JP3851019B2 - 電圧バッファ回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バッファ回路に係り、特に、電圧のバッファに用いられる電圧バッファ回路の出力特性の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の回路の典型的な構成例としては、例えば、図3に示されたような構成を有してなるものがある。
以下、同図を参照しつつこの従来の電圧バッファ回路について説明することとする。この電圧バッファ回路は、pnp形の第9のトランジスタQ9とnpn形の第10のトランジスタQ10とを主たる構成要素としてなるもので、第9のトランジスタQ9が入力段に設けられ、そのエミッタに第10のトランジスタQ10のベースが接続され、この第10のトランジスタQ10のエミッタから出力信号が得られるよう構成されたものとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、この従来回路における入出力電圧の関係を見てみると、下記する式1で表されるものとなっている。
【0004】
Vout=Vin+Vbe9−Vbe10=Vin+Vt×ln(I4/Isp)−Vt×ln(Ic10/Isn)・・・(式1)
【0005】
ここで、Vbe9は、第9のトランジスタQ9のベース・エミッタ間電圧であり、Vbe10は、第10のトランジスタQ10のベース・エミッタ間電圧であり、Vinは、入力電圧である。また、Vtは、熱電圧であり、I4は、第4の定電流源24により供給される第9のトランジスタQ9のエミッタ電流であり、Ic10は、第10のトランジスタQ10のコレクタ電流である。さらに、Ispは、pnp形トランジスタの逆方向飽和電流であり、Isnは、npn形トランジスタの逆方向飽和電流である。
【0006】
この式1から入出力電位差の誤差は、次のような要因に基づくものであるということが言える。すなわち、負荷電流が零であるとすると、npn形トランジスタとpnp形トランジスタのそれぞれの逆方向飽和電流の相違がある場合、これが入出力電位差の誤差の一つの要因となる。
また、出力電流が変化した場合も誤差要因の一つとなり、ここで、その場合の出力電位の変化について求めてみると次のようになる。
【0007】
まず、出力が電流ソースの状態となる場合(換言すれば、電圧バッファ回路側から負荷へ電流が流れ出す場合)、次の式2が成立する。
【0008】
Ic10=I5+Iout・・・(式2)
【0009】
ここで、Ic10は、電圧バッファ回路の出力が電流ソース状態における第10のトランジスタQ10のコレクタ電流であり、I5は、第10のトランジスタQ10のエミッタ側に設けられた第5の定電流源25の出力電流であり、Ioutは、図示されない負荷へ流れ込む負荷電流である。
【0010】
また一方、出力が電流シンクの状態となる場合(換言すれば、負荷側から電圧バッファ回路へ電流が流れ込む場合)、次の式3が成立する。
【0011】
Ic10´=I5−Iout・・・(式3)
【0012】
Ic10´は、出力が電流ソース状態における第10のトランジスタQ10のコレクタ電流である。
【0013】
これら式2及び式3より、第10のトランジスタQ10のコレクタ電流の差ΔIc10´を求めると次の式4により表される。
【0014】
ΔIc10´=2Iout・・・(式4)
【0015】
これより、2Ioutの電流変化がVbe10の電圧変化を招き、出力電位の変動となるということが言える。
次に、この電圧バッファ回路の電流能力についてみると次のようなことが言える。まず、出力が電流ソース状態において負荷側へ流れ出る電流を+Ioutと、出力が電流シンク状態において負荷側からこの電圧バッファ回路へ流れ込む電流を−Ioutと、それぞれ定義する。
ソース電流(+Iout)は、第10のトランジスタQ10のベース電流が、第10のトランジスタQ10の電流増幅率で増幅されたものにほぼ等しく、また、シンク電流(−Iout)は、第5の定電流源25の電流I5にほぼ等しくなることから次の式5及び式6が成立する。
【0016】
+Iout=I4×NPNhfe・・・(式5)
【0017】
−Iout=I5・・・(式6)
【0018】
ここで、NPNhfeは、npn形の第10のトランジスタQ10の電流増幅率である。
そして、このことから、この従来の電圧バッファ回路では、シンク電流値I5を定常的に通電する必要があり、そのため、無駄な電力消費を生ずるという問題があった。
