JP6641970B2 - ユニット型減震装置および該ユニット型減震装置を備えた防振架台 - Google Patents
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Description
一般的な防振架台は、設備機器を設置する上部架台と、床スラブ等の設置面に固定する下部架台と、両架台間に介装された防振部材を備えており、設備機器の稼動により発生する振動を防振部材で吸収することで、設置面に振動が伝わることを抑制する。
また、地震や強風などが発生した場合には、設備機器が所定以上の振幅で揺れ、転倒する危険性が生じる。そこで、設備機器が所定以上の振幅で揺れることを防ぐ目的で、防振架台のコーナー部分に上部架台と下部架台の分離を防止するストッパ機構が設けられている。
このため、設備機器を設置する防振架台において、減震作用を付加できる機構が望まれているが、防振架台の全体を交換するのでは効率が悪く、施工が大変であるので、既設の防振架台に減震作用を付加することができる装置の提供が望まれている。
スペーサー部材は収容体の内部でコア部材の下方に挿入されてスペーサー部材の下方にスペーサー部材の厚みに対応する目的の間隔の第1の隙間を形成する。よって、スペーサー部材を抜き取ることでコア部材の下方に必要な間隔の第1の隙間を画成できる。
収容体を貫通してコア部材の位置決め穴に位置決めピンを挿入しておくことで、収容体の内部におけるコア部材の空回りを防止できる。ユニット型減震装置を上部架台と下部架台の間に挿入し、ねじ孔に沿って支持軸を回転させて取付板と収容体の間隔を調整し、上部架台と下部架台間に隙間無くユニット型減震装置を配置する場合、空回りさせることなく支持軸の突出量を確実に調整できるので、上部架台と下部架台の間に確実かつ容易にユニット型減震装置を設置できる。
先の構成のユニット型減震装置を備えた防振架台であるならば、上部架台上に発電機などの重量の大きな設備機器を設置した場合、設備機器の振動を防振する機能を阻害することなく地震動や風圧などによる設備機器の大きな振動を抑制し、減震できる。
ユニット型減震装置の底壁を下部架台の上面に接着し、取付を上部架台の下面に接着する構成を採用することで下部架台と上部架台の間にユニット型減震装置を容易かつ簡単に取り付けることができる。
図1に、本発明に係る第1実施形態のユニット型減震装置30を備えた防振架台1の斜視図を示す。防振架台1は、建築物等の床版(スラブ等の設置面)18にアンカーボルト(図示略)などの固定金具で水平に固定された下部架台(第2架台)14と、この下部架台14と所定の間隙を隔てて水平に対向配置された上部架台(第1架台)12とを備えている。
図1に示すように、第1架台12と第2架台14との間には、防振部材16が複数介装されており(図1に示す例では6基)、これらの防振部材16によって第1架台12が第2架台14上に弾性支持されている。防振部材16は、内部に図示略のバネ材を有しており、第2架台14と第1架台12との間に配設され、第1架台12上に設置された設備機器の荷重を担持するとともに、設備機器から発生する振動を吸収し、緩衝する作用を有する。防振部材16は、第1架台12上に設置される設備機器の重心位置を考慮し、第2架台14と第1架台12の間の適所に必要個数設置されている。
防振架台1の四隅であって第1及び第2コーナー部材22、24の間には、予備ストッパ構造20が設けられている。この予備ストッパ構造20は、第1架台12と第2架台14とを鉛直方向及び水平方向に若干距離相対運動可能に連結するとともに、第2架台14に対する第1架台12の相対的な変位量を規制している。
予備ストッパ構造20は、第1架台12と第2架台14を若干距離相対移動可能に連結するとともに、鉛直方向及び水平方向に相対運動した際の変位量を規制している。
なお、水平方向の隙間及び鉛直方向の隙間は、設置現場における目視によって確認できる程度の広さであれば良く、例えば、それぞれ3〜5mm程度であることが好ましい。
第1架台12及び第2架台14を構成する各フレーム部材12a、14aは、防錆処理型鋼やFRP材を矩形に枠組みして形成された構成を採用できる。
なお、図1に示す防振架台1の構成は一例であり、フレーム部材12a、14aの材質、第1架台12、第2架台14を構成する部材数等は、第1架台12に固定される設備機器の重量や当該設備機器の振動特性によって、適宜決定することが望ましい。
図2、図3に示すように、ユニット型減震装置30は、フレーム部材14aの上面側に接着固定された円筒容器型の収容体31と、この収容体31の上部中央から上方に突出された支持軸32により水平に支持され、フレーム部材12aの下面側に接着固定された取付板33を主体としてなる。
収容体31は、板状の底壁(底板)31Aと、この底壁31Aの上面側に立設された円筒状の側壁(周壁)31Bと、この側壁31Bの上端部に一体化されたリング板状の蓋板(天井板)31Cとからなる。底壁31Aと側壁31Bと蓋板31Cはいずれも鋼板からなり、溶接などの接合手段で内部に収容空間有する円筒状に組み付けられている。
