JP3873451B2 - 送風装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、本体箱体内に遠心式の送風機を組込んだ送風装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記この種の送風装置は、ビルや店舗の換気や空調に供されるものであり、従来においては例えば、実公平6―48159号公報に示されているような構成が採られている。即ち、六面体の箱体に構成された本体箱体の対向する側面にダクト接続の可能な吸込口と、吹出口が設けられ、本体箱体内には吸込口の中心線に対して直交する方向に吸込開口部の開口した送風機ケーシングが設けられている。送風機ケーシング内にはモーターにより回転する遠心式の羽根車が収められている。本体箱体の吸込口の内側には、送風機ケーシングの吸込開口部に向ってガイドベーンが斜め立上げ状に設けられている。
【0003】
この送風装置では、ガイドベーンにより吸込口から送風機の吸込開口部に空気流が円滑に流れ、送風性能の向上と羽根車の回転に伴う騒音を低減できるものの、ガイドベーン端は自由端となっているため、振動しやすくあまり有効ではない。そこで図13に示すように送風機ケーシング30の吸込開口部31を持つ面とガイド部32とを一体に構成し、ガイド部32の端を本体箱体33の吸込口34側の入偶部に装着したものが開発されている。この送風装置では、上記したガイド部32の他に、本体箱体33内の他の入隅部を斜めに囲むガイド板35と、吸込開口部31に空気流を案内するガイド板36とが設けられ、吸込口34から吸込開口部31までの間に一連の風路が構成されている。そして、羽根車37の回転に伴う騒音は、ガイド部32と送風機ケーシング30と本体箱体33とにより囲まれる空間の背面空気層により減衰され、送風(風量)性能も風路の構成により改善される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の送風装置においては、ガイド部32付きの吸込開口部31を構成する部品の加工が、曲面形状や斜面構成を持つため面倒であり、組立もスポット溶接等を要し手間がかかるといった問題点がある。
【0005】
本発明は上記した従来の問題点を解消するためになされたもので、その課題とするところは、低騒音で加工・組立の容易な風量性能の良い送風装置を開発することであり、加工・組立の容易な風量性能の良い送風装置を開発することであり、その送風装置のコストの低減を推進することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するために請求項1の発明は、対向する二面に吸込口と吹出口を有する内部が空洞に構成された本体箱体内に、吐出口を吹出口に臨ませて遠心式の送風機を組込み、吸込口から吹出口に向う空気流を形成するようにした送風装置について、その送風機の羽根車を収めた送風機ケーシングの吸込口側に臨む壁面に消音材を装着するとともに、
この消音材の端面までの長さを送風機ケーシングの吸込口側の側壁長さに対して0.75〜0.9に設定する手段を採用する。
【0007】
前記課題を達成するために請求項2の発明は、対向する二面に吸込口と吹出口を有する内部が空洞に構成された本体箱体内に、吐出口を吹出口に臨ませて遠心式の送風機を組込み、吸込口から吹出口に向う空気流を形成するようにした送風装置について、その送風機の羽根車を収めた送風機ケーシングの吸込口側に臨む壁面に消音材を装着するとともに、この消音材の端面を、送風機ケーシングの吸込口側に臨む壁面と送風機ケーシングの吸込開口部が開口した壁面とが作る角部と、この角部側の吸込口の口縁の端縁とを結ぶ直線上にその直線に倣って形成する手段を採用する。
【0008】