【0019】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、入出力の電位差の誤差が小さく、出力電流能力の向上が図られ、しかも、従来に比して消費電力の低減を図ることのできる電圧バッファ回路を提供するものである。
本発明の他の目的は、演算増幅器を用いることなくトランジスタと抵抗器等によって構成することができ、入出力の電位差の誤差が小さく、従来に比して出力電流能力の高い電圧バッファ回路を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記発明の課題を解決するため、本発明に係る電圧バッファ回路は、
互いに極性の異なる第1のトランジスタと第4のトランジスタとを有し、前記第1のトランジスタのコレクタには、電源電圧が印加され、前記第4のトランジスタのコレクタは、ベースに接続されると共に当該コレクタには、所定の電流を出力する入力段用定電流源が接続される一方、
前記第1及び第4のトランジスタのエミッタが第1及び第2の抵抗器を介して接続されると共に、当該第1及び第2の抵抗器の接続点に入力電圧が印加されるよう構成された入力段と、
互いに極性の異なる第3のトランジスタと第6のトランジスタとを有し、前記第3のトランジスタのコレクタには、電源電圧が印加され、前記第6のトランジスタのコレクタは、アースに接続される一方、
前記第3及び第6のトランジスタのエミッタが第5及び第6の抵抗器を介して接続されると共に、当該第5及び第6の抵抗器の接続点に出力電圧が得られるよう構成された出力段とを設けると共に、
前記第1及び第3のトランジスタとカレントペアとなる第2のトランジスタを設け、当該第2のトランジスタは、ベースが前記第1及び第3のトランジスタのベースと接続されると共に、ベースとコレクタとが接続され、当該コレクタには、所定の電流を出力するカレントミラー用定電流源が接続され、
前記第4及び第6のトランジスタとカレントペアとなる第5のトランジスタを設け、当該第5のトランジスタは、ベースが前記第4及び第6のトランジスタのベースと接続される一方、コレクタは、アースに接続され、
前記第2のトランジスタのエミッタと前記第5のトランジスタのエミッタとは、第3及び第4の抵抗器を介して接続されてなるものである。
【0021】
かかる構成においては、入力段と出力段とをカレントミラー回路を介して接続するように構成したことで、出力電圧に飽和電流の影響が現れないように回路定数の選択が可能となり、そのため、従来と異なり入出力電位差の誤差が極めて小さなものとなり、しかも、出力電流能力が向上し、その結果、消費電力の低減を図ることができるものである。
【0023】
また、かかる構成において、例えば、第1、第2及び第3のトランジスタは、npn形バイポーラトランジスタであり、第4、第5及び第6のトランジスタは、pnp形バイポーラトランジスタが好適である。
また、第5の抵抗器と第6の抵抗器との間には、第3の定電流源を、それぞれ設ける構成とするとより好適である。
そして、かかる構成においては、第1、第2及び第3のトランジスタが相互にいわゆるカレントペアを構成するようになっており、また、第4、第5及び第6のトランジスタが相互にいわゆるカレントぺアを構成するようになっている。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃び図2を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、第1の回路構成例について、図1を参照しつつ説明する。
この電圧バッファ回路S1は、第1及び第4のトランジスタ1,4がいわゆるコンプリメンタリに接続されてなる入力段と、第3及び第6のトランジスタ3,6が同じくコンプリメンタリに接続されてなる出力段が、カレントミラー回路 を介して接続されるよう構成されたものとなっている。
以下、具体的にその構成を説明すれば、まず、入力段は、npn形の第1のトランジスタ(図1においては「Q1」と表記)1と、pnp形の第4のトランジスタ(図1においては「Q4」と表記)4とを主たる構成要素として構成されたものとなっている。
【0025】
第1のトランジスタ1は、そのコレクタに電源電圧Vccが印加されるようになっている一方、そのエミッタは、第1及び第2の抵抗器(図1においては、それぞれ「R1」、「R2」と表記)11,12を介して第4のトランジスタ4のエミッタに接続されている。
