JP3182625U - 墓石 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐震構造を備えた墓石を提供すること。
【解決手段】納骨室の上に芝台石、中台石3、上台石4および竿石5を積み重ねてなる墓石1において、中台石3は前面に開口する空洞6が設けられ、中台石3及び上台石4は、その中央に垂直方向の貫通孔7(7a,7b)をそれぞれ備え、竿石5は底面中央に雌ネジを切られたアンカー10を打ち込む垂直方向の孔9を備え、貫通孔7を挿通する支持ボルト8を備え、支持ボルト8の上端部が竿石5に打ち込まれたアンカー10に締結され且つ下端部が中台石3の空洞6の天井にナット(12)で締め付けられている。中台石3、上台石4および竿石5が支持ボルト8によって連結一体化されているので地震の揺れによる倒壊を防ぐことができる。
【選択図】図2

Description

耐震構造を備えた墓石に関する。
墓石は角柱状の竿石(墓碑)を最上段に積み重ねるので、地震の発生によって倒壊しやすい。墓石の破損のみならず、重量のある墓石の倒壊は、付近に参拝客がいるときには非常に危険である。お彼岸やお盆などの日中に大規模地震が発生したときには惨事になりかねない。
このような問題意識から、積み重ねた石を1本の芯棒を通すことで一体化し、倒壊を防ごうとするアイデアが多数特許出願あるいは実用新案登録出願されている。その一例が、下記の特許文献1等である。
特許文献1に記載の「石材構造物およびその構築法」は、竿石の下面中心に穴を穿設し、その穴の中に埋め込みナットを挿入し、このナットに支持ボルトをねじ込んで固定する。芝台石、中台石、上台石を順に積み上げ、ボルト孔に、竿石の下に固定した支持ボルトを挿入するようにして、竿石を上台石の上に載置し、支持ボルトの下端にナットを螺合して緊締する。これによって、地震の揺れで倒壊しないように墓石を補強することができる。
特許文献2に記載の「墓石」は、竿石から芝台石まで穿孔を一直線状に貫通し、この穿孔に1本のステンレス棒を配設して芝台石の上面においてナット締めすることで積み上げた石を固定している。芝台石の下面から突出した連結棒下端の雄ネジ部にナットを螺合し締め付けることにより、複数個の石材を連結して一体化し、これによって地震の揺れによる倒壊を防止する。
特許文献3に記載の「墓」は、竿石や角台を介して内部に納骨室を形成した箱石上に積重した墓において、納骨室の天井及び角台は、その中央に垂直方向の貫通孔をそれぞれ備え、竿石は底面中央にアンカーナットを有する垂直方向の孔を備え、上端がこのアンカーナットに螺合された支持ボルトが貫通孔を貫通し、支持ボルトの下端が納骨室の天井に締結されている。これによって地震等の際に竿石が倒壊することを防止する。
特許文献4には、特許文献3と同様に中台石に納骨室を形成し、竿石の下端部から納骨室の天井までを連結芯棒を貫通させて、耐震性を供えた「組立て式耐震墓石」が記載されている。
特開2006−22487号公報 特開2009−299345号公報 特開平9−60348号公報 実用新案登録第3134503号公報
特許文献1に記載された発明は、竿石から芝台石までを1本の支持ボルトで連結しているので耐震性が増すという利点がある。しかし、最下段の芝台石の底面でナット締めをするので、支持ボルトを竿石から芝台石まで挿入した後、支持ボルトで一体化された墓石全体を横にしたり傾けたりして、ナット締めを行わなければならない。また、アンカーを使用せずに竿石部にナットを埋め込み接着することは接着力が不十分の場合、耐久性に劣るので下部で締め付けると外れてしまう。さらに、墓所が寺院の境内や急斜面などに在り、隣接する墓石同士の間隔が狭い場合は石材工場で予め竿石と各台石を連結一体化する作業を行わざるを得ない。しかし、連結後の墓石全体は重量があるので、重機を使って搬入することになる。このような墓地は通路も細いため、重機で搬入することが困難である。したがって、墓石同士の間隔に余裕があって、通路も広い公園墓地などでの使用に限定されるという問題がある。
特許文献2に記載された発明は、芝台石の下端に設けた固定手段によって連結棒を固定しているので、特許文献1に記載された発明と同様にアンカーを使用せずに竿石部に深い穴をあけてナットを接着することは効果が不十分であるとともに、墓地によっては現場での据付作業が困難である。
