JP3844684B2 - 感圧センサ及び感圧センサの端末処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定部位に外力が作用したか否かを検出するための感圧センサ及び感圧センサの端末処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワゴンやレクリエーションビークル等の車両には、ドアパネルを車両の前後方向にスライドさせることで乗降口を開閉するスライドドアを採用したものがあり、更には、ドアパネルをモータ等の駆動手段の駆動力によってスライドさせる自動スライドドア装置も採用されている。
【0003】
また、自動スライドア装置には、ドアパネルが乗降口を閉じる方向へスライドする際の異物の挟み込みを検出するために、このスライド方向側のドアパネルの端部に感圧センサを取り付ける場合がある。この感圧センサは、ドアパネルのスライドに伴い感圧センサが異物を押圧した際の異物からの押圧反力を検出する構成となっている。
【0004】
この種の感圧センサの一例としては、ゴム材等の所定の弾性を有する絶縁材料によってドアパネルの高さ方向に沿って長手方向とされた中空長尺状の外皮部の内部に、各々が長尺紐状に形成された複数本の電極線を設けた構成がある。
【0005】
この構成の感圧センサでは、異物からの押圧反力による外皮部の弾性変形に伴い複数本の電極線の何れかが撓み、これにより撓んだ電極線が他の電極線へ接触する。このような電極線同士の接触によって、感圧センサを含む電気回路を流れる電流の電流値や回路の抵抗値等の電気的な変化を検出することで外皮部に外力が作用したこと、すなわち、異物を挟み込んだことを検出するようになっている。
【0006】
ところで、この種の感圧センサは、電気回路を流れる電流の電流値や回路の抵抗値の変化を検出する検出手段や感圧センサに電流を流すための電源等に接続しなくてはならない。このため、外皮部の一端から電極線を所定長さ引き出した状態で、上記の検出手段や電源へ直接或いは間接的に接続されたリード線に電極線を電気的に接続している。
【0007】
また、リード線と電極線との接続部分の機械的強度を確保して、接続部分における電気的な接続を維持するため、例えば、板状の支持プレート上でリード線と電極線とを接続し、更に、この接続部分、支持プレート、及び外皮部の端部を含めて合成樹脂材でモールドしてしまうことも考えられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記のようなモールドは、通常、モールド金型内に接続部分、支持プレート、及び外皮部の端部を配置して、射出成形によりモールド金型内に合成樹脂材を充填することで形成される。
【0009】
しかしながら、射出成形法は、合成樹脂材の射出圧力が高く、しかも、溶融状態であっても合成樹脂材の流動性が低い。このため、モールド金型内に射出成形によって合成樹脂材を充填すると、モールド金型内で流動する合成樹脂材が電極線とリード線との接続部分に圧力をかけてしまい、その結果、この接続部分において断線が生じる可能性がある。また、上記のように外皮部の端部も含めてモールドする場合には、合成樹脂材が高圧で充填されることで外皮部の端部に形成される開口から外皮部の内側に合成樹脂材が流れ込む可能性がある。
【0010】
本発明は、上記事実を考慮して、モールド等の被覆部の形成に際して、電極同士若しくは電極とリード線等の他の導電部材との接続部分に断線を生じさせることがない感圧センサ及び感圧センサの端末処理方法を得ることが目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の感圧センサは、外方からの外力により弾性変形可能で且つ絶縁性を有する中空の外皮部と、前記外皮部の内側で空隙を介して対向配置されると共に一端が前記外皮部の端部から引き出された複数の電極と、前記外皮部の端部の側方に設けられて前記外皮部の端部から引き出された前記複数の電極の一端を支持すると共に、前記複数の電極同士又は前記複数の電極を他の導電部材へ電気的に接続する支持部材と、ホットメルトモールディングによって成形される熱可塑性樹脂材又は光エネルギーを吸収することで硬化する光硬化性樹脂材により形成されて前記支持部材の少なくとも一部及び前記電極の一端を埋設状態で封入する内層を有すると共に、前記ホットメルトモールディングによって成形される熱可塑性樹脂材又は前記光硬化性樹脂材により前記内層と一体的に形成されて前記内層の少なくとも一部を外側から被覆すると共に、硬化状態で前記内層よりも剛性が高い外層を有する被覆部と、を備えている。
【0012】
上記構成の感圧センサでは、外皮部に外力が作用して外皮部が弾性変形すると、外皮部の内部に設けられた複数の電極のうち、少なくとも1つの電極が外皮部と共に弾性変形する。
【0013】
複数の電極は空隙を介して設けられていることから通常は互いに離間しているが、上記のように、外皮部と共に少なくとも1つの電極が変形して他の電極に接近して接触することで電極同士が導通する。この電極同士の導通を、電極に流れる電流値の変化や、電極を含めて構成される電気回路の電気抵抗値の変化等で検出することにより、電極同士が接触したこと、すなわち、外皮部に外力が作用したことを検出できる。
【0014】
一方で、外皮部の端部から引き出された電極の一端は、支持部材に支持されると共に、この支持部材で電極同士若しくは他の導電部材に電気的に接続され、他の導電部材に接続された場合には、例えば、他の導電部材を介して電源等の給電手段又は上記のような電流値の変化や電気回路の電気抵抗値の変化を検出する検出手段に接続される。
【0015】
ここで、この支持部材や電極の一端は、被覆部を構成する内層内へ埋設状態で封入され、更に、この内層の少なくとも一部がその外側で内層に一体的に設けられた外層により被覆される。このため、水や埃等が支持部材に支持された電極同士の接続部分や電極と他の導電部材との接続部分に付着することが防止される。また、支持部材や電極の一端は上記のような内層と外層により構成された被覆部に埋設されるため、上記の接続部分は支持部材のみならず被覆部によりその周囲から支持され変形等が規制される。これにより、支持部材及びその近傍への不用意に外力(衝撃等)に起因する上記の接続部分の断線等が防止される。
【0016】
さらに、本感圧センサでは、上記の被覆部の内層及び外層の各々がホットメルトモールディングによって成形される熱可塑性樹脂材(以下、「ホットメルトモールディング用樹脂材」と称する)又は光エネルギーを吸収することで硬化する光硬化性樹脂材により形成される。
【0017】
ここで、このようなホットメルトモールディング用樹脂材や光硬化性樹脂材は、成形時における成形圧力が、例えば、一般的な射出成形法で成形する際の成形圧力に比べて低いか若しくは成形圧力が不要である。このため、成形圧力が電極や支持部材の各部位、更には、上記の接続部分へ悪影響を及ぼす可能性が極めて低くなり、接続部分における電極同士の接続や電極と他の導電部材との接続を確実に維持できる。
【0023】
また、被覆部を構成する内層及び外層は、ホットメルトモールディング用樹脂材又は光硬化性樹脂材により形成される。但し、硬化状態での外層を形成する合成樹脂材の剛性は、硬化状態での内層を形成する合成樹脂材の剛性よりも高い。
【0024】
内層に比べて剛性が高い外層は、不用意な外力(例えば、衝撃)に対する強度を確保し、このような外力に対してその形状を維持する(すなわち、内層に比べて外層は外力による変形が少ない)。これにより、不用意な外力で被覆部が変形することに起因する電極同士の接続部分や電極と他の導電部材との接続部分の断線を長期に亘り防止できる。
【0025】
一方、外層に比べて剛性が低い(換言すれば弾性が高い)内層は、支持部材における電極同士の接続部分や電極と他の導電部材との接続部分を比較的柔軟に保持する。また、仮に、外層に対して上記のような不用意な外力が付与された場合には、外層を介して内層に伝わった外力を内層が自らの弾性で吸収する。これによっても、不用意な外力で被覆部が変形することに起因する電極同士の接続部分や電極と他の導電部材との接続部分の断線を長期に亘り防止できる。
【0026】
なお、内層及び外層の各々を形成する合成樹脂材の組み合わせとしては、内層をホットメルトモールディング用樹脂材で形成して外層を光硬化性樹脂材で形成する構成、内層を光硬化性樹脂材で形成して外層をホットメルトモールディング用樹脂材で形成する構成、内層及び外層をホットメルトモールディング用樹脂材で形成する構成、内層及び外層を光硬化性樹脂材で形成する構成の4種類がありうるが、これらの4種類の構成の何れであってもよい。
【0027】
請求項2記載の感圧センサは、請求項1に記載の本発明において、前記被覆部を透明若しくは半透明にしたことを特徴としている。
【0028】
上記構成の感圧センサでは、被覆部が透明若しくは半透明であるため、被覆部を外したり被覆部を破壊することなく、電極同士の接続や電極と他の導電部材との接続を確認できる。これにより、被覆部を形成した後やメンテナンス時の検査工程における良否判定が容易になり作業効率が向上する。
【0029】
請求項3記載の感圧センサは、請求項1又は請求項2記載の本発明において、所定の取付部位に直接或いは間接的に係合させることで前記取付部位に前記被覆部を保持させる係合部を前記被覆部に一体に設けたことを特徴としている。
【0030】