そして、第4のトランジスタ4のコレクタは、入力段用定電流源としての第2の定電流源22を介してアースに接続されると共に、ベースに接続されて、この第4のトランジスタ4は、いわゆるダイオード接続状態とされている。
また、第1及び第2の抵抗器11,12の相互の接続点は、入力端子30に接続されており、入力電圧Vinが印加されるようになっている。
【0026】
さらに、第1のトランジスタ1のベースは、第2及び第3のトランジスタ2,3のベースに接続される一方、第4のトランジスタ4のベースは、第5及び第6のトランジスタ5,6のベースに接続されたものとなっている。
npn形の第2のトランジスタ(図1においては「Q2」と表記)2は、第1及び第3のトランジスタ(図1においては「Q3」と表記)1,3といわゆるカレントペアを構成するものとなっており、さらに、pnp形の第5のトランジスタ(図1においては「Q5」と表記)5とは、コンプリメンタリに接続されたものとなっている。換言すれば、第1乃至第3のトランジスタ1〜3によりカレントミラー回路が構成されたものとなっている。
また、pnp形の第5のトランジスタ5は、第4及び第6のトランジスタ(図1においては「Q6」と表記)4,6といわゆるカレントペアを構成するものとなっている。換言すれば、第4乃至第6のトランジスタ4〜6によりカレントミラー回路が構成されたものとなっている。
【0027】
まず、第2のトランジスタ2のコレクタには、カレントミラー用定電流源としての第1の定電流源21が接続されており、定電流I1が供給されるようになっていると共に、ベースと接続されて、この第2のトランジスタ2は、いわゆるダイオード接続状態とされている。
また、第2のトランジスタ2のエミッタは、第3及び第4の抵抗器(図1においては、それぞれ「R3」、「R4」と表記)13,14を介して第5のトランジスタ5のエミッタに接続されている。そして、第5のトランジスタ5は、そのコレクタがアースに接続されたものとなっている。
【0028】
npn形の第3のトランジスタ3とpnp形の第6のトランジスタ6は、出力段を構成するものとなっており、第3のトランジスタ3のコレクタには、電源電圧Vccが印加されるようになっている一方、そのエミッタは、第5及び第6の抵抗器(図1においては、それぞれ「R5」、「R6」と表記)15,16を介して第6のトランジスタ6のエミッタに接続されたものとなっている。そして、第6のトランジスタ6のコレクタは、アースに接続されている。
また、第5及び第6の抵抗器15,16の接続点は、出力端子31に接続されており、出力電圧が出力されるようになっていると共に、アースとの間には、第3の定電流源23が設けられている。
【0029】
次に、かかる構成における回路動作について説明する。
まず、全体の動作について説明すれば、この電圧バッファ回路S1は、入力端子30に印加された入力電圧Vinの位相に応じて第1のトランジスタ1または第4のトランジスタ4が動作するようになっている。例えば、入力電圧Vinの大きさに応じて、第2及び第3のトランジスタ2,3には、第1のトランジスタ1のエミッタ面積とこれら第2及び第3のトランジスタ2,3のそれぞれのエミッタ面積比に応じたコレクタ電流が流れることとなる。その結果、第3のトランジスタ3から負荷側へ電流が出力され、出力はいわゆる電流ソースの状態となる。
【0030】
一方、入力電圧Vinの位相の変化によって、第5及び第6のトランジスタ5,6には、第4のトランジスタ4のエミッタ面積とこれら第5及び第6のトランジスタ5,6のそれぞれのエミッタ面積比に応じたコレクタ電流が流れることとなる。その結果、この場合、出力は、負荷側からこの電圧バッファ回路S1へ電流が流れ込むいわゆる電流シンクの状態となる。
【0031】
次に、出力電位誤差と電流能力について定量的に説明する。
まず、第1の定電流源21から出力される定電流I1と、第2の定電流源22から出力される定電流I2は、I1=I2であるとすると、第1のトランジスタ1と第3のトランジスタ3のベースが共通電位にあり、また、第4のトランジスタ4と第6のトランジスタ6のベースが共通電位にあるため、次の式7が成立する。
【0032】
Vt×ln(I2/Isn)+I2(R1+R2)+Vt×ln(I2/Isp)=Vt×ln{Ic3/(A×Isn)}+Ic3×R5+Ic6×R6+Vt×ln{Ic6/(A×Isp)}・・・(式7)
【0033】
ここで、Vtは、熱電圧であり、Ispは、pnp形トランジスタの逆方向飽和電流であり、Isnは、npn形トランジスタの逆方向飽和電流であり、R1は、第1の抵抗器11の抵抗値であり、R2は、第2の抵抗器12の抵抗値であり、R5は、第5の抵抗器15の抵抗値であり、R6は、第6の抵抗器16の抵抗値であり、Ic3は、第3のトランジスタ3のコレクタ電流であり、Ic6は、第6のトランジスタ6のコレクタ電流である。
