部
T 木造建物
t 下部材
ta 土台
tb 床合板
tc 下枠材

Claims (5)

  1. 建物と基礎の間に介設され、2つの基礎パッキンを上下で重ね合わせた免震装置であって、
    前記基礎の上端に固定された下側基礎パッキンと、
    前記建物の下部材の下端に固定された上側基礎パッキンと、を有し、
    前記下側基礎パッキンと前記上側基礎パッキンを摺動可能に接触させたことを特徴とする免震装置。
  2. 前記下側基礎パッキンの上面には、この下側基礎パッキンの外縁部側から略中央下方に向って傾斜する凹部傾斜面が形成され、
    前記上側基礎パッキンの下面には、この上側基礎パッキンの外縁部側から略中央下方に向って傾斜する凸部傾斜面が形成され、
    前記凹部傾斜面と、前記凸部傾斜面を摺動可能に面接触させたことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
  3. 前記下側基礎パッキンの上面に、前記外縁部よりも凹んで設けられ、前記上側基礎パッキンの幅よりも大きく形成された凹溝部と、
    この凹溝部と前記上側基礎パッキンが嵌め合わされることによって形成された間隙と、
    この間隙に設置される減衰材と、を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の免震装置。
  4. 前記基礎に埋設されたアンカーボルトと、
    前記下部材に設置された緩衝体と、
    前記下側基礎パッキン、前記上側基礎パッキン及び前記下部材を貫通する貫通孔に挿通され、前記アンカーボルトと前記緩衝体を連結する連結部材と、を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の免震装置。
  5. 前記凹部傾斜面は、略すり鉢形状を呈し、
    前記凸部傾斜面は、略円錐形状を呈することを特徴とする請求項2乃至請求項4に記載の免震装置。
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