上記構成の感圧センサでは、被覆部に一体に設けられた係合部を所定の取付部位に直接或いは間接的に係合させることで、係合部を介して被覆部が取付部位で保持される。これにより、本感圧センサの少なくとも一部が取付部位に取り付けられ、取付部位において外力を検出できる。
【0031】
ここで、本感圧センサでは、上記のように被覆部が係合部を介して取付部位に取り付けられるため、本感圧センサのうち少なくとも被覆部は確実に取付部位に保持される。このため、外皮部に振動等が生じても被覆部における振動等が軽減若しくは防止される。これにより、被覆部内での電極同士の接続や電極と他の導電部材との接続が上記の振動等に起因して断線することを防止できる。
【0032】
請求項4記載の感圧センサは、請求項3記載の本発明において、前記係合部を前記被覆部と同一の材料で形成したことを特徴としている。
【0033】
上記構成の感圧センサでは、取付部位に直接或いは間接的に係合して取付部位に保持される係合部が、被覆部と同一の材料、すなわち、光硬化性樹脂やホットメルトモールディング用樹脂材によって形成される。したがって、被覆部を形成することで係合部が被覆部と共に形成される。これにより、別途、係合部を構成する部材が不要となる。その結果、部品点数の削減や組付工数の軽減を図ることが可能となり、コストの削減に大きく寄与する。
【0034】
請求項5記載の本発明は、絶縁性を有する中空の外皮部に外側から外力が作用したことを、前記外皮部の内側で空隙を介して対向配置された複数の電極の少なくとも1つが前記外皮部と共に弾性変形して他の前記電極に接触することで検出する感圧センサに適用され、前記外皮部の端部から引き出された前記複数の電極の一端を処理するための感圧センサの端末処理方法であって、前記複数の電極の一端を前記外皮部の端部の側方に設けた支持部材に支持させて、前記電極同士又は前記電極と他の導電部材とを電気的に接続する接続工程と、内層成形型内に前記支持部材の少なくとも一部及び前記電極の一端を配置して、光エネルギーを吸収して硬化する光硬化性樹脂材又はホットメルトモールディングによって成形される熱可塑性樹脂材を前記内層成形金型内に充填して被覆部を構成する内層を形成し、当該内層に前記支持部材の少なくとも一部及び前記電極の一端を埋設して封入する内層成形工程と、前記内層の少なくとも一部を外層成形型内に配置して、光エネルギーを吸収して前記内層よりも高い剛性で硬化する光硬化性樹脂材、又は、ホットメルトモールディングによって成形されると共に硬化状態で前記内層よりも高い剛性を有する熱可塑性樹脂材を前記外層成形型内に充填して前記被覆部を構成する外層を形成し、当該外層で前記内層の少なくとも一部を被覆する外層成形工程と、を有することを特徴としている。
【0035】
上記構成の感圧センサの端末処理方法では、先ず、接続工程で外皮部の端部から引き出された複数の電極の一端が支持部材に支持され、電極同士若しくは電極と他の導電部材とが電気的に接続される。
【0036】
次いで、内層成形工程で、支持部材の少なくとも一部及び電極の一端が内層成形型内に配置され、この状態で内層成形型内にホットメルトモールディングによって成形される熱可塑性樹脂材(以下、単に「ホットメルトモールディング用樹脂材」と称する)又は光エネルギーを吸収して硬化する光硬化性樹脂材が充填される。
【0037】
この状態で、内層成形型内に充填された合成樹脂材(ホットメルトモールディング用樹脂材又は光硬化性樹脂材)が硬化することで被覆部を構成する内層が形成され、支持部材の少なくとも一部及び電極の一端、更には電極同士若しくは電極と他の導電部材との接続部分が内層内に埋設状態で封入される。
【0038】
ここで、内層を一般的な射出成形法によって成形する場合に比べると、ホットメルトモールディング用樹脂材や光硬化性樹脂材は、成形時の成形圧力が低いか若しくは成形圧力自体が不要である。このため、内層成形型内に充填されたホットメルトモールディング用樹脂材や光硬化性樹脂材が大きな力で支持部材や電極を押圧することがない。これにより、予め設定された内層内の所定位置に支持部材や電極が確実に位置する。
【0039】
しかも、上記のようにホットメルトモールディング用樹脂材や光硬化性樹脂材が大きな力で支持部材や電極を押圧することがないので、光硬化性樹脂材が電極同士若しくは電極と他の導電部材との接続部分を断線させることがなく、上記の接続部分における接続を確実に維持できる。
【0040】
さらには、一般的な射出成形法で成形する場合に比べてホットメルトモールディング用樹脂材や光硬化性樹脂材は短時間で硬化する。したがって、ホットメルトモールディング用樹脂材や光硬化性樹脂材を用いることにより短時間で内層が形成され作業工数を大幅に軽減できる。
【0041】
次いで、上記のように内層が形成されると、外層成形工程で外層成形型内に、先に形成された内層の少なくとも一部が配置される。この状態でホットメルトモールディング用樹脂材や光硬化性樹脂材が外層成形型内に充填される。外層成形型内に充填されたホットメルトモールディング用樹脂材や光硬化性樹脂材が硬化することで、内層の外層成形型内に配置された部分が外層により被覆される。
【0042】
上述したように、ホットメルトモールディング用樹脂材や光硬化性樹脂材は、成形時の成形圧力が低いか若しくは成形圧力自体が不要であるため、短時間で外層が形成され作業工数を大幅に軽減できる。
【0043】
ところで、本発明において、外層を形成する合成樹脂材(すなわち、ホットメルトモールディング用樹脂材又は光硬化性樹脂材)は、内層を形成する合成樹脂材(すなわち、ホットメルトモールディング用樹脂材又は光硬化性樹脂材)に比べて硬化後の剛性が高い。
【0044】
したがって、外層は、不用意な外力(例えば、衝撃)に対する強度を確保し、このような外力に対してその形状を維持する(すなわち、内層に比べて外層は外力による変形が少ない)。これにより、不用意な外力で被覆部が変形することに起因する電極同士の接続部分や電極と他の導電部材との接続部分の断線を長期に亘り防止できる。
【0045】
一方、外層に比べて剛性が低い(換言すれば弾性が高い)内層は、支持部材における電極同士の接続部分や電極と他の導電部材との接続部分を比較的柔軟に保持する。また、仮に、外層に対して上記のような不用意な外力が付与された場合には、外層を介して内層に伝わった外力を内層が自らの弾性で吸収する。これによっても、不用意な外力で被覆部が変形することに起因する電極同士の接続部分や電極と他の導電部材との接続部分の断線を長期に亘り防止できる。
【0046】
なお、内層及び外層の各々を形成する合成樹脂材の組み合わせとしては、内層をホットメルトモールディング用樹脂材で形成して外層を光硬化性樹脂材で形成する構成、内層を光硬化性樹脂材で形成して外層をホットメルトモールディング用樹脂材で形成する構成、内層及び外層をホットメルトモールディング用樹脂材で形成する構成、内層及び外層を光硬化性樹脂材で形成する構成の4種類がありうるが、これらの4種類の構成の何れであってもよい。
【0047】
請求項6記載の本発明は、請求項5記載の感圧センサの端末処理方法において、前記内層成形工程で、前記外皮部の端部を前記内層形成金型内に配置することを特徴としている。
【0048】
上記構成の感圧センサの端末処理方法では、内層成形工程で、外皮部の端部が内層形成金型内に配置される。このため、外皮部の端部が内層内に埋設される。
【0049】
これにより、外皮部の端部から外皮部の端部からの浸水や埃等の侵入が防止される。
【0050】
ここで、上記のように内層を構成するホットメルトモールディング用樹脂材や光硬化性樹脂材は、成形するにあたり成形圧力が一般的な射出成形法に比べて低いか若しくは成形圧力自体不要であるため、内層成形型内へホットメルトモールディング用樹脂材や光硬化性樹脂材を充填した際に外皮部の端部から上記の合成樹脂材(ホットメルトモールディング用樹脂材又は光硬化性樹脂材)が流れ込むことを防止若しくは軽減できる。これにより、大量の合成樹脂材が流れ込んで硬化することに起因する感圧センサによる外力の不検出を防止できる。
【0051】
請求項7記載の本発明は、請求項5又は請求項6記載の感圧センサの端末処理方法において、前記外層成形工程及び前記内層成形工程の少なくとも何れか一方で、所定の取付部位に直接或いは間接的に係合させることで前記取付部位に前記被覆部を保持させる係合部を前記被覆部と共に一体成形することを特徴としている。
【0052】
上記構成の感圧センサの端末処理方法では、外層成形工程及び内層成形工程の少なくとも何れか一方で、工程に対応する合成樹脂材を対応する成形型に充填すると、内層及び外層で構成される被覆部と共に係合部が形成される。感圧センサを所定の取付部位に取り付ける際には、この係合部を取付部位に係合させることで係合部を介して被覆部が取付部位に保持される。
【0053】
ここで、本感圧センサの端末処理方法では、上記のように被覆部を形成することで係合部も形成されるため、特別に係合部を構成する部材が不要で、しかも、特別に係合部を製造する工程が不要となる。これにより、コストを大幅に削減できる。
【0054】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態の構成>
(感圧センサ12の基本構成)
図1には、本発明の第1の実施の形態に係る圧力検出装置としての挟み込み検出装置10で適用する感圧センサ12の構成が断面図で示されている。
【0055】