また、Aは、第1及び第2のトランジスタ1,2のエミッタ面積に対する第3のトランジスタ3のエミッタ面積比を表し、同時に、第4及び第5のトランジスタ4,5のエミッタ面積に対する第6のトランジスタ6のエミッタ面積比を表すものである。
【0034】
ここで、第1のトランジスタ1のエミッタ面積:第2のトランジスタ2のエミッタ面積:第3のトランジスタ3のエミッタ面積=1:1:Aとし、かつ、第4のトランジスタ4のエミッタ面積:第5のトランジスタ5のエミッタ面積:第6のトランジスタ6のエミッタ面積=1:1:Aとすると共に、負荷電流を零とすると、Ic3=Ic6となる。
したがって、上述の式7は、次の式8に変形される。
【0035】
Vt×ln(A×I2/Ic3)+Vt×ln(A×I2/Ic3)=Ic3(R5+R6)−I2(R1+R2)・・・(式8)
【0036】
式8の右辺において、第1項の第5及び第6の抵抗器15,16における電圧降下分と、第2項の第1及び第2の抵抗器11,12における電圧降下分とが等しくなるように抵抗値を選択すると、この右辺は零となるため、次の式9が成立する。
【0037】
2Vt×ln(A×I2/Ic3)=0・・・(式9)
【0038】
そして、この式9を解くと、Ic3=A×I2という条件式が得られる。
さらに、この条件式と式8の右辺を零にする条件とから、A×R5=R1を得る。なお、この場合、R1=R2、R3=R4、R5=R6であるとする。
【0039】
次に、入出力電圧の関係についてみると、入出力電圧は、次の式10によって表される。
【0040】
Vout=Vin+I2×R1+Vt×ln(I2/Isn)−Vt×ln{Ic3/(A×Isn)}−Ic3×R5・・・(式10)
【0041】
この式10に先に得られた2つの条件式、すなわち、Ic3=A×I2とA×R5=R1を代入して整理すると次の式11を得る。
【0042】
Vout=Vin+Vt×ln1=Vin・・・(式11)
【0043】
したがって、先に図3で示された従来回路における入出力電圧の関係を表す式1と比較すると、飽和電流の影響がないことが確認できる。なお、上述の説明においては、各トランジスタのベース電流による誤差を小さいとして無視してある。
【0044】
次に、負荷電流が流れた場合の出力電位の変化について説明する。
まず、出力の状態が電流ソースの場合(電圧バッファ回路側から負荷へ電流が流れ出す場合)、次の式12が成立する。
【0045】
Ic3=Iout+Ic6・・・・(式12)
【0046】
また、出力の状態が電流シンク(負荷側から電圧バッファ回路へ電流が流れ込む場合)、次の式13が成立する。
【0047】
Ic3´=Ic6´−Iout・・・・(式13)
【0048】
これより、電流ソースの場合の第3のトランジスタ3のコレクタ電流Ic3と、電流シンクの場合の第3のトランジスタ3のコレクタ電流Ic3´との差ΔIc3は、次の式14で表される。
【0049】
ΔIc3=2Iout+Ic6−Ic6´<2Iout・・・(式14)
【0050】
ここで、出力が電流ソースの場合の第6のトランジスタ6のコレクタ電流Ic6と、電流シンクの場合の第6のトランジスタ6のコレクタ電流Ic6´との間には、Ic6<Ic6´の関係が成立する。
したがって、式14から、従来よりも第3のトランジスタ3のコレクタ電流の変化が少なく、そのため、出力電位の変化が小さいということが言える。
【0051】
次に、出力電流能力についてみると、まず、出力が電流ソース状態において負荷側へ流れ出る電流を+Ioutと、出力が電流シンク状態において負荷側からこの電圧バッファ回路S1へ流れ込む電流を−Ioutと、それぞれ定義すると次のようになる。
【0052】
+Iout=I1×NPNhfe・・・(式15)
【0053】
−Iout=I2×PNPhfe・・・(式16)
【0054】
ここで、NPNhfeは、この電圧バッファ回路S1において用いられる npn形トランジスタの電流増幅率であり、PNPhfeは、pnp形トランジスタの電流増幅率である。
【0055】
電流シンクの際の出力電流である−Ioutは、式16に示されたように、第2の定電流源22の出力電流I2を電流増幅したものとなるので、定常的に流すべき電流I2は、シンク電流値の1/PNPhfeに抑えることができ、電流能力が従来に比して向上されたものとなっている(式6参照)。