前記課題を達成するために請求項3の発明は、請求項1に係る前記手段における、消音材を本体箱体の吸込口側に重ね合わせた積層構造にする手段を採用する。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1〜図4によって示すこの実施の形態1は、ビルや店舗等の換気や空調に供される送風装置に関するものである。この送風装置は、図1に示すように内部が空洞の六面体の箱体に構成された本体箱体1を備えている。本体箱体1の対向する側面のほぼ中央にはダクト接続の可能な角形の吸込口2と、吹出口3とがそれぞれ設けられ、また、全体をアンカーボルト等(図示しない)により吊り固定するための吊金具4が二個ずつ取付けられている。本体箱体1内には図2に示すように吸込口2の中心線に対して直交する方向に吸込開口部5の開口した箱型の送風機ケーシング6を備えた遠心式の送風機が吹出口3側寄りに組込まれている。送風機ケーシング6は板金製で、その吸込開口部5はベルマウス状に形成され吸込口2の中心線の付近において下向きに開口している。送風機ケーシング6内にはスクロール(図示しな)が装着され、吸込開口部5に吸込部を対応させた羽根車7が組込まれている。羽根車7はモーター8の回転軸に装着され、回転することにより吸込開口部5から吹出口3に臨む吐出口9へ向う空気流を形成する。
【0016】
送風機ケーシング6の吸込口2側に臨む壁面10には、羽根車7の回転による騒音を低減するための50mm程度の厚さの消音材11がピンへの差し込みや接着剤により装着されている。消音材11はガラスウール等の多孔質材よりなり、簡単に所望する大きさに切断して装着することができる。この消音材11の端面12は、図2,3に示すように送風機ケーシング6の壁面10より後退した位置にある。即ち、送風機ケーシング6の吸込口2側に臨む壁面10と送風機ケーシング6の吸込開口部5が開口した壁面13とが作る角部14と、この角部14側の吸込口2の口縁の端縁15とを結ぶ直線Rに近接した位置に消音材11の端面12が設定され、消音材11の端面12までの長さLaと、送風機ケーシング6の吸込口2側の壁面10の本体箱体1内への突出長さLkとの比La/Lkが、0.75〜0.9となるようにされている。なお、消音材11はこの他にも吸込口2から吸込開口部5に至る風路16の内壁にも装着されている。
【0017】
この送風装置の送風機を運転させると本体箱体1の吸込口2から吹出口3に向う空気流が形成される。吸込口2から吸込開口部5へ向う気流は、吸込口2から吸込開口部5へ概ね最短経路を採って流れる。従って、直線Rより送風機ケーシング6側の本体箱体1の空間部は、空気の流れに関与しない部分であり、この部分に例えばエアーガイド等の部材を設けても送風性能には殆ど寄与しない。本実施の形態の送風装置では、吸込口2の送風機ケーシング6の角部14側の口縁から吸込まれた空気は、図3に示すように直線Rに沿って流れ、消音材11の端面12の角部17をかすめ送風機ケーシング6の角部14をかすめて吸込開口部5へ吸込まれていく。消音材11をかすめる時に小さな渦がその端面12側にでき、金属製の送風機ケーシング6の角部14をかすめる時にも小さな渦ができるが、消音材11を壁面10一杯に設けた場合の吸込口2の口縁と消音材11の角部17を結ぶ直線より直線Rの方が角度が緩いため、渦は大きくならず風量性能が向上する。
【0018】
そして、羽根車7の回転に伴う騒音も壁面10の全面に消音材11を設けた場合と殆ど変らない程度に低減させることができる。図4は本実施の形態の送風装置の特性曲線であり、縦軸にLa/Lkを、横軸に送風装置の風量Qaを定格風量Qnの比で示したQa/Qnをとっている。図4からも分るようにLa/Lkが0.83くらいが最もQa/Qnが大きくなる。即ち、この送風装置はエアーガイド等の加工・組立の面倒な部材なしに騒音の低減と風量性能の向上とを図ることができ、コストの低減も推進することができる。
【0019】
実施の形態2.
図5によって示すこの実施の形態2は、実施の形態1で示した送風装置と同様な送風装置に関するものであり、消音材の構成以外は実施の形態1のものと同じである。従って、実施の形態1のものと同じ部分については、実施の形態1のものと同じ符号を用い、それらについての説明は省略する。
【0022】
図5に示す本実施の形態の送風装置は、消音材11の端面12を直線Rに沿って斜めにカットして面取り18した構成のものである。これにより消音材11の角部17での小さな渦もできなくなり、風量性能の向上を推進できる。また、消音材11を本体箱体1の吸込口2側に重ね合わせた積層構造にしてもよく、こうした構成は実施の形態1のものにも適用することができる。これ以外の構成及び機能は実施の形態1のものと同じである。
【0024】
参考例.