図1に示されるように、感圧センサ12は、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム等の絶縁性を有するゴム材、又は、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンメチルメタクリレート共重合体、ポリ塩化ビニル、オレフィン系、或いはスチレン系の熱可塑性エラストマ等、絶縁性を有する弾性材によって長尺状に形成された外皮部16を備えている。
【0056】
図1及び図13に示されるように、外皮部16の内部には断面十字形状の十字孔18が形成されている。十字孔18は、外皮部16の長手方向に沿って連続し、且つ、図13に示されるように、長手方向に沿って外皮部16の中心周りに漸次変位している。また、外皮部16の内部には電極としての複数本の電極線20、22、24、26が設けられている。
【0057】
電極線20〜26の各々は、導電性の極細線により形成された複数本(多数本)の素線28を備えている。これらの素線28は縒り合わされることで全体的に可撓性を有する長尺紐状に形成されている。また、これらの素線28は、長尺筒状で導電性を有するチューブ30内に収容されて(被覆されて)一体にまとめられている。
【0058】
なお、本実施の形態では、電極線20〜26は縒り合わせた素線28をチューブ30で被覆した、所謂「被覆線」を用いた構成であるが、電極線20〜26はこの態様に限定されるものではなく、例えば、素線28を縒り合わせただけの所謂「裸線」を用いてもよい。
【0059】
これらの電極線20〜26は十字孔18の中央近傍で十字孔18を介して互いに離間し且つ十字孔18に沿って螺旋状に配置され、十字孔18の内周部へ一体的に固着されている。したがって、十字孔18が弾性変形することで電極線20〜26は撓み、特に、十字孔18が潰れる程度に外皮部16が弾性変形すれば、電極線20〜26のうちの何れか、若しくは全てが接触して導通する。また、十字孔18が元の形状に復元すれば電極線20〜26もこれに伴い復元する。
【0060】
図15の回路図に示されるように、電極線22の長手方向一端部は、所定の電気抵抗を有する抵抗32の一端に接続されており、抵抗32の他端には電極線24の長手方向一端部が接続されている。一方、電極線22の長手方向他端部は電極線26の長手方向他端部へ接続されており、電極線24の長手方向他端部は電極線20の長手方向他端部へ接続されている。すなわち、電極線20は、電極線24、抵抗32、及び電極線22を介して電極線26に直列に接続されている。
【0061】
さらに、電極線20、26の各々の長手方向一端部はリード線34を介して電源へ接続されている。但し、電極線26だけは、所定値以上の所定値以上の電流が回路中を流れた場合に、電気的な検出信号を発信する電流検出素子36を介して電源へ接続されている。
【0062】
(プロテクタ38の構成)
一方、図1に示されるように、本挟み込み検出装置10はプロテクタ38を備えている。プロテクタ38はゴムやゴム程度の弾性を有する合成樹脂材によって形成された断面略円筒形状の筒部40を備えている。
【0063】
筒部40は、その内径寸法が外皮部16の外径寸法程度に形成されており、筒部40の一端から外皮部16が挿入されることで筒部40が外皮部16を被覆している。また、プロテクタ38は取付部42を備えている。
【0064】
取付部42は筒部40から連続して形成されており、少なくとも、筒部40とは反対側で断面が略矩形状に形成されている。取付部42の筒部40とは反対側では、溝部44が筒部40及び取付部42の長手方向(すなわち、プロテクタ38の長手方向)に沿って連続して形成されている。溝部44の内側で互いに対向する内壁からはそれぞれ干渉片46が突出形成されており、干渉片46の間にブラケット48が入り込んでいる。
【0065】
(ブラケット48の構成)
ブラケット48は、板状の取付部50を備えている。取付部42は車両14の自動スライドドア装置52のドアパネル54の前端部(図14参照)に取り付けられている。
【0066】
詳細には、図1に示されるように、ドアパネル54を構成するアウタパネル56は、インナパネル58の前端部近傍にてインナパネル58を巻き込むように折り返され、更に、車両室内側へ折り曲げられているが、上記の取付部50は、このアウタパネル56が車両室内側へ折り曲げられた部分に取り付けられる。
【0067】
取付部50の幅方向一端部からは、略車両前方側へ向けて嵌入板60が延出されており、嵌入板60がプロテクタ38の溝部44に入り込む。上述したように、溝部44に入り込んだ嵌入板60には、溝部44に予め充填された接着剤62が嵌入板60に固着した状態で硬化しており、溝部44から嵌入板60を抜き取ろうとすると、硬化して嵌入板60と一体になった接着剤62に干渉片46が干渉する。これにより、嵌入板60の溝部44からの抜けを防止している。
【0068】
(支持部材64の構成)
一方、図2及び図3に示されるように、外皮部16の長手方向一方の端部(電極線20〜26の長手方向一端側での外皮部16の端部)には支持部材64が設けられている。ここで、図4には、支持部材64の構成が分解斜視図によって示されている。図4に示されるように、支持部材64は、合成樹脂材等の絶縁材料により略板状に形成されたベース66を備えている。ベース66は、平面視で略長方形状とされており、その厚さ方向一方(図4の矢印A方向)の面には、一対の導通片68、70がインサート成形等の成形方法によってベース66に一体成形されている。各導通片68、70は、平面視略長方形状の金属片で、その幅方向(図4の矢印B方向)に沿って離間した状態で平行に配置されている。
【0069】
導通片68には外皮部16の端部から引き出された電極線22の端部が溶接等によって一体的に固着されており、導通片68と電極線22とが電気的に接続されている。一方、導通片70には外皮部16の端部から引き出された電極線24の端部が溶接等によって一体的に固着されており、導通片70と電極線24とが電気的に接続されている。
【0070】
また、これらの導通片68、70を介して電極線22、24とは反対側では、ベース66上に上記の抵抗32が配置されている。抵抗32から引き出された一方のリード線は導通片68へ溶接等により一体的に固着されており、抵抗32と電極線22とが導通片68を介して電気的に接続されている。これに対し、抵抗32から引き出された他方のリード線は導通片70へ溶接等により一体的に固着されており、抵抗32と電極線24とが他方の導通片68を介して電気的に接続されている。
【0071】
一方、ベース66の厚さ方向他方(図4の矢印Aとは反対方向)の面には、一対の導通片72、74がインサート成形等の成形方法によってベース66に一体成形されている。各導通片72、74は、平面視略長方形状の金属片で、その幅方向に沿って離間した状態で平行に配置されている。
【0072】
導通片72には外皮部16の端部から引き出された電極線20の端部が溶接等によって一体的に固着されており、導通片72と電極線20とが電気的に接続されている。一方、導通片74には外皮部16の端部から引き出された電極線26の端部が溶接等によって一体的に固着されており、導通片74と電極線26とが電気的に接続されている。
【0073】
また、これらの導通片72、74の各々には導電部材としてリード線34がそれぞれ溶接等により一体的に固着されており、一方のリード線34と電極線20とが導通片72を介して電気的に接続されている。これに対し、他方のリード線34は導通片74へ溶接等により一体的に固着されており、他方のリード線34と電極線26とが他方の導通片72を介して電気的に接続されている。
【0074】
さらに、ベース66の長手方向一端部には嵌挿部としての丸棒状のシャフト76が形成されている。シャフト76はベース66に一体に形成されており、その基端部はベース66の長手方向一端部(図4の矢印C方向側の端部)における幅方向(図4の矢印B方向)略中央でベース66に接続されており、ベース66の長手方向に沿ってベース66から延出されている。
【0075】
また、ベース66の外径寸法は、上述した十字孔18の中央を中心として電極線20〜26に外接する仮想円の直径寸法程度とされており、図2に示されるように、支持部材64と対向する側の外皮部16の端部にベース66の長手方向一端が接するまでシャフト76が外皮部16と略同軸の状態で外皮部16の内側へ嵌挿される。
【0076】
(被覆部78の構成)
また、図2に示されるように、上記の支持部材64の周囲には被覆部78が設けられている。被覆部78は全体が、ポリアミド系、ポリプロピレン系、シリコーン系等のホットメルトモールディングによって成形され、且つ、少なくとも硬化後には透明若しくは半透明になる熱可塑性樹脂材(以下、ホットメルトモールディングによって成形される熱可塑性樹脂材を便宜上、「ホットメルトモールディング用樹脂材」と称する)で形成されている。また、被覆部78は本体80を備えている。
【0077】
本体80は長手方向、幅方向、厚さ方向の各々がベース66の長手方向(図3及び図4の矢印C方向)、幅方向(図3及び図4の矢印B方向)、厚さ方向(図3及び図4の矢印A方向)に対応した略直方体形状に形成されており、その内部には、支持部材64のベース66、シャフト76の一部、電極線20〜26の一端部の一部、リード線34の一部、導通片68〜74、及び抵抗32が埋設されている。
【0078】
また、本体80の長手方向一方(図4の矢印C方向側)の端部(外皮部16の端部と対向する側の端部)には、係合部としての略円筒形状の筒部82が連続して形成されており、外皮部16の端部及びその近傍(端部から長手方向中央側への所定範囲)で外皮部16の外周部に密着した状態で被覆している。
【0079】