一例としてこの実施形態では側壁31Bの上部にねじ込み式の円筒状の分離壁31Dが形成され、この分離壁31Dの上端部に蓋板31Cが一体化されている。分離壁31Dの下部外周に外ねじ部31Eが形成され、側壁31Bの上部内周側に形成されている内ねじ部31Fに外ねじ部31Eを螺合して分離壁31Dが側壁31Bに一体化されている。
ねじ込み式の分離壁31Dはそれ自身を周回りに回転させることで側壁31Bと分離できる。なお、分離壁31Dを側壁31Bと一体化した構造としても差し支えない。
滑り板36はステンレス鋼板などの金属製の円板からなり、第1の減衰材35の上面ほぼ全面を覆う大きさに形成されている。スペーサー部材37は収容体31の直径と同程度の長さを有する細長い短冊板状の厚さ1mm程度の金属板からなる本体部37Aと、本体部37Aの長さ方向一端に形成された起立片37aとからなる。スペーサー部材37は、側壁31Bの底部側に形成された底部挿通孔31eを挿通して滑り板36とコア部材38との間に挿入され、滑り板36とコア部材38との間に高さ1mm程度の第1の隙間d1が形成されている。スペーサー部材37は、上述の第1の隙間d1の間隔を保持するための隙間調整材の役目を有している。
第2の減衰材39は収容体31の側壁31Bの内周面に接するように配置され、その内側に収容されているコア部材38の外周面との間に幅1mm程度の第3の隙間d3が形成されている。
コア部材38の構成材料として例えば、ポリアセタール樹脂(POM)を用いるならば硬質で滑り性に優れるので、滑り板36に対する摺動性に優れ、減震材との滑り性にも優れている。また、ポリアセタール樹脂は硬質であるので減震材39に対する振動特性にも優れている。
これらの減震材35、39、40を構成する材料としては、低反発で高減衰であって、且つ、粘性系の材料であることが好ましく、例えば、TPE熱可塑性エラストマー(オレフィン系やスチレン系他)のような、伸び率が400%以上で大きなせん断変形歪に耐え得る材料が好ましい。更にTPE熱可塑性エラストマーであるならば、耐候性に優れ、環境経年劣化も少ないので有利な特徴がある。
これらの材料は、粘弾性特性を有するので振動計算がし易く、また、射出成型法等で目的の形状の成形品を容易に大量生産することができることから、低コスト化に寄与するという利点がある。また、TPE熱可塑性エラストマーであればtanδ(損失係数)が0.5程度であり、優れた減震効果を得ることができる。
地震動などにより設備機器に水平方向の大きな振動を生じた場合、コア部材38が第3の隙間d3を超えて第2の減衰材39に衝突するので、この水平方向の振動を第2の減衰材39が抑制し、水平方向の大きな振動を減震することができる。
第1架台12の下方への振動に応じてコア部材38が滑り材36に衝突した場合、コア部材38は滑り材36上面に沿って水平方向に滑り移動ができ、垂直方向と水平方向へ第1架台12が移動した場合に減震材35、39、40のいずれかまたは複数にコア部材38が押し付けられるので、これらの減震材35、39、40による減震効果を得ることができる。
ユニット型減震装置30を備えていない既設の防振架台にユニット型減震装置30を取り付けるには、コア部材38のねじ孔38Aに対し奥側まで支持軸32を螺入し、取付板33と収容体31の間隔を狭めておき、ユニット型減震装置30を第1架台12と第2架台14の間に挿入し、その後に取付板33を回転させて支持軸32をコア部材38の外方側に延出させる。
取付板33の上面側と底壁31Aの底面側に接着層を形成しておき、支持軸32を延出させて第1架台12の底面に取付板33を押し付け、第2架台14の上面に底壁31Aを押し付けた状態で接着層を固化させることでユニット型減震装置30を容易かつ確実に既設の防振架台に取り付けることができる。
また、取付板33の裏面側に補強ナット43を一体化しておくならば、この補強ナット43にスパナ等の工具を係止して支持軸32を容易に回転させることができ、第1架台12に対する取付板33の押圧力と第2架台14に対する底壁31Aの押圧力を適正な値に容易に調整した上でユニット型減震装置30を設置できる。
接着層を固化させてユニット型減震装置30の接着固定が完了したならば、位置決めピン45とスペーサー部材37を収容体31から引き抜くことで第1の隙間d1を規定できるので、既設の防振架台に対しユニット型減震装置30の取り付けを完了できる。
例えば、分離壁31Dと蓋板31Cを取り外して収容体31の上面側を開放し、空の収容体31の内部に第1の減震材35、滑り材36、第2の減震材39、コア部材38を挿入し、第3の減震材40と抑止板41を装着し、分離壁31Dをねじ込み、収容体31を構成し、取付板33を備えた支持軸32をコア部材38のねじ孔38Aに螺合することでユニット型減震装置30を組み立てることができる。また、底部挿通孔31eを介し収容体31の内部にスペーサー部材37を挿通することで滑り板36とコア部材38との間に第1の隙間d1を形成でき、貫通孔31f、39fを介して位置決めピン45を位置決め穴38fに挿入することでコア部材38の位置決めができる。