図6〜図12によって示すこの参考例は、実施の形態1,2で示した送風装置と同様な送風装置に関するものであり、基本的な構成は実施の形態1のものと同じである。従って、実施の形態1のものと同じ部分については、実施の形態1のものと同じ符号を用い、それらについての説明は省略する。
【0025】
この参考例は、図6〜11に示すように実施の形態1,2で示したような消音材11についての参考例である。図6に示す送風装置は、消音材11を本体箱体1の吸込口2側に重ね合わせた積層構造にし、積層した消音材11の各端面12の位置を直線Rに対して近接した位置に設定したものである。この構成により消音材11の厚みを厚くして消音効果を上げることができるとともに、発生する渦が二段階の小さな渦になり風量性能の向上を図ることもできる。図7は、消音材11の端面12を直線Rより僅かに後退させたものである。風速が遅い場合には必ずしも空気の流れは直線的ではないが、直線Rより消音材11の端面12が後退しているので、空気の周り込みがあってもこれに対処できるようになる。また、他の参考例は、図9に示すように消音材11の端面12の角部17を直線R上に一致させたものである。この場合も実施の形態1のものとほぼ同様の機能を果たしうる。さらに、図8に示す送風装置は、消音材11の端面12を円弧状にカットして面取り18した構成のものである。これにより消音材11の角部17での小さな渦もできなくなり、風量性能の向上を推進できる。また、図10,11に示すように消音材11の外郭に対応した形状の部材を送風機ケーシング6の壁面10に固定して突出構造19を構成するか、送風機ケーシング6に一体に突出構造19を形成するかしてもよい。実施の形態1,2により説明したとおり、消音機能は消音材11によるところであるが、風量性能の向上はその送風機ケーシング6の壁面10側の形状によるものである。従って、送風機ケーシング6の壁面10の形状を消音材11以外の部材により実施の形態1,2のように構成することにより、消音機能は捨象されるものの、風量性能に関しては改善することができる。別部材の装着により突出構造19を構成したものでは、内部に空気層20ができ羽根車7の騒音も軽減させることができる。一方、突出構造19を一体に形成するものは、送風機ケーシング6をプラスチックの成形物で構成する場合に有効であり、軽量化やコストの低減に寄与することができる。
【0026】
なお、上記各実施の形態について、本体箱体1の吸込口2の形状は、図12に示すように丸形の場合もあるが、丸形の吸込口2の場合の吸込口2の口縁の端縁15とは、図12に示すように口縁の90度程度の範囲とすればよく、消音材11又は突出構造19の端面12の形態も図12のように円弧状になる。
【0027】
【発明の効果】
以上実施の形態での説明からも明らかなように、請求項1の発明によれば低騒音で加工・組立の容易な風量性能の良い送風装置が得られる。
【0028】
請求項2の発明によれば、低騒音で加工・組立の容易な風量性能の良い送風装置が得られる。
【0029】
請求項3の発明によれば、請求項1に係る前記効果とともに消音効果を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の送風装置を示す斜視図である。
【図2】 実施の形態1の送風装置を示す断面図である。
【図3】 実施の形態1の送風装置の消音材の機能を示す説明図である。
【図4】 実施の形態1の送風装置の特性曲線を示す説明図である。
【図5】 実施の形態2の送風装置の消音材の形態を示す説明図である。
【図6】 参考例の送風装置の消音材の形態を示す説明図である。
【図7】 参考例の送風装置の消音材の形態を示す説明図である。
【図8】 参考例の送風装置の消音材の形態を示す説明図である。
【図9】 参考例の送風装置の消音材の形態を示す説明図である。
【図10】 参考例の送風装置の要部の断面図である。
【図11】 参考例の送風装置の要部の断面図である。
【図12】 参考例の送風装置の他の形態を示す側面図である。
【図13】 従来の送風装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 本体箱体、 2 吸込口、 3 吹出口、 5 吸込開口部、 6 送風機ケーシング、 7 羽根車、 9 吐出口、 10 壁面、 11 消音材、 12 端面、 13 壁面、 14 角部、 15 端縁、 18 面取り。
Claims (3)
- 対向する二面に吸込口と吹出口を有する内部が空洞に構成された本体箱体内に、吐出口を前記吹出口に臨ませて遠心式の送風機を組込み、前記吸込口から前記吹出口に向う空気流を形成するようにした送風装置であって、その送風機の羽根車を収めた送風機ケーシングの前記吸込口側に臨む壁面に消音材を装着する。この消音材の端面までの長さを前記送風機ケーシングの前記吸込口側の側壁長さに対して0.75〜0.9に設定した送風装置。
- 対向する二面に吸込口と吹出口を有する内部が空洞に構成された本体箱体内に、吐出口を前記吹出口に臨ませて遠心式の送風機を組込み、前記吸込口から前記吹出口に向う空気流を形成するようにした送風装置であって、その送風機の羽根車を収めた送風機ケーシングの前記吸込口側に臨む壁面に消音材を装着するとともに、この消音材の端面を、前記送風機ケーシングの前記吸込口側に臨む壁面と当該送風機ケーシングの吸込開口部が開口した壁面とが作る角部と、この角部側の前記吸込口の口縁の端縁とを結ぶ直線上にその直線に倣って形成した送風装置。
- 請求項1に記載の送風装置であって、消音材を本体箱体の吸込口側に重ね合わせた積層構造にした送風装置。
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