さらに、筒部82の外周形状は内周形状と略同軸の円形とされている。筒部82の内径寸法は外皮部16の外径寸法に略等しく、また、筒部82の外径寸法は上述したプロテクタ38の筒部40の内径寸法よりも大きく設定されており、筒部40の一端から筒部82が圧入(係合)されている。
【0080】
一方、図2及び図5に示されるように、本体80の一外側面からは、1乃至複数(本実施の形態では2つ)の保持突起84が突出形成されている。保持突起84は被覆部78を形成する合成樹脂材と同材質の合成樹脂材で形成されている。これらの保持突起84は略円柱形状の軸部86を備えている。軸部86はその軸方向一端部で被覆部78の外側面に接続されている。これに対して、軸部86の軸方向他端部には抜止部88が形成されている。抜止部88は軸部86よりも外径寸法が充分に大きな略半球形状に形成されており、その平面部分で軸部86に同軸的に接続されている。
【0081】
図5乃至図7に示されるように、これらの保持突起84に対応して上述したブラケット48には、カバー90が形成されている。カバー90はブラケット48にプロテクタ38を取り付けた状態で被覆部78が形成された部分に対応して形成されている。カバー90は、ブラケット48を構成する取付部42の嵌入板60が形成された部分よりも取付部42の長手方向一端側(車両14への取付状態では車両14の上下方向下側)の幅方向一端から延出されており、その延出方向中間部で略直角に屈曲され、屈曲部分よりも延出方向先端側では取付部42に対して略平行に対向している。
【0082】
カバー90の基端部(取付部42との接続部分)と屈曲部分との間には、一対の嵌込孔92が形成されている。嵌込孔92は、取付部42の長手方向に沿って長手で且つ内幅寸法が保持突起84の軸部86の外径寸法より大きく抜止部88の外径寸法より充分に小さな長孔部94を備えている。また、長孔部94の長手方向一端(上端)には、内径寸法が抜止部88の外径寸法より大きな嵌込部96が長孔部94に連続して形成されている。保持突起84は、軸部86が嵌込部96に対して略同軸となった状態では嵌込孔92に対して嵌め込み及び抜き取りが自在である。
【0083】
しかしながら、軸部86が長孔部94を貫通した状態で嵌込孔92の貫通方向に保持突起84(すなわち、被覆部78)を移動させようとすると、抜止部88と被覆部78の外側面がカバー90に干渉して移動を規制するようになっている。すなわち、本実施の形態において、保持突起84の軸部86と嵌込孔92の嵌込部96とが略同軸となった状態で保持突起84が嵌込孔92に嵌め込まれ、この状態で長孔部94の下端部に軸部86が接触するまで被覆部78を下方へスライドさせることで、カバー90(すなわち、ブラケット48)に被覆部78が取り付けられるようになっている。
【0084】
(支持部材98の構成)
一方、図2及び図3に示されるように、外皮部16の長手方向他端側(すなわち、支持部材64並びに被覆部78が設けられていない側)には、端末支持部材としての支持部材98が設けられている。支持部材98は絶縁保持部材としてのベース100を備えている。ベース100は比較的耐熱性が高い絶縁性(例えば、合成樹脂材)によって略直方体形状に形成されており、その長手方向一方(図3の矢印D方向)の端部が外皮部16の長手方向他端部に対向する。
【0085】
また、ベース100には、各々が接続部材としての一対の導通シャフト102、104が設けられている。導通シャフト102、104の各々は、金属等の導電性を有する部材によってベース100の幅寸法及び厚さ寸法よりも外径寸法が充分に小さな棒状(線状)に形成されている。
【0086】
導通シャフト102は、ベース100の厚さ方向(図3の矢印E方向)に長手となるように設けられており、導通シャフト102の長手方向両端側がベース100の厚さ方向両端面から突出するようにベース100の長手方向中間部の幅方向略中央部でベース100を貫通している。これに対し、導通シャフト104は、ベース100の幅方向(図3の矢印F方向)に長手となるように設けられており、導通シャフト104の長手方向両端側がベース100の幅方向両端面から突出するようにベース100の長手方向に沿って導通シャフト102の貫通位置から変位した位置の厚さ方向略中央部でベース100を貫通している(すなわち、導通シャフト104は、導通シャフト102に対して捩じりの位置にある)。
【0087】
上記の導通シャフト102の長手方向一端部には電極線20の長手方向他端部が電気的に導通した状態で一体的に固着されており、導通シャフト102の長手方向他端部には電極線24の長手方向他端部が電気的に導通した状態で一体的に固着されている。これに対して、導通シャフト104の長手方向一端部には電極線22の長手方向他端部が電気的に導通した状態で一体的に固着されており、導通シャフト104の長手方向他端部には電極線26の長手方向他端部が電気的に導通した状態で一体的に固着されている。これによって、電極線20、電極線24、抵抗32、電極線22、及び電極線26が直列に接続される。
【0088】
さらに、ベース100の長手方向一端部(外皮部16の長手方向他端部と対向する側の端部)には嵌挿部としての丸棒状のシャフト106が形成されている。シャフト106はベース100に一体に形成されている。シャフト106の基端部はベース100の長手方向一方(図3の矢印D方向側)の端部における幅方向及び厚さ方向(図3の矢印E方向及び矢印F方向)略中央でベース100に接続されており、ベース100の長手方向に沿ってベース100から延出されている。
【0089】
また、ベース100の外径寸法は、上述した十字孔18の中央を中心として電極線20〜26に外接する仮想円の直径寸法程度とされており、支持部材64と対向する側の外皮部16の端部にベース100の長手方向一端が接するまでシャフト106が外皮部16と略同軸の状態で外皮部16の内側へ嵌挿される。
【0090】
なお、端末支持部材の構成は上記の支持部材98の構成に限定されるものではなく、各々が複数の導電部材(本実施の形態では電極線20〜26)の少なくとも何れか2つの各端末部分を保持する複数の導電性の接続部材と、前記複数の導電部材の間に介在すると共に前記複数の接続部材が互いに交差し且つ前記複数の接続部材の間を電気的に絶縁した状態で前記複数の接続部材を保持する絶縁性保持部材と、により構成されていれば、その具体的な態様に限定されるものではない。
【0091】
このような構成の端末支持部材では、先ず、複数の導電部材の間には絶縁性保持部材が介在するため、複数の導電部材が互いに接触することがない。
【0092】
また、複数の導電部材の少なくとも何れか2つの端末部分は導電性を有する接続部材に保持され、接続部材を介して導通している。したがって、複数の接続部材は互いに交差しているものの、絶縁性保持部材によって互いに絶縁された状態で保持される。このため、接続部材同士が導通することがない。これにより、互いに端末部分が接続される所定の導電部材以外が導通することはなく、所定の結線状態を維持できる。
【0093】
以下、端末支持部材としての支持部材98の変形例について説明する。
【0094】
本実施の形態では、接続部材としての導通シャフト102、104は単なる棒状であったが、例えば、図8に示されるように、各導通シャフト102、104の両先端側を折り返した端末挟持部としての折返部108を形成し、対応する電極線20〜26の他端部を折返部108で一時的に挟持した状態で固着する構成としてもよい。この構成とした場合には、特に別の保持手段で電極線20〜26を保持しなくても、折返部108で対応する電極線20〜26を保持できるため固着作業が容易になる。
【0095】
また、本実施の形態では接続部材を丸棒状の導通シャフト102、104を適用したが、図9に示されるように、厚さ方向が外皮部16の半径方向へ向いた平板状の導通板110、112を接続部材としてもよい。
【0096】
このような構成とした場合には、導通板110、112の厚さ方向一方の面に対応する電極線20〜26の端部を固着することになるが、導通板110、112のベース100から突出した部分であれば、どの部分に対応する電極線20〜26を固着してもよいため、外皮部16の端部からの電極線20〜26の引出量や導通板110、112への固着位置等を比較的ラフに設定できる。これにより、導通板110、112への電極線20〜26の固着が簡単になる。
【0097】
さらに、図10に示されるように、接続部材としての導通板110、112に端末挟持部としてのばね性を有する保持片114を形成して対応する電極線20〜26を保持片114によって一時的に弾性挟持した状態で導通板110、112に対応する電極線20〜26を固着してもよい。この場合には、先に述べた折返部108を形成する構成と同様に、特に別の保持手段で電極線20〜26を保持しなくても、保持片114で対応する電極線20〜26を保持できるため固着作業が容易になる。
【0098】
また、上記の導通シャフト102、104や導通板110、112の表面に予め低融点合金等で形成される「ろう材」を一体に付着(塗布)しておくことで、電極線20〜26と導通シャフト102、104や導通板110、112との固着作業の一態様である「ろう付け」作業を容易に行なうことができる。
【0099】
(被覆部116の構成)
また、図2及び図3に示されるように、上記の支持部材64の周囲には被覆部116が設けられている。被覆部116は全体が、光エネルギーを吸収することで硬化すると共に少なくとも硬化後には透明若しくは半透明になる光硬化性樹脂材で形成されている。また、被覆部116は本体118を備えている。