【0056】
次に、第2の回路構成例について図2を参照しつつ説明する。なお、図1に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略することとし、以下、異なる点を中心に説明する。
この第2の回路構成例における電圧バッファ回路S2は、図1に示された回路構成例を基本として、ベース電流の誤差の低減、電流能力の向上を図ったものである。
すなわち、まず、この電圧バッファ回路S2においては、複数の出力が取り出せるように第1乃至第3のトランジスタ1〜3のベースとベース同士が共通に接続されたnpn形の第2乃至第nの出力段用電源側トランジスタ(図2においては、それぞれ「Q12」、・・・「Q1n」と表記)100〜(100+n−1)が設けられると共に、第4乃至第6のトランジスタ4〜6のベースとベース同士が共通に接続されたpnp形の第2乃至第nの出力段用アース側トランジスタ(図2においては、それぞれ「Q21」、・・・「Q2n」と表記)200〜(200+n−1)が設けられた構成となっている。
【0057】
第2乃至第nの出力段用電源側トランジスタ100〜(100+n−1)は、それぞれコレクタに電源電圧Vccが印加されるようになっている一方、第2乃至第nの出力段用アース側トランジスタ200〜(200+n−1)のコレクタは、それぞれアースに接続されている。
そして、第2乃至第nの出力段用電源側トランジスタ100〜(100+n−1)のそれぞれのエミッタは、第2乃至第nの出力段用アース側トランジスタ200〜(200+n−1)のそれぞれ対応するエミッタと2つの抵抗器を介して接続されている。
すなわち、第2の出力段用電源側トランジスタ100と第2の出力段用アース側トランジスタ200を例に採れば、相互のエミッタは、2つの抵抗器(図2においてはそれぞれ「R5−2」、「R6−2」と表記)300,400を介して相互に接続されたものとなっている。また、この2つの抵抗器300,400の相互の接続点に第2の出力端子32が接続されて、外部に出力電圧が取り出せるようになっている。
なお、第3乃至第nの出力段用電源側のトランジスタ101〜(100+n−1)と第3乃至第nの出力段用アース側トランジスタ201〜(200+n−1)のエミッタ間の接続も、基本的に上述した第2の出力段用電源側トランジスタ100と第2の出力段用アース側トランジスタ200のエミッタ間の接続と同様であるのでそれぞれの接続について詳細な説明は省略することとする。
【0058】
また、ベース電流による出力電位差の誤差低減のため、npn形の第7のトランジスタ(図2においては「Q7」と表記)7が、そのコレクタに電源電圧Vccが印加される一方、そのベースが第2のトランジスタ2のコレクタに、また、エミッタが第1及び第2のトランジスタ1,2のベースに、それぞれ接続されて設けられたものとなっている。これにより、第2のトランジスタ2のエミッタ電流と第1及び第3のトランジスタ1,3並びに第2乃至第nの出力段用電源側トランジスタ100〜(100+n−1)のエミッタ電流の誤差が、第1乃至第3のトランジスタ1〜3並びに第2乃至第nの出力段用電源側トランジスタ100〜(100+n−1)のベース電流の1/(NPNhfe)になるため、先の図1に示された回路構成例に比して、これらベース電流に起因する出力電圧の誤差が抑圧されるものとなる。
【0059】
また、pnp形の第8のトランジスタ(図2においては「Q8」と表記)8が、そのコレクタがアースに接続される一方、そのベースが第4のトランジスタ4のコレクタに、エミッタが第4及び第5のトランジスタ4,5のベースに、それぞれ接続されて設けられたものとなっている。
これにより、第4のトランジスタ4のエミッタ電流と第5及び第6のトランジスタ5,6並びに第2乃至第nの出力段用アース側トランジスタ200〜(200+n−1)のエミッタ電流の誤差が、第4乃至第6のトランジスタ4〜6並びに第2乃至第nの出力段用アース側トランジスタ200〜(200+n−1)のベース電流の1/(PNPhfe)になるため、先の図1に示された回路構成例に比して、これらベース電流に起因する出力電圧の誤差が抑圧されるものとなる。
【0060】
さらに、この電圧バッファ回路S2においては、図1に示された電圧バッファ回路S1と異なり、入力端子30を第3及び第4の抵抗器13,14の相互の接続点に接続したものとなっているが、回路の動作は、図1の電圧バッファ回路S1のように、入力端子30を第1及び第2の抵抗器11,12の相互の接続点に接続した場合と基本的に変わるところはないものである。