また、既設の防振架台は発電機や変圧器などの設備機器を隙間なく設置した場所や、壁に近い狭い位置に設置されている場合が多く、後付けする場合に狭いスペースや奥まった位置でユニット型減震装置30の取付作業を行う必要がある。このような場合であっても、ユニット型減震装置30を上下の架台間に挿入して支持軸32を回転させ、収容体31と取付板33を接着するのみの操作で取り付け可能となるので、設置が容易で取付時の施工性にも優れた特徴を有する。
また、地震等の振動によりユニット型減震装置30の支持軸32が上昇し、蓋板31Cに抑止板41が接触して引抜き力を生じた場合、蓋板31Cはこの引抜き力に耐える厚みが必要である。蓋板31Cを鋼板で構成した場合、4〜6mm程度の厚みがあれば、上述の設備機器重量換算で生じる引抜き力に対して十分な強度が得られる。また、前述の重量換算の場合、支持軸32としてM24ボルト程度の外径の高力ボルトを用いれば対応可能である。
この実施形態において横断面C型の鋼材から矩形枠状に架台50が組み付けられ、床などの床版53の設置面上に弾性部材からなる防振パッド55を介し枠状の架台50が水平に設置されている。
この構造の架台50に対しユニット型減震装置30を適用するために、架台50の一部に金属板からなる接続片56が溶接あるいはねじ止めなどの手段で取り付けられ、接続片56の先端側に金属板からなるリブ材57を介し金属板からなる水平材58が溶接あるいはねじ止めなどの手段で取り付けられている。リブ材57は架台50の外側に延出され、リブ材57の先端部側に水平材58が取り付けられている。
なお、この実施形態に適用されているユニット型減震装置30において収容体31の底壁31Aを構成する金属板59が先の実施形態の構造よりも若干大きく形成され、この金属板59が床版53にボルト止めなどの取り付け手段により固定されている。また、支持軸32の上端に取り付けられている取付板33が水平材58の下面に沿わせられ、ボルト止めにより一体化されている。
架台50に対しユニット型減震装置30を設ける個数は任意の数で良く、架台50の規模や大きさに応じて4〜10数個程度の範囲で求められる減震性能に応じて必要個数設けることが好ましい。
その他、第1実施形態において説明したユニット型減震装置30が奏する作用効果について、この実施形態のユニット型減震装置30においても同様に得ることができ、設備機器52に対し減震効果を得ることができる。
また、ユニット型減震装置30の取り付けは接着に限るものではない。既設の架台にユニット型減震装置30を取り付ける場合は接着が容易であるが、工場等で生産する新規の防振架台にユニット型減震装置30を取り付ける場合はボルト止めなど、接着以外の方法で上部架台12と下部架台14の間に取り付けても良い。
また、ユニット型減震装置30の取り付けは、上部架台と下部架台のように架台間に限るものではなく、スラブと浮き床の間に配置すれば、減震構造用途の床の支持構造に適用することができ、床に限らず、デッキプレートなどの構造材の支持用途に適用することもできる。
Claims (5)
- 内部に収容空間を有し、底壁と側壁と蓋板とからなり、蓋板中央部に開口部を有する収容体と、前記収容体の内部に収容された硬質樹脂製のコア部材と、前記コア部材の周囲であって前記収容体の内側に前記コア部材を取り囲むように配置された減震材と、前記コア部材の中央部に形成されたネジ孔に螺合されて前記蓋板の開口部を貫通し蓋板の外方に延出された支持軸と、前記支持軸の先端部に一体化された取付板とを具備し、
前記収容体の底壁と前記コア部材との間に底部減震材が配置され、前記底部減震材上面と前記コア部材底面との間に第1の隙間が形成されるとともに、前記コア部材の上面に上部減震材と抑止板が配置され、該抑止板と前記蓋板との間に第2の隙間が形成されたことを特徴とするユニット型減震装置。 - 前記収容体の側壁底部に底部挿通孔が形成され、この底部挿通孔を挿通して前記第1の隙間にスペーサー部材が抜き取り自在に挿通されたことを特徴とする請求項1に記載のユニット型減震装置。
- 前記コア部材の側面に位置決め穴が形成され、前記収容体の側壁とその内側の減震材に貫通孔が形成され、前記側壁の貫通孔と前記減震材の貫通孔を挿通した位置決めピンが抜き取り自在に前記位置決め穴に挿入されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のユニット型減震装置。
- 床版上に設置される下部架台と、下部架台上に間隔をあけて設置され、上方に設備機器が設置される上部架台と、前記下部架台と前記上部架台の間に介装された複数の防振部材と、前記下部架台と前記上部架台の間に介装され、請求項1〜請求項3のいずれかに記載されたユニット型減震装置を複数備えたことを特徴とする防振架台。
- 前記ユニット型減震装置の底壁が前記下部架台の上面に接着され、前記ユニット型減震装置の取付板が前記上部架台の下面に接着されたことを特徴とする請求項4に記載の防振架台。
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