【0100】
本体118は、全体的に軸方向(図3の矢印D方向)寸法がベース100の長手寸法よりも充分に大きな略円柱形状に形成されており、その外径寸法は導通シャフト102、104の全長よりも充分に大きく、上述したプロテクタ38の筒部40の内径寸法よりも小さい。本体118の内部にはベース100、導通シャフト102、104、及び、電極線20〜26の長手方向他端部近傍が埋設されている。
【0101】
<第1の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0102】
(挟み込み検出装置10の基本動作)
本挟み込み検出装置10では、少なくとも、自動スライドドア装置52が車両14の乗降口122を閉じる方向へドアパネル54を移動させる際には、感圧センサ12の電極線20〜26が通電状態とされる。
【0103】
モータ等の駆動手段の駆動力によりドアパネル54が乗降口122を閉じる方向へスライドしている状態で、ドアパネル54の端部(移動方向側端部)と乗降口122の開口縁との間で異物が挟み込まれ、ドアパネル54と一体的に移動する感圧センサ12が外皮部16で異物を押圧すると、異物からの押圧反力が外皮部16に作用する。
【0104】
この押圧反力が所定の大きさ以上となった場合、外皮部16は自らの弾性力に抗して押圧反力の作用方向に断面が潰れるように弾性変形する。このように外皮部16が弾性変形すると、外皮部16の内部に設けられた電極線20〜26の何れか外皮部16の弾性変形に応じて撓む。
【0105】
通常、電極線20から電極線24、22を介して電極線26へ流れる電流は、通常、抵抗32を介して流れる。しかしながら、上記のように電極線20〜26の何れかが撓み、これにより、電極線20或いは電極線24が電極線22或いは電極線26と導通して短絡すると、電流は抵抗32を介さずに流れるため、例えば、一定の電圧でこの回路に電流を流していれば電流値が変化する。
【0106】
このように、異物からの押圧反力が作用すると、電極線20〜26を含む電気回路中を流れる電流の電流値が変化するため、感圧センサ12は異物からの押圧反力が作用したこと、すなわち、異物の挟み込みを検出できる。さらに、電流値の変化は電流検出素子36により検出される。
【0107】
また、電流検出素子36からの電気信号(検出信号)をECU等の判定手段や制御手段が受けると、判定手段や制御手段は外皮部16に外力が作用した、すなわち、ドアパネル54の端部(移動方向側端部)と乗降口122の開口縁との間で異物が挟み込まれたと判定し、例えば、判定手段や制御手段がドアパネル54をスライドさせるためのモータ等の駆動手段を停止させることで、それ以上の異物の挟み込みを防止でき、また、判定手段や制御手段がドアパネル54をスライドさせるためのモータ等の駆動手段を反転駆動させることで、異物の挟み込みを解除できる。
【0108】
なお、感圧センサ12では、電極線20と電極線22、若しくは、電極線24と電極線26が短絡した場合には、電流は抵抗32を介して流れるため、この場合には構造上、外力の検知はできない。
【0109】
しかしながら、上述したように電極線20〜26は外皮部16の内部で螺旋状に配置されているため、例えば、電極線20〜26が外皮部16内の所定部位からで螺旋状に略半周した部位までの範囲に同一方向からの外力が外皮部16の長手方向に沿って連続的に作用すれば、電極線20〜26が全て接触することになる。
【0110】
したがって、電極線20と電極線22、若しくは、電極線24と電極線26が接触した際に電極線20或いは電極線24が電極線22或いは電極線26と接触する範囲は、電極線20〜26が外皮部16内の所定部位からで螺旋状に略半周する迄の間よりも更に短い範囲で可能であり、電極線20と電極線22、若しくは、電極線24と電極線26だけが接触する可能性は極めて低い。このため、感圧センサ12では、略確実に外力の検知が可能である。
【0111】
(被覆部78側での端末結線工程の説明)
次に、感圧センサ12の電極線20〜26の長手方向一端側での端末部分を処理するための結線工程について説明する。
【0112】
結線工程では、先ず、予め導通片68〜74と抵抗32とが固定されたベース66が、外皮部16の一端から引き出された電極線20、26と電極線22、24との間に介在した状態でシャフト76が外皮部16の一端からその内側へ嵌挿される。
【0113】
次いで、接続工程では、この状態で電極線20〜26の長手方向一端部と、これに対応した導通片68〜74とが、例えば、抵抗溶接によって固着される。これによって、電極線20〜26の長手方向一端部と、これに対応した導通片68〜74とが、導通した状態で一体に結線される。
【0114】
さらに、この状態で、導通片72、74とこれに対応するリード線34の端部が、例えば、抵抗溶接によって固着される。これによって、リード線34とこれに対応する導通片70、76とが、導通した状態で一体に結線される
次いで、モールド工程では、成形金型の内側に支持部材64と外皮部16の長手方向一端近傍部分がセットされ、この状態で、加熱されることで液状に溶融したホットメルトモールディング用樹脂材が成形金型内に充填される。
【0115】
この状態で、溶融した(液状の)ホットメルトモールディング用樹脂材が冷却されて硬化することで筒部82及び保持突起84を含む被覆部78が形成される。
【0116】
ここで、支持部材64、電極線20〜26の一端近傍、抵抗32、導通片68〜74、及びリード線34の一端近傍は、被覆部78内へ埋設状態で封入されるため、電極線20〜26、抵抗32、導通片68〜74、及びリード線34の各接続部分に対する水や埃等の付着が防止される。
【0117】
また、導通片68〜74は基本的に支持部材64へ固定されているため、外力に対する機械的強度は高いが、上記のように被覆部78に埋設されて封入されることで、電極線20〜26、抵抗32、導通片68〜74、及びリード線34の各接続部分は支持部材64のみならず被覆部78によってもその周囲から支持されることになる。これにより、電極線20〜26、抵抗32、導通片68〜74、及びリード線34の各接続部分における変形がより強固に規制され、この各接続部分における断線を確実に防止できる。
【0118】
さらに、外皮部16の一端とその近傍も被覆部78内に埋設状態で封入されるため、外皮部16の一端から外皮部16の内部への水や埃等の侵入が防止される。これにより、外皮部16内に侵入した水が接触していない電極線20〜26を導通させ或いは腐蝕させることを防止でき、また、埃等の異物が電極線20〜26の撓曲を妨げることを防止できる。
【0119】
また、被覆部78を形成するホットメルトモールディング用樹脂材は、少なくとも硬化状態で透明若しくは半透明になるため、被覆部78で支持部材64、電極線20〜26の一端近傍、抵抗32、導通片68〜74、及びリード線34の一端近傍を埋設状態で被覆しても、被覆部78の外側から内部の状態を容易に確認できる。これにより、電極線20〜26、抵抗32、導通片68〜74、及びリード線34の各接続部分における断線の有無等を容易に検査でき、感圧センサ12の製造後、車両14に対する挟み込み検出装置10の組み立て時、或いは、メンテナンス時等における上記の接続部分における断線の有無を検査するための検査工程の工数を効果的に軽減できる。
【0120】
また、上記のように被覆部78は、ホットメルトモールディング用樹脂材によって形成される。ここで、このようなホットメルトモールディング用樹脂材は成形時における成形圧力が、例えば、一般的な射出成形法で成形する際の成形圧力に比べて低い。このため、電極線20〜26、抵抗32、導通片68〜74、及びリード線34の各接続部分に対して成形圧力が悪影響を及ぼす可能性は極めて低く、このような接続部分に成形圧力が作用することによる断線等を確実に防止できる。
【0121】
さらに、被覆部78を形成するホットメルトモールディング用樹脂材は、成形時における成形圧力が低いため、外皮部16の一端及びその近傍まで被覆部78に封入する場合に、外皮部16の一端から外皮部16の内部へ液状に溶融した熱可塑性樹脂材が流入することを軽減できる。これにより、不用意に外皮部16の内部に大量の合成樹脂材が流れ込んだ状態で合成樹脂材が硬化することに起因する感圧センサ12の動作不良の発生を防止若しくは軽減できる。
【0122】
(被覆部116側での端末結線工程の説明)
次に、感圧センサ12の電極線20〜26の長手方向他端側での端末部分を処理するための結線工程について説明する。
【0123】
この結線工程では、先ず、支持部材装着工程で外皮部16の長手方向他端と対向する側のベース100の長手方向端部が、外皮部16の長手方向他端へ接触するまでシャフト106を外皮部16の内部に挿入する。
【0124】
次いで、溶接工程で図11に示されるように、外皮部16の長手方向他端から引き出された電極線20〜26の他端部を、対応する導通シャフト102、104の端部近傍へ係止させる。この状態で、例えば、導通シャフト102の一端に溶接用電極126の端部を当接させて他端にアース電極128を接触させる。
【0125】
この状態で、溶接用電極126から導通シャフト102を介してアース電極128に溶接電流を流すと、導通シャフト102の両端から溶融する。溶融部分は略球形状若しくは略涙滴形状になりながら導通シャフト102の長手方向中央部へ変位し、中央側で溶融していない導通シャフト102をその熱で溶融させる。さらに、導通シャフト102の溶融部分は電極線20、24の端部を巻き込み、この状態で冷却、硬化する。これにより、導通シャフト102と電極線20、24とが導通状態で一体的に接続される。また、導通シャフト104に対しても同様の作業を行ない、これにより、導通シャフト104と電極線22、26とが導通状態で一体的に接続される。
