JP3846548B2 - 換気装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の天井裏等の空間に設置し、ダクトを介して室内の空気を排気して換気する換気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記この種の換気装置の中には、両側にダクトを接続するための接続口部品を取付けた吸気口と排気口をもつ箱形の本体箱体内に遠心式ファンを組込んだ構成のものがある。遠心式ファンは、羽根車の構造からみても分かるように流体力学的にかなり無理な昇圧を行うため騒音が高く、これまでも騒音の低減を図る工夫が講じられてきた。例えば、特開平9―273788号公報には、遠心式ファンを両吸込み形のものとし、そのファンケーシングの本体箱体の吸込口側に消音部材を設け、二つの吸込口に至る第1と第2の風路を形成する本体箱体内壁面にも消音材を設けた換気装置が示されている。
【0003】
この換気装置では、遠心式ファンによって吸気口から吸込まれた空気は、ファンケーシングに設けた消音部材に衝突して、消音部材で囲まれた第1の風路と第2の風路とに分流し、各吸込口から遠心式ファンに吸込まれ、羽根車の回転により昇圧されて排気口から排気される。このように気流をスプリット型に分流して遠心式ファンに向って流すことにより個々の風路の通過断面積が単一風路によるものより小さくなり、各風路に臨む消音材の吸音機能が効果的に働くことになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の換気装置は、風路をスプリット型にして通過断面積を減じ、各風路に臨んで設けた消音材の吸音機能を効果的に引出して騒音の低減を図ったものであるが、騒音が無くなったわけではなく、住宅用機器としてはさらなる騒音の低減が要求されている。
【0005】
即ち、風路をスプリット型にすれば通過断面積は減少するものの、風路内風速は速くなり、特に、モーターや取付部材が臨む片側の風路については風速の増加に伴う騒音や振動が発生する。ファンケーシングの吸気口側に設けた消音部材は、その形状が角形の場合には、消音機能を果す有効面を確保することができるが、気流の乱れや、稜角部での気流の剥離現象を伴い、風量損失は増加してしまうといった問題がある。弾頭形の形状を採った場合には、整流機能を持たせ得るものの風路の通過断面積の減少は達成できず、騒音の低減効果は得難くなる。
【0006】
本発明は、係る従来の問題点を解決するためになされたものであって、その課題とするところは、換気装置の低騒音化を送風性能を維持したまま推進することであり、換気装置の低騒音化を送風性能を維持したまま低コストで推進することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するために請求項1の発明は、対向側に吸気口と排気口を持つ本体箱体内にモーター側と反モーター側の双方に吸込口を有する遠心式ファンを組込み、吸気口から遠心式ファンの反モーター側の吸込口に通じる第1の風路と、吸気口からモーター側の吸込口に通じる第2の風路とを分岐状に形成し、この両風路に臨む本体箱体内面に消音部材を設け、遠心式ファンのケーシングにおける吸気口に対面する部分に、消音部材に対向する面をもち吸気口に向かって突出させ、この突出させた部分に凹みを付けて、凹みの第1の風路側に稜角部又は近似的な曲面を設けた分流消音部材を有する手段を採用する。
【0008】
前記課題を達成するために請求項2の発明は、請求項1に係る前記手段における分流消音部材を、平板状消音材を積層して構成する手段を採用する。
【0009】
前記課題を達成するために請求項3の発明は、請求項1に係る前記手段における分流消音部材を、消音材の成形によって構成した換気装置。
【0011】
前記課題を達成するために請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれかに係る前記手段における凹みを平面構成とする手段を採用する。
【0012】
前記課題を達成するために請求項5の発明は、請求項1から請求項3までのいずれかに係る前記手段における凹みを曲面構成とする手段を採用する。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1〜図6によって示す本実施の形態は、建物の天井裏等の空間に設置し、ダクトを介して室内の空気を吸込み室外へ排気して換気を行う換気装置に関するものである。この換気装置は、両側面にダクトを接続するための接続口部品1をそれぞれ取付けた吸気口2と排気口3を対向状に備えた六面体の箱形の本体箱体4内に遠心式ファン5が組込まれて構成されている。遠心式ファン5は、モーター側と反モーター側の双方に吸込口7を有する両吸込み式であり、二個の吸込口7を上下(あるいは前後)にし、吐出口を排気口3に向けて、本体箱体4内の略中間部に装着されている。
【0014】
遠心式ファン5のケーシング8の一面は本体箱体4の吸気口2に対面していて、この面に吸気口2に向って突出する消音材(グラスウール等)で形成された角形ブロック状の分流消音部材9が固着されている。また、本体箱体4の遠心式ファン5の各吸込口7が対面する上面と下面それに前面と後面の内面にも、それぞれ50mm厚ほどの消音材(グラスウール等)による消音部材10が内張りされている。
【0015】
これにより、本体箱体4内には、吸気口2から遠心式ファン5の反モーター側の吸込口7に通じる消音材に囲まれた第1の風路11と、吸気口2からモーター側の吸込口7に通じる消音材で囲まれた第2の風路12とが分岐状に画成される。分流消音部材9は、第1の風路11の消音部材10と第2の風路12の消音部材10に対向する消音に機能する有効面13を有し、この有効面13と消音部材10の面との延面距離と風路幅面積が消音効果を左右する。即ち、延面距離が長く、風路幅面積が小さいほど消音材による消音効果は高くなる。従って、分流消音部材9の吸気口2側への突出量を大きくとるほど、消音効果は上がることになるが、単純に突出量を大きくすることは、廃却性に難のある消音材の使用量が増加し環境問題等の観点からも、装置の大型化を伴うことからも得策ではない。