特許文献3および特許文献4に記載された発明・考案は、中台石に形成された納骨室の天井部分にてナット締めをするので、現場において通常の据付作業の一環として作業ができる。そのため、予め竿石から台石までを連結して現場に搬入しなくてもよいので、通路が狭く段差があり、墓石同士の間隔が狭い墓地であっても容易に据付ができる。また、移設や竿石の刻字の際に、容易に分解することもできる。しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載された発明と同じく竿石部にナットを接着しているので下部でナットをきつく締め付けることができない。
ところで、納骨室は芝台石の下方に設けたタイプの墓石が非常に多い。図3に例示する従来の墓石101は、下方から上方に向かって順次芝台石102、中台石103、上台石104及び棹石105が積み重なっている。納骨室(図示せず)は芝台石102の下方にあり、中台石103の内部には供物台106が配される位置で開口する空洞107が刳り貫かれているにすぎない。この従来型の墓石101にわずかな加工を施すことで、耐震構造を備えた墓石を提供することが本考案の課題である。
上記の目的を実現するために、請求項1に係る考案は、
中台石、上台石および竿石を積み重ねてなる墓石において、
前記中台石は前面に開口する空洞が設けられ、
前記上台石及び前記中台石は、その中央に垂直方向の貫通孔をそれぞれ備え、
前記竿石は底面中央に雌ネジを切られたアンカー(以下、「アンカー」)を打ち込む垂直方向の孔を備え、
前記貫通孔を挿通する支持ボルトを備え、
前記支持ボルトの上端部が前記打ち込まれたアンカーに締結され且つ下端部が前記空洞の天井にナット締めされていることを特徴とする。
これによって、部品点数が少なく安価であり、どのような墓地にも据付でき、分解も容易な耐震機能付きの墓石を提供できる。即ち、中台石の空洞内部に工具を差し込んでナットを締めたり外したりする作業が、従来の据付作業に追加されるだけなのである。この簡単な作業の追加だけで、従来の墓石に耐震性を付与できる。
最近は中台石の前面に開口する納骨室を設ける墓石が普及してきている。しかし、納骨室を供物台で塞ぎ、その上に順に中台石、上台石、および竿石を積み重ねる図3のタイプの墓石は依然として多く見られる。このような墓石は芝台石まで加工が必要であり、また貫通孔から納骨室への雨水の浸水が危惧されるため、特許文献1のような芝台石の下面で芯棒を締結する構造を採用することは適当でない。本考案の墓石は、従来の図3の墓石にわずかな加工をすることで耐震性を向上させ、且つ据付・分解も従来同様簡便に行えることを狙いとしている。
本考案の墓石は、従来の墓石に比較的軽微な加工を加え、従来の墓石の据付作業に若干の手間を加えることにより、容易に耐震機能を具備することができる。
加工も据付も容易なので、短期間に納品でき、コストも安く抑えることができる。そのうえ、従来の墓石と比較して費用が跳ね上がることはない。
また、設置済みの墓石でも、若干の修正・加工を施すことにより、本考案の新規の墓石と同様の耐震性を備えた墓石にすることができる。
実施形態の墓石の正面図である。 実施形態の墓石の側面断面図である。 従来の墓石の正面図である。
本考案の実施形態について、図1の正面図および図2の側面断面図を参照しながら説明する。
この実施形態の墓石1は、基礎に固定される芝台石2と、この芝台石2上に配置される中台石3と、この中台石3上に配置される上台石4と、この上台石4の上面に載置される棹石5とから構成される。図示しない納骨室は芝台石2の下方にある。
中台石3の正面には供物台や花瓶を配置するが、この供物台などの背後に当たる部分を刳り貫いて空洞6を形成する。なお、図1では供物台を省略しているが、図3と同様の位置に配置される。
中台石3のほぼ中央には貫通孔7aが設けられ、上台石4のほぼ中央には貫通孔7bが設けられている。貫通孔7(7a、7b)は、挿通される支持ボルト8の径よりも遊びを考慮して大きな径とする。
棹石5の底部のほぼ中央にアンカー用の孔9を穿ち、その孔9の中にアンカー10を打ち込んで竿石5にアンカー10を固定する。このアンカー10の内周部に切られている雌ネジに支持ボルト8上端部の雄ネジを締結して固定する。アンカー10は打ち込んだ後は外れない形状になっているので、アンカー10に固定された支持ボルト8は、竿石5から簡単に抜け出すことはない。支持ボルト8を竿石5に締結させる作業は据付現場で行なえる。