【0126】
次いで、図12に示されるように、成形工程で外皮部16の他端部に成形型としてのスリーブ130を装着する。スリーブ130は、内径寸法が外皮部16の外径寸法に略等しい円筒形状に形成されている。図12に示されるように、外皮部16へのスリーブ130の装着状態では、円孔132に外皮部16が貫通し、且つ、外皮部16の他端とは反対側のベース100の端部がスリーブ130の開口端よりもスリーブ130の底部側に位置している。
【0127】
この状態で、溶融状態の光硬化性樹脂材の液面が、外皮部16の他端とは反対側のベース100の端部よりもスリーブ130の開口端側に位置するまで光硬化性樹脂材がスリーブ130の内側に充填する。この状態で、スリーブ130内の光硬化性樹脂材が硬化することで、被覆部116が形成される。
【0128】
ここで、支持部材98と電極線20〜26の他端近傍近傍は、被覆部116内へ埋設状態で封入されるため、電極線20〜26と導通シャフト102、104との接続部分に対する水や埃等の付着が防止される。
【0129】
また、電極線20〜26と導通シャフト102、104との接続部分が被覆部116に埋設されて封入されることで、電極線20〜26と導通シャフト102、104との接続部分は被覆部116によってその周囲から支持されることになる。これにより、電極線20〜26と導通シャフト102、104との接続部分の変形が強固に規制され、この各接続部分における断線を確実に防止できる。
【0130】
さらに、被覆部116を形成する光硬化性樹脂材は、少なくとも硬化状態で透明若しくは半透明になるため、被覆部116で電極線20〜26と導通シャフト102、104との接続部分を埋設状態で被覆しても、被覆部116の外側から内部の状態を容易に確認できる。これにより、電極線20〜26と導通シャフト102、104との接続部分における断線の有無等を容易に検査でき、感圧センサ12の製造後、車両14に対する挟み込み検出装置10の組み立て時、或いは、メンテナンス時等における上記の接続部分における断線の有無を検査するための検査工程の工数を効果的に軽減できる。
【0131】
また、上記のように被覆部116は光硬化性樹脂材によって形成される。ここで、このような光硬化性樹脂材は成形時における成形圧力が、例えば、一般的な射出成形法で成形する際の成形圧力に比べて低いか若しくは成形圧力自体が不要である。このため、電極線20〜26と導通シャフト102、104との接続部分に対して成形圧力が悪影響を及ぼす可能性は極めて低く、このような接続部分に成形圧力が作用することによる断線等を確実に防止できる。
【0132】
さらに、被覆部116を形成する光硬化性樹脂材は、成形時における成形圧力が低いか成形圧力が不要であるため、外皮部16の他端及びその近傍まで被覆部116に封入する場合に、外皮部16の一端から外皮部16の内部へ液状に溶融した光硬化性樹脂材が流入することを軽減できる。これにより、不用意に外皮部16の内部に大量の合成樹脂材が流れ込んだ状態で合成樹脂材が硬化することに起因する感圧センサ12の動作不良の発生を防止若しくは軽減できる。
【0133】
また、支持部材98は、導通シャフト102の長手方向に対して導通シャフト104の長手方向が略90度変位した状態でそれぞれベース100を貫通しているため、電極線20〜26のように各々の位置が略90度ずれ、しかも、互いに交差するよう電極線20と電極線24、電極線22と電極線26を結線する場合でも、電極線20〜26を無理に曲げることなく結線できる。
【0134】
(挟み込み検出装置10の組立工程)
以上のようにして、被覆部78、116が形成された感圧センサ12は、プロテクタ38の筒部40の一端側から被覆部116が挿入される。筒部40に挿入された被覆部116は、筒部40内を通過して筒部40の他端から外側に抜け出る。被覆部116は感圧センサ12に形成されているため、上記のように被覆部116が筒部40内を通過することで外皮部16が筒部40内に配置される。
【0135】
また、被覆部116が筒部40を通過して抜け出るまで外皮部16が筒部40内を移動することで筒部40の一端に被覆部78が達する。この状態で被覆部78に形成された筒部82を筒部40の一端から圧入する。これにより、プロテクタ38を介して外皮部16と被覆部78とが一体となる。したがって、外皮部16に対する被覆部78の相対変位が生じ難くなり、外皮部16に対して被覆部78が相対変位することで、電極線20〜26と導通片68〜74若しくは導通シャフト102、104との接続部分における断線を防止できる。
【0136】
この状態で、プロテクタ38の溝部44内に溶融状態の接着剤62を充填して溝部44内にブラケット48の嵌入板60を嵌入させる。
【0137】
次いで、被覆部78に形成された各保持突起84を対応する嵌込孔92の嵌込部96へ嵌め込む。この状態で嵌込部96とは反対側の長孔部94の端部に軸部86が接触するまで被覆部78をスライドさせることで、被覆部78とブラケット48のカバー90とが機械的に連結される。これにより、筒部82とは別部位にて被覆部78がブラケット48及びプロテクタ38を介して外皮部16へ機械的に連結される。このため、外皮部16に対する被覆部78の相対変位がより一層生じ難くなり、例えば、ブラケット48に取り付けられた感圧センサ12を運搬する際等に外皮部16に対して被覆部78が変位することで、電極線20〜26と導通片68〜74との接続部分等における断線をより一層確実に防止できる。
【0138】
また、上記の連結は、保持突起84を嵌込部96へ略同軸に合わせればよく、カバー90に対する被覆部78の組付位置を作業者が設定したり判定したりすることがない。このため、熟練を要することなくカバー90に対する被覆部78の取付作業を短時間で行なうことができる。これにより、作業工数等の軽減を図ることができる。
【0139】
さらに、保持突起84は、被覆部78の成形により形成されるため、改めて保持突起84を被覆部78に組み付けたりする必要がなく、これによっても作業工数を軽減でき、しかも、部品点数を増加させることがなく、部品コストの軽減にも寄与する。
【0140】
なお、本実施の形態では、被覆部78にホットメルトモールディング用樹脂材を用い、被覆部116に光硬化性樹脂材を用いたが、被覆部78に光硬化性樹脂材を用いて被覆部116にホットメルトモールディング用樹脂材を用いてもよい。
【0141】
<第2の実施の形態の構成>
次に、本発明のその他の実施の形態について説明する。なお、以下の各実施の形態を説明するうえで、前記第1の実施の形態を含めて説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と基本的に同一の部位に関しては、同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0142】
図16には、本発明の第2の実施の形態に係る圧力検出装置としての挟み込み検出装置140の感圧センサ142の要部の構成が分解斜視図によって示されている。
【0143】
図16に示されるように、感圧センサ142は、支持部材64に代わり支持部材144を備えている。支持部材144は、支持部材64と同様に絶縁性を有する合成樹脂材によって略矩形板状に形成されたベース66を備えている。また、ベース66の厚さ方向一方(図16の矢印A方向)の側に導通片68、70がインサート成形等によって一体成形されていると共に、厚さ方向他方(図16の矢印Aとは反対方向)の側に導通片72、74がインサート成形等によって一体成形されている。
【0144】
但し、支持部材144では、導通片68に電極線26が接続され、導通片72に電極線20が接続されている。また、導通片68、72の幅方向側方(図16の矢印B方向側)から導通片68、72にリード線34が接続されている。
【0145】
一方、導通片70に電極線24が接続されていると共に、導通片74に電極線22が接続されている。導通片70の長手方向側方には抵抗32が配置されており、抵抗32の一方のリード線が導通片70へ接続されている。抵抗32の他方のリード線はベース66の長手方向他端部の側方からベース66の厚さ方向他方の側へ回り込んで導通片74へ接続されている。
【0146】
<第2の実施の形態の作用、効果>
ところで、前記第1の実施の形態における支持部材64では、ベース66の厚さ方向一方の側に電極線22、24が引き出され、他方の側に電極線20、26が引き出された、これに対して、支持部材144では、ベース66の厚さ方向一方の側に電極線24、26が引き出され、他方の側に電極線20、22が引き出される。
【0147】
ここで、外皮部16の内部で各電極線20〜26は外皮部16の軸心周りに螺旋状に配置されている。したがって、外皮部16の長手方向に沿った切断位置によって各電極線20〜26の位置は外皮部16の軸心周りに異なる。したがって、各電極線20の状態(引出位置)に応じて支持部材64と支持部材144とを使い分けるようにすれば、ベース66の幅方向を変えることなく、しかも、各電極線20〜26を無理に曲げたりすることなく適切に結線できる。
【0148】