なお、この電圧バッファ回路S2の動作等は、基本的に先の図1を参照しつつ説明した電圧バッファ回路S1のそれと変わるところがないので、ここでの再度の詳細な説明は省略することとする。
【0061】
上述のいずれの回路構成例においても、バイポーラトランジスタを用いたが、これに限定される必要がないことは勿論であり、他の種類の半導体素子を用いて回路を構成してもよいものである。例えば、npn形トランジスタに代えて、NMOSトランジスタを、pnp形トランジスタに代えて、PMOSトランジスタを用いるようにしてもよい。
また、上述の回路構成例において用いられた抵抗器は、エミッタ面積比の誤差補正の働きをなすと共に、過電流による回路の保護の役割を果たすもので、その抵抗値は、この電圧バッファ回路が扱う電圧や出力電流の大きさ等に応じて、零から適宜な値に設定されるべきものである。
【0062】
【発明の効果】
以上、述べたように、本発明によれば、入力段と出力段をカレントミラー回路を介して接続するような構成とすることにより、出力電圧に飽和電流の影響が現れないように回路定数の選択が可能としたので、そのため、従来のように入出力電位差の誤差が極めて小さなものとなり、しかも、出力電流能力が向上し、その結果、消費電力の低減を図ることができる。
また、特に、演算増幅器を用いることなく、トランジスタと抵抗器等によりいわゆるディスクリートの回路を構成したので、比較的安価に簡易な電圧バッファ回路が提供されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態における電圧バッファ回路の第1の回路構成例を示す回路図である。
【図2】この発明の実施の形態における電圧バッファ回路の第2の回路構成例を示す回路図である。
【図3】従来の回路構成例を示す回路図である。
【符号の説明】
1…第1のトランジスタ
2…第2のトランジスタ
3…第3のトランジスタ
4…第4のトランジスタ
5…第5のトランジスタ
6…第6のトランジスタ
21…第1の定電流源
22…第2の定電流源
23…第3の定電流源
Claims (2)
- 互いに極性の異なる第1のトランジスタと第4のトランジスタとを有し、前記第1のトランジスタのコレクタには、電源電圧が印加され、前記第4のトランジスタのコレクタは、ベースに接続されると共に当該コレクタには、所定の電流を出力する入力段用定電流源が接続される一方、
前記第1及び第4のトランジスタのエミッタが第1及び第2の抵抗器を介して接続されると共に、当該第1及び第2の抵抗器の接続点に入力電圧が印加されるよう構成された入力段と、
互いに極性の異なる第3のトランジスタと第6のトランジスタとを有し、前記第3のトランジスタのコレクタには、電源電圧が印加され、前記第6のトランジスタのコレクタは、アースに接続される一方、
前記第3及び第6のトランジスタのエミッタが第5及び第6の抵抗器を介して接続されると共に、当該第5及び第6の抵抗器の接続点に出力電圧が得られるよう構成された出力段とを設けると共に、
前記第1及び第3のトランジスタとカレントペアとなる第2のトランジスタを設け、当該第2のトランジスタは、ベースが前記第1及び第3のトランジスタのベースと接続されると共に、ベースとコレクタとが接続され、当該コレクタには、所定の電流を出力するカレントミラー用定電流源が接続され、
前記第4及び第6のトランジスタとカレントペアとなる第5のトランジスタを設け、当該第5のトランジスタは、ベースが前記第4及び第6のトランジスタのベースと接続される一方、コレクタは、アースに接続され、
前記第2のトランジスタのエミッタと前記第5のトランジスタのエミッタとは、第3及び第4の抵抗器を介して接続されてなることを特徴とする電圧バッファ回路。 - 互いに極性の異なる2つのトランジスタからなる1又は複数のトランジスタ対を有し、前記2つのトランジスタの内、一方のトランジスタのコレクタには、電源電圧が印加され、前記2つのトランジスタの内、他方のトランジスタのコレクタは、アースに接続される一方、
前記一方のトランジスタのベースは、前記第1のトランジスタのべースに接続され、前記他方のトランジスタのベースは、前記第4のトランジスタのベースに接続され、
前記トランジスタ対を構成する2つのトランジスタは、2つの抵抗器を介してエミッタが相互に接続され、当該接続点がそれぞれ出力端とされることを特徴とする請求項1記載の電圧バッファ回路。
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