墓石1は屋外にあって雨や雪にさらされ石と石の間に雨水が浸入するので、アンカー10と支持ボルト8はいずれも錆びにくく且つ強度のあるステンレスなどの金属製が望ましい。アンカー10には、芯棒を一時的に締結し打ち込みするだけで簡単に取り付けできる打込み式アンカーが市販されているので、それを利用すればよい。支持ボルト8は、軸部全体に雄ネジが切られていてもよく、上端部と下端部の特定の長さだけ雄ネジが切られていてもよい。
墓石1の現場での据付作業は次のように行う。
基礎の上に芝台石2を設置し、芝台石2の上に中台石3と上台石4を順に積み上げる。このとき、貫通孔7aと貫通孔7bとが一直線状になるようにする。竿石5の下に固定した支持ボルト8を貫通孔7に挿通するようにして、竿石5を上台石4の上に載置する。中台石3の天井下面から突き出ている支持ボルト8の下端部に座金11を挿入してからナット12で締め付けて各石5,4,3を連結し一体化する。このナット締めの作業は、中台石3の開口から空洞6の内側に工具を差し込んでスムーズに行うことができる。中台石3に貫通孔7aを穿孔する際に、貫通孔7aの周縁部分であって座金11が当接する箇所13を平面に仕上げておくことが望ましく、座金11はこの平面13とナット12との間に挿入され、締め付けたナット12の緩みや中台石3の破損を防止する。なお、座金として平座金とばね座金を併用することが多い。
墓石据付後は空洞6の開口部には供物台などを配置するので、座金11やナット12などが外部から見えるおそれがない。
以上で、墓石1は現場に据え付けられた。従来の墓石の据付作業に比べ、竿石5を吊り上げて支持ボルト8を貫通孔7に挿通する、および支持ボルト8の下端部をナット締めするという手間が追加されただけである。
上記のように、中台石3と上台石4と竿石5が連結一体化されることによって、縦揺れによる浮き上がりや、横揺れや暴風などによる倒壊を抑制できる。
次に、墓石1の分解作業について説明する。
墓石の移設や追加文字に伴う作業のために墓石の分解が必要となるが、墓石1は分解もきわめて容易である。供物台などを除去して中台石3の空洞6の内側に工具を差し込んでナット12を緩め、ナット12と座金11を外してから、竿石5を吊り上げる。竿石5の吊り上げに伴い支持ボルト8も貫通孔7から抜けるので、墓石1を構成する各石に簡単に分解でき、支持ボルト8を取外しての運搬も容易である。
このように墓石1は、現場で各石を連結一体化して据付けたり、分解したりできるので、搬送の面からも利便性が高い。
接着剤使用のナット・アンカーナット・ダボピンなどで耐震機能を付与するタイプの墓石(特許文献1、特許文献2)では、現場での据付や分解が困難であって、各石材を連結一体化した状態で搬入しなくてはならない。そのうえ、接着剤が外れたなら再度接着作業が必要になる。このような墓石は公園墓地のように通路が広ければ問題はないが、通路の幅が細く重機が通行できず、隣接する墓石同士の間隔が狭く墓石を横倒したりする作業スペースの無い墓地には向かない。しかし、墓石1であれば、どのような条件にある墓地でも据付が可能である。
さらに、図3に例示するような従来の墓石を分解して各石のほぼ中央に孔を穿ち、支持ボルトを竿石の下部から中台石まで挿通すれば、既存の墓石を耐震補強できる。既存の石をそのまま使用でき、作業が簡単で、追加される部品点数も少ないため、費用を低く抑えることができる。
墓石の構造は図3に例示するものに限らず、上台石と竿石との間に蓮華台などを入れた構造のものもある。この蓮華台などのほぼ中央にも支持ボルトを挿通するための貫通孔を設ければよい。
本考案の墓石は、地震の多い地方の墓地、狭く高低差のある寺院の敷地内にある墓地などでの需要が期待できる。
1:墓石、2:芝台石、3:中台石、4:上台石、5:竿石、
6:(中台石の前面に開口した)空洞、7(7a,7b):貫通孔、
8:支持ボルト、9:(アンカー取付け用の)孔、
10:アンカー、11:座金、12:ナット、13:(座金が当接する)平坦面

Claims (1)

  1. 中台石、上台石および竿石を積み重ねてなる墓石において、
    前記中台石は前面に開口する空洞が設けられ、
    前記上台石及び前記中台石は、その中央に垂直方向の貫通孔をそれぞれ備え、
    前記竿石は底面中央に雌ネジを切られたアンカーを打ち込む垂直方向の孔を備え、
    前記貫通孔を挿通する支持ボルトを備え、
    前記支持ボルトの上端部が前記打ち込まれたアンカーに締結され且つ下端部が前記空洞の天井にナット締めされていることを特徴とする墓石。

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