また、前記第1の実施の形態における支持部材64ではリード線34がベース66の長手方向側方から導通片72、74に接続されていた。これに対して、支持部材144ではベース66の幅方向側方(各電極線20〜26の引出方向若しくは長手方向に対して直交する方向)から導通片70、74へ接続されている。すなわち、リード線34の配線状態(引き回し状態)によっては、支持部材144によってベース66の幅方向側方から結線した方がリード線34を無理に曲げることなく結線できる場合があり、この場合にはリード線34に対する機械的な負荷を軽減できる。
【0149】
<第3の実施の形態の構成>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0150】
図17には、本実施の形態に係る圧力検出装置としての挟み込み検出装置160の感圧センサ162の要部の構成が断面図によって示されている。
【0151】
図17に示されるように、感圧センサ162の一端には被覆部78に代わり被覆部164が設けられている。被覆部164は被覆部78とは異なり、内層166と外層168とにより構成されている。
【0152】
内層166は光エネルギーを吸収することで硬化する光硬化性樹脂材で長手方向、幅方向、厚さ方向の各々がベース66の長手方向、幅方向、厚さ方向に対応した略直方体形状に形成されており、その内部には、支持部材64のベース66、電極線20〜26の一端部の一部、リード線34の一部、導通片68〜74、及び抵抗32が埋設されている。
【0153】
これに対して、外層168は、その全体が、硬化状態で内層166を構成する光硬化性樹脂材よりも剛性が高いホットメルトモールディング用樹脂材で形成されている。また、外層168は長手寸法、幅寸法、厚さ寸法の各々が内層166よりも大きな直方体形状に形成されており、内層166の外側から内層166を被覆している。さらに、外層168には外皮部16の一端部とその近傍部分が埋設されていると共に、筒部82及び保持突起84が形成されている。
【0154】
<第3の実施の形態の作用、効果>
以上の構成の被覆部164を形成する際には、先ず、前記第1の実施の形態で説明した結線工程が終了した支持部材64を内層成形型内にセットし、その内部に液状に溶融した光硬化性樹脂材を充填する。この状態で、光硬化性樹脂材を硬化させることで内層166が形成される。次いで、内層166と共に外皮部16の一端部及びその近傍を外層成形金型内にセットし、この状態で加熱することで液状に溶融したホットメルトモールディング用樹脂材を充填する。この状態で、ホットメルトモールディング用樹脂材を冷却硬化させることで、外層168が形成されて、被覆部164が形成される。
【0155】
以上のように形成された被覆部164は、内層166と外層168の2層で構成されている点で被覆部78とは構成が異なるが、外皮部16の一端部近傍、支持部材64、電極線20〜26の一端部の一部、リード線34の一部、導通片68〜74、及び抵抗32が埋設されているという点においては被覆部164は被覆部78と同じである。したがって、基本的には被覆部78を形成することにより奏する作用と同等の作用を奏し、被覆部78を形成することにより得られる効果と同等の効果を得ることができる。
【0156】
また、外層168は内層166よりも剛性が高く、外力(例えば、衝撃)が被覆部164に作用した場合でもその形状を維持する(すなわち、変形しにくい)。仮に、被覆部164に外力が作用することで被覆部164が変形した場合には、これに伴い、被覆部164内の導通片68〜74と電極線20〜26の一端部若しくはリード線34の端部との接続が断たれる(断線する)可能性がある。
【0157】
しかしながら、上記のように、外層168は内層166よりも剛性が高いため、内層166を構成する光硬化性樹脂材だけで被覆部164の全体を形成する場合に比べて外力が作用した場合に変形する可能性が低い。これにより、上記のような被覆部164の変形に起因する断線を防止でき、長期に亘り導通片68〜74と電極線20〜26の一端部若しくはリード線34の端部との接続を維持できる。
【0158】
一方、外層168を構成する合成樹脂材(すなわち、硬化後の剛性が高いモールディング用樹脂材)だけで被覆部164を形成した場合には、比較的剛性が高いために被覆部164に衝撃や振動が作用すると、導通片68〜74と電極線20〜26の一端部若しくはリード線34の端部との接続部分に衝撃や振動が伝えられてしまう。
【0159】
ここで、本実施の形態では、内層166は外層168よりも剛性が低い、すなわち、弾性が高いため、上記のような衝撃や振動は導通片68〜74と電極線20〜26の一端部若しくはリード線34の端部との接続部分に伝わる前に内層166に吸収される。長期に亘る導通片68〜74と電極線20〜26の一端部若しくはリード線34の端部との接続をより一層確実に維持できる。
【0160】
なお、本実施の形態では、内層166を光硬化性樹脂材で形成し、外層168をホットメルトモールディング用樹脂材で形成した。しかしながら、内層166及び外層168は、各々が光硬化性樹脂材又はホットメルトモールディング用樹脂材で形成され、且つ、内層166よりも外層168の剛性が高くなればよい。
【0161】
したがって、内層166よりも外層168の剛性が高くなれば、内層166をホットメルトモールディング用樹脂材で形成して、外層168を光硬化性樹脂材で形成してもよい。また、内層166よりも外層168の剛性が高くなれば、外層168及び内層166の双方を光硬化性樹脂材で形成してもよいし、外層168及び内層166の双方をホットメルトモールディング用樹脂材で形成してもよい。
【0162】
<第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0163】
図18には、本実施の形態に係る圧力検出装置としての挟み込み検出装置180の感圧センサ182の要部の構成が斜視図によって示されている。
【0164】
図18に示されるように、感圧センサ182は支持部材64に代わり支持部材184を備えている。支持部材184は基本的に支持部材64と同じ構成であるが、ベース66の幅方向一方の端部から保持部としての一対の保持突起186が突出形成されている点で支持部材64とは構成が異なる。図18に示されるように、保持突起186の各々は基本的に外径寸法が略均一の略円柱形状で、しかも、その先端側は被覆部78から突出している。
【0165】
図19に示されるように、これらの保持突起186に対応してカバー90には嵌込孔92に代わり一対の透孔188が形成されている。これらの透孔188は、その内径寸法が保持突起186の外径寸法よりも極僅かに大きく、保持突起186を貫通させることができるようになっている。
【0166】
保持突起186は、透孔188を貫通した状態でその先端部に熱かしめ等のかしめが施されることによって外径寸法が透孔188の内径寸法よりも充分に大きな抜止部190が形成される。
【0167】
抜止部190が形成された状態で被覆部78をカバー90に対して相対的に変位させようとすると、透孔188の貫通方向には被覆部78の外側面若しくは抜止部190にカバー90が干渉し、透孔188の径方向には保持突起186の外周部に透孔188の内周部が干渉する。このようにカバー90に対する被覆部78の相対変位が規制されることで、前記第1の実施の形態と同様にブラケット48及びプロテクタ38を介して外皮部16と被覆部78とが一体的に連結される。したがって、本実施の形態でも、基本的に前記第1の実施の形態と同様の作用を奏し、同様の効果を得ることができる。
【0168】
なお、本実施の形態では、保持突起186の形状を基本的に略円柱形状とし、熱かしめ等によって略円形の透孔188よりも大径の抜止部190を形成する構成とした。しかしながら、保持突起186は透孔188に係合することでカバー90に対する被覆部78の相対変位を規制できる形状であればよく、保持突起186や透孔188の形状が上記の形状(円柱形状や円形)限定されるものではない。
【0169】
<第5の実施の形態>
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0170】
図20には本実施の形態に係る圧力検出装置としての挟み込み検出装置210の感圧センサ212の要部の構成が斜視図によって示されており、図21には、本感圧センサ212の要部の平面図が示されている。
【0171】
これらの図に示されるように、感圧センサ212は、支持部材98の代わりに端末支持部材としての支持部材184を備えている。
【0172】
支持部材184は、絶縁性を有する合成樹脂材により形成されると共にシャフト106が形成されたベース100(絶縁性保持部材)を備えている点では支持部材98と同じであるが、接続部材としての導通シャフト102、104や導通板110、112を備えておらず、代わりに金属等の導電性を有する材料により形成された接続部材としての導通片214、216を備えている。
【0173】
導通片214は側面視(図20の矢印E方向に沿って見た状態)でベース100の長手方向(図20、図21の矢印D方向)の一方へ向けて開口した凹形状に形成されている。また、導通片214はベース100の厚さ方向(図20、図21の矢印E方向)に沿って互いに対向した一対のターミナル板218を備えている。
【0174】
これらのターミナル板218は、長手方向及び厚さ方向がベース100の長手方向及び厚さ方向に沿うように形成されている。また、一方のターミナル板218の他方のターミナル板218とは反対側の面には電極線20(図20、21では図示省略)の他端部が導通した状態で固着され、他方のターミナル板218の一方のターミナル板218とは反対側の面には電極線24(図20、21では図示省略)の他端部が導通した状態で固着される。