【0016】
本実施の形態の換気装置の特徴は、分流消音部材9に、その消音機能を果す有効面13の長さを確保したうえで、吸気口2からの気流を第2の風路12側を少なく、第1の風路11側を多くするように按分する機能を果させたことであり、消音材の使用量の抑制を踏まえて騒音の低減を実現したものである。
【0017】
即ち、第1の風路11に対して第2の風路12には気流の乱れの原因となる遠心式ファン5のモーター14やその取付足等の騒音発生要因が存在している。この騒音発生要因を持つ第2の風路12への吸気口2からの気流の配分を分流消音部材9で少なくし、騒音の発生自体を抑制するものである。一方で、第1の風路11には第2の風路12の風量の減少分を補完するように流すことで、流速を下げて騒音の発生を抑えるとともに全体としての送風性能の低下を回避している。
【0018】
具体的には、分流消音部材9を吸気口2近くまで突出させ、その吸気口2に臨む第1の風路11側に凹み15を形成する。これにより、第1の風路11の流入口部分の流断面積は広くなり、第2の風路12の流入口部分の流断面積は狭くなる。凹み15は、消音機能を果す有効面13を減じるものではないので、消音機能の低下はなく騒音の発生自体が抑制され、低騒音の換気装置が実現する。
【0019】
凹み15の構造については、図1に示すような平面段差による平面構成や、図2に示すような曲面による曲面構成を採用することができる。図1に示すような平面構成の凹み15では、稜角部での気流の剥離が減少し、第1の風路11へ円滑に気流を導くことができるうえ、分流消音部材9の製作が容易でありコストの上昇を防止することができる。即ち、平板状の消音材の積層といった平易な製造方法を採ることができる。
【0020】
図2に示すような曲面構成の凹み15では、気流をより円滑に第1の風路11へ導くことができるが、基本的には成形により分流消音部材9を作らなければならず、コストはやや高くつく。しかしながら、図3に示すように薄手の消音材を積層して細かい平面段差により近似的な曲面を構成する仕方や、図4に示すように型に相当する当て部材16をケーシング8に設け、これに平板態の消音材17を当て沿わせて貼着するなどの仕方で対応すればコストの上昇は抑制することが可能である。また、図5に示すように、パンチングメタル等の有孔板18で外殻構造を構成し、この外殻構造に消音材17を詰め込むことで必要とする凹み15を備えた分流消音部材9を構成することもできる。なお、分流消音部材9の気流を按分する部分を消音材以外の材料で構成してもよい。また、気流を按分できる機能を保持していれば、図6に示すように第2の風路12側に臨む面に凹み15を設け、第2の風路12への気流の導入の円滑化を図ってもよい。
【0021】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、換気装置の低騒音化を送風性能を維持したまま推進することができる。
【0022】
請求項2の発明によれば、請求項1に係る前記効果とともに低コスト化できる。
【0023】
請求項3の発明によれば、請求項1に係る前記効果とともに送風性能の維持がし易くなる。
【0025】
請求項4の発明によれば、請求項1〜請求項3までのいずれかに係る前記効果とともに製作性が向上する。
【0026】
請求項5の発明によれば、請求項1〜請求項3までのいずれかに係る前記効果とともに気流の流れが円滑になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態の換気装置の断面図である。
【図2】 実施の形態の換気装置の他の分流消音部材の拡大側面図である。
【図3】 実施の形態の換気装置の他の分流消音部材の拡大側面図である。
【図4】 実施の形態の換気装置の他の分流消音部材の分解斜視図である。
【図5】 実施の形態の換気装置の他の分流消音部材の分解斜視図である。
【図6】 実施の形態の他の換気装置の断面図である。
【符号の説明】
2 吸気口、 3 排気口、 4 本体箱体、 5 遠心式ファン、 7 吸込口、 8 ケーシング、 9 分流消音部材、 10 消音部材、 11 第1の風路、 12 第2の風路、 16 当て部材。
Claims (5)
- 対向側に吸気口と排気口を持つ本体箱体内にモーター側と反モーター側の双方に吸込口を有する遠心式ファンを組込み、前記吸気口からこの遠心式ファンの反モーター側の前記吸込口に通じる第1の風路と、前記吸気口からモーター側の前記吸込口に通じる第2の風路とを分岐状に形成し、この両風路に臨む前記本体箱体内面に消音部材を設け、前記遠心式ファンのケーシングにおける前記吸気口に対面する部分に、前記消音部材に対向する面をもち前記吸気口に向かって突出させ、この突出させた部分に凹みを付けて、前記凹みの前記第1の風路側に稜角部又は近似的な曲面を設けた分流消音部材を有する換気装置。
- 請求項1に記載の換気装置であって、分流消音部材を平板状消音材を積層して構成した換気装置。
- 請求項1に記載の換気装置であって、分流消音部材を消音材の成形によって構成した換気装置。
- 請求項1〜請求項3までのいずれかに記載の換気装置であって、凹みを平面構成とした換気装置。
- 請求項1〜請求項3までのいずれかに記載の換気装置であって、凹みを曲面構成とした換気装置。
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