【0175】
さらに、これらのターミナル板218は外皮部16の他端と対向しない長手方向他方(図20の矢印Dとは反対方向)側の端部が連結板220によって一体的に連結されており、これにより、双方のターミナル板218が導通している。
【0176】
一方、導通片216は平面視(図21図示状態)でベース100の厚さ方向の一方へ向けて開口した凹形状に形成されている。また、導通片216はベース100の幅方向に沿って互いに対向した一対のターミナル板222を備えている。
【0177】
これらのターミナル板222は、長手方向及び厚さ方向がベース100の長手方向及び幅方向(図20、21の矢印F方向)に沿うように形成されている。また、一方のターミナル板222の他方のターミナル板222とは反対側の面には電極線22の他端部が導通した状態で固着され、他方のターミナル板222の一方のターミナル板222とは反対側の面に電極線26の他端部が導通した状態で固着される。
【0178】
さらに、これらのターミナル板222は幅方向(図20、図21の矢印F方向)の一端が上述した一対のターミナル板218の間でベース100を貫通した連結板224によって一体的に連結されており、これにより、双方のターミナル板222が導通している。
【0179】
さらに、これらの導通片214と導通片216とはベース100に一体的に保持されていると共に、導通片214と導通片216との間にはベース100が介在して導通片214と導通片216との間は絶縁されている。
【0180】
この感圧センサ212で電極線20〜26の長手方向他端部を処理(結線)する場合には、シャフト106を外皮部16の他端部から嵌挿した状態で導通片214の各ターミナル板218に、対応する電極線20、24を接触させる。この状態で、電極線20のターミナル板218とは反対側と、電極線24のターミナル板218とは反対側とから、溶接電極とアース電極によって挟み込み溶接電流を流す。これにより、電極線20とターミナル板218との接触部分及び電極線24とターミナル板218との接触部分が抵抗熱により溶融する。この状態で溶融部分が冷却硬化すると電極線20と電極線24とが電気的に導通する。また、電極線22、26と導通片216のターミナル板222も同様に処理し、電極線22と電極線26とが電気的に導通する。
【0181】
ここで、ターミナル板218、222の厚さ方向一方の面に、対応する電極線20〜26の他端部を接触させた状態で溶接を施すが、ターミナル板218、222の面のどの部分に、対応する電極線20〜26の他端部を接触させてもよいため溶接が容易になり、溶接の自動化を図ることができる。
【0182】
なお、本実施の形態では、連結板224でターミナル板222の幅方向一端を連結した構成であったが、図22及び図23に示されるように、連結板224でターミナル板222の長手方向一端を連結する構成としてもよい。
【0183】
また、図22及び図23に示されるように、一対のターミナル板218を互いに相反する方向へ湾曲させると共に、一対のターミナル板222を互いに相反する方向へ湾曲させる構成としてもよい。この構成とした場合、例えば、ターミナル板218、222に対応する電極線20〜26の他端部が接触した状態で溶接電極及びアース電極により電極線20〜26をターミナル板218、222に押し付けて挟み込む際に電極線20〜26を安定した状態で挟み付けることができ、接続作業(溶接作業)における作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る感圧センサの横断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る感圧センサの構造の概略を示す縦断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る感圧センサの両端部近傍の構造の概略を示す斜視図である。
【図4】一方の支持部材の分解斜視図である。
【図5】ブラケット(カバー)と被覆部との関係を示す分解斜視図である。
【図6】カバーの側面図である。
【図7】図6の7−7線に沿った断面図である。
【図8】他方の支持部材の変形例を示す平面図である。
【図9】他方の支持部材の他の変形例を示す斜視図である。
【図10】他方の支持部材の接続部材の変形例を示す斜視図である。
【図11】他方の支持部材の側における溶接工程を示す図である。
【図12】他方の支持部材の側における成形工程を示す図である。
【図13】外皮部の斜視図である。
【図14】本感圧センサを適用した車両の斜視図である。
【図15】本感圧センサの回路構成の概略を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る感圧センサの要部の構成を示す図4に対応した分解斜視図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態に係る感圧センサの要部の構成を示す図2に対応した断面図である。
【図18】本発明の第4の実施の形態に係る感圧センサの要部の構成を示す図3に対応した斜視図である。
【図19】本発明の第4の実施の形態に係る感圧センサのカバーの断面図である。
【図20】本発明の第5の実施の形態に係る感圧センサの要部の構成を示す斜視図である。
【図21】本発明の第5の実施の形態に係る感圧センサの要部の構成を示す平面図である。
【図22】本発明の第5の実施の形態に係る感圧センサの変形例を示す図20に対応した斜視図である。
【図23】本発明の第5の実施の形態に係る感圧センサの変形例を示す図21に対応した斜視図である。。
【符号の説明】
12 感圧センサ
16 外皮部
20 電極線(電極)
22 電極線(電極)
24 電極線(電極)
26 電極線(電極)
64 支持部材
78 被覆部
142 感圧センサ
144 支持部材
162 感圧センサ
164 被覆部
166 内層
168 外層
182 感圧センサ
184 支持部材
212 感圧センサ
Claims (7)
- 外方からの外力により弾性変形可能で且つ絶縁性を有する中空の外皮部と、
前記外皮部の内側で空隙を介して対向配置されると共に一端が前記外皮部の端部から引き出された複数の電極と、
前記外皮部の端部の側方に設けられて前記外皮部の端部から引き出された前記複数の電極の一端を支持すると共に、前記複数の電極同士又は前記複数の電極を他の導電部材へ電気的に接続する支持部材と、
ホットメルトモールディングによって成形される熱可塑性樹脂材又は光エネルギーを吸収することで硬化する光硬化性樹脂材により形成されて前記支持部材の少なくとも一部及び前記電極の一端を埋設状態で封入する内層を有すると共に、前記ホットメルトモールディングによって成形される熱可塑性樹脂材又は前記光硬化性樹脂材により前記内層と一体的に形成されて前記内層の少なくとも一部を外側から被覆すると共に、硬化状態で前記内層よりも剛性が高い外層を有する被覆部と、
を備える感圧センサ。 - 前記被覆部を透明若しくは半透明にしたことを特徴とする請求項1に記載の感圧センサ。
- 所定の取付部位に直接或いは間接的に係合させることで前記取付部位に前記被覆部を保持させる係合部を前記被覆部に一体に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の感圧センサ。
- 前記係合部を前記被覆部と同一の材料で形成したことを特徴とする請求項3記載の感圧センサ。
- 絶縁性を有する中空の外皮部に外側から外力が作用したことを、前記外皮部の内側で空隙を介して対向配置された複数の電極の少なくとも1つが前記外皮部と共に弾性変形して他の前記電極に接触することで検出する感圧センサに適用され、前記外皮部の端部から引き出された前記複数の電極の一端を処理するための感圧センサの端末処理方法であって、
前記複数の電極の一端を前記外皮部の端部の側方に設けた支持部材に支持させて、前記電極同士又は前記電極と他の導電部材とを電気的に接続する接続工程と、
内層成形型内に前記支持部材の少なくとも一部及び前記電極の一端を配置して、光エネルギーを吸収して硬化する光硬化性樹脂材又はホットメルトモールディングによって成形される熱可塑性樹脂材を前記内層成形金型内に充填して被覆部を構成する内層を形成し、当該内層に前記支持部材の少なくとも一部及び前記電極の一端を埋設して封入する内層成形工程と、
前記内層の少なくとも一部を外層成形型内に配置して、光エネルギーを吸収して前記内層よりも高い剛性で硬化する光硬化性樹脂材、又は、ホットメルトモールディングによって成形されると共に硬化状態で前記内層よりも高い剛性を有する熱可塑性樹脂材を前記外層成形型内に充填して前記被覆部を構成する外層を形成し、当該外層で前記内層の少なくとも一部を被覆する外層成形工程と、
を有することを特徴とする感圧センサの端末処理方法。 - 前記内層成形工程で、前記外皮部の端部を前記内層形成金型内に配置することを特徴とする請求項5記載の感圧センサの端末処理方法。
- 前記外層成形工程及び前記内層成形工程の少なくとも何れか一方で、所定の取付部位に直接或いは間接的に係合させることで前記取付部位に前記被覆部を保持させる係合部を前記被覆部と共に一体成形することを特徴とする請求項5又は請求項6記載の感圧センサの端末処理方法。
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